2014年08月14日

ちひろ「プロデューサーさんの父性で事務所がヤバイ」


愛梨「じゃんっ♪」



モバP「ん?」





愛梨「どうですか、Pさん? うさちゃん愛梨ですっ」



モバP「まだライブまで時間あるから、そんなに早く着替えなくてもいいんだぞ?」



愛梨「Pさんに見て欲しくて。……似合いますか?」



モバP「うん、似合ってる似合ってる。うさぎで正解だったな」





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愛梨「えへへ、ありがとうございます! 私もうさぎは自分にぴったりだなって思うんです」



モバP「そうなのか?」



愛梨「うさぎって寂しがり屋さんじゃないですか。私だって同じです」



愛梨「最近はPさんも構ってくれませんし、すこし寂しいなって……」





モバP「そうか。なら俺の見立も間違ってなかったんだな」



愛梨「あ〜そういうこと言っちゃうんですねっ」



モバP「ふふ。それだけ愛梨が一人前になったってことだよ」



愛梨「それは、そうかもしれませんけど……ちょっと違います……」



モバP「良い事だよ。もっと誇りなさい」ニコ



愛梨「むう……」





愛梨「じゃあ、撫でてくださいっ。うさぎって撫でられるの好きなんですよ♪」



モバP「うーん、あまりそういうことはしたくないんだけど」



愛梨「……」ジー



モバP「わかった。来なさい」ナデナデ



愛梨「えへへ。おしりのふわふわが触り心地良いんですよ〜。ほらさわってみてください」フリフリ



モバP「それはまた今度な」



愛梨「なでなでされたら熱くなっちゃいました……ぬ、脱いでもいいですか!?」



モバP「こら。それ以上何を脱ぐんだ」



愛梨「あ、そうですね」





愛梨「Pさん、見てくださいっ」



モバP「ん?」



愛梨「ぴょんぴょーんっ♪ うさちゃんジャンプですっ。ぴょんっ♪」ボインボイン



モバP「愛梨、そういうのはファンの前でしてあげなさい。きっと喜ぶから」



愛梨「Pさんは喜んでくれないんですか?」



モバP「俺を喜ばしてもなあ。なんにもならないさ」





愛梨「そ、そんなことありませんっ わたしは―――」ブチ



モバP「あたっ」コン



愛梨「あっ! ボ、ボタンが飛んじゃいました……。大丈夫ですか?」バルルン



モバP「うん、俺は平気だよ。いや、まずは胸元をしまいなさい」



愛梨「きゃあ!? す、すみません。み、見ました? 見ましたか?」



モバP「すまない見なかったことにしておく。それよか衣装をなんとかしないと」





愛梨「Pさんの反応に、私は少し悲しいです……」



モバP「確かもう一着別のがあったよな。仕方ないそっちにしよう。愛梨もそれでいいね?」



愛梨「はい……」



モバP「落ち込まないの。大丈夫だよ、ふわふわの衣装も似合うから」ニッコリ



愛梨「そうじゃないです……Pさんのばか」







…………



……





美波「制服だなんて、また着ることになるとは思いませんでした」



モバP「普通は卒業したら着ないからな」



美波「そうですよね。何だか、イケナイことをしてる気がします……」



モバP「そうかな。大丈夫、違和感ないよ」



美波「に、似合いますか?」モジモジ



モバP「うん。現役といっても十分通用する。可愛い可愛い」



美波「か、可愛いですか? そうですか、よかった……」





美波「パパが言ったんです……制服姿をプロデューサーに見せ付けてやれって。そうしたらきっと喜ぶって」



モバP「はは。まったく、あのお父さんも娘に何を言ってるんだか」



美波「お、おとうさん? ですか?」



モバP「ん?」



美波「いえ、なんでもありません。……ふふ」



モバP「?」





美波「ねえ先輩。この後、少し私と付き合ってくれますか?」



モバP「お? なんだ、撮影の練習か?」



美波「いえ、ちょっと言ってみただけです。でもPさんは先輩というよりは先生って感じですかね?」



モバP「そうだなあ。確かに人にものを教えるのは嫌いじゃないが」





美波「この頃は、アイドルになるなんて夢にも思ってませんでした」



