2013年12月24日

鷺沢文香「だらしないプロデューサーのやり方」

モバマスSSです。

凛「プロデューサーはだらしないなぁ」と同じだらしないプロデューサーの話ですが続きものではないです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1387023021


P「」グデーン

ちひろ「なに脱力してるんですか?仕事してくださいよ」

P「もう終わってますよ」グデーン

ちひろ「本当だ……」パラパラ

バタンッ

きらり「Pちゃーん杏ちゃん連れてきたにぃ☆」

杏「プロデューサーきらり使うなんてズルいよ!反則だよ!」

P「にょわー☆Pちゃんすっごーいハピハピ♪そのまま杏をレッスンに連れて行ってくれたらもっとハピハピすぅかも」グデーン

きらり「にょわー☆じゃあ、Pちゃんをもっとハピハピしちゃうにぃ♪」ズドドド

ちひろ「プロデューサーさん!自分の仕事をアイドルにさせないでくださいよ!!」

P「まぁまぁ、きらりだって最近レッスン不足でしたし仲の良い杏とレッスン出来て余計に頑張るでしょ」グデーン

ちひろ「あのねぇ……」

P「ふわぁ……歌舞伎揚げ食いたいなぁ……」グデーン
ガチャ

文香「……おはようございます」

ちひろ「文香ちゃんおはよう」

P「おはよー」グデーン

ちひろ「寒かったでしょ?お茶いれるね」

文香「……ありがとうございます」

P「鷺沢さん仕事馴れたー?」

文香「……まだ……分かりません」

P「そっか」ガサゴソ

文香「…………」

P「チェルシー食べる?」

文香「……大丈夫です」

P「そっかーチェルシー食べると元気になるんだけどなぁ」パクッ

文香「……すいません……あの……レッスン行ってきます」

ガチャ タッタッタッタッ
ちひろ「あれ?文香ちゃんは?」

P「レッスン行きました」

ちひろ「あれ?文香ちゃん、今日レッスンありましたっけ?」

P「昨日、俺がいれたんすよ」

ちひろ「あのねぇ……スケジュールの変更あるなら私に報告してくださいよ……」

P「さーせん」

ちひろ「まったく……もっとしっかりしてくださいよ?」

P「ちひろさんがしっかりし過ぎなんですよーおまけに美人で優しいしー」

ちひろ「間延びしたお世辞に効果はありませんよ?」

P「本当に思ってますってーそんな優しいちひろさんにお願いがあるんですけど」

ちひろ「嘘をつけ……で、お願いってなんですか?」

P「歌舞伎揚げ買ってきてくれませんか?」

ちひろ「はぁ!?グダグダしてるんだから自分で買って来たら良いでしょ!!」

P「お釣りあげますから」→500円

ちひろ「し、仕方ないですねぇ!私も用事ありましたし行って来てあげましょう」ガチャ バタンッ

P「……ふぅ」カタカタ
ガチャ バタンッ

ちひろ「うぅ、寒かった……」

P「おかえんなさーい」ゴロンゴロン

ちひろ「人をパシらせといて何ソファでゴロゴロしてるんですか!!」

P「いやぁ、デスクでダラダラするのも限界があったんで……それで歌舞伎揚げは?」

ちひろ「買って来ましたよ」ガサッ

P「あざーす」ガサゴソ バリッ

ちひろ「ああ、もう!!ソファに寝転びながらそんなボロボロ食いカスが落ちるような物を食べないでくださいよ!!スーツにもついちゃうでしょ!?」

P「大丈夫ですってー」バリバリ

ちひろ「本当にだらしないんだから……」

