2015年03月23日

P「二宮飛鳥は本音で喋れない」




もし飛鳥が蘭子ちゃんみたいに内心デレデレな女の子だったら、という妄想。











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―――事務所―――



飛鳥「……」ソワソワ



ちひろ「あら、おはよう飛鳥ちゃん」



飛鳥「おはよう、ちひろさん(ちひろさん、今日も美人だなぁ……)」



ちひろ「プロデューサーさんなら、もう少しで来ると思いますよ。さっき電話をもらいましたので」



飛鳥「そうか。教えてくれてありがとう(ど、どうしてボクがPを待ってるって分かったんだろう……何だか恥ずかしいな)」



ちひろ「ふふ」



飛鳥「どうかしたのかな?(何で笑ってるんだろう。も、もしかして寝癖でもついてたかな?!)」



ちひろ「いえ、最初のプロデューサーさんにスカウトされた時とは大違いと思いまして」



飛鳥「そうかな。ボクはボクのままだよ(あの時は凄く怪しい人だなと思ったんだもん……)」



ちひろ「こんな風に、みんなより朝早くに来て待ってるなんて想像できませんでした」



飛鳥「それは……今日はいつもより早起きしてしまったからね(だって早くPと会いたかったから)」



ちひろ「ふふ、そうですか。素直じゃないですね」



飛鳥「……からかうのはよしてくれないかい?(うぅ、ちひろさん、何だかボクの本音を分かってるような発言をするからドキドキする……)」



P「おはようございまーす……って飛鳥?!」



飛鳥「おはよう、P(はぁ……今日もPは王子様みたいだなぁ)」



P「どうしたんだこんな朝早くから」



飛鳥「早起きしてしまってね。家で無為な時間を過ごすより、ここで有意義に過ごしたいと思って(Pに会いたかったんだもん)」



P「そうか。もしかして待たせちまったか?」



飛鳥「キミを待っていたワケじゃないが……まぁ、そうだね。少し待った、かな(ずーっと待ってたから褒めて!)」



P「ご、ごめんな。今ココアでも入れるよ」



飛鳥「……コーヒーがいいかな。まだ少し眠くて(Pの写真フォルダを整理してたらとんでもない時間になってしまってたんだよね……)」



P「わかった。ミルクはいくついる?」



飛鳥「2個(ここでブラックって言えたら大人の女って感じがするんだろうけど……苦いし……)」



P「いつも通りな。少し待ってろ」



飛鳥「ありがとう(Pの入れてくれるコーヒーは何だか美味しいから大好き♪)」



ちひろ「あ、私にもブラックで淹れてもらえませんか?」



P「あ、はい。わかりました」スタスタ



飛鳥「……(流石大人の女……)」



ちひろ「……そうそう飛鳥ちゃん。無理にブラックを飲めるようにならない方がいいわよ」



飛鳥「そ、そうなのかい?(こ、この人心が読めるんじゃないのかな?!)」



ちひろ「ブラックが飲めても……あまり、いい事はないわ」



飛鳥「だけど、それは子供から大人への大きな転換点ではないのかな(だって飲めた方が大人の女って感じがする……よね?)」



ちひろ「人によってはそう捉えるのかもしれないけれど、子供から大人に変わるって大した事じゃないのよ」



ちひろ「ただ単純に、少し感じる味が変わって、少し見える景色が変わって、少し聞こえる音が変わって、それだけ」



飛鳥「……ボクはそれが羨ましく感じるんだ(それって……ボクが見えてないPさんも見えるって事だよね……)」



ちひろ「でも逆だってあるの。大人になったら見えなくなるモノ、感じられなくなるモノ、聞こえなくなるモノ」



ちひろ「少なくとも、今飛鳥ちゃんが感じているそれは、大人になったら感じられなくなるモノだろうから」



飛鳥「……(やっぱりちひろさん、ボクの事、気付いて……?)」



P「淹れてきましたー」



ちひろ「ありがとうございます。……飛鳥ちゃん、今の気持ちを、大切にね?」



飛鳥「……うん(でも、大人にならないときっとPは……)」



P「……?」

―――夜 女子寮 飛鳥の部屋―――



飛鳥「んん〜っ!」ボフッ



飛鳥「もふもふ!もふもふ!」



飛鳥「はぁ……」



飛鳥「やっぱり……そうだよね。Pも子供っぽいボクなんかより、ちひろさんみたいな大人の女性の方が、こう、グッと来るはずだよね」



飛鳥「だって見てればわかるもん……P、ちひろさんと話す時なんだか楽しそうだし……」



