2013年12月22日

モバP「妖怪飴くれが現れた」

モバマスssです。
P「ただいまー」

P(って誰もいないか…)ピンポーン


P「はーい。今出ます」

P「はい?」

宅急便「あ、どうも。今ちょっと二個隣の方が留守みたいなんで荷物預かって貰えないですかね?」

P「は、はぁ…。不在票じゃダメなんですか?」

宅急便「いやですね。以前はそうしていたんですが、不在票を入れても全く連絡貰えないってことがありまして…」

P(そんな義理はないけど、なんだか可哀想になってきた…)

P「分かりました。それじゃ、代わりに預かっておきますよ」

宅急便「本当ですか?すみませんお願いします」ペコリ

P「はい。それじゃ、今度はちゃんと本人に渡して下さいよ」

宅急便「はい。失礼します」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1369321754

P「受け取ったけどこれ中身なんなんだろう…?」

P「流石に開ける訳にはいかないし…」

P「今はいないらしいからな。とりあえず晩御飯でも食べてから行ってみるか」

P「今日は周子もいないから一人で食べるか。えーと誰だ…双葉さんか。会ったことないな」



P「さて、晩御飯も食べたことだし、双葉さんの家に行ってみるか」ピンポーン

?「開いてるよー」

P「もしもし?」

?「入っていいよ」

P「は、はぁ、失礼します」ガチャ

P(汚い部屋だな…)
?「えーと多分宅急便の人だよね。今行くから」ゴー

P「おわっ!」

P(家の中を台車で移動する人なんて初めて見た)

?「はい。ハンコ…ってあれ?。宅急便じゃなかったのか」

P「いや、これウチで預かってて…。えーと双葉杏さんで間違いないですか?」

杏「うん。合ってるよ。これいつ来たの?」

P「えーっとさっきですかね」

杏「あー多分寝てたんだね。うん。ありがと。それじゃ」

P「あ、あの」

杏「ん?あ、出来たら台車押してくれない?面倒だから」

P「はい。じゃなくて、お父さんとかお母さんは?」

杏「いないよ。あーでも、杏が一人暮らしだから北海道にいるよ」
P「一人暮らしって…何歳なんですか?」

杏「十七歳だよ。最近テレビで見るウサミン星から来た人と同じ」

P「菜々のことか…って十七歳?」

P(どう考えてもそうは見えないんだが…)

杏「ま、そういう訳だからとりあえず押して」

P「あ、はい。それじゃ」グイッ

杏「おー楽チン楽チン。それじゃね」

P「は、はぁ、それじゃ失礼します」バタンッ

P「なんだったんだ…」

P(小学生位の女の子が十七歳で一人暮らしで…俄かには信じられないなぁ…)

周子「なんで部屋の外でそんな難しい顔してるの?」

P「お、周子お帰り。いやな、あそこの人なんだけど…」

周子「あぁ、前に言ってた北海道から来た人だっけ?その人がどしたの?」

P「いや、今日初めて会ったんだ」

周子「うん。ってこの話長い?」

P「いや、そんな長くないけど」

周子「いや、長そうだよPさん。とりあえずPさんの部屋に入ろうか。ここで話してたら不審者みたいだし」

P「そうだな」

周子「それじゃ、お邪魔します」

P「おう。それでだな。そのな、なんていうかな、小さかったんだ」

周子「はぁ?」
周子「小学生で一人暮らしってなんて言うか、あたしの家出なんかより凄いね」

P「本人曰く17歳らしいけど…」

周子「小学生みたいな見た目の17歳?想像出来ないや。菜々さんみたいなものかな」

P「それで、台車で移動してた」

周子「なにそれ?」

P「いや、家の中を台車に乗って移動してたんだよ」

周子「面倒臭がりってレベルじゃないね」

P「だよな」

周子「まぁ、生活できてるから心配しなくていいんじゃない?」

P「そうかな…」

周子「あたし的には人の生活よりもまず自分の生活のことを心配して欲しいけどね」

P「俺は周子の料理のおかげで大分まともな生活になったと思うけどな」

周子「はいはい。そりゃどーも」

P「うん。ありがとな」

周子「それじゃ、話も聞き終わったし帰るね。おやすみ」

P「おう。おやすみ」

周子「ばいばーい」

P「さて、俺も寝るか…」

P(ちゃんと生活できてるのかなぁ…双葉さん)

