2013年11月14日

春香「さよならをありがとう」

注※今回初めてSSを投稿します。(そもそも2ch自体初めて)
設定が滅茶苦茶です
1.アニマスの設定を少々引き継いでる
2.中の人のネタも・・・(大腸のj(ry)ゲフンゲフン)
某携帯小説の映画に感化されてノリで作りました。


自分はアイマス2から入った為、年齢等は2仕様です。
くさい内容ですが僕の自己満に良かったらお付き合い下さい。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1358257847

ある春の夜...

カタカタカタ

ッターン!

P「・・・ふぅ」

P「今日の仕事も終わりだ〜!」ノビー

P「最近は書類とか多くてほぼ毎日残業だな〜」

P「まぁ、それほどウチのアイドルが有名になってきてるって事か」
去年の765プロ感謝祭ライブ以降、765プロのアイドルは話題を呼んだ

徐々に皆の仕事が増えていく一方、俺も更に忙しくなった

そして年末年始に行われたニューイヤーライブも大成功

今や765プロの面々はテレビに欠かせない存在となった

P「明日は久々のオフだし、家でのんびりするかな〜」

そう言いながら、俺は帰る準備をしていた。

高木「いつも夜遅くまでご苦労!」

後ろから社長の声が聞こえた

P「社長!?、お疲れさまです!お先に失礼します!」

高木「うむ、お疲れ!」


ガチャ

事務所の扉を開けて、エレベーターの前を通る

P(このエレベーター、いつになったら直るのだろう・・・)

そう思いながら、階段に差し掛かった――

その時――
P(うぐっ!?胸がっ・・・!)

急に鈍い胸の痛みが襲ってきた

突然の出来事に驚き、体勢を崩して...

P(やばい!このままじゃ階段からっ!!―――)

―――

――



高木(彼にはいつも助けてもらってるな・・・)

高木(しかし、彼は最近何かと残業続きだ・・・)

高木(過労で倒れる前に、手を打たんと―――)

┣¨┣¨┣¨┣¨ドッ!! ドサッ

高木「!?」

高木(今の音は・・・、まさか!)
―――

――




P(・・・ん、ここは?)

目を開けると、見知らぬ部屋の天井が視界に映った

??「お気づきになられましたか」

P「・・・あなたは?」

??「私はここの病院で医者をしている者です」
医者「昨夜、貴方が階段から転げ落ちて意識がないと通報がありました」

医者「頭を強く打ったみたいですが、検査をしたところ問題は無かったので大丈夫でしょう」

P「そうですか・・・、後遺症とか無いのでしたら安心です」

医者「ええ、『頭』には異常はありませんでした」

P(『頭』には?)

医者の言葉に疑問を感じた

医者「一つお聞きしたい事があるのですが」

P「・・・?、なんでしょう?」

医者「お煙草は吸われてますか?」

煙草??、確かに去年まで吸っていた

俺はかなりのヘビースモーカーだった

一日に二箱吸うのは当たり前の出来事

しかし、アイドル達の前で吸うと嫌がられ

おまけに値上がりしたから、止める良い機会だった
P「はい、吸っていました、今は吸ってないですけど」

医者「そうですか・・・」

医者「・・・」

医者「いいですか?、落ち着いて聞いてください」

医者が表情を曇らせている、何か嫌な予感がする・・・

そして信じ難い言葉を放った

医者「検査の結果、貴方の肺から悪性の腫瘍が見つかりました」

―――肺から悪性の腫瘍?


P「それってつまり・・・」

P「『肺がん』って事ですか?」

医者「・・・・・はい」

医者「それも症状がかなり進行していて他の臓器へ転移されてる可能性もあります」

医者「完治出来る可能性は殆どありません」

医者「抗ガン剤での延命処置がありますが―――」
途中から医者の言ってる事は耳に入らなかった

俺が肺がん??