P「あ、ちひろさん」バリバリ

ちひろ「なんですか?」

P「お茶ください」バリバリ

ちひろ「だらけるのも大概にしろッ!!」ドスッ


―――
――

P「んー……はーい……大丈夫大丈夫。まぁ、仕方ないさ。了解でーす」ピッ

ちひろ「文香ちゃん……なんて?」

P「体調が良くないんだってさー」

ちひろ「そうですか……でも、どうします?今日のバラエティー番組」

P「番組Pさんに連絡しときました。代わりのアイドル行かせますって」

ちひろ「か、代わりって!?今日、みんなスケジュール埋まってますよ!!」

ガチャ

みく「Pチャン!ピンチなのでみくにゃんのファン辞めますってどういう事にゃ!!」

ちひろ「あ、そっか。今日はみくちゃんオフだったわね」

P「おー良く来たなみく」
みく「なんにゃ!喧嘩にゃ?みく負けないにゃ!!」フシャー

P「あのさー今からテレビ局に行ってバラエティー番組に出演して、後日オフ貰うのととにかく魚ばかり食べまくるロケに1週間行くのとどっちが良い?」

みく「いつもなら絶対に前者だけど……どっちも拒否させてもらうにゃ」

P「なんで?」

みく「なんか胡散臭いからにゃ」

P「そっか」

みく「そうにゃ」

P「…………」ガサゴソ

みく「…………」

P「…………」バリボリ

みく(な、なんにゃ……いつもならここでみフ辞か実力行使に出るのに……ま、まさかみくはPチャンの術中にハマっているのにゃ!?ぐぬぬ)

P「…………」ズズズ

みく「い、行くにゃ!今からテレビ局に行くにゃ!!」

P「あ、そう?じゃあ、行くか」

ちひろ「なんか分からないけどみくちゃんは負けたのね」
―― テレビ局 ――

みく「宜しくお願いしますにゃ!!」

番組P「おー来る予定の娘とは違って元気な娘が来たね」

P「すいません、また迷惑をかけてしまいまして」

番組P「いやいや、君にはこの間の件でずいぶん迷惑をかけてしまったからね。これくらいは構わないさ」

P「あ、そうすか?でも、これは僕に迷惑をかけた分の借りを返してもらったって事っすよね?」

番組P「え、あ、そうかな」

P「じゃあ、あいちゃんの分の借りを返してもらっても良いですかね?」

番組P「あ、ああ、もちろん。た、ただしあまり無茶は言わないでくれよ?」

P「ありがとうございますー」
みく「お疲れ様ですにゃ!!」

P「んがー……んがー……」

番組P(堂々とイビキかいて寝てる……まったく……大物なのかなんなのか……)

みく「Pチャン!!なんで寝てるにゃ!?」

P「んがッ……お?終わったのか……ふわぁ」

みく「も、もしかしてみくの活躍見てなかったのにゃ!?」

P「見てたよ」

みく「嘘つくにゃ!まだ寝惚け眼にゃ!!」

P「前川うるさーい」

みく「前川って言うな!!」

番組P「あはは、みくちゃん良かったよ。また呼ぶと思うから。Pくんもお疲れ様。例の件の詳しい事はメールいれとくから」

みく「あ、ありがとうございましたにゃ」

P「ありがとうございましたー」
P「んー……思ったより早く終わったなぁ」

みく「それはPチャンが寝てたからにゃ!!」

P「まだ、夕方か……」

みく「話を聞くにゃ!まったく……Pチャンはだらしなすぎるにゃ……ジャケットもクタクタになってるし、ネクタイちゃんと閉めてるところあんまり見たことないし、みくのプロデューサーでもあるんだからしっかりしてほしいにゃ!!」