P「さて、今日も頑張るかー!」ガチャ

杏「あ」

P「お、どうもおはよう」

杏「…どうも」

P「学校?」

杏「いや、違うよ」

P「今日平日じゃないっけ?」

杏「まぁ、杏にも色々あるんだよね」

P(一人暮らししてることとか関係してるかもしれないし深く聞かない方がよさそうだな…)

P「それじゃあ俺は行くんで」

杏「行ってらっしゃい」

P「ありがとうございます。あ、これ良かったらどうぞ」

杏「ん?なにこれ」

P「俺がいつも舐めてる飴だよ。なんか眠そうだったから」

杏「ん。なら貰っとくよ、ありがと」

P「はい。それじゃ失礼します」

杏「……はっか飴はあんまり好きじゃないんだけどなぁ…」コロコロ

杏「P…?って名前なんだ。まぁいいけど…。とりあえず寝ようかな」

事務所

P「おはようございまーす」

菜々「あ、Pさんおはようございます」

P「あ、菜々さんおはようございます。今日はレッスンでしたっけ?」

菜々「えぇ、そうですよ。ちょっと先輩を待ってたんですよ」

P「先輩?」

泰葉「おはようございます」

P「あぁ、先輩ってそういう…」

泰葉「もう、だから私に先輩なんて使わないで下さいよ。特に菜々さん」

菜々「あ、ごめんね。泰葉ちゃん。それじゃ、今日もレッスン頑張りましょう。ウーサミンハイッ!」

泰葉「ハイッ!それじゃ、頑張りましょうね。それじゃ、行ってきますね」

P「気を付けて行ってこいよー」
ちひろ「おはようございます。今出てった二人はこれからレッスンですか?」

P「みたいですね。色々仲良くやってるみたいでよかったです」

ちひろ「そうですね。それで、今日の皆のスケジュール確認は平気ですか?」

P「今日は……そこまで付き添いの仕事がないんで、外回りしてきてから事務仕事を片づける予定です」ピリリリ

P「はい。お世話になっております。はい。はい。その件につきましては後日また連絡ということで」

ちひろ「大丈夫ですか?」

P「えぇ、皆の人気が出てきた所ですからね。頑張りますよ」

ちひろ「そんなプロデューサーさんの為にスタドリを一本サービスしてあげます」

P「気前がいいですね。ありがたく頂きます。それでは営業に行ってきますね」

ちひろ「はい。行ってらっしゃい」
ディレクター「そうそう。それじゃ、その話は高垣さんにお願いするよ」

P「ありがとうございます!」

ディレクター「そう畏まらずに。そう言えば、岡崎泰葉がそっちの事務所に移転したって聞いたけどホント?」

P「はい。その通りです」

P(流石に耳が早いな…)

