2014年12月16日

五十嵐響子「ハートフルレインボー」

※アイドルマスターシンデレラガールズの五十嵐響子ちゃんが主役のSSです



※前半が地の文+会話文、後半が会話文です



※初SSです





※書き貯め有り



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1417709230



ちひろ「それでは今回のCDデビューが決定したアイドルを紹介します!」



ちひろ「今回キュートプロダクションからCDデビューを果たすのは……宮本フレデリカちゃんです」



もう何度目になるだろう。



脳の芯から熱が引いていく様な不思議な感覚。今度こそはという微かな期待が音をたてて崩れていった。



ぼうっと瞳の端に映る彼女の顔は、いつものような楽しそうな顔ではなく今までに見たことのない驚きの表情へと変わっていた。



仲間のCDデビューが決まったのだし、お祝いしてあげなくちゃ。



頭ではそう思っていても体と心は言うことを聞いてくれない。



彼女の周りには大きな人だかりが出来てお祝いの言葉が満ち溢れていた。

彼女はその中心で涙を流してプロデューサーと抱き合っている。



あんな珍しいフレデリカさんの姿を見るのはこれが最後かもなぁなんて、どうでもいいことを考えながらも私はまだ一歩も動けないでいた。

事務所の仲間や芸能界の知り合いの人からは「次のデビューはキミだろうね」「キミのCDが聞けるのを楽しみにしているよ」という言葉を何度も聞いてきた。



キュート・クール・パッションプロダクションの3つのプロダクション合同企画であるアイドル総選挙でも、200人近くいるアイドルの中で50位以内には入っていたし、一番最近開催されたものでは24位という順位にランクインできた。



しかし、一年経っても二年経っても未だに私のCDデビューの夢は叶っていない。



もちろん、アイドルの仕事はCDデビューがゴールではないが、大きな通過点の一つであることには違いない。



私もアイドルになった以上はCDデビューを目標に日々研鑽を積んでいるつもりだ。

しかし、私はまたしてもデビューするアイドルに選ばれることはなかった。



それどころか、事務所に後から入ってきた子に先にデビューを越されてしまっている。



この世界は実力社会。入った順番など関係ないのは理解しているが、それでも先にデビューされてしまった悔しさはある。



事務所の先輩として、友人としておめでとうと言ってあげるべきなのだろうか。



それとも、同じ世界で戦うアイドルとして悔しさを爆発させるのが良いのだろうか。



少し考えてみたけど、友人がデビューすることは素直に嬉しい。ここは素直に祝福してあげよう。



そう思って私も人垣の中へと突入していった。

響子「フレデリカさん。デビューおめでとうございます」



フレデリカ「響子、ありがとー」

そう言った彼女の顔はとても嬉しそうだった。



あぁ…本当は私がこんな顔してたのかもなぁって嫌な考えが脳裏を過ぎる。



響子「今回は先越されちゃったけど、すぐに追いついて追い抜きますからね!」



フレデリカ「うん。私も負けないように頑張るねー☆」

ふう。ようやく人垣を抜けだして一息つくことができた。



そのとき、後ろから急に声をかけられた。



P  「響子」



響子「あ、Pさん。お疲れ様です。その、今回もデビュー、ダメでしたね」

あはは…っと笑いながら返事をする。



P  「その、すまない。俺の力量不足でまたお前をデビューさせてやることが出来なくて…」

響子「Pさんのせいじゃありません。私の努力が足りなかったんです。でも、次こそはデビューするためにもっともっとレッスン頑張って、ファンのみんなのハートを捕まえちゃいますよ!」

