2013年11月29日

晴「やきうのねえさんは出ていけよ」

ありす「」

友紀「」

晴「おうあくしろよ」バシンッ


ありす「いきなり何言ってるんですかあなたは!? 仮にも先輩の、年長者に向かって……!
な、何より今日は姫川さんの……!!」

晴「落ち着けよ橘。クールにいこうぜ?」

ありす「あなたの方こそその沸いた脳みそをなんとかしてください――ほらっ! 
姫川さん少し泣いちゃってるじゃないですか!!」

友紀「な……泣いてないもん……せ、折角の誕生日で、ちょっとサプライズとか楽しみにしながら事務所に来たのに
いきなり酷い事言われたから泣いてるんじゃないんだもん……」グスッ

晴「いい大人がそんなことで泣くなよ……」バシンッ

ありす「だ・れ・の・せ・い・で・す・か!!」

晴「ってぇなー……タブレットで殴るのは反則だろ……。
しゃーねーな、ほら、友紀姉さん」スッ

友紀「!! は、晴ちん……もしかして……!」

晴「おう。外でオレたちとキャッチボール、やろうぜ?」

ありす「(なんでサッカーボール差し出して言ってるんですか……)」

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晴「いくぞー」

友紀「ば、ばっちこーい」

ありす「(一時はどうなることかと思いましたが、とりあえず、事務所から姫川さんを連れ出すことに成功しました……。
早朝から皆で集まって飾り付けや色々な準備に取り掛かっている時に階段からやたらとテンションの高いキャッツの応援歌が
聞こえた時には焦りましたが、結城さんが姫川さんに暴言を吐いた時の方がずっと焦りました……。
それが事務所から連れ出す方法にしても、もっと何かがあったんじゃないですか!!)」

晴「はっはっはっ。何処投げてんだよ。とってこいよ」

友紀「えー……じゃぁいい加減手を使ってキャッチボールしようよー……」

晴「はー。しょーがねーなー」タッタッタッ

友紀「(一時はどうなることかと思ったけど、とりあえずあたしは今晴ちんとありすちゃんに事務所から連れ出すことを
成功してもらい、小学校のグラウンドへ寮から野球道具一式を持って来て、キャッチボールをしている。
しかしどういう訳か晴ちんは左手に嵌めたグローブを使おうとせず頑なに足を使って返球しようとする。
きっと皆が今頃も継続して準備に取り掛かってくれているのだろうあたしの誕生日パーティーからサプライズを戦力外通告させようとしたのが
そんなに気に障ったのだろうか?
今はただ彼女をなるべく刺激しないよう誰かが救援に来るのをありすちゃんと共に待とうと思う……)」

晴「(一時になったら腹が減る。以上だ)」

晴「いくぞー」

友紀「うーい……ありすちゃんはやんないのー?」

ありす「いえわたしは……あと、橘です」

晴「橘は文香ねえさんと一緒で自分の顔面とグローブの区別がつかねーからなー」バシュッ

ありす「野球とサッカーの区別がついてない人にとやかく言われたくないんですけど……」

晴「あーん? オレにとっちゃサッカーボールも野球のボールも一緒だよ」ポンポン

友紀「……さぁこーい……」
晴「さて、そろそろ体もあったまってきたな」

ありす「そりゃ、あなたはリフティングしていましたからね。何故か野球ボールで」

友紀「素直によく出来るもんだと感心するよー……ボールの扱いはともかくとして」

晴「こんなん慣れだよ慣れ……よしじゃぁ友紀ねえさん。オレたちと勝負しようぜ」

友紀「……勝負? ふぅん……まっ、悪くないかな」

晴「(おっ、凛ねえさんか?)」

ありす「オレ『たち』って……まさかわたしもですか……?」

晴「当たり前だろ。だいじょーぶだいじょーぶ。とりあえずさっきポジションは決めたから。こんな感じだ」


バッター:友紀ねえさん

ピッチャー:オレ

キャッチャー:橘タブレット

それ以外:橘


ありす「異議あり!!」

晴「却下だ。おし、始めようぜ」

ありす「断固として異議を申し立てます!」

友紀「えーと、異議を認めます。被害者の方、どうぞ」

ありす「この人選は横暴にも程があります!百歩譲ってわたしが野手を全て受け持つのは良いです!
だけどわたしのタブレットが捕手をやるのは絶対に認めません!何か恨みでもあるんですか!?」

