2014年07月27日

矢口美羽「私とPさんの夏休み」


美羽「……だから、Pさんがそこで的確なツッコミを入れることでですね!」



美羽「って聞いてるんですか! 大事な話ですよ!」





美羽「最近、ますますPさんからの扱いがひどくなりましたよね!」



美羽「私がこんなにもアイドル活動へ熱意を注いでいるのに、すぐに別のことに気をとられて……」



美羽「……あれを見ろ?」



美羽「わああっ、すっごく綺麗な景色じゃないですか!?」



美羽「なんですかここ! 一面がヒマワリですよ、ヒマワリ!」



美羽「ここが以前言ってた、夏休みのお仕事場ですか!?」



美羽「はあ〜、すごい場所だなぁ……」







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美羽「とーちゃくっ、っと!」



美羽「いやあ、バスの中とはまた景色が違いますね〜」



美羽「……」



美羽「ところで、ここどこなんでしょう?」



美羽「……」



美羽「あの、Pさん?」



美羽「もしかして降りる所を……間違えた、とか……」



美羽「そ、そんなことないですよねー!」



美羽「だってほら、バスの路線図の駅なんか、片手で数えられますもんね!」



美羽「……」



美羽「な、なんとか言ってくださいよー!?」





美羽「あ、あ、あ、暑い……」



美羽「うう。なんで一駅向こうがこんなに遠いんだろう……」



美羽「見渡す限りヒマワリしかないです……」



美羽「目的地までどのくらいですか?」



美羽「地図があるんですね。どれどれ……」



美羽「あーカスピ海越えていくんですねなるほど……」



美羽「ってこれ世界地図じゃないですかー!」



美羽「笑ってないで教えてくださいよ、もー!」





美羽「暑い……遠い……疲れました……」



美羽「バカンスに来たのに、このままじゃ干からびちゃう……」



美羽「……お?」



美羽「あれは何かのお店じゃないですか!?」



美羽「なんでもいいです、とにかく涼んでいきましょう!」



美羽「ほらほら、Pさん早く!」



美羽「えっ、急に元気が出た? 気のせい! ですよっ☆」







美羽「ふー、影があるだけで生き返りますー」



美羽「ここ、お菓子屋さんなんですねー。いっぱいお菓子が置いてあります!」



美羽「わ、なつかしー。昔よく食べてました、こういうの」



美羽「そうだ、何か飲み物……あ、ラムネ!」



美羽「すみませーん、これ一本くださーい!」



美羽「これもなつかしーですね。ビー玉落とすの、楽しいですよ」



美羽「んくんく……ぷはー☆」



美羽「えへへ、しゅわしゅわしてて、おいしーです!」



美羽「ほら、Pさんもどうぞ!」



美羽「遠慮しなくてもいいですってばぁ、暑いんだから飲んどかないと倒れちゃいます!」



美羽「ささ、一口どーぞ!」





美羽「ほら、ラムネ美味しいですよね?」



美羽「あら、もう飲まないんですか?」



美羽「別に残り飲んじゃってもいいのに……」



美羽「じゃあ残りは私が飲んじゃおっかなー☆」



美羽「……あれ、もしや?」



美羽「これって間接キスなんじゃ……」



美羽「って、そ、そそそんなわけないですよねー!」



美羽「べ、別に同じラムネ飲んだだけですし! チューしてませんし!」



美羽「むしろラムネの方が私たちにチューしてきたんですし!」



美羽「つまり恨むなら、ラムネをうラムネ、みたいなっ!?」



美羽「あははー……」



美羽「……」



美羽「あの、もう一本、飲みませんか……?」





美羽「さーて、喉も潤ったことですし! みんなの下へ急ぎましょう!」



美羽「私が居ないと、みんなが暑さでやられちゃいます!」



美羽「なぜか、って?」



美羽「そりゃあ、私という一輪の花がいるだけで……」



美羽「周りには、笑顔と清涼な風が……」



美羽「……え? 失笑と寒風?」



美羽「失礼な! ほ、ほっ……ほ……」



美羽「……何でしたっけ、物には限度があるっていう、あれ……」



美羽「えーと……あっ!」



美羽「ホットケーキのおかわりも3回までですよ!」



美羽「ふー、思い出せてすっきりしましたっ」



美羽「……え、違う?