おいおい、夢だったら早く覚めてくれよ

覚めてくれよ・・・

医者「―さん・・・、Pさん?」

P「・・・はい」

医者「それで、どうなされますか?」

P「――は・・・」

医者「はい?」

P「余命は・・・」

医者「・・・」

医者「抗ガン剤による治療を受けた場合は長くても2〜3年」

医者「治療を受けなかった場合は・・・」

医者「恐らく、もって半年程です」

―――

――




ガチャ

高木「やあ、気分はどうだね?」

P「社長・・・」

高木「話は聞いたよ・・・」

高木「とりあえず、皆には長期の休暇と伝えておく」

高木「君は―― P「待って下さい」
P「今、765プロのアイドル達は着々と人気を集めています」

P「ただでさえ人手不足なのにここで俺が抜けてしまったら皆に迷惑をかけてしまう」

P「俺は大丈夫です、ですから社長!」

高木「しかし・・・」

P「お願いします!!」

高木「君がそこまで言うなら・・・」

P「社長・・・っ!ありがとうございます!」

高木「しかし、無理はしないでくれたまえよ」

P「はい!」
―――

――




三日後・・・


ガチャ

P「おはようございます!」

小鳥「あ、プロデューサーさん!おはようございます!」

小鳥「頭の傷、大丈夫ですか?」

P「ええ、まだ痛みますけど大丈夫です!」

小鳥「そうですか・・・ともかく、退院おめでとうございます!」

P「ありがとうございます、音無さん」
肺がんと宣告されてから三日

皆には社長から事情を説明してもらった

『階段から転げ落ちて頭を強く打ったため三日ほど入院』っと

肺がんの事は伏せてもらった...

P(肺がんなんて知れたら気を使わせて皆の仕事に支障が出るかもしれない)

P(余計な事は言わないでおこう)

そう思いながら、鞄を机に置いた

まだ皆は来ていない

P(溜まってた仕事を片付けるか)

机に置いてある書類に目を通しながら皆が来るのを待つ事にした

P(入院してる間に色々な仕事が来てるな)

P(ん?これは・・・)
俺は一枚の書類に目が止まった

P(765プロ感謝祭ニューイヤーライブ・・・)

書類の内容は765プロ総出で行われる年またぎのライブ企画書だった

P(俺が居ない間にいつの間に・・・)

_________________
765プロ感謝祭ニューイヤーライブ
実施期間:12月31日〜1月1日(年跨ぎ)
時  間:22:00〜25:00
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

P(・・・・)

余命は半年...

今からライブまで八ヶ月近くある...

P(悩んでも仕方ないよな・・・)

―――

――


ガチャ

春香「おはようございまーす!!」

P「おう、おはよう春香」

春香「プ、プロデューサーさん!?、お怪我のほうは大丈夫なんですか?」

P「ああ、この通りピンピンしてるよ!」

春香「それなら良かったです!、プロデューサーさんにもしもの事があったら、私・・・」

P「おいおい急に湿っぽくなるなよ、お前達をトップアイドルにするまではそう簡単にくたばらないよ!」

春香「・・・っ!、はい!、これからもよろしくお願いします!、プロデューサーさん!」

P「ああ、よろしくな!」


P(簡単にはくたばらない・・・か)

P(この言葉は嘘になるかもしれないな・・・)

そう思いながら、スケジュール表を確認した

P「春香、今日の午前はボイトレ、午後にトーク番組の収録だ、出発するぞ」

春香「はい!行ってきます!」

小鳥「ふふっ、行ってらっしゃい」

某スタジオ


司会「春香ちゃんが最近褒められた事ってなにかな?」

春香「そうですね〜、昔に比べて歌が上手くなったってよく言われますね!」

司会「へぇ〜、昔はどんな感じだったの?」

春香「それが、自分じゃよく分からないんですよ〜」

司会「ふむふむ・・・、え?、昔のライブ映像がある?」

春香「ええぇ!!」

司会「ではVTRをどうぞ!」

モットトオクヘオヨイデ-ミタイ-♪

ドッ! 
\アハハ!/


P(ミニコンサートの時のか・・・)

今流れている映像は俺が765プロのプロデューサーになる前に開催したミニコンサートの映像だ。

ある日、社長に「ティンときた!」とスカウトされ

『今日我が社のアイドル達のコンサートがあるんだ!ぜひ君に見てもらいたい!』

そう言われながら、半ば強引に連れてこられた

そして、そのコンサート会場で初めて春香と出会った


――正直、春香の歌はお世辞にも上手いとは言えない

このコンサートの時も、初っ端から音を外しまくってる

けれど、そんな春香を見て、何か惹かれるものがあった

そして俺はプロデューサーになった

P(懐かしいな・・・)
でも、俺は春香の何に惹かれたんだっけ?