P「コンビニ寄ってこー」

みく「な!?Pチャン、絶対にみくを嘗めきってるにゃ!!一回痛い目にあわせないとわからないのかにゃ」

P「あ、そうだ……ゲストの中でも一番みくは可愛かったぞー……じゃあ、気をつけて帰れよー」

みく「……こ、今回だけは許してあげる事にするにゃん」

P「かげろーおーのこうやまちはやけーかぜがはこーぶおれのさだめー」スタスタ
―― CGプロ所属アイドル寮 ――

コンコン

文香「……はい」

ガチャ

P「こんばんはー……」

文香「……プロデューサーさん」

P「ちょっとあがっても良いー?」

文香「……はい……どうぞ」

P「お邪魔しまーす。あ、これ、プリンね」

文香「……ありがとうございます……あの、プロデューサーさん」

P「本当に本いっぱいあるなぁ……読んで良い?」

文香「……はい……どうぞ」
P「…………」ペラッ

文香「……お茶……どうぞ」コトッ

P「あんがとー」

文香「…………」

P「…………」ペラッ

文香「…………」

P「…………」ペラッ

文香「……あの……プロデューサーさん……休んですいませんでした」

P「あー大丈夫大丈夫。代わりにみくが行ったから」ペラッ

文香「……私……本当は体調なんて」

P「でも、元気ないのは本当でしょ?」ペラッ

文香「…………」

P「…………」ゴロン ペラッ

文香「…………」
P「ふぅ、面白かった」パタンッ

文香「…………」

P「ついつい、読みこんじゃったなぁ」

文香「……あの……プロデューサーさん」

P「ん、なに?」

文香「……考えてみたんですけど……やっぱり……私にはアイドルは向いてないです」

P「なんで?」

文香「……この前の……番組出演で……私は一言も言葉を発する事が出来ませんでした……緊張していた事もありましたが……思ってしまったんです。『私が言葉を発したら好奇な目で見られるのてはないのだろうか』『この明るい雰囲気を壊してしまうんじゃないだろうか』……そう思ったら怖くて」

文香「……私は……本ばかり読んでいたせいか……コミュニケーションが得意ではなくて……『根暗』とか言われて来ました……初めは傷付きもしましたが次第になれて……だけど、私が何か言葉を発した時に向けられる好奇の目や雰囲気が変わってしまう様だけにはなれなくて……まるで私は居てはならないような……それが怖くて」ポロポロ
文香「……わかってるんです……それくらい乗り越えなきゃって……だけど、出来なくて……私は弱いんだって思ったら……」ポロポロ

P「なるほど」

文香「……子供みたいな理屈を捏ねて……アイドルどころか……大人として失格で、そんな私にアイドルなんて出来るわけない」ポロポロ

P「鷺沢さんは『明日に向かって撃て』って映画見たことある?」

文香「……いえ」ポロポロ

P「アメリカ・ニューシネマの傑作でさ。ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードがカッコいいんだよねー」

文香「…………」グスッ

P「強盗団のブッチ・キャシディとサンダス・キッドの鮮烈な青春を描いた映画なんだけど、最後にブッチとサンダス・キッドは憲兵隊に囲まれて二人は銃を撃ちながら飛び出して行くんだ。そのシーンがまた素晴らしくてさー」

文香「…………」グスッ

P「憧れたなーブッチとキッドみたいになりたいってさー」
P「彼等は決して強くはなかった。だけど、憧れてしまうのはなんでだろうね?」

文香「…………」

P「興味が湧いたら見てみると良いよ。俺が生まれる前の映画だけどとても面白いからさー」

文香「…………」

P「今日休んだ分、次のオフの日に仕事いれといたからよろしくねー」

文香「……はい」

P「あ、そうだ。鷺沢さん」

文香「……なんですか?」

P「アイドルに向いてる向いてないは君が決めるんじゃなくて俺が決めるんだよね。それだけ……じゃあ、おやすみ」

文香「……おやすみ……なさい」

バタンッ


―――
――

ちひろ「プロデューサーさん……」

P「んー?」グデーン

ちひろ「大丈夫なんですか?」

P「何がー?」ガサゴソ バリッ

ちひろ「文香ちゃんですよ!!あの子に一対一のトーク番組なんて……しかも新番組ですよ!?」

P「大丈夫でしょ」バリッ モグモグ

ちひろ「あーもうッ!なんでそんなに呑気に構えてられるんですか!?文香ちゃんは明らかにバラエティー向きなタイプじゃないのに……私は心配で仕方ないですよ……きっと不安と緊張で震えてますよ」

