2014年11月05日

未央「君は世界で一番美しく咲く花さ……愛してるよ、未央」凛「えっ」


未央「はい」



凛「えっ?」





未央「はい、しぶりんさん、どうぞ!」



凛「何が?」



未央「言ってみて、今の」



凛「急にどうしたの」



未央「いいからいいから!」



凛「言わないよ」



未央「え〜っ……」



凛「何その反応。言わないよ」



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未央「減るもんじゃないのにー」



凛「……」



未央「凛ちゃんの恥ずかしがり屋さんめ!」



凛「……」



未央「今の、しまむーのマネー」



凛「……未央」



未央「ん? なに?」



凛「変だよ」



未央「うぐっ。変じゃないやい!」



凛「いつもより変」



未央「えっ、私いつも変?」



未央「言ってよ」



凛「言わないよ」



未央「なんで」



凛「こっちが言いたいよ」



未央「……しぶりん、これからこういう王子様みたいな役、するかもしれないでしょ?」



凛「それは、まあ、そうかもしれないけど……」



未央「今はまだシンデレラだけどさ」



凛「……ギャグなの?」



未央「いつかくる王子様役のためにも」



凛「言わない」



未央「けちんぼ」



凛「けちんぼ……」



未央「あめんぼ」



凛「……」



未央「あめんぼ」



凛「……赤いな」



未央「あいうえお」



凛「……」



未央「愛してるよ」



凛「言わないよ」



未央「ぐむむ……」



凛「なんでそんなこと、言わせたがるの」



未央「まあ聞いてみたいからかな」



凛「ただ聞いてみたいだけ?」



未央「お願いします! 我が家のご先祖様が瀕死で……最期に一度、どうしてもしぶりんの愛してるを聞きたいと言ってるんです!」



凛「瀕死って……」



未央「ダメかな」



凛「言い方があるでしょ」



未央「うーん……いまわの際、とか?」



凛「……まだその方がいいと思うよ」



未央「そっかー」



凛「それにご先祖様ならもう亡くなってるよね」



未央「そうだね」



未央「で、しぶりん」



凛「……はぁ」



未央「どうしたの、ため息なんかついて」



凛「わかってるくせに」



未央「一回だけでいいからさー。だーい好きだよっ♪ って、みりあちゃんみたいにかわいい感じでさー」



凛「要求上がってない?」



未央「んむむむ……一生……いや、一週間のお願い!」



凛「だいぶハードル下げたね」



未央「しぶりんー」



凛「……」



未央「ねーえーしーぶりーんー」



凛「未央、しつこい」



未央「わ、ダイレクトな苦情来た!」



凛「言わないったら、言わないよ」



未央「……」



凛「……」



未央「……わかったよ、ごめんね、しぶりん……」



凛「……」



未央「……」



凛「……その」



未央「お詫びに携帯の待ち受けこないだのしぶりんの寝顔写メにするね」



凛「ちょっと。いつ撮ったのそんなの」



凛「だいたい、未央だって恥ずかしいでしょ」



未央「え? ううん、全然」



凛「本当に?」



未央「全然だってばー。だって、好きな人に好きって言うだけだよ?」



凛「ふーん。じゃあ言ってみてよ」



未央「わかった。しぶりんに言えばいいんだね?」



凛「うん」



未央「……こほん」





未央「うきゃー! しぶりんかーわいーいー! 世界中の誰よりも、いっぱいいっぱい、愛してるにぃ!」



未央「言ったよしぶりん」



凛「……」



未央「しぶりん?」



凛「……なんだか、素直に喜びづらい」



未央「なに?」



凛「ううん、なんでもない」



未央「じゃ、次はしぶりんの番ね」



凛「待って」



未央「ん?」



凛「そんな約束してない」



未央「ええー、往生際悪いなあ……」



凛「私が呆れられる方なの?」



未央「しまむーはすぐ言ってくれたのになー」



凛「卯月?」



未央「大好きだよ! って、どストレートにきたから、さすがの私も照れたよね」



凛「卯月にも言わせたんだ」



未央「うん。お願いしたら、いいよーって、すぐに」



凛「そう……」



凛「今日って、特別な日だったっけ」



未央「特別な日?」



凛「未央の誕生日じゃないよね。12月でしょ」



未央「うん」



凛「じゃあ……大好きの日とか」



未央「えっ?」



凛「……」



未央「何の日?」



凛「……大好きの日」



未央「大好きの日?」



凛「……」



未央「……」



凛「……」



未央「……」



凛「……」



未央「しぶりん」



凛「やめて」



未央「発想がかわいいね。年少組が言いそうだよ、大好きの日」



凛「わかってる。今すごく恥ずかしいから、こっち見ないで」



未央「んー……。しかし、しぶりんさん……本当はこんな手は使いたくなかったんですけれどもねえ……」



凛「……なに?」



未央「しぶりん、私に言わせたよね」



凛「う……」



未央「言わせておいて、言ってくれないのかね?」



凛「……」



未央「……」