そう言って私は両手に握り拳を作ってガッツポーズをしてみせた。



しかし、Pさんの顔色は一向に良くならず、むしろ沈痛さが増していた。

響子「あの、Pさん?」



P  「響子、ちょっと外に行って話そうか。飲み物でも買っていこう。なにがいい?」



響子「じゃあ、暖かいミルクティーをお願いします」



P  「分かった。俺は缶コーヒーでいいかな。あれ、いつも買ってるの売り切れか…」



響子「ダメですよ、Pさん。自動販売機は高いんだから、あんまり使わないようにって言ってますよね?」

飲み物を買ってもらいつつ、こんな時でもついそんな言葉が口をついてしまう。



Pさんは、響子は厳しいなーって言って苦笑いをしながらミルクティーをくれた。

11月の夜空は、ビルの屋上ということもあってか思った以上に肌寒かった。



P  「今日は一段と冷えるな。これ着といて」



Pさんが自分のスーツの上着を私に貸してくれる。



鎌倉で撮影があったときもそうだったけど、Pさんはこうやって自分の上着を貸してくれることが多い。



私には少し大きめのスーツ。でも、私はこのスーツに包まれることがたまらなく好きなのだ。

響子「ありがとうございます。でも、Pさんは寒くないんですか?」



P  「俺はほら、響子がいつも気を使ってくれてるからここ最近凄い体調がいいんだ」

だから大丈夫と言って缶コーヒーをちびちび飲んでいた。



最初は他愛無い話をしていたが、話題は次第に今日の事へと移って行った。

P  「響子。自分の名前が呼ばれなかったとき、どう思った?」



響子「えっと…残念でしたけど、同じ事務所の他の子がデビュー出来るのは凄く嬉しいって思いました!」



P  「それは本心か?」



響子「え…?」



P  「響子。お前は凄く優しい子だ。今回宮本さんのデビューをお祝いしてあげられたのも、素直な響子の気持ちだと思う。でも、それが一番大きな気持ちではないだろ?」

響子「そんなことは…」



P  「ここは俺以外誰もいない。ここならいくらでもお前の本心を、言いたいことを言ってもいいんだ」



響子「本心なんて…嫌だなぁ。私は全然そんなの…」



P  「響子。もう…我慢しなくていいんだぞ」

その言葉を聞いた瞬間、私の中で渦巻いていた涙と感情が濁流となって溢れだした。

響子「私…今回こそは…。今回こそはCDデビュー出来るんじゃないかって心のどこかで思ってました。いろんな人たちからそろそろCDデビュー出来るよって言われて。自分もすっかりその気になって。CDデビュー決まったらPさんほめてくれるかな?とか、親と友達になんて連絡しようとかそんなことまで考えて…。でも、結果は知っての通り。笑っちゃいますよね。あはは…」

力の抜けた笑いと虚無感が襲ってくる。

響子「本当は悔しいです。私がデビューしたかった。でも、今思えばそうやって結果が出ていないのに油断していたのが悪かったんだと思います。心のどこかで傲慢になっていたんです。ファンのみんなのことじゃなくて、自分のことで頭がいっぱいになるなんてアイドル失格ですね」

Pさんは私の言葉を静かに聞いた後、缶コーヒーをぐいっと飲み干してから静かに話しだしました。



P 「俺も正直なところ響子は今回でデビュー出来ると思っていた。総選挙の順位も良かったし、ライブの主役も務めた。それに、今やっている料理番組の評判も上々だしこないだ出演した映画でも新たなファン層を獲得できたしライブも毎回大盛況だからな。これだけのことをしてきたのがから、響子が今回のメンバーに選ばれることに俺も一片の疑いも持っていなかった」

