2015年01月21日

美嘉「明日、妹が結婚する」

姉ヶ崎視点の書き溜めSS。

ちょっと年齢設定おかしいかも知れないので注意。



今日中には終わらないかも・・?





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――結婚式前夜・城ヶ崎家――



明日、妹が結婚する。

今日の朝日は明日結婚する二人を祝福するみたいに、すごく爽やか♪

でも結婚式前日ってこともあって、ウチはもう大騒ぎ・・・。







母ヶ崎「莉嘉!ちょっとアンタいつまで寝てんの!?」



莉嘉「むにゅ・・・あとちょっと・・。」



母ヶ崎「あとちょっとじゃないでしょ!明日結婚式なんだから今日は山のようにやることがあるのよ!!」



莉嘉「でもまだ時間あるし・・・」



母ヶ崎「時間なんてありません!ご飯食べて、着替えて!冬馬君来ちゃうでしょ!?」



莉嘉「ふぁい・・。」



父ヶ崎「ママ、そんなに怒鳴らなくてもいいんじゃないかな・・・?」



母ヶ崎「パパは黙ってて!!」



父ヶ崎「はい・・・。モバP君、明日の景気づけに朝から飲もうよ?」



モバP「いや、でも冬馬も来るわけですしそれからでも・・。」



母ヶ崎「モバP君、パパのこと監視しててね?あなた達の結婚式前日の悪夢を覚えてるでしょ?」



モバP「アッ、ハイ。」



美嘉「まったく、パパは反省の色なしだね。あたし達の結婚式なんてホントに・・・。」



モバP「まあまあ、お義父さんも娘二人がいなくなって寂しいんだから少しくらいわがままは・・。」



母ヶ崎・美嘉「モバP(君)は黙ってて!!」



モバP「ふえぇ・・・」



莉嘉「相変わらずママとお姉ちゃんは強いなぁ・・」モグモグ・・







実はあたし、21歳でアイドル辞めて22歳でモバPと結婚したんだ。もちろん、双方の親が合意のうえでの結婚だし、デキ婚でもない。結婚して4年。今はもう26歳になったよ。

莉嘉は今年で22歳。なぜかあたしと同じ歳で結婚することになった。お相手はなんと元ジュピターの天ヶ瀬冬馬。とんでもない奴と結婚しようとしてるんだ。

母ヶ崎「莉嘉!そんなにチンタラ食べてないですぐに食べる!美嘉は食器洗っといて!パパ!冷蔵庫漁るのやめなさい!」



父ヶ崎「ち、違うんだママ!これは冷蔵庫の中身を整理して今日の晩御飯を作りやすくしておこうと・・。」



母ヶ崎「手に持ってるビール隠してから言いなさい。」



父ヶ崎「ご、ごめんなさい・・」



母ヶ崎「モバP君、思いっきりぶん殴ってあげて?美嘉と結婚させて欲しいって言った時に殴られたお返ししていいから。」



モバP「お義父さん、もうちょっと我慢しましょうよ?冬馬が来たらみんなで仲良く飲みましょう?」



美嘉「莉嘉、早くご飯食べちゃいなさい。昼には冬馬が来るんでしょ?寝巻にすっぴんじゃ婚約解消されるかもよ?」



莉嘉「ええー?冬馬はそんなことしないよー!お姉ちゃんは冬馬を何だと思ってるの?」



美嘉「うーん・・・金の成る義弟かな??」



莉嘉「ひっどーい!冬馬に言っておくからね!」





天ヶ瀬冬馬は961プロの黒井社長の片腕として敏腕プロデューサーの道を歩んでるんだって。ジュピターの再来とか言われてる、マーズは冬馬のプロデュースで人気大爆発。さらに冬馬がジュピター時代にセルフプロデュースして作ったカレールウの「ピピン」は今や日本の食卓に欠かせない存在。ウチのカレーもピピンを使って作ってるよ。でも今度から冬馬に全部作らせよう。そうしよう。





美嘉「そう言えばモバP、今日は仕事無いの?」



モバP「今日は菜々のライブだけだしな。みんな明日の結婚式に備えてスタンバイしてるから仕事させてないよ。菜々には川島さんがマネージャーとしてついてるから大丈夫だろ。わかるな?」