飛鳥「……ダメだこういう時は一人で悩んでてもしょうがない!」ピッ



飛鳥「起きてるかな……?」プルルル

蘭子「血が疼くような宵闇に如何した世界少女よ(こんな夜遅くにどうしたんですか?飛鳥ちゃん)」



飛鳥「蘭子、今、時間大丈夫?」



蘭子「え?あ、ああ。暫しの時を刻むがよい(す、少し待っててね)」



飛鳥「うんうん」



蘭子「……ふむ。構わぬぞ(大丈夫ですよ)」



飛鳥「あのねっ、相談なんだけど……」



蘭子「……せ、世界少女よ。今宵は真の姿を解放し語り合うのか?(飛鳥ちゃん、今日はそっちのテンションで話すんですか?)」



飛鳥「出来ればそうして欲しい……ダメ?」



蘭子「……い、いいですけど……」

飛鳥「それでね。相談なんだけど……やっぱPって、大人の女性の方が好きなのかな……」シュン



蘭子「ど、どうかな……私はそうは思いませんけど……」



飛鳥「今日ね。朝早くから事務所でPの事を待ってたんだ」



蘭子「(なんだか最近の飛鳥ちゃん、犬っぽいですよね)」



飛鳥「その甲斐あってね。Pにコーヒーを淹れて貰ったんだよ」



蘭子「そうなんですか?いいなぁ……」



飛鳥「えへへ。でもね、いつものようにミルクを2個入れてもらったんだけど、このままでいいのかなって思って」



蘭子「あ、もうミルク2個なんですね……私まだ3個です……」



飛鳥「蘭子も頑張ろう?あ、今日はその話じゃなくて……」



蘭子「はい。それでこのままでいいのか、とは?」



飛鳥「コーヒー、ブラックで飲めるような大人の女性の方が、Pは好きなんじゃないかって」



蘭子「なるほど。そこで最初の質問に立ち返るんですね」



飛鳥「なんだかね。ちひろさんとボクを見る目が違うんだ。ちひろさんの事はちゃんと同僚……というか女性扱いしてる感じがして、ボクの場合、何だか子供を見るような微笑ましい目で見られてるような……」



蘭子「それ、とってもわかります。飛鳥ちゃんもそう思いますよね」



飛鳥「蘭子も?これは問題だよね」



蘭子「はい。大問題です」



飛鳥「だからね、思い切って明日ブラックに挑戦しようか考えてたら、ちひろさんに止められたんだ」



蘭子「どうしてでしょう?」

飛鳥「なんかね、子供だからこそ感じられるモノと大人だからこそ感じるられるモノがあるんだって」



蘭子「……なるほど。それは実に興味深い」



飛鳥「蘭子、口調」



蘭子「あ、うん、ごめんね?私も思う事があって、つい」



飛鳥「思う事?」



蘭子「うん……こう、恋愛映画とか見てても、私はそんな恋愛に憧れるけれど、川島さんとかはそうじゃないみたいですから……」



飛鳥「ボクも憧れるけど……そうだね。心のどっかでは、そんなの有りえないって思ってるかな」



蘭子「多分、憧れよりもその気持ちが先に出てきちゃうことが大人だからこそ感じられるモノで、その憧れこそが子供だから感じられるモノなんじゃないですかね……」



飛鳥「……失いたくないな、ボクはその憧れを」

蘭子「でもいつかみんな失ってしまいます。ですから、無理に大人にならなくていい、今を楽しみましょうとちひろさんは教えてくれたんじゃないですか?」



飛鳥「そういう事、だったんだね。ありがとう、蘭子に相談してよかった」



蘭子「いえいえ。私がお役に立てたなら、何よりです」



飛鳥「……それじゃあ、また明日、事務所で会おう。ボクの親友、神崎蘭子」



蘭子「……ふふ。待っているぞ、血肉を分けし世界少女よ(はい。また明日。我が親友、二宮飛鳥)」プッ



飛鳥「今のボクだから感じられるコト……」ボフ



飛鳥「……このトキメキは、今のボクだから……きっと……」



飛鳥「……zzz」

―――翌日―――



P「おはよう飛鳥。今日も早いな」



飛鳥「今日も早起きしてしまってね」



P「そうか。またコーヒー、いるか?」



飛鳥「ああ。お願いするよ」



P「ミルクは?」



飛鳥「……そう、だね」

今感じているこのトキメキは、いつか失ってしまうのだと子供のボクは知った。



大人になれば嫌でも忘れてしまうなら、



今、せめてこの場だけは無理をしない等身大の自分で。



「2個でお願いするよ」



そして今日、二宮飛鳥は



「……いつもありがとね、P」



ほんの少しだけ、本音で喋れた。



おわり



22:30│二宮飛鳥 
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