晴「さっきお前にたらふくそれで叩かれた。とても痛かった」

ありす「うっ……でもそれは結城さんサイドにも問題が……!」

晴「だけどタブレットで叩くことはなかったんじゃないか? 結構痛いんだぜそれ?」

ありす「うぅっ……だってそれはぁ……」

友紀「(いけない……このままじゃありすちゃんが論破されタブレットが無残な姿に……ここはあたしが早速手に入れた
年の功で事態の解決を!!)」

友紀「ま――まぁまぁ二人とも、間を取ってタブレットとありすちゃんのポジションを逆に――」

晴「しゃーねーなー。こーい、ウサミンロボ―」

キュピピピピーン☆

ウサミンロボ「ミミミミン」ドッカーン

晴「お前キャッチャーな」

ウサミンロボ「ミミミン」コクリ

ありす「あっ……じゃぁ、タブレットは……」

晴「はー……そんなに大事な物ならそれで人の事殴ったりしたら駄目だろ? 今回は許してやるから、ちゃんと反省しろよ」

ありす「……はい、ごめんなさい……」

友紀「(えー……なにこれ? なんなのこれー……)」
バッター:友紀ねえさん

ピッチャー:オレ

キャッチャー:ウサミンロボ

監督:橘タブレット

それ以外:橘


晴「キックオフだぜ」

友紀「本当に蹴って投げたりしないよね……? いや、それでも良いけどあたし打つよ? 今溜まっている全ての鬱憤を一打に掛けて
かっとばすからね?手加減出来ないよ?」

晴「……タイム。友紀ねえさんは素振りでもしててくれ」

晴「橘、キャッチボールだ」

ありす「……はい」

友紀「(ようやくボールを『投げ』始めたか……ちょっと大人気なかったかな? でも、好きな事だから手を抜けないっていうのは晴ちんも
知ってるよね。だからこそ、真剣勝負を期待してるよ……)」ブンッブンッ

晴「ほれ」ヒョーイ

ありす「あ、あ、あ――ぁうっ!」コツンッ

友紀「(だ、大事なのは一生懸命な気持ちだから……うん。インベーダーゲームみたいだけどそれでも良いんだよありすちゃん。
ナイガッツ)」グッ

晴「ほれ」コロコロ

ありす「ば、バカにして――あっ」ポロッ

友紀「(ナイガッツ……ナイガッツ……!)」ポロポロ


〜三時間後〜


晴「橘、最近どうだ。楽しいか?」コロコロ

ありす「えぇ……まぁ……」ポスッ

晴「そっか。そりゃ良かった」

友紀「1292……1319……あれ? 今何回目だっけ? まぁ良いや。目指せ2000本……1039!!」ブンッ

ウサミンロボ「ミミミミミン」

晴「よしじゃぁ友紀ねえさん。そろそろやろうぜ」

友紀「1022……あっ、もう良いの?」フー

晴「あぁ。なぁ、橘」

ありす「今ならどんな球でも受けられる気がします」バシンッ

晴「それは良かった。じゃぁ、いくぞー」

友紀「さぁこい!」

ありす「ばっちこいです!」バシバシ

ウサミンロボ「ミミミミン」

晴「……」ザッ

友紀「(流石サッカーをやっているだけあるなぁ……下半身の利きが明らかだ。対してありすちゃん。もうちょっと腰落そうか……)」

晴「……ッ!!」ブンッ

友紀「(オーバースロー――速い!!)」

バシンッ


ウサミンロボ「――ボール」
晴「チッ……」

友紀「(速度は――102km/h!? うそだ……それよりもずっと速く感じた……)」

ウサミンロボ「ミミミン」

晴「わぁてるよ。少し力み過ぎただけだ……へっ。でもまぁ、この調子だと、三振も難しくねーかな」ニヤッ

友紀「……ッ! ……聞き忘れてたけど、あたしのチャンスって幾つあるのかな?」

晴「一打席。打球判定で、一塁に立てば友紀ねえさんの勝ち。それ以外なら俺の勝ち。
そろそろパーティーも始まる頃だろうしな……さっさと三回振って帰ろーぜ」

友紀「そうだね……華麗にホームランを決めて――帰ったら、ビール掛けだねっ!」

晴「言ってな……!」ザッ

友紀「(さっきの投球は力み過ぎ……それでも殆どアウトコースギリギリだった……土台がしっかりしているからなんだろう。
それじゃぁ次の投球は……おそらく、それよりもコントロールを意識した遅い球……! インコースに絞って……打つ!!)」

晴「――ッ!!」ブンッ

友紀「(……来た、遅い球――よし、内角――!?)」カキンッ

ウサミンロボ「ファール」

晴「やっぱ、当てて来るか……」

友紀「曲がった……いや、落ちた……? ねぇ、今、何を投げたの?」

晴「カーブのつもりだったんだけど。違ったか?」

ありす「……」ガリガリ

友紀「……落ちるカーブだったよ」

晴「へー。じゃぁそれで」

ありす「///」ザッザッ

友紀「(変化球はちょっと予想外だったな……修正し過ぎて思わず下を振っちゃったよ……。
ストレートに比べて未熟なのが救いだけど……正直、組み合わされたらきつい……かも)」