美嘉「わかるわ。」



母ヶ崎「莉嘉!いつまで納豆ご飯食べてるの!早く食べる!!」



莉嘉「ちょっと待ってよー!まだおかわりしてない!明太子とハムで2杯目食べるんだから!」



父ヶ崎「莉嘉!明太子はダメ!焼酎のつまみが・・!」



母ヶ崎「だ・ま・れ!!」



美嘉「あちゃー・・・ちょっとみんな落ち着こうよ・・。」



モバP「やれやれ、じゃあ僕はトイレの掃除でもしてきますね。」



母ヶ崎「モバP君、お願いできる?ごめんなさいね、お客様なのに。」



モバP「いえいえ、嫁の実家の手伝いくらい当然ですよ。」



父ヶ崎「美嘉はいい男に嫁いだなぁ・・。いまや346プロダクションの重鎮だもんなぁ。パパより稼ぐもんなぁ・・。パパは娘も取られ、父親としての威厳も失いついでに毛根までなくなり老いていくのか・・。」



美嘉「パパ、ひがみ過ぎじゃない?」



父ヶ崎「美嘉も莉嘉もいなくなってパパはママと二人きりで・・・寂しいよ・・。」



美嘉「すぐ近くに住んでるでしょ?昨日も一昨日も会ってるじゃん!」





パパがあたしを嫁にやりたくなくて婿入りするなら結婚させるって言い始めて本当に大変だった・・・。妥協案として近くのマンションに住むことでパパは納得したんだけど・・・ホンットにどうしようもないんだから!でも、莉嘉が結婚するってなって、ますます寂しくなっちゃったのかな・・?

ママはいつも忙しそうだからあんまり喋ってないけど・・・やっぱりママも寂しいのかな?

母ヶ崎「美嘉!あんたは食器片付けたらちょっとゆっくりしてなさい。もうあんただけの身体じゃないんだからね?」



美嘉「分かってるよ。でもまだ妊娠2カ月だし・・明日はちゃんとアイドル時代のカッコいいドレス着るからね!」



母ヶ崎「お腹が冷えるでしょ?ドレスじゃなくてもっと暖かい恰好で・・・」



父ヶ崎「美嘉ももうお母さんか・・・ってことはパパはパパじゃなくてじいになるのか。ママはばあになっちゃうのか・・。」



母ヶ崎「鬼婆にならないように気をつけますからね〜?」



父ヶ崎「(すでに手遅れな気がします・・)」



莉嘉「おねーちゃん、おかわりまだー?」



美嘉「座ってないで少しは働け!・・・・って怒れるのも今日が最後か。明日から莉嘉は天ヶ瀬莉嘉だもんね・・。」



莉嘉「でももうとっくに入籍してるから既に天ヶ瀬莉嘉だよ?」



美嘉「入籍してても結婚式が一つの節目なの。もう城ヶ崎家の娘じゃなくなっちゃうんだなぁ・・。」



母ヶ崎「ちょっとやめてよ美嘉。あんたらしくない。」



父ヶ崎「お前たちはどこに嫁いでも、パパとママの自慢の娘でるあることに変わりないよ。城ヶ崎という苗字じゃなくても、パパはお前たちを城ヶ崎家の一員だと思ってる!」



美嘉「パパ・・・。」



モバP「トイレ掃除終わりましたー!いやー、本当に城ヶ崎家のトイレは普段から綺麗ですねー。」



母ヶ崎「モバP君、ありがとう。次は玄関の掃除をお願いできるかしら?」



モバP「わっかりましたー!!」



父ヶ崎「ママ、モバP君使いすぎじゃない?ちょっとかわいそうだぞ。」



母ヶ崎「あなたと莉嘉が私の邪魔をするからでしょうが!少しは申し訳なく思いなさい!だいたい莉嘉が寝坊するからこんなことに・・・!」



莉嘉「ひどーい!あたしだって昨日まで式場との打ち合わせとかブライダルエステとかやってたんだもん!二次会の会場とも打ち合わせしたり・・!」



母ヶ崎「ほとんど冬馬君がやってくれてたでしょ!あんたは助手席で寝てただけ!!」



莉嘉「もう、明日結婚式だってのにそんなに怒らなくてもいいじゃん。ママも今日はエステ行くんでしょ?気をつけてね?」



母ヶ崎「パパと美嘉と行くのにあんたがご飯食べ終わらないから行けないの!」



モバP「あ、お義母さん。洗いものはやっておくんで行ってきたらどうです?莉嘉は僕がどうにかしますので。アイドル時代から扱い方はよく知ってますから。」



母ヶ崎「ごめんね、モバP君。今日は思いっきり働いて思いっきり食べて飲んでいってね?じゃあパパ、美嘉。行きましょう?」



父ヶ崎「莉嘉!あんまりモバP君に迷惑かけるんじゃないぞ!」



美嘉「じゃあ行ってくるね?留守番ヨロシク〜★」

ってなわけで、モバPと莉嘉を残して久しぶりにパパとママとお出かけ!朝早いからか、まだ人が少ないなぁ。あたしが結婚する前日も、こんな感じでバタバタしてた。莉嘉はモバPが家族の一員になるってことで大騒ぎ。ママはモバPに無理矢理ご飯押し売りするし・・・。パパなんか朝から酔っぱらって話にならなかったなぁ。ママに殴られても蹴られても泣かなかったパパがあんなにボロ泣きするなんて本当に結婚式って奇跡が起こるんだなって思った。





