2013年12月03日

貴音「戯れはここまでにいたしましょう。盗人殿」

とあるバーローをモチーフにしたアイマス長SSです。

前作・貴音「霧の都「ろんどん」……」 の続きとなっていますが、前作を読んでなくてもなんとなくわかります。

前作を読んでおくと、キャラの雰囲気、設定が多少わかる程度です。


あくまでモチーフですので、多少改変しています。そういうのが嫌いな方はご遠慮願います。

細かいところはあまり気にせず読むと助かります。元はバーローですから。

文章が拙いため、イメージで補完してもらう場合があります。申し訳ございません。

書き溜めてあるので、どんどん投下していきます。

では失礼します。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1358266259

――2011/02/27 22:00 如月千早宅

ザァアアア キュッ

千早「ふぅ、さっぱりしたわ」テクテク

千早「明日も早いし、髪を乾かしてもう寝ましょう」

――着替えその他諸々後、就寝中

千早「ん…………」

ウーーーーー

千早「…………」

ウーーーー ウーーーーー

千早「…………?」

ウーーーー ウーーーー ウーーーーー

千早(外が騒がしいわね……いったい何かしら)

千早「ちょっと覗いてみましょう」

――ベランダ

千早「!」

千早「……あなたは?」

???「おっと、スマン、起こしちまったかな?」

千早「ここで何してるんですか?警察呼びますよ?」

???「もう呼ばれてるんだよ」ウーウーウー

オマエハモウホウイサレテルー! カンネンシロー!!

???「やれやれ、うるさいな」

千早「何……?あなたはいったい」

???「知らないのか?」





???「俺は怪盗『マーズ』」





千早「マーズ……?」

マーズ「ちょっと羽休めさせてもらったが、まさか歌姫の家とはね……」

マーズ「もしや綺麗な歌声に誘われちまったかな?」

千早「残念ですが今は歌っていません。夜なので」

マーズ「そうか……じゃ今度聞かせてもらおう」

マーズ「それでは歌姫様。良い夢を」バッ!

千早「!」

千早(ここは3階よ!?)

マーズ「…………」ヒュー

バッ!

千早「ハンググライダー!?」

マーズ「…………」ピュー

コラー! マテー!

千早「あれが、怪盗マーズ……」

――2011/02/28 08:40 765プロ事務所

千早「おはようございます」ガチャッ

P「お、千早。おはよう」

貴音「おはようございます。千早」

『昨夜、△△美術館に侵入した「怪盗マーズ」は厳重な警備をかいくぐり、宝石「レッドサファイア」を盗み、逃走しました。警察は――』

千早「!」

P「ほー、久々に見かけたな。怪盗マーズ」

貴音「怪盗まーず?誰なのです?」

P「あぁ、最近は現れなかったが怪盗の名にふさわしい泥棒だよ」

P「盗んだ宝石は後日返されるらしいが、違法に手に入れた宝石とかだと、盗まれた持ち主が逮捕だってさ」

P「平成のルパンって感じかな」アハハ

貴音「しかし盗人は盗人。いつかは捕まるでしょう」

千早「……プロデューサー」

P「あ、おはよう。千早」

千早「……おはようございます」

P「どうした?体調悪いのか」

千早「いえ、実は昨日の夜……その怪盗が、家に来ました」

P「えっ」

千早「い、いえ!来たというか、やってきたというか……」

貴音「千早、落ち着きなさい。ぷろでゅーさーが固まっております」

P「」

千早「そ、そうね」スゥハァ
ガチャッ!

春香「おっはよーございます!」

春香「あ、千早ちゃん!昨日、怪盗マーズが千早ちゃんの家のほうに行かなかった!?」

P「」

千早「あ、春香。おはよう。今から説明しようとしたところよ」

ガチャ

美希「あふぅ、おはようなの」

千早「美希、おはよう」

春香「おっはよー!」

美希「おはようなの、春香。千早さん。あれ、ハニーはどうして固まってるの?」

春香「さぁ?」

貴音「混乱しているのですよ」

美希「あ、貴音。おはようなの」

貴音「おはようございます。美希」

春香「ねぇねぇ、千早ちゃん!もしかしてマーズ見たの!?カッコ良かった!?」

千早「え?えっと、どっかで見たことあるような顔つきだったわ」

千早「黒いタキシード姿で、黒のシルクハットにマント。マジシャンみたいな格好で……」

千早「そう!どことなくジュピターの天ヶ瀬冬馬に似てたわ」

P「奴は大変なモノを盗んで行きました。千早の心です」

千早「プロデューサー!?」

貴音「千早、早く説明を」

――千早説明中

P「なんだ、そういうことだったのか」アハハ

P「てっきり俺はマーズが千早の彼氏で一夜を過ごしたのかと……」ハハハ

千早「そんなことありえません」バッサリ

千早「スキャンダルどころか、私まで逮捕されます」

千早「それにしてもよくわかったわね、春香」

春香「え?何が?」

千早「私の家の方に来たって話よ」

春香「あぁそのこと!」

春香「マーズって風貌がかっこいいじゃない?それに予告状を出すから、テレビ局もその美術館に取材に来たりしてさ」

春香「ちょうどマーズが逃げてくほうが映されて、見たことあるなーって思ったら、千早ちゃんの家の近くだって思い出したんだ」

P「春香、それは千早の家が映されたわけじゃないんだよな?」

春香「あ、はい。それは大丈夫だと思います」

春香「それに千早ちゃん、ベランダに出たんだから、映されてたら、きっと大ニュースになってますよー」アハハ

P「それならいいんだが……」

貴音「私たちには縁なき相手だと思いますよ、あなた様」

P「まぁそうだな。盗まれるような金品はここにはないし……」

P「アイドル達が一番の宝だからな!」

美希「美希はハニーになら盗まれてもいいのー♪」ダキッ

P「お、おい、美希!」

春香「あ、ちょっと美希!ずるいよ!」

千早「わ、私だって……///」

貴音「あなた様はいけずです……」

小鳥(砂糖吐きそう)

――2011/03/01 13:00 765プロ事務所

貴音「このかっぷらぁめんは、すーぷが絶品ですね」ズズズ

律子「ただいま戻りましたー」

あずさ「戻りました〜」

亜美「ひゃ→疲れた→」

伊織「今日のレッスンはきつかったわ……」

美希「毎回こんなだと美希、倒れちゃうの」

律子「本番近いんだからしっかりしなさい!」

律子「特に伊織!今日なんか集中できてなかったように見えたけど、どうかしたの?」

伊織「な、何もないわよ!」

貴音「皆、お疲れ様です」

亜美「あ、お姫ちん!お疲れ→」

あずさ「貴音ちゃんはお昼?」

貴音「えぇ、新作をいただきました」

美希「あれ、ハニーは?」キョロキョロ

貴音「ぷろでゅーさーは、私に留守番を頼んでテレビ局にいきましたよ。小鳥嬢も備品の買い出しに」

律子「アイドルに留守番任せるのもどうなのかしら……」

伊織「じゃあ私たちが来るまで事務所には貴音ひとりだったってわけ?」

貴音「そうです。ぷろでゅーさーは夕方には戻るとおっしゃってましたが」

伊織「……ちょうどいいわね」ボソッ

貴音「どうかしたのですか?伊織」

伊織「律子、貴音。ちょっと話したいことがあるの」

――更衣室

伊織「ここなら邪魔は入らなそうね」

貴音「伊織。竜宮小町に関わることならば、私には話さずとも律子嬢だけでも良いのでは?」

律子「そうよ。同じ事務所内とはいえフェアリーはライバルよ」

律子「あ、もしかして今日のレッスンのこと?確かにキツく言い過ぎたかもしれないけど……」

伊織「違うわ。まず現物を見せたほうが早いわね」

伊織「これを読みなさい」サッ

貴音「手紙?伊織と何か関係が?」

伊織「ともかく読んでみてちょうだい」

律子「どれどれ……」

――手紙

差し迫る虎から逃れた兎へ
古き暦に従い 秒針の無い時計が十二番目の文字を刻むとき
光る天の楼閣から「アクアネックレス」を頂きに参上する

              怪盗 マーズ


律子貴音「「…………?」」

律子「ってマーズ!?あのマーズ!?」

伊織「そうよ、怪盗マーズ。今、世間を騒がしてる大泥棒よ」

律子「なんで伊織がマーズに狙われるのよ」

伊織「事情を説明すると、お父様がこの間、とある知人から宝石を譲り受けて、それを友人が経営してる大阪の美術館に寄付・展示することになったのよ」

伊織「それが「アクアネックレス」」

伊織「ネックレスの宝石部分が青色と水色の二色に分かれてるの。まるで海と空のようなね」

伊織「それを展示し始める日が3月5日なのよ」

貴音「つまり、これは予告状というわけですね」

律子「この暗号文の中に狙う日と時間が書いてあるってことかしら」

律子「でもこういうのは警察に伝えるべきじゃない?」

伊織「そんなのとっくに伝えてあるわよ。この手紙はコピーだもの」

伊織「あと、狙われる日にちもわかってるわ。貴音、わかるかしら?」

貴音「ふむ……」ジー

律子「私はこういう暗号は苦手だわ……」

律子「追いかけてくる虎から逃げた兎?兎は宝石で虎がマーズ?」

伊織「宝石は逃げないわよ」

貴音「…………なるほど、虎と兎ですか」

伊織(気づいたかしら?)

律子「え!?分かったの、貴音?」

貴音「えぇ、はい。問題となるのが『差し迫る虎から逃れた兎へ 古き暦に従い』の部分ですね」

貴音「『差し迫る虎から逃れた兎へ』これは十二支の寅と卯のことでしょう」

律子「でも十二支って一年で変わるものじゃない」

貴音「はい。ですが次の文に『古き暦に従い』とあります」

貴音「これはおそらく旧暦として考えるのではないかと」

貴音「旧暦で言う寅の月から卯の月に変わった日を調べ、今年に当てはめればいいのです」

貴音「そしてそれは3月5日。そうですね、伊織?」

伊織「正解よ。さすが貴音ね」

貴音「ありがとうございます」

律子「」ポカーン

伊織「警察と水瀬社員を使って一日で日付はわかったけどね、奴の出現場所と出現時間がまだわからないのよ」

貴音「『秒針の無い時計が十二番目の文字を刻むとき』がヒントだとは思いますが……」

律子「あれ……?伊織、そういえば3月5日って……」

伊織「えぇ、大阪で竜宮小町のライブ本番よ」

律子「そうよ!伊織、まさか!?」

伊織「サボりなんかしないわ!私はお父様たちを見返すためにアイドルをやってるのだから!」

伊織「でも宝石を簡単に奪われるなんてまっぴらごめんよ!」

律子「もしかして貴音を一緒に呼んだのは……」

伊織「そう。ここからが本題よ」

伊織「私はその日ライブで、たぶん宝石を守ることはできない」

伊織「でも何もできずに、持ってかれるなんて屈辱だわ!」

伊織「だから考えたの。貴音の頭脳と力があれば守れるかもしれない」

伊織「そういうことだから、貴音。一緒に大阪に来なさい!」

――2011/03/05 12:00 大阪・水瀬美術館

伊織「ここが「アクアネックレス」を展示する美術館よ」

亜美「ちょっと観光しようって言ったのに美術館なんてつまらないよ→」

あずさ「あら、私は好きよ〜。こういう雰囲気は好きだわ〜」

美希「美希的にはのんびりお昼寝したいって気分なの」

律子「たまには芸術に触れるのもいい刺激になるわよ」

貴音「芸術といえば、本場の大阪のお好み焼きもまさに芸術の粋に入るものかと」

貴音「ぜひ、いただきたいものです」

律子「呑気なものね……プロデューサー殿と交渉するのはかなり骨が折れたわよ」

貴音「仲間の頼みとあらば、無下にすることはできません」

亜美「結局、報酬ってどうなったの?」

伊織「結局、前金と成功報酬にしたわ」

貴音「私は遠慮いたしましたが」モグモグ

伊織「美味しそうにたこ焼き食べてても説得力ないわよ」

――回想

貴音「大阪ですか」

律子「ちょ、ちょっと待ちなさい!急にそんなこと言ったって貴音のスケジュールが……」

貴音「そうですね、ぷろでゅーさーに確認を取らねばいけません」

ケータイ トリダシ ポパピプペー

P『もしもし。どうした、貴音?』

貴音「でぇとしてくれま・す・か?」

P『』

貴音「ふふ、冗談です」クスッ

P『心臓に悪いから止めてくれ……んで、要件はなんだ?』

貴音「私の来週の土日の予定を確認したいのですが」

P『来週の土日?えーっと、ちょっと待ってくれ……』ガサガサ

P『土曜はレッスンだけで、日曜は生っすかの生放送で大阪にいる美希の代役で司会だ』

P『もしかしてなんかあったのか?』

貴音「いえ、問題ありません。ありがとうございました」

P『そうか、じゃまた後で』ピッ

貴音「失礼します」ピッ

貴音「土曜はれっすんだけですね」

伊織「じゃ休んでも問題ないわね」

律子「」

律子「でも次の日、生っすかで美希の代役じゃない?間に合うの?」

貴音「午前中に新幹線に乗れば、十分間に合うでしょう」

律子「費用はどうするのよ。経費じゃ落ちないわよ」

伊織「私が出すわ。頼んでいる以上交通費くらい」

貴音「いえ、そのくらいでしたら自分で出します」

伊織「待ちなさいよ、私が頼んでるんだから私が出すわよ!」

貴音「しかし、それでは……」

??「んっふっふ→話は聞かせてもらった!」ガチャ!

