2014年11月19日

凛「ふーん、アンタが私のプロデューサー?」


モバマスの二次創作。

渋谷凛がアイドルになるお話です。



ご意見、ご感想お願いいたします。





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目を開けると、街の雑踏の中にいた。



凛「あれ...ここは原宿だよね?」



何を調べるでもなく私は理解した。



私は、渋谷凛。15歳。

趣味は犬の散歩。

そして、ここで『誰か』を待っている。



凛「(でも、誰を待っているんだろう)」

ボンヤリ考えながら通行の邪魔にならないよう、通りの端に立つ。

通りの向こう側にある本屋では、サイン会が催されているようだ。

名も知らないアイドルのサイン会。

私は、目が離せなかった。

世界はそこしか存在しないかのように私の目は、そこをボンヤリと見つめていた。



何度夜が過ぎただろうか。一回も過ぎていないかもしれない。

相変わらず待ち人はこない。

目の前を巡回中の警察官が通ったが、私など見えないように去っていく。



凛「(どう見ても制服姿なんだけどなぁ...でも、私はここで待ってないと)」

謎の使命感が私にそうさせる。



待ちぼうけが過ぎたのか、時間の感覚が無くなっていた。

太陽は何度のぼり、何度沈んだのだろう。

もしかすると、太陽は一度も昇っていないし、一度も沈んでいないのかもしれない。



ふと、隣を見ると、そこには『私』が立っていた。

私と同じように道の端に立ち、通りの向こうを。本屋のサイン会を眺めている。

すると、『私』もこちらに目を向けてきた。

言葉を交わすことなく、私と『私』は隣同士で立つことにした。

4つの瞳は、本屋のサイン会を見つめている。

雑踏が止むことは無く、本屋のサイン会も続けられている。

多くのお客さんはいないようだが、少なくもないようだ。



4つの瞳は、一人の男を見つけた。

いや。男が2人を見つけたのかもしれない。

男は、人通りなど存在しないかのように2人の前に立つ。



凛「(この人が、私が待っている人なのかな)」



そう考えていると『私』が口を開いた。

そうして、『私』はその男についていった。

4つの瞳は2つになった。

サイン会は今日も終わらない。



1人になってから幾日か一瞬か経ったある日。

私の目の前にも、スーツを着た男が現れた。

メーカーは分からないが、小奇麗なスーツ。

香水でも使っているのか、彼の匂いを感じる。



凛「(この人だ。私はこの人をずっと待っていた!)」

いわゆる、ティンと来たというヤツなのだろう。

私は『私』と同じように男に言った。



凛「ふーん、アンタが私のプロデューサー?……まあ、悪くないかな…。私は渋谷凛。今日からよろしくね。」



私は、『アイドル』になった。

早速、その日にレッスンを行うことになった。

レッスン上には、私の他に10人のアイドルがいた。

髪の長い人。短い人。

メガネをしている人。していない人。

年上の人。年下の人。



凛「色んな人がいるね。プロデューサー。……私、もっと頑張るから。」

身体の底からやる気が湧きあがるのを感じる。



レッスンが始まる。

音楽が流れる。

メロディに合わせ、歌う。

身体が楽器のように高鳴り、自然と踊りだす。



凛「(楽しい…アイドルってこんなに楽しいんだ!レッスンじゃなくて、大きい会場で多くの人に見てもらいたい。多くの人を笑顔にしてあげたい!)」

自然とそんなことを思った。



P「…んっ。凛。」



凛「え。プロデューサー?」



気が付くと、音楽は止み、プロデューサーと私だけがレッスン場にいた。

他の皆は先に帰ったのだろうか。

終了の合図にも気づかないくらい集中していたようだった。



P「今日のレッスンはここまでだ。寮でゆっくり休め。」



凛「プロデューサー、休んでる暇はないよ?私、まだ出来る。」



P「これ以上やっても上手くならないし、休むことも大事な仕事だ。寮に行け。」



凛「わかった。今日は、ゆっくり休むよ。」



そうプロデューサーに言う。

ちゃんと言えたはず。

確信が持てないのは、気が付いたら寮の部屋の前にいたからだ。

どうレッスン場からここまで来たのだろう。

だが、そんなことはどうでもいい。

プロデューサーが休めと指示をくれた。

私は従うだけ。

ドアには鍵がかかってなかった。鍵穴すらない。

銀色のノブを回して部屋に入る。

白い部屋に小さい窓。そして、ベッドがひとつ置かれていた。



いつ見たのかわからない。知らないのかもしれない。

だが私は、その部屋をドラマで見た「独房」のようだと感じた。



凛「なにもない…か。よいしょ。」

行儀悪く掛け声を出しながらベッドに腰掛ける。

この部屋には自分しかいないのだから、多少は良いだろう。

ベッドは、柔らかく私のお尻を受け止めてくれる。

レッスンの疲労感が心地よい。

次は、どんな仕事だろうか。

次も、またレッスンだろうか。



そう思いを巡らせていると、ドアが急に開けられた。



凛「きゃっ…もうプロデューサー。ノックくらいしなよ。女の子の部屋だよ。」



P「ん?ああ。すまん。気を付ける。…さて次の仕事だ。仕事というかレッスンだ。レッスン場に来い。」



返事をする暇もなく、私はレッスン場にいた。

しっかりレッスン着にも着替えている。



凛「(まただ、変なの。でも、あの快感を味わえるなら…)」



先ほどのレッスンの疲労感は、いつのまにか無くなっていた。

レッスン場には、また私を含め11人のアイドルがいた。

そのなかに『私』がいた。

『私』はフリルをあしらった和服のような衣装を着ていた。



凛「かっこいい…青っていうより蒼だね。私もいつかあんなふうになりたい。」



新たに決意を固め、レッスンに臨む。



音楽が流れ、歌う。

でも、先のレッスンのように集中ができない。

私は、私の歌が歌いたい。



でも、『私』の歌がすべてを覆い隠し、消していく。



『私』の歌に耳が奪われた。

『私』のダンスに目が惹かれていく。



私は『私』を無視できない。

『私』の歌はどこまでも華麗で、ダンスはどこまでも綺麗だった。



身体が軽くなる。まるで、『私』の歌に吸い込まれるようだ。



凛「(ずっと聞いていたい。ずっと見ていたい)」



アイドルとして有るまじきことを考えてしまう。



凛「(ダメ!私はアイドル!魅せられるんじゃなくて、魅せていかないと!)」



気が付くと、私は空に浮かんでいた。

空に浮かぶとしか、表現が出来ない。

空から、プロデューサーと『私』を見下ろしている。



レッスン場には、プロデューサーと『私』だけしか存在していない。



私は、『アイドル』じゃ無くなった。





意識が朦朧とする。

まるで夢の中にいるように。

ぬるま湯に浮かぶようにふわふわしている。



凛「(ここは、どこだろう?)」



白い世界をどこまでも、ゆっくりと沈んでいく。

底に身体があたり、優しく跳ねる。



目を開けると、街の雑踏の中にいた。

凛「あれ...ここは原宿だよね?」



何を調べるでもなく私は理解した。



私は、渋谷凛。15歳。

趣味は犬の散歩。





私は、ここで『誰か』を待っている。





-了-



17:30│渋谷凛 
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