2014年10月03日

小松伊吹「乙女脳でどこまでも」


伊吹「おーっ。P、ほどよくヒマそうじゃん!」



伊吹「よかったらさ、ちょっとアタシの趣味に付き合ってよ」





伊吹「別に大した事じゃないからさ。見てるだけでいいんだ」



伊吹「へへ、たまには外で遊んでみないとね。良い天気だし」



伊吹「それじゃ、広場にゴー!」



伊吹「ほらP、急いで急いで!」





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伊吹「じゃーん! スケボーだよ!」



伊吹「Pはやったことないの? 楽しいんだよーこれ」



伊吹「こう、坂をシャーっと滑ったりとかさ」



伊吹「段差に乗っかったり、溝を飛び越えたり……」



伊吹「とりえあえず、見てもらったら早いでしょ!」



伊吹「よーし、気合入れちゃうぞーっ」





伊吹「こんな格好で転んだらケガするって?」



伊吹「あはは! 平気だよ!」



伊吹「これでも結構な腕前なんだよ♪」



伊吹「まーそこで見ててよ!」





伊吹(プロデューサーの前だし、派手に決めるッ!)



伊吹(……いや! それもいいけど───)



伊吹(あえて転んだりしたら、お姫様抱っこされちゃうとか……)







『派手に転んだけど、大丈夫か伊吹?』



『ほら、足を擦りむいてるじゃないか。これじゃ歩けないだろう』



『ダメだ。無理しないで、俺が運んでやるから』



『……いやいや、子ども扱いなんてしてないぞ。だって伊吹は俺の……』



『俺だけのお姫様……だから、な?』





伊吹(……こんな展開もアリじゃない!?)ぽわわ





伊吹(いやいやそれは……いやいやでもでも……)





『傷は大したことないみたいだな……よかった』



『後できちんと、手当てしてやるからな』



『……いや、唾つけただけじゃ治らないだろ』



『それとも……そんな生意気を言う口は、塞いじゃえば治るのかな……?』





伊吹(……こういう展開もアリだったり!?)ぽわわ





伊吹(いやいやこれは……いやいやそれとも……)



伊吹「……ん?」



伊吹「あれ、プロデューサーはどこに……」



伊吹「あっ……やばっ」



伊吹「わっ、わわっ!?」





伊吹「あーあいたた……こんな段差でつまずくなんて……」



伊吹「変なこと考えてるからだよもう……」



伊吹「あ、プロデューサー……ううん、転んだだけだよ」



伊吹「えへへ。ついつい滑り続けちゃって、失敗失敗!」



伊吹「……ん? これ?」



伊吹「あー、転んだときに擦りむいちゃって……」



伊吹「あはは、ただの擦り傷だってば。気にしなくても……」



伊吹「え、いや、本当に大丈夫だってば……!」



伊吹「自分で歩けるって……ちょっと、ちょっ……」



伊吹「わ、わあっ!?」





伊吹「プロデューサー、自分で歩けるからッ……!」



伊吹「じ、事務所まで運ぶつもりなの!?」



伊吹「み、見られるって! 見られてるから!」



伊吹「うう……」





伊吹(さ、されてる……お姫様抱っこされてる……!)



伊吹(これは……予想以上に嬉し恥ずかしい……!)





伊吹「ねえ、P……そろそろおろしてくれても……」



伊吹「ああ……うん。ダメだよね。諦めたよもう」



伊吹「……その、重くない?」



伊吹「そ、そう……それならいいんだけど……」



伊吹「……」



伊吹「……えへへ♪」





伊吹「……あのさ、プロデューサー」



伊吹「……あっ、いやちがっ、降りたいんじゃなくて!」



伊吹「あ、そのっ……あ、あはは……」



伊吹「えっと……少しだけ。少しだけ、遠回りしていかない?」



伊吹「ちょっとだけで、いいから……」



伊吹「……うん。ありがと、プロデューサー♪」





伊吹(……このままどこまでも……)



