2014年09月04日

双葉杏「ねぇ、プロデューサー」


モバP「ん?どうした杏」



杏「ぬいぐるみがねー、また解れちゃった」





モバP「あーあー、貸してみな」



杏「自分で直せるよ。針と糸借りに来ただけなんだから」



モバP「指刺すと痛いだろ。やってやるよ」



杏「じゃあお願いしよっかな」







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杏「上手だね、プロデューサー」



モバP「そう?まぁ男でこれだけ出来れば十分かな、とは思うけど」



杏「うまいうまい。ぬいぐるみ職人になれる」



モバP「ならないよ。俺プロデューサーだもん」



杏「そうだね。プロデューサーはプロデューサーだもんね」







杏「ねぇ、プロデューサー」



モバP「ん?どうした杏」



杏「飴ちょーだい」



モバP「うーん、今持ってないなぁ」



杏「うそ。鞄の内側のポッケに入ってるの知ってるよ?」



モバP「なんだ、バレてたか。一つだけな」



杏「わーい。ミルクのやつね」



モバP「はいはい、どうぞ」







モバP「残りは今日のお仕事終わってからな」



杏「えー、しょうがないなぁ…」



モバP「て言うかさ……いや、何でも無い」



杏「んん?なになに?言ってよ」



モバP「いや、言わない。今後の双葉杏のアイドル生命が掛かってる」



杏「ますます気になる。ゆえー」







モバP「…飴貰って働くなら、自分で飴買えば良いじゃないか、って思った」



杏「……はぁ。分かってないなぁ」



モバP「ん??」



杏「自分で買ったのじゃなくて、プロデューサーがくれる飴だから頑張れるんだよ」



モバP「へぇ、そうなのか」



杏「そうなの」







杏「ねぇ、プロデューサー」



モバP「ん?どうした杏」



杏「見て見て、お弁当作ってきた」



モバP「お!珍しいな。杏が自分から料理するなんて」



杏「でしょ?……はいこれ」



モバP「え?俺にくれんの?」



杏「うん。その為に作ったんだし」







モバP「えぇっと…凄く嬉しいのだけれど。俺、昼飯にコンビニのビビンバ丼買っちゃったんだよね」



杏「杏がそれ食べるよ」



モバP「こんな添加物の塊みたいなのお前に食べさせる訳ないだろう。それでなくったって普段からカップ麺とか多いのに」



杏「最近はそうでも無いよーだ」







モバP「今日は杏が自分で食べなさい。俺にくれんのはまた今度な」



杏「うぅ…それなら誰かのお弁当とビビンバ丼を交換して、杏がそのお弁当を食べて……」



モバP「誰がそんな面倒な事してくれるんだよ」



ちひろ「………うぅ!」



杏「!?」



モバP「ちひろさん!?」



ちひろ「早急に添加物や科学調味料を摂取しないと死ぬ病気に掛かりました…!」バタッ



モバP「なにそれ!?」







ちひろ「早く…pH調整剤を……赤色10号を……」



杏「プロデューサー、ビビンバだよビビンバ」



モバP「ちひろさん、コンビニのビビンバ食べます?」



ちひろ「ありがとうございます。助かりました」



モバP「……」



ちひろ「お礼に私のサンドイッチをどうぞ」



杏「あ、そのサンドイッチを杏が食べて、プロデューサーが杏のお弁当を食べれば丸くおさまるね。わーい」







モバP「…なんかすみません。ありがとうございます」



ちひろ「貸し8ですよ」



モバP「多い上にやけに具体的な数字ですね。貸し100とかならギャグで済ませるのに」



ちひろ「ギャグじゃないですから」



モバP「肝に銘じておきます」



杏「プロデューサー、早く早く」



モバP「はいはい」



ちひろ「あーあーちくしょうめ。ビビンバが美味しいぜ」







杏「ねぇ、プロデューサー」



モバP「ん?どうした杏」



杏「買い物行くの付き合ってよ」



モバP「えぇ〜?何で俺?」



杏「おっきい物買うから。多分」



モバP「なんだそりゃ。もう少し待ってろ」



杏「はーい」







モバP「何買うんだ?おっきい物って」



杏「きらりの誕生日プレゼント。ぬいぐるみにしよっかなーって」



モバP「ほー」



杏「それで、普通のをあげても面白くないから、すんごい大きいのをあげようかなって」



モバP「すんごい大きいのか」



杏「うん。杏より大きいの」



