2014年07月29日

モバP「ほら杏、アイスだぞー」杏「わーい」


杏「暑くて倒れそうな杏を心配してアイスキャンディーをくれるなんて、プロデューサーはやさしいなぁー」



P「はっはっは。それほどでもないさ」





杏「アイスうまー…生き返るぅー…」



杏「すこーしだけ涼しくなったけど、杏はもっと涼しくなりたいなー…チラッ」



P「あぁ。沢山あるからな。存分に食え」



杏「やったぁ!ありがとうプロデューサー!」



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杏「うーん、おいしい」



P「ほら、もう1本」



杏「やっぱり暑い時にはアイスだよねー」



P「まだまだあるぞ」



杏「ひんやりぃー」



P「ほらほら」



杏「生き返るよ」



P「どうぞどうぞ」



杏「涼しくなるぅー」



P「もっともっと」



杏「ぺろぺろ」



P「ほら、次のアイスだ」



杏「……」



P「どんどん食え」



杏「……ねぇ、プロデューサー」



P「どうした?」



杏「……いや、アイスを頼んだのは杏だし、くれるのは嬉しいよ?」



杏「でもさ、食べ過ぎて頭痛くなってきたし、ちょっと飽きちゃったし、もう良いかなー……なんて」



P「何だって?それは困るぞ。杏のために沢山用意したんだから。全部食べてもらわないと」



杏「え、えぇー?……それにしたって、全部オレンジ味っていうのは飽きるって。他の味はないの?」



P「ない。オレンジ味だけだ」



杏「何……だと……」



杏「……ちなみに、あと何本あるの」



P「えーっと……1000本くらい?」



杏「……」



杏「えっ、何本だって?」



P「1000」



杏「」



P「ちなみにまだまだ増える予定だ」



杏「」



杏「そんな数、いったいどこから用意してきたのさ」



P「用意できるさ。だって俺はプロデューサーだからな」



杏「答えになってないよ!」



P「さぁ杏、この残り1000本のアイスを流し込むように」



杏「ちょ、ちょっと待って!そんなには無理だよ!」



杏「お腹壊しちゃう……っていうかそれ以前に食べきれないって!」



杏「そんなにあるんなら、他の娘にもわけてあげなよ!それに事務所に持って帰れば皆で食べられるし丁度良いんじゃ」



P「……んー?」



杏「」



杏(な、何だか悪寒が……多分、アイスのせいだけじゃない)



P「それはできないな」



杏「な……何でさ」



P「だって……このアイスは杏のために用意したものだから……他の娘にはあげられないんだよ」



杏「プ、プロデューサー……?どうしちゃったの?何だかおかしいよ」



P「?……おかしなことを聞くな、杏?どうもしてない。……いつも通りだよ」



P「い つ も 通 り 、 杏 の た め に 頑 張 っ て る だ け だ よ」



杏「」ゾクッ





杏(本当にどうしちゃったのプロデューサー……ここのところ働きづめだったから、おかしくなっちゃったのかな)



杏(このままじゃマズい……本当にアイス1000本食べさせられそうな勢いだし)



杏(……ここは一端逃げて、他の娘に相談した方が良さそうだね)



杏「あ、杏、ちょっとお花を摘みに行ってくるね……」



P「野花ならその辺に一杯咲いてるぞ」



杏「違う!そういう意味じゃないって!」



P「分かってるよ。早く戻って来いよー」



杏「う、うん。待っててねー……」



杏「ふぅ、ひとまずは逃げられたけど……」



ジリジリジリジリ



杏「暑い……しんどい……」



杏「裕美、莉嘉、比奈……みんなどこにいるんだろ……ケータイは電波届かないから使えないし」



杏「とりあえず、歩き回ってみるしかないか……暑い……」





―河原―



杏「誰もいない…」



―ひまわり畑―



杏「ここにもいないか…」



―森―



杏「……」



ジリジリジリジリ



杏「ダメだー、見つからない……みんなどこー……?」





杏「疲れたし喉も乾いたけど……戻るとプロデューサーがいるだろうし……」



杏「人に聞こうにも誰も歩いてないし……」



杏「八方ふさがりだ……どうしよ……」



杏「休めそうな所を探して、夜まで隠れてよう……夜になればみんなも戻ってるだろうし」



杏「……っと、ここの木陰なら涼しいしちょうどいいかも」ストン



杏「歩き回って疲れたし……ちょっとここで寝ようっと……」



杏「……zzz」



カナカナカナカナ……



杏「……うーん、ふわぁ……起きたぁ」



杏「……外で寝たのは久しぶりだけど、やっぱり気持ちの良いもんじゃないなー……体が痛い」



杏「それに汗で気持ち悪いし……早く帰ってお風呂に入りたいよ」



杏「今は……5時か……みんなそろそろ戻ってるかなぁ」



                              ガサガサッ



杏(!?……今何か、物音が……)



         ザッザッ   ガサガサッ



杏(やっぱりする……物陰から、様子を見てみよう)チラッ





P「おーい、杏ぅー」ガサガサ





杏(プロデューサー……!木陰をかき分けて……杏を探してる……!?)





