2013年11月22日

春香「千早ちゃん…私、今ね」

小鳥さんは自分のデスクに戻っていった。
もうちょっと、千早ちゃんに甘えていたかったな…


春香「千早ちゃん、ありがとね」


千早「私のほうこそ春香には感謝してるし…それに、あなたに膝枕出来て嬉しい…」


春香「えっ…」


千早「だって、今の私があるのはあなたのおかげなのよ、春香。
   そんな人に頼られて、そのうえ膝枕してあげられるなんて嬉しくないわけないじゃない」


千早ちゃんは、私が気を遣わなくていいようにしてくれてるのかな
そういうところも大好きだよ、千早ちゃん。



千早ちゃんに甘え始めてからの私はすごく調子が良い。


千早ちゃんのおかげで、お仕事とかもうまくいくようになって
量も以前の何倍ももらえるようになって
嫌なことがあってへこんでもずっと笑い続けて疲れちゃっても
千早ちゃんが私を癒してくれて
嘘だってわかってはいるけど、千早ちゃんも
「春香に甘えてほしい」とか
「春香に甘えられると私も嬉しい」って言ってくれるし…



千早ちゃん…私、今ね…とっても幸せだよ!!


だから、ずっとそばにいてね
いなくなったりしたら私…
ううん違う、いなくなったりしても、どこまでだって追いかけていくからね!!
だって千早ちゃんのいない生活なんて考えられないから。
その日の夜、プロデューサーさんから電話がかかってきた。
お仕事の電話だと思った。
だけど、なんだか違ったみたい。
いつも落ち着いたプロデューサーさんが息を荒くして
変なことをいってました。
千早ちゃんが車にはねられて死んじゃったなんて
冗談にも限度ってものがあるんですよ。

気分が悪くなってその日はご飯を食べてすぐに寝ることにしました。
なんだかお母さんが変にやさしいから気になったけど、
明日もお仕事で朝から事務所に行かなくちゃいけないし気にしてられないかな。

---翌日、765プロ事務所---

春香「おはようございます!!」

いつも通り元気いっぱいに挨拶をして、いつも通り事務所のドアを勢いよく開ける
いつも通りの見慣れた景色、いつも通りの事務所。
なのに、何故か涙が溢れてきて止められない。

千早ちゃんがいないからって泣いちゃうなんて、私ってそんなに泣き虫だったかな。
千早ちゃんは、たまたま来てないだけなのに
ストイックな千早ちゃんだって、たまには寝坊もするよね
でも今日は、生っすかの収録もあるしもう少しで会えるよね。




なんだか今日は頭の中がぐちゃぐちゃしてて気持ち悪いなぁ。
自分でもおかしいとは思うけど
千早ちゃんが死んだなんていうプロデューサーさんの心無い冗談が
頭の中でずっと出ては消えてを繰り返して
嘘だってわかってるのに
千早ちゃんが死んじゃったって、本気で思おうとしている自分がいる


なんで私ってばあからさまな嘘に弱いのかな
千早ちゃんの嘘も、プロデューサーさんの嘘も真に受けちゃう。


考えるのが嫌になっちゃった
こんな時は美希を見習って寝ることにしようかな…あふぅ、なーんてね。


律子「そんなこと…意味があるんでしょうか」


P「でも、それしかないだろう、違うか?」


貴音「しかし、そのような策を弄して彼女を謀ったところで…」


P「わかっている、わかってはいるが…」


亜美「お姫ちんのゆうとおりだYO!」


真美「そんなことしてもトドの水浴びになるだけっしょ→…」


伊織「それを言うなら元の木阿弥でしょ…こんな時にまでふざけてんじゃないわよ」


あずさ「それで済めばいいんですけど…」


雪歩「もし嘘をついてるのがばれたりなんてしたら…」


真「元の木阿弥じゃすまないよ…」


やよい「あぅ…私だったら立ち直れないかも…」


P「だったらどうしろっていうんだ!!
  今ここにいる全員で事実を受け入れるように迫ったら…あの娘は
  本当に壊れてしまうぞ!?」


社長「まぁ、落ち着きたまえよ…目をさましてしまうだろう」


美希「ミキ的には、そうするしかないって思うな。
   ミキだってハニーが死んじゃったなんて言われても
   信じられないし、信じたくないの」


響「自分も家族と別れなきゃいけないときは気持ちの整理がつくまで
  すっごく時間がかかるぞ…」


小鳥「そうですよ、せめて気持ちの整理がつくまで待ってあげてください。
   きっといきなりそんなこと言われて混乱してるだけなんだと思います」


律子「私は反対です。やりたいなら勝手にやってください。
   こんなこと、あの娘がかわいそうで見てられません。」


P「律子!!頼む」


律子「嫌です、嘘をついて生きてると言い張るなんて。
   聞かれたらその時は真実を伝えます。」


貴音「恐れながら、わたくしも律子嬢に賛成です。
   これは死者への冒涜です。」


P「律子…貴音…」
皆、誰の話をしてるんだろう。
誰かが死んだとか生きてるとか…
せっかく夢の中に逃げ込んだのに意味ないや…
はぁ、こんな嫌な夢、早く覚めないかな…




社長「おや、天海君が起きたようだよ」


夢の中の社長が私を見て言う。
皆の視線が一気に私に集まる、夢だよねこれ?


