2013年11月17日

P「もう夏が来た……」

P「ので、田舎に戻ってみることにした」

P「……なのに」


雪歩「や ら な い か」

P「どうしてこうなった」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1373365109


※いちおう前スレの世界観と同じ↓ 

※今回は主に雪歩のみ登場

※書き溜めはなし


P「もうすぐ夏が来る……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1372939629/

P「ちょっと順番に話そうか」

雪歩「順番に?あ、式の日取りですか?やっぱり大安吉日がいいですかね?」

P「アグレッシブに違う」

雪歩「違うって……ま、まさか!」

雪歩「こ、子供ですか!?家族計画ですか!?ちょ、ちょっとそこまでは予習が……!」

P「落ち着け」


雪歩「いや……これは試練です……ぶっつけ本番でも私は……!」

P「ああもう……」

P「……とにかく順を追って一から説明してくれ」

雪歩「えーと、私はプロデューサーのことが好きじゃないですか?」

P「……そうみたいだな」

雪歩「で、プロデューサーは私のことが好きじゃないですか?」

P「……」


雪歩「プロデューサーは私のことが好きじゃないですか?」

P「……返事をしないと進まないのか?」

雪歩「プロデューサーは私のことが好きじゃないですか?」

P「……とりあえずそれでいい」

雪歩「両想いですね!私は指輪とかは気にしませんよ!目に見えるものよりも……」

P「説明を続けろ」


雪歩「はい。それで、今回プロデューサーが田舎に帰るということで」

雪歩「『雪歩!ついてきてくれ!俺にはお前しかいないんだ!!』って」

P「言ってないだろ。お前はじゃんけんで勝っただけだ」

雪歩「まあそういう言い方もできますね」

P「そういう言い方しかできない」

P「それで?」


雪歩「で、ついて行くにあたっていろいろ考えたんです」

雪歩「服は何がいいかとか」

雪歩「髪型はどうしようかとか」

雪歩「婚姻届はいるのかどうかとか」

P「……」

雪歩「……で、今に至るってわけです」

P「あのさ、それってなにも説明してなくね?」

P「1から10まで説明してほしかったのに、1,1,1,1,1,1,1,1,1,10みたいな感じですっ飛ばしたよね?雪歩もA級ジャンパーだったの?火星に住んでたの?」