美嘉「さーて、今日はエステで思いっきり羽根をのばそー★」



母ヶ崎「あんたはいっつも羽根のばしてるでしょ?モバP君と喧嘩する度にウチに来て、ご飯食べて寝て。翌日はモバP君が迎えに来てくれて。何一つ不自由してないじゃない。」



美嘉「さ、最近は喧嘩してない!ちゃんと家のことも考えて仕事してくれてるし。あたしのこともちゃんと気にしてくれるし・・。」



母ヶ崎「そうね・・・でも我が子二人の嫁ぎ先が見つかって、ママはちょっと安心かな?」



美嘉「それどういうこと!?あたしらが結婚できなさそうに見えたってこと?!」



母ヶ崎「そりゃそうよ!カリスマギャルだの言ってアイドルになっちゃって・・・変な男に引っ掛かってたらどうしようかと思ってたんだから。幸い、モバP君も冬馬君も芸能関係者だけどすごくいい人でしょ?」



父ヶ崎「モバP君はいいけど冬馬君は認めない!だってイケメンだから!」



美嘉「ちょっと、モバPはイケメンじゃないって言いたいの?」



父ヶ崎「イケメンじゃないイイ男って感じかな。うほっ!イイ男!」



母ヶ崎「パパとママが結婚した時は、イケメンでもないしイイ男でも無かったけどね。」



美嘉「でも必死すぎて放っておけなかったから結婚しちゃったんでしょ?それってどうかと思うよ?」



母ヶ崎「でも、ママの選択は間違ってなかった。今、すごく幸せな気分なんだから。結婚して20年以上経って、この人と結婚してよかったって思えるのはすごく幸せなことなのよ。」



父ヶ崎「ママ・・・好きだ!!」



母ヶ崎「気持ち悪い・・。美嘉にも莉嘉にも、そんな人生を歩んで欲しいな・・。だから、アイドルとプロデューサーっていう肩書き関係なく本当に美嘉を愛してくれているモバP君なら、美嘉を任せられるって思ったの。」



美嘉「ふひひっ★やっぱりママには敵わないね・・・あたしも立派な母親になってやるからね!」





ママはパパと結婚して長年一緒にいるけど、それでも幸せって感じるんだ。あたしも何十年かしてみて、自分の子供が結婚する時に幸せな気持ちになれるのかな?未来のあたし、ママみたいな立派な母親になってるかな・・。ちょっと不安だな・・。





美嘉「じゃあ、パパはこっちのメンズエステね。1時間後にまた集合だからね!」



父ヶ崎「ふひひ、パパがダンディーになっちゃうぞ?」



母ヶ崎「はいはい、1時間じゃ何も変わらないっての。ほら、さっさとやってさっさと帰るよ。お昼ご飯も作らなきゃいけないんだから。」

――1時間後・城ヶ崎家――



モバP「いやー、まさか莉嘉が結婚なんてなぁ・・。家族になってからは義妹だけど、プロデューサーやってた頃は莉嘉は娘同然だったからな。明日、泣いちゃうかもしれない。」



莉嘉「あたしは、お姉ちゃんとモバP君が結婚した時泣きそうだったよ?大好きな人が一気に二人、あたしの前からいなくなっちゃう気がして・・・。でも、二人の門出だから、泣かないって決めてずっと我慢してたんだぁ・・。ちょっと辛かったなぁ。」



モバP「そっか・・・莉嘉が我慢したなら俺も我慢するよ。明日は泣かない。」



莉嘉「じゃああたしも明日泣かなーい!お姉ちゃんみたいにボロ泣きしてパパへのお手紙読めなかったら嫌だもんねー♪」



モバP「泣いてやれよ・・お義父さんは絶対泣くからな?美嘉も多分泣くぞ?つられるなよ?」



莉嘉「パパは泣くだろうけど、お姉ちゃんは泣くかなぁ?」



モバP「絶対泣く。ここだけの話、お前が結婚するって聞いてあいつ家で泣いてたんだから。」



莉嘉「ええーっ!?ホント?!」



モバP「うん。そりゃあ、姉妹でアイドルデビューして、自分のことやりながら莉嘉のことも面倒見てきたんだ。普通の姉妹以上にお前らは一緒にいる時間長いんだからな?お義父さんやお義母さんと同じくらい莉嘉に愛情を注いできたんだろうな。」



