2013年11月14日

P「事務所の駐車場にゴツい4WDが止まってる」

律子「それで、怒られるかもとは思いつつも教習所に通っていた、と」

あずさ「……そうなんです」

P「……まぁ、もう取っちゃったもんはしょうがないですけどね」


P「でも、筋金入りの方向音痴のあずささんがよく免許取れましたね……」

あずさ「あっ、ヒドいですプロデューサーさん! ……そりゃ、自覚はしていますけど」

律子「その点に関しては私も気になったんで、さっき聞いてみたんですよ。そしたら……」
---

【教習所】

教官「えーと、三浦さんだね。それじゃ乗って」

あずさ「はい〜、よろしくお願いします」 ペコリ

教官「まぁ、今日が初めての運転だと思うけど、教わった通りにすれば車ってのは走ってくれるから」

あずさ「が、頑張りますっ!」

教官「まぁ、肩の力を抜いて、ね……それにしても、どっかで聞いたことある声だね」

あずさ「あ、あはは……気のせいじゃないでしょうか?」 アセアセ
教官「それじゃ、最初はゆっくりでいいから外周をグルッと回ってみようか」

あずさ「は、はい」

ブルルン ブロロロ…

教官「ちょ、ちょっとストップ!」 キキーッ

あずさ「きゃっ!? ど、どうしたんですか教官さん?」

教官「どうした、はこっちのセリフですよ! なんでいきなり教習所の外に出ようとするんですか!?」

あずさ「あ、あら〜?」

教官「私もン十年教官してるけど、初回の運転から外に出ようとするのは三浦さんが初めてですよ!?」

あずさ「ご、ごめんなさい……」

---
あずさ「……と、そんな具合に教官さんには何度もブレーキを踏まれまして」

P「あぁ、そういえば教習車の助手席ってブレーキが付いてたんでしたっけ」

律子「あずささんがあらぬ方向に行こうとすると、すかさずブレーキを踏んでくれたそうです」

P「そのおかげで迷子になるところを未然に防げた、と」

あずさ「路上教習の時は本当に大変でした」

P「今度その教官さんに頭を下げに行った方がいいかもしれないなぁ」
P「でも、免許取り立てであんなゴツい4WDなんて乗ったら危ないですよ」

あずさ「……実は、最初は両親からのお下がりの車に乗ってたんです」

P「へ? その車はどうしたんです?」

あずさ「それが……前回のオフの時にも事務所に行こうとしたんです、その車で」

あずさ「でも、気がついたら舗装されてない道を走ってて……」

P「何をどうしたらそんなオフロードに迷い込めるんですか……」

律子「そこでタイヤをダメにしたり、車を傷だらけにしちゃったみたいなんです」

P「……で、そんな悪路にも強そうな車に替えたわけですか」

あずさ「はい」
P「カーナビとか付けなかったんですか?」

あずさ「付いているんですけど……どうも使い方が分からなくて」

P「う〜ん……しかし、それでよく今日は事務所に辿りつけましたね」

律子「昨日は仕事から帰ってすぐに車を出したそうなんです」

P「え? まさかの徹夜ドライブ?」

あずさ「も、もちろん途中で仮眠は取りましたよ?」

P「それで事務所に着くのに何時間かかったんです……?」

あずさ「え、え〜と……どれくらいでしょう?」

律子「初心者が深夜の長距離ドライブ、それも教習車と勝手が違う車で」

律子「事故が起きなくて本っ当によかったですよ……」
P「それで……今後はどうするんです?」

P「このまま運転免許をただの身分証明書と割り切れるのなら話は別ですけど」

律子「私たちに隠れてこっそり免許取って、オフに事務所までドライブしようとするくらいですから……」

あずさ「私、運転ってそんなに嫌いじゃないんです」

あずさ「むしろ、今はハンドルを握るのが楽しくて……」

P「この分だと、下手に運転を禁止してもこっそり車に乗りかねないですね」

律子「さすがに免許証を没収するわけにもいきませんからね……」
律子「……そうなれば、事故のリスクを減らす手段はただ一つ」