真「もう……じゃあ何が聞きたいんですか?性感帯ですか?右の……」

P「もういい!しゃべるな!!」

P「はあ……とりあえず車に乗れ。このままここで話してたら職質でもされかねん」


――――


雪歩「わあー、高速を1時間も走るとすっかり田舎ですねえ!」

P「まあな」

雪歩「もう、どうしたんですかプロデューサー!?さっきから元気ないですよ?」

P「……いろいろ心労が多くてな」


雪歩「え!?な、何か悩みが!?」

P「いろいろとな……ところでこれだけ答えてくれないか?」

P「なんでツナギなんか来てきたんだ。しかも青の」

雪歩「うーん、それも説明すると2時間ぐらいかかりそうなんですけど」

P「簡潔に頼む」

雪歩「小鳥さんのアドバイスです」

P「2秒!?」

雪歩「以上です」

P「終わっちゃった!?」

P「だからなんでお前はそう0か100かみたいに極端なんだ……もう少し詳しく説明してくれ」

雪歩「まったく、しょうがないですねぇ」

P「く……!こいつ……!」

ちょっと皿洗い

雪歩「今回出発前に小鳥さんに相談したんですよ」

雪歩「プロデューサーって女の子とガチホモどっちが好きなんですかね、って」

P「選択肢がおかしいな」

雪歩「そしたら小鳥さんに『ガチホモなんじゃない?』って言われたんです」

P「あの鳥……」

雪歩「で、私はそれに納得して」

P「納得しちゃったんだ?」

雪歩「だって周りにアイドルがいっぱいいるのに手を出さないなんておかしくないですか?」

P「全員が恥じらいを持った年相応の中身だったら考えなくもないがな」


雪歩「普通だったら盗撮とか、痴漢とか、盗撮とか、覗きとかやってると思うんですよ」

P「うん、全部犯罪だな。クリミナル」

雪歩「クリ○リス?」

P「黙れ」

雪歩「ほら、私って男の人苦手じゃないですか?」

P「今となってはそんな設定あったな、って感じだよ」

雪歩「だからボーイズマスター小鳥さんにガチホモのことを教えてもらったんです」

P「ああ、もうわかった……」

雪歩「そしたら、勇者阿部さんとかバラライカ=やらないかとか……」

P「もう何を突っ込んでいいかわからん」


雪歩「え?突っ込むものは一つしかなくないですか?」

P「……」

雪歩「ま、まさか……プロデューサーには二本!?」

P「思考がおかしい」

P「とりあえずそんなもん着てて熱中症になっても知らんぞ」

雪歩「あ、じゃあ脱いだ方がいいですかね?」

P「好きに……」

P「……ちょっと待て。下には何を着ている?」

雪歩「なにも」

P「」


雪歩「知らないんですか?ツナギと浴衣は下に何もつけないのが常識ですよ?」

真「……あ、エプロンもでしたかね?」

P「わかった……俺が悪かったから」

雪歩「じゃあ脱ぎますね」ヌギヌギ

P「やめろ!」

――――



>>17
ミスった
真→雪歩に訂正

雪歩「あ。ありがとうございます!」

雪歩「でもタンクトップだけだとノーブラですよ?」

P「だから二枚買ってきたんだ」

雪歩「ま、私が本気出したらいくら二枚来てようと主張しますけどね」

P「なにが……いや、いい」

P「とにかく早く車の中で着替えろ」

雪歩「はーい」

――着替え中……――


雪歩「お待たせしました」

P「うん、だいぶ涼しげになったな」

雪歩「ってことはやっぱりプロデューサーは女の子が好きなんですか?」

P「当たり前だ!」

雪歩「じゃあやっぱり一枚いらないですね」ヌギヌギ

P「脱ぐな!」

雪歩「冗談ですよ。私が見せたいのはプロデューサーだけですから!」

P「ありがとう?」

雪歩「あ、プロデューサー!ソフトクリーム売ってますよ!」

P「ああ、いいな」

……


真「おいしいですぅ!」

P「そりゃなにより」

雪歩「そうだ……こうして……」

雪歩「……見てください、プロデューサー!」

P「……」

P「……口からゆっくりクリームを垂らしてどうしたんだ?」

雪歩「捗りませんか!?」

P「捗らない」

雪歩「なーんだ……」


またミスった……
>>24 真→雪歩に訂正

雪歩「でも高速のSAっていいですね」

P「ああ。俺も好きだ」

雪歩「私とSAどっちが好きですか!?」

P「なんか旅行ってカンジするよな。暑い日差しの中こうしてアイスを食ったりするのも好きだ」

雪歩「無視!?」

P「もうセミが鳴いてるなあ」

雪歩「プロデューサーはセミ取りとかしたんですか?」

P「……あんまりそういうこともなかったかなあ」

P「もう俺が子供のころにはファミコンとか出始めてたしな」

雪歩「そうなんですか」

雪歩「あ、そうそう!そういえばセミで思い出したんですけど」

P「ん?」

雪歩「あの音を出す時の振動って、自分を慰めるときに有効活用できないですかね?」

P「台無し」

――――


雪歩「お天気が良くてよかったですねー」

P「そうだな。もう梅雨も明けたしな」

雪歩「私、やっぱり窓を開けてる方が好きです。エアコンの方が涼しいのはわかってますけど」

P「まあな。わからんでもないが」

P「今は高速だからやめてくれ」

雪歩「そう言えば時速何キロだかの風の感触って、おっぱいの感触と同じらしいですね」

P「そうらしいな。開けるなよ?」

雪歩「……」

P「……」

ウィーン

バタバタバタバタバタ!!!!