P「春香!目が覚めたのか!
  聞いてくれ、昨日はすまなかった、あんな冗談言うつもりじゃなかったんだ!!」


律子・貴音「…」


P「千早な、海外デビューが決まってな、それで…
  それで昨日な、まずは打ち合わせだって、
  それでいきなりだが現地に向かってもらったんだ。」


P「お前を驚かせたくてな、あんな冗談を…すまない春香
  でも安心しろ、千早は死んじゃいないからな、海外に…そうアメリカにいるだけなんだ!!」


なんだかPさんすっごく興奮してる…


春香「Pさん落ち着いて…大丈夫、私気にしません。
   あんな冗談きいたときは少し腹が立ちましたけど
   私のためだっていうなら、気にしません!!」


ホントはまだ気になるけど


春香「それより千早ちゃんが海外デビューしたんですよね、すごいです!!
   さすが千早ちゃんですね!!」


P「あぁ…」


春香「すごいなぁ…夢の中でも千早ちゃんはやっぱりすごいんだぁ、えへへ…」


一同「…」

貴音「春香、ここは夢の中ではありませんよ。」


P「貴音…」


律子「そうよ、寝ぼけてないでさっさと顔でも洗ってきなさい
   朝からずっと寝てるなんて、だらけすぎよ!!」


小鳥「り、律子さん…」


春香「夢じゃ…ない??」


さっきのPさんの言葉がすぐに思い出されてきて…それじゃさっきの話は…


春香「それじゃあ、千早ちゃんは…生きてるんですね」


誰も何も言わない。なんで…


春香「プロデューサーさん答えてよ!!」


思わず叫んじゃった…


P「あ、あぁ、そうだ、」


思い出したかのように答えてくれた。
それを聞いて私は安心して、そしたらまた泣けてきちゃって…皆の前で大泣きしてしまった
ちょっと恥ずかしいな


春香「うっ…ぐすっ、あんな冗談、いわないでくださいよぉ…。
   いくら私のためだからって…言っていいことと悪いことがありますよぉ…」


P「すまない…すまないっ」


Pさんは大泣きしてる私を抱きしめて、頭を撫でてくれました。
男の人にしては細いPさんの指でも、千早ちゃんの指とは違う感触だった。
やっぱり千早ちゃんの指のほうがいいかなって…

その日の仕事、なまっすかの収録は千早ちゃんがいないうえに
私がずーっと寝たまま目を覚まさないから中止にしてもらったみたい。
迷惑かけちゃったなぁ…

今日はもう帰ったほうがいいって社長さんが言うからお言葉に甘えて帰ってきちゃいました。
Pさんの車の中は千早ちゃんの匂いがした気がして
そのことを尋ねたら「千早を空港に送ったまま空気の入れ替えをしてなかった」って。

ちょっとだけ、Pさんがうらやましかった。



千早ちゃん…私、今ね…とっても心が晴れ晴れしてるよ!!
大泣きしたせいなのかな、それとも千早ちゃんが海外デビューしたおかげかな。
まるで自分のことみたいに嬉しいよ、千早ちゃん!!
---春香帰宅後、765プロ事務所---

社長「では、天海君のことはしばらくこのままで様子を見ることにしよう」


律子「…はい」


社長「しかし、なぜあの場面で黙っていたのかね、四条君もだが…」


律子「社長、言ったはずです。聞かれたらその時は真実で答えると」


社長「なるほど…君なりの優しさというわけか」


貴音「右に同じくでございます」


社長「では君たちは、天海君が、Pを問いただす相手に選ぶとわかっていたのかね?」


律子「そんなこと、考えなくてもわかるじゃないですか。事実を春香に伝えたのはP殿なんですから…」


律子「正直言って、このやり方は気に食わない…
   だけど…悔しいけど、他にいいやり方も思いつかないんですよ…」


一同「…」


律子「皆も、お願い、春香のために、お願い。P殿を信じましょう」


小鳥「私からもお願いするわ…
   私は皆のことが…明るく楽しい765プロが好きなの、だから…お願い」


一同「…はい」


---春香を送った後、Pの車の中にて---

P「まったく、心臓が止まるかと思ったぞ、春香…。
  俺も春香をおどろかせたらしいが、俺はそれ以上に驚かされたぞ、きっと」

P「千早の匂い、か。あながち間違っちゃいないだろうよ、まだ一日もたっていないしな」


P「しかし社長も金に汚い男だ…まさか協力してくれるとは思わなかった
  いや、あの人の場合、アイドル事務所の存続のためなのかな
  あの事務所は、自らの夢と理想の体現なわけだし。」


P「…が、しかし律子までもが何故…
  まぁいいか、黙っててくれるならこれ以上のことはないしな。」


P「さて、どうするかな、これ…家に置いておくにはいささか大きすぎるし、
  もって数日が限度だろう…」


P「しかし、まさかあいつがこんなこといいだすなんてなぁ…」


P「お、事務所が見えてきたな。
  中に残ってるやつらに挨拶をして帰ろうかな…」    
ご指摘ありがとうございます。
変換ミスみたいです、たまにあるんですよね
---五月某日,765プロ事務所---

あれから一か月くらいが経ちました
千早ちゃんはあれから一度も事務所に顔を見せてくれません
Pさんはとりあえずの打合せだけだからって
そういって千早ちゃんの後を追ってアメリカに行ったきり事務所に帰ってきません。
最近は律子さんだけじゃ手が足りなくて社長さん直々に営業をやってもらってます。

皆は変わらず元気で仲良くやってるけど、なんだか不思議に思うことがあるのです

誰も千早ちゃんのことを話題に出そうとしないんです、おかしいよね

私が千早ちゃんのことを聞いても、皆、知らないの一点張りです
なんだか私が避けられてるようにも感じられて、嫌な感じです

さらにおかしいのは、千早ちゃんが電話にもメールにも一切応えてくれなくなっちゃったこと。

これは私だけじゃなく、皆も同じみたいだし
きっと携帯が壊れて使えなくなっちゃったに違いない

だったら手紙とか送ってくれたらいいのに、それもしてくれないし、
私から手紙を出したいのに、住所はわからないって言われるし、



やめよう、考えても無駄なんだ、千早ちゃんは今忙しいから、メールも電話もできない。
それだけの話、きっとそうに違いない
そうおもうことにしよう、うん。
真美「…ねぇ、ピヨちゃん、またはるるんが…」


やよい「なんだか不気味かなーって…いつもの春香さんじゃないみたいです…」


小鳥「えぇ、千早ちゃんがいなくなってから、ああやってぶつぶつ何かを呟くようになって…」


真「最近じゃ事務所にいるときはいつもあんな感じだよ…」


雪歩「お茶を持って行っても無視されるし…視線もどこに向いてるのかわからなくて怖いです…」


美希「ミキも最近は特等席をとられてお昼寝もできないの…春香はあのソファだいぶがお気に入りみたいだね」


小鳥「…」


小鳥「(皆、怖がってる。春香ちゃんのあの様子を見たら当然よね…)」


小鳥「(PさんもPさんだわ…、千早ちゃんが海外に行ったことにした以上、
    Pさんが後を追ってアメリカに行くふりをするのは必要なことだけど)」


小鳥「(まさか、本当に後を追うなんて…そんなのって…)」


小鳥「(この悲しみをここにいる皆と分かち合いたい…けどダメ。
    そんなことしたら、765プロはダメになってしまう。
    Pさんを慕っていた皆が悲しむ。  
    Pさんの死は、私と社長だけが知っていればいいことなのよ…)」(




