2014年09月05日

杏「HAPPY UNBIRTHDAY」


P「zzZ」





ピンポーン







P「zzZ」





ピンポーン





P「……んん……ロリは……文化だって何度もいってるだろ……」





ピンポンピンポーン





P「……んあっ!」ビクッ



P「あ……?」





ピンポーン





P「……」イラッ



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P「よいしょっと……誰だ、こんな時間に……」





ピンポーンピンポーン





P「誰だこんな時間にぃ!」ガチャ



杏「……」



P「……」



杏「お、おはよプロデューサー……あ、こんばんわ……?」



P「……お前、何してんの?」



杏「い、いやー……あのね……」



杏「えーと……」



P「……」



杏「……あれだ、プロデューサーは今日、杏と一つ屋根の下で寝れる権利をあげよう!」



P「……いらないけど」



杏「……」



P「……」



杏「泊めて下さい……」



P「急になんなんだ一体……凄い迷惑なんだが……」



杏「そ、そんなこといわないで……ほら、杏を泊めたらきっといいことあるって」



P「何も無いよきっと……じゃあ俺寝るから、風邪ひかないように帰れよ?」



杏「待って! 待ってってば!」



杏「……あ! そ、そうだプロデューサー、杏の話聞いたらきっと泊めたくなるよ?」



P「……どんな?」



杏「ええとね、今日……というか昨日、杏誕生日だったじゃん」



P「おう」



杏「それで事務所の皆が杏にサプライズパーティしてくれたんだ……いやー、愛されるって辛いね」



P「嬉しそうだなぁ」



杏「うんうん、あれは確かに嬉しかったかなー」



P「そりゃあ、良かったな」



杏「それで……それでね……杏、杏さ」



P「うん」



杏「嬉し過ぎて帰りの電車で寝落ちした……」



P「……」



P「……うん」



杏「だからほら、あんなに嬉しかったのに急にどん底に落ちちゃって……杏、今凄い可哀想なんだよ」



杏「こんな可愛い女の子を夜一人にさせてはいけない……優しいプロデューサーはそう思うよね? ね?」



P「……」



杏「ほ、ほら、杏泣いちゃうぞー……えーん……」



杏「……ちらっ」



P「……」ススス



杏「……! ド、ドア閉めようとしないで!」





…………







杏「ベットだ〜」ボフン



P「おい、入れたのはいいがゴロゴロするなよ、大人しくそこ座ってろ」



杏「えー、いいじゃん、減るもんじゃ無いし」



P「……じゃあとりあえずそこで寝るなよ?」



杏「……」



P「返事しろっつの……はぁ、連絡網どこだっけ……」



杏「……? 何でそんなの探してんの?」



P「お前を泊めてくれそうな奴が近くにいたらそこに送ってやるんだよ、感謝しろ」



杏「ここにいるじゃん、泊めてくれそうな人」



P「馬鹿いうな、お前アイドルなんだぞ?」



P「男に連れ込まれたー、なんてスキャンダルとか撮られたらどうするつもりだ」



杏「……あのさ」



P「なんだ」



杏「それ、こんな時間帯にプロデューサーの家に入った時点でもうアウトなんじゃない?」



P「……」



杏「……」



P(……どう、しよう)



P(くそ……なんだ、寝ぼけて頭まわってないんじゃないか俺……)