なにがダメだっんだろうな…とPさんが空に向かって呟く。



私も何も答えられず、2人とも黙って空を見上げていた。



夜空を見上げて少し経ってから、Pさんが唐突にこんなことを言い出した。

P 「折角の機会だし、今まで一緒にやってきた仕事を振り返ってみないか?」



響子「突然どうしたんですか?」



P 「よくよく考えたらこうやってゆっくり話すのも久しぶりだしな。響子が今までの仕事をどう思っていたかとか聞いてみたいんだ」



響子「そうですね…。折角の機会ですし、今日はとことん話しちゃいましょうか♪」



P  「よし。じゃあ、まずは最初に会った時のこと覚えてるか?」



響子「もちろんです。この事務所にオーディションを受けにきたときに面接してくれたのがPさんでしたよね」



P  「そうだったな。あのときオーディション受けに来ていた子は沢山いたけど、俺は響子を一目見た瞬間にこの子だ!ってビビっと来たのを覚えているよ」



響子「あのときはまさか自分が受かるなんて思ってなくて…。合格通知が来て凄くびっくりしました」



P  「体裁上、書類での連絡になったけど本当ならその場で合格って言いたかったくらいだからな。それで採用を決めたら社長から担当プロデューサーになることを告げられたんだ」



響子「私は最初にPさんが担当って聞いた時、凄く嬉しかったんです。この人とならうまくやっていけるっていう自信がありましたから!」



P  「響子は最初に会ったときから変わってないよな。どこまでも世話焼きで、仕事場でも積極的にスタッフさんを手伝って。響子の現場はいつも明るくて楽しいってよく褒められるよ」



響子「えへへ…。Pさんが私の為にとってきてくれた仕事、現場を見てくれているって考えたらどんな仕事でも楽しく頑張れちゃうんです!」



P 「やっぱり響子は良い子だな。最初の仕事は覚えているか?」



響子「はい!もちろんです。ブライダルのイベントでしたよね。ずっと憧れていたウエディングドレスを着られて、凄く嬉しかったです!」



P 「あの時の響子は初仕事とは思えないくらい様になっていた。でも、あのときは新婦役の俳優さんが風邪を引いたから、俺が代わりにその役をやれって言われて驚いたよ。仕事とはいえ、まさか自分が新郎になるなんて思ってもいなかったからな」



響子「Pさんの新郎姿、凄く似合ってましたよ!」



P 「そうか?そう言われると悪い気はしないな。しかし、俺はその後の新婚生活をテーマにしたテレビ企画の方が大変だったよ。いきなりマンションの一室に連れて行かれて『ここでお二人で三日間生活してもらいます』なんて。最初は何の冗談かと思った」



響子「撮影相手はPさんがいいなぁ…って呟いてたのをスタッフさんが聞いていたみたいで。協力してくれたんです。でも、事前にPさんに言ったら絶対に断られるから。ならもう断れない状況を先に作ってしまおうって」



P 「あの時は本当にびっくりしたよ。最初は断ったけど、結局はスタッフと響子に押し切られる形で承諾したんだよな。最初は緊張と困惑で凄いギクシャクしたのを覚えてるよ」



響子「私もあの時は人生で一番っていうくらい緊張してました!でも、それ以上に撮影だとは分かっていてもPさんと数日でも一緒に生活できるっていう喜びのがずっと大きくて。この機会に日頃のお礼をしちゃおうって頑張りました!」



P  「夕方から撮影が始まって、最初の夕食に作ってくれたのがオムライスだったな。あのときは一人暮らしで、ろくに手料理なんか食べてなかった時だったから。響子の作ってくれた料理が本当に美味しくて、撮影中なの忘れてがっついてNG出されちゃったんだよな。二日目の撮影でOKが出たからまだ良かったけど。今もそうだけど、響子の料理は美味しいだけじゃなくて安心感があるんだよな」



響子「安心感…ですか?自分じゃ分からないですけど、Pさんが喜んでくれてるなら良かったです!でも、あのときはカップラーメンとかコンビニのお弁当ばっかり食べてるって聞いて心配になったんですよ?」



P 「どうにも自分で作る気にはならなくて…。でも、今は響子がお弁当を持ってきてくれるし、たまに夜食とかも作ってくれるから前に比べて体に活力があるのが分かるんだ。手料理の味を知っちゃうとやっぱり既製品は美味しく感じなくなるから食べなくなるしな」