---同日、レッスン場---

亜美「うあうあーめっちゃ疲れたYO→」


伊織「まったく、律子ったら容赦ないんだから…覚えときなさいよね」


律子「そんだけ悪態つけるなら大丈夫ね、しばらくしたら通しでもう一回行くわよ!!」


亜美「…鬼軍曹」


律子「二回にしようかしら」


伊織「ちょ…っ!!」


亜美「うわーん、助けて兄C!!鬼軍曹に殺されるぅ〜」
   

律子「…!!」


律子「(P殿…)」


律子「(どうして連絡くれないんですか…あの時からずっと、あれからもう一ヶ月経つのに…
    こんなに…こんなにあなたのことを想っているのに!!)」


律子「(あなたのためにいろいろしてあげたのに…私はもう用済みなの…?)」


亜美「あー、鬼の律ちゃんが泣いてるYO!!
   んっふっふー、鬼の目にも涙ですなぁ…そんなにも兄Cに会いたいんだねぃ」


律子「…亜美、覚悟なさい、今日は三回やるまで帰さないから」


伊織「」


亜美「」


あずさ「あらあら〜…」

---六月某日、765プロ事務所---

春香「小鳥さん」


小鳥「な、なにかしら…春香ちゃん」


春香「千早ちゃんはいつ帰ってくるんですか」


小鳥「…(また、この話か)」


春香「小鳥さんなら知ってるんじゃないですか、千早ちゃんのこと。
   だってうちの事務所の事務員なんですよね?
   皆のことは把握してるんですよね?
   だったら教えてください、もう小鳥さんしかいないんです…」


小鳥「春香ちゃん…」


春香「社長はずっと営業でほとんど事務所にいないし、Pさんからは音沙汰なし。
   だったら小鳥さんに聞くしかないじゃないですか。
   さぁ教えてください……早く…早くっ!!」


小鳥「落ち着いて春香ちゃん!!私にも…私にも何もわからないの…!!何も知らないのよ…」


春香「嘘…嘘ですよ…知ってるくせに…なんで隠すんですか!!」


気づいたら掴み掛ってた


小鳥「…」


俯いて視線を逸らす小鳥さん、むかつく


春香「…もういいです、小鳥さんの役立たず。」


小鳥「…」


もう今日は帰らせてもらおう
なんたって今の私には仕事はないし、使えない小鳥さんといても楽しくもなんともないし

小鳥「もう…限界よ…忘れたいのに…あの娘が毎日同じ話をするせいで忘れられやしないわ…」


小鳥「いままでは春香ちゃんのためを思って我慢してきたけど…
   私が…私だけがこんな目に遭うなんて理不尽よ。
   私だって千早ちゃんやPさんが死んで辛いっていうのに…」


小鳥「もう…いや…どうしたらいいの…」


小鳥「そうよ、いっそのこと春香ちゃんに千早ちゃんの死を伝えたらどうかしら」


小鳥「そうよ、それがいいわ…」


小鳥「でも普通の方法じゃだめ…それじゃ春香ちゃんの耳には、いや、耳には届いても心には届かない」


小鳥「…そうだわ、いいこと思いついた。」
---七月某日、765プロ事務所---

千早ちゃんがいなくなって三ヵ月
何もかもがうまくいかない
仕事もない、レッスンも行く気にならない
頭には千早ちゃんのことだけ…えらいでしょ、千早ちゃん
どんなに落ちぶれてもあなたのことは忘れない
だから、褒めてよ、膝枕してよ、頭を撫でてよ…

我慢できなくなって、最近は物に当たっちゃうことが増えたかな

伊織のうさちゃんは可愛いけど、手足をちぎったほうがいい音がするし、

やよいのべろちょろは、がま口を無理矢理広げたらもっとカエルっぽくなってかわいかったし

美希が見てたPさんの写真、目の前でちぎったら普段聞いたことないような美希の声が聴けて面白かったし

何より、大事なものを失った時の顔を見るのがこの上なく楽しい

最近は、使えない事務員をいたぶるのがすごく楽しい

仕事のできない、座ってるだけの木偶はモノ同然

人を殴るのはアウトだけど、モノならぎりぎりセーフだよね






小鳥「…ぐっ、げほっ…あぁ…」


響「春香やめろ…ぴよ子が死んじゃう…」


死ぬ…?モノが死ぬって、大丈夫響ちゃん?


真「そうだよ、春香…やめなよこんなこと…無駄だよ」


無駄…?私の楽しみは無駄なの、真?


小鳥「ハァハァ…いいの、いいのよ二人とも」


春香「ほら…まだしゃべれるし、大丈夫だよ…ふんっ!!」


小鳥「うがあぁ…あ…」


響「ぴよ子!!」


小鳥「来ちゃダメ!!…いいのよ響ちゃん、今日でこんなこと…もうできなくなるだろうから、
   思う存分やらせてあげて…。」


春香「…どういう意味ですか」


小鳥「…今にわかるわ、春香ちゃん…明日を楽しみにしてて。
   あなたの大切な人に会えるわよ…フフフ…うっ、ぐっ」


木偶のしたり顔は、本当にむかつく


春香「またそんな嘘ついて…嘘つくならもっとましな嘘をついてくださいよっ!!」グシャッ


鼻、つぶれた音、いい音、たのしい!!
こんな楽しいことが今日で終わるわけないじゃない!!