杏「まぁ諦めて杏を泊めるんだねー……ジュース貰っていい?」



P「ジュースは無いぞ、お茶なら……いや、それはともかく……」



杏「無いのかぁ……」



P「まだ、まだなんとかなる……! 早いとこお前をどっか他の泊めてくれそうなアイドルのとこ送るとか……むしろ俺がここから出て行くとか……!」



杏「……んー、いいでしょもう、面倒くさいし」



杏「というかプロデューサーの家に入った時点でアウトなんだからどうしようもないって、プロデューサーはスキャンダルの言い訳とか考えときなよ」



P「……もし本当にそうなる事態になれば、お前が不味いんだからな?」



杏「杏は大丈夫……こう、無理矢理……杏を……!って泣きながら言うつもりだし」



P「待てっ、それは俺が死ぬだろ!」



杏「プロデューサーは杏のためだったら地獄にまで落ちてくれる……はず!」



P「俺を犠牲にするなっ!」



杏「えー……じゃああれだ……」



杏「……」



P「……なんだ?」



杏「合意の上で……将来養い養われる関係です……とかでもいいんだよ?」



P「は、はぁ?」



杏「……」



杏「……」モゾモゾ



P「……って、何でお前服! 服脱ごうとしてんだ!」



杏「ん〜……」モゾモゾ



P「も、もしかして……嘘、嘘だろ?」



杏「……んしょっ」



P「だ、だめだぞ杏! 俺たちは……!」



杏「お風呂借りるねプロデューサー、タオルってどこにあるの?」



P「……」



杏「……え、借りちゃダメとか?」



P「……湯、いれるから……ちょっと待ってろ」





…………







P「……」



P(杏の言う通りかもしれない……むしろ、いまから焦ってバタバタする方が危ない気も……)



P(こいつに変装でもさせつつ、朝一でここをこっそり出るのがいいか……?)



P(でも……ううん……)



P(……)