貴音「何やつ!」

伊織「いや、亜美でしょ」

亜美「いおりんも悪よのぉ〜、こんな面白……重要な話を亜美たちに黙ってるなんて」

あずさ「そうよ〜、私たちは4人で竜宮小町なんだから〜」

律子「あずささんまで……」

あずさ「悪いとは思ったんですけど〜、ちょっと聞こえちゃいまして」

律子「小鳥さんの仕業ね」

小鳥「ピヨッ!?濡れ衣だピヨ!?」

律子「言い訳は結構です」

亜美「お金は前金としてお姫ちんが受け取ればい→んだよ!」

亜美「探偵と依頼者って形にすれば、万事解決!」

亜美「お姫ちんが使わなきゃいいだけなのだよ!」

亜美「それか亜美たちにおごればいいと思うかなーって」

律子「いやその理屈はおかしい。あと似てないわよ」

貴音「……金銭についてはまた後程考えましょう」

伊織「……えぇ、そうね」

あずさ「とりあえずマーズさんが来る時間を考えてみましょう」

亜美「三人よればもんじゃ焼き?」

律子「それを言うなら、文殊の知恵よ……」

――現在

美希「それで結局、ごはん代を前金にして、交通費は成功報酬ってなったの」

伊織「あんた、誰に向かってしゃべってるのよ」

美希「でこちゃんにはわからないの」

伊織「だからでこちゃん言うな!」

あずさ「結局日付以外はわからなかったわね〜……」

律子「『光る天の楼閣』が大阪城じゃないかって思うけど、あとで刑事さんたちと相談してみましょう」

――2011/03/05 12:10 水瀬美術館・3階展示ホール

警備員「あ、ちょっと待ちたまえ、ここから関係者以外立ち入り禁止だ」

伊織「何よ、私は関係者よ。館長から許可ももらってるわ」

警備員「え?し、失礼しました!」

伊織「あと、彼女らは私の友人だから、確実にマーズではないわ。「アクアネックレス」を見せてちょうだい」

警備員「は、はい。わかりました!」タタタッ

律子「なんだかんだでお嬢様なのよね、伊織って」

伊織「ふん!誇れることであっても威張れることじゃないわ!」

貴音「そのおかげで今回は助かりましたが」

貴音「そういえば、伊織。頼んでたものは用意していただけたでしょうか?」

伊織「用意できてるわよ。美術館の近くに置いてあるわ。これが鍵よ」チャラ

美希「頼んでたモノ?」

亜美「なになに→?チョ→気になる→」

貴音「ふふふ、とっぷしーくれっとです」

警備員「お待たせしました。お見せする用意ができたので、こちらへどうぞ」

亜美「あり?ところで、あずさおねーちゃんは?」

美希「3階に着いた途端、消えたの。今、律子が探してるの」

< サンヲツケナサーイ!!

美希「!?」

貴音「面妖な……」

伊織「バカやってないで早く見るわよ」

――水瀬美術館 特別展示室

貴音「これが「アクアネックレス」……」

美希「うわぁ、綺麗なの……」

亜美「いかにも高級品って感じですなぁ〜」

伊織「ま、高級品よ。マーズが狙うほどなんだから」

律子「ホントねぇ、いったいいくらくらいなのかしら」

あずさ(こんなネックレス、運命の人にプレゼントされたいわ〜)

美希「あ、律子……さん。おかえりなの」

律子「美術館の中にいてよかったわ……」

あずさ「うふふ〜」

律子「あ、あと面白い人見つけたわよ」

亜美「面白い人?」

「いや、あの……僕、この中にいる人に呼ばれて……」

「は、はい。警備中ですよね!見れませんよね!じゃ、じゃあ失礼します!」

律子「警備員さーん。その子たちは私たちの知人ですから、通してあげてくださーい!」

「ちょ、ちょっと!?律子姉ちゃん!?」

律子「ほら、早く き な さ い」ニコニコ

「うぅ……どうしてこんな目に……」

律子「確か前にも会ったことあるわよね。私の従兄弟の「秋月涼」よ」

涼「みなさん、お久しぶりです」ペコリ

伊織「なんで涼がここにいるのよ?」

「涼さんだけじゃないですよー!」

「愛ちゃん、もうちょっと静かに?」

あずさ「あらあら〜」

美希「876プロ勢揃いなの」

愛「みなさん、お久しぶりでーす!!」

絵里「お久しぶりです」

貴音「あなた方はなぜここに?」

愛「たまたま今日は仕事で大阪に来てたんです!そしたら絵里ちゃんが……」

絵里「怪盗マーズがここに来るって情報を得たので?」

涼「ちょっと行ってみようってなりまして」

涼「そしたら律子姉ちゃんに見つかって……」

律子「見つかって?」ギロ

涼「律子姉ちゃんにた、たまたま会って!合流したんです!」

亜美「鬼軍曹こえ→」

律子「なんか言った、亜美?」ギロッ

亜美「な、なんでもないでございます!」

美希「じゃあ貴音と一緒に行動するといいの!」

876三人「「「?」」」

美希「美希たち、これからライブのリハーサルで会場に向かわなきゃいけないの」

涼「でも美希さんって、竜宮小町じゃないですよね?」

美希「美希は今日のサプライズゲストなの!」

愛「あれ?じゃ四条さんは?」

貴音「私は伊織に頼まれて、これからまーずを捕らえる準備をするのです」

絵里「マーズを逮捕?」

律子「えぇ、伊織の頼みだけど、貴音一人じゃちょっと不安だしね」

貴音「仲間は多いほうが心強いです」

愛「わっかりましたー!」

涼「僕たちは明日の朝が仕事なので、時間的には平気です」

絵里「よろしくお願いします」ペコリ

貴音「よろしくお願いいたします」ペコリ

アッ ケイブ! ゴクロウサマデス!! オウ、ゴクロウ

警部「ん?お前ら、誰だ?」

伊織「私は館長の友人である水瀬会長の娘、水瀬伊織よ!」

警部「あぁあのアイドルやってる……じゃそのお嬢様がなんでここに?」

伊織「「アクアネックレス」をマーズから守るためよ」

警部「なるほど……けど探偵ごっこはよそでやってくれ」

亜美「探偵ごっこじゃないよ!真剣に考えてるもん!」

伊織「亜美、ちょっと静かにしてて」

伊織「あんた、この前起きた「トランセル発表会殺人未遂事件」を覚えてるかしら?」

警部「あぁ、どこぞのアイドルプロダクションの社長が刺された事件だな」

警部「確かその場にいた奴が事件を解決したって聞いたな。っけ、情けない!」

伊織「その解決した奴はウチのプロデューサーよ」

警部「何?」

警部「けど、それがどうかしたってのか?」

伊織「あいつは今日来てないけど、事件解決の鍵を見つけたのは、ここにいる貴音よ!」

伊織「それにマーズからの暗号の一部を10分程度で解いたわ。戦力にはなるわよ?」

警部「…………ふん」

警部「じゃあその頭脳を使って出た答えを聞かせてもらおうか」

警部「我々は少なくとも犯行時刻が今日の夜以降と考えている。それは……」

貴音「『光る天の楼閣』からの推測ですね?」

貴音「昼間では光っているか不明ですが、夜ならば光っている。こんなところでしょう?」

警部「ほう……じゃ正確な場所と時刻はなんだと思う?」

律子「私は『光る天の楼閣』から大阪城じゃないかと思いました」

涼「確かに夜はライトアップされてて綺麗ですね」

あずさ「時間はちょっとわからなかったです〜」

警部「大阪城ね……確かにありえるな。天守閣は歴史的に大阪の光って言っても過言じゃない」

警部「だがやっぱり『秒針の無い時計が十二番目の文字を刻むとき』がわからないか……」

愛「『秒針の無い時計が十二番目の文字を刻むとき』?」

愛「もしかしてそれって、ひらがなやカタカナの上から順番ですか?」

全員「!?」

伊織「ひらがなだと……『し』だわ」

亜美「カタカナも同じ『シ』だよ→」

貴音「いろはにほへと……これだと『を』ですね……」

警部「もしや……アルファベットか!?」

律子「ABC……『L』!」

絵里「『L』を時計に当てはめると……夜中の3時?」

警部「間違いない!3時ならまだ深夜で暗い!」

貴音「………………」

警部「つまり大阪城に深夜3時に奴が現れるってことか!」

警部「よし、全警備班に伝えろ!とはいえ奴が前もって現れるかもしれない。いまから配備だ!」

涼「すごい……」

警部「あ、あとそうだ。「アクアネックレス」は持って行くぞ!」

伊織「ちょっと!何、勝手なこと言ってんのよ!」

警部「ちゃんと館長の許可はもらっている!」

警部「我々はな、マーズが来るところに馬鹿正直に宝石を置いて奪われてきた」

警部「だったらここに偽物を置いて、本物は別の場所に隠しとけばいい!」

伊織「ちなみにどこに持ってくのよ?」

警部「それを教えるわけにはいかん!内通者がいても困るしな!」

警部「ちなみに俺はマーズではない。部下に証明してもらってる」

警部「じゃあな」スタスタ

――――――

――――

――

伊織「きーっ!何なのよ、あいつ!」ジタバタ

あずさ「まぁまぁ落ち着いて伊織ちゃん」

亜美「そ→だよ→。怒るのは鬼軍曹だけでじゅうぶん「あ?」ごめんなさい」

律子「あ、もうこんな時間!伊織、亜美、あずささん。そろそろ会場いくわよ」

亜美「え→!もうそんな時間!?」

あずさ「あら〜もうちょっとゆっくりしたかったわ」

伊織「はぁ……仕方ないわね。じゃ貴音、それから涼、あとは頼むわよ」

貴音「承知しました」

涼「がんばります!」

――ガラス付近

ハト「…………………」ピッピッ

――2011/03/05 13:30 大阪市街地

貴音「このお好み焼き、真美味ですね」モグモグ

愛「ですよねー!!」モグモグ

絵里「美味しい」パクッ

涼「このたこ焼きも美味しいですね」パクパク

愛「ひとつもーらい!」ヒョイ

涼「あ、愛ちゃん!」

愛「美味しいー!!」

貴音「そういえば先ほどお二人は律子嬢から何か渡されていましたが?」モグ モグ

絵里「これのことですか?」ピラッ

愛「今日の竜宮小町のライブチケットですよー!」

貴音「ちけっとですか、しかし二枚だけですね」

絵里「涼さんは四条さんの手伝いと見張りと聞きました」

涼「律子姉ちゃん……」シクシク

愛「でも開演まで時間ありますし、それまで大阪を散策しませんか!?」

絵里「いい考え?」

涼「夜中の3時まで時間余ってますからね」

貴音「では道頓堀へ参りましょう」

涼「貴音さん、まだ食べるんですか……」

――2011/03/05 19:15 水瀬美術館前

貴音「お二人は竜宮小町のらいぶ会場に行きました」

涼「貴音さん?何か言いました?」

貴音「いえなにも」

涼「そうですか」

涼「あ。ねぇ貴音さん、見てよ」

貴音「?」

涼「マーズが現れるのが、3時の『L』なら、今は『へ』ですよ」クスッ

貴音「『へ』……」

貴音「!」

貴音(『差し迫る虎から逃れた兎へ』)

貴音(頭文字から数えて十二番目は『へ』!)

貴音「涼殿!まーずの犯行予告時刻は夜中の3時ではなく、午後7時20分です!」タッ

涼「え!?あ、ちょっと貴音さん、どこに!」

貴音「大阪城です!間に合うかはわかりませんが……!」タタタ!!

貴音「伊織から借りたこれならば……」ブルン

涼「ま、待って。ん?」ポツ

涼「雨?今日は晴れだって……」

涼「!」

涼「貴音さん、待ってください!!」

貴音「?」ジュンビチュウ

涼「『光る天の楼閣』は大阪城じゃないです!通天閣です」

貴音「通天閣!?」

涼「明日の台本にあったのを思い出したんです!通天閣は光の天気予報だって!」

貴音「!!」

――2011/03/05 19:20 通天閣屋上

マーズ「……ノーズ、準備は?」ザザ

ノーズ『いつでもOKさ☆』ザザ

マーズ「マーキュリー、そっちは?」

マーキュリー『問題ないよ!』

マーズ「……じゃ行くぞ」

マーズ「レディース&ジェントルマン!!」

マーズ「さぁ……ライブの始まりだぜ!」ピッ

ピューーーー!! ドンドンドン!!

――2011/03/05 19:20 大阪城内部

警察官A「な、なんや!?花火!?」

警察官B「今日ってここで花火やったか!?」

警察官A「いや、今日は何もなかったはずや!!」

――同時刻 某雑居ビル

警察官C「警部!大阪城のほうで花火が!」

警察官D「それも大量に!」

警部「慌てるな!まだ予告時間まで7時間以上もある!」

警部「それにこんな雑居ビルに隠してるとは思ってないだろう」

――同時刻 水瀬美術館前

貴音「涼殿!通天閣はどこですか!」

涼「向こうです!」

涼「向こうは全然花火が上がってない……大阪城に注目させるためか……」

貴音「今から通天閣に向かっても間に合わないですね……」

涼「そういえば、「アクアネックレス」は今どこに?」

貴音「確か警部殿がどこかに持って行ったはずです」

――通天閣屋上

マーズ「さーて、次は……」ピッ

バーーーーン!!

――水瀬美術館前

涼「!?」

貴音「停電!」

――大阪城内部

警察官E「なんだ!どうした!」

警察官F「なんだってんだ!」

――某雑居ビル

警部「落ち着け!すぐに自家発電に切り替えるんだ!」

――竜宮小町 ライブ会場(停電よりちょっと前)

客「わああああぁぁぁぁぁぁあああああ!!!」

伊織「さぁ次の曲行くわよー!」

客「うおおおおおぉぉぉぉおおお!!!!!!」

キャアア!! イオリーン!!  アミー! スキダー!!
  アズササーン!! ドタプーン!!  オオオオオ!!

律子(よかった、今のところ順調だわ)

律子(何も起きなきゃいいんだけど……)

ブゥン

伊織亜美あずさ律子美希(!?)