でも、なんだろう、もう一つの方は嘘に聞こえない。
木偶によると、明日千早ちゃんに会える、らしい
どうしよう、また私の悪い癖だ、こんなの嘘だってすぐわかるのに…


千早ちゃん…私、今ね…ちょっとだけワクワクしてるよ
明日会えるんだって思うと胸がはち切れそう…嘘だろうけど

小鳥「ありがとう二人とも」


響「礼なんかいらないぞ…そんなことより」


小鳥「私のことなら大丈夫…大人の女をなめないで…」


真「ねぇ、小鳥さん…さっきの、ボクも気になってたんだけど、
  千早にまた会えるってどういうこと…?」


小鳥「…明日TVをつけたらわかるわ…
   ごめんね、説明してあげたいけど…なんだか息がしづらいの…」


響「うぎゃー、そうだった!!救急車をよばなきゃ!!」


小鳥「(これでちょっとは警察も動いてくれるかしら…大人気芸能事務所で暴力沙汰!!ってね…)」
  

小鳥「まぁ、全ては明日の反響次第ね…」
---同日、765プロ事務所社長室---


社長「そうか…もう、終わりなのだね」


??「そうですね、そろそろ一番儲かるころかと」


社長「もう少し待ってはくれないか…私は私の夢を…この事務所をこんなところで終わらせたくはない…」


??「それは聞けない相談です。そろそろ何か手痛い反撃を受けそうな気がするので
   大丈夫、金はしっかり分けますよ、もちろん5割とはいきませんが…」

社長「金は要らん!!君がすべて持って行ってくれて構わない、
   どうせ罪は私がすべてかぶるのだから…だから、頼む…」


??「…あんたって人は、わかりましたよ、もう少しだけまってあげます。
   ホントは今日流しちゃう予定でしたけど…あなたのその熱意に負けましたよ」


社長「ありがとう…せめて最後は夏のライブで終わらせてやりたかったのだ…」


??「なんでもいいですが裏切りだけは困りますよ、社長…まぁそんなことしたらあの娘たちは
   ただじゃすまないでしょうね」


社長「わかっている…彼女らは、私の娘たちだ、裏切りはしない」


P「あぁ、うんざりだ、切りますよ社長、せいぜいお元気で」ピッ


社長「…」
>>34へ
まぁ使い古されたネタでですから、既視感は強いかと思いますが
あくまでSSを書くのは初めてです。
ここまで読んでくださってありがとうございます
最後までお付き合いくだされば幸いです。

>>33へ
ありがとうございます!!とても励みになります。
亀更新ですが頑張って書ききるのでお付き合い願います。
---翌日、早朝、天海家リビング---
眠い目をこすりながら、階段を降りる。
今日はどんな楽しいことがあるのかな…そう思いながらテレビをつけた
真っ先に目に飛び込んで来たのは…





人気アイドル事務所、まさかの内部告発で強制捜査!!





アナウンサー1「緊急ニュースです。あの大人気芸能事務所がたいへんなことになっています。
        昨日、強制捜査の令状が出され、その日の夜に強制捜査が行われたようです。
        現場には、○○さんがおります…○○さん??」
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アナウンサー2「はい、現場の○○です。
        こちら先ほどまで捜査が行われておりました。
        いまやっと、作業が終わり、撤収を開始している模様です。」


アナ2「この事務所は、昨今の人気ゆえか、建物の前は大勢のやじ馬で賑わっております。
    何か情報が入り次第、追って連絡いたします…それではお返しいたします!」


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アナ1「詳しい情報に関しては調査中で…えっ、はい」


アナ1「失礼いたしました、臨時ニュースです。
    先ほど我社の報道陣が、内部告発を行った人物に、コンタクトをとることに成功したようです」


アナ1「…生で繋げる…はい、了解です。
    失礼いたしました、その人物との会見を生中継で放送させていただきます。
    しばらくチャンネルを変えずにお待ちください」






春香「なに…これ」
しばらくして…画面が切り替わると、そこには顔に包帯を巻かれた小鳥さんが写ってる。


記者A「それでは、告発の内容を確認させてください。」


小鳥「はい。告発内容は、ただいま海外で活動中の…如月千早のことです」


記者B「青い鳥での大ヒットは記憶に新しいですよね。」


小鳥「その如月千早は…数ヶ月前から海外活動のために、アイドル業を休業していることになっていますが
   それは真っ赤な大嘘です」


記者A「え…」



小鳥「本当は…事故で、亡くなっているんです。」



小鳥「実のところ、事故かどうかはわかりません、私が見たのは死体だけですから
   冷たくなった如月千早に触れて、亡くなっているのも確認しました。」


記者A「なぜ、今までそんなことが明るみにでなかったのだ…
    失礼かと思いますが、我々報道陣には格好の…」


小鳥「これに関して、原因はわが社の社長…いや、我々運営側にあったと告白します」


小鳥「我々は如月千早の死を、もみ消すことにきめていたのです」


記者B「何故…」


小鳥「千早ちゃんには、親友がいました。いや、もしかしたら、それ以上の存在です。
   そんな彼女を悲嘆の淵に落とすわけにはいかない、だから…我々運営側は、隠蔽を…」


記者A「しかしなぜ今になってそんなことを…」


小鳥「すぅー…はぁ…春香ちゃん、見てる?
   今から話すことをよくよく聞いておきなさい。」







TVのむこうの小鳥さんが、まっすぐわたしを見つめていた
それから小鳥さんはいろいろ言ってた

小鳥「いい、初めに確認しておくけど、千早ちゃんはもうこの世にいないの。
   事務所では皆、あなたのためを思って、ずっと話を合わせてきたの…。
   海外デビューなんて、大ぼらもいいところよ」


嘘、また嘘言ってる…


小鳥「いい加減に事実を受け入れなさい。」


事実…千早ちゃんの死…


小鳥「あなたのせいで、皆迷惑してる。私の顔もぐちゃぐちゃもこの通りよ」


なによ…木偶の顔なんかどれも同じよ…


小鳥「正直言って、千早ちゃんが生きているだなんて嘘、最初からやめておくべきだった。
   あなたのためだと思ったけど、まちがってた。真実を受け入れさせるべきだったのよ」


偽善者め…あなたのため…嘘つき…


小鳥「もう一度言うわ…千早ちゃんは死んだの、認めなさい。
   そして私は、この告発を様々な報道機関に行ってそれなりの金を稼いだ。
   それこそ人一人は遊んで暮らせるくらいの金を…ね」

なんだ、やっぱり金のためにやったんじゃない、大嘘つき


小鳥「この金を使ってあなたに一流の精神科医師やらをつけてあげる。
   はっきり言って、あなたは病気なの。
   千早ちゃんがいないことをきっかけにして、重度の精神病を患ったの。
   だから、何十年かかってもいい、あなたは真人間になりなさい」


私が…病気…??