ディレクター「ふーん。彼女って喋れる方?」

P「まだぎこちないですが…」

ディレクター「いやね、岡崎さんとこの前の事務所って結構起用の仕方が厳しくてさ、テレビにはほとんど出させて貰えなか
ったんだよ」

P「はぁ…」

ディレクター「でも、キミの所はそういうのはないでしょ?だから彼女も一緒に出てみない?バラエティとかじゃないから平気だと思うけど」

P「はい。ありがとうございます」

ディレクター「まぁ、世の中持ちつもたれつだよ。それじゃ、詳しい話は企画書が出来てからだね」

P「はい。それでは私はこれで」
P「思ったり早く終わったし、頼子についていってやろうかな」

P「頼子、俺が送ってくよ」

頼子「あ、ありがとうございます」

車内

P「やっぱり、岡崎さんは凄いなぁ…。よし、俺も頑張ろう!」

頼子「私といる時に…他の方の名前を出すって…」

P「あ、ごめんな」

頼子「別にそこまで気にしてません。いずれ…私が奪う心です。今くらい移り気でもいい…と思います」

P「はは…」

頼子「今日は教養番組…ですね。…確かに私らしさが出る…と思います」

P「そう言ってくれると取ってきた甲斐があるよ」

頼子「…あなたの心を奪うには頂点に立たねばならないことを…最近…理解しましたからね。…現代に生きる六条は…千年を
経て…少しは学んだんです」

P「……?」
頼子「分かって…貰おうとは思ってません。なので…理解出来なくても構いませんよ…」ニコッ

P(楓さんもそうだけど、頼子もたまに言ってることが分からない)

頼子「それでは…行ってきます。わざわざ送って下さって…その、ありがとうございます。あ…これから予定は?」

P「えーと、頼子が終わるまでこの辺りにいる予定だぞ」

頼子「そうですか。その言葉を聞けて勇気が…湧きました。それでは…」ペコリ

P「さて、この間に岡崎さんに連絡でも取ってみるか」ピポパ

泰葉『は、はい。なんでしょうか?』

P「あ、今、時間平気か?」

泰葉『え、えぇ。平気ですよ』

P「実はな――」

泰葉『えぇ。分かりました。それではお願いします』

P「うん。それじゃ」ピッ

P「さてと、眠気覚ましに飴でも…あれ?ない」

P(あぁ、そう言えば、今朝双葉さんにあげたんだ)