ドウシタ? テイデン?
 イヤ、エンシュツカ? イオリーン、スキダー!!

伊織(なんでこんなときに!)

美希(そろそろ美希の出番なのにー……)プクー

亜美(どどど、どーちよー!?)

あずさ(何も見えないわ〜)

律子「すぐに非常電源を!早く!」

伊織(こうなったら一か八かね……)

伊織「みんなー!!」

亜美あずさ律子美希(!?)

ン? オオ、イオリンダ! ヤッパリ、エンシュツナノカ!
 ナニガハジマルンダ? イオリーン! スキダー!!

伊織「今から3、2、1のカウントダウンの後に「せーのっ」って言ってーーー!!!」

オオ? オーケー! イオリンキャワワ!

伊織「みんなあわせて!」ボソッ

亜美「わかった!」ボソッ

あずさ「はい〜」ボソッ

伊織「いくわよー!?」

伊織「3!」

伊織亜美「2!」

伊織亜美あずさ「1!!」

客「せーのっ!!」

http://www.youtube.com/watch?gl=JP&v=a4hcoYYSlXk

*イメージでは手拍子で歌ってる感じでよろ

客「うおおおおおおおお!!!!!!!」

律子(伊織、ナイスフォロー!)グッ

律子(曲の途中で停電も治ったみたいだし……)

伊織「今日はここで、サプライズゲストを呼ぶわよー!」

亜美「以前は律っちゃんだったけど→!」

あずさ「今日は、ライバルだけど大切な仲間……」

伊織亜美あずさ「星井美希です!!」

客「うおおおおおお!!」

美希「こーんばんわーなのー!!美希だよー!!」ニコッ

客「わあああああ!!!」

美希「ふふん!今日ここにいるのは竜宮小町のファンだけどー……」

美希「みんなメロメロにして、美希のファンにしちゃうのー!!」

あずさ「あらあら〜」

亜美「ミキミキ→さすっが→」

伊織「私たちも負けてらんないわ!」

美希「それじゃあ歌で勝負なの!」

――通天閣屋上

マーズ「法円坂御門病院、ホテル堂島センチュリー、天魔救急医療センター……」

マーズ「ホテルチャネル10、浪花TMS病院、関西ホテルワールド……」

マーズ「ん?……ビンゴ」

バシュ!

――水瀬美術館前

貴音「マーズの狙いがわかりました!」

貴音「急ぎましょう!」

涼「貴音さん、僕も行きます!」

貴音「わかりました!早く後ろに!」ブルンブルン

涼「はい!」

貴音「しっかり捕まっててください!」

ブルルルル!!ブロロロロロ!!!!

――道路

ブロロロロロ…………

涼「貴音さん、バイクの免許持ってたんですね……」

貴音「えぇ、有事の際のために……」

涼(貴音さんの身体に密着してるからちょっとドキドキ……)

貴音(へるめっとが二つあったのは、伊織も一緒に来たかったのでしょう)

涼「けど、どうしてマーズは大阪中を停電にしたんですか?」

貴音「おそらくまーずは「あくあねっくれす」が美術館にないことを事前に知ることができたのでしょう」

貴音「そして場所を知るために、街を停電にし、病院やほてる以外で自家発電に切り替えた場所にあると考えたのです」

涼「じゃあ通天閣にいた理由は!」

貴音「あそこならば大阪中が見渡せるのでしょう」

貴音「!」

貴音「いました!まーずです!」

――上空

マーズ『………………』

――道路

貴音「おそらく宝石を守っている人数は少ないと思います」

涼「そうか、隠し場所を他の人からも見つけにくいようにするために、警備も手薄なんですね!」

貴音「えぇ、早くしなければ……」

ブロロロロロ…………

――某雑居ビル 入り口

涼「四条さん!僕が行きます!」タタタタタッ!!!

貴音「え!?お待ちなさい!涼殿!」

涼(僕だってしっかりしなきゃ!)

――某雑居ビル 5階

涼「ここか!」

警部&警察官CD「Zzz ……」

マーズ「ん?」

涼「待て!マーズ!!」

マーズ「ちっ」ピシュ ボン!

涼「!」

涼(煙幕!)

マーズ「…………」タッ ピュー

涼「しまった!」

涼「!」

涼(ロープがある!これで下に)

――某雑居ビル 入り口

貴音「涼殿!早く!」

涼「はい!」ピョン

ブルル、ブロロロロロ!!

――道路

涼「あと一歩だったのに……!」

貴音「気にすることはございません。まだ機会はあります」

貴音「はんぐぐらいだーが飛ぶには軽い向かい風が必要なはずです」

涼「風上に飛んでるってことですね」

涼「あっちは大阪湾……」

貴音「急ぎましょう!」

ブロロロロロ……

――大阪湾付近

貴音「涼殿、ばいくを止めたら、ばいくを支えていただけないでしょうか?」

涼「へ?いいですけど、なんで?」

貴音「説明している暇は無さそうです」

ブロロロロロ キッ!

――上空

マーズ(やっと諦めたかな……)チラッ

マーズ(って、おい、あれ!?)

――地上

貴音「…………」スゥー

貴音「はっ!」バシュ

――上空

マーズ「弓矢だと!?」

マーズ「おっとっと!」サッ ズル

マーズ「しまった!」ヒュー

――地上

貴音「外れましたか……」

涼「何か落としたみたいですよ!いきましょう!」

――上空

マーズ(やべー……おっさんに怒られそうだ)

マーズ「ノーズ、任務失敗、撤退だ」

ノーズ『あらら。チャオ☆』

マーズ「マーキュリー。そっちと合流する」

マーキュリー『オーケー、お疲れー』

――地上

貴音「これは……「あくあねっくれす」ですね」

涼「弓を避けた時に落としたんでしょうか」

涼(すごい弓の技術だなぁ……)

貴音「そのようですね。とりあえず持ち帰りましょう」

――2011/03/06 08:00 ホテル

貴音「……結果としてマーズは捕まえられなかったですが、宝石は守れました」

伊織「なるほど、宝石を守れただけでもじゅうぶんだわ」

伊織「捕まえられなかったのは残念だけど、まぁ仕方ないわね」

伊織「あなたのおかげよ、貴音。ありがとう」

貴音「いえ」

貴音(また奴とは出会いそうな気がいたします)

貴音「では私は東京に戻ります」

伊織「えぇ、律子にも説明しとくわ。じゃあね」

貴音「失礼します」


――2011/03/08 12:00 961プロ

黒井「…………言い訳はあるか?」

冬馬「あれは、四条のヤローが!」

黒井「黙れ」

冬馬「くっ……」

黒井「まぁいい、おそらく我々が探し求めてるモノではなかっただろう」

黒井「次の指令だ」サッ

冬馬「これは!」

黒井「手段は問わない。期間は一ヶ月」

翔太「でも黒ちゃん、今回みたいに持って帰ってこれなかった場合どうするのさ?」

黒井「わかっている。だからお前たちにも本物か偽物かの区別する方法は教えてやる」

黒井「今回は偽物か本物さえわかれば良い。本物だったら持って帰って来い」

黒井「失敗は許さないぞ」

冬馬「チッ、わかったよ」

翔太「頑張るよ」

北斗「チャオ☆」

バタン

黒井「ふん、あまり期待はしていないがな」

――廊下

翔太「ねぇ冬馬くん?」

冬馬「なんだ?」

翔太「冬馬くんがマーズ役だとはいえ、僕達にコード・ネームみたいのは要らないんじゃない?」

冬馬「バッカ!わかってねーな!こういうのはロマンなんだよ!ロマン!」

翔太「でも僕は御手洗だから、水でマーキュリー。北斗が北でノーズって……」

北斗「俺は結構気に入ってるぜ☆」

冬馬「わかりやすさが大事なんだよ!いいから次の作戦考えるぞ!」

北斗「OK☆」

翔太「はいはい」

――2011/03/18 21:00 765プロ事務所

P「ただいま戻りましたー」

春香「戻りましたー……」

小鳥「おかえりなさい。プロデューサーさん、春香ちゃん」

千早「おかえりなさい」

P「おや、千早。まだいたのか?今日はレッスンだけだったはずだが……」

千早「えぇ、そうです。ですが今日は春香が泊まるので待ってたんです」

春香「いつもごめんねー、千早ちゃん」

千早「いいのよ、私も料理教えてもらってるから助かるわ」

小鳥「料理……食べる……」グヘヘ

P「おい、そこの事務員。何を考えてる」

小鳥「はるちは……いや、ちははる?」グヌヌ

真「戻りましたー」

雪歩「お疲れ様ですぅ」

P「おう、お帰り。送る準備するから休んでてくれ」

雪歩「はい、いつもありがとうございますぅ」

P「気にするな。最近も物騒だからな」

真「あ、プロデューサー」

P「なんだ。真?」

真「これが事務所の入り口に置いてあったんですが、誰かのですか?」サッ

P「え、赤いバラの花束?そんなのあったか?」

春香「全然気づかなかったよ」

真「結構目立つはずなのに、どうして気づかないんですか……」

P「いやー、今日はちょっと慌ただしくてな」ハハハ

春香「今日の舞台は盛り上がりましたからね。疲れちゃった」

雪歩「今、春香ちゃんがやってる舞台「宝石と悪魔」で、春香ちゃんは閣下役なんだっけ?」

春香「そうだよ。私の宝石を奪いに悪魔と人間が協力して、私に向かってくるの」

春香「けど私が人間側に捕まっちゃって、そのあとは人間が悪魔と戦うっていうお話」

春香「私は最初、敵だけど、最終的には囚われの閣下になっちゃうんですよ!」

春香「お姫様ですよ!お姫様!」

真「なんかちょっと違うような……」

P「そういえば、明後日の最終日に本物の指輪「ファイアリング」を使うって今日宣伝してたな」

春香「はい!今から緊張しちゃいますよー」

小鳥「それよりプロデューサーさん。その花束、一応調べたほうがよくないですか?」

P「そうですね。虫が入ってても嫌ですし。真」

真「はい。でもこれ誰宛なんでしょうね?」パサッ

P「さぁな……でも事務所の前に置いとくってことは知人かもな」ガサゴソガサゴソ

P「……ん?手紙だ」

千早「それだけですか?」

P「んー……そうだな。特に危険物もなさそうだ」

雪歩「手紙に宛名とか書いてあるんじゃないですか?」

P「特に書いてないなぁ……開けてみるか」

小鳥「気を付けてくださいね。もしかしたら刃物とか」

P「ウチの事務所も有名になったんだなーと思うことにします」

小鳥(それはちょっと違うんじゃ……)

――手紙

Romeo Juliet Victor Bravo!
26の文字が飛び交う中「燃ゆる魂」をいただきに参上する

                怪盗マーズ


P「」

春香「プロデューサーさん!?何が書いてあったんですか!?」

P「あ、あぁ……マーズから挑戦状が……」

全員「「「「!?」」」」

春香「「燃ゆる魂」……?」

千早「マーズが盗むのだから、宝石だとは思いますけど」

真「燃える魂……スポーツとかで燃える!とかの比喩かな?」

雪歩「燃えるといえば、こ、恋とかも……///」

小鳥「でもマーズの正体は不明だわ」

P「ここで面識があるのは、千早くらいか?」

春香「貴音さんも間接的には面識あるんじゃないですか?ほら、この前大阪で」

P「あぁ、「アクアネックレス」を奪ったマーズを律子のいとこと一緒に追いかけたって聞いたな」

P(事情を聞いて説教したのは記憶に新しい)

P(ラーメン一週間禁止にした時の貴音の顔はわすれまい)


雪歩「プロデューサー?」

P「おおっと、スマン」

春香「あ、もしかして「燃ゆる魂」って私の舞台で使う「ファイアリング」のことじゃないですか!?」

春香「告知したの今日でしたし、ファイアって燃えるって意味ですし!」

P「じゃこの二つに割れたトランプは何だ?」

真「Vサインですかね?」

千早「赤いバラは?」

春香「それは……たぶん私のイメージカラー?」のヮの?