小鳥「どうせ、あなたはそのままじゃ社会には出られない、普通の人間としては生きれない。
   ならいっそこうして目を覚ましてあげたほうがいいと思ったのよ」


………


  
小鳥「記者さん…」


記者A「はい…」


小鳥「もう一つ、告白してもよろしいですか。」


記者A「な、なんでしょう…」


小鳥「今、我々は、如月千早の死を隠蔽していることを明かしました。」


小鳥「でも、それだけじゃないんです…」


記者A「まさか…」


小鳥「もう一人…我々はのプロデューサーの死を隠蔽しています」


小鳥「そして…その死は、我社の社長によって引き起こされたとして、私は彼を告発します」


記者A「」


記者B「」
小鳥さんは、事の顛末を、事細かに語ってくれた。

四月のあの日
Pさんが千早ちゃんの死体を運んできた。
何故、どのようにして死んだかは言わなかったらしい
小鳥さんは、警察に届けようと言ったが社長がそれを引き留めた
夢を、終わらせたくないって。
天海君が知ったら悲しむから黙っておこうって
私をダシに使ってまで自分を正当化して…


次の日の夜は、律子さんを除いた運営陣は夜遅くまで残っていたらしい
そこでは、口論になってしまったそうだ
その口論が原因で、社長は、Pさんを殺した
事務所を続けたいという社長さんと、警察に届けようというPさん
相手を殺して、社長は自分の意見を通した
目の前でPさんを殺された小鳥さんは、社長に従った…


これが事のすべて、だって
わかったことは、社長がクズだってこと



わからないこともある
多分これは私にとって最も重要なこと






千早ちゃんは、誰にどうやって殺されたの??
その日のうちに、社長さんは捕まっちゃった
社長室で警察に捕まったって、TVでやってた。
さらに、その日の夕方、社長さんは小鳥さんの告発をすべて認めた。



なんて言って捕まったのかな、あのクズ…
さしずめ、「頼む見逃してくれ」…かな、わかんないや






それにしても、こんなに壮大なドラマ、いつの間に作ったんだろう
さすが765プロ、気合の入れ方が違うなぁ
すっごくリアルで本当ののことかと思っちゃったよ
悪い癖は早く直さなきゃ、直るかなぁ…
---小鳥の会見後、社長室---

社長「…来たか」


警官「高木順二朗だな」


社長「あぁ…」スッ


警官「ずいぶん素直だな」


社長「…」


警察「まぁいい、署までご同行願おうか」


社長「一つ頼みがある。
   彼女は、天海君だけはどうか不問にしてくれまいか」


社長「音無君は、自分の顔を天海君にやられたと口走ってしまっていた。」


社長「天海君は、まだ未来のある女の子だ、出来るだけ、罪は着せたくはない。
   汚れ役は、私一人で十分なのだ、だから…」


社長「頼む、見逃してやってくれ」


警官「…善処しよう、一警官にどこまでできるかはしらないが」


社長「すまない…」
---八月某日、765プロ事務所跡地---

なんだかしらないけど、765プロはなくなっちゃったらしい

ドアはあかないし、ひともこない

このまえひさしぶりに、あのじむいんをみた

きょうふによってしたがわせられたとみとめられて

じょうじょうしゃくりょうのよちあり

しっこうゆうよつきでしゃくほうだって

まだこのどらまやってたんだ、まえのないようわすれちゃった
---九月某日、路地裏---

??「ひゅー…ひゅー…くそ、あのくそ事務員、やりやがったな…」

??「あの金は…俺のものになるはずだった金なのに…」

??「全額あのくその家に寄付だ?…ふざけやがって…」

??「くそっ…だからさっさと流しておけばよかったんだ」

??「やべぇな…金がたりねえ、人一人の体を売っただけじゃ
   すぐに底をついちまった…」

??「…そういえばあの事務員、来月出所らしいな…おめでたいな
   どうにかして利用できねえかな……」


??「そうだ、あの会見、人のことを病気だなんだ、ありゃ恨まれてもおかしくない
   なら…あいつが殺したことにしてやれば」


??「それで、体は売り飛ばす、足もつかない…最高だな
   年も30くらいか…わるくはないな」


??「待ってろよ…俺の金を奪ったこと、死ぬほど後悔させてやる」


??「あぁ…クスリ…」
---十月某日、拘置所前---

警官「さ、これで自由の身だ…災難だったな」


小鳥「いえ、私の弱さが招いたことですから…自業自得です」


警官「そうか…体の調子はどうだ、だいぶ傷だらけだったみたいだが…」


小鳥「ほとんど、完治しました…すいません、その話題は」


警官「…そうだな、あんなこと、早く忘れたほうがいい」


小鳥「はい。それじゃ、失礼します」


小鳥「(忘れられるかしら…多分大丈夫よね
    もう765プロもないし、春香ちゃんも、今はちゃんと精神科に通ってるっていうし
    大丈夫、あの悪夢は終わったの、安心して羽ばたくのよ、小鳥!!)」


