2014年08月03日

モバP「ハッピーバースデー、ありす!」

事務所:給湯室





モバP「もずくはダメだ……ン……ドライフルーツ、届いたんだな?ラッピングもOKか、来れない子のカードも?よし、こっちはもうそろそろ上がる……だから、もずくは辞めようぜ」ピッ……トントントントンッ







モバP「……飾りはよし。後は作る、だけ!」





ありす「こんばんわ、Pさん」ガチャッ





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モバP「こんばん……ありす!?」





ありす「今日、休みでしたよね?呼ばれたと思えば……どうしてこうも、事務所が過剰装飾なんです?」





モバP「……rioraってアイドルグループを知ってる?」





ありす「話を逸らさないでくださいっ!」







ありす「……つまり、私の誕生日を、みなさんで祝うつもりだったんですね」





モバP「だったも何も、祝うが」





ありす「……ナイショで準備してるなんて、Pさんは私なんかよりよっぽど子供ですね」





ありす「……でも、感謝はします。本当です」





モバP「ありがとう。仕込みが終わったから……ちひろさん達が来るまで、周りをブラついてきてくれないか?」





ありす「何故ですか?」





モバP「今回お前は祝われる側だ……祝われる側に包丁を持たせるのは、忍びないだろ」





ありす「……そうですか。では、待ってます……」トテトテ……





モバP(どうしようか、背中が煤けてる)





モバP「……アシスタント、頼まれてくれないか?包丁は握らせないけど、混ぜたりするのは手伝って欲しい」





ありす「忍びない云々は?」クルッ





モバP(早っ!?)「あと1時間ってとこだから、料理経験者がいると助かるんだ」





ありす「……Pさんは私がいないとダメなんですから。まったく……始めますよ?」テキパキテキパキ





モバP(手早くエプロンに着替えてるし)「ちひろさん達が来たら、隠れてくれ……向こうもドッキリのつもりなんだー」







数十分後



ありす「お膳とコップ、終わりました」





モバP「お疲れ様。次は、そこの生ハムを加工してくれ」





ありす「わかりました」







ありす(……ハムでクリームチーズを包んで、これを……串で刺して止めます)クルップスックルップスックルップスックルップスッ





ありす(あっ……結構楽しい)クルップスックルップスックルップスックルップスッ







ありす「……終わっちゃった」





モバP「休むか?」グツグツグツグツ……





ありす「冗談じゃありません。他に何かありますか?」





モバP「頼りになるな……次は、サラダを混ぜ合わせてくれるか?仕込んではいる」フツフツフツフツ……







ありす「任せてくださいっっ!!……あ、すみません」





モバP「いや、問題無いぞ」ニヤニヤ





ありす「その顔、やめてください……!」





モバP「善処はする……ふふっ」プッ







ありす(まったく、これだから大人は……何でもかんでも煙に巻いて、のらりくらりと……)





ありす(……作りますか。一口大のタコ、パプリカ、セロリに夏のトマトをボウルに放って、軽く混ぜます)マゼマゼクルクル





ありす(これに塩胡椒、あとはイタリアンドレッシングを加えて完成です)パッパッ、コショコショ、ツー……





ありす(……見事なイタリア国旗色になりました)ガッツポ





ありす「あの、デザートを作りませんか?」





モバP「すまない、もう用意させて貰った」トントン、トントン!











ありす「そうですか」シュン……





モバP(わかりやすい!)「そろそろボンゴレを作るから、少し見てくか?」





ありす「……はい!あさりをとって来ます!」タッタッタッタッタッ……





モバP「塩水入って重いから!急くなよー!?」





ありす「持ってきましたっ」ゼェゼェ





モバP「……お疲れ様だ。アーリオオーリオのソースはもう作ったから、あさりをザルにあけてから入れる」ザァーッ……ゴトゴトゴトゴト!ジュアッー!





ありす「今更ですけど、事務所でにんにく食べていいんですか?」





モバP「ファブリーズがある。煮立ったボウルで、1.9mmを10分茹でる」ギュギュッ……バァッ!







ありす「毎回気になってたんですけど、どうしてパスタを捻って入れるんですか?」





モバP「こうすると、パスタが放射状に入るんだ。覗いてみろ」グツグツグツグツ……





ありす「あっ、本当だ」







モバP「後は は、あさりに白ワインをかけて酒蒸しにして……そろそろ来ると思うし、隠れて来てくれ」ジュッ……ジャアァァァァァ!





