2013年11月22日

小鳥「妄想ノートの整理でもしようかしら」

とある日の午後 765プロ

小鳥「はー……終わったー」

小鳥(あれだけあった仕事をちゃんと終わらせるなんて、さすが私ね!)


小鳥(……おかげで今日はほとんど妄想できず。ああ、妄想したい妄想したい……)

小鳥(えっと、これが終わったら次は、プロデューサーさんと律子さんに書類を渡して……)

小鳥(あっ、今日は二人とも夕方まで帰ってこないのよね。他の仕事は……)

小鳥(うー、社長がいないとこっちは無理ね。しばらくは休憩も兼ねて待機かしら)

小鳥(……ということで、事務所に誰もいない今、やることはただ一つ――)


小鳥「妄想タイムとしゃれ込むわよー!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1353954017

小鳥「さーて、妄想ノートはどこかしら、と」


妄想ノート、それは音無小鳥が最近やっと忙しくなってきた765プロでの仕事の合間に、
自らの衝動を書き殴り、後でじっくりと妄想に浸るためのアイテムである。

入って間もない新人プロデューサーに間違って渡しそうになったが、
ギリギリで回収したので現時点ではこのノートの中身は誰も知らない。


小鳥(えーっと……あったあった、どこまでまとめたんだっけ……)

小鳥(最近忙しかったから、ずいぶん溜まってそうね……一個ずつ整理しないと)

小鳥(えっと、整理できてないのは……あっ、ここからね)

小鳥(では、最初の妄想は――あら?)


雪歩 お茶に睡眠薬
小鳥(雪歩ちゃん、お茶、睡眠薬……この三つのキーワードで私はどんな妄想を……)

小鳥(とりあえず、妄想してみればわかるわね。それにしても睡眠薬か……)

小鳥(まあ、ありきたりよね。私にしてはずいぶんと普通な……ん?)

小鳥(これ、矢印が伸びてるわね……えっと、その先は)

小鳥(……! な、なるほど、やるわね私……)


雪歩 お茶に睡眠薬

    ↓


   やよい
小鳥(プロデューサーさんではありきたりすぎる、かと言って真ちゃんも同様……)

小鳥(では、貴音ちゃん? はたまた美希ちゃん? しかし……)

小鳥「意外! それはやよいちゃんッ!」

小鳥(……でも、この二人を私はどうくっつけるつもり? 普通は思いもしない組み合わせ……)

小鳥(――その普通を超える、それが音無小鳥の妄想)

小鳥(さあ、やるのよ小鳥……妄想の世界へ、いざ!)
やよい「ただいまもどりましたー!」

雪歩「あっ、おかえりなさい、やよいちゃん」

やよい「あれ? 事務所には雪歩さんだけですか?」

雪歩「う、うん。みんな仕事で、私も仕事があったけど、早く終わったから……」

やよい「そうなんですかー。でも、雪歩さんがいてくれてよかったですー!」

雪歩「えっ!? よ、よかった、ってどういう意味……?」

やよい「だって、雪歩さんがいなかったら私一人でさみしかったかなーって」

雪歩「……」
やよい「あ、あれ? 雪歩さん……私、なにかヘンなこと言っちゃいましたか……?」

雪歩「へ、変なこと? ううん……、なにも言ってないよ」

やよい「ほんとですか? よかったー……急に黙っちゃったから、怒らせたとかと思っちゃいましたー」

雪歩「そ、そんなことないから大丈夫!」

雪歩(……言えない、黙っちゃった理由が……やよいちゃんが)