小鳥「それにしても、お腹が減ったわ…何か食べ物がほしいわ」


小鳥「ほら、お腹がすきすぎて眩暈までしてきたわ…
   今日は久しぶりに豪勢に行きましょう」


小鳥「そうね、久しぶりにステーキなんてどうかしら
   ケーキも食べたい…お腹減ったなぁ」


小鳥「うーん、眩暈、ちょっと、ひどすぎるんじゃ…だめ、立ってられない…」




眩暈でグニャグニャになる視界の中で、懐かしい人に会えた気がした 

その人が私を抱きかかえてくれてる気がして、私は安心して目をつむったの…
春香「こーとーりーさんっ!!」ガバッ


小鳥「えっ…うあっ、は、春香ちゃん!?ここは…何処っ!?」


律子「もう、音無さんったら、仕事中に寝ないで下さいよ…」


伊織「ほーんと、だらしないわねー…もっとシャキッとしなさいよね!!」


やよい「伊織ちゃん、小鳥さん大人だしいろいろ疲れてるんじゃないかなーって…」


真美「やよいっち、それ微妙にフォローになってないっぽいYO→」


亜美「そうだYO→その言い方じゃピヨちゃんがおばさんみたいっしょ→」


小鳥「おばっ!?」


あずさ「大丈夫ですよ音無さん、音無さんは若いですから〜」


真「あずささん、それもフォローになってない気がするかな…」


美希「ミキ的には、オンナの魅力は若さだけじゃないって思うな」


響「だから美希がそれを言ったらフォローにならないってば…」


貴音「しかし、年齢で魅力が決まるわけではないのは確かです。
   美しいものは美しい、小鳥嬢は皆に負けないくらい美しいですよ」


ワイワイ…ガヤガヤ…


小鳥「(どういうこと…これは、私は今まで夢を見ていた…ってこと?)」
小鳥「あの…Pさんは…??」


真美「兄cなら営業に行ってるYO→」


春香「もうちょっとしたら帰ってきますよ、それより小鳥さん、お腹減ってないですか?」


小鳥「あ、えぇ減ってるわ…(すごいお腹の減り様ね)」


春香「じゃじゃーん、そんな小鳥さんには、天海春香特性の手作りクッキーをプレゼントしちゃいます!!」


小鳥「あら…ありがとう、すごくいい香り」


クッキーを一枚手に取って…可愛いクッキー、春香ちゃんらしいわ


小鳥「それじゃあいただきます」



「食べてはだめ」



小鳥「えっ」



「今なら間に合う、食べたは、ダメ」



小鳥「この声、どこかで…きいたことが…そういえばこの事務所、誰か一人、足りない気がする…」
小鳥「…気のせいかしら」


空腹感がこみ上げてくる。
我慢できずに、私は、クッキーを、食べた。
春香「どうですか、小鳥さんっ!!」


小鳥「うん、美味しい…これ、本当に美味しいわ!!
   (なんだか、久しぶりに春香ちゃんのお菓子を食べた気がする…)」



春香「本当ですか!!へへ、やっりぃ!!」


真「あー!!それはボクのだぞ春香!!」


一同「アハハハハハ…」


あぁこの感じ、なつかしい…この楽しさ、この明るさ、まさに765プロ!!

ここの事務員になれてよかったわ…だってこんなに楽しいんだもの



私はPさんが帰ってくるのをみんなで一緒に待つことにしました…
??「音無さん!!…音無さん!!起きてください!!」


小鳥「あー…Pさん、遅いですよぉ、音無小鳥、待ちくたびれちゃいましたぁ…」


P「音無さん、音無さん…ちっ完全にトリップしてやがる
  イッパツぶちこみゃ、延々と楽しかったあのころに戻れる特効薬!!
  …やっぱし女に使うには効果が強すぎたかな…よっと!!」バシャー


小鳥「冷たっ!…何なのもう…やったのはどっち、亜美ちゃん、それとも真美ちゃん!?」


P「あぁ、こいつ、相当あの事務所が好きだったみたいだな…全然置きやしない」


P「うーん、そろそろ起きてくれないとタイムリミットで出荷前のお楽しみができなくなっちまう…」


P「反応のない人形とヤッてもつまらないんだが…しょうがない、このままでいいか…」


P「よっと…脱がしますよ、音無さーん…って聞いちゃいないか」


P「だいぶ痩せてるな…って俺も人のことは言えないかもな」


P「それじゃ、ぼちぼち失礼しますよっと!!」


P「おぉ…これはなかなか…千早にも負けちゃいないな」


P「千早の時みたいに泣き顔を見れないのは残念だが…これはこれで…うっ」


小鳥「えへへ…皆、大好きよ…」


P「…ここまで行くと、少し哀れだな」

---翌日---


P「ふぅ、こんなもんだな…」


P「我ながら、うまく抜き出せたな」どやぁ


P「特にこの腎臓、全然傷がない、パーフェクトイクストラクション!!」


P「これでしばらくはやっていけるかな」


闇商人「Hey!!」


P「来たな…I'm coming!!」



---同日、天海家前---

P「あの野郎、足元みやがって…まぁいいや、それなりの値段で売れたし、その金のおかげでスーツも買いなおして
  身だしなみも整えた、これならあの頃の俺に見えないこともない」


P「聞くところによれば、春香は錯乱してしまってもうだめらしい」


P「音無さんよ…あんたの努力もこれじゃ水の泡だな…」


P「まぁ、いいや春香ーいるかー??」


チハヤチャンチハヤチャン…


P「…」


チハヤチャンチハヤチャンチハヤチャン…


P「そこか…」


チハヤチャンチハヤチャンチハヤチャンチハヤチャン…


P「親もひどい奴らだな、音無さんが寄付した金で鉄扉つきの別室を作って春香を幽閉するとは」


チハヤチャン…ナノ??


P「俺だ、春香、迎えに来たぞ」


プロデューサーサン…


P「そうだ、俺だ、お前のPだ」


アイタカッタヨ…プロデューサーサン…


P「俺に…なんで…??」


ダッテ…プロデューサーサンなんでしょ…


P「…??何がだよ…」


ダカラ、プロデューサーサンがヤッタンデショ…



ドカッ!!


P「…うっ」


チハヤチャンヲコロシタノワァ…
アナタナンデショオオォォオォオ!!


ガシャン!!ガシャン!!ドカッ!!ドン…


アケロォ…ァアケロォォオオオ!!!


P「無理だ、…飯もろくに食ってない女の子に、こんな鉄扉、開けられるわけがない…」
P「大丈夫、落ち着け、疲れるまで待ってこの薬を一本打ちこみゃそれで…」


ウアアアアアァァァァアア!!!
ガンッ!!ガンッ!!

