2013年11月11日

モバP「特別移籍、ですか?」

※モバマス

※アイドルとちひろさんがひどい目に遭います。注意

ちひろ「はい。考えてみませんか?」


P「せっかく今まで育ててきたアイドルたちを手放すなんて……。
  それに、アイドルたちにも申し訳が立ちません」

ちひろ「あ、それは大丈夫です。
    ただ、一時的に別の事務所にお貸しするだけですので」

P「どういうことですか?」

ちひろ「簡単に言えば、出張です。
    他の事務所での仕事を経験することで、
    アイドルも色々な経験ができます。
    聞いた話では、
    そのおかげで仕事が増えたアイドルも居るとか」

P「ふむふむ」

ちひろ「メリットはそれだけじゃありませんよ?
    これを見てください」スッ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1361879883

P「……何ですか、それ?
  見たところ、ゲームセンターのメダルのようですけど」

ちひろ「これは、レアメダルと呼ばれているものです。
    アイドルを貸す代わりに、相手方からいただけます。対価ですね」

P「何かに使えるんですか?」

ちひろ「非常に高い価値を持っています。
    これを使って、女子寮を建設した事務所もあるとか」

P「それは凄いですね」

ちひろ「アイドルも居なくならないし、仕事も増える。女子寮も建てられる。良いこと尽くめでしょ?」

P「考えてみます」
P(才能はあるが、まだ芽が出ていないアイドルはうちにもたくさん居る。
  そういったアイドルたちにも、スポットライトが当たるかもしれない)

ガチャ

あずき「おっはよっ!
    いきなり呼び出したりして、何の用?
    もしかして、あずきの新しいお仕事決まったの?
    とうとう、新作戦を開始する時が来たんだねっ!」

P「仕事というか、移籍の話なんだけど」

あずき「……え?」

P「ちょっと他の事務所に……って」

あずき「うう……ひっぐ……」グス

P「な、なんで泣くんだ?」

あずき「どうぢて……」グス

P「あ、あずき?」オロオロ

あずき「あずき……そ゛んなに駄目だっだの゛……?
    アイドルとして駄目だから他の事務所に……」

P「違う違う!
  すまん、説明不足だったな」

あずき「……」グス

P「あずきは才能がある。
  でも、一つ足りていないものがあるんだ」

あずき「何……?」
P「それは、知名度だよ」

あずき「……まあ、確かにね。
    あずき、素顔で歩いてても何にも言われたことないし」

P「そこでだ。他の事務所のアイドルの仕事を手伝うことで、知名度を上げようってのが今回の作戦だ。手伝いが終われば、ちゃんと帰って来れるさ」

P(それだけじゃないけどな)

あずき「作戦?」キラキラ

P「ああ。あずきがトップアイドルになるために、重要な作戦だ。
  その名も……」

あずき「そ、その名も……?」

P「他の事務所でお仕事大作戦だ!」ドヤァ!

あずき「……ちょっと微妙……」

P「」
あずき「あずきひとりで行くの?
    ちょっと寂しいよ……」

P「いや、他にも何人か行ってもらいたいと思ってる。
  今考えてるのは……菲菲と雅だな」

あずき「それならいいかなっ」

P「やってくれるか?」

あずき「うんっ!」

P「そうか、ありがとな」

あずき「えへへっ! 頑張るよ!」

P(その後、俺は菲菲と雅にも同じことを説明し、承諾を得た)