莉嘉「へぇ・・なんかお姉ちゃん結婚してアイドル辞めてからホントに変わったね・・。」



モバP「美嘉はもう母親になる準備が必要だしな。いつまでもカリスマギャルじゃいられないってことさ。莉嘉だって結婚したら変わるぞ?」











美嘉「ただいまー!」



母ヶ崎「ごめんね、モバP君。パパがごねるから遅くなっちゃって・・。」



父ヶ崎「だ、だってママ!お腹をへこませて欲しいって言ったのに無理ですなんて・・!」



美嘉「いや、そりゃ無理でしょ・・。」



母ヶ崎「さあ、パパは放っておいてお昼ご飯の準備をしましょう。冬馬君も来るわけだから、急がないとね!莉嘉、あんたは冬馬君が何時頃に来るか聞いてみて?」



莉嘉「はーい♪」



美嘉「ママ、お昼何にするの?」



母ヶ崎「今日はオムライスよ。あんた達オムライス好きでしょ?」



父ヶ崎「オッムライス♪オッムライス♪」



母ヶ崎「パパは歌ってないで明日の礼服取って来なさい!!」



父ヶ崎「行って来ます・・・。」



モバP「あ、じゃあ僕も一緒に行きますよ。お義父さん、ついでにビール買ってきましょう?」



父ヶ崎「よーし、パパ箱買いしちゃうぞ♪モバP君、車乗せてってー♪」



モバP「はい、じゃあ行って来ます。他に何か買ってくるものありますか?」



母ヶ崎「うーん・・お寿司は夕方取りに行くし・・・そうだ!味噌が切れそうだから買ってきてもらえる?白味噌ね。」



モバP「分かりました。お義父さん、行きましょう?」



父ヶ崎「うん、行く行く!!」



母ヶ崎「モバP君、パパがお酒飲んだら車から放り出していいからね?」



モバP「わっかりました!!」

美嘉「行っちゃった・・。ママ、鶏肉と玉ねぎ切っておいたからチキンライス作っちゃうね?」



母ヶ崎「あら、ありがとう。美嘉は結婚してから本当に働き者になったわね。」



美嘉「そりゃそうだよ。今は専業主婦だし・・。」



莉嘉「それにモバP君のこと大好きだもんね!」



母ヶ崎「ふふふ、好きだから子供が出来るのよね・・・。」



美嘉「な、なにバカなこと言っちるの!!怒るゆ!!」



莉嘉「お姉ちゃん相変わらずウブだね〜?どうやって子供作ったの・・?」



美嘉「そ、それは勿論・・せ、せっく・・」



母ヶ崎「はいはい、微妙な空気になるからやめなさい。モバP君が頑張った結果よ。」



美嘉「そ、そうだよ!モバPが頑張ったからだよ!」



莉嘉「(そんなに何回もしないと妊娠しなかったんだな・・。)あ、冬馬からライン返って来た〜♪あと30分くらいで着くってさ♪」



母ヶ崎「あら、じゃあ美嘉。そっちのシチューにちょっとだけお水入れておいてくれる?もう一回煮込まないと・・。」



美嘉「はーい★」

――30分後――



冬馬「お邪魔します。」



母ヶ崎「冬馬君、いらっしゃい。」



冬馬「すいません、せっかくお招きいただいたのに父が仕事を休めなくて・・。」



母ヶ崎「いいのよ。お父さん忙しいみたいだし。」



冬馬「母がいれば一緒にお伺いするところなんですが、生憎俺には・・・。」



母ヶ崎「冬馬君、前も言ったと思うけど私はモバP君も冬馬君も息子同然に思ってる。冬馬君の本当の母親にはなれないけど、義理の母として私を頼っていいんだからね?今までお父さんと二人で頑張ってきたけど、もう二人だけで頑張らなくていいんだからね?」



冬馬「・・・ありがとうございます。お義母さん・・。」



莉嘉「冬馬〜♪早くご飯食べようよー!」



美嘉「冬馬、いらっしゃい★ゆっくりしていってね!」



冬馬「はい、美嘉さん。」



美嘉「うわっ・・・!寒気する・・!昔みたいに呼び捨てでいいじゃん?顔見知りなんだから・・。」



冬馬「でも、義理のお姉さんですから・・。」



母ヶ崎「いいじゃない、冬馬君。ウチではあんまり気を遣っちゃダメよ?」



美嘉「そうそう。モバPなんか気遣いすぎて既に家政夫状態なんだから。冬馬もそうなりたくなかったら気遣いしないことね、ふひひ★」



冬馬「ちっ・・わかったよ・・。」





あー、よかった。顔合わせとかで冬馬と話してなかったけど今日ちゃんと話できた。なんかジュピターの頃はクソ生意気だったけど、今はかなり落ち着いた感じになったなぁ。イケメンで金持ちでこれだったら莉嘉が惚れるのも無理ないか。でもモバPには敵わないかな♪