あずさ「な、なんでしょう……?」

律子「あずささんに、とにかく運転を上手になってもらうってことですか」

P「……そう言うのは簡単だが、どうするんだ?」

律子「事務所で免許持ってる人が同乗して、教官役になるんですよ」

律子「教習所の教官程とはいきませんけど、自分たちの経験則から教えられることはあるはずです」

律子「その代わり、しばらくの間は一人で運転するのは禁止……上手くなるまでは我慢してもらいます」

P「う〜ん……そうするしかないのか?」

律子「私たちのあずかり知らぬところでなにかあってからじゃ遅いですから」

律子「あずささんもいい大人なんですから、ここで妥協してくれませんか?」
あずさ「……分かりました。誰かを乗せるのはちょっと緊張しますけど」

あずさ「しばらくの間はご迷惑をおかけしますね」

P「まぁ、万一の場合に被る迷惑を考えたらそれくらい安いもんですよ」

律子「……そうなると、早速今日の帰りから、ということになりますが……」

P「困ったな……俺は外回りにみんなの送迎もあるし……」

律子「竜宮はオフですけど、私には大事な打ち合わせがありますからね」

あずさ「あらあら……それじゃ、お二人のどちらかが戻るまで事務所で待っていた方がいいかしら?」
P「……いや、確か今日はオフの人がいたはずだ」

律子「あぁ……そういえば。それじゃあ、あの人に犠牲になってもらいましょうか」

P「あぁ、実験台みたいなもんだな」

あずさ「……二人とも酷いですっ」 プクー

P「それじゃ早速……」 ポパピプペー

P「あぁもしもし……お休みのところすいません、実は……」
---

小鳥「……それで、あたしが呼び出された、ということですか?」

あずさ「すみません音無さん、よろしくお願いします」 ペコリ

小鳥「いや、でもあたしだってプロデューサーさんや律子さんほど頻繁に運転してるわけじゃ……」

P「それでも、免許取り立てのあずささんよりは経験があるじゃないですか」

律子「オフの埋め合わせは何らかの形でしますから……」

あずさ「ご迷惑をおかけします……」 ペコリ

小鳥「うぅ……そんな、あずささんに何度も頭下げられて断れるはずがないじゃないですか」
律子「小鳥さん、カーナビは使えますか?」

小鳥「たぶん……大丈夫だと思うけど」

P「もし何かあったら携帯に連絡入れてください。最悪の事態には、仕事抜け出して駆けつけますから」

小鳥「そんな事態が無いことを願ってます……」

あずさ「それじゃあ、逝きましょうか」

小鳥「待って!? イントネーション同じだけど、変換がおかしくなかったですか!?」

律子「……二人とも明日無事に会えることを祈ってます」

小鳥「も、もしあたしに万一のことがあったら、その時は家と事務所のPCのHDDを叩き割ってくださ……」

P「縁起でもないこと言わないでくださいよ……ほら、あずささんが待ってますよ?」

小鳥「あたし……このドライブから帰ったら結婚するんだ」

律子「誰とですか……変なフラグを立てないで早く行ってください」
---

【翌日】

小鳥「」

律子「生きては帰って来たけど……」

P「なんだか燃え尽きてるじゃないですか……音無さん、大丈夫ですか?」

小鳥「カーナビさえ動けば迷うことはない……そう考えていた時代があたしにもありました」

P「……何があったんです?」
---

小鳥「ここをこうすれば……」

ポンッ

ナビ「おはようございます ○月×日、△曜日です」

あずさ「あっ、動きましたね。音無さん、ありがとうございます」

小鳥「いーえ、これくらいならなんとか。それじゃ、目的地をあずささんの住所に……っと」

ナビ「ルート案内を開始します 安全運転でいきましょう」

あずさ「は〜い」 ブロロロ…
ポンッ

ナビ「この先700m □☆一丁目交差点を右折です」

あずさ「え、え〜と……う、右折ですね?」 アセアセ

小鳥「そ、そこまで緊張しなくていいですからね?」