雪歩(笑顔のやよいちゃんが可愛かったからだ、なんて言えるわけないよぉ……)
雪歩「えっと、やよいちゃんはもう帰るの?」

やよい「違いますよー。プロデューサーと打ち合わせがあるから、それが終わってからです!」

雪歩「そっか……じゃあ、しばらくは私とやよいちゃんだけだね」

やよい「はい! そういえば、二人きりってあまりないかも」

雪歩「そ、そうだね。やよいちゃんと、二人っきりかぁ……」

やよい「私、雪歩さんと一緒にいるの好きだから、ちょっと楽しくなってきちゃいました」

雪歩「え、ええっ!? す、好き!? ど、どうして……?」
やよい「えっと、雪歩さんと一緒のユニットになってから、雪歩さんにお世話になってばかりで」

雪歩「で、でも……私、ダメダメだから他の二人に迷惑かけて……」

やよい「そんなことありません! 私、雪歩さんはすごい人だって思ってます!」

雪歩「私が……すごい?」

やよい「だって、雪歩さんって男の人が苦手なのに、いろんなお仕事でガンバってますよね」

雪歩「それは……お仕事だから頑張れてるだけだよ」

やよい「違います! 私が見てる雪歩さんは、いっつも笑顔なんですよー」

雪歩「そ、そうなのかな」

やよい「はい! 雪歩さんの笑顔ってとーってもかわいいから、みーんなとーっても元気になっちゃうんです」

雪歩「やよいちゃん……」
やよい「だから、雪歩さんはダメダメなんかじゃありません!」

雪歩「うっ……ぐすっ……」

やよい「あ、あれ……? ご、ごめんなさい! 私、やっぱりなにか……」

雪歩「う、ううん……違うの。これは……ほめられたから嬉しくて」

やよい「ほめられると泣いちゃうんですか?」

雪歩「う、うん。だから、あんまりほめなくても……」

やよい「ええーっ!? 私、雪歩さんにいっぱいありがとうって言うつもりだったのに……」

雪歩「やよいちゃん……じゃあ、少しずつ私のこと、ほめてもらってもいい?」

やよい「えっ? 少しずつ、ですか?」
雪歩「うん。それだったら……泣くこともなくなると思うから」

やよい「うっうー! わかりました、雪歩さんをほめるのは後の楽しみにとっておきます!」

雪歩「ふふっ……、ありがとう、やよいちゃん」

プルル プルル

雪歩「電話だ……プロデューサー? も、もしもし?」

P『おっ、出た出た。雪歩は今、事務所か?』

雪歩「は、はい。事務所にいます」

P『えっと、雪歩とやよいは打ち合わせで事務所で待機していて欲しいんだけど』

雪歩「大丈夫です。二人でちゃんと待ってますよ」

P『いや、それが別の打ち合わせが長引いてかなり遅くなると思うんだ』

雪歩「遅くなる……」
P『ああ。悪いんだけど雪歩とやよいはしばらく待っててくれ』

雪歩「わ、わかりました」

P『それと、今日は音無さん休みで社長も律子も事務所には来ないから電話があったら出てくれ』

雪歩「誰もいないんですね……わかりました」

P『すまん。なるべく早く戻れるように努力する、それじゃ』


やよい「プロデューサーからだったんですか?」

雪歩「うん、しばらく戻れないけど待ってて、だって」

やよい「じゃあ、雪歩さんといっぱいおしゃべりしても大丈夫ですね!」

雪歩「ふふっ……そうだね」
数十分後

やよい「はー、いっぱいしゃべって、ノドがかわいちゃいましたー……」

雪歩「あっ、じゃあお茶でも入れようか?」

やよい「本当ですかー? 雪歩さんの入れてくれたお茶、おいしくて私大好きです!」

雪歩「あ、ありがとう。じゃあ、ちょっと待っててね?」

やよい「はーい!」
雪歩(だ、大好きって……はあ、お茶のことだよね。でも、私……すごくドキドキしてる)

雪歩(……このまま誰も帰ってこなければいいのに。ずっとやよいちゃんと二人で……)

雪歩(……)

雪歩(二人の時間なんて……忙しくなってきたから、多分もうない……)

雪歩(それに……しばらくは誰も帰ってこない……それなら)

雪歩(……)ポトッ

雪歩(……ごめんなさい、やっぱり私はダメダメな女の子です。でも……私は……)


