2014年08月03日

響「17センチ」


響「ねえ、貴音」



貴音「はい?」





響「貴音の身長って169センチだよな」



貴音「ええ、そうですよ」



響「うーん、17センチか」



貴音「17センチ?」





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響「あー、えっと……自分、152センチだから」



貴音「なるほど。身長差ですか」



響「うう……あんま言わないで」



貴音「すみません。ですが……響は、何か気にしているのですか?」



響「そりゃ気にするぞ、自分チビだし」





貴音「魅力的ではありませんか。小さくて可愛いというのは」



響「可愛いかなぁ、ただ憎たらしいだけだよ……」



貴音「……はて」



響「どうせ自分なんか沖縄ってあだ名で呼ばれてるんだぞ……」



貴音「響、らしくありませんね」





響「……新しいユニットの企画書、たまたま見ちゃったんだ」



貴音「ユニット?」



響「うん。自分とやよいと真美の3人で」



貴音「良いではないですか、響にも合っていると思いますよ」



響「自分、フェアリーを優先したくて……。それに、ユニット名が」



貴音「どのような名前なのですか?」





響「……み」



貴音「み?」



響「『ミニミニナムコエンジェル』」



貴音「そ、それは……」



響「ダサいとかダサくないとか、それ以前に『ミニミニ』っていうのが嫌で……」





貴音「なるほど、普段から気にしているのに企画書が拍車をかけたということですか」



響「未だに映画館とかボウリング場で中学生に間違われるし……ああ……」



貴音「小さいというのは、決して悪いことばかりではないと思いますよ?」



響「……貴音が言っても説得力無いぞ」



貴音「わたくしでも、身長が高いことを憂う時があります」



響「なんで? 大きいと便利じゃないか」





貴音「着られる服が限定されますし、大人びて見られてしまいます」



響「貴音は大人びてるでしょ?」



貴音「……わたくしも、春香や美希のようにプロデューサーに甘えたいと思うことがあるのですよ」



響「そう……なのか?」



貴音「ええ。身長が高いからといって、良いことばかりではありません」





響「で、でも……やっぱり身長が低いほうがイヤだぞ」



貴音「そうですか……」



響「ミニミニとか言われるし、本屋さんで高い所に置いてあるラノベ取れないし」



貴音「……」



響「満員電車だと頭が埋もれて怪我しそうになるし、大きめのTシャツを着るとワンピースみたいになって」





貴音「……苦労しているのですね」



響「ごめん、なんか愚痴みたいになっちゃったね」



貴音「いえ……安易に励まそうとしたわたくしも、反省しなければなりません」



響「貴音は全然悪くないんだ。自己嫌悪しないで」



貴音「……そうです、響」



響「え? 何?」





貴音「少し、立ち上がっていただけますか」スッ



響「う、うん……」スック



貴音「差は17センチ、ですね」



響「そうだけど……?」



貴音「響、動かないでくださいね」





響「ねえ貴音、さっきから何を――っ!?」



貴音「ふふっ」



響「は、はわわ……な、な、なっ」



貴音「……くちづけに一番適した身長差は、15センチだそうですよ?」



響「うぎゃー! 急にキスすることないでしょー!?」





貴音「お、驚かせてしまいました……すみません」



響「キスしたことを怒ってるんじゃなくて! その……自分も、いきなりだとビックリするぞ」



貴音「えっ?」



響「貴音、お姫様抱っこ出来る?」



貴音「え、ええ」





響「自分のこと、お姫様抱っこしてくれないか?」



貴音「分かりました」



響「……手、震えてない?」



貴音「なにぶん、初めてなもので……色々と」



響「大丈夫大丈夫! 貴音ぐらい身長が高かったら簡単さー!」





貴音「どう……ですか? ちゃんと持ち上げられていますか?」



響「うんうん、カンペキ! じゃあ貴音、ちょっと動くぞ」



貴音「はい――ッ!?」



響「自分からの仕返し! 身長差があっても、これなら出来るよね」



貴音「ひ……ひび、き……」



響「あれ、されるのは慣れてないの?」





貴音「初めてなもので……響も慣れていなかったではないですか」



響「自分は心の準備がまだだったの! 貴音はなんとなく分かってたんじゃないか?」



貴音「わ、分かってはいましたが……その、実際にされるのは」



響「よっ、と。照れた貴音なんて初めて見たよ」



貴音「あっ……」





響「それにしても……着地してみたら、やっぱり17センチって大きいんだな」



貴音「美希の身長は丁度良いですね」



響「うん、間を取ったぐらいの身長になりたい」



貴音「やはり、今の身長は不便ですか?」



響「そりゃ、不便だけど……お姫様抱っこをしてもらうのに、身長が高過ぎるのもバランスが悪いし」





響「やっぱり、今のままでいいかな。自分から貴音にキスは出来ないけど」



貴音「……こうしてしゃがめば、くちづけ出来ますか?」



響「うん……ほっぺたが近くなった」



貴音「ふふっ」



響「えへへ」





貴音「響の元気が出たようで、安心しました」



響「ありがとな、貴音。ちょっと元気出た」



貴音「このような励ましで良かったのか、分かりませんが……それなら、良かったです」



響「ねぇ、貴音」



貴音「はい?」





響「時々でいいからさ、自分の元気がなくなったらキスしても良い?」



貴音「……ええ。それで響が喜ぶのであれば」



響「えへへ、サンキュ。あー、でも2センチ……」



貴音「2センチ?」



響「キスするのに理想の身長差は15センチなんでしょ?」



貴音「ええ」



響「それだったら自分、あと2センチ伸びなきゃ……ああ……」





貴音「ひ、響っ、元気を出してください!」



響「2センチって結構大きいんだよね……」



貴音「わたくしが2センチ縮めば問題無いのでしょう?」



響「縮めるわけないぞ!」



貴音「響のためならば……!」



響「うわああっ、貴音やめて! やめてったら!」



おわり



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