モバP「高校のころはどんな娘だったんだ?」



美波「マジメでしたね。勉強もそこそこで、生徒会役員も務めていましたし」



モバP「そっか、見てみたかったな。高校時代の美波も」



美波「そうですね。私も、もっと早くPさんと会えていたらって―――」



美波「……いえ、やっぱりダメです」



モバP「どうしてだ? 俺としてはもう少し早くスカウトできていればなあって思うけど」





美波「だって、高校時代にPさんに会っていたら……勉強になんて、手がつかなくなっちゃいます」



モバP「なるほど。確かに美波は一度背中を押してあげると、どんどん前に行っちゃうからな」



美波「もう、そうじゃないです。今でもこんなにドキドキしてるんです。あの頃だったら、きっと……」



モバP「ふふ、大丈夫だよ。こう見えても勉強はできたほうなんだ。今でも高校生組み教えるぐらいの学力だってあるんだから」ニッコリ



美波「……やっぱりPさんには意地悪な先輩役が似合うと思います」







…………



……





智絵里「はあ……き、緊張しちゃいます……」



モバP「大丈夫だよ、ライブはもう何度もやってるんだ。落ち着いて」



智絵里「は、はい。でも、何度もやってるのに……それでもダメです。わたし、緊張で、震えちゃって……」



モバP「それでもいいんだ。智絵里の臆病なところは、良いところでもあるんだから」



智絵里「そうなんですか……? わたし、臆病なのは、いやです」





モバP「そうだな。でもいつも初心を忘れないってことは、慢心しにくいってことだよ」



智絵里「慢心なんて、そんなこと……」



モバP「もしファンが今の智絵里を知ったら、きっと嬉しく思うよ。間違いない」



智絵里「そうでしょうか?」



モバP「うん。だから緊張してもいいんだ」





智絵里「そう言われると、ちょっとだけ、震えが納まってきました気がします……」



モバP「ふふ、よかった」



智絵里「Pさんは、すごいです。いつもわたしのこと気にかけてくれて……見捨てないでくれて。わたしに、勇気をくれて……」



モバP「プロデューサーだからな」



智絵里「わたし、アイドルになったとき、思ったんです。こんなわたしでも……Pさんと一緒なら変われるって」



智絵里「だから、ずっとわたしのこと……見てて下さい。待ってて、欲しいです……」





智絵里「え、えっと、その……て、手を握って貰えますか? いつものように……」



智絵里「震えが納まるように……ぎゅって……。勇気が、欲しいんです」



モバP「ダメだよ」



智絵里「ど、どうしてですか? やっぱりわたしのこと、嫌になって……」



モバP「そうじゃない。もっと強くなりたいって言ったろう? なら、少しずつでもいいから進まないと」



智絵里「で、でも、怖いんです……Pさんに、手、握って欲しいんです……だ、だめですか?」





モバP「智絵里。君を待ってるのは俺じゃない。ファンなんだ。勇気を与えるのが、君の役割なんだよ」



智絵里「わ、わかってます。そ、それでも、わたし……Pさんとなら……」グスッ



モバP「行って来なさい。観客が待ってる」



智絵里「……」グス





智絵里「……」グス



モバP「……わかった。俺もここで智絵里を待ってるから」



智絵里「……ほ、ほんとうですか?」



モバP「ああ、本当だとも。ほら、いい娘だからもう行き来なさい」



智絵里「手も、握ってもらえますか?」



モバP「それは智絵里のがんばり次第だね。でも、いつまでも俺に甘えてちゃいけないよ。次からは―――」



智絵里「えへへ……じゃあ、行ってきます。見ててくださいね、わたしの、精いっぱいを。Pさんにも歌声、届けますから」







…………



……





凛「あ、プロデューサー」



モバP「ん? 凛じゃないか。学校の帰りか?」



凛「うん。今から事務所に行くところだよ。プロデューサーは?」



モバP「同じだよ。といっても資料取りに行くだけで、また外に出るんだけどね」



凛「ふふっ、なら事務所まで一緒だね、プロデューサー」



モバP「ああ。ほら凛、荷物貸しなよ。持つから」



凛「え? いいよ別に」



モバP「文句言わない」グイ