P「にしても、なんて力だ…心なしか扉が変形してないか…まさか、まさかな…ハハ、馬鹿な…」


チハヤチャンノ…


P「そろそろ…かな、ハハハ…クスリを準備して」


チィハヤチャンノォォ…カァタキイイィィイイ!!


ドガーーーーーーーーーンッ!!


P「うおっ!!」


ガアアアアァァァァァアア!!!!!!


P「(押し倒されるっ…!!)ぐあっ!!」


P「どこにこんな力が…ぐっ、首に手をかけられる…まずいっ!!」


ウウウウウウァァアアアアァァアアア!!!


P「押し切られ…」
P「るわけあるかよぉぉお!!!」


P「甘かったな春香…上に乗るなら体重をかけなきゃひっくり返されるんだよ…」


P「お前の千早への思い、すさまじいものがあった…」


P「だが、これで終わりだ、春香…ゆっくりおやすみ」


P「お前のこと、嫌いじゃなかったよ…いい金づるだと思ったんだがな」


…プスッ…
---同日、とある山奥の廃屋---

P「ふぅ…ようやくここまで運んでこれたな…しかしなんだ、この廃屋、妙にあの事務所に似ている気がする…
  何かの事業所だったのかな…まあいいや」


P「しかし、俺としたことが、なんて似合わねえことを…
  どうせ燃やしてしまえば同じなのに…わざわざあの日の千早の服をとっておいて音無さんに着せてやるなんて…」


P「それに、、ウィッグまで買ってきてきちゃって…」


P「音無さんに千早の格好させて、最後くらい春香のために、なんて」


P「こいつらに関わって、俺も気がふれちゃったのかな、いや単にヤクのやりすぎか…」


P「にしてもよく千早の服が着れたな音無さん、あんた痩せすぎだよ」


P「ダイエットの本でも書いたら売れてたぜ、きっと、ハハハ…」


P「…」


P「千早…あの日お前がいけないんだ、猫を被るのをやめろなんて言うから…」


P「…」


P「きっと、お前は本気で春香のことを想ってたんだろうな。
  俺みたいな金の亡者に、春香を近づけたくなかったんだろうな…」


P「春香はじぶんのことでいっぱいいっぱいだったから、俺の本性には気づいていなかったようだが…」


P「…」


P「そろそろお別れだ、じゃあな、二人とも」



俺はガソリンをばらまき始めた…
目を覚ますとそこは事務所のソファの上だった。

隣には千早ちゃんが座ってる

いつもと違うのは、音楽を聴いてないことくらい、かな

周りを見渡したけど、誰もいないみたい…

こんなチャンス、逃がさないよ!!

私は千早ちゃんに甘えることにしました。


春香「千早ちゃん、千早ちゃん!!」


返事がない…


春香「千早ちゃんってば…寝てるの??」


どうしよう、これじゃ甘えられないよ…



「おいで、春香」


千早ちゃんの声!!


春香「千早ちゃん!!…いいの??」


「何を言うの春香、当然でしょう?」


春香「じゃあ遠慮なく、失礼します!!」


私は千早ちゃんの膝に、頭を落とした

うん、このちょっと固めのこの感覚、まさしく千早ちゃん!!

ねぇ千早ちゃん、いつもみたいに 頭を撫でてよ!!

その白くて細い指で私の髪を、撫でてよ…!!


春香「ねぇ、千早ちゃん…」


「何、春香??」


春香「頭、撫でて欲しいな」


「……」


春香「どうして、してくれないの…??」


「……」


春香「うっ…ちひゃやちゃあ…なんでぇ…」


「……」


春香「撫でてよぉ…お願い…」


「……」


ポン…


春香「…!!」

千早ちゃんの指…冷え性で氷みたいに冷たい、千早ちゃんの指…


春香「どうして…すぐに撫でてくれなかったの…」


「フフ…春香は泣き顔も可愛いわね」


春香「千早ちゃん…いじわる」


あの時のやり取りを思い出す、あの日の千早ちゃんもいじわるだった

けど今回もやっぱり、嫌じゃない、むしろ愛されてる感じがしていいな

私って、Mなのかな、なーんてね


春香「ねえ、千早ちゃん、…少し暑くないかな」


「そう?私にはちょうどいいくらいよ」


春香「そうかな…そういえば千早ちゃん、冷え性ひどくなったんじゃない??
   手だけじゃなく、脚もお腹も、そのきれいなお顔だって、氷のよう…」


「……」


春香「春香さんのワンポイントアドバイス、冷え性にはネギやショウガがよく効くのです!!
   今度お料理作ってあげるね、千早ちゃん」


「ありがとう…春香は物知りなのね」


春香「えへへ、えらい??もっと褒めて、千早ちゃん!!」


「えぇ…もう春香ったら、ちっちゃい子みたい」


春香「千早ちゃんの前では、私はいつでも甘えん坊なちっちゃい子だもん!!
   ねぇ、千早ちゃん、私なんだか眠くなっちゃった…」


「……」


春香「千早ちゃんのお膝で、お昼寝!!いいでしょ??」


「えぇ、もちろん」


春香「やったあ!!…それから約束して、これからはずーっと一緒にいるって。
   私のそばから離れないって、約束して」


「……えぇ、約束よ」


春香「ありがとう…それじゃお休み、千早ちゃん」


「えぇ、おやすみなさい、春香」


千早ちゃんのお膝でお昼寝、夢みたい!!