響子「なら良かったです♪体は資本ですから。元気なのが一番ですよ!」



P 「そうだな。いつも本当に助かってる。ありがとう」



響子「そんな、お礼なんて。こちらこそいつもお世話になってるのでおあいこです!」



P  「いや。俺が世話焼かれてばっかりな気がするけど…。お弁当を作ってくれるのもそうだけど、肩を揉んでくれたりお茶をいれてくれたり。響子は俺がしてほしいことをピンポイントでやってくれる。本当はサイキッカーじゃないのか?」



響子「そんな力ないですよ!でも、Pさんを見てると仕草とか雰囲気で『あ、これやって欲しそうだな』っていうのが最近分かるようになってきたんです」



P 「そうだったのか。響子は本当にいいお嫁さんになると思うよ。男にとっては理想的な女の子だからな」



響子「Pさんにとっては…どうですか…?」



P 「俺もその…響子みたいに世話を焼いてくれる奥さんというのは理想的だと思う」



響子「私もその…Pさんみたいな優しい旦那さんがいいなって…」



P・響子「……」



P 「よ、よし。次に行こう!!次は水着で撮った写真集の仕事だったな!」



響子「は、はい!ああいう水着は普段着ないので少し恥ずかしかったんですけど…Pさんが似合ってるって言ってくれたから、楽しんで撮影出来たんです!」



P 「あの写真集凄く出来が良くて、売り上げも凄かったからな。一番反響があった写真覚えてるか?」



響子「もちろんです!夕焼けの浜辺で撮った写真ですよね。少し顔が少し赤くなっちゃってましたけど…。私も自分がああいう表情できるって初めて知って驚きました!」



P 「そういえば、ファンの間では顔が赤かったのは夕日のせいじゃないって言われてたよな。俺も、確かにそう言われるとちょっと恥ずかしがって赤くなってる風に見えてきてな。実際のところはどうなんだ?」



響子「そ…それは撮影の前にPさんがいきなり後ろから声をかけてきたせいです。ドキドキしたまま撮影に入って、それが顔に出ちゃったんです」



P 「そうだったのか…。でも、結果的に良い方に転んだんだし良かった。俺もあの写真集は自分で二冊買って時々見返してるんだ」



響子「そうなんですか!?でも、私は事務所の他の子たちに比べて、その、あまりスタイルには自信がないんで見ても面白くないんじゃ…」



P 「そんなことないよ。仕事上いろいろな女の子の体を見ることも多いけど、響子も全然負けてないと思う。確かに派手さはないけど、響子の賢妻良母っていうキャラクター性を考えたらむしろ今くらいが調度いいと思っている」



響子「Pさんがそう言ってくれるなら…少し自信持てそうです!でも、あんまり他の子の体をじっくり見ちゃだめですよ?その、見るなら私のを…(ゴニョゴニョ)」



P 「?」



響子「な…なんでもないです!!!あはは…」



P 「じゃ、次だな。次はクリスマスイベントか。あれが響子にとっては飛躍の仕事になったんだよな」



響子「ちょうど2年前のお話ですよね!あんなに大きいイベントの主役が出来るとは思わなくて…思わずはしゃいじゃいました♪」



P  「雪が降る中での撮影は大変だったけどな。でも、あのサンタ服は響子に凄く似合っていたぞ。イメージカラーのピンクが凄く映えていたし、あそこから響子のアイドルとしての方向性が決まったといっても過言ではないくらいにバッチリ決まってた」



響子「あの衣装、凄い寒かったんですけどね。でも、ファンの人の応援の暖かさで最後まで乗り切れました!それに、イベントが終わった後にPさんが頑張ったなって抱きしめてくれたのが一番暖かかったです…」



