2015年03月26日

P「雪歩、俺と遊園地に行ってくれないか?」

OFAの雪歩Aランクふれあいコミュの後日談的な。

見てなくても話は分かるけど、伝わりにくい部分があるかも。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1426775718



雪歩「うぅ、プロデューサーと遊園地、もう明日だよぉ」ソワソワ





雪歩「服、これでいいよね? でもちょっと地味かな?」オロオロ



雪歩「でもあんまり攻めて、はしたない子だなんて思われたら恥ずかしいし」



雪歩「でもでも、ちょっとくらい派手な方がプロデューサーも意識してくれるかも」



雪歩「あぁでも意識されたら、それはそれで恥ずかしいかも……」



雪歩「うぅ、全然決まらないよぉ。プロデューサーってどんな服が好みなのかなぁ?」



雪歩「こんなことなら、頑張って聞いておくんでしたぁ」グスッ



雪歩「もうかれこれ、1時間は悩んでるような……」チラッ

A.M 1:56



雪歩「えぇっ!? も、もう2時間も経ってるの!? まだ全然何にも決まってないよぉ!」バタバタ



雪歩「明日は早起きしなくちゃいけないのにぃ!」



雪歩父「騒がしいぞ! 何時だと思ってるんだ!」ドンドン!!



雪歩「ひぅぅっ! ごめんなさいぃ!」ビクッ



雪歩「とっ、とにかく、今できる準備だけしておいて」



雪歩「最悪の事態を回避する為に、今日は寝ますぅ……!」

雪歩(明日に備えて、早く寝なくちゃ)



雪歩(……明日。もう、明日なんだ)



雪歩(いよいよプロデューサーとデートかぁ)コロン



雪歩(あれ? そういえば、デートだよね?)



雪歩(確かに話題を振ったのは私だけど、プロデューサーから誘ってくれたんだし)



雪歩(『誘いたい相手がいる』なんて言われた時は、この世の終わりかと思ったけど)

雪歩(それが私だなんて、思いもよりませんでした。えへへ)パタパタ



雪歩(ちょっと変わった誘い方だったけど、嬉しかったなぁ)コロコロ



雪歩(うん、きっとデートだよね)



雪歩(プロデューサーの隣にいても恥ずかしくないように、しっかりお洒落していこう)キュッ



雪歩(も、もしかしたらもしかするかもしれないから、下着も、ちょっとお洒落して……)モジモジ



雪歩「……」ハタ



雪歩「……全然眠れん」TT

翌日



P(10時に改札前集合って言ってたけど……)チラッ



A.M 9:26



P(30分以上前に着いちゃった。てへ)



P(遊園地なんて久し振りだし、年甲斐もなく浮かれちゃったのかもなぁ)



P(それに、雪歩が喜んでくれたのも、何だか感慨深いのもがある)



P(……一瞬、この世の終わりみたいな顔してたのが気になるけど)

P(そういえば、女の子と一対一で出掛けるなんて、どれくらい振りだろう)



P(……)



P「初めてだった……」ズーン



P(その初めてにしても、担当してるアイドルが相手なんだからデートとは呼べないけど)



P(デートじゃない、よな? 相手、アイドルだし、おまけに雪歩だし)



P(でも、『お洒落していきますね』とか言ってたような……。うぅむ)



P(雪歩が喜んでるなら、まあいっか!)

雪歩「お、お待たせしましたぁ!」



P「えっ?」クルッ



雪歩「すみません、プロデューサー」



P(雪歩か? 帽子のせいで顔がよく見えないけど、声は確かに雪歩だ)



P(でも、服のイメージが普段と随分違う。膝丈のワンピース、って言うといつも通りなんだけど)



P(ワインレッドの服なんて、衣装以外で着てるところ見たことがない)