モバP「そりゃすんごいな。目星は付いてんのか?」



杏「ううん。だから近くのぬいぐるみ屋さんに行く。何かしらあるでしょ」



モバP「なんか適当だな」



杏「良いから良いから」







モバP「デカいデパートだなぁ」



杏「ココあんまり来ないの?」



モバP「実を言うとこれが初めてだ。いくら事務所から近くと言えども、用事なんてコンビニで事足りる事がほとんどだからな」



杏「そっか。なら杏が案内してあげる」



モバP「おうそうしてくれ」







杏「ねぇ、プロデューサー」



モバP「ん?どうした杏」



杏「アレ見て」



モバP「どれだよ。マネキン?」



杏「そうそう。あのワンピース」



モバP「おー、秋っぽくて良いな」



杏「可愛いねー、藍子ちゃんとか似合いそう」



モバP「なんだ、自分じゃないのか?」



杏「似合う似合わない以前にサイズが無いよ。レディースだもん」



モバP「分かんないぞ?ちょっと見てみようぜ」



杏「そう?なら行こ」







モバP「…うおっ、なんじゃこりゃ。たっけー……」



杏「すみませーん」



店員「いらっしゃいませ。どうされました?」



杏「このワンピースの、えーっと、子供用サイズって置いてますか?」



店員「あら…申し訳ありません。当店では取り扱っておりません」



杏「子供用サイズを製造してるかどうかって分かります?」



店員「メーカーに問い合わせは出来ますが、レディースブランドですのであまり期待は出来ないかと…」



杏「そっかー…分かりました。」







店員「…お利口なお子様ですね」



モバP「え!?あ、あぁはい、まぁ」



店員「では失礼します。ごゆっくりどぅ…」



モバP「あの!」



店員「は、はい?」



モバP「このブランドメーカーの番号、教えて貰えます?」







杏「……ねぇ、プロデューサー」



モバP「……どうした杏」



杏「何か言う事は?」



モバP「申し訳ない」



杏「お店出た所ではぐれちゃったのは杏にも不注意な所はあったと思うよ。それは認めましょう」



モバP「はい」



杏「だからって迷子センターから呼び出すのはどうかと思います」



モバP「すまん。俺もなんか慌てちゃって」



杏「何してたの?」



モバP「え!?えーっと……」



杏「……」



モバP「…さ、さっきの服屋の店員さん、スカウトしてました……?」



杏「はぁ……っ。プロデューサーはとことんプロデューサーだね」



モバP「お、おう。ありがとう?」



杏「褒めてない!」



モバP「はいすみません!」







杏「まぁ幸い合流出来たんだし、ケーキ一つでチャラにしましょう」



モバP「おぉ、そんな事で良ければ」



杏「先にぬいぐるみ買いに行こ」



モバP「はいはい」







モバP「なぁ、杏」



杏「ん?どしたのプロデューサー」



モバP「ケーキより先にぬいぐるみ買ったのはマズかったんじゃないのか?」



杏「なんで?」



モバP「いやだって…」



「見てアレ。すごいおっきなネコ」クスクス

「ホントだー。親子かなー。ケーキ食べてるよ」

「私もお父さんにあーいうのされてみたかったかも」



モバP「…すげー見られてるんだけど」



杏「あーそだね。ネコちゃんコッチ側に座らせる?」



モバP「そういう問題じゃねーって。ていうかお前、バレねぇのな」



杏「パッと見が子供だからね。いくら極小アイドルで売ってるとは言え、一度小さな子供って認識した物を双葉杏に塗り替えるのって、結構難しいよ?」



モバP「そうかなぁ」



杏「じゃあプロデューサーはさ、たくさんの小学生の中から、ランドセル背負った若葉さんを一人見つけ出せる自信ある?」



モバP「う?う〜ん……」



杏「この中に一人成人がいるっていう前提は知らされてない状態でね」



モバP「ちょっと難しいかもなー」



杏「でしょ?」







杏「じゃあ、ありがと、プロデューサー」



モバP「おう。1回事務所に戻るのか?」



杏「いいや。ネコ運ぶのも楽じゃないし。このまま帰るよ」



モバP「そっか。じゃあな」



杏「うん。また明日ね」







モバP「……さて」







杏「ねぇ、プロデューサー」



モバP「んー?」



杏「今日って何時まで事務所にいる?」



モバP「さぁなー。仕事はすぐ片付くだろうけど。急ぎの用が無い限り残ってると思うぞ。お仕事から帰ってきたアイドル達に声ぐらい掛けたいからな」