P「開けるな!!」


雪歩「あれ?ふりじゃなかったんですか?」

P「んな訳あるか!閉めろ」

雪歩「ちょっと感触を味わってから……」

雪歩「……あぁ〜……あずささん……ハァハァ」

P「閉めろ!」

雪歩「残念……」

ウィーン

P「ったく、小学生じゃないんだからやめてくれ。危ないし」

雪歩「……」

P「自分の胸を揉むのもやめろ」


雪歩「全然感触違うんですけど」

P「そりゃそうだ」

雪歩「なんでですか!?私がちんちくりんだからですか!?」

P「んなこと言ってないだろ!」

雪歩「だって60キロでおっぱいなんでしょ!?今は100キロ以上出てるからあずささんくらいあるに決まってるじゃないですか!!」

P「もうよくわからん」

……


P「もう着くぞ」

雪歩「ここ山の中じゃないですか?」

P「山っていうな」

雪歩「森?」

P「……」

……


P「……疲れた」

雪歩「着いたんですか?ここ駅ですか?」

P「ああ、俺が子供のころの最寄駅だ」

雪歩「ほぇー」ガチャ

P「……あんま変わってないな」ガチャ

P「うー……ん……ふぅ」

雪歩「なんていうか……趣のある駅ですね!」

P「……別にはっきり言ってくれて構わないぞ」

雪歩「ボロいですね!!」

P「はっきり言えとは言ったが大声で言えとは言ってない」

雪歩「でも誰もいないからいいじゃないですか。タクシーぐらいですよ?いるの」

P「まあな……」


雪歩「ここ、人住んでるんですか?」

P「失礼だな君は」

雪歩「ここ電車も来るんですか?トロッコじゃなくて?」

P「……ほんとに失礼だな、君は」

雪歩「すいません……あ、じゃあいいところも探します!!」

P「わざわざ探す宣言されてもな……」

雪歩「えーと……」

P「……」

雪歩「……」

P「……」

雪歩「……」

P「……」

雪歩「……きた!」

P「……なんだ?」

雪歩「露出プレイとかし放題ですね!」

……


P「うん、回ってみたけどやっぱあんまり変わってないかな」

P「……でも、全体的に小さくなった気がするな」

P「高校以来だから、身長はそんな変わってないはずなんだけどな……」

P「……」

雪歩「プロデューサー!見てくださいこれ!」

P「ん?おお、クワガタか」

雪歩「こ、こんな普通にいるものなんですね!しかも昼間!」

P「そうだな。学校とかにいたこともあるしな」

雪歩「へぇー、クワガタって普通森にいるものだと思ってました!」

P「まあ周りに自然も多いしな」

P「……学校、か」


雪歩「……これを……洗濯バサミ代わりに……ハァハァ」

P「何を考えてるかわからんがとりあえず逃がしてやれ」

雪歩「あ、はい」

雪歩「で、なんで駅に来たんですか?実家に行くのでは?」

P「ん……なんとなくな」

雪歩「ああ!?」

P「どうした?」

雪歩「私、お義父さんお義母さんにあいさつの品物買ってませんでした!!」

P「……」

P「勝手に義理にするな」


雪歩「あわわわ……こ、ここの駅で買ってもいいですかね!?」

P「すぐ地元の駅で買ってどうするんだ……その場しのぎ感丸出しだろ」

雪歩「うぅ……こうなったら伝説のツナギを献上するしか……!」

