2014年10月29日

あずさ「食歩」


あずさ「音無さんっ」



小鳥「はい、どうしましたあずささん?」





あずさ「あの、今度の日曜日、私お休みなんですけど、良かったら一緒に出かけませんか?」



小鳥「え、いいんですか? 折角のオフなんだし、私なんかよりお友達とかアイドルの子と一緒の方が……」



あずさ「めっ。ですよ、音無さん。『私なんて』なんていったらいけません。それに、私は音無さんと一緒がいいんです」



小鳥「あずささん……。すみません、ありがとうございます。それじゃあご一緒させてください」



あずさ「は〜い、うふふ」



小鳥「何か行きたい所とかあるんですか?」





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あずさ「う〜ん、特にどこに行きたいとかではなくて、一緒にのんびりお散歩とかできたらいいなって思っているんですけれど……」



小鳥「なるほど! それじゃあ駅前に集合とかでいいですかね?」



あずさ「はい!」



小鳥「時間はどうします?」



あずさ「う〜ん、11時とかだと早いでしょうか?」



小鳥「大丈夫ですよ」



あずさ「それじゃあ10時に駅前ですね〜」



小鳥「えぇ、楽しみにしてますね」



あずさ「うふふ、は〜い」





――――――――





――――





――





小鳥「あずささん、来ないな〜……。もう11時過ぎてるんだけど……」



コッイッゴッコロハートマークチュッチュッチュッチュチュー



小鳥「あら、電話。この着信音はあずささんね」



ぴっ



小鳥「もしもし、音無です」



あずさ『あ、音無さんですか。あずさです』



小鳥「どうしました?」



あずさ『あの、それが……。道に迷ってしまって……』





小鳥「あ、そうだったんですね。迎えに行けばよかったですね」



あずさ『いえ、そんな……』



小鳥「今、周りに何が見えますか?」



あずさ『えっと、病院です。○○病院って書いてあります』



小鳥「あぁ〜、となるとそんなに離れてないですね。今から迎えに行きますからそこから動かないようにしてくださいね〜」



あずさ『はい、すみません……』



小鳥「ふふっ、大丈夫です。それじゃあ一回切りますね」



あずさ『はい……』



ぴっ





小鳥「近場で良かった。う〜ん、タクシー使ったほうが早いわよね」



すたすた



小鳥「あ、丁度一台停まってる。すみませ〜ん」



運ちゃん「はいいらっしゃい」



小鳥「○○病院までお願いします」



運ちゃん「はい、ありがとうございます」



ブロロロロロ



キキー



運ちゃん「はい着きましたよ。1720円です」



小鳥「はい、1800円でお願いします」





運ちゃん「え〜っと、はい80円のお返しです。ありがとうございました〜」



バタン



小鳥「えっと、あずささんは……あ、いたいた。あずささ〜ん」



あずさ「あ、音無さん!」



小鳥「良かった、ちゃんと待っててくれたんですね」



あずさ「あの、すみません」



小鳥「え?」



あずさ「タクシーまで使わせてしまって……」



小鳥「あぁ、いいですよ。あずささんが無事ならそれで十分です」



あずさ「音無さん……」





小鳥「さて、それじゃあどこ行きましょうか?」



あずさ「そうですねぇ。とりあえず、適当に歩きませんか?」



小鳥「へ?」



あずさ「私、行くあてもなく、ただ何となくお散歩するのとか結構好きなんです」



小鳥「なるほど。……もしかして迷子の原因ってそれなんじゃ……?」



あずさ「えぇ!?」



小鳥「ふふふっ。それじゃあ適当にぶらぶらしましょうか」



あずさ「はいっ」





小鳥「え〜っと、あっちが駅だから……。じゃあこっちに行きましょう」



あずさ「そっちですね〜」



小鳥「えぇそうで……ってあずささん! そっちじゃないですよ!」



あずさ「あら……?」



小鳥「あ〜、あずささん。手つなぎましょうか」



あずさ「まぁ、音無さんって大胆なんですね……!」



小鳥「ピヨ!? いや、そうじゃなくってあずささんが迷子にならないように!」



あずさ「あ、あらあら……。それじゃあ、はい」



ぎゅっ



小鳥「じゃあ行きましょう」





あずさ「は〜い。こっちには何があるのかしら」



小鳥「何でしょうね。確か商店街があったはずですけれど」



あずさ「まぁ、いいですね。どんなところなんでしょう」



小鳥「素敵なお店があるといいですね〜」



あずさ「うふふ、楽しみです」



小鳥「あ、見えてきましたよ」



あずさ「アーケードになってるんですね」



小鳥「何だかいい雰囲気ですね」



あずさ「えぇ、色んなお店が並んで、雑多な感じがいいです」





小鳥「あ、あそこにお肉屋さんが!」



あずさ「本当ですね〜」



小鳥「ん、学生さんかしら? 何か買ってますね」



あずさ「あれは……コロッケ?」



小鳥「ふむ、ちょっと寄ってみませんか?」



あずさ「いいですね」



小鳥「すいませ〜ん」



お肉屋さん「あ〜いいらっしゃい」





小鳥「さっきそこで見かけたんですけど、コロッケ売ってるんですか?」



お肉屋さん「おぉ、そうだよ」



小鳥「へぇ〜。おいくらですか?」



お肉屋さん「揚げたてコロッケ一個60円だよ」



あずさ「お安いんですね〜」



小鳥「それじゃあ2つください」



お肉屋さん「あいよ! 今揚げるからちょっと待っててね〜」