冬馬「あの、これ・・。父が今日持っていくようにと。」



母ヶ崎「あら、気を使わせちゃってごめんね?明日お父さんにお礼言わなきゃ・・。」



冬馬「いいえ、父が今日は来られなくて本当に申し訳ないと・・。気持ちだけでもとのことでしたので。あの、今日はお義父さんとモバPさんは・・?」



美嘉「ちょっと出かけてるよ。もうすぐ帰ってくるんじゃないかな?」









モバP「只今帰りましたー!」



父ヶ崎「むむむっ?!男物の靴が増えてる・・まさか・・!!」



母ヶ崎「ほら、噂をすれば・・・。」



父ヶ崎「冬馬君!冬馬君じゃないか!いやー、今日はよく私の娘を奪いに来てくれたね!」



莉嘉「ちょっと、パパ!!」



冬馬「あはははは・・お邪魔してます・・。」



母ヶ崎「パパ、お客様の冬馬君に失礼でしょ!謝りなさい!!」



美嘉「ホンットに進歩しないよね〜。」



モバP「まあ、気にするなよ冬馬。俺も言われたからな♪」



莉嘉「パパ、最低!結婚の報告に来た時も冬馬に娘泥棒とか言ってたじゃん!!」



父ヶ崎「お、オヤジギャグだったのに!みんなそろってパパを叩くなんてひどい!」



冬馬「あの、皆さん・・。俺は気にしてませんから・・ねっ?」



母ヶ崎「そういう問題じゃないの。明日結婚式だってのに緊張感のかけらもないし、冗談でも言っていいことと悪いことがあるのよ。パパ!今日はお昼抜き!!」



莉嘉「パパの分は冬馬が食べるからね!」



美嘉「まあ、自業自得だよね。あたしの時もそうやって結婚式前日にご飯抜きになったのに・・。」



父ヶ崎「そ、そんなああぁ!許してください、ママ!!」



母ヶ崎「あなたのオムライスは冬馬君の手に渡ります。冬馬君に聞いてくださいね?」



父ヶ崎「冬馬君・・・オムライスくだしゃい・・。」



冬馬「あはは、いいですよ。」



母ヶ崎「とにかくみんな、お昼を食べちゃいましょう。美嘉、シチューよそってあげてくれる?」



美嘉「はいは〜い★」



モバP「あ、美嘉は座ってなよ。俺がやるから。」



美嘉「ありがと・・。」





モバPはあたしの妊娠が分かってから急激に優しくなった。前は仕事やら付き合いやらで遅く帰ってくることが多かったけど今は早く家に帰ってくることが多いし。

たまに早く帰ってきて、一緒にご飯作ってくれたり洗濯物取りこんでくれたりする。やたらとあたしの身体の心配するし、夜は早く寝ろだのいっぱい食べろだの口うるさくなってきた・・。なんかやましいことがあるのか疑いたいくらい、本当に優しくなった。