凛「あ……」



モバP「ほら、行くよ」



凛「……プロデューサーって時々強引だよね」



モバP「はは。こういう仕事してるとな。そういう面も必要になる」



凛「そうなの?」



モバP「アイドルの背中を押すのがプロデューサーの仕事だからね。時には強く押すときもあるさ」



凛「ふーん……」





凛「ね、プロデューサー?」



モバP「ん? なんだ」



凛「えいっ」



モバP「うわ。お、おい……凛?」



凛「ふふっ、どう? プロデューサー?」



モバP「どうって……なにをするんだ、いきなり。腕を組むのは止めなさい」



凛「やだよ。私も、時には強引になったほうがいいかなって……」



モバP「あのな、凛。こんなところ人に見られでもしたらまずいだろう?」



凛「大丈夫だよ。私だって、流石に人気がある場所じゃこんなことしないよ」





凛「でも、そうだね。もし誰かに見られたら、恋人同士に見えちゃうのかな……。ね、プロデューサー?」



モバP「そんなに顔を赤くして何を言ってるんだか……。恥ずかしいなら手を離しなさい。良い娘だから」



凛「またそうやって子供扱いして……プロデューサーがそうだから私たちがこういうこと―――」コケ



凛「きゃあっ!?」ドテ



モバP「うわっと。だ、大丈夫か?」





凛「いてて……転んじゃった」



モバP「悪い、支えられなかった」



凛「いいよ、私のせいだし。はあ……やっぱり慣れないことはするもんじゃないね……」



モバP「そうだな、反省しなさい」フイ



凛「……ん?」



凛「あっ」バッ



モバP「凛、手を貸すよ。ほら、立てるか?」



凛「う、うん」ギュ





凛「ね、プロデューサー……見た?」



モバP「ああ、悪かったよ」



凛「……感想は?」



モバP「馬鹿なこと言わない、もう忘れたよ」



凛「忘れたって、それだけ?」



モバP「それより怪我はないか? どこか痛んだりしないか?」



凛「うん、平気……あ」



モバP「どうした?」





凛「ちょっとおしり痛いかも」



モバP「それは仕方ないな。自業自得だよ」



凛「プロデューサーが撫でてくれたら納まるかもね」



凛「ふふ……触る?」



モバP「……」デコピン ピシ



凛「いたっ」



モバP「慣れないことはしないんじゃなかったのか?」



凛「わたしだって、偶にはこういうことしたくなるよ」



モバP「まったく。その様子なら大丈夫そうだな。行くよ、凛」



凛「あ、待ってよプロデューサー」







…………



……





奏「ふぅ……」



モバP「ライブお疲れ様、奏」



奏「ええ、ありがとう。ねえPさん……ちゃんと私の姿、隅々まで見てくれた?」



モバP「ああ、ばっちりだったぞ」



奏「ふーん……そう」



モバP「なんだ?」





奏「Pさんは嘘吐きだなって」



モバP「うん? どうしてだ」



奏「私の舞台、全部見てくれなかったでしょ。わかってるんだから、途中で居なくなったの」



モバP「なるほど、そのことか。奏は出だしは緊張気味だからな」



奏「Pさん、最初しか居なかったじゃない」





モバP「だからだよ。そこさえ乗り越えれば、奏は問題無いだろう」



奏「私はね、そのあとの、一番輝いてる姿をアナタに見て欲しかったの。……わかる?」



モバP「はは。それは君のファンが見るものであって、俺じゃないよ」



奏「そうじゃないわよ。もう鈍感ねぇ……それとも、わざとなのかしら?」



モバP「悪かったよ、どうにも疲れていてね。少し仮眠が必要だったんだ」



奏「そう言われたら何も言えないじゃない、酷い人……」





奏「まあいいわ。でも、少しでも私に申し訳ない気持ちがあるなら、わかるわよね?」



モバP「?」



奏「私の瞳を見て。そらしたらダメよ?」



モバP「ああ、いいよ」





奏「……」



モバP「……」





奏「ほんと、憎たらしいほど真っ直ぐ見つめてくるよね、Pさんって」



モバP「ありがとう……で、いいのかな?」





奏「じゃあ、私の唇を見て? 私が欲しいもの、いつも言ってるわよね」



奏「目、瞑ってるから……ご褒美、ちょうだい? ね、Pさん……」



