2013年11月11日

ちひろ「プロデューサーさん、この後食事でもどうですか?」

P「是非」

ちひろ「えーと……今回はお好み焼きなんか、ど、どうです?」

P「いいですね。お好み焼きは大好物ですよ」


ちひろ「そ、そうですか。良かったです……私もお好み焼きは好きなんですよ」

ちひろ「だから、どうかな、って」

P「そんなに遠慮しなくてもいいのに……」

ちひろ「嫌いだったらどうしよう、って思っただけですよ。それじゃ早速……」

P「あ、すみません。実はまだ仕事が残ってて……一時間後でいいですか?」

ちひろ「なるほど、分かりました。それじゃ駅前で待ち合わせしましょう」

P「一時間後に駅前、ですね。了解です」

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――

ちひろ(あと、20分)

ちひろ(……ふふっ、プロデューサーさん優しいし、そろそろ来るかな)

ちひろ(……でも)

ちひろ(なんか自分で誘っておいてなんだけど、お好み焼きで良かったのかな……)

ちひろ(笑美ちゃんがオススメしてくれて、すごく美味しかったけど)

ちひろ(まさか実はプロデューサーさん、あんまりガッツリ食べる方じゃなかったりして……)

P「すみませんちひろさん。遅くなりました」

ちひろ(でも誘ってもらって断るのも悪いから、って無理させてるんじゃ……)

P「……ちひろさん?」

ちひろ(……ダメダメ。そんなにネガティブに考えちゃ……あぁでも……)