杏「そっか。じゃあ杏も大いに労って貰おうかな」



モバP「おう。たくさん褒めてやるから頑張ってこい」



杏「んふふ、何それ。それじゃーね」







杏「ただいまー。あー疲れた。ねぇプロデューサー、飴……って、あれ?」



ちひろ「あ、杏ちゃん。お帰りなさい」



杏「ただいまちひろさん。プロデューサーは?」



ちひろ「それが……さっき携帯の方に掛かってきた電話に出たと思ったら、大急ぎで飛び出して行っちゃったんです」



杏「えぇえ?何それ?」



ちひろ「さぁ?私にもさっぱり……」



杏「むぅ………」



ちひろ「杏ちゃん、飴食べます?純露とミルクの国がありますけど」



杏「…いらない。帰る。お疲れ様でした」



ちひろ「お、お疲れ様でしたー…」







杏「……けっ。何だよー。自分で残るとか言ってた癖に直帰って……」



杏「大事な用、なのかな……」



杏「電話とか、もし、電話とかしてみたら、迷惑かな……?」







杏「い、良いかい?まずは、『プロデューサー、今大丈夫?』OKなら帰った事を怒る。駄目なら切る。簡単」



杏「さ、さぁ行くぞー……」



prrrrr!

杏「うひゃあ!?」



杏「…?ぷ、プロデューサーからだ…」pi



杏「も、もしもし!?」



モバP『もしもし?杏ー?』



杏「うんそうだよ!双葉杏だよ!」



モバP『お、おう?丁寧な自己紹介ありがとう』



杏「えーと、何?何だっけ。今電話して大丈夫?」



モバP『大丈夫じゃなかったら掛けねぇよ』



杏「え?あ、そっか!何でも無い!」







杏「…それで、どうかしたの?」



モバP『あーそうそう。お前明日事務所来る?オフだけど』



杏「明日?……うん、行くよ」



モバP『おーそうか。なら良いんだ。また明日な』



杏「うん。バイバイ」



pi







杏「明日…オフだけどさー。皆に呼ばれてるんだよね……」



杏「あんまり気にする方でも無いけどさ。明日は杏の…誕生日だよ?プロデューサー、分かってる?」



杏「はぁ………寝よ」







杏「ねぇ、プロデューサー」



モバP「!?お、おぉ、おはよう杏」



杏「何で昨日帰っちゃったの?」



モバP「あー…用事があったんだよ。悪ぃな」ガサゴソ



杏「……?」







杏「ねぇ、プロデューサー」



モバP「ん?どうした杏」



杏「その箱なに?」



モバP「……何でもない」



杏「あ、隠した。なにそれ、ねぇねぇ」







モバP「うーん……皆から待ってろって言われたんだけどな……まぁ別に今でもいっか」



杏「ん?」



モバP「お誕生日おめでとう、杏」



杏「あ……」







杏「開けてみて良い?」



モバP「帰ってからな」



杏「えい」ビリリ



モバP「おい」







杏「あれ、コレって……」



モバP「あーそうそうそうそう。お前がこないだ可愛いって言ってたワンピース」



杏「こんな小さいサイズの?」



モバP「そうそう。探したらあったの」



杏「……嘘だ。杏、こないだ家に帰ってから調べたもん。どこにもこんなサイズ置いてなかったよ」



モバP「…………」



杏「まさか…作らせたの?オーダーメイド…?」







モバP「……あぁそうだよ!特注品だよ!」



杏「あっはは!ホントに!?すごーい!!」



モバP「一昨日家帰ってから本社に頼んで無理に作らせましたよ!県跨いで受け取りに行きましたとも!!」



杏「あはははは!!プロデューサー最高!!」



モバP「そうだろうそうだろう!あー何でバレたんだよ!!もーっ!!」



杏「もーっ!プロデューサーは嘘下手だからねー」



モバP「もーっ!」



杏「もーっ!」



モバP「…なんだこれ」



杏「さぁ?ふふっ」







杏「ねぇ、プロデューサー」



モバP「ん?どうした杏」



杏「真剣に聞いてね」



モバP「ん?おぉ」



杏「杏、これすっごく嬉しい。ありがとう」



モバP「……おう」



杏「もう一つ。これは真剣に答えてね」



モバP「?」



杏「ねぇ、プロデューサー」





杏「プロデューサーは杏のこと、好き?」





〜end〜



21:30│双葉杏 
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