P「ふーん……じゃあ、見に行きますか……よっこらせ」

ちひろ「はじめからそうしてください!っていうか寝癖とネクタイ!!というこそのスーツなんとかなりませんか!?クッタクタじゃないですか!!」

P「ちひろさん俺のお母さんみたいですね」

ちひろ「だらしないプロデューサーさんが悪いんですよ!!」

P「そろそろ収録はじまるなぁ……タクシーで行くか。じゃあ、行ってきまーす」ガチャ

ちひろ「領収書きるの忘れないでくださいね!?」

バタンッ

ちひろ「……もう」
文香「…………」ブルブル

番組P「文香ちゃん大丈夫?」

文香「……は、はい」

番組P「自分の好きな事を好きにしゃべってくれて良いから」

文香「……はい」

番組P「Pくんの推薦なんだ。期待してるよ?」

文香「……え?」

AD「収録はじめまーす!!」

文香(……プロデューサーさんが私を推薦……もしかして……明日に向かって撃て、か)

番組P「あの娘……大丈夫かなぁ……」

番組P「あの男の考えてる事は良くわからん。なのになーんか押しきられてしまうんだよなぁ……厄介な相手と仕事をしてるもんだよ」ハァ
司会者「初回のゲストはCGプロの話題の新人アイドル鷺沢文香さんです!!」

文香「……よ、よろしくお願いします」

司会者「どもー!いやぁ、やっぱりCGプロのアイドルはみんなカワイイねぇ」

文香「……あ、ありがとう……ございます」

司会者「あはは、緊張してるのかな?さて、この番組はゲストさんのパーソナルな部分を探っていくトーク番組という事で今回は鷺沢さんのパーソナルな部分を探っていきまーす」

文香(……震えが止まらない……緊張と不安で……嫌だ……怖い……でも)

番組P「ふぅ……一回止めた方が良いかなぁ……」

P「番組Pさんどもー」

番組P「Pくん?」

P「ウチの事務員に尻叩かれちゃいましてー様子はどうすか?」

番組P「……一回止めた方が良いかと思案してるところだよ」
P「あー……大丈夫ですよ」

番組P「本当かね?なんというか……彼女が大人しくて自己主張しないタイプなのは君から聞いて知っていたがあそこまで拒否反応みたいなの示されると不憫にすら思えてきてね」

P「そこなんすよねー」

番組P「なに?」

P「鷺沢さんって話してみるとちゃんと応えてくれるんですよ。確かにか細い声で聞き取りづらい時もありますが語彙も豊富だし、こっちが疑問をぶつけたり話題を提供する限りちゃんと話してくれるんですよ」

番組P「だが、番組の収録では勝手が違うだろ。独特な雰囲気があるし、周りもゲストに囲まれてたりしたら飲まれてそんな面が見えずに埋もれる事もある」

P「あんなにカワイイ子が埋もれるかなー?いや、この前ね?ウチのアイドルのバーターとして彼女を別のバラエティーに出したんすよ。そしたらビックリ、その番組中まったく話せてなかったのに鷺沢さんについての問い合わせがバッタバッタとねー」

番組P「むっ……確かに私も彼女とは今日が初対面だが挨拶を交わした時にドキっとしたよ」

P「でしょー?あ、コーヒーもらいますね」コポコポ
P「それが逆に彼女の進路を妨害してるって言うか……苦ッ!砂糖入れんの忘れてた……」サラサラ

番組P「どういう事かね?」

P「番組Pさんが言ってたじゃないですか不憫にすら思えてくるって」

番組P「確かに言ったが……」

P「もし、別のタレントなら違う言葉が出てくるんじゃないすか?『話にならない。使えないな』とか」

番組P「む……」

P「庇護欲って言うのかなぁ……あんな如何にも物静かでカワイイ子が目に入ったら守りたくなるって言うか……まぁ、それが鷺沢さんの武器でもあるんですが……あんま良くない方向で味方作っちゃって逃げ道が自然と出来ちゃってる。他意なんかあるわけなくてそれは彼女の防衛本能みたいなもんでね」ズズズ

番組P「なるほど……ん?も、もしかして君がこの番組に彼女を出すように頼んだのはもしかして!?」
P「さすが番組Pさんっすねー」

番組P「き、君ってヤツは……」

P「一対一のトークバラエティー……司会者をその魅力で味方に出来たとして喋らずにはいられない状況。逃げ場なんてないってわけですよ」

番組P「まったく……私の番組でこんな……これは貸しだからな!」

P「そんなぁ……でも、まぁ、大丈夫です。話術は拙いがそれを補って余りある語彙と知識があるし、あの可憐な声も武器になる。ポテンシャルは高いんだ。番組終わるまでに前言撤回ですよ」