美羽「それにしてもPさん、そんな姿で暑くないですか?」



美羽「こんなに暑いのに、よくスーツで平気ですね?」



美羽「わたしなんか、こんな薄着でも暑いのに……」



美羽「はぁ、あつーっ」



美羽「汗かいちゃう……」



美羽「あれ、今わたしのこと見てました?」



美羽「ふふ。そんなに服の中身が気になっちゃいますか」



美羽「Pさんなら特別に見てもいいですよー?」



美羽「だって……」



美羽「わたし……もう……」



美羽「……」



美羽「中に水着、着てますし☆」





比奈「あ、美羽ちゃん……Pさんも一緒っスね」



美羽「お待たせ! わたしが来たからには、もう大丈夫だよ!」



比奈「はい?」



美羽「この矢口、全力でバカンスを楽しみます!」



比奈「暑いのに美羽ちゃんえらくテンション高いっスね……」



美羽「まずは飛び込みから!」



比奈「え、そこ結構高いっスよ……?」



美羽「ノープロブレム! 準備運動はPさんと済ませてきましたから!」



比奈「いえ、そういう問題じゃ……あっ」



美羽「とりゃー!」



比奈「おお、絵になってるっス……あ、でもその体勢は……」



美羽「ぱぶっ!?」



比奈「あー……思いっきり打ち付けたっスよ……」



美羽「はひ……」



比奈「ああ、下流に流れていく……Pさん、追いかけるっスよ!」



裕美「どう? 捕まえられそう?」



莉嘉「もちろん! 魚いっぱいだよー☆」



裕美「うーん、速くて追いかけるのも大変かも……」



莉嘉「そーゆーときは、流れてくるのを待てばいいんだよ!」



裕美「あ、なるほど……」



莉嘉「えへへ……きたきた……えいっ!」



裕美「残念、逃げられちゃったね?」



莉嘉「よーし今度こそ!」



裕美「頑張って!」



莉嘉「うん……お、でっかい! とりゃー☆」



杏「わーやられたー」



莉嘉「見て見てー☆ 杏ちゃん捕まえたー☆」



裕美「うふふ、浮き輪に乗って流れてきたんだ?」



杏「うう、杏はどうなってしまうのか……」



莉嘉「七輪の上で転がるお仕事が待ってるよ☆」



杏「それなら楽そうだしいいよ」



裕美「食べられていいのー!?」



杏「あ、またでっかいのきた」



莉嘉「おお! 大物!」



裕美「美羽ちゃーん!?」





美羽「いやー、危うく海に帰るところでした!」



比奈「鮭っスか……」



裕美「もう、心配したんだから……」



莉嘉「リカも、まさか美羽ちゃんが流れてくるとは思わなかった!」



杏「全力で笑いを取りにいってるよね」



美羽「まあ、あの流れで? 鮭になるのはサケられなかった、みたいな?」



比奈「……」



莉嘉「……」



杏「……」



裕美「い、一旦あがろっか?」



比奈「そ、そうっスね」



莉嘉「きゅ、休憩ー☆」



杏「おー」



美羽「ああ! 待ってぇー! わたしが悪かったからー!」





美羽「ふー、みなさん相変わらず手厳しいですね……」



杏「杏もまさか、避暑地で吹雪に遭うとは思わなかったよ」



美羽「ひどいっ!?」



裕美「ま、まあまあ。せっかく美羽ちゃんとPさんに合流できたんだし……」



莉嘉「そーそー。過去のことは水に流して! 川だけに☆」



比奈「おお。莉嘉ちゃん、うまいっスねー」



莉嘉「にししー☆」



美羽「ま、負けた……」



裕美「とりあえず、美羽ちゃんも一緒に遊ぼう?」



美羽「は、はいっ!」



莉嘉「さんせー☆」



杏「よし。杏もたまには浮き輪から下りて二足歩行しよう」



比奈「そういえば、さっきまでずっと浮かんでたっスね……」





美羽(フフフ……皆は遊ぶのに夢中。アレを使うチャンス……)