P「それはどうなんだ……」

P「ま、詳しくは明日考えてみるよ。もうこんな時間だし今日は解散!」

P「真、雪歩。送るからちょっと待っててくれ」

千早「春香、私たちも帰りましょう」

春香「うん、そうだね!」

P「送ってかなくて平気かー?」

春香「材料買って帰るんで平気です!」

P「わかった。気をつけて帰れよー」

――2011/03/19 15:00 765プロ事務所

貴音「なるほど。そのような手紙が……」

P「あぁ、一応警察にも連絡したし春香は今日舞台の共演者にだけ伝えると言ってた」

P「しかしこの暗号がわからん……」

貴音「ろみお、じゅりえっと、びくたー、ぶらぼー……舞台の何かに関係するのでしょうか……?」

??「んっふっふ〜♪お困りのようだね」

P「ん、真美か」

真美「ちょっと兄ちゃん!簡単に正体バラさないでよ→!つまんな→い!」

P「スマンスマン、ちょっと考え事でな」

真美「マーズからの挑戦状について?」

P「あぁ、春香たちに危害は加えないだろうが、何も対策をしないわけにもいかないからな」

P「ただまぁ……思いつかないんだよなぁ……」

真美「どれどれ、ちょっと借りるよ→」パッ

真美「…………」

P「な、よくわかんないだろ?」

真美「兄ちゃん、これって公演が終わったら盗みに来るってことじゃない?」

P「!?」

貴音「どうしてそう思うのです?真美」

真美「んっふっふ〜、考えすぎなのだよ。二人とも」

真美「まずはロミオとジュリエット。これは童話の「ロミオとジュリエット」なのだよ!」

真美「その劇場で前に「ロミオとジュリエット」をやってたりしない?」

P「えと……ちょっと待ってろ」カタカタ

P「……!確かに春香の舞台の前に「ロミオとジュリエット」を公演してる」

真美「つまりマーズが来る場所は同じ舞台なのだよ!」

真美「そしてブラボ→。これは劇が終わった時に言う言葉だよね?」

真美「じゃ劇が終わったら現れるってことじゃない?」

P「ふむ……そう読み取れなくもないな」

貴音「ではびくたーは?」

真美「ん→……これはちっとわからんですなぁ〜」

ガチャ

響「ただいまもどったぞー!」

やよい「お疲れ様ですー」

P「おぉ、響にやよいお疲れ様」

響「ん?みんなで手紙見て何してるんだ?」

P「あぁ実はな……」


――P説明中

響「なるほど、マーズが自分たちに挑戦状を……」

やよい「それで今暗号を解いてるんですね」

P「あぁ、なんか思いつかないか?」

やよい「うーん。ビクターってどういう意味ですか?」

P「主に「勝利」だな。ほらビクトリーとか言うだろ?」

P「他にも征服者って意味もあるが……」

響「あ!」

P「どうした、響」

響「自分、ティンと来ちゃったぞ!」

響「春香がやってる舞台で最終的には人間側が勝つんだったよね?」

P「あぁ、そうだな。春香が演じる閣下が最終的にうまく取り持つらしいが人間側が勝つってのは間違ってないだろう」

響「つまり、ビクターは人間側の誰か。たぶん征服者としてなら人間側のリーダーってことじゃないか!?」

響「マーズはそいつに変装してると思うぞ!」

真美「おぉ→さすがひびきん!」

響「ふふん。自分カンペキだからな!」

やよい「じゃあこのトランプもしょーりの∨サインって意味なのかなーって」


貴音「ではこの「26の文字が飛び交う中」とはなんでしょう?」

真美「この手紙の英単語の文字数が26なんじゃない?」

貴音「しかし、記号を入れても23文字なのですが……」

真美「そ、そりは……数え間違えたんじゃないかな→って」

貴音「ふむ……」

P「とにかく明日の劇が終わって幕が降りた時に盗みに来るってことだな」

P「明日は生っすかだけだし、行けるメンバーで春香の公演に行ってみるか!」

貴音(26文字といえばあるふぁべっとですが……繋がりが見えませんね)

貴音(それにこのとらんぷ、勝利のぶいさいんとは思えません……)

クルッポ バササッ


――2011/03/20 17:00 劇場「天空」 エントランス

P「で、今日来れたのは……」

P「千早、真、雪歩、やよい、真美、響、貴音。そして今準備中の春香か」

P「全員、危ないことはするなよ?」

全員「はい!」

真美「それにしてもお姫ちん。リュックなんて珍しいね→。何かあったの?」

貴音「ふふ、とっぷしーくれっとですよ」

やよい「ズボン姿も珍しいですねー」

P(いい尻だな……)ジー

雪歩「プロデューサーさん……? なにをみてるんですか……?」スッ

P「雪歩、落ち着け。スコップはまだ早い」

スタッフ「あ、765プロの方々っすか?おまたせしました、ささどうぞ」

P「今回は無理言ってすみません」ペコ

P(スタッフさんに頼んで楽屋に入れてもらえるのは助かったな)

――劇場「天空」 楽屋

春香「あ、プロデューサーさん!それにみんな!」

千早「さっきぶりね、春香。陣中見舞いになるのかしら。ふふ」

春香「ありがとう!千早ちゃん!」

真「閣下の恰好ってなぜか春香に合うんだよね……」

春香「それは褒めてるの?」アハハ

P「そういう路線も考えてみるか」

春香「もー、やめてくださいよー!そういうのは真だけでいいじゃないですかー」

真「春香、それはどういう意味?」ゴゴゴ

春香「のヮの;」

雪歩「私も真ちゃんにはそういうのが似合うと思うな!」ハァハァ

雪歩「あ、でも真ちゃんはやっぱり王子様役!?」

真「雪歩!落ち着いて!」

真美「んっふっふ〜、これが修羅場ってやつですかね→」

真「真美、煽らないで!」

「ふふ、ずいぶん騒がしいわね」

P「あ、すみません」

「いいのよ」

春香「あ、黒木さん!お疲れ様です!」

黒木「本番はこれからよ?」

貴音「あなた様、あの方は?」ヒソヒソ

P「今回の舞台でもメインの女優「黒木 樹里」さんだ」ヒソヒソ

黒木「紹介が遅れました。黒木です。みなさんよろしく」ニコ

黒木「こちらはメイクの「三原 友里」よ」

三原「よろしくー」

黒木「三原さん、天海さんにもメイクをしてあげてちょうだい」

春香「いつもありがとうございます!」

三原「いいのよ。でも今日が最後だとちょっとさびしいわね」

春香「そうですねー」

三原「ま、最後まで気を抜かないでね」


やよい「すごいメイク道具ですねー」

響「種類も多いぞ!」

三原「ま、プロだからねー。でも君たちにはちょっと早いかな」カタッ

千早「高槻さんはそのままでもじゅうぶん可愛いわ!」

やよい「はわわ、千早さん照れちゃいますよー///」

響(あれ、自分は?)

貴音「響もそのままでじゅうぶんですよ」フフ

「ふん、弱小プロどもが。騒ぐなら、時と場所を考えていただきたいものだな」

P「あ、あなたは!」

「先月は世話になったな。弱小プロデューサー」

P「黒井社長!なぜここに!?」

黒井「なんだ?セレブな私がここにいて、何か問題でも?」

黒井「ここの劇場のオーナーとは知り合いでね。なに、今日は貴様らにかまってる暇はない」

黒井「じゃあな」

貴音「?」

P「まったく……何しにきたんだ」

「それはあんたたちにも言えるがね」

全員「!?」

P「今度はどちらさまですか……」

警部「私は警視庁捜査二課「大森」だ」

貴音「あなたですか。大阪でもお会いしましたね」

警部「また君と会うとはね……まぁいい。今日マーズが来ると聞いてな。出演者を調べているんだが……」

警部「こんな大人数いるとはな……一応聞いておこう。あんた達のなかで、不審な奴はいないか?」

P「ウチの事務所の人間にそんなやつはいません」

P「それにマーズが変装の名人とはいえ、この娘らに変装するのは難しいと思いませんか?」

警部「ふむ、一理あるな。じゃあんたたちはいつマーズが現れると考える」

P「それは――」

――P説明中

警部「劇の終わりにか……まぁ一つの案としては考えておこう」

「黒木さーん、準備終わりましたー?」ガチャ

「おや?今日はお客さんが多いですね」

P「あ、おじゃましてます。765プロのプロデューサーです」ペコ

谷口「あぁ、天海さんの事務所の……僕は「谷口 潤」です。今回の劇では英雄役を演じてます。演出とかも一応やってますね。どうぞよろしく」

風間「悪魔側の隊長役「風間 隼人」です。いやー765プロの娘はみんな可愛いですねー」ニコ

春香「風間さん。またそんなこと言ってー、照れちゃいますよー」アハハ

風間「いやいや、冗談抜きでかわいいよ。プロデューサーさんが羨ましいよ」ハハハ

P「それはどうも。自慢のアイドルたちですから」ハハ

谷口「あ、警部さんもどうも。今日はよろしくお願いします」

警部「お任せください。なんとしても宝石はお守りします」

春香「そういえば、黒木さんってスキューバダイビングやってるんですよね!」

響「え、そうなのか!?自分も響チャレンジでやったことあるぞ!」

黒木「私はまだ始めたばっかの初心者よ」

響「そーなのか!でも自分より上手そうだぞ!」

黒木「ありがとう。あら、そろそろ時間ね。みんな準備はいい?」

役者たち「はい、オッケーです」

黒木「ではプロデューサーさん。私たちはそろそろ本番ですので、失礼します」

P「いえ、こちらこそ失礼しました。本番頑張ってください」

P「じゃみんな移動するぞー」

貴音「あなた様」

P「どうした、貴音」

貴音「私は少し確認したいことがありますので、先に行っててください」


――展望フロア

ガタガタ

貴音「屋上への扉はきちんと閉まっていますね」

貴音(まーずが逃げるならば、おそらく屋上からはんぐぐらいだーで逃げるでしょう)

貴音(対策は一応してありますが……)

??(…………)

貴音(!)バッ

黒井「そんなところで何をしている?」

貴音「黒井社長……あなたこそどうして?」

黒井「ふん、開演までの時間つぶしで歩いていたら貴様がコソコソ歩いてるのを見かけたんでな」

黒井「マーズでも捕まえるための準備か?」

貴音「……いえ、施錠の確認しているだけです」

黒井「まぁいい。鍵がかかっているなら、マーズもそこは使わないと思うがな」

貴音「…………あなたは」

黒井「おっと、そろそろ時間だ。では失礼する」スタスタ

貴音「お待ちなさい!」

黒井「弱小事務所の小娘にかまってる時間などない」スタスタ

貴音(…………あれは本当に黒井社長なのでしょうか……)

――劇場 観客席

貴音「戻りました」

P「おかえり。ちょうど始まるところだ。悪いが端っこでいいか?」

貴音「構いません。途中で席を立つかもしれませんので」

P「? まぁいいが」

貴音(黒井社長は非常口前ですか……)

響「なんかワクワクしてきたぞー」

やよい「春香さん、頑張ってくださーい」

千早「どんな演技をするか、ちょっと楽しみね」

雪歩「なんか私まで緊張してきちゃったよぉ……」

真美「大丈夫だよ、ゆきぴょん!はるるんならきっと開幕で転んで緊張をほぐすよ→」

真「それはさすがにないよね……?」

「間もなく開演します」

――舞台上 開演

春香「脆弱な人間どもが!我の宝石を奪うなぞ許さぬ!!」

春香「崇め奉るべき存在に歯向かうとは……覚悟はできているのだな!」

――観客席

やよい(わぁ、春香さん……すごい迫力です……)

千早(役になりきってるわね……)

P(あれを日常でやられたら……ゾクゾクするかも)

――中盤

黒木「魔女を捕まえたら、悪魔が裏切った!?」

谷口「はい、申し訳ございません……悪魔もあの宝石が狙いだったようで……」

黒木「すぐに兵を用意せよ!悪魔を迎え撃つ!」

谷口「はっ!」

――観客席

真(おぉ……盛り上がってきた……)

真美(Zzz……)

雪歩(真美ちゃん、寝ちゃだめだよぅ……)

――終盤

風間「こ、これが人間の力だと……もしや貴様、宝石の力を……」

谷口「……仕方ないことだったのだ。貴様らを倒すためには……」

――観客席

響(うがー、どうなっちゃうんだ!?)

P(おぉ、よくできてるなぁ……)

貴音(今のところは動きなし……)

黒井「…………」サッ

貴音(! 黒井社長が動いた!)

貴音「あなた様」ボソッ

P「ん、どうした?」ボソッ

貴音「少し抜け出します。戻ってこなければ入り口でお待ちいただいてもよいでしょうか?」ボソッ

P「わかった。危ないことはするなよ?」ボソッ

貴音「承知しております」ボソッ

――劇場内 廊下

貴音(奴は何処に……)

貴音「あ!」ピトッ

警備員A「おっと、危なかった。君は?迷ったのかい?」

貴音「失礼しました。少し急いでたもので……」

警備員B「どうかしたのか?」

貴音「!」

警備員A「いや、どうやら迷ってたらしくね」

警備員B「そうですか、舞台でしたら向こうですよ」

貴音「ありがとうございます。ところであなたの警棒、ずいぶん長いですね」

警備員A「そういえばそうだな」

警備員B「僕のはちょっと特注でして……」

貴音「警棒は長さ60せんちめーとる以下、直径3せんちめーとる以下、重さ320ぐらむ以下の円棒とする」

警備員A「?」

警備員B「!」

貴音「以前、一日局長の任を任されたときに教えていただきました」

貴音「あなたがお持ちの警棒は、明らかに長すぎると思いますが?」

警備員A「え、ちょっと……」

警備員B「……ははは」

警備員B「なんでこんなに長いかって?それはね……」

警備員B「こうやって使うからだよ!」カチッ

ピカッ!

警備員A「うわ!」

貴音「くっ」

貴音(目くらましですか!)

警備員B「じゃあな!アイドルさんよ!」タタタッ

貴音「お待ちなさい!」タタタッ

――展望室 非常口付近

貴音(先ほど施錠を確認したときは、閉まっていましたが……)

キィ

貴音(開いていますね……この先ですか!)

――舞台上 エンディング

警部(結局あいつの意見を参考にし、舞台のエキストラとして紛れ込んだはいいが……)

谷口「俺が人間じゃなくても愛してくれるか……姫よ」

黒木「もちろんでございます。私はあなたについてまいります!」

谷口「感謝する。姫よ」

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――観客席

雪歩「いい話だったですぅ……」

真「僕も憧れちゃうなー、あんな告白!」

真美「んん……終わったの?」

響「感動したぞー!」

やよい「春香さんもすごいがんばってましたー」

千早「面白かったわ」

P「うん、よかったよ」

――舞台上

警部「幕が降りきったら、確保だ」ボソッ

警察「「「了解」」」

ズザー……

警部「今だ!マーズを確保しろ!」

警察「「「おおー!!」」」

谷口「え!?ちょっと、うわ!」

警部「残念だったな。マーズ」

警部「お前の暗号なんて簡単に解けたよ」

谷口「違います!僕はマーズじゃない!」

警部「確認すればわかることだ!ほれ!」ギュー

谷口「痛い、痛いです!」

警部「……え?本物?」

警部「じゃマーズはどこに!」

――屋上への階段

貴音(いったいどこに……)

ガタッ

貴音「む! そこですね!」タタタッ


――屋上

ビュウウウウ……

警備員B「…………」

貴音「戯れはここまでにいたしましょう。盗人殿」

警備員B「そうだな。お前と遊ぶにも、日が暮れすぎたようだな」バサッ

マーズ「アイドル探偵さん」

貴音「軽口をたたけるのも今のうちです」

貴音「早々に決着を着けさせていただきます」スッ

マーズ「そうだな。お仲間が夕飯作って待ってるからな」

貴音「?」

響『貴音ー?どこにいるさー?』

貴音「響!?」クルッ

貴音「え、誰も……しまった!」

マーズ『ご飯できたぞー、早く来ないと冷めちゃうぞ!』パシュッ!!

