2015年01月05日

美希「潜む真実に非情なる忘却を」


美希「久しぶりだね、春香」



春香『んーそうだね。美希もみんなも忙しくて会えないもんね』





美希「えへへっ、大人気アイドルだからトーゼンなのっ!」



春香『大人気?』



美希「むっ……そこまでじゃないとは言わせないの!」



春香『アハハっ違うよ美希』



美希「じゃぁなに?」



春香『美希のことだから超人気とか、宇宙一とか言うかと思っただけ』



美希「怪物相手に歌うのはまだ無理だから宇宙一じゃないし、超人気は春香だから」



春香『なぁにそれ、謙遜しちゃって……嫌味? 呪うよ?』



美希「春香が言うとリアリティがありすぎて怖いの」



春香『そーぉ? 一応閣下の異名を持っていたから当然かな?』



美希「そーなの」



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春香『そういえば……最近やよいはどう? 元気?』



美希「やよいに会えてないの?」



春香『ぜーんぜん。さっき言った通り』



美希「そっか……ここはガツンと……」



春香『あははっ、ほら。みんな忙しいし』



美希「美希だって忙しくてもこーして話してるのにっ」



春香『美希は時間があれば寝てるだけでしょ』



美希「最近はそーでもないの」



春香『へぇ……なにしてるの?』



美希「クッキー作ったり、お菓子作ったり……女子力を身につけてるの」



春香『なるほどねー……私の教えたコツは掴めた?』



美希「んー……あと少し。春香の字が綺麗なら……」



春香『十分綺麗なはずだよ!?』



美希「………………」



春香『…………ほ、本当に汚かった?』



美希「じょーだんなの」



春香『もうっ! 呪うよ!』



美希「それはヤ!」



春香『えへへっ、じょーだんなの』



美希「ぐぬぬっ」



春香『それで? やよいは?』



美希「元気だよ。すっごく元気赤いリボンがトレードマークなの」



春香『そっかぁ……』



美希「はるかさんのキャラは頂きです! って」



春香『な、なんだってーっ!?』



美希「真実なの」



春香『くっ……こうなったら私がやよいのキャラを貰っちゃおうかなーって!』



美希「………………」



春香『………………』



美希「………………」



春香『……なんかごめん』



美希「あんまり変わらないかなーって」



春香『うん。なんとなくそんな気はしてた』



美希「でも、春香には春香のやよいにはやよいの良さがあるの」



美希「だからどう頑張ってもそれは真似でしかない」



美希「確かに似てるけど……でも、やっぱりやよいはやよいで春香は春香なの」



春香『急に真面目になられても反応に困っちゃうんだけど……』



美希「ミキはいっつも真面目なんだけど」



春香『ほぉう? 事務所のソファで居眠りの常習犯が何を言うかと思えば』



美希「それは疲れてるから仕方がないの!」



春香『疲れてる……ねぇ?』



美希「にやにやしないで」



春香『だってレッスンサボったのに居眠りしてたし……』



美希「陽の光には勝てなかったの」



春香『言い訳だね』



美希「言い訳なの」



春香『全くもう……美希はかわらないなぁ』



美希「だからそれは前の話で今はちゃんと」



春香『知ってる知ってる。美希がいっつも頑張ってること、私知ってるよ』



美希「……………………」



春香『…………美希?』



美希「そーいうのを笑顔で言うから、春香は嫌われるの」



春香『好かれない!?』



美希「あざとい」



春香『そんなつもりないってば』



美希「どーだか」



春香『ぐぬぬっ』



美希「あざとくなくなったら春香はただのリボンなの」



春香『……ただのおにぎりのくせにッ!』



美希「食べられるだけおにぎりの方が……」



春香『ハイハイ、この話は終わりーっ!』



美希「そういえば、この前でk……伊織が駅前の美味しいデザートを買ってきてくれたの」



春香『この前言ってた新しくできたやつ? どうだった?』



美希「中々に中々だったの」



春香『つまり?』



美希「ホイップクリームが少し弱い感じがしたの。それでも美味しいけど、他のと合わせた時に消えちゃうというか……」



春香『んー……美希は甘甘が好きなんだね』



美希「そーいうわけじゃないの。ただ、消えるのはあれかなって思っただけ」



春香『でも、クリームがほのかな甘さ、冷たさだからこそアイスの冷たさや甘さが引き立つわけでして』



春香『必ずしも甘ければいいってわけじゃぁないんだよ』



美希「ドヤ顔してるのが見え見えなの」



春香『むふっ』



美希「イラッ」



春香『あははっ、でもクリームの食感とかって意外と口に残るでしょ?』



美希「……うん」



春香『だから……別に消えたりはしてないよ。ちゃんと残ってる』



美希「……今度また食べてみる」



春香『伊織に買ってきて貰うの間違いじゃ……』



美希「ないの。今度自分で買ってくるの……ちゃんと2つ」