ルックス?性格?

思い出せない...、妙に歯がゆかった

―――

――



司会「いやぁ〜、これを聴くと春香ちゃんは本当に歌が上手くなったんだね!」

確かに春香の歌は上手くなった、それはずっと間近で聴いてた俺が保証する

春香「ありがとうございます!!でも恥ずかしいです///」

司会「自信持ちなって! おっと、ではそろそろ終わりのお時間が近づいて来ました」

司会「では今週のゲストは天海春香ちゃんでした〜!」

春香「今日はありがとうございました!とても楽しかったです!」

司会「では春香ちゃんには新曲を歌ってもらってお別れです!」

司会「曲は、『さよならをありがとう』です! どうぞ〜!」

〜♪
車内

春香「すごく恥ずかしかった・・・///」

P「まだ気にしてるのか?」

春香「あれじゃ生殺しですよぅ・・・」

P「大丈夫だよ、春香の歌は本当に上手くなってるから」

P「終わり良ければ全て良し!」

春香「全然意味が違います〜、しかもまだ終わってないですよ!」

P「ははは!まあ、まだまだ成長するよ春香は」

春香「プロデューサーさんがそう言うなら・・・」

事務所への帰り道、今日の収録の話や世間話をしながら車を走らせていた

P「・・・」

P「なぁ、春香」

春香「はい?なんですか?」

P「春香は、自分が死ぬ時の事を考えた事あるか?」

春香「い、一体どうしたんですか?プロデューサーさん?」

P「いや、何となく聞いてみたくなって・・」

P(何を言ってるんだ、俺は・・・)

自分が何故こんな事を春香に聞いたのか良く分からなかった

春香「・・・」

春香「あまり・・・考えたくありません・・・」

P「・・・なんでだ?」

春香「怖いからです・・・」

P「怖い?」

春香「・・・はい」

春香「だって、死ぬのってどんなのか分らないじゃないですか」

春香「死んでる人にその感覚を聞くにも、無理がありますし・・・」

春香「そういう未知の世界って、凄く怖いです・・・」

P「春香・・・」

春香「えへへ、私、まだ17歳なんですよ!」

春香「死んだ時の事なんて想像できませんよ!」

P「・・・そうだよな」

P「すまん、変なこと聞いて」

春香「いえいえ!大丈夫ですよ!」
事務所に戻ってきた

事務所の明かりは点いていて、中から賑やかな声が聞こえる

ガチャ

P「ただいま戻りました〜」

一同「「「退院おめでとー!」」」

俺たちが事務所に戻ると、皆が待っていた

どうやら退院記念にパーティの準備をしていたらしい

何故だろう、数日来なかっただけなのに、この雰囲気が久しぶりで懐かしい感じがした

皆の笑顔に釣られて俺も笑顔になる

だけどそんな中、医者の言葉が蘇る

医者『長くもって半年―――』

その言葉が胸に突き刺さる

P(俺が死んだらどうなるんだろう・・・)

複雑な思いを抱えながら、今日が終わった
ある初夏の日

余命宣告を受けて二ヶ月ほど経った

あの胸の痛み以来、特に具合が悪くなる事も無くピンピンしている

P(本当に肺がんなのか?)

っと疑いを持つほど何事も起きない

そう思いながら、今日も事務所の扉を開けた

ガチャ

P「おはようございます!」

春香「おはようございます!プロデューサーさん!」

P「春香、今日は雑誌の取材だから、早く仕度して行くぞー」

春香「はーい、って、きゃあ!」フラッ

P「春香!」バッ

ギュ

P「大丈夫か!」

春香「はい、大丈夫です・・・」

P「まったく、なんで何も無い所でコケるんだ・・・」

春香「す、すいません・・・」

春香「あの、そろそろ離してくれませんか・・・///」

P「えっ?・・・、あ、ああ!すまない///」バッ

春香「あの、本当にありがとうございます、プロデューサーさん///」

P「ああ、アイドルに傷でも付いたら大変だからな!」

春香「そ、そうですよね〜!今後、気を付けますね!」

春香「・・・やっぱり、私の事アイドルとしか・・・」ボソッ

P「ん?何か言ったか??」

春香「い、いえいえ!!何でもありません!さ、早く行きましょう!」アタフタ

P「??、まぁ良いか、それじゃ行ってきます!!」

小鳥「はーい、いってらっしゃーい」

―――

――



ある真夏の日

四ヶ月経った

最近、食欲があまりない

呼吸も苦しい時があるし、胸の痛みも頻度を増している

けど、仕事は容赦しなかった

減っていくどころか、ジリジリと増えていく一方だ...