伊吹(事務所にじゃなくて、もっと遠くまで……)



伊吹(プロデューサーと、ふたりで行けたらいいのにな……)





伊吹「もう事務所なんだ……楽しい時間は、ホントにすぐだよね」



伊吹「あ、ううん。こっちの話……ほら、もう少し頑張れ、王子様♪」



伊吹「ほらほら。早く運んでくれないと、お姫様がイタズラしちゃうよ……?」



伊吹「なーんちゃっ」



奏「あら、ふたりとも。ずいぶん仲良しさんなのね」



伊吹「て……」





奏「お姫様だっこねぇ……羨ましいわ」



伊吹「え、えっ」



奏「ねえ、Pさん。私にもしてくれないかしら……ふふ、冗談よ」



伊吹「あ、あ、ああ……!」



奏「それにしても、伊吹ちゃんも隅に置けないわね」



伊吹「み、見られたーーー!!」



奏「あら……恥ずかしがることないのに」



伊吹「ど、どうして奏が事務所にいるの!?」



奏「アイドルなんだから普通じゃない?」



伊吹「そーじゃなくてぇ!」





奏「それにしても伊吹ちゃん……」



伊吹「な……何?」



奏「ちゃんとあの時、始まってたんじゃないかしら?」



伊吹「なっ!?」



奏「ああ、始まってたっていうのはね……」



伊吹「奏!! ダメだよ!!」



奏「やっぱりダメですって♪」





奏「これなら、私も恋愛映画を見ておくべきだったわね」



伊吹「か、奏にはまだ早いんじゃないっ?」



奏「そうかしら。ならPさんに確かめてもらおうかしら」



伊吹「あ、こらっ」



奏「ねえPさん。私の魅力、確かめて……くれる?」



伊吹「かーなーでー!」



奏「やぁん、伊吹ちゃん怖ーい♪」



伊吹「怖ーい、じゃなーい!!」



奏「逃げるが勝ちね、これは」



伊吹「待ちなさーい、奏ー!」





聖來「ふー、わんことただいまー……ってなんだろ、これ」





伊吹「奏ー! さっきのこと黙っといてよー!?」



奏「あらどうしてー? とっても可愛かったのに、伊吹ちゃん?」



伊吹「どうしてもったら、どうしてもなの!」



奏「お姫様がイタズラしちゃうよ……うふふっ♪」



伊吹「わぁー、わぁぁー!?」





聖來「奏を、伊吹が追い掛け回して……伊吹の後を、Pさんが救急箱持って追いかけてる……?」





奏「あら、聖來ちゃん。お帰りなさい♪」



伊吹「おかえり聖來!」



聖來「あ、うん。ただいま……なにごとなの?」



奏「それはね……」



伊吹「奏!! 絶対ダメだよ!!」



奏「絶対ダメですって♪」



聖來「ま、ますます何事?」



伊吹「知らなくていいから!」



奏「あぁん。伊吹ちゃんのいけず……♪」



伊吹「いけずじゃなーい!」



聖來「あ、Pさん。お疲れ……なんか異様に疲れてない?」



伊吹「え、あっ……ごめんプロデューサー……さっきので……?」



聖來「さっきの?」



伊吹「な、なな何でもない!」





伊吹「もー。奏には困るよ本当に……」



伊吹「いててっ! プロデューサー、消毒液は優しくお願いっ!」



伊吹「ふぅ……あのさプロデューサー、奏の言うこと、真に受けちゃダメだからね」



伊吹「奏はからかって言ってるだけなんだから、調子乗っちゃダメ。わかった?」



伊吹「それにアタシの方がお姉さんなんだし、アタシだってもうちょっと魅力的に……」



伊吹「……そ、そのためにも、ちゃんとアタシのこと見ててくれなきゃ!」



伊吹「アタシとプロデューサーは、どんどん進んでいかないといけないんだからね?」



伊吹「どこまで進むのかって、それは……」





伊吹「ふたりでどこまでも……ねっ!」



おわり



17:30│小松伊吹 
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