P「買ってこようっと。なに味にしようかな」
車内

P「今日はどうだった?」

頼子「はい。楽しかったです」

P「それは良かった」

頼子「あ、あのですね。以前にお話しした…」

P「美術館に行く約束か?もう少し待ってな。今は岡崎さんが入ったりして忙し――」

頼子「分かりました。分かりましたから他のアイドルの名前を出さないで下さいよ」

P「あぁ、ごめんごめん」

頼子「分かって下さればいいんです。しかし、アイドル増えましたね…」

P「言われてみれば、そうだな」

頼子「体にだけは気を付けて下さいね。それでは、失礼します」ペコリ

P「おお、じゃあな」
事務所

P「お疲れさまです」

ちひろ「あ、お疲れ様です」

P「はい。お疲れ様です。あ、仕事取ってこれましたよ」

ちひろ「おめでとうございます!流石プロデューサーさんですね」

P「まぁ、岡崎さんの仕事なんですけどね」

ちひろ「やっぱり知名度あるって凄いんですねぇ…」

P「ですね。あ、ちひろさん。あとどれくらいでお仕事終わるんですか?」

ちひろ「えっ、えーっと、もう終わりますけど」

P「それじゃ、一緒に帰りますか。日が伸びてきたって言ってもこの時間に一人で歩くのは危ないですし」

ちひろ「は、はぁ、それじゃお願いします」

ちひろ(もしかして…二人きりかな)ドキドキ
幸子「ボクもいますよ!」

P「お、幸子か。いいよ送ってやるから」

幸子「当然ですね。あ、ちなみにボクはちひろさんの次でいいですからね」

ちひろ「え、別に幸子ちゃんが先でもいいわよ?」

幸子「単純にちひろさんの方が近いでしょうに。可愛いボクに気を使う必要はないんですよ」

P「ま。分かり易く言うと、ちひろさんの方が家近いからアイドルとか関係なしに先に送ってあげてってことみたいですよ」

ちひろ「まぁ、そっちの方がプロデューサーさんと長く一緒にいれますしね」

幸子「な、何を言ってるんですか!も、もういいです。早く帰りましょうPさん」

P「はいはい。それじゃ、帰りましょうかちひろさん」

ちひろ「あ、あと五分待って下さい!」
幸子「それじゃ。お疲れ様です。明日もその…」モジモジ

P「電話か?覚えてたらな」

幸子「い、今言ってるんだから覚えておいて下さいよっ!」

P「はは。それじゃあな」

幸子「…はい。お疲れ様でした」
モバP「和菓子とダーツ」
モバP「歩き始めた人形」
などです。
失礼しました。
P「さて、明日も早いし今日は…」

ガチャ

P「ん?」

杏「あ。どうもー?」

P「どうも。こんな遅くにどうしたんですか?」

杏「飴くれ。飴」

P「は、はぁ。今日色々な味の買いましたから色々ありますけど…」

杏「それじゃ、これで……うまー」

杏「いや、飴こそ神が作ったものだねうん」

P「あの…」

杏「なに?杏に飴をあげる係に任命してあげるよPさん」

P「え、俺の名前どうして…」

杏「驚くも何も表札掲げてるじゃん」

P「まぁ、確かに」

杏「流石に私も飴くれる人の名前を覚えないほど薄情じゃないよ」

P「飴くらい自分で買えば…」

杏「分かってないなー。人から貰うのがいいんじゃん」

P「は、はぁ…」

杏「ま。そういうことだから、暇なら杏に飴あげにきていいよ。それじゃ」

P「は、はい。それじゃ」

P(なんだったんだ一体…)



翌日

P「さて、今日も頑張るかー」

杏「飴くれ」

P「はい。どうぞ」

杏「ん。それじゃ」バタンッ


二日後

P「さて――」

杏「飴くれ」

P「は、はい。というか、もしかして俺が部屋出てくるタイミングで顔出してるの?」

杏「そんなわけないじゃん。ただ、いつも通り時間になったら待機してるんだよ」

杏「Pさんが何してるか知らないけど随分と時間に厳しい仕事してるんだね。ほとんど同じ時間に家出てってるし。ま。それのが私も楽でいいんだけどね」

P「は、はぁ…」

杏「あー。もう一日分話した。それじゃ」

P「一体なんなんだ…。妖怪飴くれか」

三日後

P「さて――」

P「お、いないな。どうしたんだろう?」

P「おーい。今日も飴あるぞ」

周子「独り言にしては大分変わってるね」

P「お、周子おはよう。いや、ここにいつも妖怪飴くれが出るんだけど」

周子「なにそれ。害もメリットもなさそうな妖怪だね」

P「まぁ、いないならいいや。行こうか周子」

周子「そだね」

P(ここのところずっと渡してたからなんか調子狂うなぁ…)

周子「ほら、早く行かなきゃ始業時間遅れるよPさん」

P「おう、悪い悪い。今行く」
事務所

ちひろ「おはようございます。今日も一日頑張りましょうね」

P「そうですね。それでは俺はちょっと外回りに行ってきます」

周子「ん。行ってらっしゃい」

ちひろ「ちゃんとお仕事取ってきてくださいね」

P「はは…まぁ、俺が倒れない程度に頑張ってきますね」

――

P「あ、しまった…名刺が切れそうだ」

P(ここだと事務所に戻るより家に取りに行った方が近いな…)

P「一旦家に戻るか…」ハァ

P「本当にどうしたんだろう双葉さん?」

P(何もなきゃいいけど…)

宅急便「あ、こんにちはっす」

P「はい…?あぁ、あなたは」

宅急便「はい。先日はどうも。あれ?もしかして双葉さんはまたいないんですか?」

P「いや、わからないですけど」

宅急便「そっすか。それじゃ失礼しますね」トントン

宅急便「宅急便でーす。……いないみたいですね」

P「えぇ、そうですね。もしかしてとは思いますが――」

宅急便「お願い出来ますかね?」

P「と言っても俺も仕事なんですけど…」

宅急便「あ、今回は別に生ものという訳じゃないんで平気ですよ」

P「まぁ、一度引き受けましたから観念して引き受けますよ」ハァ

宅急便「ありがとうございます!それでは、お願いします」ペコリ

P(意外にお人よしだな俺…)
P「本当にいないのかな…」ガチャガチャ

P「ん?空いてる?いるんじゃないか」

P(ってことは居留守かよ…)