雪歩(やよいちゃんが……欲しい……)
雪歩「お、お待たせしました……あれ?」

やよい「……すー、……すー」

雪歩「……やよいちゃん?」

やよい「……すー、うーん……あれ? はわっ!? 私、寝ちゃってましたか……?」

雪歩「う、うん。お仕事終わった後だからしょうがないよ」

やよい「ううー……すみません、せっかく雪歩さんがお茶入れてくれたのに……」

雪歩「だ、大丈夫だよ。まだ眠そうだけど……飲む?」

やよい「もちろんです! いただきまーす」

雪歩「……」
やよい「はあ……やっぱり雪歩さんの入れてくれたお茶はおいしいです!」

雪歩「そ、そうかな……?」

やよい「はい! これならいくらでも飲めるかなーって。あ、あれ……?」

雪歩「……やよいちゃん?」

やよい「す、すみません……わたし、なんだか……すっごく、ねむくて……」

雪歩「……私に気にせず、眠ってもいいよ?」

やよい「ほんとーに……ごめん、……なさ……」


雪歩「……やよいちゃん、ごめんね」
やよい「すー……すー……」

雪歩「やよいちゃんの寝顔……寝顔だけじゃなくてやよいちゃんはなにしても可愛いですぅ……」

雪歩「えへへ……今ならこうやって顔を近づけても……」

雪歩「……はあ、ドキドキしすぎて苦しいよ……やよいちゃん」

雪歩「あのね、やよいちゃんは私がいつも笑顔でいてステキだって言ってくれたけど……」

雪歩「……それは、やよいちゃんが側にいるから、やよいちゃんの笑顔があるからなんです」

雪歩「だから、これからも頑張るために、ダメダメな私に――」

雪歩「やよいちゃんの全部……私に、くれるかな?」
やよい「……すー」

雪歩「……って、今はなに言っても聞こえないよね。それに今は、誰もいないから……」

雪歩「この唇……私がもらっても……いいよね?」

雪歩「……ダメな私でごめんね。でも、どうしても欲しいから、だから……だから……」

雪歩「――んっ。んっ、……はあ」

雪歩「……やよいちゃんの唇、やわらかくて、とっても――」






小鳥「とっても美味しい…………はあん……」
小鳥(……なるほど、こういう展開になれば)

小鳥「……」

小鳥「アリ、ね」


小鳥(でも、お茶に睡眠薬じゃひねりが足りないわね……とりあえず、これは)

小鳥「……」カカッ カカッ

小鳥「……よし、こんなところね」




雪歩 お茶に睡眠薬⇒新しい風が欲しい

     ↓


    やよい     ⇒ゆきやよ、今後研究の余地十二分にアリ
小鳥(この妄想はいったん終わりに……あっ、その前に)

小鳥「雪歩ちゃん、やよいちゃん……」

小鳥「……ごちそうさまでした!」

小鳥(妄想に出てきてくれた人には敬意を払う、それが最低限のマナー)

小鳥(……これだけは、いつも忘れずにおかないとね。さーて、次のメモは)



P 催眠術をかける→真 おしとやかになる
小鳥(はっはーん……なるほど、催眠術ネタときましたか)

小鳥(催眠術でいつもとは違う性格にしてしまう、ベタっちゃベタね)

小鳥(まあ、おしとやかな真ちゃんなんてのも、久しぶりだしいいかも……えっ?)

小鳥(これ、矢印が伸びてる……えっと、その先は)

小鳥(……!? こ、これは……!?)




P 催眠術かける→真 おしとやかになる

                ↓

            間違って美希 かかってしまう
小鳥「そう、そうきたのね。やるじゃない、私……」

小鳥(おしとやかな美希ちゃん、それははたして美希ちゃんと言えるのかしら?)

小鳥(だが待つのよ小鳥、普段からハニーなんてアタックかけまくってる子が……)

小鳥(もし、急におしとやかになって、いつもとは違う形でアプローチしたら……?)

小鳥(そこに待っているのは、そう……普段と違う美希ちゃんが見せる)

小鳥「ギャップの恐ろしさ……!」
小鳥(そのときプロデューサーさんはどうするのか? 横で見ている真ちゃんはどうするのか?)

小鳥(真ちゃんが美希ちゃんに嫉妬するのかしら……はたまた)

小鳥(真ちゃんがプロデューサーさんに嫉妬、なんてことになってしまったら……?)

小鳥(いずれにしても私にとってはオイシイ展開……これは楽しめそうね)

小鳥(さて、そうと決まれば善は急げ。さっそく行くとしましょうか……妄想の世界に)
いったん区切り、あと四つか五つネタやります
そんなに長くないです。それではまた
真「どうすればいいんですかね……って聞いてますかプロデューサー?」