P(何て言うか、普段より大人っぽい感じだ。服一つで、こんなに変わるもんなんだなぁ)マジマジ

雪歩「折角誘ってくれたのに遅れちゃうなんて……」



P「え? あ、いや、時間ならまだ……」ハッ



雪歩「こんなダメダメな私は、穴掘って――」



P「落ち着け! 時計!」



雪歩「埋まっ……時計?」チラッ



―9:32



雪歩「あ、あれ? 30分前……?」



P「そうだ。遅れてなんかないよ」

雪歩「でも、じゃあ何でプロデューサーは、こんな早くにいるんですか?」



P「うっ。それはまあ、うん」



P「あんまり楽しみでな。少し早く着き過ぎたみたいなんだ」



雪歩「……楽しみ、プロデューサーが……」



P「あはは。恥ずかしいよな。こんな、遠足前日の小学生みたい、な……?」



雪歩「うっ、ひぐ、ぐすっ……うぅ……」ポロポロ



P「や、やっぱり駄目かな!? 二十歳超えた野郎が遊園地で浮かれてるのって!?」

雪歩「うぅ、違うんですぅ。こ、これは、嬉しくって……、ぐすっ」



P「な、泣く程嬉しかったのか? でも、一体何がそんなに」



雪歩「プロデューサーが、私なんかとの、その、えっと……」モジモジ



P「俺? 俺が?」



雪歩「で、デー……お出掛けを、楽しみにしてくれてたなんて、私、嬉しくって、うぅぅ……」



雪歩「嬉しすぎて、倒れちゃいそうですぅ」



P「そ、そんなにか」

P「いや、年甲斐もなく恥ずかしい奴だと思うかもしれないけどさ」



P「俺も本当に嬉しかったんだよ。オフの日のお誘いをしてくれるなんて」



P「そんなに信頼されてるんだなぁ、なんて思って。……あ、誘ったのは俺か。ははっ」



雪歩「プロデューサー……」ジワッ



P「あぁもう、だから泣かないでくれ。まだ遊園地に着いてすらいないんだから」



雪歩「は、はい。そうですよね。本番はこれからなんだから、こんなところで泣いてちゃ駄目ですよね」



P「そういうこと。じゃあ、早速行こうか」



雪歩「はいっ」

P「お、ちょうどバス来てる。あれに乗ろう」



雪歩「はい」



P「あ、そういえば」チラ



雪歩「何でしょう?」



P「……いや。向こう着いてから言うよ」



雪歩「えぇっ!? な、何ですか? 気になりますよぉ。どうせ言うならいっそ一思いにぃ……」プルプル



P「いや、別に悪いことじゃないから。そう縮こまらないでくれ」

―プシュー ブロロロロロ



P「バスは割と空いてるな。土曜だとこんなもんなのか?」



雪歩「うーん、どうなんでしょうか?」



P「前に行ったことはあるのか?」



雪歩「はい。今年も夏休みに、春香ちゃんたちと行きましたよ」



雪歩「あの時は混んでましたぁ。それに、真ちゃんがファンの人たちにばれちゃって」



雪歩「うぅ。もう思い出しただけでも……」



P「そうか。大変、だったんだな」



雪歩「はい。でも、それまでに充分楽しめましたから」ニコッ

雪歩「プロデューサーは、行ったことは?」



P「いや。東京に出てきてからこっち、遊園地なんて仕事以外で行ったことないな」



P「だから、案内は頼むよ」



雪歩「わ、私だって、男の人と行くのは初めてですよぉ」



P「それを言ったら、俺だってそうだよ」



雪歩「えっ? プロデューサーもデートってしたことないんですか?」



P「……悪かったなぁ、モテなくて」ズーン



雪歩「はわわっ、ち、違うんですぅプロデューサー」アワアワ



P「……お前はいいよなぁ」

P「っていうか、デートって言うんなら、初めてが俺でよかったのか?」



雪歩「それはっ……、むしろ、プロデューサーじゃないと駄目っていうか……」ゴニョ



P「俺じゃないと、駄目?」



雪歩「あうぅ。その、何ていうか、私が大丈夫な男の人ってプロデューサーしかいない、から……」



雪歩「だから、そのプロデューサーと、でっデート、できたら嬉しいな、って……」カァァァ



P「そ、そうか。俺も、嬉しいよ」カァァ

雪歩「……」



P「……」



P(とても気まずい)



『○○ランド前。○○ランド前です』プシュー



P「お、降りようか」アセアセ



雪歩「は、はいぃ」アセアセ

―ザワザワ ガヤガヤ



P「おぉ。休日だけあって流石に混んでるな」



雪歩「そうですね。ちょっと早く来てよかったかもですぅ」



P「開園は……あと10分くらいか」



P「まあ、ぼちぼち待つとしようか」



雪歩「そうですね。……ところで、あの。プロデューサー」



P「うん?」



雪歩「プロデューサーが、バスに乗る前に言おうとしてたことって……?」

P「ん、そのことか。それな」



雪歩「や、やっぱり言いにくいことなんでしょうか?」ビクビク



P「いや、確かに言いにくいけど。えっとな、うん」



雪歩「……?」プルプル



P「その服、とてもよく似合ってる」



雪歩「ふぇっ?」ドキッ

P「もっとこう、上手く言えたらよかったんだろうけど、難しいな」ポリポリ



雪歩「えと……あの……」ドキドキ



P「いつもの白い服も可愛くていいんだが、今日のその赤も似合ってて可愛いし、何より」



P「綺麗だなって」



雪歩「!」ボンッ

P「はは。何か気恥ずかしいな、こういうの。慣れてない」



P「大したこと言えてないし、忘れてくれても、……!?」



雪歩「……いきなり大胆すぎますぅぅ……」プシュゥゥゥゥ



P(顔まで真っ赤になってしまった)



P「おーい、大丈夫か?」



雪歩「……はっ」パッ

雪歩「ご、ごめんなさいっ。あまりに嬉しすぎて、ちょっとおかしくなってましたぁ」カァァ



P「あ、嬉しかったのか、今の」



雪歩「それは、恥ずかしかったですけど」



雪歩「でも、綺麗だって言われて嬉しくない女の子なんていませんから」ニコッ



P「そ、そうか」ドキ



P(雪歩のはにかんだ笑顔……。見慣れてる筈なのに、何だ、この胸の高鳴りは)ドキドキ



P(いつもと違う服装のせいか? それとも、デートだって変に意識してるのか?)