大事にされてるんだなって思えて、嬉しいけどね★



母ヶ崎「午後は莉嘉と冬馬君は式場に最終確認に行くんでしょ?」



冬馬「はい、ちょっと披露宴の参加者に追加があったのでそれも含めて・・。」



莉嘉「二次会の会場にも、ちょっと持ち込みしなきゃいけないしね☆」



父ヶ崎「大変だなぁ・・・パパはもうビール飲んじゃったから車運転できないよ?」



美嘉「うわっ・・・ホントに飲んでる・・。サイテー・・。」



モバP「じゃあ莉嘉と冬馬は僕が車で連れてきますよ。」



冬馬「ありがとうございます。モバPさん・・。」



モバP「業界の後輩には優しくしないとね?ひと段落したら行こうか。」



母ヶ崎「美嘉はどうする?一緒に行く?」



美嘉「あたしはのんびりお昼寝でもしてよっかな♪どっかの誰かさんがちゃんと寝ろってうるさいからさ。」



モバP「だ、だって美嘉の身体も子供の身体も心配じゃないか!?今からちゃんとケアしておかないと・・!」



美嘉「心配し過ぎだよ?まだ2カ月なんだから・・。」



父ヶ崎「モバP君はパパと同じで心配性なんだ!ヒック・・・うぃ・・。」



母ヶ崎「パパはお風呂洗っておいてね?綺麗に磨くのよ?水垢なんて残ってたら承知しないからね?」



父ヶ崎「お酒飲んじゃったから・・むーりぃー。」



母ヶ崎「つまみだすぞ?やんのか、やんねえのか?」



父ヶ崎「イエス、マム!!」



莉嘉「冬馬、モバP君!行こ♪」



冬馬「お、おう。すいません。ごちそうさまでした!」



モバP「よーし、俺の愛車のVOXYに乗りこめ〜!!」



美嘉「気をつけてねー?ママ、洗いもの任せていい?ホントに眠くなってきちゃった・・ふああ・・。」



母ヶ崎「そうね、ちょっと寝てきなさい。お布団干しといてあげたからポカポカよ。」



父ヶ崎「美嘉、久しぶりにパパと寝る?ヒック・・!」



美嘉「絶対ヤダ!!」



父ヶ崎「しょぼーん・・・。」





あたしの部屋・・・ちょっと久しぶりかも。結婚する前のアイドルの思い出とか、いっぱい詰まってる大切な場所なんだ・・。あ、これセクシーギャルズのラストライブの写真・・。引退する時にモバPが写真全部集めてあたしにくれたんだよねぇ・・。超嬉しかったな。里奈も唯も元気でやってるかな?明日、久しぶりに会えるんだ・・。あたしの結婚式にもアイドルがいっぱい来てくれて、ホントに嬉しかったな。正直言って、モバPを奪ったあたしのことなんて誰も祝ってくれないって思ってたから・・。

でも、まゆとか凛とかもお祝いに来てくれて・・・人生で最高の瞬間だなって思った。

明日は莉嘉にとっても、人生最高の日にしてあげたいな。

それが、姉としてできるあたしの最後の世話焼きだしね・・・。

あれ・・どうしてあたし・・・目から涙が止まんないんだろ・・。





美嘉「莉嘉・・・ここにもあんたとの思い出いっぱいあるよ・・。」





昔からなんだかんだ手のかかる子だったな・・。あたしがアイドルやるから一緒にやるなんて言い出して。カブトムシ集めてきてあたしの部屋に放ったりしてさ・・。ライオンの衣装着てはしゃいで風邪ひいて、急きょあたしが代役やらされたりもしたなあ・・。シンデレラジオにゲスト出演してあたしの下着の色暴露したりして・・・ホンットにロクなことしないんだから。



モバPのこと好きだって・・あたしは言えなかったのに莉嘉はモバPにすぐ言えちゃうんだもんね。

歳が離れすぎてるし、ラブっていうかライクのほうの好きなんだろうと思ってたし、モバPもあんまり取り合ってなかったから気にしてなかったけど・・。

でもストレートに感情を表現できる莉嘉だから、ちょっとシャイな冬馬と釣り合うのかもね。

莉嘉、ちゃんと幸せにしてもらいなよ・・?

