2013年11月18日

モバP「ハッピーバースデー」

桐野アヤの短編SSです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1365431939

アヤ「き、急に来るんじゃねぇよ! ビ、ビックリしたじゃねーか。 こっちにも心の準備ってやつがぁ…… まったく」


アヤ「…… でも、ありがとな!」

アヤ「それにしてもオフの日にプロデューサーが訪ねてくるなんてな。仕事はどうしたんだよ?」

P「半ドン、有給は全然使ってなかったからな。これくらいは許されるさ」

アヤ「まぁ入れよ。つーか誕生日に花束ってチョイスがベタなのか下手なのか……」

P「おかしいか?」

アヤ「正直祝われてる当事者じゃなかったら爆笑してるね。 玄関明けたら花束持ったスーツの男って時代錯誤のメロドラマじゃあるまいし」

アヤ「しかもいつもどーりの仏頂面。 フフッ」

P「そんなに笑うな」

アヤ「悪い悪い」
アヤ「それにしてもこんな花束いけれる花瓶なんてないぞ。どうすんのさ」

P「……」

アヤ「乙女の部屋をじろじろ見回してんなって」シュッ

P「ぐあっ」ドカッ

P「乙女はそんな足癖悪くないと思うんだが」

アヤ「アタイは乙女って柄じゃないだろ!」

P「自分で言ったくせに、いけしゃあしゃあと…… しかもこんな乙女チックな部屋に住んでながらそのセリフかよ」

アヤ「ぬぐっ……」

P「また増えただろ、人形」
アヤ「可愛い子は、日々生まれてくるんだから仕方ないだろ!」

P「まぁこの話はここまでにしておいてやる」

アヤ「なんで上から目線――」

P「誕生日プレゼントが花束だけってのもあれだからな、花瓶でも買いに行くか?」

アヤ「…… いいの?」

P「一年に一回の誕生日だ」

アヤ「んー…… まぁそこまで言うなら、好意に甘えようかな」

P「よし、じゃあ早速だが出るか」

アヤ「家に入った意味あったのか?」




――――――

アヤ「お待たせ」バタン

P「ずいぶんめかしこんできたな」キュルルブロロロ

アヤ「少しは乙女っぽくなっただろ?」ニヒヒ

P「あぁ、可愛いぞ。すごくな」

アヤ「んなぁっ////」

P「ふっ」

アヤ「何だよその余裕! むっかつく〜」////

P「顔真っ赤で凄まれてもな」
アヤ「これどこ向かってんの?」

P「近所のショッピングモール。意外とでかいし、雑貨屋も数あるだろ」

アヤ「アンタあそこ好きだな、この前メシに行ったのもあそこじゃん」

P「不満か?」

アヤ「いや、アタイも人のこと言えなかったや。ヘレンとか杏と遊ぶ時もよく使うし、あそこ」

P「曲何かかけるか?」

アヤ「何がある?」

P「うちの事務所で出した曲は一通り」

アヤ「ラジオつけて」

P「ん」

アヤ「みんなの曲なら耳にタコができるくらい聞いてるしね」



――――――

アヤ「アタイの変装はどうよ?」

P「大丈夫だと思う。 ちょっとやそっとじゃばれんだろう」

アヤ「よかった」

P「雑貨屋、でかい方から回るか? それとも小さい方から?」

アヤ「おっきい方から」

P「あいよ」

アヤ「あっちの方が見てて面白いものいっぱいあるんだよな」

P「本題を忘れてないか?」



――――――

P「どうだ?」

アヤ「う〜ん、この落語カルタとかケイトが喜びそう」

P「すっかり趣旨ずれてるじゃねえか」

アヤ「せっかくのショッピングなんだから、少しくらい寄り道したって罰はあたらないだろ」

P「…… 一理あるな」

アヤ「あ、この抱き枕買って行ったら杏が余計働かなくなりそう」

P「このタオルケットも買っていったらあいつ事務所に住みだしそうだ」



――――――

P「うわ、この絵本とか懐かしいな。俺がガキの頃読んだやつじゃねえか」

アヤ「知らないのも結構あるな。やっぱり絵本も新しいの出ていってるんだな」