P(これで事務所の施設を増設できれば、皆の助けになるだろう。
  そういった考えからの行動だった。それが……)
2週間後 事務所にて

P「う〜ん……」

ちひろ「どうしたんですか?」

P「思ったような効果がないんです」

ちひろ「特別移籍のお話ですか?」

P「ええ。
  知名度アップに繋がれば、と思ったんですが」

ちひろ「そういえば、あまり見ませんね」

P「そうなんですよ。
  なんでだろう?」

ちひろ「まあ、アイドルの扱いはお貸しした事務所の都合で決められますので……。
    ただの雑用係にされている可能性も無いわけではないですね」

P「なんか、納得いきませんね。
  ただ、良いように使われているだけなような……」

ちひろ「そういった文句を抑えるための、レアメダルですよ。
    凄かったでしょ?」

P「凄かったですね、あれは。
  見せただけで建設業者が首を縦に振りましたから。
  物凄い金持ちになった気分でしたよ」

ちひろ「本当になれるといいですね? アイドルたちと一緒に」

P「ははは……」
同時刻 地下スタドリ・エナドリ工場 牢屋

菲菲「ど、どうしてこうなったヨ……」

雅「みやびぃこんな所嫌だよぉ……。帰りたいよぉ……」

あずき「まさか、特別移籍がこんなものだったなんて……」

あずき(特別移籍がプロデューサーさんから告げられた日の夜、それは起こったんだ)
2週間前 女子寮にて

ドンドン

菲菲「……Zzz」

ドンドン

菲菲「……むー……」

ドンドン

菲菲「……ふぇいふぇい寝てるネー……起きないヨー……」

ドンドン

菲菲「……」イライラ

ドンドンドンドン

菲菲「ああもう! しつこいヨ!」ガバァ
スタスタ

ガチャ

菲菲「こんな時間に何の用ダヨ……って」

黒服A「……」

黒服B「……」

黒服C「……」

菲菲「誰ダヨ!?」
黒服A「おい、こいつで間違いないか?」

黒服B「はい。楊菲菲、写真の人物で間違いないかと」

菲菲「な、なんでワタシの名前知ってるネ?」

黒服C「楊菲菲、同行願おうか」

菲菲「い、嫌ダヨ」

菲菲(何この人たち……怖いヨ……)
黒服A「おっと、お前さんに拒否権は無いぜ」

黒服B「さあ、来るんだ!」ガシ

菲菲「いっ!? 放してっ!」ジタバタ

黒服C「大人しくしろ!」グイ

菲菲「いやぁー! 誰か助けてネー!」バタバタ

黒服A「ちっ、このままじゃ他の奴が起きちまう。あれを出せ」

黒服B「はっ」スプレープシュー

菲菲「!?」

菲菲(い、意識が……)

バタッ

黒服A「……よし、連れていけ」

黒服B・C「はっ」
菲菲「……うーん……」

菲菲「……はっ!?」

菲菲「ここどこダヨ!?」

菲菲(……なんか、牢屋みたいな所ネ……)
あずき「あ、気がついた?」

菲菲「アズキ!? どうしてアズキがここに居るネ!?」

雅「みやびぃも居るよぉ」

菲菲「ミヤビも!?」

あずき「どうやら、あずきたち、誘拐されちゃったみたいだね」

菲菲「ええっ!? なんでダヨ!?」

あずき「わかんないよ……」

雅「怖いよぉ……。何されちゃうのかなぁ……」

菲菲「そもそも、ここはどこダヨ? 知ってる?」

あずき「それもわかんない。見た目は牢屋みたいだけど……」

雅「外から丸見えだよぉ。なんか恥ずかしいなぁ」
キィ

黒服「時間だ、来い」

菲菲「だ、誰ダヨ!?」

あずき「あずきにこんなことして、何の作戦なのっ!?」

雅「帰してよぉ」

黒服「ぐずぐずするな、来い」スタスタ

菲菲「……ここは従っておくのが良さそうヨ」ヒソヒソ

あずき「……そだね」ヒソヒソ

雅「……」
菲菲(長い廊下ネ……)スタスタ

あずき「……」スタスタ

雅「……」スタスタ

黒服「……よし、これをつけろ」

菲菲「首輪?」

雅「変態さん?」

黒服「早くしろ」

菲菲「……仕方ないヨ」ガチャ

あずき「何これ……」ガチャ

雅「……」ガチャ
菲菲「……ワタシたち、何させられるネ?」

あずき「何だろうね」

雅「……何か音が聞こえるよぉ?」

黒服「入れ」

菲菲「……!?」
幸子「や、やめてください!」

黒服「オラオラ! もっとちゃんと働かんかい!」ビシビシ

薫「せんせぇ、せんせぇ! 助けてよぉ……」

黒服「子供だからって容赦しねえぞ!」ビシビシ

蘭子「わ、我が魔力は既に尽きて……(つ、疲れました……)」

黒服「休んでる暇なんてねえぞ!」ビシビシ

菲菲「いっ……」
菲菲(テレビで見たことあるアイドルたちが……)

あずき(働かされてる……?)