モバP「もう、仕方ないな……」スッ





モバP「はい」ピト



奏「ひゃあっ」



奏「冷たっ。もう、なによこれ!」



モバP「ご褒美だよ。仮眠がてらに買っておいたんだ。奏も疲れてると思って……」



奏「あのねPさん、これジュースじゃないの?」



モバP「ふふ。好きだろ、それ。飲み終わったら家まで送るよ。今日はお疲れさま、ゆっくりお休み」ニッコリ



奏「……ほんと酷い人ね、Pさんは」







…………



……





美優「あ……明かりがついていると思ったら、まだ居たんですね、Pさん」



モバP「あれ、美優さん。今日は撮影完了の打ち上げのはずでは?」



美優「はい。私は……キリのいいところで、上がらせて貰ったんです」



モバP「そうでしたか。ああ、どうぞ座ってください。今お水持ってきますから」



美優「いえ、お構いなく……きゃっ」



モバP「あれま、大丈夫ですか?」





モバP「少し酔っているみたいですね。手を貸しますよ」



美優「へ、平気です。そこまで飲んでいませんから……」



モバP「もう、遠慮しないでください。ほら、掴まって。こちらへどうぞ」



美優「なら、お言葉に甘えて……」





モバP「はい、お水です」



美優「ありがとうございます。すみません、お仕事の邪魔をしてしまって……」



モバP「いいんですよ。もう終わったので上がるところだったんです」







モバP「隣、座ってもいいですか?」



美優「ええ、どうぞ」





モバP「美優さんはどうして事務所へ? 何か忘れ物でもしちゃいましたか」



美優「忘れ物……と言ってもいいのでしょうか? 今日は、その、Pさんの顔を見ていませんでしたから……」



モバP「あ、ああ……すみませんでした。打ち上げに参加すると言っておきながら、結局出来なくて……」



美優「いえ、いいんです。私も、こんな遅くまで残っているとは思いませんでしたので」



モバP「はは、予定では十分時間に間に合ったんですけど、見通しが甘かったですね」



美優「急なお仕事が入ったんでしょう? それなら、仕方ありませんよ」



モバP「そう言って頂けると救われます」





美優「はあ……」



モバP「お疲れみたいですね?」



美優「Pさんに比べたら……このくらい」



モバP「撮影の疲れが相当溜まってるはずです。無理はダメですよ」



美優「そう、ですね……今は肩の荷が下りて、ほっとしてます……」





モバP「さて、ちょうど良いので家まで送りましょう」



美優「……あの、Pさん。もう少し、このまま居てもいいでしょうか?」



美優「Pさんのお邪魔になるようでしたら、いいんですけど……」



モバP「ええ、構いませんよ。美優さんが一息つけるまで、俺もゆっくりしますから」



美優「はい、ありがとうございます……」





モバP「……」



美優「……」





美優「やっぱり……事務所に来て正解でした」



モバP「……?」



美優「人が多いところは、まだ慣れなくて……」



モバP「……慰労会は、楽しめませんでしたか?」



美優「いえ、とっても面白かったですよ。たくさんお話も出来て、いろんな方とお知り合いになれましたから」



モバP「ふふ、楽しめたのなら何よりです」





美優「少し疲れちゃいましたけど、やっぱりPさんの隣に居ると安心できますね。なんだか、落ち着きます……」



モバP「美優さんには、小さい子の面倒も見て貰ってますからね。俺が役に立つようでしたら、よかったです」



美優「子供は好きですから、気にしないでください……Pさんの負担が少しでも減るなら、私もうれしいですし……」



モバP「なら、日頃のお礼も込めて膝枕でもしましょうか」



美優「え?」



モバP「ほら、どうぞ。来てください」ポンポン



美優「……」



モバP「ふふ、冗談です」





美優「じゃあ……お願いします」ポテ



モバP「え、あら……」



モバP「美優さん、冗談ですからね? 真に受けないで下さい」



美優「今日、Pさんは打ち上げに来てくれませんでした。このくらいしても、いいと思います」



モバP「あはは……そう言われてしまうと、困っちゃいますね……」