P「おーい」

ちひろ「はぁぁっ!?」ビクゥッ!
P「あ、あの……」

ちひろ「す、すみません! ちょっと考え事してたもので!」

P「そうなんですか。まぁ急に声を掛けた俺も悪かったです。こちらこそすみません」

ちひろ「う……謝らないでくださいよ……」

P「これでおあいこですよ。さ、行きましょうか」

ちひろ「で、ですね。案内します」

P「どんなお店ですか?」

ちひろ「それはついてのお楽しみ、ですよ」
――


ちひろ「生2つ、枝豆、から揚げ、キムチ、シーザーサラダ」

P「お好み焼き、豚玉で」

店員「かしこまりました」


P「店員さんが作ってくれるんですね。てっきり自分で焼くものかと」

ちひろ「個人的には、プロデューサーさんがひっくり返すのを見てみたかったんですけどね」

P「……じゃあ今度は宅飲みしましょうか? お好み焼きは結構自信ありますよ」

P「勿論、ちひろさんが良ければですが」

ちひろ「い、良いんですけど……か、からかってます?」

P「まだ一口も飲んでないですよ俺」

ちひろ「そ、それじゃ、お呼ばれしようかな……」

P「はい、また予定立てましょう」
店員「生2つ、枝豆、キムチです」

P「どうも」

ちひろ「それじゃ、乾杯しましょう」

P「よし、乾杯っ」カキンッ

ちひろ「乾杯」カキンッ

P「んぐんぐんぐっ……ぷはぁっ!」

ちひろ「すごい飲みっぷりですね……」ゴク

P「今週は特にお仕事頑張りましたからね」

ちひろ「輝子ちゃんですね。上位枠選出おめでとうございます」

P「ありがとうございます」
ちひろ「そういえば一気に路線変えてきましたよね」

P「ええ。大分思い切りました」

ちひろ「プロデューサーさんは、どちらの方が好きですか?」

P「個人的な意見として言うなら、今の輝子の方が。ただファンの動揺も若干大きかったような気もします」

P「もうちょっと様子を見たいですね。実験……と言われれば反論は出来ませんが」

ちひろ「なるほどなるほど」パクパク

P「親友ですからね。大成を願ってます」

ちひろ「ふーん……親友ですか」

ちひろ「ところであのキノコって食べられるんですかね?」

P「さぁ……少なくとも毒キノコではなさそうですが……」
店員「から揚げ、シーザーサラダです」

P「生1つ」

ちひろ「あ、私も」ゴク

店員「かしこまりました」


ちひろ「から揚げレモンぎゅーっ」

P「あ、どうも」

ちひろ「最近暑いですね。仕事があるのは良い事とはいえ、無理は禁物ですよ?」フキフキ

P「それは勿論。ちひろさんも気を付けて下さい」

ちひろ「ありがとうございます。あと事務所の冷蔵庫にアイスを置くことにしました」

ちひろ「プロデューサーさんもアイドル達も、好きな時に食べて下さいね。減ったら補充しますから」

P「ちひろさん、それポケットマネーでしょう? 俺も出しますよ」

ちひろ「いえいえ、いいんですよ。実は私は暑さが苦手なんです。だからアイスも沢山買っちゃうんですよ」

P「ふむ」

ちひろ「なんですけど、食べきれなくて賞味期限が……ね?」

ちひろ「だから残飯処理をお任せしようかと思っただけです。あんまり気にしないで下さい」
P「……そうですか。じゃあ今晩は奢りますよ。アイスのお礼です」

ちひろ「それは駄目ですっ。飲みは割り勘だっていつも言ってるじゃないですか」ゴク

P「んーそこは譲れませんか?」

ちひろ「はい……あ、そうだ。だったら今度の宅飲みの時にとびきり美味しいのをお願いします」

ちひろ「アイスはこれからも私が持ちますから」

P「なるほど、分かりました」

ちひろ「よし、約束ゲット。しっかり覚えておきますからね」

P「心配しなくても忘れませんよ」

ちひろ「指切りしましょう、指切り」スッ

P「また子供じゃないんだから……はい」スッ

P「ゆーびきーりげーんまーん……」

ちひろ「……」

P「はい、指切った。これでいいですか?」

ちひろ「……///」

P「……自分から言い出しておいてそのリアクションはどうかと」

ちひろ「わ、悪かったですね!」
店員「お待たせしました。生2つです」

P「どうも」

ちひろ「ごほん。ところでプロデューサーさんに質問が」

P「はい、どうぞ。可能なら答えます」

ちひろ「身体鍛えてます? 今まじまじと見たら結構立派な手をしていたので」

P「とんでもない。スポーツや格闘技を見るのは好きですが、やるのはとてもとても」

ちひろ「あれ、そうなんですか? Paの元気な女の子達に振り回されてるからてっきり耐性が付いたのかと……」

P「……主にきらりの事ですかね。アイツ最近手加減を覚えましたからね」

ちひろ「手加減……手加減ですか。ホントですかそれ?」

P「俺限定で、ですよ。遠慮って言い換えても良し」