P「仁奈に一冊買っていってやるか」

アヤ「あ、ずるいぞ! アタイも買っていって好感度上げよ!」

P「そういう意図はねえよ」

――――――

アヤ「あ、これ蘭子の使ってるスケッチブック」

P「案外いいもの使ってるんだな」

――――――



アヤ「ふぅ」

P「結局普通にウィンドウショッピングしてたな」

アヤ「まぁいいじゃん、たまにはこういうのもさ」

P「…… たまにはな。 しょっちゅう付き合わされてたらくたびれちまう」ポリポリ

アヤ「へへへ、満更でもないんだ」

P「お前人の話聞いてたか?」

アヤ「さっき鼻の頭掻いた」

P「?」

アヤ「それプロデューサーが照れた時にやる癖だよね、アタイも最近志乃さんに言われて気づいたんだけど」
P「……////」

アヤ「赤くなってやんの」ニヤニヤ

P「…… 本題の方は決まったのか?」

アヤ「はいはい、ちゃんと選んでますよ。花も家でくたびれてるだろうし、さっさと買って帰ってやろう」

P「あぁ」

アヤ「それにしてもさ」

P「ん?」

アヤ「アタイの誕生日を覚えてるなんて、アンタも抜け目がないな」

P「何だ、唐突に」
アヤ「へへ、しっかり者って事だよ、さすがアタイのプロデューサーだぜ」

アヤ「ま、花は買ってくるくせに花瓶がないのを想定してなかったり、抜けてるところがあるのも知ってるけどな」

P「…… うるせ」ポリポリ

アヤ「へへ、えへへ」////

――――――

P「本当にこんな安いのでよかったのか?」

アヤ「ただでさえ花束も貰ってるんだ、ついでの花瓶はあんなもんで十分」

アヤ「それに結構シンプルなデザインで気に入ってるんだ」

P「それなら良かった。じゃあ帰るか、それともどっかまだ寄りたいところでもあるか?」

アヤ「んー、いや無い――」

アヤ「こともないか。後一つ寄り道したいんだけど」

P「どこだ?」

アヤ「ここ来る時は毎回寄るんだけどさ、ドールショップがあるんだ。見るだけだからすぐ済むし」

P「ん、それじゃあ寄るか」



――――――

アヤ「ふわぁぁぁぁああぁ」////

P「本当、ファンに今のお前の姿見せてみたい気もするよ。絶対見せないけど」

アヤ「だってこんな可愛い子達が所狭しと並んでるんだぜ? 頬が緩まないのは女の子じゃないって」

P(意外とこういう面を押し出すのもありか?)

アヤ「あぁ〜、この子の着てる服かわいすぎる〜。こっちの子は瞳が綺麗で凛々しい〜」////

P「幸せそうだな」

アヤ「もちのろん! それに、このお店に何ヶ月か前に来た女の子がアタイの好みどストライクで、いつかお迎えしようって思ってるんだ!」

P「へぇ、どの子だ」

アヤ「レジの後ろの棚、上から二番、右から八番目の子だよ!」

P「…… その棚には人形はいないぞ」

アヤ「え? …… 嘘っ!?」
アヤ「嘘…… つい一週間前にはいたのに…… 」

P「本当にその棚にいた人形なんだな?」

アヤ「……」コクン

アヤ「他の棚にもいない…… たぶん、他の誰かに先を越されたみたい」

P「……」

P「店員さん」

店員「はい?」

P「そこの棚にいた人形は売れてしまったんですか?」

アヤ「プロデューサー、もういいよ……」

P「いいから」

店員「ええ、六日前に買い手がつきました。今日引き取りにお見えになるそうです」

アヤ「……」






P「俺が買い手のPです」





アヤ「へ?」

店員「あぁ、そうでしたか。梱包は終わっております、引換証はお持ちですか?」

P「はい、これですよね」スッ

店員「お買い上げありがとうございました。大事にしてあげてくださいね」

P「どうも。…… アヤ」

アヤ「はいっ」

P「誕生日おめでとう」サッ

アヤ「え? へ?」////

P「大事にしてやれよ、この子のこと」

アヤ「は、はい…… 」////
P「……」ポリポリ

アヤ「……」////

店員(リア充もげろ)