莉嘉「いっくよー、それー☆」



裕美「きゃあっ! もう、莉嘉ちゃんたら!」



杏「うあー……日に当たりすぎて水が冷たい……!」



比奈「ふふ、かけ合いなら負けないっスよ」



裕美「あら、じゃあ勝負しちゃおうかな? えいっ!」



比奈「なんのなんのーっ」



杏「杏はひと休みっと……あれ、美羽は?」



莉嘉「あれ? さっきまで隣に……」



杏「また流されてるんじゃ……」



莉嘉「……あ、いた☆」





美羽(水際で戯れる美少女たちに危険な魔の手が……!)



美羽(でーでん……でーでん……)



比奈「……?」



裕美「……?」



美羽(でーでん……でーでん……)



杏(……GO!)



莉嘉(せーのっ☆)



美羽(でっでっでっでっでっでっでっでっ……)



莉嘉「どぉーん!!」



美羽「ほぎゃー!?」



美羽「もーっ! せっかく用意したんだからもっと驚いてよーっ!」



杏「海ならまだしも川だしさ……」



比奈「せめてカッパっスな」





美羽「いいもん、次はカッパでやるからー!」



裕美「あ、次やるんだ?」



莉嘉「にししっ。待ってるよー☆」



杏「まあ、驚くつもりはサラサラないけど……皿だけに」



比奈「……もしかして、意外とダジャレブームだったりするんスかね」



美羽「うわーん! 覚えててくださいよー!」



裕美「美羽ちゃん走ると危ないよー!」



美羽「ど、どうせスベり慣れてますしー!」



裕美「ああ! そういう意味じゃ!」



比奈「転ぶと危ないっス……あっ」



莉嘉「美羽ちゃんあぶなーい!?」





美羽「おっ……お、おお?」



美羽「岩って、こんな感触してましたっけ?」



美羽「っていうか岩がスーツ着てるわけ……Pさん?」



美羽「あはは、ありがとうございます……助かりましたー」



美羽「うええっ? も、もう滑りませんよー!」



美羽「そ、そりゃ、いつもスベってますけど……」



美羽「……支えてくれるんですか? Pさんが?」



美羽「……えへへ。じゃあ、お言葉に甘えてっ☆」



美羽「あ、あれっ? 手を引いてくれるんじゃ……」



美羽「って、わああっ!?」





莉嘉「わー……」



裕美「お姫様抱っこだ……」



比奈「ありゃ、羨ましいっスね」



杏「いいなー。杏もお姫様抱っこで運んでもらいたいー」



裕美「杏ちゃんはいつもしてもらってるような……?」



杏「いやいや。たまにだけ」



莉嘉「いいないいなー! 莉嘉もー☆」



比奈「莉嘉ちゃん落ち着くっス、走るったらダメっスよー!」



裕美「……はう。美羽ちゃんたち見てると、こっちまで熱くなっちゃうね?」



杏「……さーね。杏、あつくてわかんないや」





美羽「あ、あのー。Pさん……ちょっと恥ずかしいような、嬉しいような……」



美羽「みんな見てます……あう」



美羽「……」



美羽「Pさん、えっと……」



美羽「……」



美羽「ううん。やっぱりなんでもないです……」



美羽「あっ、まだ降ろしちゃダメですよ?」



美羽「また降りる駅、ひとつ早いですから!」



美羽「……わたしが降りるのはいつか、ですか?」



美羽「それはもちろん……」





トップアイドルになれたとき、ですよっ





おしまい





21:30│矢口美羽 
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