司会者「鷺沢さんは読書が趣味なんだよね?本が好きになった切っ掛けはなんだったの?」

文香「……わ、私が本を読む切っ掛けは……叔父さんが古書店をやっていて……小さい頃に……その古書店で絵本ばかり読んでいまして」

司会者「どんな絵本?」

文香「……ルース・スタイルス・ガネットのエルマーとりゅうとか……アーノルド・ローベルのどろんここぶたとか……ピーターラビットも好きでしたし、ミッフィーやグリとグラ……もちもちの木や11ぴきのねこは今でもたまに読みます」
司会者「さすが詳しいねぇ!あ、そうだ!!実は僕には五歳になる息子がいるんだけどさ。息子に絵本買ってあげたいんだけどどんな絵本が良いかなぁ?」

文香「……そうですね……レオ・レオニのフレデリックはどうでしょう」

司会者「それはどういうお話なの?」

文香「……冬を間近に向かえ……ネズミ達は冬を越すために準備をするんです……食料を集めたり……でも、ネズミ達の中でフレデリックというネズミだけは働かない……仲間達はフレデリックに『なぜ働かないんだ』と問い詰めるんですが……フレデリックは『僕はみんなと違う形で働いてるよ』と言うんです」

司会者「なんかアリとキリギリスみたいだね?どうぞ続けて」

文香「……そして、冬が来ます……外は色を無くした灰色の世界……ただ耐えるだけのネズミ達……そこでフレデリックはみんなと違う形で働いて集めた物をみんなに披露するんです」

司会者「その集めた物は?」

文香「……言葉です……それは様々な言葉で灰色の世界に彩りを添えるんです……ネズミ達は気が滅入りそうな冬をフレデリックの言葉によってまるで温かく色彩豊かな春の様な気持ちで越えるんです」

文香「……確かにパンは生きる上では欠かせないけど……それだけじゃ到底生きていく事なんて出来なくて……心を豊かにするためには芸術や音楽と言った物も必要だという事を……あ、すいません……」

司会者「なんで謝るの?」
文香「……わ、私……話しすぎですよね」

司会者「あはは、トーク番組なんだから話さないと!それに文香さんの話を聞いてて引き込まれたよ!!少し子供には難しいかなって思ったけど子供の感性は柔軟だし本当に理解しなくてもメッセージとして伝わるもんね」

文香「……は、はい」

司会者「大人が読んでも面白そうだなぁ!」

文香(……私……話せてた……みんな……ちゃんと真摯に聞いてくれる……そっか……プロデューサーさんが言いたかった事が何となくわかった気がする)

番組P「うーむ、良くなってきたねぇ。たどたどしいけど、そのテンポが逆に心地よく耳に入ってくるなぁ……意図してた番組の方向性とは多少違うが……これはこれでありだね……Pくん、悔しいが前言撤回を」