P「失礼しまー…って大丈夫ですか!?」

杏「んあ?まぁね。ちょっとボーっとするくらい」

P「いやいや、そんな青い顔して玄関で倒れてるのにボーっとしてるくらいで済むわけないでしょう!」

杏「う…るさいなぁ…」

P「あぁ、ごめんごめん。救急車呼びますか?」

杏「んー、いいよ。めんど…くさい」

P「ちょっと失礼しますね」ピトッ

杏「んーなにすんのさー」グデー

P「とりあえず救急車を呼ぶほどじゃないみたいですね」

杏「だから平気だって。眠い…」
P「とりあえず、シャワー浴びて着替えて寝ましょう」

杏「めんどくさー…」

P「そんなこと言ったって…というか、この部屋にいたらさらに風邪が悪化しそうですね…」

杏「まー…綺麗な部屋じゃないのは分かってるよ…」

P(しょうがないか…)

P「ちょっと失礼しますよ」ヒョイ

杏「ん!?なに…すんのさ」

P「俺の部屋に移ります。とりあえずこの部屋よりは綺麗ですから」

杏「んーなんでもいいや」

P「この家の鍵は?」

杏「そこ…」

P「それじゃ、ちょっと移動するんで掴んでてくださいね」ガシッ

杏「おっ、これ楽チーンじゃん」
P宅

P「それじゃ、シャワー浴びてきてください。その間に俺は着替えを探してきます」

杏「んーめんどー…」

P「そういうこと言ってないで」ポイッ

杏「病人にする態度じゃないよねー…。てか、敬語じゃなくていいよ。そっちのがこっちも楽だし」

P「そうか。それじゃさっさと入れよ」バタンッ

杏「その前に飴くれ…って行っちゃったよ」
P(今日は営業無理そうだな…。まぁ、新規開拓をする予定でアポなしだっただけまだマシか…)プルルル

P「あ、ちひろさんですか?」

ちひろ『はい。そうですよ。どうかされました?』

P「ちょっと所要が出来まして…。今日は早退させて頂きます」

ちひろ『えぇっ!?どうしたんですか?』

P「体調不良なんですよ」

ちひろ『もしかして…スタドリの飲み過ぎで…?』

P「いえいえ、まだ飲んでませんし」

ちひろ『とりあえず了解しました。有給扱いにしておきますね』

P「はい。すみません。それでは」

ちひろ『お大事にー』

P「さてと…着替えになりそうなものを探すか…」

P(こう汚れてる部屋を見ると掃除したい欲が……)ウズウズ

杏「んあー」

杏(本気で頭痛いなぁ…ぼーっとする)