ポンッ

ナビ「間もなく右折です」

あずさ「ま、間もなく……? え、え〜と……?」 アタフタ

小鳥「あ、ああっ! 目的の交差点を過ぎちゃいましたよ!?」

あずさ「ご、ごめんなさい〜」
小鳥「こ、こういう時でもすぐにナビが新しい経路を探し……」

あずさ「み、右に曲がらないと……」 カッチ カッチ

小鳥「あ、あずささん? そんなに焦らなくても……」

あずさ「も、もう一回くらい曲がった方がいいかしら……?」

小鳥「あぁ……もうパニックになってるわ!?」
---

小鳥「それからも、ナビが新たなルートを探し出す前にあずささんはハンドルを切り続けました」

律子「なんとかして元のルートに戻ろうとしたんでしょうね……」

P「結果的に傷口が拡大しちゃったようですが」

小鳥「……気がついたらどこかの海岸に着いてました」

P「さすがすぎるよ、あずささん……」

律子「小鳥さんもよく帰って来られましたね……」

小鳥「帰りはあたしが運転しましたから……慣れない車ですっごく怖かったですけど」
小鳥「……というわけでこれ、お土産の干物です」

律子「あ、すいません……わざわざどうもありがとうございます」

P「さっそく今夜にでもいただこうかな」

小鳥「それにしても……これは前途多難な道のりですね」

律子「やっぱり、まだそんなに運転は上手くないんですか?」

小鳥「う〜ん……どうですかね? 最初のうちはみんな同じくらいだと思いますよ」

P「とりあえず、ハンドルを握ったら人格が変わるわけじゃないことに安心しました」
小鳥「むしろ、運転スタイルは普段の温厚なあずささんそのものです」

小鳥「アクセルの踏み方からブレーキのかけ方まで優しかったですし」

小鳥「そのあたりは覚えたてでいつも以上に慎重になっている、というのもあるかもしれませんが」

P「……となると、問題なのは」

小鳥「やっぱり、生来の方向音痴、でしょうか……」

小鳥「ナビの指示に焦ってしまうのも、何百m先とか、間もなくとかの感覚が掴めていないからかもしれませんし」

P「だとすると、問題の根っこは相当深いですね……」

律子「それが治せるものならとっくに治してますよ」

P「だよな」
P「方向音痴はともかく、なんとか運転には早く慣れてもらわないとなぁ」

律子「とりあえず、しばらくはオフを使って特訓、ですね」

P「だな。そうなると、次にあずささんとオフが被る免許持ちは……」

小鳥「え〜と……プロデューサーさんですね」

P「俺か……大丈夫かな」

律子「……変なことしないでくださいね?」

P「分かってるよ」
---

【一週間後】

あずさ「プロデューサーさん、すみません……わざわざ家まで来ていただいて」

P「いえ、気にしないでくださいよ……それにあずささんが俺の家まで来ようとしたらそれで一日潰れそうですし」

あずさ「うぅ……プロデューサーさんの意地悪ぅ」 プクー

P「冗談、冗談ですよ。それじゃ、早速行きましょうか」

あずさ「どこへ行くんですか?」

P「まずは近場で慣れましょう。隣町にオープンしたショッピングモールあたりどうです?」

あずさ「わ、分かりました」
あずさ「それじゃ、初心者マークを貼って……と」 ペタリ

P「このゴツいボディに若葉マークってのはなかなかシュールな画ですよね」

あずさ「は、早くそれが取れるように頑張りますから///」

あずさ「それじゃ、ちゃんとシートベルト締めてくださいね」

P「えぇ、分かってま……!?」

P(こ、これは……!?)

P(シートベルトがあずささんの胸の間をクロスして……その立派な双丘をクッキリと浮き立たせている……だと……?)

P(俺があずささんを送迎してた時は運転に集中してたから気付かなかったが……)

P(こんな絶景がこの世に存在したとは……!)
P(ちょっと待て……ってことは教習所の教官はこれを何度も何度も拝んでた、ってことか……?)

P(け、けしからん! 実にけしからんぞ!)