雅(つるはしで壁を掘ってる……)

黒服「お前たちは、今日からここで働いてもらう」

菲菲「どういうことネ?」

黒服「ここは、地下スタドリ・エナドリ工場」

あずき「スタドリって、いつもプロデューサーさんが飲んでるやつかな」

雅「あれ、良く飲んでるよねぇ〜。美味しいのかなぁ?」

黒服「その中でも最も過酷な材料調達部。
   ここが今日からお前たちの職場だ。
   壁を掘り、その中からスタドリ・エナドリの製造に必要な材料を集めてもらう。
   精々死なない程度に頑張るんだな」

菲菲「い、嫌ダヨ」

雅「なんでみやびぃがこんなことしなくちゃいけないのぉ?」

あずき「そうだよっ! こんなのおかしいよっ!」

黒服「何を言っている。
   お前たちは『特別移籍』させられたアイドルたちなんだろう?」

菲菲「そ、そうだけど……。何で知ってるダヨ?」

黒服「なら、そのレアメダル分ここで働くのが筋ってもんだろうが」

あずき「レアメダルって、何? 聞いたことないよ?」
黒服「何も知らされていないのか。哀れなアイドルだな。
   レアメダルというのは、裏社会で流通している超高額貨幣のことだ。
   それを手に入れるために、お前たちは利用されたんだよ」

菲菲「利用された? 誰に?」

黒服「たった1枚のメダルに目がくらんだ、馬鹿なプロデューサーのためにだ」

菲菲・あずき・雅「!?」
あずき「き、聞いてないよっ! そんなこと……」

雅「……みやびぃ捨てられたの……?」

菲菲「そ、そんな……何かの間違いに決まってるヨ!」

黒服「そうなら良かったんだろうがな、これは事実だ。
   まあ、そんなことは俺にとってはどうでも良いことだ。
   さっさと働いてもらおうか。
   さもないと……」

かな子「うう……」ペタ

「おいコラ! 何を休んでる!」

かな子「すっ、すみません!」

「働かない奴は……痛い目に遭ってもらう!」ピッ

菲菲(首輪が……光って……)

かな子「うあぁあああああ゛あ゛あ゛ッ!!!!」

あずき(電撃!?)

「どうだ? 働く気になったか?」

かな子「うう……」ビクビク

菲菲・あずき・雅「!?」

黒服「ああなるぜ?」
菲菲「ひっ、ひどいヨ! ワタシたち、こんなことするためにアイドルになったんじゃ……」

黒服「知らんな。恨むなら、お前たちのプロデューサーを恨むんだな。
   仕事は、7時間で1区切りだ。
   7時間働いた後、1時間の休みを与えられる」

菲菲「労働基準法もクソもないヨ……」

雅「そんなに働いたら死んじゃうよ……」

黒服「精々頑張ることだ」
3時間後

菲菲「……」ガコン

あずき「……」ガコン

雅「……腰痛いよぉ……」ガコン
雅「……あっ!」

菲菲「どうしたネ?」

あずき「あ、それは……」

雅「これが言ってたスタドリの材料かな?」

菲菲「緑色の石ダヨ」

あずき「……こんな物飲んでたんだ……」

雅「早速持って……」

歌鈴「はわわわっ! どいてください〜!」

雅「え?」

ドンッ
雅「いったぁ〜い……」

歌鈴「ふえええ、すみませんすみません!」ペコペコ

あずき「大丈夫……って、ああ!?」

菲菲「石が……割れちゃてるヨ……」

歌鈴「ええええ!? ほ、本当にすみません! 不注意なもので!」ペコペコ

雅「まあ、そういうことって誰でもあるよねぇ〜。だから気にしないでぇ」

歌鈴「本当にすみません! この埋め合わせはいつか……」
あずき「あ、慌ただしい人だったね……」

菲菲「あはは……」

雅「……これ、使えるのかなぁ? 一応持っていってみよぉっと」
雅「駄目だったよぉ……」

菲菲「厳しいネ」

あずき「あれぐらい別にいいじゃん。ねぇ?」

菲菲・雅「うんうん」
4時間後

黒服「よし、自室に戻り、休息しろ」

菲菲「や、やっと終わったネー……」

あずき「お疲れ様」

雅「疲れたぁ」
牢屋

あずき「まさか、プロデューサーさんがこんなことするなんて……」

菲菲「本当ダヨ! 帰ったらとっちめてやるネ!」

あずき「……プロデューサーさん……最初に会った時はあんなに優しそうな顔をしてたのに……。
    最初の仕事を貰えた時は、涙を流して喜んでくれたのに……。
    あずきが辛い時は、あんなに励ましてくれたのに……。
    どうして、こんな……ううっ……」