千早ちゃん…私、今ね…やっぱりとっても幸せだよ!!
これからはずっと、ずーっと一緒だよ!!
P「まずったな…」


燃え盛る炎の中で、俺は一人つぶやいた


P「まったく、俺を殺そうとしやがったやつが、今じゃこんなかわいい顔でおねんねか…」


P「くぅ…さすがに熱い…」


P「こんな時こそこれが役に立つんだろ…」

ポケットをまさぐる、注射器が、一本

P「ハハハ…まさかこんなところで使う羽目になるとはな…」


P「車に戻ってから、やろうと思ったが…えいっ」

ブス…

P「さぁ連れてってくれ、楽しかったあの頃へ…」



---四月某日、765プロ事務所跡地---
高木「あれから、一年か…私だけ、戻ってきてしまった」


刑務所に入れられた私は、刑の執行を待つのみ…だと思っていた。
しかし、山奥の廃屋が謎の火事を起こした。
廃屋の横には車が停められていて
天海君、音無君、Pの髪の毛が見つかった


そして廃屋の中には、その三人のモノと思われる焼死体が見つかったそうだ。
女性二人の死体は、一方が一方に膝枕をするような状態で発見された

男…Pの死体は、廃屋の中にあったデスクのPCに向かっている状態で発見された

私が殺したはずのPの死体が現場にあったことで、捜査はやり直し
目撃情報などから、私の無実が証明された


隠蔽の件も、元アイドルの娘たちが相当頑張ってくれたようで
ファンの者たちから署名も募ってくれたらしい
風当たりもかなり強かったようだが、そのおかげで今私はここにいる…
私のような老い耄れが…



アイドル達「社長!!」


声に驚いて振り返ると、元アイドルの娘たちがそこにいた


高木「…君たち!!どうしてここに…」


真「社長!!おめでとうございます!!」


響「自分からも、おめでとう!!社長」


高木「あ…」


亜美・真美「おめっとさ→ん!!社長!!」


高木「やめないか、君たち…私はもう、社長ではない」


あずさ「あらあら〜何言ってるんですか〜」


美希「社長は社長なの、ヘンな社長だね、あはっ☆」


高木「君たち…」


貴音「さて、それではそろそろ始めましょうか…」


高木「始めるって、何を…」


律子「決まってるじゃないですか、アイドル事務所の運営ですよ!!」


雪歩「持ってきたお茶が重いですぅ…早く入りましょう!!」


高木「しかし…どこでやるというのだね、そんな場所は…」


伊織「そう言うと思って、この伊織ちゃんが直々にこいつを用意しといたわ」


高木「これは…事務所のカギ」


やよい「えへへー、久しぶりに事務所のお掃除頑張っちゃいますよー!!いぇい!!」


これは、私に与えられたチャンスだ、掴み取れ、高木順二朗!!


高木「…よし、高木順二朗、ここに765プロ再結成を宣言する!!」


高木「765プローファイトォ…」


一同「オーッ!!」
「よかった、皆また765プロを結成したみたいだよ、千早ちゃん」


「そうみたいね」


「千早ちゃんはこうやって私のことも見ててくれたの?」


「さぁ、どうかしらね、フフ…」


「むぅ…やっぱり千早ちゃんいじわるだよ」ぷくー


「ふくれた春香も可愛いわ」


「か、可愛いなんてそんな…」


「照れなくていいのよ春香…あなたは可愛いわ」


「ありがとう、千早ちゃん…ねぇ、私皆にひどいことしちゃった…」


「そうみたいね」


「許してもらえるかな…」


「さぁ、私にもわからないわ」


「うぅ…やっぱり私は皆に恨まれ続けるしか…」


「でもね、春香、あなたが仲間たちと築いた絆は、そんなことで壊れるような陳腐なものかしら」


「…!!」


「皆が本当にあなたと765プロが嫌いなら、こんな風に、皆で集まってくれるかしら」


「…」


「それに、春香が実は甘えん坊ってこと、みんな知ってたみたいよ」


「えっ…嘘っ」


「いつも笑顔を振りまく春香が時々見せる幼いまなざし」


「やめて!!千早ちゃん!!///」
「だから、私がいなくなって、春香が苦労してるのも、皆わかってたみたいよ」


「…」


「春香、自信をもって、あなたは、皆のことを見てられる、いい子だった」


「そんなこと…」


「いえ。私が保障するわ」


「うん///」


「…あのね、千早ちゃん、もう、我慢できないの」


「またなの??…はい、どうぞ」


「えへへ、ここならだれにも邪魔されないで膝枕できるね千早ちゃん!!」


「たまには、休ませてよ、さすがに脚が痺れるもの」


「うん…それじゃ皆のこと、見守ってよっか…やよいが掃除してるね…」


「そうね…さすが高月さんだわ…」


「見て見て!!もう美希が寝てるよ!!起こしてやんなきゃ、コラァ、働け美希〜〜!!」


「無駄よ、やめておきなさい、フフ…」


「…」


「…」


「千早ちゃん…今、私ね…とってもとっても、とーーっても幸せだよ!!」

「大好きな千早ちゃんの膝枕の上で、大好きなみんなの活躍が見れる…」

「きっと、この上ないほど幸せだよ!!」

「…」

「そうね…私も幸せよ、春香」チュッ


--------------------終
初めてのSS、無事完結させることができました
読んでくださった皆様に最大限の感謝を…

救いのないendは僕には無理でしたorz

初SSで鬱を書くとは思いませんでしたが、複線等、拾い残しなく書けたのはよかったと思います。
(拾い残した伏線があったら、教えていただけると幸いです)
また「ここどうなってんの」などありましたら教えてくだされば詳しく書きます。



>>72
失敬、私もいま読み返して気づきました地の文ならまだしも人名をミスるとは…
誤字大杉ワロタ状態ですね(笑)

>>73
そこら辺の説明が疎かでした
アニメなどでは、一人で10人ほどのアイドルのPをこなす超人ですが
このSSでは、そうもいっていないのです
激務に耐えかねたPは、ヤクに手を出すようになり
徐々に心を蝕まれ、ついにヤク中になってしまいました
しかし、最後の廃屋では、春香のために命を懸けたり
ヤクを使用した後、デスクで仕事をしつつ焼死したり
ヤクに蝕まれて金の亡者になっても本心では、皆を想っている…そんなPにしてみました
早い話、「ヤクKOEEEEEEE」ですね

>>74
最初ははるちはからのやよはるとか考えてました(笑)

>>76
ユリッチャンハ、イイモノデスヨ

>>78
>>78
そうですよね
ホント、化け物ですよね、アニメP(笑)


>>79
ありがとうございます。
実はこれ、明るい話になる予定だったんですが…


改めて読んでいただいた皆様に感謝申し上げます
誤字があまりにも多くなってしまいましたが、書ききることでできてよかったです


次のSSでは、皆が幸せになるENDを目指して頑張りたいです
…それでは、失礼いたします

16:30│如月千早 
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