2014年10月29日

【モバマス】「幸せなプロデューサー」


 【モバマスSS】です



 未来設定





 人を選ぶ内容かも知れません



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1414503018



 よぉ。



「こんにちは。これ、送られてきた招待状です」



 いや、俺は受付じゃない。受付は向こうだ。



「あ、ごめんなさい。こんなところに立ってるから……」



「……え?」 



 どした? なんだよ、その顔。俺がここにいるのがそんなに驚きか?



「え……もしかして、せんせ……プロデューサー?」



 そうだよ。お前の元プロデューサーだよ。



「うわぁ、なんだか凄く雰囲気が変わったというか……」



 そりゃあまあな、おまえらが引退してから色々あったんだよ、こっちも。

 お前だって、えらく見た目変わったし、口調まで違うじゃないか。



「あれから何年経ったと思ってるのさ。変わるよ、私だって」



 だけど、よく見ると面影あるかな?



「そうかな。でも、プロデューサーは変わりすぎ」



 んー、まあ、大病で入院したりもしたからなぁ。



「え、なにそれ、初耳だよ、そんなの聞いてない」



 そりゃあ、お前が引退してからの話だからな。



「あはは、私、結局すぐに引退しちゃったもんね」



 早かったよな、全盛期。



「惜しかったかな?」



 惜しかったよ。お前ならもっと上を狙えただろうに。



「一人じゃ無理だよ」



 なんだ、ユニットを続けたかったのか?



「違うよ、そういう意味じゃなくて」



 ん?



「……もう、いいよ」



 ああ、すまんな。



「私はいいよ。私にとっては、プロデューサーは先生だったんだから」



「あれ、違うな……先生……せんせい……」



「せんせぇ!」



 なんだ、薫?



「うん。これでいいんだね」



 ああ、懐かしいな、薫。

 さあ、早く入れよ。

 同窓会が始まるぞ。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ウサ!



「……」



 あれ? 間違えたかな?



「……プロデューサー?」



 おう。



「お久し……」



 ウサミーン!



「ハイッ!」



 よしっ、それでこそウサミン星人!



「何やらすんですか、もう。何年ぶりに言ったと思っているんですか」



 いやいや、絶対言わされるだろ、今日は久しぶりの集まり、CGプロ同窓会なんだし。



「それはまあ……」



 覚悟してただろ、正直。



「正直、してました」



 な、ほら。



「でもまさか、入り口すぐでいきなり振られるなんて思ってませんでしたよ!」



 練習になって良かっただろ。中だと間違いなく振られるぞ。

 なんと言っても、かつてのアイドルの大同窓会だからな。CGプロ限定だけど。



「変わってませんね、その強引なところ」



 そりゃあ、宇宙人を強引にアイドルにする男だぞ。



「ウサミン星人ナナ! 久しぶりに地球に戻ってきちゃいましたー! ぶいっ!」



 ……あ痛たたた。



「おい待て」



 なんだ、引退してからしゅがはの芸風も覚えたのか。



「芸風って言わないでくださいよ。アイドルなんですから」



 色物と正統派が混じって嫌味なく仕上げた奇跡の逸品だったもんな、お前。



「色物は混ぜないでください」



 周りがウサミン色に染まって楽しかっただろ。



「あの頃は、そんなに周りを見回す余裕なんてありませんでしたよ」



 そうか? 木場さんたち程じゃないけれど、俺は結構お前に頼ってたぞ。



「仕事ではね」



 なに?



「なんでもありません。仕事以外でも頼られたかったなんて、思ってませんでしたよ」



 ……おまえ。



「引退した身にスキャンダルなんて怖くありませんし、あの頃の話ですし?」



 強くなったな……



「今の私には、ウサミン星人の伴侶がちゃんといますから」



 お子さんいくつだっけ? 母は強いなぁ。



「当然です」



 女の子だったらアイドルに……



「ウサミン星人ジュニアなんて芸名は嫌ですよ」



 光じゃあるまいし、そんな宇宙忍者みたいなな名前つけるかよ。









・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「つけません!」



 え。



「ウサミン星人ジュニアなんて芸名つけません!」



 え、あ、はい。



「まったく、人をなんだと思ってるのよ」



 ……もしかして、光か?



「そうよ。なに」



 ……聞こえてたのか。



「菜々さんの後ろに麗奈がいたの気づかなかったの? 全部筒抜けよ」



 人のことは言えないが、お前も結構変わったな。



「なによ。まさか、未だにライダーキックとかやってると思ったの?」



「思ってた」



「……やってるけど」



「やってるのかよ!」



「やってるわよ! ニチアサも欠かさず見てるわよ!」



ああ、光だ。間違いないわ。



 お前は結局移籍してこの世界に残ったんだよな。



「ええ。最初はきつかったけど、どうにかなるものね」



 喋り方まで変わってやがる。



「中身は変わってないわよ」



 お前の移籍先で、うまくいったのか?



「ふふふ……来期のレギュラーの座、取れたのよ」



 はい?



「来期の戦隊側のサポートメンバーの一人よ! ついに、ヒーローの仲間入りなのよ!!」



 マジか、おめでとう。



「今のところはまだ秘密ね」



 俺に言って良かったのか。今の俺はただのおっさん、かなりのおっさんだぞ。



「信頼してるわよ、相棒なんだから」



 ……なんだ、俺はまだ、お前の相棒なのか?



「ええ」

(それどころか、貴方は私だけのヒーロー。私が貴方の相棒、だったらいいんだけどね)



 ん?