菲菲「アズキ……」

あずき「ううっ……ああ……」ポロポロ

菲菲「アズキ、泣いちゃ駄目ダヨ。
   アズキには笑顔が一番似合ってるヨ。
   だから……笑って、ネ?」

あずき「菲菲……ありがとう」
雅「……みやびぃはそうだとは思わないなぁ」

菲菲「どういうことネ?」

雅「あのPにアイドルを簡単に見捨てられるとは思えないよぉ。
  アイドルのために、ロボットみたいにずっと仕事ばっかりしてるし」

菲菲「確かに、事務所で寝てる時とか良くあるヨ」

雅「きっと、誰かに騙されたんだよぉ。
  こうすれば、アイドルのためになるとか言われて」
黒服「おい、201番うるさいぞ!
   もう消灯時間だ!」

菲菲「……とにかく、ここから生きて出ることだけ考えるのが良さそうダヨ」

あずき「……そうだね」

菲菲(それから、こんなことが毎日続いたヨ)
2週間後

菲菲「……一向に出られそうにないネ……」

あずき「どうなってるの……」

雅「みやびぃもう働きたくなーい……」

バタン ドタン

菲菲「……なんか隣が騒がしいヨ?」

雅「何だろう……!?」
「おら、大人しく歩け!」

あやめ「くっ……」

「まさか床に穴を掘って逃げ出そうとするとはな」

あやめ「あ、あれはただ忍術の練習をしていただけ……」

「言い訳するな!」ビシィ

あやめ「あうっ!」

「とにかく、こいつはお仕置き部屋行きだな」

あやめ「そ、そんなぁ〜……」

「穴埋めはどうする? そうとう深く掘ってたが」

「後でいいだろ。こんなこと考える奴、他に居ないって」

「そうだな。あの部屋は使用禁止にすればいいだけだし」

菲菲「……」

あずき「……」

雅「……これは、チャンスだねぇ」
菲菲「どういうことダヨ?」

雅「さっきの子は隣の部屋だよねぇ?」

あずき「穴を掘ったって言ってたけど……まさか!」

雅「そのまさかだよぉ。
  その子の掘った穴に繋がるように掘れば、
  普通に掘るよりもずっと早くできるよぉ」

菲菲「大丈夫かヨ?」

雅「見つかる前に逃げられれば、こっちのもんだよぉ」

あずき「みんなはどうするの?」

雅「それは、逃げられた時に訴えればいいんだよぉ。
  こんなこと、許されるはずないんだからねぇ。
  みんなには悪いけど、少人数の方が逃げやすいし」

あずき「じゃあ、名付けて大脱出作戦、決定?」

菲菲・雅「おー!」
3日後 事務所

P「……やっぱりおかしいなぁ」

ちひろ「特別移籍したアイドルたちのことですか?
    まあ、きっと頑張ってますよ」

P「そうですかね……」

プルルルル

ちひろ「……っと、電話ですね。私が出ます」

P「お願いします」

ちひろ「……」
同時刻 スタドリ・エナドリ工場 牢屋

あずき「……」

雅「……」

菲菲「ふぅ」

あずき「お帰り」

菲菲「やっとつながったヨ」

雅「よし、早速逃げようよぉ」

あずき「見張りも休憩時間なはずだしねっ!」

雅「みんな、静かにねぇ?」
ちひろ「……すみません、少し呼び出しがあったので、出かけてきますね」

P「わかりました」
スタドリ・エナドリ工場

菲菲「相当掘ったネ……あの子……」タッタッタ

雅「通路に出たよ」タッタッタ

あずき「看板によると、こっちに進めば、トロッコがあるらしいよっ!」タッタッタ

雅「多分、出来たスタドリを運ぶ用のトロッコだろうねぇ。
  それに乗れば、地上に出られるはず……」タッタッタ

菲菲「……あったヨ!」

あずき「よし、乗ろう!」
ガラガラガラ

雅「……なーんか、拍子抜けだねぇ」

菲菲「あっさりダヨ」

あずき「追手が来る様子もないし……あっ、光が見えてきた!」
ガラガラ……キィ

あずき「着いたみたい」

菲菲「階段があるヨ」

雅「あれを登れば地上に……っ!?」
ちひろ「あらあら、どうしてあなたたちがここに居るんですか?」

菲菲「チヒロ……」

あずき「……」

雅「……」
ちひろ「あなたたちは『移籍』したはずですよね?」

ちひろ「『移籍』した人は、ちゃんと働いてもらわないと」

あずき「もうあんな所で働きたくないよっ!」

菲菲「そうダヨ! ふぇいふぇいたちは奴隷じゃないヨ!」

雅「Pに会って、話を訊くんだよ!」

ちひろ「そんなこという子には、お仕置きですよ?」ピッ

あずき「あ゛ああああ゛あ゛あ゛ッ」ビリビリ

雅「う゛うううう゛う゛う゛ッ!!!」ビリビリ