P  「あの時は俺も響子の初イベントが終わったと思ったら嬉しくてつい…な。でも、響子が全然離れてくれないから、スタッフさん達には凄い生温かい目で見られてたな」



響子「うぅ…恥ずかしいです。あの時は終わった安心感とPさんが抱きしめてくれているっていう幸福感でつい我を忘れて…。すいませんでした…」



P  「いや、俺も嫌ってわけではなかったからな。それに驚いたと言えば、響子がサンタ姿見せてくれたときに『プレゼントは……ア・タ・シ』って言い出した時は卒倒しそうになったよ」



響子「あ、あれはその…一度やってみたかったというか…。いい雰囲気だったからつい口をついちゃって。今思うと凄いこと言ってましたね。あはは…」



P 「誰にも聞かれてなくて本当良かったよ…。そう言えば、そのあとのパーティーでは響子がケーキを作ってくれたんだよな」



響子「はい!お菓子作りはあまり得意じゃないので少し形がおかしくなっちゃいましたけど…」



P 「味も充分美味しかったけど、わざわざ食べさせてくれなくても良かったのに」



響子「ああやって、あーんってするの憧れだったんです!クリスマスだし思い切ってやっちゃおうって」



P 「響子がはにかみながらフォークを近づけてくるから何事かと思った…。今でも2人でお弁当食べてるときたまにしてくるけど、響子はあれ好きだよな」



響子「私にとっての愛情表現というか…Pさんのが隣でご飯食べてるとついしたくなっちゃうんです。それに間接…い、いえ!なんでもないです!」



P 「?、まあ俺も響子に世話を焼かれるのは好きだからいいけど、くれぐれも人前ではやらないようにな。そう言えば、あれから事務所にたまにお菓子作って持ってくるようになったよな」



響子「あの時Pさんに美味しいって言って貰えたのと、Pさん甘いものが好きって言ってたので…。あれから何度か作っているうちに少しずつお菓子作りが楽しくなってきたんです!」



P 「それで最近よく事務所にクッキーとか持ってきてくれるのか。響子がお菓子作りまで出来るようになったら鬼に金棒だな」



響子「かな子ちゃんと愛梨さんにお話ししたら一緒に作ろうって言ってくれて。それからはお休みが合った日にはよく三人でお菓子作りしてるんですよ!」



P 「そうだったのか。道理で美味しいわけだな。最初のころに比べると凄く上達してるよ」



響子「本当ですか!練習したかいがありました!これからも味見、お願いしますね?」



P 「おう。俺で良ければいくらでも」



響子「じゃあ、次のお話に行きましょうか!次は鎌倉での撮影でしたね」



P 「あの時も響子がメインの撮影だったな。遠出して撮影したのは初めてだったけど楽しかったよな」



響子「はい!一緒に撮影したみんなとも凄く仲良くなれましたし!でも、あの時は私濡れてばっかりだったなー。雨には降られるし、海を見てたら唯さんに水の中に引っ張り込まれるし…」



P 「確かにあのときはお互いずっとびしょびしょになってたよな。2人で散歩してたら夕立ちにあって近くにあった寺の下で雨宿りしたんだっけ」



響子「あの時も今みたいに上着貸してくれましたよね♪最初はオシャレしたのに濡れちゃって台無し…って思ったけどPさんと二人で雨宿り出来て、私あの雨には感謝してるんです!」



P 「お互いタオルで拭きあったよな。あれは俺の数少ない響子に世話を焼いたエピソードだな」



響子「もう。それは思い出さなくていいんです!でも、あの時はタオル越しだったけどPさんに触られてるって凄いドキドキしちゃって。顔、真っ赤になってたの自分でも分かります…」



P 「響子にはいつも世話焼いてもらってばっかりだからな。たまにああやって俺が世話を焼けるのが嬉しいんだ」



響子「そういうこと言ってると、私、いっぱい甘えちゃいますよ?」



P 「響子はいつも甘えられる、頼られる側だからな。でも、実際はまだまだ15歳の女の子だ。俺にくらい、いくらでも甘えていいんだぞ」



響子「Pさんはそういうところがずるいんです…。今だって、さっきまでCDデビュー出来なくて凄い落ち込んでいたはずなのに、Pさんと話しているとすぐに嬉しい気分になっちゃうんです」