お姉ちゃんはあんたが誰の嫁になったって、ならなくたって一生あんたのお姉ちゃんなんだから。





「・・・・か・・・美嘉!起きて!」



美嘉「ふぇ・・?ママ・・?今何時・・?」





いつの間にか泣きながら寝ちゃったみたい・・・。久しぶりの自分の部屋ってこともあってぐっすり寝たなぁ。

で、今何時なんだろ・・?外は暗くなり始めてるけど・・。





母ヶ崎「もう5時よ!よく寝たでしょ?妊娠中はどうしても眠くなっちゃうからね。」



美嘉「ええっ?!もう5時?!やば・・・寝過ぎた・・。」



母ヶ崎「莉嘉たちもう帰ってきてるから、夕飯の支度手伝って?明日も早いんだし、今日は早く夕飯にして早く寝たいでしょ?」



美嘉「う、うん・・!ちょっと化粧直したら行くから!」



母ヶ崎「焦んなくていいから、ゆっくり来なさい。」



美嘉「ふぁーい・・・。」







――夕食――



父ヶ崎「それでは、莉嘉と冬馬君の結婚式前夜祭ということで・・・乾杯!!」



「「「乾杯!!」」」



母ヶ崎「冬馬君、モバP君。たくさん食べてね?ビールも焼酎も日本酒もなんでもあるからね?」



冬馬「ありがとうございます。」



莉嘉「ねーねー冬馬!この唐翌揚げ、お姉ちゃんが作ったんだよ!ちょっと焦げてる〜♪」



美嘉「う、うるさい!寝起きで揚げたんだからしょうがないでしょ!ボーっとしてたらいつの間にか・・!」



モバP「でも普通に美味しいよ、美嘉。」



美嘉「当然でしょ!いつもモバPのお腹を満たしてるのは誰だと思ってるの?」



父ヶ崎「さあさあ冬馬君!どんどんやってくれ!」



冬馬「いただきます!ありがとうございます!」



モバP「じゃあ冬馬、業界の先輩である俺も注いでやるよ。グラス干して?」



冬馬「うぷっ・・・い、いただきます・・!!」



莉嘉「冬馬、あんまり飲み過ぎちゃダメだよ〜?明日二日酔いじゃカッコよく決まんないからね!」



冬馬「分かってるよ、大丈夫だって。」



美嘉「パパ、あたしの時みたいに飲ませるのはやめてね!!」



父ヶ崎「そ、そんなことしないもん!!」



モバP「(結婚式前夜2時まで寝させてもらえなかったんですが・・。)まあまあ、お義父さん。今日は僕が付き合いますので・・。」



美嘉「モバPもダメ!明日起きて酒臭かったら置いてくからね!」



母ヶ崎「パパ、冬馬君はあんまり飲まないみたいだから無理強いしないでね?冬馬君も、無理して飲まなくていいからね?」



莉嘉「おねーちゃーん!あたしもビール飲む!注いで〜!!」



美嘉「あんたもあんまり強くないんだからほどほどにしなよ?」



モバP「美嘉は今飲めないからな・・・。ごめんな、俺だけ飲んじゃって。」



美嘉「妊娠中は飲まないって決めたしね。赤ちゃんに悪影響だし。煙草の煙も避けてるし。」

父ヶ崎「でもパパは美嘉がお腹にいる時にママの隣で煙草吸ってたぞ!」



母ヶ崎「何の自慢よ!やめなさいって言ったのに結局美嘉が生まれるまでやめなかったじゃない!」



父ヶ崎「い、いいじゃないか!娘二人とも健康に育ったんだから・・!」



母ヶ崎「そういう問題じゃないでしょ!」



莉嘉「ねえ冬馬、うちの家族でやっていけそう?」



冬馬「大丈夫・・だよ。俺は母親のいる家庭って知らないから、すごく温かい家庭に見える。いい家族の一員になれるって思うよ。」



母ヶ崎「あら、嬉しいわ冬馬君。」



父ヶ崎「実はパパ、イケメンの息子が欲しかったんだよね♪」



モバP「お義父さん、ご期待に添えず申し訳ありませんね・・。」



美嘉「モバPもイケメンだよ!このあたしが結婚してあげるくらいなんだから!ふひひ★」



モバP「やっぱり美嘉って天使だな。出会ったときからそう感じてたよ。」



美嘉「ばか・・・。」



莉嘉「それよりお姉ちゃん!明日は小さい子見てもキモチワルイモードにならないでね!」



美嘉「な、なんないよ!っていうけ、気持ち悪くないし!ねえモバP、明日ってみりあちゃん来る?」



モバP「みりあも来るよ。ちょっと見ない間にイイ感じのお姉ちゃんになってたぞ。」



美嘉「へえ・・大人になったみりあちゃん・・ふひひ・・・ふひひひひひ★」



莉嘉「だからそれーー!!」



美嘉「ちっちゃいままのみりあちゃんもいいけど、大人のみりあちゃんもいいな★」



モバP「まったく・・・美嘉は相変わらずみりあ大好きなんだな。」



美嘉「生まれてくる子もみりあちゃんみたいに可愛い子だといいなぁ・・・♪」



モバP「美嘉、ご飯食べたらちょっと散歩行かないか?少しくらい運動したほうが身体にいいだろ?」



美嘉「うん・・・いいよ。」 

――食後・城ヶ崎家周辺――



モバP「なんかこうやって美嘉と歩くの久しぶりだな。」



美嘉「そーだね・・。結婚する前はよくモバPが送ってくれたもんね・・。」



モバP「そうだったな。あの頃は美嘉と別れたくなくてわざと遠回りして帰ったりしてたんだよな・・。」



美嘉「一緒にいられる時間が長くなって、嬉しかったよ♪」



モバP「あはは・・・やっぱり美嘉は可愛いよ!本当に結婚してよかった。」



美嘉「にゃ・・・にゃに言ってんぬ!いきなる!!」



モバP「そうやってすぐ動揺して真っ赤になるとこ、全然変わってないな。」



美嘉「ううっ・・・モバPだって昔から天然女タラシじゃん・・。」



モバP「でもさ、なんだかんだあったけど俺は今すごく幸せだよ。」



美嘉「あたしだって・・。」



モバP「綺麗で可愛くて気がきく嫁さん、いい仕事にそれなりの収入。いい親族がいて、今度は子供も生まれる。これからの人生楽しいことたくさんあるんだろうな。」



美嘉「そうだね・・家族で旅行行ったり、子供の成長見守ったり・・。」



モバP「ああ・・無事に産まれてくれよ・・?」



美嘉「!?」





いきなりお腹に耳当てないでよ・・!!ちょっと恥ずかしいな・・。

でも、モバPも今、パパになろうとして必死なんだろうな・・。あたしがママみたいになれるか心配してるようにモバPもお義父さんみたいになれるか心配なんだろうな・・。

でも、モバPと二人ならきっといろんなこと乗り越えていけるよね・・?