菲菲「うぐうううう゛う゛ううう゛」ビリビリ
菲菲「はぁ、はぁ……」

あずき「い、ぁ……」

雅「うぅ……」

ちひろ「皆さんにはがっかりですよ。
    たった2週と3日働いただけで、逃げてきちゃうなんて」

菲菲「……こ、こんなもので、ふぇいふぇいたちの心を折ることはできないヨ……」

あずき「あ、あずきたちは……」

雅「Pに会って、話を訊かなくちゃならないんだよぉ……」

ちひろ「プロデューサーさんも迷惑してましたよ?
    『大した能力も特技もない癖に』ってね」

菲菲「……」

あずき「……」

雅「……」
あずき「……」フラッ

菲菲「ア、アズキ!?」

雅「どうしたの!?」

ちひろ「あら? 気絶しちゃったんですか。
    よっぽどショックだったんですねぇ。
    これだから三流アイドルは……」

菲菲「あ、アズキを……悪く言うなヨ!
   アズキは……トップアイドルになるために必死で頑張ってたんダヨ!」

ちひろ「そんな努力、お金にならないなら無駄です」

菲菲「あんた……最低ネ!」
ちひろ「なんとでも言いなさい。とにかく、持ち場に戻ってもらうわよ」

菲菲「お断りダヨ!
   ワタシは……地上に戻ってこのことを知らしめるヨ!」

ちひろ「あなたたちにそれができますか?」ピッ

菲菲「ぐううううう゛うう゛うううッ!」ビリビリ

雅「ああああ゛あ゛あ゛あ゛ああ゛っ!」ビリビリ

菲菲「ハァ……ハァ……」

雅「ふぅ……ふぅ……」

ちひろ「耐えましたか。最高出力だったんですけどね」

菲菲「な……舐められたものネ……ワタシも……。
   香港ではこの程度、日常茶飯事ヨ……」

ちひろ「そんな冗談を吐く余裕まであるとは。
    何があなたをそうさせるんです?」

菲菲「そんなことはどうでもいいヨ。
   そこを退くダヨ。さもないと……」

ちひろ「さもないと? どうなるというんです?」

P「こうなるんですよ、ちひろさん」
ちひろ「どうしてここが……」

P「何かおかしいと思って後をつけたら……まさかこんなことをしてたなんてね。
  見損ないましたよ、ちひろさん」

ちひろ「……チッ」スッ

雅「トランシーバー!?」

菲菲「応援を呼ぶつもりネ!?」

P「無駄ですよ」

ちひろ「……繋がらない」

P「地下はもう警察が突入済みですよ。
  商品の出荷ルートと職員の出入り口は分けておくべきでしたね。
  諦めてください。ここにもすぐ来ます」

ちひろ「……」

あずき「……なんでこんなことしてたの?」
ちひろ「……にいいじゃないですか」

P「?」

ちひろ「別にいいじゃないですか!
    ただお金が欲しかっただけですよ!
    何か悪いことがありますか!」

雅「これは……」

菲菲「同情の余地なしダヨ」

あずき「最低だね」
P「俺は説教する気はありません。
  その代わり、しっかりと罪を償ってきてください」

ちひろ「……」

「容疑者確保しました」
P(それから、ちひろさんが関わっていた「特別移籍」詐欺は世間に認知され、糾弾された。
  工場は解体され、埋め立てられた。
  行方がわからなくなっていたアイドルたちは、無事元の事務所に戻っていったらしい)

P(俺は彼女たちに、俺のいい加減な考えのせいで迷惑をかけたことを必死に謝った。
  普通なら許してもらえなくても仕方ないほどのことだった。
  しかし、彼女たちはなぜか俺をあっさりと許してくれた。
  彼女たちをトップアイドルに導くことを、条件として出されたが……。
  その程度のことで許してもらえるなら、俺は努力を惜しまないだろう)
P(やはり、アイドルを金儲けに使おうなどという浅はかな考えは、持つべきではないということだろうか)

P(アイドルは金儲けの道具じゃない。もしその答えが正しいのだとしたら、アイドルとは一体何のために存在するのだろうか?)

P(ファンを満足させるためか? 事務所の知名度を上げるためか? それとも、誰かの夢を叶えるためなのか?)

あずき「何難しい顔してるのかなっ?」

菲菲「もうすぐお仕事の時間ダヨー」

雅「行こうよぉっ!」

P「ああ、そうだな」

P(……この子たちと居れば、その答えが見つけられるかもしれないな)

お わ り

18:16│モバマス 
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