P「……そんなことは考えなくてもいい」

P「それより、もう行くぞ」

雪歩「ぅ……はい」

P「ちょっと学校に寄ってもいいか?」

雪歩「もちろんですぅ」

雪歩「あ、駅に来たのってそれでですか?でん……トロッコで移動するとか?」

P「わざわざ言い直すな。普通に車で行く」


P「そうだ、飲み物買っとかないとな」

雪歩「あ、私買ってきます!」

P「悪いな。頼む」チャリン

P「雪歩も好きなの買って来いよ。水分はちゃんと取っとかないとな」

雪歩「何がいいですか?」

P「なんでもいい。っていうかどうせお茶とかスポーツドリンクとか普通なのしか売ってないだろうし」

雪歩「わかりました!」タタタ……

……


雪歩「戻りました!」

P「ああ、サンキュ……」

P「ってなんで赤マムシなんだよ!?」

雪歩「え?なんでもいいって言ったじゃないですか?」

P「く……っていうかなんでこんなのが売ってるんだ」

雪歩「私のと交換しますか?」

P「お前も赤マムシじゃねえか!!」

雪歩「違います、赤マムシDX抹茶風味ですよ」

……


P「おおー……懐かしい……」

雪歩「高校ですか?」

P「ああ」ガチャ

雪歩「へぇー……」ガチャ

P「……」

雪歩「うーん……空気が気持ちいいですねー!」

P「うお!」

雪歩「どうしたんですかぁ?」

P「プールができとる……」

雪歩「覗きに行きますか!?」

P「行くわけないだろ……しかし、俺たちがいた時に作ってくれてもよかったのに」


雪歩「覗きに行きますか!?」

P「……それ以外は変わってないかな」

雪歩「あぅ無視……」

雪歩「でも、プールもですけど校舎自体もきれいですね」

P「ああ、俺がちょうど入学するときにリフォームされたからな」

P「まだ7,8年? しか経ってないんじゃないか?」

雪歩「あ、鉄棒がありますよ!」

P「うん」

雪歩「やってもいいですかね!?」

P「アホ。今は敷地に入っただけで下手したら通報されるんだぞ」

雪歩「ええー。私、現役高校生ですけど、ダメですかね?」

P「……変わったんだよ」

雪歩「うーん、鉄棒って気持ちいいから好きなのに……」

P「……」


雪歩「あ、上り棒もありますよ」

P「ああ、隣の小学校とグラウンドとかを共用にしてる変な学校だったからな」

雪歩「プロデューサーも上り棒で上下運動してたんですか!?」

P「……間違ってないが、お前が言うと素直に返事をする気になれない」

雪歩「ハァハァ……あ、タンクトップだから気をつけないと……主張しちゃう」

P「……」

P「……よく見ると、少し風景も変わったな」

雪歩「え?田んぼしかないじゃないですか?」

P「ほんとうにきみはしつれいだな」

P「……行くか」


あと少しで書き終わりそう。書き終わり次第一気に投下開始するんでしばしお待ちを

書き終わった。投下

雪歩「ついにご挨拶ですね!!」

P「いや中学校にも行きたい。いいか?」

雪歩「構いませんよ。でも、時間大丈夫なんですか?」

P「ああ。別に家のとこに行っても長居できないしな」

雪歩「……家のとこ?」

P「行くぞ。しかし外あっついなー」