ちひろ「……なるほど。ホント相変わらずですねPさんは」

P「相変わらず?」

ちひろ「ま、いいです」
店員「豚玉になります」

P「もう次の頼んじゃいます?」

ちひろ「ですね、今度は私が選びますね……えっと、もちチーズ1つで」

店員「かしこまりました」


P「……美味い」

ちひろ「でしょう? 私も初めて食べた時びっくりしましたよ」

P「これイケますね……結構食べられそうです」

ちひろ「ふふっ、プロデューサーさんはこれより美味しいものを作れるかどうか……」

P「う……出来るだけ頑張りますけど……」

ちひろ「ホント、楽しみにしていますからね?」

P「……了解」
ちひろ「城ヶ崎姉妹について」

P「はい」

ちひろ「あの子達も長いですね。LIVEツアーでも立派に活躍してますし」

P「えぇ、仕事というのがかなり分かってきたようで。本人達のやる気も上々」モグモグ

ちひろ「2人共とデートしたんですよね。どうでした?」ゴク

P「言い返せないんでこの際ツッコまないですよ」

P「莉嘉は正直予想通りと言いますか……背伸びし過ぎですね。デートプランとかしっかり立ててきてました」

P「子供らしく、乗りたいアトラクション乗ってはしゃげばいいのに……」

ちひろ「女の子は早熟ですからね。『大人の女性』への憧れも強いです」

P「でも、これからも子供っぽく元気なプロデュース方向で行こうかと思ってるんですよ」

P「需要はそっちに傾いてますしね。あとは本人の心の成長に合わせてシフトしていきます」

ちひろ「心が成長したら莉嘉ちゃんどうなってますかね。今みたいに好いてもらえてると思います?」
P「俺男ですよ? 年頃の女の子の気持ちなんて分かりませんって」ゴク

P「ただ、その内離れるとは思ってます。その時はアイドルを辞めるのか、ドライなお仕事だけの関係になるか……」

ちひろ「莉嘉ちゃんはまだ子供ですからね。離れるかどうかはともかく、どこかで大きな転機を迎えますよ」

ちひろ「いやぁ楽しみです」パク

P「楽しまないで下さいよ……」

ちひろ「はい、美嘉ちゃんゴー」

P「まだ鉄板ポジションですね」

ちひろ「トップアイドルじゃない、と?」

P「そこまでは言いませんが……まぁ上位に居るのは間違いないと思います」

ちひろ「なるほどなるほど」

P「初対面の時はプロデュース方向に悩みましたけどね。『ギャル』というのはどうしても万人受けしませんし」

P「今は何か、デカい決め手が欲しいんですよ……それをやるのが俺の仕事なんですけどね」
店員「お待たせしました。もちチーズです」

P「飲み物どうします?」

ちひろ「生にします」

P「じゃ生2つで」

店員「かしこまりました」


P「美味い……」

ちひろ「ですね。やっぱりチーズは最高です」モグ

P「あれ、そうだったんですか?」

ちひろ「好きなんですよ、チーズ。何にでも合いますからね」ゴクゴク

P「お酒のおつまみの定番ですしね」
ちひろ「そうだ、愛梨ちゃんお手製のチーズケーキ食べたことあります? 絶品ですよ」

P「チーズケーキは無いですね……」

ちひろ「多分、頼んだら作ってくれますよ。他ならぬプロデューサーさんの頼みなら」

P「機会があれば頼んでみます。事務所の人数多いですから、ケーキ作りも楽じゃないでしょうしね」

ちひろ「愛梨ちゃん、第2回総選挙の後どうでした?」

P「おめでとうとは言っていました。でも、本当は悔しかったんでしょうね」

P「ずっと涙を堪えてて、誰も居なくなったら泣いたんです」

P「シンデレラガールの座には1人しか居られませんから仕方ないですけどね」

P「それに俺の立場では特定の1人を応援することは出来ないんですよ。だから歯がゆくて」

ちひろ「その場にプロデューサーさんは?」

P「居ましたけど、何も出来なかったんですよ。掛ける言葉も見つかりませんでした」

ちひろ「居るだけでいいんですよ。そういう時は黙って胸を貸していればいいんです」

ちひろ「プロデューサーさんの不器用さがプラスに出ましたね」

ちひろ「これは好きになっちゃうだろうなぁ……」

P「やめて下さいってそういう話は」
ちひろ「プロデューサーさんはPaの中で一押しの子とかっていますか?」

P「全員」モグモグ

ちひろ「そういうのを聞いてるんじゃないんですけどねー?」ゴク

P「じゃあ、どういうのを聞かれてるんでしょうか?」

ちひろ「好みのタイプの子とか」

P「居ませんねー」

ちひろ「ちなみに私の一押しの子はですね……聞きたいですか?」

P「どうぞ?」

ちひろ「藍子ちゃんです藍子ちゃん」

P「元気一杯なアイドルが多いPaの中で、藍子を選択しますか。分かってますねちひろさん」
ちひろ「んふふ……あ、今の発言はプロデューサーさんも藍子ちゃんを特別視してるってことですね?」

