2013年11月22日

絵の中のまゆ

まゆ「Pさぁん、大好きです。」ダギュ

モバP「うわ、苦しぃ!」ジタバタ

モバP「首、締まってる、離せ!」


まゆ「ご、ごめんなさい・・・。」

ちひろ「大丈夫ですか?プロデューサーさん。」

モバP「なんとか大丈夫です。 ごほっ、ごほっ。」

まゆ「ああ、ごめんなさい。」


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モバP「まゆ、もう大丈夫だ心配するな。」

まゆ「あぅ。」

モバP「じゃあまゆ、次の撮影をがんばって謝罪の意を示してくれ。」

まゆ「はい!」

モバP「よし、じゃあ現場に行こうか。」

ちひろ「あの、プローデューサーさん。このあと来客があるので・・・。」

モバP「そんな、聞いてませんよ。」

ちひろ「今はじめて言いましたからね。」

モバP「こういうわけだからすまない、まゆ一人で行ってくれるか?」

まゆ「分かりました。頑張って撮影してきますね!」

モバP「ああ、行って来い。」


小鳥「じゃあ、この企画でよろしくお願いします。」

モバP「はい、では次はこちらからお伺いします。」

小鳥「では、さよなら。」

ちひろ「ふぅ〜、なんとか終わりましたね。」

ジリリリ ジリリリ ジリリリ

モバP「あ、電話ですね。」

ちひろ「もしもし、モバプロダクションです。どうのようなご用件ですか? え?」

モバP「どうしたんですか?」

ちひろ「まゆちゃんが、現場に行く途中で事故にあったそうです・・・。」

モバP「なんですって!?」

ちひろ「総合病院に運ばれたそうです!」

モバP「行ってきます!」

ちひろ「私もアイドルの子達を帰してすぐに行きます!」

モバP「先生!まゆの容態は!?」

看護婦「今、集中治療室です。」

モバP「そんな、助かるんですよね?まゆは助かるんですよね!?」

看護婦「医師たちが全力を尽くしておりますが・・・。」

ポーン

モバP「終わったのか?先生!まゆはどうなったんですか!?」

医師「出来る限りのことはしましたが・・・。」

モバP「そんな・・・。まゆ、まゆぅー!!!」

モバP「まゆぅ、まゆぅ、」

ちひろ「プロデューサーさん、次お焼香です。立たないと・・・。」

モバP「ぐ、ぅぅ。」

凛「プロデューサー、私達の代表なんだから。」

モバP「ぅ、分かった・・・。」

パラパラ

まゆ母「まゆは、電話でいつもあなたのことを話していました。」

まゆ母「あなたのおかげであの子の人生はきっと良いものだったでしょう。」

まゆ父「こうして葬式にも来てくれて、きっとあの子も喜んでます・・・。」

まゆ母「明日の火葬にも来てやって下さい。」

モバP「はい。」

ちひろ「そろそろ、ホテルに戻りましょう。」

モバP「俺は、もう寝ます。」

ちひろ「はい、おやすみなさい。」

幸子「プロデューサーさん?あまり気を落とさないでくださいね!」

モバP「まゆ、俺はもう疲れたよ・・・。」バタッ zzz

まゆ「Pさぁん、Pさん。」

モバP「誰だ?俺を呼ぶのは。どこに居るんだ?」

まゆ「まゆです、ここに居ますよ。」

モバP「まゆ?まゆなのか!」

まゆ「はい。」

モバP「まゆ・・・。やっと会えた。お前に謝りたかったんだ。」

まゆ「あやまる、ですか?」

モバP「そうだ、お前を一人で行かせたりしてすまなかった。本当にすまなかった。」

まゆ「良いですよ、気にしてなんか居ませんから。」

モバP「でも、お前を死なせてしまって・・・。」

まゆ「人は皆いつか死ぬんです。まゆにはたまたま死が早く来てしまっただけです。」

まゆ「ただ、死んでしまってPさんに会えなくなったのは寂しいです。」

モバP「まゆ・・・。」

まゆ「だから、今日はお願いがあって来たんです。」

モバP「お願い?」

まゆ「はい、明日の火葬でまゆの骨を取って来てその骨を柄にして筆を作ってください。」

モバP「筆を?」

まゆ「はい、そしてその骨でまゆの絵を描いて欲しいんです。」

モバP「それだけで良いのか?」

まゆ「はい。まゆからPさんへの最後のお願いです。」

モバP「分かった。」