P「あー、うん。聞いてる聞いてる」

真「書類見ながら言っても全然説得力ないんですけど」

P「可愛い女の子になるにはどうすればいいか、だろ?」

真「そうです! 担当しているアイドルのことなんだから真剣に考えてくださいよ!」

P「うーん……美希、なにかいいあアイディアないか?」

美希「そんなことよりもミキは眠たいの……あふぅ……」

真「プロデューサー、ボクも色々頑張ってるんですけどどうにもならないんです……だから」

P「……別にむりやり変わらなくてもなあ」

真「変わらなくてもって……このままじゃボクは嫌なんです!」

P「真が女の子らしく、ねえ。……じゃあ、試してみるか」

真「試す?」
P「ああ、実際に女の子らしくなった真を見て考えようかと思ってな」

真「実際にって言われても、それができないから困ってるんですよ」

P「それをむりやりやるんだよ。ちょっとしたやり方でさ」

真「それをやればボクも女の子らしくなるんですか?」

P「うん、多分」

真「さっすがプロデューサー! そのやりかたを早く教えてください!」

P「よし。そのやり方なんだけど、今からお前に」

真「ボクに?」

P「真に、催眠術をかけてみる」

真「……はい?」
真「あの……それ、本気で言ってます?」

P「ああ、本気だけど……その目、疑ってるな?」

真「ボクは真剣なんですよ!? マジメに考えてください!」

P「まーまー、騙されたと思ってかかってみろよ、な?」

真「……本当にできるんですか?」

P「おう、学生時代に練習してそれなりに使えるようになったんだ」

真「すっごくうさんくさいですけど、そこまで言うなら……」

P「よし、そのまま座ってろよ、真」

真「別に逃げませんよ、早くしてくださいね」
P「……よし、まずは肩の力を抜いてリラックスしてくれ」

真「……はい」

P「……そのままなにも考えず、静かに目を瞑るんだ」

真「……」

P「今からあなたは……今までの自分とは違う自分に生まれ変わります」

真「……」

P「……あなたはとてもおしとやかな女性です。……内気で、少しのことでも恥ずかしがります」

真「……」
P「……あなたは生まれ変わりました。目を開けたとき、あなたの性格は変わっています」

真「……」

P「それでは、静かに目を明けてください。ゆっくり、そうゆっくりと……」

真「……」

P「……どうだ?」

真「……あの、プロデューサー」

P「うん?」

真「全ッ然、変わった気がしないんですけど」

P「……あれ?」
P「本当に? なにも変化なし?」

真「はい、いつも通りのボクです。……やっぱりダメじゃないですか!」

P「真、デートするぞ」

真「ええっ!? きゅ、急になに言いだすんですか!?」

P「あっ、いつもの真だ。うーん……失敗か」

真「……あ、あの……デートってのは、その……」

P「もちろん嘘だからな。ダメだったか……久しぶりだもんな」

真「……ウソだったんですね、はあ」
P「催眠術がダメなら仕方がない、女らしさとかはまた今度にするか」

真「ちょ、ちょっと待ってくださいよ! まだ話は」

P「だからまた今度、な? おーい、美希。そろそろ出かけ……あれ?」

真「どうしたんですか、プロデューサー?」

P「いや、美希が……なんか変だ」

真「美希が? ……あれ? 美希? もしもしー、美希ー?」

美希「……」
P「……まだ寝ぼけてんのか? ほら、さっさと起きろって」グイッ

美希「……っ!」パシッ

P「えっ? お、おい、肩触ったぐらいで払いのけなくてもいいだろ」

美希「あっ……ごめんなさいなの……だって、急に……」

P「急に、なんだ?」

美希「いきなりハニーがミキの肩触るから……びっくりしちゃっただけなの」

P・真「……へっ?」
P「えっと、どうしたんだ急にそんなこと言って」

美希「だって……ハニーに触られたら、……ドキッてなっちゃうの」

P「はあ? いつもこれ位、というかそっちから触れてくる位なのにか?」

美希「う、うん……」

真「美希、どうしたの? なんか変だよ?」

P「頭でもぶつけたか……? コブとかできてたりとか……」

美希「あ、あの……二人とも。そんなにミキのこと……見つめないで欲しいの……」

真「えっ?」
美希「見られるの、とっても恥ずかしいから……いじわるして欲しくないの」

真「ぷ、プロデューサー! 美希、どうしちゃったんですか!?」

P「……おい、真。これってまさか……」

真「なにか心当たりがあるんですか?」

P「今の美希、どんな感じだ?」

真「えっと、なんかいきなり恥ずかしいとか言ったり、内気になったと言うか……」

P「ああ。そして、座り方や仕草なんかもいつもと違う」

真「そうですね……女の子っぽいっですね。いや、いつもが女らしくないって訳じゃないですけど」

P「俺もそう思う。おしとやかで、内気で、恥ずかしがり屋……これって」

真「あっ……ま、まさか、催眠術に……?」

P「……みたいだな」
真「いや、でも催眠術なんて……」

P「じゃあ、実験してみよう。美希、ちょっといいか?」

美希「う、うん……ハニー、どうしたの?」

P「美希、今から俺とデートしてくれ」

真「なっ……!」

美希「で、デート……? ミキと、ハニーが……?」

