2013年12月02日

小鳥「青梗菜の朝に」

ガタンゴトン ガタンゴトン



小鳥「はぁ……」


小鳥(今年も、この日がやってきてしまった)

小鳥(1つ、年を取る、この日が……)


小鳥「……人、少ないわね」



車掌『次はー、○○、○○……』


ガタンゴトン ガタンゴトン


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小鳥(昨日は眠れなくて、結局始発で来ちゃったわ)

小鳥(事務所の掃除しとかないとね、綺麗に、綺麗………)

小鳥「……はぁ」


小鳥(みんなは、祝ってくれるのかしら……)ガチャ

小鳥「っと、あれ? 開いてる?」


「――ッゲ――――サイ」

「チッ―――」


小鳥(声……誰か居るの?)

小鳥(ハッ、これはもしや)

小鳥(サプライズパーティー的なアレ……!?)

小鳥(いや、落ち着きなさい音無小鳥)

小鳥(朝6時のパーティーなんてある訳……)


小鳥「……」


小鳥(……無いとも言い切れないっ!)

小鳥(みんな、ありがとう……)ウルッ


小鳥「音無小鳥、2X+1歳!ただいま出勤でーっす!!」

P「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

律子「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

律子「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

P「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

P「チンゲンサーイ、チン………」

小鳥「……」

P「音無さん。 おはようございます、早いですね」

小鳥「………」



小鳥「…………」ガチャン

小鳥「うん、間違いよね」

小鳥「朝6時だもの、事務所の場所の1つや2つ間違えたって……」


小鳥「……」


小鳥「…………」




小鳥「何?今の」

ガチャッ


小鳥「あの、プロデューサーさん」

P「どうかしました? ……あぁ」


P「お誕生日、おめでとうございます」


小鳥「あ、いや、ありがとうございます……?」

P「もうそろそろ、年も取りたくない頃ですね」

小鳥「えぇ、まったく………って」


小鳥「ちがーう!」バン


P「え、違うんですか?」

小鳥「朝っぱらから何やってんですか、2人とも……」

律子「……あ、私ですか?」


律子「お誕生日、おめでとうございます」


小鳥「ありがとうございま……違う!」

律子「違うんですか?」

小鳥「なんで朝6時に事務所でチンゲンサイ連呼してるんですか!おかしいですって!」


P「……そりゃあ、なあ?」

律子「ええ」

小鳥「え、何その当然みたいな雰囲気」

P「いいですか、音無さん」

P「俺達がやっていたのは、チンゲンサイゲームです」

小鳥「……」

律子「昨日の残業が長引きすぎて、終電を回ったので」

律子「徹チンすることにしたんですよ」

P「バカお前、徹チンとか言ったって分からないだろ」

律子「あっ……」

小鳥「……」

P「徹チンっていうのは、徹夜でチンゲンサイゲームをすることだ」

小鳥「徹マンみたいに言うな!」バン

小鳥「大体なんですか、その、チンゲンサイゲームって……チンゲンサイ連呼してるだけじゃないですか」

P「……まぁ、基本的にはチンゲンサイ連呼するゲームだ」

小鳥「認めた!?」

律子「ちょっと、そんな言い方は無いでしょう?」

P「律子」

律子「チンゲンサイゲームはね……」


律子「全面的にチンゲンサイ連呼するゲームよ」


小鳥「律子さんも大概ですね」

P「そもそもだ、俺達は音無さんのサプライズパーティーを企画していた」

律子「そこで、小鳥さんの曲から方向性を考えたんです」

小鳥「私の……曲?」

P「ああ、『空』だ」

小鳥「空……」

P「そして、空から音無さんを祝おうと考えた」

小鳥「…………」

律子「でも、私達に空を飛ぶ術はない」

P「俺達は、無力だったんだ」

小鳥「アレですよね? 今日、2人ともふざけてますよね?」

P「次に考えたのは、『光』だった」

律子「光の速度で小鳥さんを祝う……でも、それには問題があった」

小鳥「……」ホジホジ

P「そう……光の速度で祝っても、音無さんは気付かないんだ……!」

律子「ごめんなさい、何も用意できなくて……」

小鳥「あぁ、はい」

P「チンゲンサイゲーム、するか?」

小鳥「しませんよ!」



小鳥(…………アレ、『花』は?)

P「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

律子「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

律子「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

小鳥「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

小鳥「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

P「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

P「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

小鳥「チンゲンサーイ、チン…………」



小鳥「何これ」

小鳥「結局何なんですか、このゲーム!」

P「やだなぁ音無さん、そう言いつつハマってるじゃないですか」

小鳥「チンゲンサイ連呼にハマりたくないですよ!」

律子「でも……体は正直ですよ?」

小鳥「やかましいわ!」

P「一度徹チンやってみたら分かりますよ、絶た……っ!?」ペカーッ

小鳥「プ、プロデューサーさん?」

律子「これは……サーチライト!」

P「何か来るぞ、伏せろ!」

小鳥「ちょっ、超展開やめて下さいよ!」


パリーン!!