ありす「わかりました」





モバP「助かる……ン?」







ありす「……」ジー……





モバP「……ソースに何かいるのか?」





ありす「あっ、いえ、なんでもありません……呼んでくださいね?」





モバP「もちろんだ」







数分後

事務所:玄関



光「ただいまー!……おおっ、あれ食ってもいいかな!?」





ちひろ「気が早いわよ?Pさん、プレゼントとカード、準備しましたー!」





モバP「おかえりなさい!手を洗ったら、クラッカー用意してください!料理はもう盛りました!」





ちひろ「あとはありすちゃんを待つばかり……ですね!」





光「でも、喜んでくれるかな……橘ちゃんって、『ドッキリなんて子どもっぽさが過ぎます』くらいは言いそうだし」





モバP「そこまで言っておきながら、出された料理全部食べちゃうのもありすらしくないか?」





光「あははっ、そうかも!」





モバP(準備が終わるのは三分程度だろうか。ありすにメールを送ろう)スッスッ







同時刻

事務所:裏口





ありす「あ、メールだ……」





ありす「……よく考えなくても、バカみたいですよね。いい年をした大人二人が、必死になってドッキリなんかするんですから」





ありす「私は誕生日で喜ぶほど子どもでもなければ、ドッキリなんかに驚くほど幼稚でもないのに……」







ありす「……前の誕生日、いつだったっけ」







事務所:玄関



ありす「……戻りま、こんばん……」ガチャッ





パァン!パンパァン!





光 ちひろ モバP「ハッピーバースデイ、橘ありす!」





ありす「あっ……」





ありす「あっ……うぁぁっ」……ポロポロポロポロ……ブワァッ





光「泣くほど感動してくれた!?それとも、何か悪いことがあったのか!?」アセアセ





ありす「両方……いえ、トウガラシの香りが強過ぎます。目に染みますよ」ポロポロポロポロ……





モバP(量は変えてないはずなんだが……)





モバP「ああ、すまない」





ちひろ「ありすちゃん、手洗いを済ませて、食べましょう?ちょうどいい塩梅に仕上がったから」





ありす「……はいっ!」グスッ







事務所:休憩室「簡易パーティ会場」



ありす(この後は、みんなでご飯を食べて、プレゼントを貰って……Pさんの料理は男性の料理です、私が目を離した隙に、塩を多く使ったんでしょう……そうです、絶対にそうです)





ありす(……いつか、私も。暖かい料理を振る舞える人になれるんでしょうか)





モバP「ケーキをご覧じろ……じゃんっ、だ!」





光「おおっ!イチゴのタルトだ!」





モバP「贅沢だろ?さ、これにローソクを建ててだな……」





ちひろ「あの、これ何処に刺せるんですかね?」ギッチリ





モバP「……あっ」



おわり





おまけ



デデデデッデーデーデデデデンッ!

濃い人たち



モバP「食休みもしたところで。ありす宛のカードにファンレター……読みまくるぞ!」





ちひろ「いえーい、ですね!」





ありす「二人とも、はしゃぎすぎです……」





光「橘ちゃんは嬉しく無いのか?」





ありす「そんな事は、無いです……一枚目。『私を導いてくれ』?」





モバP「何だそりゃ?社内からも色々来てるぞ」





光「『時代はアイドルの癒しを求めているのだ』、『キミが齢を重ねて、より広いセカイに触れる事を静かに祈ってるよ』、『ヘーイ!』……いろんな所から、たくさんだな!」





ちひろ(『バストの形を見せるんだよ』……検閲ミスね、見せられないわ……)ビリビリ







おまけ



デデデデッデーデーデデデデンッ!