貴音「くっ!」サッ

貴音「隙あり!」ピュ!

マーズ「おっと!」スッ

マーズ「ナイフとは危ねぇな!」

貴音「殺傷能力はありません。ですが当たれば痛いですよ!」ピュ!!


マーズ「ふん!軌道が丸見えだよ!」パシュッ!!パシュッ!!

貴音「くっ……」サッ サッ

マーズ「ほら、どうした!?」パシュッ!! パシュッ!! パシュ!!

貴音「!」サッ サッ サッ

貴音(避けるのが精一杯ですね……)コン

マーズ「どうやら決着が着きそうだな、アイドルさんよ」

貴音「えぇ、そのようですね……」

マーズ「…………」

貴音「…………」

マーズ「…………」

貴音「…………ふっ」

マーズ「くらいな!」パシュッ!!

貴音「おっと!」サッ

貴音「! しまった!」ガッシャーン

マーズ「!」

マーズ(おい、ここは超高層ビルだぞ!?)

貴音「」ピュー

マーズ(ちっ!しかたねぇ!)バサッ

マーズ(いた!)

貴音「…………」ピュー

貴音「やはり追ってきましたね」キッ

マーズ「!?」

貴音「食らいなさい!」バシュ!!

マーズ「おおっと!?」サッ

貴音「くっ……」ピュー

マーズ(おい、どうすんだよ。あいつ……)

貴音「はっ!」カチャ

ブワァッ!

マーズ「なるほど、ハンググライダーにパラグライダーってわけか」

貴音「逃がしません!」

――上空

マーズ「…………」

貴音「…………」

マーズ「…………」

貴音「…………」

――地上付近 モノレール上

マーズ(そろそろだな……よっと)カチッ

ピュッ

マーズ「よっ、と」ドサッ

マーズ「こっちだぜ」ニヒヒ

貴音「…………」カチャ

ドサッ

貴音「ふう……」

マーズ「さすがだな。あのときの弓矢といい厄介なやつだぜ」

貴音「観念しなさい、まーず。羽を無くした怪盗はただの盗人です」

マーズ「ふっ」

貴音「さぁおとなしくしていなさい」

マーズ「じゃ、そろそろ怪盗に戻らせてもらうぜ?」ギィィ

貴音(この音は?)バッ

貴音(しまった! 縄ではんぐぐらいだーを空に待機させてたのですか!)

貴音「お待ちなさい!」タタタッ

マーズ「じゃあな」タッ

貴音「はっ!」

バッ!  スカッ……

マーズ「…………」ピュー

貴音「……やられました」

――2011/03/24 17:00 羽田空港

やよい「函館は雨ですかー……ちょっと残念です……」

真美「まぁちかたないね。でもでも雷が飛行機に落ちたら……」

真「大丈夫だよ、飛行機は雲の上を飛ぶんだから」

雪歩「でも真ちゃん、着陸のときは雲の下だよ……」

真「」

やよい「」

真美「」


P「いやーすみません。俺たちまで打ち上げの旅行にお招きいただいて……」

谷口「いいんですよ。舞台も成功したし、春香ちゃんもがんばってたしね」

春香「そ、そんな!みなさんのおかげですよ!」

谷口「ま、一番は宝石をマーズから守れたってことですからね。四条さんでしたっけ、彼女がマーズを見つけたそうですね」

貴音「申し訳ございません。あと少しのところでしたのですが……」

響「貴音は気にしなくていいんだぞ!」

千早(四条さんって本当に何者なのかしら……)

春香「そういえば黒木さん遅いですね」

谷口「あぁ彼女ならメイク中だよ。三原くんに頼んで」

P「はー、大女優となると大変ですねー」

谷口「大変なのは三原くんですよ。本来はメイクだけなんですが、今では彼女の付き人みたいに働いてますよ」

黒木「はぁい、お待たせ」

三原「お待たせしました」

P「あ、今回はありがとうございます!」

黒木「あら、765プロの。いいのよ、お礼も兼ねてるのだから」

P「なんかすみません……あれ、その指輪って……」

黒木「えぇファイアリングよ。元々私のだし」

P「平気なんですか?」

黒木「もうマーズは盗むのに失敗したから平気よ」

P「ならいいんですが……」

谷口「風間くん遅いな……」

黒木「あぁ彼なら体調不良で欠席するって連絡あったわ」

春香「そうなんですか!?ちょっと残念ですね……」

千早「あの……」

黒木「?」

千早「他の役者さんたちは来ないのでしょうか?」

黒木「えぇ、端役呼んだって仕方ないじゃない」

千早「……そうですか」

P「…………」

貴音(そのようなものなのでしょうか……)

??(……………………)

貴音(!!)バッ

貴音(今、誰かこっちを見ていたような……)キョロキョロ

貴音(気のせい……ですか……)

――北海道 黒木の別荘

ザッ ザッ

大森警部「俺の勘が正しければ、マーズはここに……」

警部「A班は向こうで待機。B班はあっちで待機だ」

「「「はっ!」」」

警察官A「警部、建物に明かりが……」

警部「なに!?」

マーズ?「…………」ウロウロ(室内)

警部「あ、あれは……!」


――羽田空港 ロビー

「スカイジャパン航空 函館行き 18時15分発 865便はただいまご搭乗手続きをしております。865便にて函館に向かうお客様はお手続きをお願いいたします」

――飛行機内

やよい「わぁー!座席がふかふかですー!」

真美「これは快適ですな→」

真「こんな豪華な席初めてだよ!」

雪歩「二階席があるなんて、なんだか緊張しちゃいますぅ」

春香「千早ちゃん!スーパーシートですよ!スーパーシート!」

千早「春香、もうちょっと静かに……」

貴音「鉄の塊が飛ぶというのは、なんとも面妖な……」

響「そうか?沖縄に帰るには飛行機しかないから、普通だぞ」

P(やよいの高所恐怖症は平気だろうか……)

「やぁみなさん!遅くなりました!」

全員「!?」

春香「風間さん!?今日は体調不良で欠席じゃなかったんですか!?」

風間「いやー、寝てたらだいぶ良くなりまして。それにこんな機会逃したらもったいないじゃないですか」テクテク

風間「なので参加することにしまして」テクテク

風間「遅くなりました。王女さま」チュッ(指輪にキス)

黒木「どうして言われたとおりにしないの!?」ヒソヒソ

風間「大丈夫ですよ。向こうに着いてからでもじゅうぶん間に合います」ヒソヒソ

貴音「?」

――飛行機出発準備

「業務連絡です。乗務員はドアモードを変更してください」

ガチャ シュッ

貴音「…………………」

P「どうした、貴音」

貴音「いえマーズのことで……」

貴音「奴は本当に宝石を奪うつもりだったのでしょうか?」

マーズ『そうだな。お前と遊ぶにも、日が暮れすぎたようだな。アイドル探偵さん』

貴音「それに長すぎる警棒も、変装として完璧ではございませんでした」

貴音「なぜなのでしょう?」

P「劇場で盗む気がなかったってなら……あの暗号文はいったい……」

雪歩「それにしても、飛行機の座席ってAからDまでってわけじゃないんだね」

真「そういえば、そうだね。僕の席はKだし」

雪歩「私のはJだよ」

P「!」

貴音「あなた様?」

P「わかったぞ、貴音。あの英単語はフォネティックコードだったんだ」

貴音「ふぉねてぃっくこーど?」

P「あぁ、無線通話で聞き間違いを防ぐために使われててな」

P「RはRomeo、JはJuliet、VはVictor、BはBravoというように分けられてるんだ」

P「それにこれは航空機の無線通信機でも使われてるんだ」

P「つまり『26の文字が飛び交う中』ってのはこの飛行機の中での犯行を表してたんだ」

P「それもこの東京から函館に行く865便内でな」

貴音「この中?飛行機なら帰りでも……はっ!」

貴音「あのとらんぷの絵柄ですか」

P「そう、スペードの2が半分に割れていただろ。あれは2で割り切れない奇数を表してたんだ」

P「東京から出発する飛行機はこの865便のように奇数。戻ってくる飛行機は偶数という決まりなんだ」

貴音「なるほど……つまり昨日私の前に現れて、宝石を奪わなかったのは失敗したと油断させるためでしたのですね……納得いたしました」

P「つまり、マーズはこの機内にいると……」

貴音「そういうことになりますね」

黒木「ん……」

谷口「黒木さん、どうかしたんですか?」

黒木「いえ、ちょっとめまいが……」

谷口「疲れてるんですよ、ほらビタミン剤」

黒木「ありがと。……ん」

――コックピット

「スカイJ865便離陸を許可します」

副機長「オーケー、離陸します」

機長「テイクオフ」カチッ

――客室

響「おー、飛んだぞー」

貴音「きれいな景色ですね」

真美「おや?耳がなんか変だよ?」

やよい「私もー」

P「あぁ気圧が変わったからだな。つばを飲めば治るぞ」

やよ真美「「ごっくん」」

やよい「あ、治りましたー」ペカー

真美「兄ちゃん、治んないよ→」

P「そしたら鼻をつまんで、ふん!と息を吐くんだ」

真美「なるほど……ではさっそく」サッ

P「…………」

真美「…………」

真美「兄ちゃん、こっち見ないでYO!恥ずかちーじゃん!」

P「え。あぁすまん」サッ

響「プロデューサー、デリカシーが足りないぞ!」

「シートベルトを外しても大丈夫です」ピン!

黒木「ん」

P「あ、黒木さん。隣いいですか?」

黒木「え?えぇいいわよ」

P「あの……あと今回、春香がどんな感じだったか感想みたいのをちょっと教えて欲しいんですが……」

黒木「お安いご用よ」

P「ありがとうございます。えっと紙とペン……」

三原「黒木さん、これどうぞ」スッ

黒木「ありがと。はい、Pさん」

P「あ、すみません」

黒木「気が利くでしょ。これだから手放せないのよね」

P「は、はぁ」

春香「千早ちゃん、ちょっといい?」

千早「お手洗いね」

春香「うん///」スタスタ

ガタッ

春香「うわ!?」ドンガラ……パシ

黒木「大丈夫?」

春香「す、すみません黒木さん!」

黒木「気をつけてね」

春香「はい///」

黒木「とりあえずこんな感じかしら」

P「ありがとうございます。ペンもすみません」

黒木「いいのよ」

CA「洋菓子と和菓子どちらがいいですか?」

黒木「いらないわ。飲み物も結構」

P「あ、では俺はコーヒーを」

CA「わかりました、少々お待ち下さい」

春香「ふぅ」カシャッ

谷口「お、開いたかな」スタッ スタスタ

黒木「あ……」クルッ

風間「……」ガチャ

黒木「……はぁ」

――函館空港

オペレーターA「嫌な雨ですね……」

オペレーターB「あぁ、何も起こらなきゃいいんだが……」

――コックピット

機長「ふわぁあ……」

副機長「眠そうですね、機長。大丈夫ですか?」

機長「ちょっと息子が熱を出してしまってね、寝てないんだ」

副機長「じゃコーヒーでもリクエストしましょうか」

機長「頼むよ」


――客室

谷口「ふぅ」カシャ

黒木「あ」スタスタスタ カシャ

貴音「…………」ジッ

貴音(今のところ宝石は無事ですね……)

貴音(ですが、油断は禁物ですね)

貴音(?)

黒木「…………」カシャ スタスタ

貴音(ずいぶん早いですね……)

春香「あ、そうだ……」ガサゴソガサゴソ

CA「…………」スタスタ

貴音(こっくぴっとに用事でしょうか?)

黒木「…………」スタッ

貴音(ん?)

――コックピット

CA「三沢です。コーヒーをお持ちしました」

『どうぞ』

CA「はい」ピッポッパ

CA「失礼します」

黒木「はぁい」

CA「!?困ります、お客様!」

機長「構わんよ、三沢くん」

CA「え?」


機長「彼女は君の先輩だ」

黒木「お久しぶりです、キャプテン」

機長「久しぶり、君が辞めてから5年ぶりくらいか」

黒木「7年になります」

機長「もうそんなになるのか」

黒木「中谷さんもお久しぶり」

副機長「どうも。舞台面白かったですよ」

機長「素晴らしい演技だったよ」

黒木「ホントですか?ありがとうございます」

機長「これからも応援してるよ」アクシュノポーズ

黒木「…………」スッ

機長「?……あぁ」チュ

黒木「……」サッ

副機長「あ、はい」チュ

貴音(手の指に接吻とは……///)カクレテミテル サッ

黒木「それじゃキャプテン。いずれまた」

春香「あ、黒木さん。クッキーいかがですか?」

春香「今日のお礼で作ってきたんです!」

黒木「あら、ありがと」パクッ チュパ チュパ

春香「プロデューサーさんもどうですか?」

P「ありがと、春香。もらうよ」パク

黒木「!!?」

P「うん、美味しいよ」

春香「ありがとうございます!プロデューサーさん!」

黒木「ハッ……グ……」

春香「え?」

P「ん?」

三原「?」

黒木「ギャ……アアァアァァァ…………」パタッ

全員「!?」

春香「え?え?……黒木さん!?」

黒木「」

P「…………死んでる」

P「アーモンド臭。青酸中毒だな……」

谷口「クッキーだ!そのクッキーに毒が仕込んであったんだ!」

P「え?そういや俺……」

P『ありがと、春香。もらうよ』パク

P「」サー

貴音「あなた様、落ち着いてください。そのくっきぃに毒があれば、あなた様もすでに死んでおります」

P「はっ!そ、それもそうだな……」

貴音「とりあえず遺体を席に……」

貴音(しかしなぜ黒木嬢が……?)