P「おはようございます・・・」

小鳥「おはようございます、プロデューサーさん」

P「さて、今日のスケジュールは・・・」フラフラ

小鳥「大丈夫ですか?少し横になったほうが・・・」

P「大丈夫ですよ音無さん、ちょっと疲れてるだけですから・・・」

小鳥「プロデューサーさん・・・」


春香「最近、プロデューサーさん元気ないね」ヒソヒソ

響「何か痩せ細ってきてるしな・・・」

雪歩「ちゃんとご飯食べてるのでしょうか・・・」

真「時々、凄い顰めっ面してるときがあるよね・・・」

真「何かを我慢しているような・・・」

美希「ミキ、ちょっと聞いてくるの」ガタッ

春香「あ、ちょっと待って、美希!」

美希「ハニー!」

P「ああ、美希か・・・どうした?」

美希「ハニー最近元気ないよ?どうしたの?」

P「はは、別に何もないよ・・・」

美希「ほんとに??」

P「ああ・・・」

美希「・・・ウソ」

P「嘘じゃないって・・・」

美希「嘘!!」

美希「じゃあ、何でそんなに元気がないの!?」

美希「なんで、そんなに痩せ細ってきてるの!?」」

美希「なんで・・・、なんで・・・!」

P「美希・・・」

美希「ミキ・・・、何でも相談に乗るから・・・」

美希「何があったのか教えて!、ハニー!」

P「本当に・・・何もないから・・・」

美希「ハニー!!」

P「何もないって言ってるだろ!!」

美希「ビクッ!」

P「あ・・・、ごめん、怒鳴るつもりは無かったんだ・・・」

P「あぁ、そろそろ時間だ・・・行ってくる・・・」

P「本当にごめんな・・・」

ガチャ

美希「ハニー・・・」ボロボロ

春香「美希・・・大丈夫?」

美希「うん・・・グスッ、大丈夫・・・」

響「あの様子じゃ絶対何かあるぞ」

真「確かに、何かを必死に隠してるような・・・」

小鳥「さっきの怒鳴り声は何!?隣の部屋まで聞こえたわよ?」

美希「ヒック・・・、グスッ・・・」

小鳥「何かあったの?」

春香「はい・・・、実は・・・」

―――

――



春香「――っと言う訳なんです」

小鳥「確かに最近おかしいわ・・・」

小鳥「ちょっと前までは、お昼じゃコンビニのお弁当を二つ平らげたりするほど食欲旺盛だったのに」

小鳥「ここずっと、おにぎり一個、サンドイッチ一個食べてる所しか見てないのよ」

小鳥「本人に聞いても『朝食べすぎちゃって・・・』っとしか言わないし・・・」

雪歩「でも、あの様子だと・・・」

真「うん・・・、朝食べてるならあそこまで痩せたりはしないよ・・・」

小鳥「帰ってきたら直接聞くしかないわね」

春香「・・・」

―――

――




P「ただいま戻りました・・・」

春香「プロデューサーさん、ちょっとお話があります、良いですか?」

P「あぁ・・・、春香、何だ話って?」

春香「あの―― 高木「すまんが天海君、先にわたしが彼と話しをさせてくれ」

春香「社長ッ!?・・・はい、わかりました・・・」

高木「すまんな、では君、ちょっと来たまえ」

P「はい・・・」

ガチャ
響「もしかして、最近のプロデューサーの事についてかな」

伊織「気になるわね・・・、盗み聞きは良くないけど」

貴音「致し方ありません・・・」

春香「・・・」


社長室

高木「わたしの言いたい事は・・・、わかるね?」

P「はい・・・」

高木「これ以上彼女達を心配させてはならん、君に無期の休暇を与える」

P「・・・ッ!、俺は大丈夫です!まだやれます!」