雪歩「あ、待ってくださいよー!ダーリン!!」

P「さりげなく言うな」

……


P「おお、こっちもあんま変わってないな」ガチャ

雪歩「へー、やっぱり少し小さいですね」ガチャ

P「まあな……んー……」

雪歩「すぐ裏に川があるじゃないですか!」

P「ああ、よく行ったよ。禁止されてたけどな」

雪歩「ふふ、プロデューサーは悪い子だったんですね」

P「いやそれが普通だったんだ」

P「大体黙認状態だったし、学校帰りに釣りしたり冬は氷わりしたり……」

雪歩「不良……不良のプロデューサーが『雪歩に手を出すな!!』って守ってくれて……えへへ」

P「うん、聞いてないな」

雪歩「行ってみましょうプロデューサー!気持ちよさそうですよ!」

P「ん……まあいいか」

……


雪歩「ふわぁ……水に近くに来るだけでだいぶ涼しくなりますね!」

P「だな」

P「ここは変わってないな……」

P「……懐かしい」

P「よっ!」

パシュパシュパシュ

雪歩「うわあ、プロデューサー水切り上手ですねー」

P「昔よくやってたからな。雪歩もやってみれば?」

雪歩「ええ!?私もですかぁ!?」

P「いや別に無理にとは……」

雪歩「……そんなに私の(水切り)が見たいですか?」

P「うん、かっこの中まで言えばよくね?なんでかっこつけたの?」


雪歩「うーんと……じゃあこれで」

雪歩「え、ええーぃ!」

ポチャ

雪歩「うう、やっぱり無理ですよ……」

雪歩「コツ教えてくださいよ、プロデューサー。脱ぎますから」

P「脱がないなら教えてやる」

雪歩「じゃあ……しょうがないですね」

雪歩「教えていただかなくてもいいので脱ぎます」

P「やめろ!」


雪歩「でも私にはできる気がしないです……プロデューサーは何回くらいですか?」

P「何回?」

雪歩「何回跳ねるのかなって……あと何分ぐらい持つのかなって……」

P「川だし5回くらいじゃないか?」

雪歩「か、皮被ってるし5分ですか……ミジカイ」

P「ご・か・い・な?」

雪歩「やっぱり私には無理そうです……」

P「はは、まあ女の子には無理かな」

P「もし5回以上できたらなんでもご褒美やるよ」

雪歩「……」

雪歩「……ほんとですか?」


P(あれ?雪歩の周りの空間が歪んで見える?)

雪歩「ほんとにご褒美くれるんですか?プロデューサー?」

P「……いや」

雪歩「ええー!?嘘つくんですか!?」

P「く……で、でも5回じゃ俺と同じだろ?それじゃご褒美は……」

雪歩「じゃあ6回以上ならいいんですか?いいんですね?」

P「……うーむ」

雪歩「約束ですよ?」

雪歩「うーん、何倍くらいかなぁ……?」

P「な、何倍?」


雪歩「……ふぅー……」

雪歩「……は!」

P「!?」

雪歩「ふぅ……」

P「……ユキホサン?」

雪歩「はい?」

P「ナニ?ソレ」

雪歩「界王拳ですよ。知りませんか?」

P「か、界王拳!?」

雪歩「ええ。真ちゃんから教えてもらったんです」

雪歩「もっとも私は4倍までしかできないですけどね」

P「……」


雪歩「それでは……」

雪歩「……ふっ!」

ピシュピシュピシュピシュピシュゴッ!!

