2015年03月23日

モバP「算数の勉強をしよう」 千枝「まってください!」

モバP(以下P)「宿題を手伝って欲しい?」



千枝「はい……学校でだされたんですけど、千枝さんすう苦手なんです……」



P「んー、まぁちょうど暇だったしいいよ。一緒にやろうか」





千枝「ほんとですか! ありがとうございますっ!」ピョンピョン



P「俺、ちょっとは数学強いんだぞ? 文系だったけどな」



千枝「たのもしいです♪」

P「どりゃどりゃ、じゃあこっちのソファー座って、宿題見せてみんさい」



千枝「はいっ!」トスッ



千枝「わ〜! ふかふかできもちい〜」モフモフ



P「こらこら、ちゃんと座りなさい(めっさ可愛い)」

P「それで? どの辺が分からないの?」



千枝「あの、ここからここまでなんですけど……」



P (ほぼ全部か……)



P「まーこの辺は難しいな。よし、やってみようか」



千枝「はいっ♪」



第一問『たかしくんは池の周りを分速150mで歩き始めました。池の周りの距離が6kmである時、たかしくんは何分後に池を一周回り終わりますか?』



P「あー、距離と速度ね。ちょっと進んだとこ勉強してるんだな。これは難しかもな」



千枝「むずかしいです……問題文がむずかしくて……。千枝おばかさんかもしれません……」



P「も、問題文がか……。いや、算数苦手な人はみんなそうだから安心しなさい」



千枝「……ほんと、ですか……?」ジワッ

P「だ、大丈夫! 本当だから!! 頑張って解いていこうなー」



千枝「ぐすっ……はいっ!!」



P「よーし、じゃあこの式をまず作ってみようなー」



























千枝「式はkmをmになおして6000÷150=40でこたえは40分後ですよね?」スラスラ



P「」

P「え、え、しっかり分かってるじゃん」



千枝「ち、ちがうんです! 式とこたえはわかるんですけど、問題文のいみがわかんないんです!」



P「い、意味?」



千枝「だってーー」











千枝「なんでたかしくんはお池のまわりを40分も歩いてるんですか?」



P「」

千枝「4分だったら千枝も近くのこうえんで歩きます。でも、たかしくんはお池のまわりをずーっと40分も歩いてるんです! どうしてだかわからないんです!」



P「」



千枝「それに、6kmもです! 千枝がしってるさんぽじゃありません。うぉーきんぐ? でもこんなに歩かないっておかあさんが。じゃあなんのために歩いてるんですか? そこがわかんないんです……」



P「……(文の意味って、そういうことか)」

千枝「だから、こたえが合っていてもなっとくできないんです……。プロデューサーさん、教えてください!」



P「……それは、その……えっと……」

















P「……たかしくんは、アイドルだったんだよ」



千枝「えっ?」

P「正確にいえば、まだたかしくんはアイドルの卵だ。千枝と一緒だな」



千枝「……千枝と?」



P「ああ、たかしくんは毎日一生懸命レッスンした。皆が先に進んでしまっても、焦らず、ゆっくりと確実に成長していくように。……だが、その努力はある地点で止まってしまった。そしてたかしくんは悩んだ」



P「僕は、アイドルになれる程努力できるだろうか、と」

千枝「たかしくん! あきらめちゃだめだよっ!!」



P「ああ、そうだ。諦めたらおしまいなんだ。だが、たかしくんには努力する何かを失ってしまった……」



P「ーーそんな時だった。そんな時だったんだよ。たかしくんが散歩中に、それはそれは大きい池を見つけたんだ」



千枝「はっ! ま、まさかーー」







P「そう、あの周囲6kmの池だよ」

P「たかしくんは気づいた。『この池をきっかり分速150mで歩くことができたら、僕はアイドルになれるかもしれない!!』とね」



P「それからたかしくんは血のにじむような努力をした。八百屋におつかいに行ったお駄賃を貯めて三割引の靴を買い、常に前を歩くお兄さんに追いついて筋力をつけ、そしてその日まで分速150mを絶やすことなく歩く練習を重ねたっ!!」



P「考えてもみろ! 人間が秒速1mmたりとも増減することなく歩くことができるか!? 否! 並大抵の努力じゃ不可能だ!! だが、たかしくんは可能にした!! 皆が先急ぎしすぎる中、たかしくんは頑張ったんだ!!」

P「そうして彼は夏の日差しが差し込む中っ! 無謀とも思える池の周りに、一歩を踏み出した!!」







P「……その結果が、千枝の求めた答えだったんだよ」



千枝「ふ、ふわあぁっ……! すごいです! たかしくんすごいですっ!!」



P「分かってくれたか。千枝もたかしくんのように頑張って、立派なアイドルになろうな」



千枝「はいっ! がんばります!!」

千枝「ところでプロデューサーさん」



P「ん? なんだ?」











千枝「それで、たかしくんはアイドルになれたんですか?」



P「……」



千枝「……」



P「……次の問題、行こうな」



千枝「は、はいっ!」

第二問『容量が120Lのお風呂があります。このお風呂に毎分4Lのお湯を入れていきます。お風呂に2/3のお湯が入ったら入れるのを止め、せんを抜きます。毎分2Lのお湯が抜けていくとき、お湯を入れ始めてから空になるまで合わせて何分かかりますか』