「なんでもない。同窓会の会場はそっち?」



 ああ、そろそろ、始まるぞ。カメラさんとかスタンバイしてる。



「はーい」







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「ほんとにいたんだ」



 ……お前は菜々とは別の意味で変わってないな。



「私のコレは、生まれつきだからどうしようもないよ」



 そうだったな。



「プロデューサーは変わりすぎ。薫たちの話を聞いてなかったら信じられなかったよ」



 お前だって、今じゃ念願の印税生活じゃないか。



「あの頃の私が考えていた印税生活とはちょっと違うけどね」



 きらりたちに曲や詞、提供してるんだろ?



「というか、きらり以外にも提供はしているけれど、ほとんどきらり専門だよ。そういう約束だもの」



 念願の引きこもり生活だな。



「そういうこと」



 良かったな。



「あのさ、プロデューサー」



 なんだ?



「私、まだ、独身だよ」



 ああ。



「別に貴方を待ってるわけじゃないけどね」



 ああ、わかってる。



「子供が作れないから」



 ああ、知ってる。



「きらりは結婚したって知ってるよね」



 ああ。一度だけ、婿さんのほうとも会ったことがある。



「子供もいるんだよ」



 写真が送られてきたな。



「なんかさ、そのとき思ったんだ」

「結局私も、子供が欲しかったんだなって」



 そうか。



「誰の子供でもいいって訳じゃなくて」



 杏。



「でも、だからって貴方を困らせる気なんてなくて」



 杏!



「……ごめん」



 謝ることじゃない。でも、俺には、あいつがいるから。



「うん」



 俺はあいつを裏切らないよ。



「うん。わかってる」



 俺はあいつのことを忘れないから。



「うん。知ってる」



 そういうことだよ。



「ねえ、プロデューサー」



 ん?



「飴、持ってない?」



 お前に会うんだ、持ってないわけないだろ、ほら。



「さすが、杏のプロデューサーだね」







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 来てくれたのか。



「当然じゃない。ちひろさんから直接連絡もらったんだもの」



 ……如月千早や天海春香にはずいぶん可愛がられているそうだな。



「ふふ、次代の765プロトップ最有力候補だからね」



 765に移ったのはお前以外にも結構な数いたよな。



「みんながんばってるよ。引退した子もいるけれど」



 すまなかったな。最後まで見るって約束破っちまって。



「仕方ないってみんなわかってるよ」

「あんなことがあったんだもの」



 そう言ってもらえると、俺も助かるよ。

 あいつもきっと喜ぶ。



「……ねえ」



 ん?



「まだ、忘れられないの?」



 当然だろう。俺は、あいつの伴侶だ。これまでも、これからも。



「今日この日だからこそ、言わせてもらうよ」

「おかしいよ、プロデューサー」



 なにが。



「死んだ奥さんのことが忘れられない人はいる」

「だけど、あの子がプロデューサーのことを一方的に好きだっただけじゃない」



 お前たちにはそう見えていた。それだけのことだ。



「嘘。二人はつきあってなんてなかったでしょう?」



 だからって、好き合ってなかったわけじゃない。



「そんなの誰も知らなかった。誰にも見えてなかった」



 何が言いたいんだ、凛。



「あの子がプロデューサーを連れて行ってしまった」

「私たちは、あの頃そう言っていたんだよ」



 それならそれでいいさ。



「……」



 少なくとも今の俺は、あいつのことを忘れない。それが事実だ。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ……あいつ、まだドーナツマニアやってるのか。

 ……あいつはパン食べてる。本当に変わってないな、あの辺は。

 ……なんであいつはこの期に及んで机の下に入るんだ。

 ……おいおい、今日のこの日まで着ぐるみで来たのか、あいつは。

 

 ああ、ちひろさん。どうも。

 まさか呼んでもらえるとは……

 ええ、あんな辞め方をした俺ですから。石投げられても文句は言えませんよ。

 そうですね。

 業務縮小で何人か引退して……心機一転の矢先にあの事故でしたからね。

 本当にあの時はご迷惑をおかけしました。



 あ、すいません、ちひろさん。

 あいつとちょっと話をしたいんで。

 ええ、それじゃあ後ほど。



 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「お久しぶりです、プロデューサー」



 待っていたよ。お前が来るのを。



 本当は俺なんかが来ちゃいけないんだ。

 

 あいつが事故に遭ってから、蒸発同然に姿を消していた俺なんて。 



 でもな、俺はお前にだけはどうしても会いたかったんだよ。



 なあ、小梅。



 今でも、お前には�視�えるのか? 



 さっき、俺に挨拶したとき視線が揺れたよな。



 見えているんだろう?



 なあ、見えているんだろう?



「……いいえ」



 ……おい。



「人の姿は見えません」



 さっき、お前は俺の後ろに何を見たんだ。何かを見たはずだろう。



「……縛られてます」



 なに?



「赤いリボンが、貴方を縛っているのが見えるんです」



 赤い……リボン……

 なんだよ、それ。

 それって……



 ……そうか、あいつ、俺の側にいてくれているのか。



「貴方の身体を雁字搦めに縛っている赤いリボンが見えるんです」



 俺を護るようににリボンが絡みついているんだよな。



 ああ、そうか、そうなのか。



 あいつは今でも、俺といてくれるのか。

 

 あいつは、俺を護ってくれているのか。

 

 ああ、俺は幸せ者だなぁ。



 ……ずっと一緒だよ、俺たちは……



 お前に包まれているのなら、俺は生きていける。







 ……俺は、本当に、幸せ、だ



おわり



20:30│モバマス 
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