P 「俺も今回の件は凄く残念だったけど、響子のがよっぽどつらいと思ってな。それに、こうやって今まで頑張ってきたことを振り返るのも悪くないだろ?」



響子「はい!いろいろ思い出せて懐かしいです」



P 「よし、じゃ続きを話そうか。どこまでいったかな…。そうだ。鎌倉のステージはどうだった?ステージ上も衣装も全てカラフルだったけど」



響子「私は特に衣装が好きでした!色も可愛くて好きですけど、なによりエプロンをモチーフにしたデザインが凄く嬉しくて。私にとってエプロンは愛情の目印なんです。だから、ファンの人たちにもいーっぱい愛情を注げたかなって」



P 「確かにあの衣装は凄くいい出来だったよな。いつも明るい元気印の響子が、ステージをいっぱいに使って会場を盛り上げていたのはファンとの一体感を感じたよ」



響子「凄い盛り上がりでしたもんね!私もステージが終わった後、体と心の火照りが全然おさまらなくて大変でした」



P 「響子にしては珍しくずっと興奮してたもんな。あのステージ以来、ファンの皆にお嫁さんキャラが浸透して料理番組も始まったんだよな」



響子「はい!私、ずっと料理番組に出演するのが夢だったので…。それが叶って本当嬉しかったんです!今でもあの番組に出るの毎週楽しみなんです♪」



P 「俺も毎週楽しく見てるよ。最近は毎週事務所の子たちを呼んで2人でやっているんだよな。視聴者からはお姉さんをしてる響子が見られて嬉しいって意見が数多く寄せられている。響子は男性ファンはもちろんだけど、女性ファン。特に年下の女の子からの指示が多いからな。優しいお姉ちゃんっていう憧れがあるんだろう」



響子「そうなんですか?私、弟はいますけど妹はいないのでずっと妹も欲しいなって思ってたんです♪だから、そうやって言って貰えるのは嬉しいですね」



P 「響子が性別・年齢層関係なく人気なのはファーストライブで証明されたからな」





響子「ハートフルライブですね。初めてのライブで緊張しましたけど、私らしいハート溢れるライブが出来たと思ってます!」



P 「そうだな。ステージはピンクのハートとリボン、衣装もピンクと白でまさに響子の良さが前面に押し出される構成にしてあったからな。最初は響子がステージに飲まれないか心配だったけど、いざ始まったら逆に会場を飲み込んだ凄まじいライブだった」



響子「ファンの方の声援が熱烈だったので…私もそんなみんなのハートと情熱を捕まえて、逆に幸せな気持ちを届けるつもりで全力で頑張りました!」



P 「響子の気持ちはちゃんと伝わってたと思うよ。あと、こないだスタッフの人に聞いたんだけどライブの時の髪型自分で弄ったんだってな」



響子「そうなんです。このヘアスタイルは私のチャームポイントですから!これだけは自分でやりたいんです」



P 「なるほど。ライブの時に、そのサイドポニーがぴょこぴょこ動くのは見ていて微笑ましかったよ。響子と一緒に踊っているみたいだった」



響子「あはは…。Pさんはどんな髪型の女の子が好きなんですか?」



P 「俺か?そうだなあ…正直似あっていればどんな髪型でも気にならないよ。だから、響子のその髪型も凄く好きだ」



響子「それなら、まだしばらくはこの髪型続けたいと思います♪」



P 「そう言えば、響子はその髪型で学校も通っているんだよな。前、制服で事務所に来た時もその髪型だったよな」



響子「寝るとき以外は基本的にこの髪型なんです♪なんか、たまに違う髪型にしようかなって思っても自然と手がこの髪型にしちゃうんです。お掃除とかお料理するときに邪魔になることがないからかなぁ…」



