2015年02月25日

千早と真美のバレンタインパニック

今日はバレンタインデー。私、如月千早も例に漏れずバレンタインデーを満喫していた。いや、満喫させられていた、と言うべきか?



昨日、私のオフの前にと事務所の皆から貰ったチョコレート達。私もお返しにチョコを渡したけど、事務所のみんなと交換するチョコはやはり数が多い。



食べきれるかしら……などと思いながら、春香の手作りチョコケーキを最初に頂いてみる。





上に生チョコが掛かっていて見た目はとても甘そうだけど、そこはお菓子作りが趣味と公言する春香だ。



見事にくどくない甘さを表現している。思わず私もフォークが止まらなくなる程に、美味しい。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1423905118



「ちっはやおねーちゃーん!」



美味しいチョコケーキを食べ進めていると、いつの間にか同じ事務所のアイドル、双海真美が家に上がり込んでいて、私の名前を呼んでいた。



「真美? 鍵は掛けてた筈だけど……」



「千早お姉ちゃん、この前合鍵くれたじゃん! いつでも遊びに来ていいよーってさぁ」



「あぁ、そうだったわね……鍵を使って入ってくるのは春香だけだったから、すっかり忘れていたわ」

チョコケーキを一旦テーブルの上で待たせて、真美の方に顔を向けると、今度は真美が後ろを向いて何かゴソゴソとし始めている所だった。



もしかして。真美は昨日今日とオフだから、わざわざチョコを渡しに来てくれたのかしら?



なんて思っていると、真美が振り返ってにーっと笑う。



口の周りが黒くなっていて……あれは……。

「千早お姉ちゃん、ハッピーバレンタイン! 今はやり?の私を食べてだよ〜ん!」



やっぱり。



チョコを口の周りにべたべた塗りたくって……。アイドルがはしたない。



「こら、真美。食べ物で遊んじゃいけません」



「えーっ、ちょっとくらいいいじゃーん!」

「ダメな物はダメ」



「ぶーっ」



テーブルの上のティッシュを数枚取って、真美の口元を拭い始める。



「普通にチョコを渡すと言う発想はないの? ……これでよし」

真美の口元が綺麗になって、ちょっとだけ満足する。意外と私、世話焼きかも知れない。



真美は不満げな表情をしているが、すぐに照れたような笑顔になる。



「えへへ、あんがと千早お姉ちゃん」



「もうチョコを塗って遊ばない事、いいわね?」



「はーい。あ、千早お姉ちゃん?」



「なに?」

真美が私の名を呼ぶのでそちらに顔を向けると。



ぺろっ。



「っっっ!!!!」



舐められた事が分かったと同時に私はのけぞりつつ真美から距離を置く。



真美をきっと睨むと、真美は悪戯っぽい笑みを浮かべながら自分の唇を一回、ぺろりと舐めた。

「んっふっふ〜、千早お姉ちゃんの口、あっまい」



「ま、真美……こら!!」



「千早お姉ちゃんが口元にチョコ付けてるのがいけないんだよ〜」



「だからって! 舐める事はないでしょう!!」

顔に熱が集まっていくのが凄くよく分かる。



今とてつもなくみっともない顔をしているんだろうな……等と思いながら、真美をもう一回睨むと、流石に真美もしゅんとし始める。



「もう、恥ずかしかったわよ……」



「ごめんなさい……」

……流石に大人げなかったかしら。



しゅんとしている真美をそっと抱きしめると、真美も抱きついてくる。



「反省してるのなら、いいのよ」



「うん」

ぺろり。



今度は抱きしめられているから逃れられなかった。



しかも、唇を……!!



「千早お姉ちゃん、すっごく甘いよ」



「真美――!!?」

更に、今度は唇と唇を重ねられて……!!



「今って女の子同士でも流行ってんだよー? んっふっふ〜、これで千早お姉ちゃんのファーストキスは頂いちゃいましたな〜」



「ま、真美……・!!」



怒りを込めて真美の名前を呼ぶと、ぎゅっと抱きつく力が強くなる。

どうしたのだろうと真美を見ると、私の胸に顔を埋めてきた。



「ごめん、真美素直じゃないから、さ」



「え?」



「やり方が悪くて、ごめん……千早お姉ちゃんにもっと構って欲しくて……」



「真美……?」

「ごめんなさい、もうしません……」



私の怒りが予想外の反応だったのだろうか? 真美は肩をふるわせ始めた。



優しく頭を撫でると、そのまま嗚咽を漏らして泣き出す。



10分くらい経った頃に、真美の泣き声は止まって、その代わりに寝息が聞こえてくる。



しょうがない、と思って抱きついたままの真美を起こさないようにそっとベッドに寝かせてあげて。

ぺろっ。

お返しとばかりに、私も唇を舐めてみる。



確かに怒りはしたけど、それは反省したふりをした事であって、別に舐められるのが本気で嫌だった訳ではないし……。



と言い訳して、食べかけのケーキを食べようと思ってベッドから離れようとすると。

「千早お姉ちゃん、甘かった?」

振り返ると、照れくさそうに笑っている真美がいた。



「……その、嫌じゃなかったから。反省したふりした事に怒っただけよ」



「良かった……嫌われちゃったかと思ったよ〜」



「真美を嫌う訳ないでしょう」



「ありがと、千早お姉ちゃん」

オフはまだ長い。今日は、とことん真美を構ってあげることにしよう。



そう思って、私は真美をテーブルの方へと手招きした。





おわり



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