P「うん、まぁありがちな問題だよな。それで、答えは……」



千枝「2/3のお湯がはいったとき、その量は120×2/3=80で80Lで、それまでにかかった時間は80÷4=20で20分。お湯をぬいてから空になるまでかかった時間は80÷2=40で40分。なので、もとめる時間は20+40=60で60分ですっ!」エッヘン



P「まったく千枝は頭がいいなぁ」ナデナデ



千枝「えへへっ……!」ニコニコ

千枝「それで、プロデューサーさん! おしえてくださいっ!!」













千枝「なんでお湯すてちゃったんですか?」



P「そうくると思ったー」

千枝「だってお風呂入れたいんじゃないんですか? それなのにせっかくためてたお湯だばーって捨てちゃうって、なんでなんだろうって思ったらわからなくなって……」



千枝「それに、お湯がもったいないです!! お母さんにどんなものもムダにしちゃいけないって言ってました! 地球にもわるいですっ!!」



P「そうだな、ホントその通りだよ問題作成者に猛省を促したいよな」

千枝「プロデューサーさん、どうしてこんなことするんですか? 教えてください!!」



P「……それは」

















P「……世の中には、無駄なことだって意味があるってことを千枝に教えたいんじゃないかな?」



千枝「へ?」

P「この世に欠点の無い人なんていない。みんな誰でも他人から見れば無駄なように思えることをしてるもんだよ」



千枝「みんなですか?」



P「そう、例えばみくだってそうだ。みくは性格も個性も、猫キャラじゃなくたって十分アイドルに通用するものを持ってる。だけどあえてにゃーにゃー言ってるのは、人によっては無駄なように見える」







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

レッスン室





みく「……はっ! 今どこかでみくのアイデンティティーが激しく揺るがされてる気がするにゃ……!」ピコーン!



莉嘉「?」

P「だけど、みくはいつだって気を抜かずに猫キャラだ。それにはみくの魅力をさらにも増して魅せるからだ。決して無駄なことじゃない。むしろ何倍も膨らませる意味があるのさ」



P「みくだけじゃないぞ。菜々さんだってそうさ。誰がどう見たって『永遠の17歳』は厳しいはずだ。だけどそれをあえて続ける」



P「きっと本人も辛いときがあるかもしれない。それでもギャップと可愛さは紙一重だ。そのギリギリを維持していくことは、無駄なことかな?」







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ウサミン星(千葉県某所)





菜々「ひくしゅ! ……うー、誰か噂してるんですかね……それとも目張りしなくちゃダメですかね……?」

千枝「う、ううん! すっごく意味のあることですっ!! みんなすごいです!!」



P「だろ? だから、一見無駄なように見えることの裏には全て意味があるんだ。それを千枝はこれからいろんなことで学んでいくんだよ」



千枝「はい! がんばってたくさん学びますっ!!」



P「焦らなくていいからな。ホントに。マジで」ポンポン

千枝「じゃあプロデューサーさん!」



P「おう! 何だ?」















千枝「この問題にはどんな意味がかくされてるんですか?」

P「……」



千枝「……」



P「……次の問題、行こうな」



千枝「は、はいっ!」

第三問『あきらくんがある時間の自分の影の長さを測ると1mありました。次の日、同じ時間に、42mのビルの影の長さを測りました。あきらくんの身長が1m20cmであるとき、ビルの影は何mですか』







千枝「あきらさん、どうやってビルの影の長さをはかったんですか? 自分の影の長さをはかるのもたいへんだと思うんですけど……」



P「……あきらくんな、空間把握能力がズバ抜けて高かったんだよ。多分Portal得意だよあきらくん」

第四問『植林をしようとしたところ、木を何本用意したか分からなくなりました。300mの街路に15mの間隔で丁度植え終わるとき、用意した木は何本ですか』





千枝「分からなくなっちゃったのに植えたんですか? 足りなくなっちゃうかもしれないのに」



P「あー、うん。お役所仕事なんてそんなもんなんだよ、悲しいことに、うん」

第五問『あつしくんとつよしくんがセミ捕りをしたところ、あつきしくんはつよしくんの3倍のセミを捕まえました。つよしくんの捕ったセミが21匹の時、あつしくんの捕ったセミは何匹ですか』







千枝「つよしくん捕りすぎじゃないですか? セミさん可哀想です……」



P「キャッチアンドリリース! 自然を守るために捕ったら自然に帰す精神で捕ってるよあつしくんもつよしくんも!! 」

第六問『だいきくんは仕入れ値が一個100円のりんごを5つ仕入れ、定価を150円として売りました。2つ売れた後、残りの3つのりんごの値段を2割引にすると、2つ売れました。だいきくんの利益はいくらですか?』





千枝「これだと140円しか利益が出てないんですけど、だいきくんのけいえいは大丈夫なんですか?」



P「うんまぁ商才はそこそこあるよだいきくん! ていうかこれ難しくない? ……うっわ有名中学の入試問題か!? 頭いいな千枝!!」

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千枝「……わ〜! ぜんぶ分かりました! プロデューサーさん、ありがとうございますっ♪」



P「……うん、お役に立ててなによりだよ」



千枝「じゃあ、レッスンの時間なので、がんばってきますね!」バタバタ…



P「……行ってらっしゃい」

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次の日



P「……宿題を手伝って欲しい?」



みりあ「うん☆ 千枝ちゃんから聞いたよ、プロデューサーさん算数得意なんだってね! ちょっとでいいから教えてくれない?」



P「……」















P「ごめん、俺算数苦手なんだ」

終わり





17:30│佐々木千枝 
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