高木「いや、いかん! もうフラフラじゃないか!」

高木「顔色も良くない!」

高木「そんな顔の人間を、営業に出すわけにはいかん!!」

高木「それに、まだ治る可能性はあるかもしれないだろう!?」

P「・・・」

P「時間が経ちすぎています・・・」

P「多分・・・、肺だけじゃなく他の臓器にも転移しています・・・」

P「わかるんですよ・・・、日に日に体中が痛くなって・・・」

P「もう遅いんですよ・・・」

高木「・・・」
P「社長、お願いします!、俺はまだまだやれます!」

P「俺は、最期までこの仕事を続けたい!」

高木「・・・」


高木「今日をもって、君はクビだ」


P「っ!?」

P「そんな・・・」

P「嫌です!!」

高木「すまんな・・・、こうするしか・・・」

P「・・・」

P「わかりました・・・」

P「お世話に・・・なりました・・・」

高木「うむ・・・今まで本当にありがとう・・・」

高木「ゆっくり休みたまえ・・・」

P「・・・はい」

スタスタ

ガチャ

P「!?」

P「お前たち・・・」

春香「プロデューサーさん・・・」

律子「入院って・・・何かあったんですか!?」

P「・・・・・・」

響「答えて欲しいぞ!プロデューサー!」

P「・・・・・わかった」
俺は彼女達に事実を告げた

肺がんであること...それが原因で食欲がなくなったりしたこと...

余命が半年であること...

春香「そんな・・・」

皆、涙を流していた...

泣き崩れる者、悲鳴に近い声で泣く者、俯く者...

俺も涙を流していた
P「・・・・・」

P「・・・・たくない」

春香「グスッ・・・え?」

P「死にたくない・・・」ボロボロ

P「死にたくないよぅ・・・」

P「まだ・・・、生きていたい・・・」

P「ぁぁ・・・、あぁぁぁっ!」

俺は大声を上げて泣いた

初めて、自分の心配したかもしれない

死への恐怖を一気に募らせた

―――

――



P「はは、何か恥ずかしいな、泣いてる所見られちゃって」

春香「プロデューサーさん・・・」

P「765プロもクビになったし・・・、明日からはベッドの上かな・・・」

一同「・・・」

P「皆・・・、色々世話になったな」

P「年末には大きなライブも控えてる」

P「俺はもう居なくなるけど・・・、お前たちならやり遂げると信じているよ」

P「じゃあ――― 春香「待って下さい!」

春香「プロデューサーさんは言いましたよね!?」

春香「私達をトップアイドルにするまでは、くたばらないって!」

春香「あの言葉は嘘だったんですか!?」

P「春香・・・」

律子「そうですよ!、グスッ・・・、貴方が居なくなったら・・・、ヒック・・・、誰がこの子達を・・・グスッ・・・」

P「・・・プッ、ククク」

律子「こんな時に何笑ってるんですか!!」

P「ククッ、ご、ごめん、律子が泣きじゃくりながら喋るから、つい」

律子「///!?こんな時に何言ってるんですか!もうっ!」

P「あはは!ごめんごめん」

美希「ハニー・・・、やっと笑ってくれたの・・・!」グスッ

久々に心から笑えた気がする

P(最近、笑うことが無かったからな・・・)

俺が笑い、彼女達も笑った

彼女達が笑い、俺も笑う

いつもの765プロに戻った気がした

そう...、いつもの765プロに...

...俺は...どうしたいんだ?...

...答えはもう出てるじゃないか

それは...

