2014年11月10日

双葉杏「例えばさ」


双葉杏「例えばさ」



モバP「ああ」





杏「こう、杏が口を開けて寝転がってるんだ。口元に向かってベルトコンベアが伸びてて、飴がどんどん運ばれてくるんだ」



P「面白いな。じわじわスピードを上げてお前の反応を見たい」



杏「それ最終的にリスみたいになるじゃん」



P「あと梅干しを混入させてやろう」



杏「やめてよ」





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P「例えばさ」



杏「うん」



P「海、亜子、そらが合体すると海陸空でゴッドシグマになるだろ」



杏「ごめん、杏が知ってるの前提で出てきたゴッドシグマがまず分かんないんだけど」



P「マジか」













P「マジか」



杏「マジだよ」





杏「例えばさ」



モバP「ああ」



杏「こう、杏の背中にキャタピラがついてるとするじゃん」



P「コンバトラーだな」



杏「知らないよ。さっきから何言ってるか全然分かんないんだけど」



P「スーパーロボットだよ」



杏「今まで黙っててごめんね、プロデューサー。私、ロボットじゃないんだ」



P「マジか」













P「マジか」



杏「なんで本気で驚いてんのさ」





P「何の話だったか」



杏「杏の背中にキャタピラがついてたらって話だよ」



P「そうそう、それそれ」



杏「まあ、杏の背中にキャタピラがついてたら便利過ぎて絶対起き上がらないよねって話」



P「ひっくり返して動けなくしてやりたいな」



杏「その時は普通に立ち上がるよ」



P「盲点だった」





P「例えばさ」



杏「うん」



P「こう、みくが魚釣りしてるとするだろ」



杏「その時点でもうおかしいよね」



P「キャタピラとベルトコンベアのお前に言われたくない。それであいつは長靴とか空き缶を釣る度に小さくガッツポーズするんだ」



杏「……で?」



P「えっと……」













P「大物釣り当てて近くをビチビチ跳ね回られればいいのに」



杏「オチができてないのに話し始めるのやめなよ」





杏「例えばさ」



P「ああ」



杏「杏たちがあっちに帰れたらさ」



P「……」



杏「そしたらさ、私ちょっと真面目に仕事しちゃおっかな。……なーんて」



P「…………」





杏「……ごめん」



P「謝るのは俺の方だ」



杏「いいよ、謝んなくて。プロデューサーのせいじゃないんだし」



P「いや、俺がもっと注意してれば……」



杏「プロデューサーが謝って杏たちが戻れるわけでもなし、意味ないことやめなって」



P「……」





P「あれからもう一週間なんだな」



杏「一週間かぁ、早かったのか遅かったのかよく分かんないや」



P「まあ、ここでも杏が有名だったのはラッキーだったな」



杏「ここならもう働かなくてすむんだとか思ってたんだけどね」



P「残念だったな。どこでもファンの期待に応えるのがアイドルだ」



杏「事務所のみんな、どうしてるかなぁ」



P「まあ、なんとかやってるんじゃないか?」





杏「どうだろうね。みんなプロデューサーのこと大好きだったから」



P「それならきらりはお前のこと大好きだっただろ」



杏「プロデューサーのことだって大好きだったよ、きらりは」



P「そうだったな……」













P「どうにかして、あっちに帰りたいな」



杏「……うん」





P「ちょっと外行ってくる。またなんか面白い例え話考えといてくれ」ガチャ



杏「りょーかーい」













杏「面白い例え話って……そうポンポン出てきたら苦労しないって」



杏「ん、ハガキ……杏宛てだ」



杏「…………」





P「ただいま。俺が留守の間に何か変わったことはあったか?」



杏「なかったよ」



P「面白い例え話は?」



杏「まだだよ」



P「まだか」



杏「そうポンポン変な話思いつかないって。何日か貯めようよ」



P「確かにそうだな」









・・・・いっしゅうかんご









P「例えばさ」



杏「うん」



P「こう、杏がバルーンファイトに参戦したとする」



杏「バルーンファイト」



P「そう、バルーンファイト。杏の風船を割ろうと相手が腕を羽ばたかせる。それでも杏は軽いからそれ以上のスピードで上昇していく」



杏「それ大丈夫? 杏ちゃんと帰って来れるよね?」



P「相手がヘトヘトになった後に、杏は自分の風船を一つ割って降りてくる。風船は全部割られない限り負けにならないんだ」



杏「自分でも割れるんだ。安心したよ」



P「疲れ切った相手に気付かれないように杏はこっそりと忍び寄って風船を割る。とんだ卑怯者だな」



杏「なっ、プロデューサーの例え話でしょ!?」





杏「例えばさ」



P「ああ」



杏「パイナップルあるじゃん。舌がピリピリするやつ」



P「しないやつもあるけどな」



杏「その舌がピリピリする成分だけを抽出したドリンク」



P「誰が得するんだそんな物」



杏「……麗奈?」



P「だろうなぁ」





P「例えばさ」



杏「うん」



P「滅茶苦茶弾力のある餅があるとする」



杏「どれくらい?」



P「そうだな、不用意に杵で叩くと杵が宙を舞うくらい」



杏「もはやゴムじゃん」



P「食えないよな」



杏「食べれないね」





杏「例えばさ」



P「ああ」



杏「杏だけがあっちに帰れるとしたらさ、どうする?」



P「そりゃあ喜ぶ。本当にそうなればいいのに」



杏「でも、プロデューサーは帰れないんだよ?」



P「それでもお前があっちに帰れるなら……ってお前、まさか?」



杏「……うん。杏、帰れるんだって」





P「……そうなのか、おめでとう。いつ頃に帰れるんだ?」



杏「……明日」



P「えらく急だな」



杏「いや、その……言い出せなくて……」ゴニョゴニョ



P「……」



ポン



杏「っ」





P「なんにせよ、しばらくはこっちに来ないように」



杏「……分かってるって」



P「こっちに来るのは歌声だけで充分だ。なんなら『隣に…』でもカバーしてみるか?」



杏「ふはっ、ガラじゃないよ」



P「俺もそう思った」



杏「なんで合わないコトやらそうとするのさ」



P「色々試してみるのが俺の仕事だから。あ、そうだ。帰る前にライブでもやってくか?」



杏「やだよめんどくさ……あー、一曲だけね」



P「マジか」



杏「マジだよ」





P「じゃあ元気でやれよ? レッスンもサボり過ぎてトレーナーさんたちに迷惑かけないように。あと……」



杏「ねえ、一緒に帰ろ?」



P「……杏」



杏「だってほら、杏はこっちでも相当な有名人だし! ハガキには杏だけって書いてたけど、頼めばきっと――」



P「杏」





杏「いや、でも、だって……」



P「あんな事故じゃ、一人助かっただけでも奇跡みたいなもんだ」



杏「……」



P「ちひろさんやみんなによろしく頼むな」



杏「……ねえ、飴ちょうだい?」



P「それも駄目だ。検問で引っかかっても困る」



杏「……」



P「悪いな、最期に何もしてやれなくて」



杏「……いいよ、別に」ギュ













杏「もう少しだけこのままでいれたら、それでいいよ」





杏「例えばさ」





杏「杏は今ちょっと悪い夢を見てて」





杏「目を覚ますとそこは事務所のソファで」





杏「周りを見るとみんながいて、プロデューサーがいて」





杏「それで、それで……」









『先ほど、アイドルの双葉杏さんが意識を取り戻したとの情報が入りました。杏さんは二週間前、プロデューサーのPさんの運転する車で移動中、信号無視のトラックに衝突され意識不明の重体。Pさんは――』





おわり



17:30│双葉杏 
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