美優「Pさん。いつも私が仁奈ちゃんにしてるように、してください……」



モバP「美優さん、あのですね……」



美優「……Pさんが来てくれなかったおかげで、私大変だったんですよ? 大勢の方に話しかけられて……」



美優「そのせいで、少し疲れてしまったかもしれません……」







モバP「……」ナデナデ



美優「……」





モバP「貴方は、こういうことする人じゃなかったと思ったんだけどなあ……」



美優「私だって、昔のままじゃありません。度胸だってついたんです。誰かさんが、恥ずかしい衣装ばっかり着せるから……」



モバP「……返す言葉が有りませんね」



美優「ふふっ……あたたかくて、心地良いです……」





美優「やっぱりPさんの傍が、一番安心できて、落ち着きます」



美優「でも……それだけじゃないんです。胸が締め付けられることも、ドキドキすることもあって……」



美優「この気持ち、大切にしたいって思ってても……それでも……」



モバP「それは、たぶんお酒のせいですね」



美優「違うんです。Pさん、私は……」



モバP「きっと、まだ酔いが醒めてないんですよ。大丈夫です。明日になれば全て元通りになりますから。ね?」







美優「……」ギュウ





美優「……試写会には、来てくれるんですよね?」



モバP「もちろん」ニッコリ



美優「わかりました……。今はそれで、我慢しますから……」







…………



……





ちひろ「はあー、ようやくお仕事終わりました……」



モバP「お疲れ様です。俺はまだ仕事が残っているので、先に上がってください。鍵は閉めておきますから」



ちひろ「プロデューサーさん、明日はお休みですよね? よろしければ、お仕事上がりに一緒に飲みに行きませんか?」



モバP「ええ、構いませんよ。それなら少しだけ待ってもらえますか? すぐに終わらせますので」



ちひろ「あれ……いいんですか、一緒に飲んでも? てっきり断られるかと思いました」



モバP「はあ。どうしてちひろさんの誘いを断るんです?」





ちひろ「いえ……だってアイドルの皆さんに誘われても、イベント以外はいっつも断ってるじゃないですか」



モバP「そうですね、二人きりのときは必ず断りますよ。それは彼女たちの信用に関わってきますから」



モバP「でも、ちひろさんはアイドルではありませんので、別に構いません」



ちひろ「ああ、そういうことだったんですか。それならちょくちょく誘えばよかったですね……」



モバP「ふふ。すぐに仕事を終わらせます。行きたい場所があれば、考えておいて下さいね」



ちひろ「はいっ 待ってますから」





ちひろ「プロデューサーさん、注いで下さい」



モバP「あの、ちひろさん。そろそろお酒は……」



ちひろ「……」ヒック



モバP「ほら、何か食べましょう? これなんかどうです? 店長のおすすめみたいですよ」



ちひろ「注いで下さい。早く」



モバP「は、はい」





ちひろ「あれー? プロデューサーさん全然飲んでないじゃないですかー」ヒック



モバP「飲んでますよ。それよりちひろさん、大丈夫ですか? 貴女、そんなに飲む人じゃありませんよね?」



ちひろ「もー、さっきから全然グラスが空いてないじゃないですかー。よーし注いじゃいますからー!」



モバP「あ、こら。ダメです、それ以上入りませんから! こぼれるこぼれる!」



ちひろ「飲めば入りますー。えへへー」



モバP「ああもう、ぐでんぐでんに酔っ払っちゃって……。ほんと、どうしちゃったんですか?」





ちひろ「うう……私だって……私だって好きで飲んでるんじゃありません。飲まなきゃやってられないんですよ!」



ちひろ「プロデューサーさんにはわからないんです。日々事務所で神経をすり減らす私の気持ちなんか、絶対に……!」



モバP「な、何かあったんですね? 話してください、力になりますから」



ちひろ「力になるですって? なんですかプロデューサーさん、そんな人事みたいに……。あ、いま面倒くさいって思いましたね?」



モバP「い、いえそんなことは」





ちひろ「大体ですね、事務所で起こる問題の八割はプロデューサーさんのせいじゃないですか! 人事みたいな顔しないで下さい!」