P「着替え置いとくんで」

杏「あーい」

杏(シャワー浴びたの久々だなぁ…)ポケー
杏「とりあえずありがと」

P「ちょっとそこに座っててくれないかー?」

杏「いいけど…なに?」

P「…ほいっと。ほら、食え」

杏「おかゆ…?」

P「玄関で倒れてたってことは腹が減ってるのかと思ってな」

杏「…間違ってはないけど、杏に腹ペコキャラを付けるのはやめてよね」

P「そんな気はないがな」

杏「ならよし。ん」

P「食べないのか?」

杏「いや、食べさせてくれるのかなって」

P「それくらい食べられるだろ?」

杏「まぁね。考えてみればいきなり押しかけちゃったみたいで悪いね」

P「困った時はお互い様だから」

杏「…杏はPさんが困っても助けないよ?」
P「そこは助けて欲しいな」

杏「飴くれたら考えるよ。あ、考えるだけだからね言っとくけど」

P「これとりあえず市販の薬な。食べたら飲んでおけよ」

杏「ん。至れり尽くせりだね。ごちそうさま」

P「どういたしまして」

杏「そう言えば、仕事中?」

P「ん?そのはずだったが、早退した」

杏「サボりだね。…って言うのは冗談で助かったよ。割とマジで死ぬかと」

P「そういや、なんでこっちで一人暮らししてるんだ?」

杏「んー。親が色々言ってくるのが煩くてね。一瞬だけやる気見せたフリしたら一人暮らしを許可されてね」

P「そうなのか」

杏「そうそう。一人は快適だよ。ゲームやってても怒られないし、必要なものは全部通販でなんとかなるしね。あ、飴ちょうだい」

P「確かにそうだな。ほれ」

杏「そういうこと。今回はちょっと窓開けたまま寝たら風邪引いたっぽいんだよね。飴ウマー」
P「気を付けろよな」

杏「うん。するする。あー眠くなってきた」

P「どうする自分の部屋に戻るか?」

杏「それ以外の選択肢があるの?」

P「…ないな。ただ、一つお願いがあるんだが」

杏「ん?」

P「一時間くれ。部屋を掃除する。あの部屋じゃ治るものも治らない」

杏「掃除してくれるんだ。それじゃ、杏はこの部屋でテレビでも見とくよ」

P「あぁ。そうしてくれ。一応温かくしておいてくれよ」

杏「ほいほーい」
P「さて…掃除するか!」

P「とりあえず、ゲーム機を動かして…お。ドリキャスか懐かしいな」

P(まぁ、掃除って言っても纏めるくらいしか出来ないけどな)

P「PS3と一緒に並ぶドリキャスはシュールだな…」

――

P「――ふぅ。ようやく終わった。さてと、呼びに行かないと」

P「おーい。もうへ――」

杏「……」スゥスゥ

P(寝ちゃったか…)

P「しょうがない…このまま寝かせておくか」

P(こうして見るとどうしても小学生にしか見えないんだよなぁ)