P「んがー……んがー……」

番組P「はぁ……まったく……」
番組P「Pくん!起きろ」ユサユサ

P「んー?なんすか?」

番組P「君ねぇ……なんでスタジオで堂々と寝れるんだよ!ほら、もう終わるよ」

P「ふわぁあ」

司会者「今日のゲストは鷺沢文香さんでした!!」

文香「……ありがとうございました」

AD「オッケーです!!お疲れ様でしたー」

司会者「おつかれー!文香ちゃんもお疲れ様」

文香「……お、お疲れ様……でした」

司会者「正直な話、君は物静かなタイプだと思って不安だったんだけど実際話してみると楽しかったよー」

文香「……あ、ありがとうございます」

司会者「またお仕事出来るのを楽しみにしてるよ。帰りに本屋に寄らないとなあはは」スタスタ

文香「…………」
P「鷺沢さんおつかれー」

文香「……プロデューサー……さん?……いらしてたんですか?」

P「ちひろさんが行け行け煩くてさー俺は鷺沢さんなら大丈夫って言ったんだけどねー」

文香「……あの……私」

番組P「文香ちゃん、お疲れ様。初回だし不安もあったんだが別の方向性も見えて素晴らしい初回だったよ。またゲストに来てくれるかい?」

文香「……こ、こちらこそ……私……最初は怖かったんですが……途中から楽しんで出来ました……ありがとうございました」

番組P「それなら良かった。あと、礼ならおたくの寝癖男に言いなさい。私にとっては悪魔だが、君にとっては救世主だからね」

文香「……はい」

P「番組Pさん、酷いなぁ……」ポリポリ
P「じゃあ、鷺沢さん帰ろうか」

文香「……あ、あの」

P「はらへったなーラーメン食いたいなぁー」

文香「……あの……プロデューサーさん……私のために……あの番組の仕事を」

P「もちろん、だってアイドルのために仕事を取るのが俺の仕事だしねー」

文香「……ありがとうございます」

P「いえいえ」

文香「……私……つくづく甘かったです……逃げ道がある事に甘えてた気がします……だけど、今日のお仕事で逃げずに真摯に向き合う事の大切さを知りました」

P「そっかーなら、良かったよ」

文香「……はい」

P「鷺沢さん、仕事はなれた?」

文香「……まだ、なれたとは言えないけど……お仕事続けていきたいです」

P「そりゃ続けてもらわないとーだって君カワイイしアイドルに向いてるもん」

文香「……///」


―――
――

P「んー」ダラー

仁奈「んー」ダラー

ちひろ「仁奈ちゃん……なんでナマケモノの着ぐるみを着てプロデューサーさんの頭の上に乗ってるの?」

仁奈「Pの気持ちになりやがってるですよ」ダラー

P「仁奈重いよー」ダラー

ちひろ「か、カワイイけど……降りなさい?プロデューサーさんは仕事があるんだし」

仁奈「ちひろおねーさんおろしやがってくだせー」ダラー

ちひろ「もう……悪影響だわ……」グイ

P「お、軽くなった」ダラー

ちひろ「シャキっとしてくださいよシャキっと!!」

P「シャキ」ダラー

ちひろ「あのねぇ……」
Prrrrrr

ちひろ「プロデューサーさん、電話なってますよ」

P「んー……」ピッ

ちひろ「スマホの上に頭を乗せないで手で持って耳に当てなさいよ!」

P「やみのまー」

ちひろ「蘭子ちゃんからか……」カタカタ

P「んー?」

ちひろ「プロデューサーさん、蘭子ちゃんの言ってること分かるんですか?翻訳アプリ使います?」カタカタ

P「戦乙女(ヴァルキュリア)達による穢れなき宴が迫りし刻、創造主が訪れるであろうが臆する事はない。傍らを歩みし者の祈りが神の寵愛を汝に与え、悠久なる耀きが約束されるだろう(そのアイドルバラエティーの収録が始まる時に番組のプロデューサーが来ると思うが緊張する事はないよ。俺が宜しく言ってたと伝えてくれれば良くしてくれると思うから)」グデーン

ちひろ「…………」

P「やみのまー」ピッ

P「ふぅ……はらへったなぁ……」

ガチャ

文香「……おはようございます」

ちひろ「文香ちゃんおはよう!」

P「鷺沢さんおはよー」ダラー

文香「……あ、あの……プロデューサーさん」

P「んー?」

文香「……これ」ガサゴソ

P「お、明日に向かって撃てのDVDじゃん。見た?」

文香「……はい……未来と真摯に向き合ってたから……彼らの生き方は眩しくて……プロデューサーさんは私に彼らのように逃げずにやってみろって言いたかったんですよね?」

P「さぁ?まぁ、でもそう言う人ほど素敵だよなとは思うなー」

文香「……私も……そう思います」

ちひろ「プロデューサーさん!打ち合わせの時間じゃないですか!?」

P「あ、そうだった……よっこらせ」

文香「……プロデューサーさん……私も逃げずに……頑張ります」

P「期待してるよ文香ちゃん」

文香「……ふ、文香……ちゃん……///」

P「さぁて、行きますか……ふあぁあ」

以上になります

昼行灯キャラは好きなんだけど書くと難しいっすわ

02:30│鷺沢文香 
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