あずさ「うふふ……ま、まるでこれじゃドライブデートですね、プロデューサーさん……?」

P(くっそ! 爆ぜろ! 教官爆ぜろ!)

あずさ「……プロデューサーさん?」

P「……ん? あ、ああごめんなさい、あずささん……少しボーっとしてまして……何か言いましたか?」

あずさ「も、もぅっ! 何も言ってません!」 ブルルン
ブロロロ…

P(なるほど、確かに小鳥さんの言うとおりだ)

P(運転そのものは別に荒いってわけじゃないし、ハンドルさばきもふらついているわけじゃない)

P(いい意味で緊張感を保って運転してるから、この感覚を忘れなければよさそうなんだが……)

あずさ「あ、あら〜? ま、また同じところに出ちゃいましたね」

P(まさか、あずささんちから大通りに出るまでに三十分以上かかるとは……)

P(改めて思う、あずささんってスゴい)
明日は仕事があって朝もちょっと早いので今日はここまでにします
続きは仕事から帰ってきてからにします
日付跨いじゃいましたが再開します
ププー パパー

あずさ「あらあら〜、道が混んでますね」

P「GWだから仕方ないですよ。たぶん目指すショッピングモールが渋滞の先頭ですよ」

あずさ「駐車場、止められるかしら」

P(あずささんには悪いがこの展開は想定済みだ……)

P(さすがのあずささんでも渋滞に巻き込まれながら道に迷うのは不可能っ……!)

P(このまま前の車についていけば、必然的に目的地に着くはず……!)

P(ついでに渋滞に巻き込まれる経験も出来るしまさに一石二鳥だ)

P(これが俺が業界で鍛え上げたプロデュース力を結集した秘策……!)