晴「そろそろ空振りが欲しいところだな……」ザッ

友紀「それは晴ちんの誕生日まで取っておいてあげるよ!」グッ

晴「へっ――上等だっ!!」ブンッ

友紀「(ストレート、ど真ん中――)!!」ブンッ


キィンッ
晴「――橘ッ!!」

ありす「は、はいっ!」

友紀「くっ……!今、寸前で球が上がったぁ……!)」

晴「(サッカーならまだしも上から投げるやきうで球が浮くかよアホか。
とはいえこれで終了だ。オレが投げた球を友紀ねえさんが打つ。打球は力なくフラフラと丁度橘の
居るところへ飛んでいく……オレは今更走っても間に合わない――この勝負)」


ありす「あっ、あっ、あっ――あうっ」ステンッ


ポトンッ


晴「オレの――負けだ!」


ありす「……」

晴「橘。お前はよくやってくれた。ありがとう」パチパチ

ありす「……止めてください。憐みなんかいりません。どうぞわたしを思う存分責めてください。
あっ? なんならタブレット割りますか?」

友紀「ナイスガッツだったよありすちゃん!ありすちゃんの一生懸命な姿が最高の誕生日プレゼントだよ!!」パチパチ

ありす「だから止めてください!誕生日プレゼントはちゃんと皆で用意してあるんです!!
うあぁ……もぉお……結城さん、わたしの所為で負けたんですよ!許せないんじゃないですか!?」

晴「そんな訳でありす宛に大先輩からメッセージが届いている。聞いてくれ」

タブレット「『頑張った人に敗者なんていません! 皆……皆優勝です☆』」

ありす「うっ、うあ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ……!!」ブワッ

友紀「よしよし……頑張ったね……」ナデナデ

晴「これにて一件落着だな」


モバP「おーいお前ら―」ブィーン


友紀「あっ、プロデューサー!」

友紀「(なんでセグウェイに乗っているんだろう……)」

晴「おっ。パーティーの準備出来たのか?」

モバP「おう――ってこら晴!? 友紀には内緒だって最初に言っただろ!?」

晴「あっ、やべっ!」

友紀「(思いっきり聞こえてるよ。そもそも気付かないと思われるって、どれだけあたしの事馬鹿だと思っているんだろう。)」
モバP「まぁいっか……実はな友紀、これからお前のサプライズバースデーパーティーをするんだ」

友紀「う、うん……そ、そっか。ありがとープロデューサーみんなー……」

モバP「ウサミン星で」

友紀「えぇ!?うっそだぁっ!?」

晴「大成功だな」ヒシッ

モバP「やったぜ」ガシッ

友紀「ちょっ、ちょっと待ってよ!う、ウサミン星って……そ、そもそもあそこそんなに入りきらないよ!?」

モバP「ん? あぁ……電車で一時間の方じゃなくて、本星の方で」

友紀「本星なんてあるの!?」

モバP「おう。皆もう準備しているから。ほら、行くぞ」

友紀「えっ……えっ? ご、ごめんね、プロデューサー……あのね、あたしちょっと意味わかんないや……
そもそもどうやって行くのかな?そのセグウェイに乗って行くのかな?」

モバP「ごめんな友紀。このセグウェイ二人乗り用なんだ。ありすが俺の背中に乗っちゃったから、もう……」

ありす「姫川さんごめんなさい……わたしさっき転んだから足痛くて」ギュゥッ

友紀「いやいやいや!いやいやいやいや!! セグウェイはそもそも一人乗り用だよ!? 
ありすちゃんは……この際もう良いよ!!……あのね、そういう事を言ってるんじゃなくてね……?」

晴「さっさと行こうぜ」スー

友紀「なんで晴ちんは晴ちんで当然のようにサッカーボールに乗るのさぁ!!」

モバP「俺たちはウサミン星(支部)を経由しないと行けないけど、良いよな友紀は。
タオパイパイみたいにバットに乗れば一本だからなー」

晴「だなー」

友紀「人に変な能力植えつけないでよ!そんなこと出来る訳ないじゃん!! ――ちくしょー!見てろ、やってみるからな!あたしそんなこと絶対に出来ないから!!本当出来なかったら責任とってよね――おらぁっ!!」ブォンッ



菜々「ハッピーバースデイ友紀ちゃん!ウサミン星(本部)へようこそ!」

友紀「(出来ちゃった)」

終わり
ハッピーバースデイユッキ

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03:30│結城晴 
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