P「さて…。俺も家事と簡単な仕事でもやっておくか」
杏「ん……。んん?」ガバッ

P「お、起きたかおはよう」

杏「あー、えーと…なんで?」

P「俺の部屋でおかゆ食べた後すぐ寝ちゃったからだな」

杏「なるほどね。んじゃもう一回寝るよ」

P「体調はどうだ?」

杏「もう平気かな。それじゃおやすみ」

P「おやすみ」

P(俺の部屋なんだけどなぁ…)
――

P「さて、家で出来る仕事はこれくらいか…。いや、待てよ。あそこに電話でもしておくか…」

杏「あー寝た。おはよう」

P「おう。あ、ちょっと待ってな今電話中だから静かにしてくれ。あ、もしもし私――」

杏「…家にまで仕事を持ち込むなんて真面目だね」

P「はい。はい。それでは失礼します」

杏「お疲れさま。杏に飴をくれてもいいよ」

P「ほれ」

杏「ん。うまうま」

周子「ここだよ」ガチャ

菜々「ぴ、Pさん大丈夫ですかっ!?」
泰葉「こ、こんばんはー」キョロキョロ

P「なんでいきなり開けるんだよ周子…」

周子「あ、ごめんごめん。つい癖で」

菜々「あれ?あれ?Pさん元気そうですね」

泰葉「体調不良と聞いたのでゼリーとか買ってきたんですけど…」

P「おー悪いな。みんな仕事は?」

周子「終わったよ。もう夜じゃん」

P「言われてみればそうだな」

菜々「あのーそこにいる女の子は…?」

杏「あ、あべななさんじゅうななさいだ」

菜々「んん!?ナナはリアルJKデスヨ?」

杏「ふーん。杏と同い年だね」

菜々「ええっ!?」
P「まぁ、驚くよな。ちなみにこいつは俺のご近所さんなんだよ」

周子「あー。妖怪飴くれね」

杏「誰だ。そんな名前付けた奴」

P「俺だよ。ほら、飴だぞー」

杏「ん。まぁ、いいけど。ってか、Pさんはアイドルのマネージャーでもしてるの?」コロコロ

P「マネージャーというかプロデューサーかな」

杏「ふーん」

泰葉「か、可愛いですねこの子」

杏「飴くれてもいいよ?」

泰葉「ぜ、ゼリーじゃダメですか?
周子「ってかPさん風邪引いてないじゃん」

P「おう。俺じゃなくてこいつが家の玄関で熱出してぶっ倒れてたんだよ」

杏「倒れてたんだよ。もう治ったけど」

周子「なるほどね。Pさんもえーと双葉さん?も災難なこって」

P「まぁ。困った時はお互い様だからな」

菜々「とりあえずPさんは大丈夫なんですね」

P「うん。心配かけて悪かったな」

菜々「それじゃ、ナナが特別にご飯作りますよ!」

P「本当か?それじゃ頼む」

周子「菜々さん、あたしも手伝おうか?」

菜々「お願いします。あ、周子ちゃん、ナナは17歳なんで呼び捨てでいいですよー」

周子「あー、うん。分かったよ菜々さん」

菜々「って分かってないじゃないですか!」

杏「ねぇ、Pさん」

P「なんだ?」

杏「アイドルってさー儲かるの?」

P「人それぞれだな」

杏「例えば有名になってCDとか本とか出して印税生活は出来たりするの?」

P「まぁ、出来る人はいると思うよ」

杏「ふーん」

P「アイドルやりたいのか?」

杏「いーや、ただ印税生活をしたいんだよね。真っ当に働くの面倒だし」

杏「まぁ、どうしてもって言うならやってもいいけどね」チラッ

P「…いや、やる気ない奴をプロデュースするほど俺も暇じゃないんだ」

杏「だよね。あー、飴くれ」
P「ほれ」

杏「ん。あんず味って珍しいね」コロコロ

P「…印税生活ってかなり頑張らないと難しいからな」

杏「んー、それもなんだかなぁ…」

杏「でもなぁ…」

P「なにを悩んでるんだ?」

杏「杏はさ、面倒くさがりじゃん?」

P「そうみたいだな…」

杏「面倒くさがりな人って常に一番効率のいい方法を探すのが上手いんだよね」

P「そうなのか」

杏「杏の考えだとアイドルになるのが一番効率がいい気がしてきたんだよねー」チラッ

P「…例えばさ」

杏「うん?」
P「あそこで料理してる菜々さんはずっとアイドルになりたくてなりたくてオーディションを受け続けて、落ちてを繰り返してようやくアイドルとして活動し始めたんだ」