CA「機長からの伝言で、他のお客様が動揺されないように空港に着くまで事件のことは悟られないように、とのことです」

P「わかりました」

貴音「しかし……犯人はいったいどのようにして、毒を……」

谷口「そりゃそのクッキーに毒が仕込んであったんじゃないのか?」

春香「わた、わたしの……クッキーに……?」ガクブルガクブル

P「大丈夫だ、春香。春香のクッキーには何も入ってなかった。俺が保証する」

三原「プロデューサーくんが毒に当たらなかったのは、たまたまだった……というのは?」

P「一部のクッキーに毒が混入していたと言うんですか?三原さん」

春香「そんな器用なことできません!仮に私が仕込んでいても、それをプロデューサーさんに食べさせるわけがないです!!」

貴音「春香、落ち着いてください。とりあえずそのくっきぃを預かってもよいでしょうか?」

春香「……ごめんなさい。どうぞ」スッ

P「あとは空港に着いてから、警察に調べてもらうしかないな……」

P「すみません、みなさん。現場を保存したいので後ろの席に移動してもらえますか?」

P「あと前のトイレは使用禁止としましょう。すみませんがお願いします」

貴音(この飛行機に乗ってから、くっきぃ以外に黒木嬢が口にしたものはびたみん剤のみ)

貴音(しかし、びたみん剤を必ず飲むとは限りません……)

P「皆さんにちょっとお聞きしたいんですが、この中で黒木さんを恨んでる……なんて方はいますか?」

三原谷口風間春香「「「「…………」」」」

三原「じゃ私がお話しましょう」スッ

P「三原さん、何か知ってるんですか?」

三原「はい。私は黒木との付き合いが長いので今回の舞台での雰囲気や彼女の人間関係もよくわかってます」

三原「まずは春香ちゃん。彼女は元々アイドルということであり、決して演技も上手というわけじゃなかった」

三原「だから最初のほうも失敗して怒鳴られてたりで、キツくあたってましたね」

三原「次に谷口さん。彼は今回の舞台の演出家でもあったんですが、演出はほとんど黒木がやってたようなもの。そして元妻であり、逆らえる立場じゃなかった」

三原「そして風間さん。彼は黒木の遊び友達でしたが最近では飽きてきたと愚痴ってました」

三原「かくいう私もわがままな黒木にいつも振り回されて、他の仕事がしたくても彼女に邪魔されたりで、嬉しい反面邪魔でもありました」

三原「ほら、みんな彼女を殺害してもおかしくないのよ」サッ

貴音「…………」

真美「…………」ムシャムシャ

やよい「あ、真美。お菓子食べるのやめなよー」

真美「でも腹が減っては仕草はできぬっていうし、もったいないじゃん?」パク チュパ チュパ

貴音(!)

貴音(あの指に毒がついていたとしたら……)

貴音(最初に黒木嬢の手に触れたのは、風間殿。もしやあの時に?)

貴音(いえ、他にもいますね……)

貴音(三原嬢も黒木嬢にぺんを渡してましたね……)

貴音(春香が転びそうになったときに?)

貴音(それともお手洗いで黒木嬢が触りそうなところに?)

貴音(そういえば。一度黒木嬢がお手洗いに入ったのち、すぐに出てきましたね……)

貴音(む?確かその前に……)

黒木『いえ、ちょっとめまいが……』

貴音(!)

貴音(そういうことでしたか)

貴音(わかりましたよ、この事件の謎も。そして犯人も!)

貴音「皆様、失礼ながら私の『予想』を聞いていただけないでしょうか?」

全員「!?」

P「犯人がわかったのか?」

貴音「あくまで『予想』ですが」

貴音「まず犯人が黒木嬢に毒を持った方法、それからお話いたしましょう」

貴音「それは「耳抜き」がぽいんととなります」

千早「耳抜き?」

貴音「はい、犯人は黒木嬢が飛行機に乗った時、必ず耳抜きをするというのを知っているのです」

貴音「親指と人差し指で鼻をつまんで息を吐くあの方法を」

貴音「常に右手で行なっていたということもです」

貴音「私も響から聞いたのですが、だいびんぐで初めに教わるのがこの耳抜き」

貴音「上級者になると、鼻をつままずともできるようになりますが、黒木嬢はまだ初心者といっておりました。なのでほぼ確実に指で耳抜きをしていたでしょう」

響「そうだぞ。自分も最初は耳抜きを習ったさー」

貴音「そしてこの耳抜きは女性が殿方の前でやるには少々恥ずかしい行為。真美がそうだったように」

真美「え、あ、うん///」

貴音「ましてや女優である黒木嬢。そして隣にぷろでゅーさー殿がいれば、その場で耳抜きはしないでしょう」

貴音「ですから隠れて耳抜きをするために、黒木嬢はお手洗いに行ったのです」

貴音「そして席に戻り、右手の親指と人差し指で春香のくっきぃを食べたのです」

貴音「いつものように指についた粉末も一緒に舐めた……」

貴音「まさか、その癖によって毒を完全に吸収してしまったとは知らずに……」

谷口「どういうことだ?毒はいったいどこに?」

――コックピット

機長「……なんか息苦しいな」

副機長「……えぇ、おかしいですね」

――客室

貴音「ですが、くっきぃを食べる以前に彼女の具合は悪くなっていたようですね」

貴音「そう、黒木嬢の気分が悪くなったのは肌から染み込んでいった毒のせい」

P「肌って……それはまさか……」

貴音「はい。羽田空港の駐車場に停めた車にて、毒のついた「ふぁんでーしょん」を黒木嬢の鼻の両側に塗り、黒木嬢を死に至らしめた犯人。それは……」



貴音「「三原 友里」、あなたです!」



三原「!」

全員「!?」

三原「…………はっ」

三原「あっはっはっは、ありえないわ」クスクス

三原「そりゃ『予想』としてなら面白いけど、あははは」クスクス

貴音「確かあなたは舞台最終日、私たちが楽屋に行った時、やよいと響があなたのメイク道具を触ろうとしたとき、取り上げましたね」

貴音「それは毒を仕込むための道具に、もし触られてしまって、万が一の事が起きた場合を考慮して釘を刺したのではないですか?」

三原「っ!」

三原「じゃあちゃんとした証拠を見せなさいよ!」

貴音「そうですね……黒木嬢の右手の親指と人差指についた「ふぁんでーしょん」から毒が見つかれば、それが証拠となりますが……」

貴音「残念ながら舐めてしまったため、もう消えてしまったでしょう」

三原「ふっ」

貴音「ですが、証拠はまだあります」

三原「えっ」

貴音「毒を混ぜた「ふぁんでーしょん」と「すぽんじ」」

貴音「あなたはおそらくそれらを機内には持ち込んでいないでしょう。かといって空港内のゴミ箱に捨てるのも危険」

貴音「そしたらどうするか。私でしたら送りますね。自宅あてに、郵便で!」

三原「!」

貴音「空港の郵便局に連絡して、郵便物を調べてもらえばわかること」

貴音「教えていただけませんか?あなたの自宅の住所を」

三原「……………………」

三原「…………はぁ」

三原「…………あの女は、私の夢を潰したのよ」

谷口「夢って……?」

三原「私にはハリウッドでメイクとして活躍する夢があった」

三原「その夢を実現させるために、LAのメイク学校に留学して英会話もマスターしたわ」

三原「そして帰国後もあの女のメイク担当をしながら、ハリウッドに手紙を送り続けてた」

三原「そして一ヶ月前、ハリウッドの女優が来日したとき、私の腕を見込んだエージェントが一緒に仕事しないかと声をかけられた」

三原「私にとっては一生に一度のチャンスだった!」

三原「それを……それをあの女は裏から手を回して潰したのよ!!」

春香「それは……手放したくなかったってことですよね?」

三原「メイクとして私を必要としてたならまだ許せたわ!!」

三原「でも違った……あの女は便利な付き人として私を必要としてたのよ!!」

三原「それを知った瞬間殺害するしかないと思った……」

三原「あの女は、私のメイクとしてのプライドを……」ドサッ

P「メイクとしてのプライド……なら、あなたはなんでメイク道具を凶器に使ったんですか!」

三原「え?」

P「今のあなたにプライドなんて持つ資格はない!自分自身の一番の武器をあなたは踏みにじったのだから!」

三原「わたし……わたし……」グスッ

三原「ううっ、ううう……」

貴音(なんでしょう、この感じ……事件は解決したというのに、なにか嫌な気分です……)

貴音(なにか……なにかが引っかかります……)

貴音(…………)オモイダシチュウ

機長『これからも応援してるよ』アクシュノポーズ

黒木『…………』スッ

機長『?……あぁ』チュ

黒木『……』サッ

副機長『あ、はい』チュ

貴音『(手の指に接吻とは……///)』カクレテミテル サッ

貴音「!!」

貴音「そこの方!先ほど機長殿たちに持っていったお菓子、食さないように伝えられますか!?」

CA1「え?」

貴音「早くしないと機長殿たちが危ないのです!」

P「でも貴音、毒は機内の菓子にはなかっただろ?」

貴音「えぇ、菓子にはありません。ですが機長殿たちの指に毒がついているおそれがあるのです!」

P「なんだって!?貴音、詳しく説明して」CA2「はい、すぐに参ります!」タタタ

貴音「私もこっくぴっとに!」タタタッ


――コックピット

CA2「失礼します!」

機長「う……ぐぐ……」

副機長「ぐぇ……う……」

貴音「!」

貴音(やはり!)

P「どうなってるんだ!?」

CA「機長!副機長!しっかりしてください!」

機長「ぐぉ……」ガクッ ズズズ

ピピピ

シューン


貴音「おーとぱいろっとが解除してます!」

グラグラ

P「うぉ!」

CA1「きゃっ!」


――2階客室

真美「うわ!」

千早「きゃっ!」

真「おっと!」

雪歩「きゃー!」

春香「ヴぁい!?」

やよい「きゃあ!」コロコロ

響「ぎゃー!」

――1階客室

ウワァ! キャア!
ナンダ! ドウシタ!


――コックピット

CA2「機長!しっかりしてください!」

貴音「早く身体を引き起こし、座席をずらしてください!」

CA2「はい!」ヨッ カチャ スー

貴音「よっ」

貴音(はんどるをしっかり握り……)

CA2「機長!」

貴音「はぁあああああ!!!!」グイィィィ!!

ビュイーーーン!!!

貴音(これで安定したはず……はやくおーぱいをつけなければ……)

カチッ

貴音(?)スッ

貴音「風間殿?」

風間「よくやった、お嬢ちゃん」

風間「もう大丈夫です!すぐに医者を!」

P「わかった!」

――1階客室

「ただいま機内で急病人が発生しました。お客様の中でお医者様が居らっしゃいましたら、至急お近くの乗務員に……」

医者「」スッ

――コックピット

医者「ふむ……」サワ

真美やよい真雪歩貴音P「「「「……………………」」」」

医者「やはり即効性の毒物による中毒ですね」

医者「応急処置をしますのでキャビンにお二人を移してください」

P「わかりました。風間さん。真。手伝ってくれないか?」

真「もちろん!」

風間「緊急事態ですからね」

P「あと……谷口さーん!協力お願いします!」

谷口「はい!」

CA1「ドクターキットを持ってきます!」タタタッ


貴音「…………」テクテク

響「なぁ、貴音。どうして機長たちも毒を摂取しちゃったんだ?」

貴音「先ほど黒木嬢がこっくぴっとに入ったのです。その時、機長殿たちが黒木嬢の手に接吻をしたのです」

春香「そっか、それで手についていた毒を摂取しちゃったんだ!」

響「フツーに握手してれば問題なかったのに……」

風間「よっと、そっち大丈夫か?」

真「はい!」

風間「じゃ歩くぞ」

P「谷口さんいいですか?」

谷口「えぇ、おっと」

グラ

谷口「うわ!」バン

ピッ

やよい真美雪歩「「「?」」」

P「大丈夫ですか!?」

谷口「あぁはい、ちょっと揺れたので……いきましょう」

――客席

P「どうですか、お二人は……」

医者「幸い摂取した毒は微量だったので、命には問題ないですが、運転は難しいかと……」

――函館空港 管制塔

オペレーター「えぇ!?機長と副機長が意識不明!?」

エ? ン?