まゆ「じゃあ、お願いしますね?」


モバP「はい、一人だけで写ってる全身写真が無くて。」

ちひろ「探せばあると思いますけど。あまりまゆちゃんのこと引きずらないほうが。」

モバP「もう俺たちは日常に戻ってきました。これからまた忙しくなります。」

モバP「その中でまゆのことを忘れたくないんです!だからお願いします。」

ちひろ「そこまで言うなら・・・。」

モバP「まゆ、お前との約束、必ず守るからな。」

モバP「骨の筆って言うのもなかなか使いづらいな・・・。」サッサッ

モバP「くそ、下書きさえうまくいかない。」

モバP「違う、まゆの体はこんな感じじゃない。書き直さなきゃ。」

モバP「もっとだ、もっと上手く書かないと。まゆの最後のお願いなんだ。」

サッサッ ゴシゴシ 

凛「プロデューサー、大丈夫?顔色悪いよ。」

モバP「ん、少し寝不足でな・・・。」

幸子「プロデューサーさんが寝込んだりしたらボク達に迷惑がかかるんですよ!」

モバP「ああ幸子すまないな。大丈夫だ倒れるときもお前たちには迷惑をかけないように。」

幸子「そういうことを言ってるんじゃないんですよ!」

ちひろ「プロデューサーさん本当に大丈夫ですか?具合悪いなら今日は早めに帰っても。」

モバP「・・・。じゃあ、お言葉に甘えます。」

凛「え?」

モバP「すみません、先に上がりますね。」

ちひろ「はい、お気をつけて・・・。」

幸子「やっぱり様子がおかしかったですね。」

凛「普段なら怒ったって帰らないのに。」

ちひろ「まゆちゃんのことが相当応えたんですね。」

凛「今は、そっとしておこうか。」

モバP「まゆ、今帰ったぞ・・・。」ドサッ

モバP「続きを描いてやるからな。」

モバP「早く帰ってこれたからな、今日は下書きを終わらせられるな。」

モバP「そうだ、まゆの体はこの雰囲気だ。」

モバP「下書きは終わったが、時間が足りない。くそっ」

モバP「もしもしちひろさんですか?はい、Pです。」

ちひろ『どうしましたか?』

モバP「体調が戻らないみたいで、今日は休ませてもらいます。」

ちひろ『そうですか、お大事にしてくださいね?  わっ』

モバP「大丈夫ですか?」

幸子『プロデューサーボクです!』

モバP「幸子か、どうした?」

幸子『今日お休みするって、そんなに具合悪いんですか?お見舞い行きますよ!』

モバP「いや、その必要はない。」

幸子『でも、』

モバP「お前はお前の仕事を頑張れ、良いか、うちには来るなよ!」

幸子『はい・・・。わかりました。』

モバP「じゃあな。」ガチャッ

モバP「さあ、まゆ今日は誰にも邪魔されないぞ。」

モバP「俺も早くお前に会いたいんだ。」

モバP「まゆの足の色、手の色、服の色・・・。」

モバP「俺が、まゆの色をつけて行く。」

モバP「俺だけと一緒のまゆ。」

モバP「よし、あと少し顔だけだ。」

モバP「だがもう眠気が・・・。寝よう。」

モバP「さすがに明日も休むことは出来ないだろう。とすると完成は明日の夜。」

モバP「まゆ、もう少しだ。もう少しでまた一緒に・・・。」

幸子「プロデューサーさん!」

モバP「幸子、朝からハイテンションだな。」

幸子「プロデューサーさんがローテンションなだけです!」

モバP「そうかな?」

凛「おはようプロデューサー、今日は大丈夫?」

モバP「大丈夫だ、昨日は心配かけたな。」

凛「もう、無理しないでよ。」

モバP「そうだな。」

ちひろ「プロデューサーさん来ましたね。今日は2日分の書類が溜まってますよ。」

モバP「え。それじゃ残業ですか?」

ちひろ「そうなりますね、終わるまで帰しませんよ!」

モバP「仕方ないか。あと少しだ、我慢しよう。」

幸子「書類に取り掛かる前にボクを現場に連れてって下さい!」

凛「あ、私も!」

モバP「たくっ・・・。しかたないな」

ちひろ「もう、大丈夫ですよね?」

モバP「やっと終わったか・・・。じゃあ、俺帰りますね!」

ちひろ「はい、お疲れ様でした。あとは私がやっと来ますから。」

モバP「じゃ、また明日。」

モバP「ふぅ、夜の道を一人か・・・。こういうときにはお化けとか出そうだな。」