P(……とりあえず、ちひろさんに連絡しとこう)ピッ……ピッ……



杏「……はーっ、いいお湯だった〜……プロデューサーの家のお風呂、広くていいね」



P「お、あがったか……ん、なんだその服? 俺の?」



杏「うん、Tシャツ借りた」



P「そうか、まぁ確かに服無いもんな……あれ?」



P「よく考えたら……お前、下着は?」



杏「……変態」



P「で、でも……」



杏「なら、プロデューサーのパンツ借りていいの?」



P「……」



P「コンビニ、行ってくる……」



杏「あー、いいよ別に……それより、ほら」



P「ん? ドライヤー?」



杏「うん」



P「……」



P「……」ブオオオオオ



杏「ん〜……楽チン楽チン……」



P「お前、髪乾かすくらい自分でやれよ……」



杏「ドライヤーの音で聞こえないよ〜」



P「はぁ……女の子の髪を乾かすってもっと甘い感じを想像してたんだけどなぁ」



P「なんだか、犬とか猫とかを乾かしてる気分だ……」



杏「失礼な、杏の髪を乾かすなんて普通出来ないんだからな……もっと杏に感謝して……熱いっ、熱いよっ!」



P「余計なこと言うからだ」



杏「うう……禿げたらどうするんだ……」



P「そんなことさせねえよ、俺はこれでも一流プロデューサーだぞ? 一応ヘアケアとかの知識もあるし……」



杏「……プロデューサーが禿げそうだからってわけじゃなくて?」



P「……」ブオオオオオ



杏「熱いっ、熱いってば!」



杏「うあー」



P「見事にモッサリしたな」



杏「風呂上がりだしいつもこんなもんだけど……夏にこれはやだなぁ……暑い」



P「ほら、こっち来い」



杏「ん?」



P「ついでだ、髪ちゃんと梳かしてやるから」



杏「……おねだりしなくてもやってくれるなんて……あ、杏は何もあげないぞっ」



P「いいから……こいっ」グイッ



杏「わわっ……引っ張らないでよ」



P「輝子とかもたまにそうなんだけど……俺、ボサボサの髪って落ち着かないんだよ」



P「せっかく髪だけは綺麗なんだから、ちゃんと手入れしとけ」



杏「……だけってなんなのさ」



P「文句があるならもう少し成長しろ」



杏「杏的にはもうこれが精一杯だよ、これ以上背とか胸とか大きくなる気がしないし」



P「それならせめて精神的にだな……ん……しかし、これは……」



杏「どうしたの?」



P「お前……髪、気持ちいいな」



杏「……」



P「……すまん、今のは失言だった」



杏「……まぁ、そんなに悪い気はしなかったからいい……気持ち悪かったけど」



杏「よいしょ……それじゃプロデューサーに髪梳かして貰ってる間にーっと……」ゴソゴソ



P「お、おい、動くなよ……何するんだ?」



杏「じゃーん!」



P「……包?」



杏「今日……というか昨日だけど……ほら、皆が誕生日祝ってくれたっていったでしょ?」



杏「その時皆から一つずつプレゼント貰ったんだ〜……えへへ」



P「へー、それは良かったな」



杏「……」ジー



P「……ん、何見てんだ?」



杏「いや、なんでも……さぁまずは輝子から貰ったプレゼントだ! 何を……」





[世界キノコ図鑑]





杏「……」



P「……」



杏「……」チラッ



P「……いや、俺を見られても」



杏「……輝子のだからさ、キノコとかメタルとかそういう関連だとは思ってたんだけど」



杏「……うーん」



P「いいじゃん、結構面白そうだぞ、写真も一杯載ってて……パラパラ捲る感じで読んでみれば?」



杏「そーだね、それはそうかも……でもなぁ……」



杏「杏、一応人から貰ったものはちゃんと全部使うって決めてるんだよなー……」



P「使うってどういう意味だ?」



杏「だから、全部使うんだよ」



P「……もしかして、この分厚いの全部読もうって思ってたり?」



杏「まぁ……」



P「……お前ってそんな奴だったっけ?」



杏「失礼な! 杏はいつだって貰い物とか大切にしてるぞ!」



P「その割にはそのウサギも汚れまみれだが」



杏「こ、これは……ほら、ある意味ちゃんと使ってるからってことで……」



P「説得力ないぞそれ……」



杏「……杏、プロデューサーに貰った飴とかも残したことはないんだからね」



杏「前、はっか味ばっか残してくれたドロップだって、全部食べたんだぞ……」



P「……」



P(……あれは割と、冗談だったんだが)



杏「あの……これ、事務所に置いといていい? ちまちま読むから」



P「何で事務所に……」



杏「だって事務所じゃゲームダメだからこれ読むのは丁度いいし、輝子が何かキノコの名称言ったりしてもすぐ調べられるでしょ?」



P「……んー、まぁ、いいけど」



杏「よしじゃーけってー……次は……蘭子のにしよう」ゴソゴソ



P「蘭子もくれたのか?」



杏「うん……お、これだ、黒くて凄い派手な包装してる……」



杏「えーと……お、おおお!」



杏「プロデューサー、見て、見てよこれ!」



P「……なんだそれ?」



杏「これ、瓶と一緒に入ってたんだけど……多分飴入れとそのカバーだ!」



P「……へえ」



杏「リアクション薄いなー……これ、凄い出来だよ?」



杏「それに、杏いつも余った飴とかはそのまま鞄に突っ込んでたから……これは嬉しいな〜」



P「そういやお前、自分じゃ飴持ってないよな」



杏「うん、買わなくてもプロデューサーから貰えるから問題ないし」



杏「でもこれは……飴買って持ち歩こう、うん……もうプロデューサーから飴貰わなくて済むかもね」



P「……」



P(杏が飴を常に持っている)



P(つまり、杏は俺から飴を貰う必要はない)



P(……俺は基本、こいつを働かすために飴で釣っている)



P(それって……)



P「……」



杏「……ん? どうし……ちょ、ちょっと! なんで取るんだ! 返せーっ!」



杏「……」ジー



P「……俺が悪かったから、睨むなよ」



杏「……羨ましくてもあげないからな」



P「羨ましかったわけじゃ……」



P「そ、それよりほら、まだプレゼントいっぱいあるじゃないか……これとか!」



杏「あ、だめ! 杏が開ける!」



P「お、おう……」



杏「これは確か……留美さんがくれたんだっけ、何くれたんだろ」ゴソゴソ



P「……ん? 本……みたいだな」



杏「そうだね……タイトルは……」





[女性として]