オペレーター「失礼、あなたのお名前は?」

風間『乗客の風間です』

オペレーター「風間さん、現在の飛行状況はわかりますか?」

風間『現在、高度1万2千フィート。速度280ノットです』

風間『幸いILSは空港までインプットされてますし、ギアやフラップも多少経験があるので大丈夫です。あとはタイミングさえ指示してもらえば……』

オペレーター「わかりました。他の航空機のすべての離着陸をストップし、大至急タワーに別の機長を呼びます」


――コックピット

風間「というわけで、僕が機長席に座ります。副機長席には……」

風間「君に座ってもらおうか、えっと、四条ちゃん?」

貴音「えっ?」

真美やよい雪歩「「「えっ?」」」

風間「さっきの操縦桿さばきは中々のものだったからね」

貴音「…………わかりました」

真美「え→お姫ちんズルーイ」

風間「これは遊びじゃないんだ!」

真美「ひっ!?」

風間「それにもう操縦してもらう必要はありません。ただILSでも着陸の時、少し操作が必要なので、その時手伝ってもらうくらいです」

P「で、でもそれは貴音じゃなくても……」

風間「とにかく僕に任せてください。さ、あと15分ほどで着陸です。みなさん客席に戻ってください」

貴音「…………」クルッ

――2階客席

谷口「彼はセスナの免許でも持ってるのかな……」

「皆様、もうすぐ機体が着陸いたします。シートベルトをお締めください」

――コックピット

風間「〜♪」

貴音「…………」

風間「〜♪」

貴音「……あなたはまーずですね」

風間「ん?何のことだい?」

貴音「とぼけるおつもりですか?ただの「あいどる」である私を、操縦席に座らせるなんておかしいでしょう」

風間?「はっ、やっぱりわかったか」

マーズ「今頃本物の風間は……」

貴音「偽者のまーずとして黒木嬢の別荘にいるのでしょう?」

マーズ「なんでそう思うんだ?」

貴音「あなたが機内に現れた時、黒木嬢が怒っていましたからね」

貴音「おそらく別荘での余興として偽物を用意したとのことでしょうが……」

マーズ「なるほど。まぁそれもあったんだが……もうひとつ理由があるぜ」

貴音「?」

マーズ「たぶん俺を捕まえるのに必死なやつが待ちぶせしてると思ってな」


――北海道路上

ウーウーウーウーウー

大森「マーズは車で逃走中!絶対に逃がすなー!」

風間「ひぃぃ……」


――コックピット

貴音「ところで、いつ「ふぁいありんぐ」を盗むつもりなのですか?」

マーズ「あぁ、それね。中止だ」

貴音「え?」

マーズ「知ってるかもしれないが、本物のファイアリングは口にふくむと冷たいんだぜ」

マーズ「名前とは違ってな」

マーズ「ま、だからアレは偽物だ」

貴音(あの時の接吻はその確認のためでしたか)

マーズ「たぶん舞台での客寄せのために、偽物を本物って公表したってとこだろ」

マーズ「さて、どうするよ、アイドルさん?俺を捕まえるか?」

貴音「そうですね……」

貴音「まずはこの巨大な鉄の鳥を、巣に戻してからにしましょうか」フフッ

オペレーター『スカイJ865便。函館タワーに回線を引き継ぎます』

オペレーター『周波数を118.35に変えてください』

マーズ「118.35。了解」

――函館タワー

上杉「こちら函館タワー。管制部長の上杉です、機長の島岡に代わります」

島岡「島岡です。さっそくですがMCP。モードコントロールパネルはわかりますか?」

マーズ『はい、わかります』

島岡「ではそこのAPPというボタンを押してください。そうすれば自動的に飛行機は滑走路まで降りていきます」


――コックピット

マーズ「了解。APPは……」

貴音「あれですね」

マーズ「おっ」ポチッ

――函館タワー

貴音『押しました』

上杉島岡「!?」

島岡「君は誰だ!?」

貴音『私は四条貴音。あいどるです。今は助手としてここにおります』

上杉「助手?四条貴音ってあのアイドルの……」

島岡「四条さん!操縦桿や他のスイッチを絶対に触らないように!」

――コックピット

貴音「はい」

貴音「これで一安心ですね」

マーズ「お前、フラップやギアの操作法は?」

貴音「心得ております。運転方法だけは習いましたので」

マーズ「どんな家なんだよ、四条家って……」

貴音「ふふ、とっぷしーくれっとです」ニコ

マーズ「まぁ人選は間違ってなかったってことか」

貴音「どうでしょう。地面の上でしか練習してないので、空の上ではわかりませんよ」

――函館タワー

島岡「最悪の天気だが……なんとかできるだろう」

上杉「えぇ」

――飛行機内

グラグラ

雪歩「うぅ……」

真「ぐ……」

千早「…………」

真美「ひどい雨だね→……」

春香「風も強そうだね……」

やよい「ひこうき、落ちないで……」

響(貴音……)

――函館上空

キィィィィィン――

――コックピット

マーズ「あ!」

貴音「空港です!」

――函館タワー

上杉「来たぞ……」

島岡「865便、これから着陸の指示をする」

――コックピット

島岡『まずフラップを1に』

貴音「はい」カチャ グィィン

島岡『フラップを5に』カチャ グィィン

島岡『フラップを10に』

島岡『車輪を下ろしてフラップを20に』

マーズ「これか」カチッ

――飛行機内

真美「いよいよ着陸だね……」

春香「うん……」

――滑走路内

消防隊『準備急げー!』

――コックピット

貴音(これでなんとか……)

ピカッ!

貴音マーズ「!!」

貴音「うっ!」

マーズ「くっ」

『停電発生』

マーズ「何!?」

貴音「雷です!機体に落雷が!!」

貴音「こちら865便!雷が落ちて画面がすべて消えてしまいました!」


島岡『落ち着け!グレアシールドの端にある白いツマミを回すんだ!』

マーズ「これか!」カシャ

ピッ ピカ

マーズ「よし!着いた!」

貴音「ダメです!「おーとぱいろっと」がついてません!」

マーズ「何っ!?」

島岡『なんだって!?着陸中止だ!出力を上げて操縦桿を引くんだ!』

貴音「くっ」グィィィ

島岡『よし、車輪を上げろ』

貴音「はい」カチッ

貴音「あげました」

島岡『よしそのまま上昇!』

マーズ「オッケー!」

ビュウウウウ!!!

貴音マーズ「ぐっ!」

――函館タワー

島岡「いかん!風に流されてる!右に旋回だ!ターンライト!!」

上杉「ターミナルビルに突っ込むぞ!!」

マーズ『ぐっ……!』

貴音『……!』

ズズズズズ

島岡「ま、まずい……」

ウ、ウワ ワワワ アアアア……

マーズ『ぐう!』

バーン!ガシャーン!!

――空港内

子ども「うわー……燃えてる……」


――コックピット

マーズ「あ…………」

貴音「…………」

貴音「空港は……中の人々は無事でしょうか……」

島岡『865便聞こえるか』

貴音「はい!聞こえます!」

マーズ「空港の被害状況は?」

島岡『タワー内の人間は皆無事だが、滑走路がすぐには使えなくなった』

島岡『そちらはどうだ?』

マーズ「第二エンジンが脱落したみたいだ」

島岡『大丈夫。残りの三機でもじゅうぶん着陸できる。それよりバランスは?』

マーズ「バランスはとれている。当て舵を取って第三スロットルを絞った」

島岡『よし、今の高度と速度は?』

マーズ「3000フィート、200ノット」

島岡『フラップを5にして水平飛行に移れ』

貴音「ん……」カチャ グィィン

島岡『機首を180度の方向に向け4500まで上昇してくれ』

マーズ「了解」

マーズ「その後は旋回して待機か?」

貴音「そうですね、「おーとぱいろっと」さえ復活して滑走路が使えるようになれば、再び着陸は可能ですから」

――滑走路内

ウーーウーー

消防員「だから!消防車が足りないって言ってるだろ!」

消防員「滑走路に水を撒けー!」


――コックピット

やよい「大変ですー!」

真美「お姫ちん、やばいYO!」

響「貴音、大変だぞー!」

やよ真美響「「「エンジンが一つとれちゃった(ぞ!YO!)(取れちゃいました!)」」」

貴音「わかっております。大丈夫ですよ。やよい、真美、響」

貴音「残った3つのえんじんでもじゅうぶん着陸は可能です」

貴音「燃料もまだじゅうぶんに……!?」

マーズ「どうした?」

貴音「燃料が……ほとんどないです……」

マーズ「何!?」

やよ真美響「「「燃料がなくなったー!?」」」

雪歩「ね、燃料がないって……」

真「それってどういうこと、貴音!?」

千早「もしかしてエンジンが落ちたからなのかしら?」

春香「私たちどうなるの!?」

貴音「いえ、えんじんは普通別々の燃料から供給されるもののはずです……」

貴音「!」

貴音「くろすふぃーどばるぶが開いて!」スッ ポチ ポチ

真美「クロスフィードバルブ?」

響「なんだそれ?」

マーズ「そのスイッチを押すと燃料タンクの仕切りは解除され、ひと繋がりになってしまうんだ」


貴音「いったいどうして……?」

やよ真美響「んー……?」

やよ真美「「あー!」」

響「!?」

やよい「さっき機長さんを運ぶときに!」

真美「谷口さんがあのへんに手をぶつけてたYO!」

マーズ「ちっ、あのおっさん!」

マーズ「こりゃ一刻の猶予もならねえぞ!」

貴音「そうですね……」

貴音「どなたか、そこに地図があるはずです。取っていただけないでしょうか?」

やよい「わ、わかりました!」

真美「あ、真美も探すー!」

響「自分も!」

マーズ「俺はタワーに連絡してみる」

マーズ「こちら865便、聞こえるかタワー!応答してくれ!」

島岡『……865便…………んだ……き……れない……』

島岡『……大き……で…………べって……』

マーズ「おい!どうした!ノイズがひどくてよく聞こえない!」

P「いったい何が起きたんだ?」

千早「エンジンがひとつ落ちて、燃料もなくなりそうなんです!」

P「なんだって!?」


やよい「地図……地図……」

響「あ、その赤いやつじゃないか!?」

やよい「あ、これですー!」

マーズ「くそっ、オーパイ、滑走路、燃料、おまけに無線までダメになっちまった!」

真「え!?オーパイがダメって……」

雪歩「今、手動ってことですかぁ!?」

やよい「貴音さん!地図です!」

貴音「ありがとう、やよい」

貴音「残りの燃料は3000ぽんど。一分間に300ぽんど消費するとして、飛んでいられるのは10分程度……」

貴音「その間にどこか着陸できる場所を見つけなければ……」ペラ ペラ

雪歩「どこかって……どういうことですか……?」

マーズ「10分で滑走路が元に戻るのは不可能だ」

雪歩「ひぅ!?」

千早「千歳、新千歳空港は?」

マーズ「ギリギリだな……途中で燃料切れになる可能性が高い」

春香「他の空港は!?この近くには無いんですか!?」

P「この近くだと無いな。農場の離着陸場や自衛隊の基地ならあるかもしれないが……滑走路の長さが足りないだろう」

春香「そ、そんな……」

真美「だったらいっそ道路に着陸は!?北海道は広くてまっすぐな道が多いって聞いたYO!」

貴音「……無理ですね。この飛行機の両輪の幅はおよそ11めーとる。大きい道路には中央分離帯と看板があるはずです。それに民家や電柱を巻き込むわけにはまいりません」ペラ ペラ

響「じ、じゃあ牧場は!?」

P「ダメだな、地盤が柔らかすぎる。それなら近くの海に着水させたほうがいいんじゃないか」

貴音「いえ。この天気ですし、波によって機体がひっくり返る可能性が……」

全員「うー…………」

貴音(どこかに……どこかに必ず着陸できる場所があるはずです……)

千早「長くてまっすぐで周りに何もない場所……」

やよい「…………!」

真美「ね、ねぇ……着陸できなかったら真美たち……どうなるの……?」

響「そ、それは……墜落しちゃうってことだぞ……」

真美「嫌だよ…真美、まだ死にたくないよ」

やよい「貴音さん!私、知ってます!」

貴音響真美「「「え?」」」

やよい「長くてまっすぐで!周りに何もない場所!」

貴音「!?」

やよい「この前かすみが見てたんです!北海道でイルカ・くじらウォッチングっていう番組を!」

貴音(いるか・鯨うぉっちんぐというと……室蘭?)

貴音(!)