P「ああ、どうだ? 嫌なら別に断ってもいいぞ?」

美希「あ、あう……困ったの……」
真「ちょっとプロデューサー! こんなときになに言ってるんですか!?」

P「落ち着け、実験だって言っただろ。いつもの美希にデートするぞ、って言ったらどうなる?」

真「それは……もちろんなのー! って言って抱きついてきそうですね」

P「ああ、それが今はどうだ?」

真「えっと、顔を真っ赤にして、もじもじしてます……いつもと全然違いますね」

P「そうだな。……これ、やっぱり催眠術のせいだよな?」

真「……うーん、信じられないけどそうみたいですね。ところでプロデューサー」

P「うん?」

真「担当アイドルに軽々しくデートしよう、って言うプロデューサーって、どうなんですかね」

P「い、いつもこんなこと言ってるわけじゃないから……」

真「本当ですか? って……そんなこと言ってる場合じゃないですよね」
真「とりあえず、美希をこのままにするのはマズいんじゃないですか?」

P「そうだな……元に戻さないと」

美希「ね、ねえ……ハニー」

P「ん? どうした?」

美希「あの、さっきのお話なんだけど……」

P「さっきの話?」

美希「うん。ミキとデート……してくれるんんだよね?」

P「ああ、それか。いや、試しに行っただけだから本気にしなくていいぞ」

美希「えっ……? 嘘、だったの?」

P「あ、ああ」

美希「ミキ……ハニーとデートできるって思って喜んでたのに……」

真「あれ? 美希、泣いてる……?」
美希「ミキ、恥ずかしいけどハニーと一緒なら、って思ったんだよ……それなのに……」

P「わ、悪かった……だからそんな泣かなくても」

美希「ご、ごめんなさいなの……」

真「……たしかに、デートしようって言ったのはプロデューサーですよね」

P「それはそうだけど、まさかこんなことになるとは……」

真「いくら催眠術にかかっているからって、女の子を泣かせちゃダメですよ!」

P「うっ……わ、わかったよ。あの、美希?」

美希「ぐすっ……」
P「……俺が悪かった。許してくれるか?」

美希「……うん。でも、許してあげるから……」

美希「あの……今から、ミキとデートしてくれる?」

P「えっ? いや、それはさすがに」

美希「……やっぱり、ミキなんてどうでもいいんだね」

真「プロデューサー……、また落ち込ませてどうするんですか」

P「……えーっと、美希。今からデート、するか?」

美希「い、いいの? こんなミキとデートしてくれるの?」

P「ああ、俺から言ったんだから責任はとるよ」

美希「……ハニーとデート、夢みたいなの」
真「ほら、プロデューサー。時間がもったいないですから早く出かけないと!」

P「あ、ああ。行くぞ、美希」

美希「うん……、じゃあね、真くん」

真「いってらっしゃーい」


真「はあ……女の子らしくなるにはどうするか聞いてただけなのに……」

真「まあ、今度また相談にのってもらえばいいかな……ん?」

真「メール、……美希から?」
美希『真くん、協力ありがとなの! ハニーとのデート、楽しんでくるね☆』


真「……」

真「……かかったふりして、上手いことやったってわけだね」

真「……」

真「……いつになったら女の子らしくなれるんだろう」
小鳥「……いけない、真ちゃんががっかりする流れに」

小鳥(妄想の世界くらいでは女の子として扱ってもらって幸せになって欲しいわね……)

小鳥「……よし、次は真ちゃんとのデートに行って」

小鳥「さりげなく見せる仕草にドキッ、とするプロデューサーさんを妄想して……」


P「ただいま戻りましたー」

律子「小鳥さん、いますかー?」


小鳥「……と思ったけど時間切れか」

P「時間切れ? なんの話ですか?」

小鳥「いえ、なんでもありませんよ。あっ、お渡しする書類がありまして」

P「わかりました。じゃあそれを……ん?」
小鳥「どうかしましたか、プロデューサーさん」

P「いえ、そのノート……びっしり書き込まれてますけどなんですか?」

小鳥「うえっ!? い、いえ、これはなんでもないですよ!」

P「仕事のノートとか、そういうのではないんですか?」

小鳥「えっと……乙女の秘密なので教えられません!」

P「はあ、乙女……ですか」

小鳥「……半笑いなのが気になるんですけど」

P「まあまあ、さっさと仕事終わらせて飲みにでも行きましょうよ」

小鳥「……もう、すぐそうやってごまかして」

小鳥(あれ? でも、二人で飲みにということは……)
小鳥(終電を逃してそのまま二人で……なんてことも!?)

小鳥(こ、これは……妄想してる場合じゃないわね)

小鳥(よし、今夜のことをシミュレーションしておかないと!)

小鳥(夜景の見える素敵なレストランで、じっと見つめられて……)

小鳥(プロデューサーさんが私に、あ、愛の言葉を……!)

小鳥「……ふふ」


P「……律子、小鳥さんが急に黙っちゃったんだけど」

律子「いつもの妄想だから、放っておけば戻ってきますよ」

P「ずいぶん楽しそうだけど、どんな事考えてんだろう」

律子「さあ?」
放置するよりはと思って無理やり終了
依頼してきまーす

08:13│音無小鳥 
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