杏「……」



P「……」



P「……なんかの間違いとかじゃないのか?」



杏「……杏もそう思う、そう思いたい」



P「……」



杏「……」



杏「……次の、開けようかな」



P「おう……そうしとけ」





…………







ゴチャア





杏「よし、これで全部だー!」



P「おま、来た時には軽装に見えたのに、よくこんなに持ってたな」



杏「杏もビックリしてる」



P「つーか八割がたお菓子って……」



杏「これ、きらりのプレゼントがぬいぐるみと大量のお菓子だったから、殆どそれだけどね」



P「……まぁ、俺もお前にプレゼントやるとしたらお菓子とかが第一候補だけどさ」



杏「やるとしたら?」



P「ん? なんだ?」



杏「……いや、いい」



P「しかし散らかしたな……俺、今から風呂入ってくるからその間に片付けとけよ」



杏「あれ、そいや杏が来る前とかに入ってなかったの?」



P「朝風呂にしようかと思ってたんだが……さっき湯入れちゃったしな」



杏「あー……なんかごめんね」



P「別にいいから、おら、お前は片付けしとけ」



杏「善処する」



P「……ちゃんと片付けろよ」ガチャ



杏「はいはい……いってらー」





バタン





杏「……」



杏「……」チラッ





[女性として]





杏「……」



杏「……」ペラッ



杏「……」



杏(……第二章、プレゼント)



杏(女性が男の人からプレゼントを貰うということはある種のステイタスです)



杏(貴女も男の人、特に気になる異性からプレゼントを貰えるそんな女性になりましょう)



杏(……)



杏(……気になる異性とかじゃないけど)



杏「……はぁ」



杏「ま、いいや……」



杏「それより……面倒くさいなぁ、これ全部片づけないといけない……ん?」



杏(なんだろ、あのわざとらしく置いてる紙袋)



杏(……)



杏(……もしかして)



杏「……えへへ」



杏「もー、プロデューサーも面倒くさい性格してるな〜……どーせ恥ずかしくて杏にプレゼント渡せなかったとか……」ゴソゴソ



杏「……渡せ、なかったとか……」



杏「……」



杏(え……これ、服、だよね)



杏(……制、服?)



杏(私立とかの小学校の子が着そうな……制服……)



杏(……)



杏(ち、違ったのかな)



杏(そうだよね、流石にこんなのが杏へのプレゼントなはずないし)



杏(……)



杏(サイズ……)



杏(……あ、杏に、ピッタリ)



杏「……」



杏(何! 何考えてんだあの人!)



杏(そんな趣味だとか思わなかったよ! プロデューサーやってて大丈夫なのか……!?)



杏「……し、知りたくなかった」



杏「そりゃ杏に渡せるわけないよ……渡してきたら即通報するよあれ……」



杏「……見なかったことにしたいなぁ」



杏「……」



杏(無理かな……どうしよう……)



杏「……くそぅ、それこそこんな時に女性としてどう振る舞うべきなのか書いてたりしないのこの本……通報以外で……」ペラペラッ



杏「男性から幼児趣味のプレゼントを貰った場合の対処法とか……ん?」



杏「……」



杏(第二章、プレゼント……第二項、プレゼントの持つ意味について)



杏(ええと……男の人が女性に贈るプレゼントとはとても大きな意味を持っています)



杏(アクセサリー、服、香水……それは男性が貴女を自分の色に……)



杏(……自分の色に、染めたいという……)



杏「……!」バタン



杏「……」



杏(……す、凄まじい物を見てしまった気がする)



杏「ちょ、ちょっと待とう、うん」



杏「じゃあ……」



杏(……プロデューサーは、杏を?)