モバP「え、ええ? 何か書類に不備でもありますか?」



ちひろ「いえ書類は完璧です。いつもありがとうございます、私の優先順位まで考えてくれて」



モバP「あ、いえいえこちらこそ、ちひろさんには大変お世話になって……。じゃなくて、それなら何が問題になっているんです?」





ちひろ「知りたいんですか?」



モバP「それはそうです。ちひろさんがそこまで酔っ払うなんて、よほどの問題なんでしょう?」



ちひろ「本当に知りたいんですね?」



モバP「……え、ええ」



ちひろ「じゃあ、飲んでください。飲んでくれたら、教えてあげます。飲まなきゃ教えてあげませんから」



モバP「わ、わかりました。飲みましょう」





モバP「飲みましたよ。さあ、ちひろさん」



ちひろ「何言ってるんですか? それじゃあ飲んだうちに入りませんよ。これもです」







モバP「うぐ……飲みました」



ちひろ「まだこの瓶空いてませんけど。はい、注ぎますね!」





モバP「あ、あふぅ……」



ちひろ「うーん、だいぶいい感じになってきましたね……」



モバP「ちひろさん。もう、いいでしょう?」



ちひろ「そういえばプロデューサーさんって、イベントでも少ししかお酒飲みませんよね。どうしてですか?」



モバP「当たり前です。プロデューサーなんですから、飲むより、飲んだ後のことを考えないと……」



モバP「片付けとか、後始末とか……いろいろあるんですから、ね?」



ちひろ「店員さーん、ここからここまでのお酒持ってきてくださーい!」





モバP「う、うう……」



ちひろ「かなり辛そうですね。逆に、私は酔いが醒めてきましたけど……」



モバP「そろそろ、お願いします。これ以上は、持ちませんので……」



ちひろ「プロデューサーさん、それだけ飲んでも全然いつもと変わらないじゃないですか。もっとはしゃいだりしてくれると面白いんですけど」



モバP「ふふ……これでも、自制心には、自信があるんです。さ、ちひろさん。話してください……」



ちひろ「わかりました……」









ちひろ「店員さーん、お酒追加でーす!」





モバP「……」クラクラ



ちひろ「大丈夫ですか、プロデューサーさん?」



モバP「だれの……せいだと……」



ちひろ「そこまでして知りたいんですか?」



モバP「貴女に迷惑がかかるなら……知らないと……」



ちひろ「もうっ。プロデューサーさんがそうだから事務所がギスギスするんですからねっ!」



モバP「……?」





ちひろ「聞きますけど、プロデューサーさんってホモなんですか?」



モバP「なんですか、いきなり」



ちひろ「答えてください。これは事務所内トラブルTOP10に入る問題ですからね?」



モバP「違いますよ……」



ちひろ「本当ですか? あれだけアイドルから苛烈なアタックを受けておいて、何もしないなんて男性としておかしいのでは?」



モバP「どこの世界に、アイドルに手を出す、プロデューサーがいるんですか……」



ちひろ「手を出しちゃう方も居るみたいですけど」



モバP「そんなこと、死んでもしません……彼女達を、裏切ることになりますから……」





ちひろ「なるほど。でも違うんです。みんな言ってるんですよ、プロデューサーさんはそういう目で見てくれないって」



モバP「そういう目……とは?」



ちひろ「性的な目で、ということです。あの子達は異性からの視線に敏感ですからね。わかってしまうみたいなんですよ」



モバP「あたりまえです……自分の娘に、そういう目を向ける親なんて、いません……」



ちひろ「娘……? どういうことです?」



モバP「彼女達は……自分にとって、娘みたいなものです。俺がスカウトして、一から育てていって……失敗も、成功もあって、どんどん成長していく……」



モバP「それを見守るのが、何よりの喜びなんです。彼女達は……自慢の娘です。手を出すなんて、ありえません……」





ちひろ「な、なるほど、そういうことですか。これは、アイドルには聞かせられませんね……」



モバP「……うう」クラクラ



ちひろ「でもですね。貴方が溢れんばかりの愛情を注いだ結果、彼女達はいま爆発寸前なんですよ」