春香『えへへっ、ありがと』



美希「だれも春香の分とは言ってないの」



春香『……まぁそこまでは望まないよ』



美希「望んだって別に良いの……クッキーたくさん作ってくれたし」



春香『じゃぁ……望んじゃおっかなー』



美希「叶えるとは言ってないけど」



春香『もーっ! みーきーっ!』



美希「あははっ、じょーだんなの」



「あのー」



美希「……?」



「あの、もしかして星井――」



美希「今はプライベートかつ電話中なの」



「電話……」



美希「サインも握手もプロデューサーの許可を貰って欲しいの」



「は、はぁ……」



美希「………おとなしく帰ってくれたの」



春香『別にしてあげたって良かったのに』



美希「美希は春香とは違うの」



春香『そうだね』



美希「……………………」



春香『…………………』



美希「……あっ、そういえばこのまえプロデューサーが春香のためにプレゼント買ってたの」



春香『えっ?』



美希「サプライズするんだーって」



春香『なんで言うの!?』



美希「聞かなかったふり、聞かなかったふり」



春香『無茶ぶり!』



美希「じゃぁ……独り言を盗み聞きした春香が悪いってことで」



春香『納得できるかッ!』

美希「春香は注文が多いの」



春香『いやだって――』



美希「お店だったらおデブ一直線なの」



春香『大食いじゃないよっ!』



美希「……伊織よりキレがないの」



春香『試されてるっ!?』



美希「気づいたときには試合終了なの」



春香『誰との!?』



美希「………………」



春香『………………』



美希「直接会って話してれば伊織より上かもしれないの」



春香『はいはい、会いに来たらダメだからね? 仕事サボって』



美希「……バレた」



春香『一つ穴を開けたらみんなが困るんだから絶対ダメだからね?』



美希「言われなくても分かってるの」



春香『……ねぇ、美希』



美希「なに?」



春香『この前小鳥さんがお見合いするんだーっていって消息を絶ったんだけど』



美希「結果が結果だけに有給取ってるだけなの」



春香『まさか産――』



美希「自分以外全員が二次会に誘」



春香『もう止めて! 私が悪かった!』



美希「小鳥は例のアレさえなければ完璧なの」



春香『あはは……切っても切れないと思うよ』



美希「縁は切れ」



春香『それ以上はアウト!』



美希「この前なんて机に置いたままにして響が読んでたの」



春香『そ、それで?』



美希「うぎゃーで顔真っ赤」



春香『あーうん。なんとなく想像できた』



美希「そのあと貴音が来て、響が涙目の原因を見て」



春香『見て?』



美希「プルプルして小鳥に不潔です! って怒ってた」



春香『あちゃー……』



美希「あの小鳥は見ていられなかった」



春香『だよねぇ……』



美希「ここ最近で一番変わったのは千早さんなの」



春香『千早ちゃん?』



美希「…………………」



春香『……言うまでもないってこと?』



美希「これ言うと春香が怒りそうだから」



春香『じゃぁなんで言ったの?』



美希「どうせ、春香から聞いてくると思ったから」



春香『えへへっ、やっぱり?』



美希「なんと自炊に積極的になったの」



春香『おおっ』



美希「さらにファッションに興味を持ち出したの」



春香『なんですとっ!』



美希「……という希望」



春香『えー……』



美希「とりあえずこれから千早さんに会いに行く予定なの」



春香『美希も会ってなかったの?』



美希「千早さん、海外行ってたから」



春香『なるほど……って、怒る要素ないよね?』



美希「春香に何も言わずに留学しちゃったの」



春香『あははっ、別にそんなことで怒ったりしないよ』



春香『元々、私が薦めたことだしね』



美希「それは知らなかったの」



春香『でもそっか……それで見なかったんだね』



美希「そうなの」



春香『じゃぁこれから千早ちゃんに会えるわけだ』



美希「羨ましい?」



春香『んーん。私も会いにいくし』



美希「一緒に行く?」



春香『一緒に行く』



美希「それじゃ――」



千早「……ちょっと良いかしら」



美希「ん……あっ」



千早「頑張ってメール打って電話もしたのだけど」



美希「……えっと」



千早「事務所に携帯置きっぱなしだったわ。貴女が後で待ち合わせ場所連絡するって言ったのに」



美希「あ、あははっ……」



千早「携帯だけはしっかり持ち歩くように言われてるでしょう?」



美希「うっかりしてたの」



千早「……全く。一回事務所に帰るわよ。美希」



美希「い、いえすマム!」



春香『……なーるほど。千早ちゃんはお姉ちゃんらしくなったんだね』



終わり



08:30│星井美希 
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