雪歩「プロデューサー?」



P「あ、ああ。何だ?」



雪歩「えっと、その。本当に、似合ってますか?」



P「嘘は言わないよ。本当に似合ってる。最初見た時、ちょっと見惚れたよ」



雪歩「見惚れたなんて、そんな。大袈裟ですよぉ」テレテレ



雪歩「でも、えへへ。悩んだ甲斐がありましたぁ」



P(大丈夫なのか、俺は。こんな愛くるしい生き物と遊園地デートなんてして)ジッ



雪歩「?」ニコニコ



P(俺は、生き延びることができるか?)

『○○ランド、開園いたします!』



雪歩「あっ、開きました。行きましょう、プロデューサー!」ウキウキ



P「あ、ああ。そうだな」



P(何かやたら元気になったな。そんなに服のこと褒められて嬉しかったのかな?)



P(そういえば、最近は前ほど褒めてあげてないな)



P(……よし、ちょうどいい機会だ。ご褒美代わりに、雪歩が楽しめるように精一杯努めよう!)キリッ

P「ふむ」キョロキョロ



雪歩「プロデューサー、お仕事では来たことありますよね?」



P「うん、そうだな。ただ実際自分が遊ぶとなると、何をすればいいのか」



雪歩「そうですねぇ。迷っちゃいます」



P「んー。参ったな。絶叫マシーンとかは……」



雪歩「無理ですぅ」ズパッ



P「うん」

P「まあいいや。忙しなく動くよりは、適当にぶらつく方が好きだし」



雪歩「そうですね。よく晴れてますし、のんびりしましょう」



P「だな。じゃあ」クルッ



P「手でも繋ぐか? デートっぽいし」スッ



雪歩「えっ!? えと、あの、その……あぅ……」



P「なんて、からかいが過ぎ――」キュッ



雪歩「よ、よろしくお願いしますぅ……」カァァァ



P「お、おう」



P(きゅってされた……)キュン

P「本当に、いい日だなぁ」



雪歩「はい。風はまだ少し冷たいですけど、お日様が気持ちいいですぅ」



P「こういう日は、外で何もせずぼーっとしてるのもいいんだよなぁ」



雪歩「じゃあ、そうしますか? ちょうどベンチもありますよ」クスッ



P「悪くないけど、折角の遊園地だしな。それに、折角お洒落してきてくれたんだ」



P「ちゃんと、デートっぽくしないとな」



雪歩「そっ、そうですよね。で、デートなんですから。……えへへ」ギュゥゥゥ



P(雪歩は力込めて手握られてもそんなに痛くない可愛い)