?「フン……随分面白いことをやっているじゃあないか」

P「お、お前は……!」

律子「そんな……どうして……」

小鳥「……!」


?「そんな顔をするな、私はただ祝いに来ただけだ」


小鳥「………なんで」

P「何しに来たんです……黒井社長?」


黒井「……フン」

黒井「三流プロダクションも、元気にやっているようだな」

小鳥「あなたは、どうして……!」

黒井「そう睨むな音無君、昔のよしみというやつだ」

律子「一体、何を」

黒井「言っただろう? 祝いに来たと」

P「まさか……この光は!」ペカー

黒井「そう、『光』と共に祝う為の演出だ」

小鳥(うわぁ)

律子「じゃあ、窓を破って入って来たのは……」

黒井「『空』から祝う為の演出だ」

小鳥「普通に犯罪ですからね?それ」

P「けっ、演出演出言いますがね、黒井氏よ」

黒井「む?」

小鳥「敬語が雑ですよー」

P「あんたは舞台を作ってるだけ……肝心なプレゼントは、どうしたんです?」

黒井「……フフ」

黒井「フハハハハハハハハハハハ!!!」

律子「……っ」

黒井「プレゼント?この私が、用意を怠るとでも思うのか?」

P「……」

黒井「受け取れッ!」ビュン

小鳥「っ!」パシ

小鳥「これは……封筒?」

黒井「開けてみたまえ」

小鳥「……」ペリペリ

P「ラブレターか?随分と古風なご趣味をお持ちだ」

黒井「黙れ」

小鳥「…………これは………!」

律子「小鳥さん?」

P「どうしたんです?」

黒井「私からのプレゼントは……『職』だ」



黒井「音無君。 961プロで働く気はないか?」


P「なん……だと……!?」

律子「ひ、引き抜きですって……?!」

小鳥「そんな、私……『職』なんて曲出してません!」

律子「そこですか?」


黒井「私は、前々から目をつけていたのだ……765プロを1人で支える、その手腕にな」

小鳥「……買い被りです」

黒井「貴様は、三流プロダクションで終わっていい存在では」

P「黙れ!」

黒井「……」

P「音無さんは渡さない……961プロなんかに」

小鳥「プロデューサー……さん……」

黒井「悪いが、貴様にそんな権利は無い」

P「なんだと!?」

黒井「決めるのは音無君だ。 我が961プロを選ぶか、三流765プロに残るか」

P「……っ」

律子「小鳥さん……」

小鳥「……」


小鳥「黒井社長」

黒井「む、決まったか?」



小鳥「チンゲンサイゲーム、しましょう」



黒井「…………なに?」

小鳥「それが、私の答えです」

黒井「チンゲンサイ……なるほど」


黒井「高木の下につくことを選ぶのか、音無君」


律子「小鳥さん……」

小鳥「チンゲンサイが、高木社長とどういう関係があるのか知りませんけど」

小鳥「私、やってみたくなったんです。 黒井社長と、徹チン」

P「いやいや、まだ朝ですよ?」

黒井「…………」



黒井「フン、いいだろう」

小鳥「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

黒井「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

黒井「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

小鳥「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

小鳥「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

黒井「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

黒井「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

小鳥「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

小鳥「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

黒井「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

黒井「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

小鳥「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」


――――

――

小鳥(こうして、黒井社長は逮捕された)

小鳥(不法侵入、器物破損……)

小鳥(チンゲンサイゲームで時間を稼いだ甲斐があったわね!)


小鳥(961プロのトップの逮捕は、ニュースを賑わせた)

小鳥(これからの芸能界なんて、私には分からない)

小鳥(まずは、目の前のガラス片を片付けないといけない訳で……)


小鳥「……はぁ」

小鳥「……」カシャン

律子「……」ガシャッ

P「……チンゲンサイ」カシャン

律子「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」ガシャッ

P「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」カシャン

P「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」ガシャッ

小鳥「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」カシャン

小鳥「チンゲンサーイ、チンゲン……」パリッ



小鳥「やめましょう、チンゲンサイ」

P「あ、音無さん」パリッ

小鳥「なんです?」ペリッ

P「実は俺、プレゼントあるんですよ」カシャン

小鳥「え……?」バリバリッ

律子「小鳥さん割れてます、割れてます!」

小鳥「あ、あぁ……」ガシャッ

律子「全くもう……」カシャン

小鳥「すいません……えっと、その、プレゼントって」

P「チンゲンサイです」



小鳥「……は?」

P「正確に言うと青梗菜ですね、はい」

小鳥「あ、はい、ありがとうございます……?」

P「ぜひ使って下さい」ニコッ

小鳥「そうですね、今日は中華で……って馬鹿野郎!」バシーン

P「チンゲンッ!」

小鳥「プレゼントがチンゲンサイって何? お隣さんですか!?」

律子「まぁまぁ、小鳥さん」

小鳥「律子さん……」


律子「私も、チンゲンサイですよ……プレゼント」

小鳥「チンゲンサーイ!」バシーン

小鳥「全く……作業しますよ、2人とも」

P・律子「「はーい」」

小鳥「ほら、チンゲンサーイ」カシャン

P「音無さん……ルールぐらい守って下さい」

小鳥「ルールあるんですか!?」



P「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

小鳥「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

小鳥「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

P「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

P「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」

小鳥「チンゲンサーイ、チンゲンサイ」


おわり

以上です。読んで下さって、ありがとうございました。

01:30│音無小鳥 
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