P「……」

雪歩「あー……向こうの石にめり込んじゃいましたね」

P「……アウト、ですよね?」

雪歩「そうですね」

P「じゃ、じゃあこの話は……!」

雪歩「ネクストチャレンジですね!回数制限なんて決めてませんでしたし!」

P「……oh」

……


――車内

P「結局、7回も水切りをやったとさ。やられたとさ」

雪歩「プロデューサー?誰に話してるんですか?」

P「さあ誰だろうな……」

雪歩「でも約束は約束ですからね!えへへ」

P「……」

雪歩「ちなみにプロデューサーは今印鑑は持ってますか?」

P「……いや」

雪歩「そうですか。じゃあご褒美に何が欲しいかは戻ってから言いますね!」

P「……」

雪歩「えへへー、楽しみだなぁ」


P「……ちなみに界王拳は他にも使えるやつはいるのか?」

雪歩「わかんないです。真ちゃんは10倍まで使えることは知ってますけど」

P「じゃ、10倍!?」

雪歩「今日の私が4倍で、そのあと2倍に下げたんですよ」

雪歩「それであの力だから……真ちゃんは怒らせないほうが賢明ですよ?」

P「……理解した」

P「って、あれ?」

雪歩「どうしました?」

P「……」

雪歩「?」


P「……やっぱりか」

雪歩「何がですか?」

P「通ってた小学校がなくなってる」

雪歩「え?」

P「いつの間にか取り壊されたみたいだな」

雪歩「……」

P「そうか。まあ元々人数少なかったからなあ」

雪歩「じゃあ私たちで少子化に歯止めをかけますか!?」

P「……行くか」

雪歩「あ、あれ!?」

雪歩「……つ、次こそプロデューサーのご実家ですか……!」

P「ああ。ただ正確には」

P「実家だったところ、だけどな」

……


雪歩「……」

P「……」

雪歩「原っぱですね」

P「原っぱですね」

雪歩「『原っぱですね』じゃないですよう!実家じゃないんですか!?」

P「いやあ、夏だから草がぼーぼーだな。よく育ったもんだ」

雪歩「うう……やっぱり私なんか実家に連れていきたくないですよね……」

P「いや、そういうことじゃない」

雪歩「じゃあなんなんですか?場所でも忘れたんですか?」

P「ここで合ってるよ」

雪歩「ここ……」

P「実家があった場所だ」


雪歩「……実家が……あった……?」

P「……」

雪歩「……」

雪歩「……聞いてもいいですか?」

P「別に大した話じゃないよ」

P「俺の両親は元々年だったからな。俺が生まれた時点で」

P「大学1年で親父、4年でお袋が死んじまったんだ」

雪歩「……」

P「家は親父のものだったが、土地は違ってな」

P「誰も住まない家に金は払えない。俺も大学に通っていたし、そもそも金もない」

P「……結果、家は取り壊し。以上」

雪歩「あ、あの……」

P「別に気を遣わなくてもいいぞ?もう昔の話だし」

雪歩「……」


雪歩「……先日夏のことで落ち込んでたのは、このことも関係してたんですか?」

P「……」

P「……それもあったのかもな」

P「俺の夏の思い出ってのは、再現しようとしても無理だからな。物質的に無理だ」

P「プールが終わった後に帰る家も、汗だくで帰ったとき出てくる麦茶もなくなっちゃったよ」

雪歩「……」

P「はは、実は小学校もなんとなく予想してたんだ」

雪歩「え?」

P「取り壊しになることさ。まだ俺が地元にいた時から合併の話はちょくちょく出てたし」

P「22になったら届くはずのタイムカプセルだって、結局来なかったしな」

P「取り壊しが決まったらその時に取り出すんじゃないのか?って感じだけどな」

雪歩「プロデューサー……」

P「まあしょうがないな」


P「俺の思い出の場所は、形としては何も残っちゃいない」

P「でも今は帰る場所もあるしな」

雪歩「……帰る場所」

P「ああ、この前落ち込んでたらみんなが励ましてくれただろ?」

P「……まあかなり怪しいが」

P「それでも今は765プロが俺の帰る場所だよ」

雪歩「……」

P「さ、それじゃ帰るか。もう日も沈みそうだし」

雪歩「……」


雪歩「待ってください」

P「んー?」

雪歩「さっきのご褒美ですけど」

雪歩「今、使ってもいいですか?」

……


P「おいおい無理だって」

雪歩「意外にやってみれば何とかなりますよ!」

P「いや場所もあやふやだし……校舎もなくなってるからほんとにわかんないんだよ」

雪歩「プロデューサーは大体の場所だけ言ってくれればいいんです」

雪歩「あとは私がやりますから」

P「やりますからって……」