ちひろ「わかりますか? プロデューサーさんの父性で事務所がヤバイんです」



モバP「ど……どういうことです?」



ちひろ「いくらプロデューサーさんが我が娘のように見ていても、アイドルは貴方を親として見てはくれないってことです」



ちひろ「つまりですね、貴方のかわいい娘達は、貴方をそういう目で見てます」



モバP「……」



ちひろ「プロデューサーさん?」





モバP「やっぱり……そうですか……」



ちひろ「もしかして、気がついていたんですか?」



モバP「あの娘たちを、一番近くで、見てきましたから……。だからこそ、一線を越えさせないように、誤魔化してきましたが……」



ちひろ「その誤魔化しも、いつまでも効きませんよ? 彼女達、もう抑えるつもりも無いようです。プロデューサーさんの居ない事務所、修羅場ですもん……」



モバP「どんな様子、なんですか?」



ちひろ「知らないほうが良いです。うう、思い出しただけで、胃がキリキリしてきました……」



モバP「……す、すみません……」





モバP「でも……大丈夫です。時間が、解決してくれます……」



ちひろ「貴方は、あの光景を見てないからそう楽観できるんですよ!」



モバP「たとえ、傷つけることになろうとも……俺は彼女達を、トップアイドルにします……」



モバP「そうすれば……きっと、わかってくれます……。一時的な感情に流されるより……俺の判断が、正しかったと……」



ちひろ「プロデューサーさんは女心をまったく判っていませんね。彼女達は納得しませんよ、そんなことで」



モバP「いいんです……今は、判らずとも……いつか…………」





モバP「……いつかは……きっと…………」フラフラ



ちひろ「あれ、プロデューサーさん。もしもし?」



モバP「きっと……わかってくれます……」



モバP「そう、信じてます……あの娘達は…………良い娘…………ですから、ね……」パタリ







ちひろ「……寝ちゃいましたね……」



ちひろ「本音を引き出そうとして、飲ませ過ぎちゃいましたか。まだ聞きたいことがあったんですけど……」



モバP「zzzzz」





ちひろ「はあ、どうしましょう……」



ちひろ「この様子じゃ、プロデューサーさん、近いうちアイドルに襲われちゃいます」



ちひろ「そうなったら、貴方のことですから責任とって辞職しちゃうんでしょうね。それでは事務所崩壊は免れません……」



ちひろ「でも」





ちひろ「もしプロデューサーさんに一般人の彼女さんが居るなら、矛の収めどころもあると思うんですよ」



ちひろ「そう思いませんか?」



ちひろ「―――って私は聞きたかったんですけど」









モバP「zzzzz」



ちひろ「聞こえてますか、プロデューサーさん」チョンチョン



モバP「zzzzz」



ちひろ「……仕方ありませんね」















ちひろ「店員さーん、お会計お願いしまーす!」









FIN





おまけ





分岐�



モバP「ちひろさん。そもそも仕事に忙殺されて、一般人の彼女を見つける時間も、一緒に過ごす時間もありませんよ」



ちひろ「ええ、知ってます。プロデューサーさんの仕事ぶりは、ずっと見てきましたから」



モバP「やはり、一人ひとり、辛抱強く説いていくしかありませんね」



ちひろ「でも、多忙なプロデューサーさんと時間を共有できる一般人って、心当たりはありませんか……?」



モバP「……?」







→修羅場END









分岐�



モバP「ちひろさん。そもそも仕事に忙殺されて、一般人の彼女を見つける時間も、一緒に過ごす時間もありませんよ」



ちひろ「ええ、知ってます。プロデューサーさんの仕事ぶりは、ずっと見てきましたから」



モバP「やはり、一人ひとり、辛抱強く説いていくしかありませんね」



ちひろ「でも、多忙なプロデューサーさんと時間を共有できる一般人って、心当たりはありませんか……?」



モバP「……!」







→刃傷沙汰END







21:30│モバマス 
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