凛「……たしかに……未央の言うとおりだよ。フェアじゃないよね……」



未央「お? お? なら言う? 覚悟決まった?」



凛「……うん。うん、やるよ」



未央「よっし! じゃあこのボイスレコーダーに向かって」



凛「待って」



未央「なーんなのさー、毎回毎回」



凛「ボイスレコーダーは違う」



未央「え? だってこれなかったら、残らないよ?」



凛「残さないでよ」



未央「でもそれじゃ、きらりん風に言ってくれるの?」



凛「えっ」



未央「しぶりん的には、そっちの方が難易度高いかなーと思ったんだけど」



凛「ねえ、なんで録音かきらり風かの二択なの」



未央「え、だって私、きらりん風に言わされたし……」



凛「未央が自分で勝手にきらり風に言ったんでしょ……!? 私頼んでないよ」



未央「あ、あー、言うの恥ずかしかったなー。顔から火が出そうだったなー」



凛「絶対嘘だ……!」



未央「ホントダヨー」



凛「嘘つき」



未央「フェイフェイダヨー」



凛「菲菲関係ないでしょ」



未央「菲菲も普通に愛してるヨーって言ってくれた」



凛「菲菲にも言わせたの?」



未央「しぶりん得意そうだけどなあ……愛してるって言うくらい」



凛「どんなイメージだかわからないけど……別に得意じゃないよ」



未央「じゃあさじゃあさ! 今後のために、今練習しておこうよ!」



凛「そのボイスレコーダーしまって」



未央「……」



凛「後ろ手に隠してもダメ」



未央「えへへっ☆」



凛「そういうの効かないから」



未央「ぶー……」



凛「早くしまって」



未央「はーい……」



未央「はあ……そんなに私に大好きって言いたくないんだね……未央ちゃんショック」



凛「録音ときらり風が嫌なだけなんだけど……」



未央「しぶりん、私のこと嫌い?」



凛「……そうだなあ」



未央「うんうん」



凛「今の未央は好きじゃないかな」



未央「そうなんだ。私はどんなときのしぶりんも好きだよ」



凛「えっ……その」



未央「だーい好きだよ、しぶりん♪」



凛「……それはずるいよ……私だけ薄情みたい」



未央「じゃあ、ちゃんと言葉にして言ってほしいなー?」



凛「う……はぁ」



未央「……」



凛「……わ、わかった。言えばいいんでしょ。……なんだっけ、世界で一番?」



未央「うん」



凛「……君は世界で一番……えっと、美しく咲く花さ……あ、愛してるよ、み――」





ガチャッ



卯月「島村卯月です! ただいま帰ってきましたー!」





凛「!」



未央「あ、しま」



凛「愛してるよ卯月」



卯月「えっ?」



未央「あーっ!」



卯月「わあ!?」



未央「しぶりん!」



凛「なに? 私は言ったよ。私は未央に言われて、未央は卯月に言われて、私が卯月に言ったから、はい、これでちょうどいいよね」



未央「だーめーだーよーそんな三位一体説! 私に言ってよ!」



卯月「え、え……? 二人とも、どうしたの?」



凛「聞いてみたかっただけなんでしょ? ならもう、満足したよね、私言ったから」



未央「してないー!」



卯月「あ、あの、凛ちゃん? 未央ちゃん?」



未央「しまむーに言えるなら、私にも言えるはずだよ!」



凛「言えない。卯月にしか言えない。愛してるよ、卯月」



卯月「え? えへへ、ありがとう凛ちゃん」



未央「しまむーだけずるい!」



卯月「ご、ごめんね? わ、私未央ちゃん好きだよ」



未央「私もしまむー好きだよ! でも……はっ、そうか!」



卯月「どっ、どうしたの?」



未央「私、しまむーのことすっごく愛してる!」



凛「あっ」



卯月「えっ、そう? ありがとう、えへへへ」



未央「しまむー、しぶりんに大好きって言ってあげて! できるだけ熱烈に!」



卯月「熱烈?」



凛「い、いいから! 言わなくていいよ、卯月。卯月は私のことは普通だよね」



卯月「そんなことないよ! 凛ちゃんのことも私大好きですっ!」



凛「……」



未央「耳栓するなぁーっ!」



凛「え、なに? 聞こえなかった」



未央「絶対聞こえてたよ! 今だって聞こえてるよ!」



凛「聞こえてないよ」



未央「くっ……しまむー、私が今からしぶりんを羽交い締めにするからその隙に」



卯月「私の声は……凛ちゃんに届かなかったんだ……」



未央「しまむーどうしたの!?」



キャーキャー





加蓮「なんかやってるね」



奈緒「……なに騒いでるんだか、あいつら」



加蓮「ふふっ、あっちにいるときの凛ってさ、私たちと一緒のときとは違う意味でいきいきしてるよね」



奈緒「ちょっと子供っぽくなる気がする」



加蓮「あー。それ凛に言っちゃおっかなー。反撃してくるよー凛」



奈緒「い、いや、違うからな? 今のは言葉の綾で、その」



加蓮「大丈夫、言わないよ。それより……せっかくだし、私たちもやろっか」



奈緒「へっ? 何を?」



加蓮「やだなー、わかってるくせに♪」



奈緒「……? ……あっ、まさか」



加蓮「ふふふ……奈緒、だーい好き♪」



奈緒「やめろぉ!」







おしまい



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