貴音「埠頭です!」ペラペラペラペラ

貴音「新日鉄埠頭……中卯埠頭……本輪西埠頭……」

貴音「ありました!崎守埠頭です!」

貴音「長さは……およそ1400めーとる。幅は30めーとるくらいですか」

響「でもこの飛行機の幅って!」

貴音「えぇ、60めーとる弱と言ったところでしょう。けれど片方の翼を海に突き出せば……「無理だ!」」

貴音「あなた様……」

P「距離が足りないだろう。この飛行機の着陸滑走距離は2000メートルを超えているはずだ」

P「それに地盤の強度にも問題が」

貴音「幸か不幸か、燃料も少なく乗客も少ないです。乗客が少なければそれだけ滑走距離は短く済むはずです。それに風向きによってはもっと短くできるかもしれません」

雪歩「あっ、羽田でみた天気予報だと、一晩中強い西風が吹くって言ってました!」

貴音「本当ですか、雪歩!」

雪歩「はいですぅ」

貴音「この埠頭はだいたい東西に向かって伸びているので、西風に向かって東から入ればギリギリ着陸できるかもしれません」

マーズ「無理だ」

貴音「え?」

マーズ「さっき管制塔にぶつかったとき左腕を強打してな……」

マーズ「今は殆ど右手で操縦しているんだ」

マーズ「手動で着陸させるとなると、両手で操縦桿を握らなきゃならない」

マーズ「ん?」チラッ

真「え?」

マーズ「君、視力は?」

真「え、僕ですか?両目とも1.5です」

マーズ「持病は?」

真「特にないですよ」

マーズ「バスト・ウエスト・ヒップは?」

真「えっと……って何言わせるんですか!?」

マーズ「よし合格だ。俺の代わりにここに座ってくれ」

真「何言ってるんですか!?僕、飛行機なんて操縦したことありませんよ!」

マーズ「大丈夫。操作は俺が後ろから教えるから、君は操縦桿を握ってるだけでいい」

真「そんな……無理です!絶対無理です!」

グググ ヒュー

真美「飛行機が落ちちゃう!」

やよい「墜落しちゃいます!」アワワ

響「真ー!」

貴音「真!早く席に!」

真「…………」グッ

マーズ「そのままゆっくりと操縦桿を手前に引くんだ。落ち着いてな」

真「はい……」グググ

ビュウウウウ

マーズ「いいぞ。ほら、簡単だろ?」

真「そんな!」

マーズ「室蘭の方向は?」

貴音「今探しております」ペラペラ

貴音「……ありました」

貴音「ちょうど函館から札幌へ向かう航空路が室蘭の近くを通っていますね」


貴音「方位は023度です」

マーズ「023だな」カチャカチャカチャ ピッ トゥルルル

貴音「山越えになりますね。高度は5000以上で」

マーズ「ラジャ」クルッ

マーズ「すみません。乗客には千歳に向かうと言ってください」

CA「はい」

マーズ「それと二階席の乗客を一階に移してください」

CA「えっ?」

マーズ「女子高生アイドルが運転してるってなったら、パニックになるでしょう?」

マーズ「あ、君たちもキャビンにもどってくれ」

真美「え→!?」

やよい「真美、わがままいわないの」

真美「でもまこちーやお姫ちんたちが心配だよ→……」

マーズ「ここにいても君たちにできることは何もない」

マーズ「でも乗客の子どもたちが騒ぐかもしれない。それを防いでくれないか?」

マーズ「アイドルである君たちならできるはずだ。やってくれるか?」

やよい「わかりました!」

真美「ん〜……わかったよ!やよいっち行くよ→!」

やよい「あ、待ってよ真美!」

響「自分もやよいたちと一緒にいるぞ。貴音、信じてるからな!」

貴音「えぇ、任せてください」

P「春香、千早、雪歩。俺達も行こう」

春香「そうですね……真、貴音さんファイト!」

真「うん、なんか元気でてきた……僕、頑張るよ!」

雪歩「…………」

千早「萩原さん……」

雪歩「プロデューサー……私、ここに残ります!」

P「おい、雪h「まぁ話を聞きましょう」」

P「風間さん……」

マーズ「で、残りたいのか?」

雪歩「ひ……ま、真ちゃんに何かあったとき」ガクブル

雪歩「たす……助けられるのは……私だけです!」キッ

マーズ「…………ふん」

マーズ「わかりました、彼女は残っていいですよ」

雪歩「はい!」

P「はぁ……」

千早「プロデューサー、私も残ります」

P「おい、千早まで……」

千早「仲間が戦ってるのに、私だけ何もできないなんて嫌です」

春香「千早ちゃん!?」

千早「春香。あなたは今日の事件とかで、精神的にもかなり疲れてるはずよ」

千早「プロデューサーと一緒に休んでてちょうだい」

春香「で、でも……私も……」

千早「大丈夫。危なくなったらすぐ春香とプロデューサーの元に行くわ」

千早「プロデューサー、春香を頼みます」

P「お前は意見を変えないだろうな……」

千早「えぇ」

P「……わかった。ただし危なくなったらすぐに来るんだ」

千早「わかりました」

P「風間さん、あとはよろしくお願いします」ペコ

マーズ「任せてください」

マーズ「さすが歌姫」ボソッ

千早「え?」

マーズ「それじゃ必要な手順は追って教えるとして、時間はない。行こう」

――滑走路内

上杉「スカイジェイ865便。聞こえるか、こちら函館タワーだ!応答してくれ!」

上杉「ダメだ……緊急回線でも応答がない……」

島岡「ん?」

島岡「見たまえ」

上杉「え?」

島岡「865便が離れていく」

上杉「え?どこへ行こうというんだ?」

島岡「…………」


――機内

「ご搭乗の皆様、当機は多少のアクシデントがありましたが、現在代替空港の新千歳空港に向かって順調に走行中です。お急ぎのところ申し訳ありませんが……」

真美「ホントは室蘭だよね→」

響やよい「「しー!!」」


――コックピット

マーズ「そろそろ室蘭だ、2000フィートまで高度を下げよう」

真「はい」

雪歩「あ、見えましたぁ!明かりです!」

貴音「室蘭港ですね。崎守埠頭はもっと左です」

貴音「白鳥大橋の向こうです……!」

貴音(はっ!)

真「ねぇ……暗くて何も見えないよ……」

千早「あれじゃ暗すぎるわ……」

貴音(どうしましょう……もう後戻りもできない……)

雪歩「し、四条さん……」アセアセ

マーズ「…………」キョロキョロ

マーズ「…………!」

カチャ ピッ

貴音「な、何をなさって!」

マーズ「なんかやばそうなんで、一足先に降りるぜ。グッドラック」スタスタ

雪歩「え!?……ま、待ってください!」

千早「ちょっと!」タタタ

真「え、うわ!」

貴音「真!機首を下げてください!」

――機内

マーズ「…………」スタスタ カシャ

千早「ちょっと風間さん!」スタスタ

マーズ「ちっ、何かに捕まってろ!」

千早「え?」スッ

バン!

――コックピット

ピー ピー

真「何!?どうしたの!?」

貴音「大丈夫です、心配ありません。それよりも機体を安定させましょう」

雪歩「真ちゃん、がんばって!」


――機内

千早「ひゃあ!?」

千早「…………え?」

千早「あ、あなたは!?」

千早「怪盗マーズ!!」

マーズ「よ、歌姫様。また会ったな」

千早「あなた、どうして!」

マーズ「その質問には……ふふ、トップシークレットだな」

マーズ「じゃあな、歌姫様。また月下の淡い光の下で」

マーズ「失礼」バッ!

千早「え……飛び降りた!?」タタタ

千早「…………」ポカーン


――コックピット

貴音「飛び降りた?」

千早「えぇ、風間さんが怪盗マーズだったの」

雪歩「危険を感じて、一人だけ逃げるなんて……」

貴音「大丈夫です、雪歩。まだこの機体は安全です」

真「でも……どうしよう貴音……これから……」

貴音「…………」

貴音「こうなったら、私達だけで降ろすしかないようですね、真」

雪歩「大丈夫だよ、真ちゃん!」

千早「えぇ、私たちが一緒にいるわ」

貴音「客席にいる皆も真のことを信じております」

真「……そうだね、ごめん。ちょっと弱気になってた」

真「よーし!燃えてきた!」

貴音(良かった……いつもの真の様子ですね……)

貴音「ともかく埠頭の周りを旋回して様子を見てみましょう」

――室蘭付近公園

ピッピー ピー

風間「助けてください!私はマーズじゃないです!人違いです!」

大森「ならなんで、逃げたんだ?」

風間「そ、それは……時計を盗んだから……?」

大森「ほれ、マーズじゃないか」

警察官「あの……警部」

大森「どうした?」

警察官「あの、空を飛んでる物体は……?」

大森「見ればわかるだろ、あれはマーズだ」

大森「……マーズ!!?」

マーズ「…………ふっ」

大森「じゃあお前は!?」

風間「だから人違いです!!」

――コックピット

貴音「雪歩、埠頭の様子は?」

雪歩「えっと、ところどころに明かりはありますが、ほぼ真っ暗ですぅ」

貴音「くっ……」

真「…………」ブルブル

貴音「どうしました、真?」

千早「真?」

雪歩「真ちゃん?」

真「えっと、よくわかんないんだけど……急に身体が……」

真「貴音、雪歩、千早。やっぱり僕には無理だよ……」

雪歩「そ、そんなことないよ!真ちゃん!!」

千早「真、大丈夫。私たちがいるわ」

貴音(まずいですね……気持ちが不安になってます)

貴音(このままでは……)

貴音「菊地真。あなたにはまだ覚悟が足りないようですね」

雪歩「貴音さん!?」

千早「四条さん?」

真「……覚悟だって?そんなのちゃんと……」

貴音「いいえ。今のあなたにはあるように見えません」

真「なんだよそれ……今この状況わかって言ってるの!?」

真「僕の両手には乗客全員の命が懸かってる!」

真「真美、やよい、響、春香、千早、貴音、雪歩……そしてプロデューサー」

真「僕が失敗したら!みんなが!みんなの命が!」

真「怖いよ……嫌だよ……みんなともう会えなくなるなんて……」


千早「真……」

雪歩「真ちゃん……」

貴音「真……そのままでいてください」スッ

真「え?」

真「た、貴音?手なんか握ってどうするのさ?」

貴音「私たちはいつだって手を取り合って、どんな壁も乗り越えてきました」

貴音「真一人にその責任を押し付けるなんてことはいたしません」

貴音「私たち皆で真の負担を分けましょう」

千早「えぇそうね。他のみんなもそう思ってるわ」スッ

雪歩「大丈夫だよ、真ちゃん。私たちはずっと……」スッ

貴音千早雪歩「「「仲間だもんね!」」」

真「みんな……」


キラッ

真「あれ……明かりが」

貴音「明かり?」

雪歩「ホントだ、真っ赤な明かりが!」

千早「あ、もしかして……」

貴音(なるほど。だからまーずは……)

――――道路

警察官「警部!マーズは埠頭の方へ行きました!」

大森「よし、A班は埠頭の奥から回り込め!B班は俺についてこい!!」

大森「マーズを挟み撃ちだ!」

――――コックピット

貴音「真。着陸準備に入りましょう」

真「え?」

貴音「おそらくあの明かりはまーずが連れてきたぱとかーの明かりです」

真「じゃあマーズが飛び降りたのは……」

千早「パトカーをおびき寄せて明かり代わりにするためだったみたいね」

貴音「では真、もう一度左に旋回しましょう」

真「オッケー!」キュィィィン

――――崎守埠頭

大森「マーズを探せ!必ず何処かにいるはずだ!」

マーズ(後は任せたぜ、四条貴音)


――――機内

カチャ

貴音『乗客の皆様、これより当機は着陸いたします。しーとべるとを締め、乗務員の指示に従ってください』

CA1「ペンやメガネは外し、ハイヒールなどは座席のポケットに」

CA2「前に屈んで足の間に頭を入れてください」

――――コックピット

貴音「真。いよいよ着陸です。今の高度と速度の確認を」

真「高度700フィート。速度140ノット」

貴音「では、そのまま3度の降下率を保っていてください」

貴音「それから雪歩、千早」

雪歩「は、はい!」

千早「何かしら」

貴音「万が一のことを考えて、ここは危険です。後ろの席で着陸準備をして待機していてください」

千早「……わかったわ。いきましょう、萩原さん」

千早「後は任せたわね、四条さん、真」

雪歩「貴音さん。真ちゃん。また後でね」

貴音「はい!」

真「任せて雪歩!」

貴音「では参りましょう。真」

真「あぁそうだね」

貴音「「ぎあればー」を下げ、「ふらっぷ」を5に」

ピー ピー ピー

真「どうかした!貴音!」

貴音「真。もう燃料がないみたいですね。どうやら一発勝負になりそうです」

――――崎守埠頭

ゴゴゴゴゴゴゴ

警察官「警部……?なんかあの飛行機、こっちに来てません?」

大森「え……?」

ゴゴゴゴゴゴゴ

大森「総員退避ー!!」

――――コックピット

貴音「機首を上げて、「すらすとればー」を限界までひいてください!」

真「ふぅ……う……」

ギュイイイイン

貴音「機首を下げて!」

真「はぁあああああ!!!!」

貴音「逆噴射です!」

真「…………」スッ

貴音「…………」スッ

真「貴音……」

貴音「…………」コク

ガチャ!

キイイイイイン

――――機内

雪歩(止まって!止まって!!)

千早(止まって!お願い!)

――――コックピット

真(止まれ止まれ止まれ!!)

貴音(止まってください!!)

真「クレーンが!」

貴音(まずい!)

貴音「「らだー」です!右足で「らだーぺだる」を押しなさい!」

グワワワワワワ!!!!!!

ガガガガン! ドーーーーーン!!!


――――機内

真美「……止まった?」

やよい「とま、止まりました……?」

響「止まったぞー!!」

ウオー ヤッタ! イキテタ!! ヒャッハー!

P(貴音、真……よくやった)


――――コックピット

雪歩「貴音さん!真ちゃん!」バッ

千早「二人とも大丈夫!?」バッ

貴音「」

真「」

雪歩「え、二人とも……?」

貴音「」

真「」

雪歩「貴音さん!真ちゃん!」ユサユサ

千早「萩原さん落ち着いて、気を失ってるだけよ」

雪歩「へ……?あぁ良かった……」ペタリ

千早「ふたりともかなり無理してたものね」

千早(本当にお疲れ様。ふたりともありがとう。私の大切な仲間を守ってくれて)

――――数時間後 崎守埠頭

救命員「血圧、脈拍、ともに正常ですね。おそらく大丈夫だと思いますが一応病院で検査しましょう」

真「はい。ありがとうございます」

真「あの貴音は……」

救命員「あぁ彼女も特に異常なしです。おそらく無事に着陸できたことで気を失ってるだけすから」

真「よかった……」

救命員「じゃすみませんが、ここにあなたの住所とお名前」

真「はい」

救命員「あぁそれと……」

マーズ「バスト・ウエスト・ヒップのサイズも」

真「はい……ってえ!?」

マーズ「中々派手なランディングだったぜ」

真「か、か……」

マーズ「ではいずれまたどこかでな」

マーズ「バスト・ウエスト・ヒップはまたその時に」


真「か、か、かか……」

雪歩「真ちゃーん」タタタ

真「え!?雪歩!?」

真「え、あ、いない!」キョロキョロ

雪歩「どうかしたの、真ちゃん?」

真「え、あ、な、なんでもないよ」

雪歩「ん?変な真ちゃん」フフッ

真「あはは。ごめんごめん」

真(また会えるのかな?怪盗マーズ)

                      ――――Fin.

――――2011/03/28

prrrrrrr prrrrrrr

小鳥「はい。こちら765プロダクションです」

小鳥「えぇ、はい。え!?」

小鳥「はい、わかりました。確認が取れ次第連絡いたします。はい、よろしくお願いいたします。失礼します」

小鳥(まさか横浜の超有名アミューズメントパークの5週年記念でライブ依頼が来るなんて……)

小鳥(しかも前日はVIP待遇で遊び放題なんて……)

小鳥(私も行きたいわぁ……おおっといけない!)

小鳥(早くプロデューサーさんたちに知らせなきゃ!)

――To be continued……?

以上で終わりです。
読んでいただいた方、ありがとうございました。

予定としては次作で一区切りにしようと考えてます。
続けるかは、また書き終わったときに考えます。

では私も読み返してきます。
本当にありがとうございました!

15:30│四条貴音 
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