あずさ「は〜い」





じゅわ〜



小鳥「いい音ですね〜」



あずさ「それにいい香りです」



小鳥「お肉屋さんのコロッケって美味しいんですよね」



あずさ「子供の頃とか、買い物のついでに母に買ってもらったりとか」



小鳥「学生の頃にも学校帰りに友達と半分こしたり」



あずさ「ありましたありました!」



小鳥「最近はスーパーでコロッケもお肉も買えちゃいますから、中々こうやってお肉屋さんに来ることも減りましたね」



お肉屋さん「あいコロッケ2つお待ち!」



小鳥「あ、ありがとうございます」





あずさ「温かいですね」



お肉屋さん「中あっついから気をつけて食べな」



あずピヨ「「いただきま〜す」」



小鳥「あ〜む……」



あずさ「ん〜、さっくさくですね」



小鳥「はぐっ……あっひゅい……んぐっ」



あずさ「はむっ……んむっ……おいひいでひゅ……」



小鳥「はふはふ……んっく……ほぁ〜」



あずさ「ふぅ〜。ほんのり甘くて美味しいですね〜」





小鳥「お肉屋さんのコロッケって、どうして甘めなんでしょう」



あずさ「不思議ですね〜」



小鳥「あぁ〜、美味しかった」



あずさ「ごちそうさまでした〜」



お肉屋さん「まいど!」



小鳥「はぁ、思いがけない出会いでしたね」



あずさ「えぇ、こういう事があるので好きなんです」



小鳥「私も今度やってみようかしら……」



あずさ「うふふ、是非……あら?」



小鳥「どうしました?」





あずさ「見てください音無さん、漬物屋さんでしょうか」



小鳥「あ、本当だ。珍しいですね」



あずさ「ちょっと覗いていきませんか?」



小鳥「いいですよ」



あずさ「ごめんくださ〜い」



漬物屋さん「いらっしゃいませ」



あずさ「こちらはおばあちゃんがお一人で営んでいらっしゃるんですか?」



漬物屋さん「えぇ。昔は主人とやってたんだけどね、数年前に主人が亡くなってからはあたし一人でやってるよ」



小鳥「見た感じ自家製ですよね?」



漬物屋さん「そうだねぇ、もう40年位ずっと自家製でやってるよ」





あずさ「まぁ、そんなに長くこちらで?」



漬物屋さん「いつまで出来るか分かんないけどね、主人が遺してくれたこの味だけは守ってやんなきゃね」



あずさ「おばあちゃん……」



漬物屋さん「あらやだ、辛気臭くなっちゃったね。ごめんねお嬢ちゃん達」



小鳥「お、お嬢ちゃん……うへへ……」



あずさ「気にしないでください」



漬物屋さん「良かったら食べてくかい?」



小鳥「いいんですか?」





漬物屋さん「えぇ、買って違うなってなったら嫌でしょう? だから試食用のがあるのさ」



あずさ「うふふ、おばあちゃん商売上手なんですね」



小鳥「それじゃあお一つ頂きます。あむっ」



カリッ



小鳥「んっ! このしば漬けすごく美味しい!」



漬物屋さん「あら、ありがとうね」



あずさ「程よい酸味がクセになりますね〜」



小鳥「ん〜、これは……!」



あずピヨ「「白いご飯がほし〜い!!」」





漬物屋さん「あっはっは、気に入ってもらえて何よりだねぇ」



小鳥「おばあさん、このしば漬け一ついただけますか?」



あずさ「あ、私も一つ」



漬物屋さん「ありがとう、一つ350円だよ」



あずさ「は〜い」



漬物屋さん「毎度あり」



小鳥「ありがとうございました〜」





あずさ「うふふ、いい買い物しちゃいましたね」



小鳥「えぇ、このしば漬けがあれば月末の金欠時も乗りきれるどころかむしろ平時より幸せかもしれません!」



あずさ「そ、そんなに……?」



小鳥「もう白いご飯とこれがあれば十分ですよ!」



あずさ「ちゃんと食べないとダメですよ?」



小鳥「いや、お金の無い時だけですから……」



あずさ「う〜ん。もしもそうなった時はちゃんと言ってくださいね?」



小鳥「え?」



あずさ「私が音無さんの為にご飯を作りますから」





小鳥「そ、そんな贅沢な……!」



あずさ「うふふ」



小鳥「あずささんも手料理ってだけで、すごく美味しそうなイメージあります」



あずさ「まぁ、音無さんってばお上手ですね」



小鳥「いやほんとに」



あずさ「それじゃあ食べてみますか?」



小鳥「へ?」



あずさ「実は私、お弁当作ってきたんです」



小鳥「本当ですか!?」





あずさ「はい、さっきから食べてばっかりになってしまうんですけれど……」



小鳥「いやいや、コロッケとしば漬けが呼び水になって、逆にお腹すいちゃいましたよ」



あずさ「あらあら、うふふ」



小鳥「あ、アーケードを抜けた先に公園があるみたいですよ」



あずさ「まぁ、そうなんですか?」



小鳥「えぇ、そこの案内板に書いてあります」



あずさ「それじゃあ公園でピクニックにしましょう」





小鳥「いいですね! う〜、あずささんのお弁当、今から楽しみですよ〜!」



あずさ「お口に合うといいんですけれど……」



小鳥「大丈夫です。あずささんが一所懸命作った物が美味しくない訳無いじゃないですか!」



あずさ「うふふ、ありがとうございます〜」



小鳥「さて、行きましょうか。あずささん」



あずさ「は〜い!」



小鳥「公園はすぐそこですからね!」











おしまい



22:30│三浦あずさ 
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