高木「そろそろいいかね?」

P「しゃ、社長!?いつの間に!?」

高木「クビにしときながら言うのもなんだが・・・、やはり君は私が見込んだ通りだ」

高木「見たまえ、彼女たちの顔を・・・」

高木「先ほどまでとは大違いだ」

P「・・・」

高木「君の腕は、やはり敏腕だったようだな」

P「いえ、俺は敏腕なんかじゃありませんよ」

P「彼女たちを泣かせた・・・、プロデューサーとしても、男としても最低ですよ・・・」

P「けれど、気付いた・・・、いえ、思い出したんです」

P「俺が・・・、プロデューサーになろうと決心した時の事を・・・」

P「あのミニコンサートの時・・・、春香と初めて会った時・・・」

P「最初は、凄く歌が下手くそだと思ってました」

春香「ちょ、ちょっとー!ひどいですよー!」

\アハハ!/

皆の笑い声が聞こえる

俺も少し笑ってしまった

P「・・・けれど、俺は歌ってる春香を見て、ある所に惹かれたんです」

高木「ほぅ・・・、そのあるところとは?」

P「それは・・・」

P「笑顔です」

P「どんなに下手くそで音を外しても、春香は、あの笑顔だけは崩さなかった」

P「ファンの人を楽しませるには、まず自分が楽しまなければいけない・・・」

P「その結果、ファンと春香は一緒になって笑顔だった」

P「春香も凄く楽しそうに歌ってました」

P「そして俺は決心しました・・・、俺は、そんな彼女の・・・」

P「いえ、彼女たちを笑顔にしたい」

P「彼女たちの・・・、笑顔を守りたいっ!」

P「そして、ファンの人達にも、笑顔になって貰いたい・・・!」

高木「たったそれだけの理由でプロデューサーになったのかい?」

P「はい・・・!」

P「社長!俺をもう一度ここで働かせてください!」

高木「・・・・・」

高木「さっきより良い顔つきになったな・・・」

高木「よかろう、君の再雇用を認めよう!」

P「・・・っ!!ありがとうございます!!」

また・・・、765プロで働ける・・・

これ以上嬉しいことは無かった

プロデューサーとしての責務を果たすと誓った

最期が来る時まで...

―――

――



秋が深まるある日の事

余命宣告を受けて六ヶ月が経った

肺がんの症状は日を重ねる毎に酷くなった

食欲もほぼ無くなり、朝に少し食べるか食べないかぐらいまでに

声も枯れてきて、大きな声が出しづらくなった

顔や首がむくみ、咳も止まらない、呼吸も苦しい時がある

医者は、いつ倒れて逝ってしまってもおかしくないと言っていた
 
P「よし、今日はライブに向けて合同練習だ!」

一同「はい!」

時期は冬も近く、風邪をこじらせるだけで命取りだと医者が言っていた

P(厚着していくか・・・)

そう思った瞬間...
クラッ

P(あ、意識が――)

春香「プロデューサーさん!」バッ!

ギュ

春香「大丈夫ですか!?」

P「春香・・・すまない助かった」

春香「いえいえ、このくらい大丈夫ですよ」

P「本当にすまないな・・・」

春香「気にしないで下さい、私もプロデューサーさんに助けて貰った事ありますし!」

P「あぁ、ありがとう・・・・」

症状が悪くなる一方、彼女たちの手助けはとても助かった

倒れそうになったときは支えてくれる

食欲がなく飯が食べられないときは、料理を色々工夫して食べさせてくれたり

咳き込んだりしたら、背中をさすってくれる

身体的にはもちろん、精神的にも助かっている

いつも誰かが傍に居てくれた

それだけが、心の支えだった



一同「おつかれさまでしたー!」

P「ああ、気を付けて帰れな」

ガヤガヤ...

P「ふぅ・・・」

P「・・・っ!ゲホッ!ゴホッ!」

小鳥「!?、プロデューサーさん!大丈夫ですか!?」サスサス

P「ゴホッゴホッ・・・、ええ、大丈夫です・・・」

小鳥「余り無理しないでください・・・、今日はもう帰った方が・・・」

P「・・・、ええ、そうですね・・・」

P「今日は素直に帰らせてもらいます・・・」

スタスタ

P「あ、音無さん」

小鳥「はい?なんですか?」

P「もし、俺が倒れたら」

P「俺の代わりに彼女達を見守って下さい」

小鳥「・・・、そんなこと言わないでください・・・」

小鳥「プロデューサーさんには、あの子達がトップアイドルになるまで頑張って貰いますから!」

P「ははっ、もちろん、俺は最期まで諦めませんよ」

P「でも、一応、お願いしておきますね」

小鳥「・・・」

P「じゃあ、俺はこれで失礼しますね」

小鳥「プロデューサーさん・・・」
聖なる日の夜

余命宣告を受けて八ヶ月

半年という時間はとっくに過ぎた

ずっと準備をしていたライブももう近い

P(せめてライブまでは・・・)

そう願った


しかし...