杏「……」



杏(そ、そんな……そうなら……)



杏(杏は、どうすれば……)



杏「……」



杏(杏は……)





…………







P「ふー……上がったぞー」



杏「お、お帰り……」



P「はは、風呂に上がっただけでお帰りって言うのか? 変だ……ぞ……」



P「……」



杏「……」



P「……それ」



杏「なんか……言ってよ」



P「似合ってる……」



杏「……そ、そう……ちょっと複雑だけど」



杏「まぁ、貰った物は……使わないと、だからね」



P「そうか……ありがとう」



P「……」



杏「……」



P「……じゃない!」



P「なんで! なんでお前それ着てるんだ!」



杏「……へ?」





…………







杏「め、姪?」



P「あぁ、姉貴が前俺の家に来た時にクリーニングした奴忘れて帰ったんだ……」



P「……皺、出来ちゃったかなぁ、またクリーニング出しとかないといけないかこれ」



杏「ごめん……」



P「……わざとじゃなさそうだし、いいけど」



P「でもお前、何でこれ着たんだ?」



杏「それは……」



P「……」



杏「……ほ、ほら、プロデューサーロリコンだから喜ぶかなーって」



P「喜ぶに決まってんだろ!」



杏「じょ、じょーだんだよ、じょーだんだか……ん?」



杏「ちょ、今、プロデューサーなんて……」



P「……あれ、待てよこれ」



P「そうか、これを使えば……」



杏「……」



P「ん? すまん聞いてなかった……なんだ?」



杏「なんでもない……」



P「それならいいが……まぁ、善意であろうが悪意であろうが人の家のものを勝手に漁るな、あまつさえ勝手に使うなんて言語道断だ」



杏「……」



P「分かったら……返事」



杏「……うん」



P「……よし」



P「じゃあもう遅いから寝るぞ、寝れても三時間もないかもしれんが……寝ないよりはマシだ」



杏「……ねぇ」



P「ん?」



杏「杏……もう、誕生日終わっちゃってるよね」



P「……おう」



杏「……」



P「……」



P「……あー」



P「ちょっと、待ってろ」



杏「……?」



P「んと……確か机に……」ゴソゴソ



杏「何、してるの?」



P「お、あったあった」



P「ん」



杏「……なにこれ、ヘアゴム?」



P「……誕生日プレゼント」



杏「え……」



P「……」



杏「……」



杏「……もう、誕生日過ぎてるんだよ?」



P「その……な」



P「あれだ……別に渡す気が無かったわけじゃないんだ」



P「でも……昨日は俺忙しくてお前に会えなかったし、渡す機会逃してたら……そ、そんなにたいしたプレゼントってわけでもないから……つい……」



杏「……」



P「……悪い、誕生日……おめでとう」



杏「もう、遅いよ……これは遅延料金頂かないといけないレベルだ……」



P「遅延料金……? な、なんだ、飴でも欲しいのか?」



杏「んー……そうだなぁ、それじゃ……」



杏「……これ、杏に付けてよ」



P「え?」



杏「自分で髪まとめたりするの面倒くさいからさ、プロデューサーが付けて」



P「今からか……? これから寝るんだぞ?」



杏「いいじゃん別に、朝つけるのも夜つけるのも変わんないって……だから、はい」



P「横着だな……」



P「……」



P「おら、後ろ向け」



杏「ん」



P「……っと、まず髪をまた梳かしとかないとな」



杏「……気持ちいい?」



P「だ、だからあれは悪かったって!」





…………









ピンポーン





ちひろ「……」





ガチャ





P「……おはようございます」



ちひろ「おはようございます、プロデューサーさん」



P「こんなに朝早くからすいませんでした……今、大丈夫そうですか?」



ちひろ「いえいえ、しょうがないですよ」



ちひろ「そうですね、今は人も少ないみたいですし……問題ないんじゃないかと」



ちひろ「あ、一応言われた通り変装道具持って来ましたよ……?」