P「おっと、忘れて下さい」

ちひろ「はーい。まぁ藍子ちゃんは一緒に幸せな老後を過ごしたい系アイドルです」

ちひろ「実はつい先日、藍子ちゃんの時間を狂わせる魔法を喰らってしまいまして」

P「あれ危険ですよね」

ちひろ「えぇ……ちょっとした休憩のつもりが大変な事に……」

P「なんせ趣味が公園の散歩ですからね。一度付き合ってみたらこれがまた……」

ちひろ「つっ、付き合ったぁっ!!?? ぐっ、げほっ、ごほ!」

P「だから散歩に付き合っただけですって。漫画じゃあるまいし、なに早とちりしてるんですか」

ちひろ「ごほっ! ……あーまさかもう酔いが回ってきた感じで、げほ!」
P「え、まだ全然飲んでないじゃないですか」

ちひろ「し、知りませんよそんなの……!」

P「と、まぁ藍子の話ですが」

ちひろ「え、えぇ……笑顔が好き、って言ってましたね。正統派アイドルじゃないですか」

ちひろ「控え目ですけど、割としっかりリーダーやってますし」

P「アイツもPaに相応しい直球ぶりですけどね。あとリーダーじゃなくてまとめ役……というか交通整理員?」

ちひろ「そうなんですか? なんでこの子Paなんだろうな、ってずっと思ってたくらいなんですけど」

P「結構前なんですけど……貴方の笑顔が……違う。やっぱ今の無し」

ちひろ「もー! あと少しだったのに!」

P「ふー……よしっ」

ちひろ「プロデューサーさん駄目ですよ。そんな大事な事を自分1人で抱えちゃ」

P「いや、そういう台詞回しが出てくる流れじゃないですからね?」
ちひろ「こらちゃんとこっち向いて喋ってください」

P「向いてますってば」パクパク

ちひろ「むー」パクパク

ちひろ「これはちょっと色々聞く必要がありそうですねぇ? Paの子達なら結構プロデューサーさんに迫ってるでしょうし」

ちひろ「店員さーん!」

ちひろ「今晩は痛飲ですね。むふふ、洗いざらい白状して頂きますからね」

P「あ、今の顔といい声といい日菜子そっくりですね」

ちひろ「むふふ、全アイドル対応できますよ。事務員なら必修技能ですから」

P「じゃあきらりのモノマネを今ここで」

ちひろ「にょ、にょわー……☆ きらりんぱわーでPちゃんはぴはぴ……☆」

P「声小さいんでもっと大きく」

ちひろ「で、出来ませんよ……他のお客さんに迷惑じゃないですか……」
店員「ご注文をお伺いします」

P「生2つで」

店員「かしこまりました」


P「まぁきらりのマネはもういいです。『Pちゃん』って言わせただけで収穫としましょうか」

P「俺は名前で呼んでるのに、ちひろさんは呼んでくれないんですから」

ちひろ「あ、あう……い、い、いいんですっ」

P「くくっ……!」

ちひろ「わ、笑わないでくださいよぉぉぉ!」

P「いや、大分酔いが回ってきたみたいですね。ちひろさん可愛いじゃないですか」

ちひろ「〜〜〜!///」

P「あ、照れた」

ちひろ「て、てて照れてませんっ!」ゴクゴク
――


P「すっかり潰れてら」

P「……少し調子に乗り過ぎたか」

ちひろ「もー大丈夫ですよー……1人で歩けますってーばー」ポカポカ

P「あれのどこが歩けてるんですか。痛いんで頭を叩かないで下さい」

ちひろ「セクハラー! 下ろせー!」

P「声がデカいんですよ……俺捕まりますってば……!」

ちひろ「いやいやいや大丈夫ですよっ、プロデューサーさんなら♪」

P「何がですか。だからしっかり掴まってくださいって。落ちますよ」
――

P「あーやっと着いた……まったく、人の苦労も知らないで」

P「さて、と……」ピッピッ

P「………………出ない、か。酔っ払いの相手は早苗さんが一番頼れるんだけどなぁ」ピッピッ

P「……もしもし、藍子か? 実は、おたくの寮長さんが酔い潰れてな。今女子寮の前だ」

P「悪いけど手伝ってくれるか? 可能ならきらりも呼んでくれ。なんとかしてくれるさ。あぁ、頼む」ピッ

P「ちひろさん、そろそろ起きて下さい」ユサユサ

ちひろ「プロデューサーさん……」

P「今女子寮の前です。迎えが来ますから」

ちひろ「……あの……今度の宅飲み……約束ですよ……?」

P「ええ。指切りしましたからね。約束です」

ちひろ「……」

P「ちひろさーん?」

ちひろ「げうっ、おえ」

P「ちょ、やめっ……!」



おわり
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08:11│千川ちひろ 
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