杏「意外と苦労人なんだね」

P「俺より全然苦労してるよ」

杏「うんうん。それで」

P「隣にいるのは周子って言うんだけどさ、あいつはアイドルになる気なんてなくて家追い出されたところを俺がスカウトしたんだ」

杏「なんとなく対照的だね」

P「そうだな」

泰葉「ちなみに私はアイドルのお友達が出来てそこからこっちに来たんですよ」

杏「ふーん。凄いね。で、それを杏に話した意味はなに?」
P「理由はなんでもいいんだってことだな。だけど結局は自分の意思でアイドルになってるんだよな」

杏「うん。それで?」

P「やりたいんだったら思わせぶりな態度じゃなくて自分の口で言えってこと」

杏「えー」

P「飴を食べる時間は減るかもしれないが、飴の質は良くなるかもなぁ」ボソッ

杏「うぐ…」

杏「やるよ。もう。アイドルでもなんでも。印税生活が杏を待ってるんだから!」

杏「あ、でも。一つお願いが」

P「なんだ?」

杏「杏のスケジュールは週八休にして」

P「バカ言うな。飴やらないぞ」

杏「じょ、冗談だって!」

泰葉「よろしくお願いしますね。双葉さん」

杏「ん。杏でいいよ」

菜々「みんなー。ご飯出来ましたよー!」

周子「割烹着とか似合いそうだね菜々さん」

菜々「な、なに言ってるんですかもう!」
―――
――

菜々「それじゃ、ナナはウサミン星に帰りますね」

泰葉「今度ウサミン星に連れて行ってください」キラキラ

菜々「えっ」

周子「そうだね。あたしもよろしく」

菜々「えっ」

P「それじゃ、明日からも頑張ろうな」

菜々「はーい。それじゃ!」

泰葉「私も失礼しますね」

杏「杏も帰る。眠いし」

P「分かった。それと明日朝一で事務所行くから覚えておけよ」

杏「ん。飴くれたらな」

P「ほら」

杏「どうも。それじゃ」
周子「なに?スカウトしたの?」

P「まぁな」

周子「慈善事業じゃないんだからそんなに際限なくスカウトしなくても」

P「それを言ったらお前もじゃないか」

周子「アタシはPさんがどうしてもって言ったんじゃん」

P「そうだっけか?」

周子「そうだよ」

P「俺も慈善事業をする気はないさ」

周子「ふぅん?」

P「ダメだったらそこまでだよ」

周子「意外にバッサリだね」

P「慈善事業じゃないんでな」

周子「そっか。それじゃ、アタシも帰るよ。ばいばい」

P「おう。じゃあな」
翌朝

P「さて、行くか」ガチャ

P「おーい。行くぞ」

杏「あーうん。飴くれ」

P「ほれ」

杏「…はっか飴は好きじゃないんだよね」

P「目は覚めるだろ?」

杏「まーね」

P「それじゃ、向こう着いたらレッスンやってみてアイドルにするか決めるから」

杏「んー、しょうがないなぁ」
事務所

ちひろ「ついに警察に電話する日が来てしまうとは…」

P「落ち着きましょう。杏は17歳です。菜々と一緒です」

ちひろ「え、へぇ。あぁ、なるほどそれでまさかスカウトしたんですか?」

P「まぁ、スカウトじゃないですね。今回は」

ちひろ「と、言いますと?」

P「テストしようかなって思いまして。そこで決めます」

ちひろ「なるほど」

P「それじゃ、行くぞ杏」

杏「飴くれ」

P「ほれ」

杏「しょうがない行ってあげるか…」

レッスン場

トレーナー「それじゃ、どれくらい出来るか確認しますね」

杏「だるいなー」

P「そう思うなら全部一発で合格出せばいいじゃないか」

杏「…そうだね。そうしよう」

トレーナー「それじゃ、まずはダンスから――」
事務所

P「ただいま帰りました」

杏「人生で一番頑張った気がする…」グデー

ちひろ「あらあら。脇に抱えられて…。それでどうだったんですか?」

P「実はですね、合格でした」

ちひろ「よかったじゃないですか。なんでそんな浮かない顔してるんですか?」

P「才能の塊ですね。正直宝の持ち腐れもいいとこです」

ちひろ「そんなに凄かったんですか?」

P「えぇ。確かに運動神経はあまりよくないかもしれないですが、体の動きに無駄がないせいかうまく見えるんですよね。そ
れに――」ペラペラ

ちひろ「は、はぁ、そこまで言うんだったら本物なんでしょうね」

P「まぁ、問題はやる気だけですね」

杏「杏はもう帰るぞー」
P「おう。もう帰っていいぞ」

杏「いやいや、Pさんも無理せず休もうよ。そしてついでに杏を家に送るべきだと思うんだ」

杏「そうだよ。それがいいと思うよ」ウンウン

ちひろ「……」

P「これさえなければなんですけどね…」

P「俺は帰らないって。仕事あるから。これからもよろしくな杏」

杏「まぁ、杏は印税生活するためにアイドルやるんだからそのためにPさんが杏の代わりに努力しなきゃだめだよ」

P「はいはい」

杏「ま。そんなことより、今はとりあえず飴ちょうだい」

P「食べ過ぎじゃないか?」

杏「そんなことないって。あ、そうそう。Pさんを杏が印税生活出来るようになるまで杏の飴係りに任命するよ」

杏「ちなみに妖怪飴くれは飴がないと何もしないからな!」
おしまいです。画像ありがとうございました。
そうですね。次辺りで周子と美嘉の話でも書ければなと思います。
もう面子は増えません。多分。
余談ですが、最近は、モバP「野球は好きか?」などを書いていました。
野球が好きな方がいらしたらそちらもどうぞ。
モバP「野球は好きかー?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1367579294/

モバP「野球とか好きか?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1368945146/

20:30│双葉杏 
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