ショパンの亡霊



光「コジョデェショボリャファファン、アエデェシュジョグリンジシュビリェ!」つフルーツバスケット





ちひろ「光ちゃんは、何を言ってるんですか?」







モバP「さぁ?プレゼント渡すらしいですね」





ありす「……えっと、バスケットの飾りももらっていいんですよね?このアクセサリー」





光「うん!ベルトが無くても、装身具としてかっこいいと思うし……きっと似合うよ!」





ありす「ベルト?確かにイチゴの南京錠というのは、おしゃれだと思いますが……拝見しますね」バサッ





ありす「……ふわぁ……」キラキラキラキラ





光「題して、極フルーツバスケット!イチゴのドライフルーツは、徳島のメーカーから送ってもらったんだ!」





ありす「……ありがとうございます!今度これでお菓子を作りますので、南条さんも一緒に食べましょう!」





光「うおおおっ!橘ちゃんの料理を、そう言えば食べた事ないし……楽しみにしてるねっ」





ちひろ「うっ、頭が……」





モバP「そう言わないっ!……俺のとちひろさんのも、渡すぞ?」つプレゼント





ありす「Pさん、ちひろさん……ありがとうございます!」





モバP「この場で開けちゃってくれ」





ありす「では……タブレットのケース、ですか?」ビリリリ……







光「もしかしてこれ、手作り!?」





モバP「クッション封筒って言うのを使ってな、ちょちょいとこしらえてみたんだ」





ちひろ「イチゴのフェルトに、味がありますね」





モバP「よしてくださいよ、もう」





ありす「……大事に使わせていただきます!あと、ちひろさんのは……」ビリリリ……





ありす「髪飾り?花の形で……素敵です」







光「んと、キャミールって読むの、これ?」





モバP「うーん、フランス語なのか?」





ちひろ「ありすちゃん、今着けてもらってもいい?」





ありす「……はい。似合い、ますかね?」シュルッ、ゴソ……





ちひろ「うん、花の妖精さんみたいですよ!」





モバP「良く似合ってる。妖精か……いける!」





ありす「そ、そんなに言われても……えへへ」テレッ





光(なんだかんだ、橘ちゃんは子供心を持ってるなあ)







デデデデッデーデーデデデデンッ

ベリーの鼓動





モバP「ところで光、ドライフルーツの予備があったりしないか?」





光「うん、事務所に渡す奴もあるけど……どうするんだ?」





モバP「いや、食後のお茶を沸かそうとな」







光「いいね!シュシュっとスパークなやつお願いね……はいこれ!」





モバP「任された。沸かしてくる」スタスタスタスタ





ありす「……プレゼント、本当にありがとうございますね。南条さん」







光「いいよ。橘ちゃんが喜んでくれて、アタシも幸せだよ!」





ありす「……そう言えば、南条さんって、私の事を最初から橘って呼んでましたね」





光「そう言えば確かに……かっこいい名前だよね、橘って!」







ありす「……そうですか?あんまり意識したこと無くって」





光「うーん、橘って苗字で尊敬してる人がいてさ、そのせいかも……」





ありす「どんな人ですか?」





光「んと……勘違いで苦しんだり、忠告した事が全部自分に帰って来たり。ちょっぴり悪食だったりするし、抜けてるところもある人だな」





ありす「かっこいいって、言うんですかそれ?」





光「……うん!不安定だし、人の話を聞きすぎる人だけど」





光「でも、誰かの為にずっと頑張り続ける姿は、やっぱり、かっこいいヒーローだと思う!」





ありす「ヒーロー、ですか……」





光「橘ちゃんから、何処かそんなかっこよさを感じたんだ……だから、橘ちゃんなんだ!」





ありす「……でも、私はそんな仰々しいものではありません。だから……その」





光「?」









ありす「南条さん。私の事を、ありすと呼んでくれますか?」





光「……やだ」





ありす「えっ……?」







光「だって、まだ橘ちゃんには、光って呼んでもらえてないから!」





ありす「……確かに、それはフェアーではありませんね」





光「それじゃ、つまり?」





ありす「はい。南条さん改めまして……」









ありす「ひ、光ちゃん!」



光「……あれっ?」





ありす「あの、何か間違えていましたか?」←身長141cm今日より13歳





光「う、うーん、いいのかな?いいんだよね?あれっ?」←140cm 14歳





モバP「……お茶が出来たぞ。王林キウイオレンジイチゴ全部のせの大・大・大・大・大豪遊なフルーツティーを……ちひろさん、何か?」





ちひろ「うふふ、ありすちゃんがですね、自分から名前で呼んでくれって、光ちゃんに言ったんですよ♪」





モバP「……なんて事だ。明日は空が落ちてくるな」





ちひろ「……そう言わないっ!」



おわり



08:30│橘ありす 
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