あずさ「あっ、こっちの脇道空いてますよ」

P「えっ」
P「ちょちょちょ、ちょっと待ってくださいあずささん!」

P「そんな急がなくたってショッピングモールは逃げませんから!」

あずさ「でも……折角なら少しでも早く着いた方がいいじゃないですか」

あずさ「大丈夫ですって、大体の方向は分かりますし」

P「あずささんがそれを言っても説得力が……」

あずさ「いいんですっ! たまには私を信じてくださいっ!」 ハンドルクルー

P「いやあああああっ!?」
【数分後】

あずさ「あ、あら〜? ここはどこかしら?」

P「だから言ったじゃないですかあっ!?」

P「えぇい、こうなったらカーナビ頼みだ……えーと、隣町のショッピングモール、っと……」

ポンッ

ナビ「該当する施設は存在しません」

P「えっ」

あずさ「あ……もしかしてこの車もナビも中古だからじゃないですか……?」

P「くっ……つまりショッピングモールが出来る前のナビだから案内できない、ってことか……!」
P「と、とりあえず落ち着いてくださいあずささん」

P「ショッピングモールはダメでも近くの住所さえ指定すればある程度は……」

あずさ「こっちの道かしらね〜?」

P「言ってるそばからハンドルを切らないでくだ……!」



高速道路入口「やあ」

P「」
P「ス、ストップ! 止まってくださいあずささん!」

あずさ「え、ええっと……止まれって言われましても……後ろにも何台も車が続いていて……」

P「ぐぐっ……これじゃUターンしようにも、一旦止めて運転変わるのも厳しい……」

P「……ちなみに、あずささん……高速を運転した経験は……」

あずさ「あ、ありませんけど……」

P「きょ、教習所で高速教習とかやらなかったんですか?」

あずさ「私の行ったところはシミュレーターだったので……」

P「いやあああああ! おうち帰るううううう!」
P「……こうなったら逆に考えよう」

P「高速道路にはあずささんを誘うような脇道なんてものは存在しない……!」

P「遠くには行っちゃうかもしれないが、すぐに高速に乗り直して戻ってくれば……!」

あずさ「ぷ、プロデューサーさん……?」

P「どうしました、あずささん?」

あずさ「そ、その……合流のタイミングがうまく計れなくて……」

P「わーっ! わーっ! 合流車線が残り少ないですよっ!?」
P「高速に乗るだけでこんなに寿命が縮まるなんて思いませんでした」

あずさ「うぅ……ごめんなさい」

P「と、とりあえず次のインターですぐに降りましょう。そうすればまだ傷は浅く済むはずです」

あずさ「わ、分かりました……こ、ここかしら?」 ハンドルグイー

P「ち、違いますよあずささん!? そこはパーキングエリアですっ!」
P「いや、逆にこれはチャンスじゃないか?」

P「ここで休憩も兼ねて一旦車を止めれば、あずささんと運転を代われるはず」

P「そうすればこれ以上迷うことは……」

あずさ「GWだからか、パーキングもいっぱいですね〜」

あずさ「あら、こっちにも道がありますね」



スマートIC「やあ」

P「ああもうっ! 余計な機能をつけやがって!」
あずさ「ちょっと高速を走っただけなのに、ずいぶん周りの景色が変わっちゃいましたね〜」

あずさ「田植えの風景に生い茂る木々、そして川のせせらぎ……」

あずさ「なんだかのどかですね〜」

P「もう俺は諦めました……どこへなりとも連れてってください……」

あずさ「分かりました、それじゃこっちへ……と」 ハンドルクルー

ガタガタ

P「あ、もう見るからに山道だし、見るからに悪路だし……」
ガタガタ ゴットン

あずさ「今、どのあたりにいるんでしょうね〜」

P「カーナビは……ダメだ、道なき道を走ってることになってます」

P「どうするんです? この道がもし行き止まりだったら……」

P「こんなゴツい車じゃ、この狭い道を切り返してUターンなんて出来ないですよ?」

P「かといって、ずっとバックして戻るわけにもいかないでしょうし……」

あずさ「あ、なんだか視界が開けてきましたよ?」
P「ホントだ……よし、ここでUターンするか、運転を代われればいいんですが……」

P「……って、なんなんですかここは……辺り一面岩と石だらけじゃないですか」

ガタン ゴトン ガタン ゴトン

あずさ「さ、さすがに揺れますね〜」 ドタプーン

P(ああっ! 車の振動に合わせてあずささんの胸も揺れてる!)

P(天国はここにあった、ってことか……?)