12月30日

ライブ前日

俺はとうとう倒れてしまった

気がつくと、俺はまた病院のベッドの上に居た

横を見ると、皆が集まっている

皆、俺を心配そうな目で見ている
医者「目を覚ましましたか」

医者「衰弱しきってるはずなのに、良くここまで体が動いたものです」

P「自分でも・・・驚きですよ・・・」ヒュー…ヒュー…

息苦しく、蚊のような声しか出なかった

医者「貴方は良く頑張りました・・・」

医者「残った時間を大切に過ごしてください・・・」スタスタ ガチャ

そう言い残し、医者は出ていった

自分に最期が近づいてきてる...

考えたくないが、分かってしまう

俺の体を蝕んでいく感覚...

春香「プロデューサーさん・・・」

P「皆・・・、すまんな・・・、ライブ行けそうにない・・・」

P「もう体が動かなくてな・・・」

一同「・・・」

P「一人ずつ話がしたい・・・」

そう言って、事務所の皆一人一人、時間を掛けて話した

励ましてくれる者も居れば、思い出話をしたりする者...

急にありがとうと言う者...

笑いながら...泣きながら...

そして...

ガチャ

春香「失礼します」
P「春香で最後か・・・」

春香「はい・・・」

「・・・」

沈黙が続いた

けれど、決して気まずいものではなかった

春香「・・・終わったら・・・」

P「・・・えっ?」

春香「ライブが終わったら、プロデューサーさんに伝えたい事があります」

春香「ですから・・・、ですから、それまでは、どうかっ!・・・」

春香「私の・・・、一生のお願いです・・・」ボロボロ...

P「春香・・・」

P「ああ・・・、約束する・・・」

春香「グスッ・・・、ありがとうございます、プロデューサーさん・・・」

12月31日

ライブ当日

春香「765プロー、ファイトー!!!」

一同「「「「  オー!!!  」」」」


\ワァァァ!!/


小鳥「始まりましたね・・・」

高木「ああ」

高木「それにしても小鳥君・・・、君は彼の傍に居なくて良いのかね?」

小鳥「はい、大丈夫です」

高木「しかし、君は彼の事――」

小鳥「私がプロデューサーさんの傍に居ても、仕方がないですよ」

小鳥「あの人には・・・もう心に決めた人が・・・」

高木「そうか・・・」

小鳥「それに、私は彼と約束しました」


―もし、俺が倒れたら、俺の代わりに彼女達を見守って下さい―


小鳥「だから私は・・・、このライブを見届けます・・・」

小鳥「それが・・・、好きになった人の最期のお願いですから・・・」ボロボロ...

高木「・・・・・そうか・・・」


――





春香「ハァ・・・ハァ・・・後ろの人も、ちゃんと見えてるからねー!」

\ワァァァ!!/


春香「三階の人たちも、ちゃんと見えてるからねー!」

\ワァァァ!!/


春香「では、聴いてください!!『私たちはずっと・・・でしょう?』!!」

\ワァァァ!!/
P「ヒュー・・・ヒュー・・・」

P(息が出来ない・・・苦しい・・・)

P(だめだ・・・意識が朦朧と・・・)

P(春香・・・ごめん・・・、約束・・・、守れそうに・・・ない・・・)

P「がん・・・ば・・・れ・・・・」

P「す・・・・・き・・・・・・」

P「・・・―――」


―――

――




\ワァァァ!!/


スタッフ「次、天海さん、『さよならをありがとう』です!準備お願いします!」

春香「はい!わかりました!」

―がんばれ―

春香「―――ッ!?」

春香(プロデューサーさん!?)

春香「・・・・・・」

春香「はい・・・、ありがとうございます・・・プロデューサーさんっ・・・」ボロボロ...