美嘉「ちょっと、夜道に人のお腹に耳当てるのやめてよ。またいつかみたいに職質されちゃうよ?」



モバP「でもさ、美嘉の中に新しい命があるんだって・・感じたいんだ。俺も父親にならなきゃいけないいんだから。この子がどんな風に育って、どんな人生を歩んでいくのか今から楽しみでしょうがないよ。」



美嘉「あたしだって、お腹痛めて産むんだから・・・絶対にこの子を愛し続けるよ。」



モバP「俺のことは?」



美嘉「・・・愛してるよ?」





あ、やばい・・・思わず愛してるなんて言っちゃった・・。絶対モバP調子に乗るよ・・。





モバP「俺も、美嘉のこと愛してるよ。」





あれ・・?全然調子に乗ってない・・ってか、真顔であたしの肩掴んでるんですけど・・。

あっ!ちょっと・・こんな道のど真ん中で・・・!ダメだって・・!あっ・・・!!



モバP「あはは・・美嘉が可愛いから思わずキスしちゃった。ごめんね?」



美嘉「もう・・・ホントにバカなんだから・・。」



モバP「さて、そろそろ帰ろうか。明日も早いし、夜風は身体に毒だからな。ゆっくりお風呂入って温まろうか。」



美嘉「うん、ねえモバP・・・。明日の結婚式・・・楽しもうね!!」



モバP「そんなこと言って、本当は寂しいんじゃないの〜??お姉ちゃんはずっと莉嘉のお姉ちゃんなんだからね!とか思ってるんじゃないの〜??」



美嘉「う、うるさい!思ってちゃダメなの!?」



モバP「いや、ダメじゃないよ。よし、断言しよう。」明日、絶対美嘉は号泣する!」



美嘉「泣かないって!ずっとニタニタ笑っててやるからね!隣で確認してなさいよ!」



モバP「じゃあ目に涙浮かんだら美嘉の負けな!」



美嘉「いいよ!最高の笑顔で莉嘉を送り出してやるんだからね!!」







ちょっとだけ、モバPに救われたな・・。本当は莉嘉が結婚しちゃうのは寂しかった。

今までは家に帰ってきたら必ず莉嘉が「おかえり」って言ってくれたけど・・・明日から莉嘉はもういないんだよね。

あたし、莉嘉のお姉ちゃんとしてお手本になれてたかな?莉嘉とはたくさん思い出作ったよね・・。

あたしの楽しかった記憶にも悲しかった記憶にも必ず莉嘉がいるんだ。

莉嘉はあたしが楽しい時はあたしより楽しそうな顔してて、あたしが悲しい時はあたし以上に悲しそうな顔してたね。

あたし、思ったんだ。あたしは莉嘉のお姉ちゃんで・・・ずっと莉嘉を支えて守ってきた。

でも、気づいてないだけで・・・あたしも莉嘉に支えてもらって、守ってもらってたんだよね・・。

莉嘉の笑った顔見てると、嫌なことなんて全部吹っ飛んで、あたしも笑顔になれたんだ。

莉嘉、アイドルになったんだから自分のことは自分でやれとか、大人になったんだから甘えるなとか色々言ったけど・・・明日はそんなこと全部忘れて、思いっきり甘えていいんだからね・・?

だって・・あたしは・・。













あたしは・・・城ヶ崎美嘉は永遠に城ヶ崎莉嘉のお姉ちゃんなんだからね!!





――翌朝・城ヶ崎家――



母ヶ崎「みんな、早くタクシーに乗って!!」



父ヶ崎「ママ!チャック閉まらなくなっちゃった!一夜にして豚になっちゃったよ!!」



モバP「お義父さん!それ僕のスラックスですから!お義父さんのこっち!!」



冬馬「やべ・・・もう緊張してきた・・。」



莉嘉「楽しみだね♪あたしたちの人生で一番のステージだよ、冬馬!!」



美嘉「莉嘉・・・出かける前にちょっとこっち来な。」



莉嘉「ん?なあに、お姉ちゃん?」











ギュッ・・。









美嘉「莉嘉・・・結婚おめでとう・・!!幸せになりなよ!大好きだぞ!ふひひっ♪★」













おわり



23:30│城ヶ崎美嘉 
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