雪歩「さ、早く。時間もないですし」

P「無理だって……どんくらい中庭が広かったと……」

雪歩「できます」

P「……雪歩」

雪歩「できます」

P「界王拳か?」

雪歩「……ふざけてるんですか? ……まあ使いますけど」


P「だってなあ……」

雪歩「できます」

P「だからできるって理由が……」

雪歩「できるまで、あきらめないからです」

P「……」

雪歩「プロデューサーが、いつも言ってることでしょう?」

雪歩「できるまで、あきらめるな」

雪歩「あきらめなければできるようになる。たとえ時間はかかっても」

P「……」


P「なんでそこまで……」

雪歩「私がそうしたいからです。765プロの仲間だからです。他のみんなだって、もしここにいたらそうすると思うからです」

雪歩「まだ理由が必要ですか?」

P「……」

雪歩「必要ならまだまだ言いますけど」

P「……」

P「ふぅ……」

P「……わかった。俺の負けだ」

P「とりあえず、やるだけやってみるか」

雪歩「やるだけ、じゃないです。できるまであきらめないんです」

雪歩「……きっと、プロデューサーの思い出を掘り出して見せます」

……


―19:00

P「ふぅ……って、うお!?」

ザクザクザクザク

P「お、おれの5倍以上掘ってる!?」

P「ゆ、雪歩……」

雪歩「はぁ〜テレビもねぇ、ラジオもねぇ、電車もそれほど走ってねぇ♪」ザクザクザクザク

P「……」

……


――19:30

P「いてて……」ザク

P「手が……」

P「……ゆきほぉ〜」

雪歩「住み慣れたぁ〜我が家に〜花の香りを添ぉえて〜♪」ザクザクザクザク

P「……なんだこの幾三押しは」

……


――20:00

P「ゆ、雪歩!これ以上掘ったら地形が変わっちまうぞ!?」

雪歩「大丈夫ですよお。大地は!負けない!」

P「いや負けないって……」

……

――20:30

P「くそ、肉刺が……もう限界だ」

P「……雪歩」

雪歩「……」ザクザクザクザク

P「雪歩ももう幾三パワーが尽きてるじゃないか……」

P「……いや」ザクザク

雪歩「……」ザク……

雪歩「プロデューサー?」

P「なんだ?」ザクザク


雪歩「きっと、このためだったんですね」

P「このため?」ザクザク

雪歩「私がじゃんけんで勝った理由ですよ」

P「……」

雪歩「私、地属性ですから」

P「……そういうことか」

雪歩「そう考えるとなんか理由があって私が選ばれたみたいでなんだかうれしいです」

P「……そうかい」

雪歩「でも、プロデューサーが一人なら連れて行ってもいいって言ったとき揉めましたねぇ」ザクザク

P「ああ」ザクザク

雪歩「でも、プロデューサーがそう言うなんて、意外でした」ザクザク

雪歩「私たちが勝手に盛り上がってただけだったのに……ふふ」ザクザク

P「……」ザク……


P「……ここ、ど田舎だろ?」ザクザク

雪歩「そうですねー」ザクザク

P「だから、地元のやつらは基本的に外に出て行くんだよな」ザクザク

雪歩「外?」ザクカン

P「ああ。大学に進学するときか、就職するときか」ザクザク

P「だから、戻ってきても知り合いもいなくてな」ザクザク

P「正直、少し怖かったのかもしれない」ザクザク

P「出迎えてくれる人もいない。知ってる人も少ない。思い出の場所もどんどん……」ザクザク

雪歩「……」カンカン

P「はは、自分でもよくわからん。ただとにかくこっちとは疎遠になってたんだ」ザクザク


P「ただ、この前みんなで励ましてくれただろ?」ザクザク

P「それで……こっちの様子を久々に確かめる気になったんだ」ザクザク

P「で、そう考えた時」ザクザク

P「……横に誰かにいてほしいと、ふと思ったんだ」ザクザク

雪歩「……」カンカン

P「……今の仲間にさ」ザクザク

雪歩「プロデューサー……」カンカン

P「ところでさ」ザクザク

雪歩「はい?」カンカン

P「さっきからカンカンいってるのは何だ?」ザクザク

雪歩「……えっ!?」

……


――20:45

P「……」

雪歩「……これですか?」

P「わからん」

P「とりあえず周囲の土を払って……」ザッザッ

P「19XX年度卒業生……えーと」

P「……これだ!」

雪歩「ほ、ほんとですか!?」

P「ああ、おそらく間違いないと思うが……」

P「ぬぐぐ……!」

P「……駄目だ、開かない」

雪歩「貸してください」


P「……壊すなよ?」

雪歩「私にとってスコップは手とおんなじですよ?」

雪歩「……ふっ!」

ガッ!!