春香「さよなら・・・」

ライブが終わった後、社長から話があった

プロデューサーさんが、息を引き取ったと・・・

皆泣いていた・・・、そりゃそうだよね

皆大好きだったんだもん、プロデューサーさんの事が・・・

けれど、あの時

確かに聞こえた

プロデューサーさんの声が

エールをくれたんだ

『がんばれ』っと・・・
でもね、一つだけ、心残りがあるの・・・

プロデューサーさんに、この想いが伝えられなかった事

私の一生のお願い・・・、叶わなかったなぁ・・・・

『大好きです』

そう涙しながら呟いた

この声が彼に届きますように

そう静かに願った


「いつもありがとう、がんばって」胸が詰まって言えない

いつでも応援してるよと伝えたいのに

「私は大丈夫」そっとハミングしよう

なぜかな あなたを想うと満たされるから

頑張ろう 今を...
―――

――




「はいカットォ!!」

「「「「  お疲れさまでしたー!!  」」」」

監督「お疲れ、繪里ちゃん!とても良いのが撮れたよ!」

繪里「あ、監督!おつかれさまです!」

??「ふふっ、お疲れ様、繪里」

繪里「あ!お母さん!!」

母「どうだった?昔の私の役を演じてみて」

繪里「もう感動だよ!こんな素敵な映画の主演ができて!」
母「ふふっ、よく頑張ったわね」ナデナデ

繪里「えへへ/// でも、この映画の出来事って・・・」

母「本当の話よ、ちょうど三十年前になるわね」

繪里「そう・・・なんだ・・・」

母「あら、なんで繪里がしょんぼりするの?」

繪里「だって・・・悲しいじゃん・・・、好きな人に想いを伝えられなくて・・・」

母「そうねぇ・・・、それが今でも心残りだわ」

繪里「・・・お母さんは、何でプロデューサーさんの事を好きになったの?」

母「んー、それが良く分らないのよねぇ」

繪里「ええっ!?」

母「気がついたら好きになっていた・・・って答えじゃ駄目かな?」

繪里「気がついたら好きに・・・」

母「ええ」

母「いつも傍に居てくれて、共に笑って、泣いて、支えて、支えられて」

母「そうしている内に、気がついたら好きになったのかもしれないわね」

繪里「んー、良く分かんないよ・・・、そういうモノなの?」

母「ふふっ、そういうモノなのよ」

母「好きになるのに、理由は要らないわ」ニコ
―――
――


12月31日

某墓地

(ここに来るのも何年ぶりかしら)

(あ、お花が添えてある・・・、皆考えてる事は一緒なのね)

(お花以外にも色々添えてあるわね・・・)

(あ、これって千早ちゃんの新しい曲の楽譜だ)

(こっちは美希が今度公演する舞台の台本・・・)

(この写真は・・・、ふふっ、響ちゃん大所帯ね、これで14人目か〜)

(さて・・・、私もプロデューサーさんに近況を報告するかな)
プロデューサーさん、元気にしていますか?

貴方が亡くなって、ちょうど30年になります

私もすっかり歳をとり、おばさんになってしまいました

今は女優をしながら主婦をやっています

皆が選んだ道はそれぞれです

主婦をやってる人もいる

社長になってプロダクションを経営してる人もいる

海外で活動してる人もいます

皆結婚して、幸せに暮らしています

私もその一人


私の旦那は、優しくて、真面目で、とてもいい人です

けれど、プロポーズされたとき

『忘れられない人がいる』と彼に告白しました。

けれども、彼はそれでも構わないと言ってくれました。

そして子供は娘が一人、私と同じ道を歩んでいます。


ところで、先日、私の娘が主演の映画の撮影が終わりました。

映画の内容はプロデューサーさんと私たち、765プロの出来事です。

私も事務員役で出演しました!是非そちらでご覧になって下さいね!
女優業と主婦で忙しいですが、とっても幸せです

けれど、そんな幸せの中、時々貴方の事を思い出します。

貴方との日々を想い出すと、胸が満たされるから...

浮気になるかもしれないですけど、この想いをもう一度伝えます

プロデューサーさん

『大好きです!』


「いつもありがとう、大好きよ」照れた顔が浮かんだ

涙で目の前が霞んでいく でも幸せ

「さよなら」そう言ってそっと優しく手を振る

なぜかな あなたを想うと満たされるから

頑張ろう 今を

Fin
ここまで見てくれた方、ありがとうございます。

自分は響スキーなので響主体のSSを書きたかったのですが、気がついたら春香主体になっていました。

いつか響のSSも書こうかなと思います。

08:34│天海春香 

この記事へのコメント

1. Posted by あ   2013年11月14日 16:22
これ転載ダメじゃなかった?
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