どかーん

P「!?」

あずさ「きゃあっ!?」
P「な、何だ今の音は!?」

あずさ「ど、どこにもぶつけたわけじゃないですよ?」



どかーん

P「また!?」

あずさ「ぷ、プロデューサーさん! あ、あっちから火柱が!」

P「え? なに? 紛争地帯? いつの間に国境とか超えちゃったの!?」
P「ま、まさか俺たちは迷い込んでしまったのか……? 日本最後の秘境……グンマーに!?」

あずさ「ど、どういうことですか……?」

P「あずささん、気を付けてください……奴らに見つかったら一巻の終わりです……」

あずさ「そ……そんなにここは危険なところなんですか?」

P「ええ、なにせグンマーは……」

どかーん

あずさ「きゃあっ!? もうイヤですっ!」

P「と、とにかくこんな危ないところからは早く逃げましょう!」

あずさ「は、はいっ!」





??「カーット! カットカットカット!!」

P「え?」
あずさ「い、今誰かの声がしませんでしたか?」

P「あずささんも聞こえましたか? じゃあ空耳じゃないみたいですね……」

P「もしかしたらもう俺たちは見つかったのかもしれないです……!」

あずさ「見つかった、って……」

P「決まってるじゃないですか……そう、グン……」



コンコン

??「ちょっとちょっと〜! 困るよ〜! 誰だか知らないけど!」

P「に、日本語?」
あずさ「あ、あの〜……どちらさまでしょう?」 ウィーン

P「あずささんっ! そんな不用意に窓を開けちゃ……」

??「どちらさまはこっちのセリフだよ、もう!」

監督「せっかく戦隊ものの撮影をしていたのに、おたくの車が爆発の後ろで見切れちゃってNGだよ!」

P「戦隊ものの……撮影?」
監督「まったく、今日は制作会社のお偉いさんも見に来てるのに台無しだよ!」 プンプン

P「す、すみません! ちょっと道に迷ってしまってつい……」

あずさ「ご、ごめんなさ……」

監督「謝って済むなら警察はいらないんだよ! まったくどうしてくれ……ってあれ?」

監督「もしかして……あの竜宮小町の三浦あずさちゃん?」

あずさ「は、はい……そうですけど」
監督「うわ、すげえよ本物だよ……あ、あの〜……握手してください」

あずさ「あ……はい」 ギュッ

監督「うおお、どうもありがとう! いつもうちの娘がテレビで見てますよ!」

あずさ「あらあら〜、どうもありがとうございます」

監督「伊織ちゃんも亜美ちゃんも可愛いけど、あずさちゃんが一番綺麗だって言ってますよ!」

あずさ「うふふ、嬉しいです」

P「え? 何この流れ?」
??「お〜い、監督。どうしたんだね? 話はついたのかね?」

監督「あっ、社長! いや実はかくかくしかじか……」

制作会社社長「シカクイムーヴ、というわけかね?」

P「いや、どう見てもごっつい4WD車なんですが……」

制作会社社長「……で? そんな人気絶頂のアイドルがこんな採石場に何の用だね?」

あずさ「ええっと……実はその……道に迷いまして」

監督「迷うったって、普通はこんなとこ来ないでしょ」

P「ですよね」
あずさ「うぅ……でも私……初心者でして」

監督「うわホントだ、若葉マークついてるよ」

制作会社社長「逆に初心者がよくここまで来られたもんだと感心するよ」

監督「ところで? 隣の人はもしかしてあずさちゃんの彼氏?」

あずさ「えっ?」

P「ちっ、違います! おr……私は、三浦の所属事務所のスタッフでして……あ、これ名刺です」

監督「765プロ、プロデューサー・P……あぁ、噂には聞いたことあるね」

制作会社社長「まだ若いというのに、担当したアイドルを次々開花させてるという新進気鋭の男とね」
制作会社社長「ふむ……ピーンと来たぞ!」

監督「ど、どうしたんですか社長?」

P「え? この国の社長って、ピーンと来るのが必須スキルなんですか?」

制作会社社長「ここで会ったのも何かの縁だよ、監督! ぜひあずさちゃんをウチの番組に起用しようじゃないか!」

あずさ「ええっ!?」

監督「し、しかし、今撮影しているのはもう配役も決まっていますし、残りの話数にも新キャラをねじ込む余裕は……」

制作会社社長「今期がダメなら次期でもいいではないか!」

制作会社社長「今を時めく竜宮小町のメンバーが出演となれば、話題沸騰間違いなし!」

制作会社社長「大きなお友達も食いついてくれれば、関連グッズの売り上げだっていつも以上を期待できるんだよ!」

あずさ「は、はぁ……」

P「どうしてこうなった」
---

P「……というわけで」

アイドル一同「あずささん、戦隊シリーズ新作出演おめでとー!!」 パチパチ

あずさ「どうもありがとう〜」

小鳥「こっそり取った運転免許と、根っからの方向音痴がまさかビッグビジネスにつながるなんて……」

律子「起用の経緯を知った自動車会社から、軽自動車のCMのオファーまで来てますよ……」
小鳥「ただ、そのせいでスケジュールはさらにギッチギチになりましたからね……」

律子「当分はドライブに出かけるような暇も無さそうですね」

P「まぁ、それが良かったんだか悪かったんだか……」



貴音「……ところであずさ」

あずさ「あら? どうしたの貴音ちゃん?」

貴音「その……どらいぶ、というものは楽しいのでしょうか?」

あずさ「ええ! そりゃもう楽しいわよ」

貴音「ふむ……」



P「……数週間後、今度は貴音が免許を取ったと宣言し、ひと騒動を起こしたのは別の話だ」

 おわれ
GWの渋滞のニュースを見て突発的に作った 反省はしていない
今日の夜にでもHTML申請出しときます それではまた

07:54│三浦あずさ 
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