P 「掃除と言えば、一回だけ響子が掃除中に見つけたアルバムを見返して、逆に散らかしていたってことがあったよな」



響子「あれはですねっ!部屋の掃除をするとよくあるという怪現象で…Pさんはああいうことないんですか?」



P 「確かに掃除中に見つけた漫画をついつい読んでしまうことは良くあったな。事務所でもよく資料の整理してたら昔の資料を見つけて、懐かしいなあって眺めてたこととか。まあ、最近は少し散らかすと響子がすぐ片づけてくれるから、そういうこともなくなったけど」



響子「事務所はキレイな方が気持ちいいですからね。それに、お掃除で最後まで残ればPさんと二人きりになれるから…」



P 「でも、掃除が終わった後はわざわざ俺の仕事が終わるの待ってなくてもいいんだぞ?いつも退屈じゃないか?」



響子「そんなことないですよ!学校の宿題とかお家じゃなかなか出来ないので、いつもあの時間に片づけちゃってるんです。それに、Pさんがお仕事しているのを見ているだけでも楽しいんです☆」



P 「そんなもの見てたのか?なんにも面白いことはしてないと思うんだが…。俺としてはアイドルを遅くまで事務所に残しとくわけにもいかないけど、響子がいると仕事が進むからつい甘くなっちゃうんだよな」



響子「アイドルのお仕事がない時は、私がPさんのことを支えてあげたいって思ってるんです!だから、私に出来ることならなんでも言ってくださいね?」



P 「ああ、頼りにしてるけど疲れているときとかは無理しないでいいからな」



響子「大丈夫です!どんなにお仕事が大変でも、Pさんの顔を見たらそんなの吹っ飛んじゃいますから♪」



P 「まったく…。じゃ、次に行こう。次は初めての映画出演だな。あれも今までにない試みと役柄だったけどどうだった?」



響子「最初に台本見たときは、こんな役出来るかなって不安でしたけどいざ撮影が始まれば自分でもびっくりするくらいはまり役で楽しくできました!」



P 「ハサミを持って階段上にいるカットは強烈だったな。演技だとは分かっていてもゾクッてした」



響子「もちろん演技ですからね!?もう…。でも、夜の学校って凄く怖いんですね。普段は騒がしい場所がシーンとしてるのってなんだが凄く怖くないですか?」



P 「事務所でも夜一人で残ってるとやっぱり少し不気味だからよく分かるよ。しかし、響子は怖いって言ってる割には楽しそうじゃなかったか?」



響子「それは…撮影中、Pさんとずっと一緒だったからです!Pさんが隣にいてくれるって思ったら不思議と全然怖くなくて。どんな時でもPさんが隣にいてくれれば安心出来ちゃうんです!それに、普段と違うシチュエーションで気分が高まっちゃってのもあります」



P 「俺が今更学校に行くなんて、あんな時ぐらいしかなかったからな。休憩室に使っていた教室の電気が壊れてたとか、いろんなハプニングもあったよな」



響子「電気は点かなかったけど、月明かりに照らされる教室でふたりきりだったときはいつもよりPさんを意識ちちゃって…あ、あはは…♪でも、いっぱいハプニングがあったからこそPさんとの距離が更に縮められたかなって思うんです」



P 「そうだな。撮影中は俺も響子の様々な面が見られて楽しかったし、演技も評判良くていろいろな人から褒められたよ」



響子「私も映画見たよ!って沢山の人から言われました。でも、あの役柄凄く似合ってたね。って言われるのは嬉しい反面ちょっと複雑です…」



P 「どうもあれ以降、響子にホラー映画とかドラマのオファーが来ることがあるんだよ。俺としては、響子をそういう方向性で売っていこうとは思ってないから断ってるんだけどな。響子がやってみたいって言うなら今度何個か話持ってくるぞ」