P「どこだー?……この辺にいるのは分かってるんだぞー」





杏(……そりゃ、数時間もいなくなれば探しに来るよね……ちょっと考えが浅かったかな)



杏(なんて思ってる場合じゃない……早く逃げないと……!)



P「ほら、アイスがあるぞー。冷たくて美味しいぞー。出ておいで―」



杏(まだ持ってる……そのアイスが嫌だから逃げてるんだよ……!)



杏(……プロデューサーがここにいる今なら、戻っても大丈夫なはず。皆と合流して……)



パキッ



杏(あっ、やばっ、小枝が)



P「……」



杏(ば、ばれてない、よね……?)



P「……」



P「」クルッ



杏「あ……」



杏(……目が、逢っ)



P「杏……



  そ こ か に い た の か ぁ」



杏「う、うわあああああっ!!!」ダッ





P「杏ー?……どうして逃げるんだー?」ザッザッザッ



杏「く、来るな……!来ないでよっ……!」タタタタタ



P「来ないでなんて酷いなぁ。俺はいつも杏のことを考えて生きてるのに」ザッザッザッ



杏(やっぱり、いつものプロデューサーじゃない……!絶対におかしいよ、あんなの……!)



杏(足の速さじゃ勝てっここないし、追いつかれる!どこかに隠れないと…!)



杏「う、うぅっ……ぐすっ」ポロッ



杏「ひっく、な、何がなんだか分からないけど……怖い、怖いよ……!」ポロポロ



杏「はぁ、はぁ、あ、あそこの穴に、隠れよう……!」タタタ



杏「入り口を、はぁっ、石で塞いで……っ!」ズズッ



杏「はぁ、はぁ、はぁ……」



杏(み、見つかりませんように……!)



                        ザッザッザッ



杏(……!)





        ザッ ザッ





杏(探してる……そのまま、何処かに行ってよ……!)

ザッ ザッ





杏(怖い……怖い……誰か……!)



杏(裕美……!莉嘉……!比奈……!)





ザッ





杏(きらり……!)





ザッ





ザッ



ザッ……





杏「……」



杏(い、行った……よね……?)



杏「……ぐすっ、ひっく。うぅっ……怖かった……」



杏(と、とりあえず、しばらくここでやり過ごさないと……暗くなれば杏を見つけづらくなるだろうし)



                                        

                                           ザッ





杏「……えっ?」

                         ザッ

ザッ



ザッ





杏(な、何で……行ったはずじゃ……どうして戻ってきて)



ズズッ…



P「……お、いたいた」



杏「あ、……あぁ……」



P「杏、見ぃーつけた」



杏「な、何で……」



P「……何でって?変なことを聞くな」



P「分かるに決まってるだろ、2年も一緒にやってきたんだ……お前の逃げこみそうな場所はすぐに分かるよ」



P「悪戯心から、ちょっと見つけられないフリをしてみようと思ってな」



P「さ、疲れたろ?……ほら、アイスだ。食べるといい」



杏「プ、プロデューサー……?杏、もう働きたくないなんて言わないし、これからは仕事もマジメにやるよ……」



杏「だから、それ、食べなくても……」



P「ダメだ」



杏「え……」



P「食べてくれ。全部。……な?」



杏「……い」



杏「いやあああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



杏「ぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」



P「うおっ!?びっくりした」



杏「はぁ、はぁ……あ、あれ?」



P「あ、杏?うなされていたようだが、大丈夫か?」



杏「ひっ、ひぃ!」ビクッ



P「お、おいおい……どんな悪夢を見たのかは知らないが、そんなに引かれるとさすがに傷つくぞ」



杏「えっ、あ、ご、ごめん……」



杏(ゆ、夢……?)



P「ほら、涙で顔がぐしゃぐしゃだぞ。ハンカチ使え」



杏「あ、ありがとう……」



杏(夢……だったんだ……良かった……)



杏「……ぐすっ、ひっく」



P「……随分怖い夢だったんだな。まさか杏が泣くなんて」



杏「そうだよ。夢の中でプロデューサーに追いかけまわされたんだよ」



P「俺が杏を?……大方、杏が仕事しなかったからじゃないのか?」



杏「違うよ!どう考えても食べきれない量のアイスを食べさせようと追い回してくるんだよ」



P「何じゃそりゃ。変な夢だな」



杏「ホントだよ。でも怖かったんだから」



P「ははは。まあ実際に、そんなことをされたら怖いだろうな」



杏「笑いごとじゃないよ……」



P「あ、そうだ。アイスじゃないが、麦茶とトロピカルジュースがあるぞ。気分転換にどうだ?」



杏「うん、喉も渇いたし貰うよ。……じゃあ、トロピカルジュースをくれ」



P「ほら。美味いぞ」



杏「んー、美味しいねぇ。田舎に来てるのにバカンスみたい」チュー



P「杏のために沢山用意したんだ。まだまだあるからなー。どんどん飲めよー」



杏「うん。ありがとうプロデューサー」



杏(……)





杏(あれ、夢の最初の方も、こんな状況だった、ような……)





杏(……考えすぎ、だよね?)







おわり



21:30│双葉杏 
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