P「……開いた!」

雪歩「やりましたぁ!」

P「お前、すごいな……」

雪歩「えへ、見直しましたか?」

P「あ、ああ……」

雪歩「それよりほら、中身はどうですか?」

P「あ、ああ……」ガサガサ


P「……」

P「……あった」

雪歩「お手紙ですか?」

P「うん……」

P「『10年後の僕へ』」

雪歩「……」

P「……」

『こんにちは、お元気ですか?』

『10年後の僕は何をしていますか?』

『22歳になっていると思います』

P「そりゃなってるだろ」


『働いていますか?大学生ですか?』

『今の僕にはわかりません』

雪歩「小学校を卒業したときに書いたんですか?」

P「ああ」

雪歩「……なんだか大人っぽい文章ですね」

P「……生意気だったんだろ」

『今の僕は人の役に立つことが好きです』

『だからきっと』

P「――人の役に立つことを、しているとおもいます」

雪歩「……」

P「がんばってください……か」



雪歩「……」

P「……」

雪歩「……」

P「……ありがとな、雪歩」

雪歩「いいえ」

P「……」

P「そうだ」

雪歩「はい?」

P「空、見てみろ」


雪歩「空?」

P「ああ」

雪歩「……!」

雪歩「うわあ……!」

P「……思い出したよ」

雪歩「……」

P「当時、空が好きだった」

P「人が少ないからさ、明かりも少なくて」

P「夜はとんでもない量の星が見えるんだ」

雪歩「……」

P「そうだった……」

P「これを見に来るだけでも、戻ってくる理由になるかもな」


雪歩「そうですよ!」

P「うわ……」

雪歩「すごい!ほんとにすごいです!!」

P「はは……だろ?」

雪歩「ほんとに……こんなに星ってあったんですね!」

P「俺も忘れてたよ」

P「……雪歩が、思い出させてくれたんだよ」

雪歩「……」

雪歩「……ふたり分の――」

P「……?」


『ふたり分の星空を 君は手で囲った
 
 陽の匂いのする草を 僕は手に結んだ

 風を背に今、僕らが走り抜けたよ あの大空 目指してた

 遠くへ 遠くへ

 越えてよく遥か夏も 渡る川の流れも

 いつか変わって いつか忘れて

 同じ思い守れずにいる』

P「……」


雪歩「遠くなる遥か夏よ 流る川の町で 僕ら遊んだ 僕ら生きてた」

雪歩「今も覚えてる――」

P「……」

雪歩「……」

雪歩「……もう、悲しくなりませんか?」

P「……そうだな」

雪歩「……ふふ、良かったです」

雪歩「それに、これで……」

P「?」

雪歩「この場所に、新しい思い出ができたんじゃないですか?」




後日。

P「あの後穴を埋めた」

律子「穴を埋めた……!?」

P「二人とも運動してヘロヘロだった」

真美「ふ、二人とも運動してヘロヘロ……!?」

P「時間もだいぶ遅くなっていたので、しょうがなく車内で仮眠した。次の日に用事もあったし」

真「しゃ、車内で一泊!?」


P「次の日、役場に行った(タイムカプセルの中身を預けるため)」

千早「二人で役場に……!?」

あずさ(こ、婚姻届!?)

P「もちろん雪歩はそのまま寝せておいた」

亜美「スキル『紳士の優しさ』発動!?」

P「結局、甘えだったんだよな」

伊織「甘え!?甘えたの!?甘えられたの!?」

P「自分が動いてなかっただけで」

響「じ、自分は動かなかったのか!?つまり雪歩が……!?」


P「何かすれば思い出はできるんだ」

貴音「ナニをすれば赤ちゃんができますね」

P「もしかしたらあの頃のようにキラキラはしてないかもしれないけど」

美希「ミキはキラキラしてるの!じゃあミキをお嫁さんにすればいいって思うな!」

P「それでも、行動することで思い出はできるんだ」

春香「二人きりの思い出ですね!!」



P「俺にはそれが、わかった」



P「で、帰ってきたら……」



雪歩「プロデューサーと〜♪ 一夜の軌跡〜♪」



P「……」




雪歩「――新日本ハ〜ウス〜♪」



P「!?」



やよい「うっうー!今日も765プロはみんな仲良しですー!」



おわれ


以上。読んでくれた方乙&ありがとうございました。

追記

前回の米見たら死にたくなった人が多かったみたいなので、今回は少しは前向き風味を加えてみたんですが……
>>86さん、すいません
ちょっと変わったことで賛否あると思うけど、まあ知ったこっちゃないよね

ちなみに私も消えてなくなりたい気分になっている一人ですが

08:24│アイマス 
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