P「すみません、実はそれはもう大丈夫になっ……ちょ、マスクとサングラスって、怪しさMAXじゃないですかこれ」



ちひろ「ご、ごめんなさい……急な話だったので手頃なものが……」



P「そ、それは……すみませんでした」



P「……と、とにかく、ここで話してないで車に向かいましょうか……おいっ、行くぞっ」



杏「……ふわぁ」



ちひろ「……!」



杏「ねむ……」



ちひろ「あ、杏ちゃん……その服……?」



P「変装用です……こいつは容姿がこうですし、目立つ髪の毛も学生帽で多少は隠れるので……」



ちひろ「……」



P「丁度小学生用の制服持ってて、本当良かったです……」



ちひろ(何故、プロデューサーさんは丁度小学生用の制服を……)



P「早くしろ杏……! 何眠そうにしてんだ……!」



杏「プロデューサーが夜寝かしてくんなかったからじゃんか」



ちひろ「!?」



ちひろ「……」



ちひろ(……何故か持ってた杏ちゃんのサイズにあう小学校の制服)



ちひろ(夜……寝かしてくれなかった……)



ちひろ(……プロデューサー、さん)



P「むしろ俺はお前を寝かせようとしてただろうが……いざ寝ようとしてもゲームゲームいいやが……」



P「……? な、何故ちひろさん、俺を睨んでるんですか……?」



P「ほら、早く車入った入った」



杏「急かさなくても入るって……よいしょ」



P「……」キョロキョロ



P(……ん、大丈夫そうかな)



ちひろ「あの、さっきからプロデューサーさん……周りを気にしすぎて逆に怪しく見えてないですかこれ……?」



P「いいんです、何も無かったとはいえこういうことが破滅へと繋がるんですから……気にしすぎるくらいで……」



ちひろ「……本当に何もなかったんですよね?」



P「あ、当たり前です!」



P「俺はプロデューサーですよ!? アイドルやそのファンを裏切るようなこと、絶対にしません!」



ちひろ「……そうですか」



P「な、なんですかその目、やめてください!」



杏「はぁ……プロデューサーもちひろさんも色々と考え過ぎだよもう」



杏「プロデューサーと杏がなんかあるわけないし……万が一スクープ撮られても、杏のファンなら分かってくれるって」



ちひろ「わ、分かってくれるって……杏ちゃん、どういう意味?」



杏「プロデューサーが杏の面倒を見てくれてただけってこと」



P「あのなぁ、そんな簡単な話じゃないんだぞ? だいたいファンがプロデューサーのことなんか考えてるかよ」



ちひろ「……」



ちひろ(……プロデューサーさんは知らないんだろうな)



ちひろ(蘭子ちゃんの言葉遣いや杏ちゃんのだらけ癖のせいでプロデューサーさんを応援する非公式ファンクラブが出来てるってこと……)



杏「そんなもんかなぁ……まぁいいや」



杏「それより、もう変装はいいよね?」



P「ん、ああ、大丈夫だぞ」



杏「それじゃ髪直そうかな……よっ、と」



ちひろ「あ……そういえば杏ちゃん髪解いてるのね」



杏「ん、せっかく纏めといたのに変装の一貫とか言われて結局……何も変わんないと思うんだけどなぁ……」



杏「おかげでまたやらないと……めんどくさい……」



ちひろ「無理に纏めなくても杏ちゃんの髪の毛綺麗だから……たまにはそのままでも可愛いと思うわよ?」



杏「あー……それは楽そうだけど……」



P「……」



杏「……ね、プロデューサー?」



P「……なんだよ」



杏「……えへへ、なんでもない」



杏「なんだか杏、今日はいい日になる気がするなって思っただけー」



P「……」



ちひろ「……?」



















P「……お前今日は一日中仕事入ってるけどな」



杏「」



P「……くく」



P「さー今日もいい日になる気がするなー杏、楽しい仕事日和だ」



杏「なっ、なんだそれ……断るっ! 杏は絶対働かないからなーっ!」





















おわり



23:30│双葉杏 
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