タッタッタッ

モバP「え?」

タッタッタッ
タッタッタッ

モバP「なんだあれ・・・首の無い、女・・・?」

タッタッタッ
タッタッタッ
タッタッタッ

ダギュッ

モバP「ぐぉ、首が、絞まる・・・。苦しい、離せ!」

モバP「離せ、この化け物が!!」バッ ドサッ

モバP「はぁはぁ、やっとついた。」ガチャッ

モバP「これは・・・。この絵のまゆ、さっきの化け物?」

モバP「あれは、まゆだったのか・・・?」

モバP「俺を殺そうとした化け物が・・・まゆ?」

モバP「ウワァー!!!まゆは、まゆは俺を憎んでるんだ!」

モバP「俺を許してなんかいない!俺を騙して殺そうとしてたんだ!」

モバP「なぜだ!なぜなんだ!俺はお前を愛していたのに!俺は、俺はぁー!!」

モバP「こんな絵!」ドガッ

モバP「くそ、くそ、くそぉー!」

ちひろ「ここが、プロデューサーさんの家か。」ガチャッ

ちひろ「鍵が開いてる?不注意ですね。プロデューサーさん、忘れ物届けに来ましたよ。」

ちひろ「プロデュー、サー?何、この部屋泥棒でも入ったの!?」

ちひろ「この絵は、まゆちゃん?この筆は・・・骨!?」

ちひろ「こんなもの置いてどこに行ったの?プロデューサーさん!」

モバP「まゆは、俺を、俺を・・・」

美希「ハニー、だーいすき!」ダギュ

P「ちょ、美希っ苦しい!離せ!離せ!」

モバP「あれは・・・」

(・・・まゆ「Pさぁん、大好きです。」ダギュ・・・)

モバP「そうか、あれは!」バッ

P「だ、誰だ!?」

モバP「すいません、驚かせちゃいましたね。」

美希「あふぅ、とっても驚いたの・・・。」

モバP「ごめんね、もう行くからごゆっくり。」

モバP「まゆの絵、完成させないと・・・。」

モバP「やっぱり、ぐちゃぐちゃになっちゃてるな。」ピッピッ

モバP「よし、これで描けるな。」

モバP「まゆ、もう完成するぞ。顔も綺麗な生きていた頃と同じ顔だ・・・。」

ちひろ「すいません、今ここに男の人が1人できませんでしたか?」

美希「来たよ。」

ちひろ「本当!?どこに行ったか知らない?」

P「確か、なにかを完成させるって言って帰りましたよ?」

ちひろ「完成させる?だめ、そんなことしちゃ!」ダッ

美希「どうしたんだろうね?」

P「さあ?喧嘩でもしたのかな。」

美希「ミキたちには無関係だね!」

P「そうだな!」

モバP「よし、これで完成だ!」

パアァァ

モバP「絵が、光ってる? うっ。」

まゆ「Pさぁん、Pさぁん。」

モバP「ん、ま、まゆか!?」

まゆ「はい、Pさんのまゆですよ。」

モバP「ここは?」

まゆ「まゆにもわかりません。ただ、まゆはずっとここに1人でした。」

モバP「そうか、それは寂しかったな。俺が来たからもう大丈夫だぞ。」

まゆ「まゆはもうこの先に行かなければなりません。」

まゆ「Pさんはもとの世界に帰ることができるし、まゆと一緒に来ることもできます。」

まゆ「でも、まゆと一緒にきたらもう戻れません。」

モバP「俺に選べって言うのか?」

まゆ「はい・・・。」

モバP「俺がまゆのいない世界を選ぶと思うか?」

まゆ「もう、もとの世界の人には会えませんよ?ちひろさんにも・・・。」

モバP「良いんだ、俺はまゆと一緒に行く。」

まゆ「Pさん・・・。」


モバP「まゆは、怖いか?」

まゆ「Pさんと一緒だから怖くありません。Pさんは?」

モバP「俺もだ。まゆといっしょならどこに行っても大丈夫だ。」

まゆ「じゃあ、行きましょうか。光の、その先へ・・・」

モバP「ああ。」

キラキラキラ

Pさんの家に駆け込んだ私が見たのは、完成したまゆちゃんの絵だけでした。

その日を境にプロデューサーさんは私達の前からすがたを消してしまった・・・。

これにて終了です。

本当はもっとソフトになる予定だったんだけどなぁ・・・。

まあ、まゆはきっと救われたでしょう。

というわけで、読んでくれた人ありがとございました!

08:17│佐久間まゆ 
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