響子「いえ。Pさんがそういう判断をしているなら、私はそれに従いますよ♪」



P 「そうか。じゃあ、もし興味が出たら言ってくれ」



響子「はい!それじゃあ、次は最後のドリームライブですね」



P 「あれは響子が今までやってきた中で一番大きな仕事になったな。松山久美子さんと小室千奈美との三人でのライブ。あの二人とは仲良く出来たのか?」



響子「はい!久美子さんとはブライダルイベント以来の共演でしたけど、綺麗で私の憧れなんです!千奈美さんとは初めての共演でちょっと緊張しましたけど、かっこよくて、私の知らないことをいっぱい教えてくれました。お二人ともとっても大人で、優しくてステキでした!」



P 「そうか。普段はお姉さんの響子も、流石にあの二人の前には太刀打ち出来なかったか」



響子「最初は私も大人っぽくしようって思ってちょっと背伸びしてみたんですけど、そしたらお二人が在りのままの明るい私でいいって言ってくれて。それからは思いっきりはじけちゃいました♪」



P 「後でちゃんとお礼言っとかないとな。しかし響子、MCでファンの人たちに掃除や洗濯好きか聞くのはどうかと思ったぞ?」



響子「あはは…。何話そうか迷っちゃて。気づいたらあんなこと聞いてました。MCは少し練習しなきゃだめですね」



P 「あれはあれで受けていたから結果的には良かったけどな。今後はライブも増えるだろうし、そういうとこもちゃんとしていこう」



響子「はい!でも、たまにはドジ踏んだりしてPさんに叱られたいかな…なんて♪あはは…」



P 「俺が響子を怒る時は、響子が差し入れ作りを張り切り過ぎて寝不足になっている時だからな。俺もその恩恵を受けてるからあんまり強くもいえないし…。そのほかの時は叱ることが全くないくらい良い子だし。ただ、響子に叱られたことはよくある気がするな」



響子「叱られるのはPさんがだらしないのが悪いんですよ?こないだライブの打ち上げでホームパーティーした時も服のエリが曲がってたし…」



P 「いつも響子が直してくれるからつい油断しちゃうんだよ…。ホームパーティーと言えば、あの時食べた煮込みハンバーグ凄く美味しかったよ。思わずがっついちゃってみっともなかったよな」



響子「いえ。Pさんの美味しそうな食べっぷりが見られて幸せでしたよ♪それに、Pさんと一緒にご飯を食べることが、一番の生活のモチベーションになるんです!」



P 「男を落とすには胃袋を掴むのが一番とはよく言ったものだけど、本当なんだな。家に帰れば美味しいご飯が食べられるって思うと仕事も頑張れるし、早く家に帰るようになるよ。響子の料理を食べているといつもそう思う」



響子「本当ですか?そ、その!私、これからもPさんとずっと支えあっていきたいって思ってるんです。アイドルを続けられる内はもちろん、辞めてからもずっと…なんて。あはは…はくちゅ!」



P 「おっと。随分話し込んだしそろそろ中に戻ろうか。響子に風邪でもひかれちゃ堪らないからな」



響子「うぅー…。分かりました…。」



P 「そうだ。言い忘れてた」



響子「?」



P 「響子。今回は俺の力不足でCDデビューさせてやれなくて本当に申し訳なかった。でも、俺は響子にはトップアイドルになれる素質があるって信じている。だからこれからは俺ももっと仕事を頑張って、近いうちに必ずお前をCDデビューさせてやる。だから、これからも二人三脚でお互い支えあって前に進んでいこう」



響子「はい!私、Pさんのアイドルとしてこれからもずっとずっとずーっと、隣で輝けるように頑張ります!それに、Pさんは私の毎日に欠かせない人ですから♪これからもいっぱいお世話させてくださいね♪」



P 「よし!じゃあ、また2人で夢に向かって頑張っていこう!!おっ…ちひろさんから電話だ。ちょっとごめんな」



P 「え?アニバーサリーボイスアイドルオーディション?」



おわり



20:30│五十嵐響子 
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