アヤ「えっと、どういうこと? これ」////

P「実はそっちが俺の誕生日プレゼントで、花は事務所のみんなからなんだ」

アヤ「どうしてアタイがこの子が欲しいこと知ってたの?」

P「ここに来る時は毎回この店にくるんだろ。そしてヘレンや杏と遊ぶ時に、このショッピングモールに来たことを俺は知っていた」

アヤ「ヘレンや杏たちから聞いたの?」

P「あぁ」

アヤ「で、でもアタイがこのお店以外であの子を見つけて買ってたら?」

P「今日お前の部屋に上がったときに確認はした。実物を見ていたから、同じものがあるかないか判断するのは簡単だった」

P「それにお前の給料は最後に来た七日前以前の月末に振り込まれていたのに、お前はこの子を買っていなかった点からまだ購入する目処が立っていないと思ったんだ」

アヤ「でもでも、花瓶が必要なかったら? ここに来る理由はなかったじゃん」

P「別にウィンドウショッピングでも、フードコートに甘いものを食べにでも、様々な娯楽があるここに誘う理由は溢れている」

アヤ「う、うぅぅ」////

アヤ「じゃあなんでアンタがそこまでしてくれるのさ! この子すっごく高かったから手が届かなかったのアンタよく知ってるでしょ!?」

P「お前が好きだからに決まってるだろ?」

アヤ「/////////」ボンッ

P「好きでもない相手にここまで手も金もかかるようなことするか?」

アヤ「アタイアイドルだし……」////

P「お前は今変装してて、誰もお前がアイドルだって気づいていない」ボソッ

アヤ「ひゃうっ」////

P「俺は一人の男としてお前が好きだ。一人の女の子としてのお前が好きだ。答えを、くれないか?」
アヤ「…… タイ…… キ」

P「聞こえない」

アヤ「アタイも、あなたのことが好き、です」/////////////

P「ありがとう、俺も大好きだよ。アヤ」////

店員(外でやってくれよ……)////

――――――

アヤ「……」////

P「……」////

アヤ「手を繋ぐのって、なんか恥ずかしいな」

P「あぁ〜、そうだな」ポリポリ

アヤ「あんな恥ずかしいこと平然とやっておいて、照れるなっての!」シュッ

P「いって! お前も顔真っ赤なくせに!」ドガッ
アヤ「うっさい!」////

アヤ「…………」

P「どうした?」

アヤ「…… プロデューサー、本気なんだよな?」

P「あぁ。本気だ」

アヤ「…… プロデューサー、アタイちょっと今から素直になるから」

P「え?」

アヤ「いいから黙って聞く!」

アヤ「スゥー」

アヤ「ハァー」
アヤ「アンタはアタイのこと大事にしてくれるよな。こういうの慣れてないから…… へへ、嬉しいけど何だかむずかゆくってさ」

アヤ「たぶん照れ隠しでひどいことすると思う、いっぱいひねくれたこと言うと思う。けどコレが本心」

アヤ「アタイはアンタのことが好き。」

P「……」

P「うん、わかった」

アヤ「よし、それでいい」

アヤ「さ、さっそくこの子を部屋のどこに置くか決めよう。そんで花を飾るの。手伝ってくれよ」

P「…」ポリポリ

P「あぁ!」
以上で終了です。ギリギリ誕生日に間に合ってよかったです。
画像を凄まじい速度で貼ってくださった方、ありがとうございました。

書き上げてみて、きりのんのもうひとつの趣味の格闘技観戦の部分には触れられなかったので次に書くときはきっちりクローズアップしたいと思います。

増えろきりのんのファンよ!と願いを込めながら筆をおかせていただきます。
それではこれにて
忘れていましたが、HTML依頼は二、三日中に出そうと思っています。

08:17│モバマス 
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