P「しかし、何か乗ろうにも絶叫系が無理となると択が狭まるな」



雪歩「うぅ、すみません。私がダメダメなせいで」



P「いや、いいよ。実を言うと、俺もそんなに得意じゃないし」



雪歩「そうなんですか? 失礼かもですけど、意外ですぅ」



P「はは。大概の野郎は好きだからな、そう思っても無理はないよ」



P「別に普通のなら乗れないこともないんだが、明らかにやばそうな奴はちょっとな」



雪歩「私からしたら、普通のに乗れるだけでも凄いですよぉ」

P「あの子供向けっぽいのなら、大丈夫なんじゃないか?」



雪歩「……」フルフル



P「無理?」



雪歩「だってプロデューサー。私子供っぽいかもしれませんけど、もう高校生なんですよ?」



雪歩「いくら何でもあんな、あからさまに子供向けのアトラクション、ちょっと恥ずかしいですぅ」



P「そういうのはあるんだ」

P「じゃあ、あれなんかどうだ?」



雪歩「あ。あれだったら、あんまりスピードも出なさそうですし、大丈夫かも」



P「よし、じゃあ決まりだな。行こう」クイッ



雪歩「は、はいっ。……えへへ」



P「ん? そんなに楽しみか?」



雪歩「えっと、その、いえ。プロデューサーに、手を引かれてるな、って」



P「あぁ、悪い。痛かったか?」

雪歩「いえ、そうじゃないんです。ただ、……えっと」ポッ



雪歩「その、また後で、言いますね」



P「なんだ。意趣返しか?」



雪歩「そ、そういう訳じゃなくて。あの、後できっと言いますから」



雪歩「だから今日はいっぱい、引っぱってくださいね?」ニコッ



P「……分かった。たくさん連れ回してやるからな」キュッ



雪歩「ぁ……。はいぃ、お願いしますぅ」

P「いやぁ、そんなに大きい遊園地でもないけど、案外楽しめるものだな」



雪歩「えへへ。そうですね、とっても楽しいですっ」



P「ただ、少し腹が減ったな。何か腹に入れたい気分なんだけど、どうだ?」



雪歩「は、はい。その、私も……」ゴニョ



P「あぁ、悪い。こういうこと女の子は答えにくいよな」



雪歩「あ、いえ。そういうことじゃ、なくて……」

雪歩「ぷ、プロデューサーは、お昼どうするかって決めてあるんですか?」



P「いや。どっかで食べるにしても、2人で決めた方が楽しそうだと思ったからな」



P「何か、希望とかあるか?」



雪歩「は、はいっ。えっと、ぜ、ぜひ食べてほしいものが」



P「へぇ、楽しみだな。それなら、悪いが案内してくれるか?」



雪歩「あ、はい。じゃあ、その、あそこのベンチに……」



P「ベンチ? ああ、分かった」

P「見たところ、普通のベンチみたいだけど」



雪歩「えぇと、これ、なんですけど……」ゴソゴソ



P(鞄から可愛らしい小包が……)



雪歩「お、お弁当を作ってきたので、プロデューサーさえよければ、えっと。その、た、食べません、か?」カァァァ



P「手作り?」



雪歩「はい。や、やっぱり変でしょうか?」

P「いや、全然変じゃないよ。凄く嬉しい」



雪歩「ほっ、ほんとですか? えへへ。よかったですぅ」



P「ほんとによかったよ。ありがとう」



雪歩「そ、そんな。まだ上手に出来てるかも分からないですし。……えいっ」パカッ



P「おぉっ。出汁巻き卵に唐翌揚げにプチトマトに……。こっちはおにぎりか。いいな、王道って感じだ」



雪歩「えへへ」テレテレ

雪歩「どうぞ、おしぼりもありますから、使ってください」



P「ありがとう。こんなに、大変だっただろ」



雪歩「いえ。折角のデー……、ですから。浮かれちゃって、ちょっと作り過ぎちゃったかも……、あれ?」ゴソゴソ



P「ん? どうかしたのか?」



雪歩「……お箸、1膳だけしか持ってきてなくて。うぅ……」



P「あー……。俺は大丈夫だよ。手掴みでも」

雪歩「そ、そんなっ。プロデューサーに食べてもらう為に作ってきたんですから、お箸はプロデューサーが使ってくださいっ」



P「いや、女の子に手掴みで飯食わせる訳にはいかないよ。幸い、手で食べにくそうな物もないし」フキフキ



雪歩「で、でも……」



P「いただきます」パン



雪歩「うぅぅ……」

P「じゃあ、まずはこの出汁巻き卵から……」



雪歩「うぅ……えいっ」サッ



P「うおっ。ゆき……横合いからいきなり箸出すなよ、危ないだろ」



雪歩「あ、あーんっ……」プルプル



P「え? あの、え?」



雪歩「あーん、ですぅ! お、お箸が1膳しかないなら、こうすればいいんですぅ!」カァァ



P「えぇ……」

P「じゃあ、その、失礼して……」パクッ



雪歩「あっ……」



P(……正直恥ずかし過ぎて味殆ど分からん)モグモグ



雪歩「ど、どうですか?」



P「……うん、旨いよ。知らなかった、料理も上手なんだな」



雪歩「えへへ。いっぱい練習しましたから」



雪歩「だから、プロデューサーが美味しいって言ってくれて、本当に嬉しいです」ニコッ

P「……あ、ああ。本当に旨いよ。じゃあ、次は……」ソーッ



雪歩「あ、唐翌揚げですねっ」ヒュッ



雪歩「どうぞ、プロデューサー」



P「は、はは。あーん……」



P(嬉しいけど何か怖い)



雪歩「ふふっ」ニコニコ



P(まあ、雪歩が嬉しそうだし、いいよな)モグモグ

雪歩「次は何にしますか?」



P「いや。俺のこともいいけど、自分も食べるんだぞ?」



雪歩「あっ、はい。じゃあ、私もいただきますぅ」



雪歩「私も唐翌揚げを……」ハタ



P「どうかしたのか?」



雪歩「い、いえっ。何でもありませんっ」



P「そうか?」

雪歩(ぷ、プロデューサーが使ったお箸……。これ使ったら、その、か、間接、キスになっちゃうよね……?)チラッ



P「おにぎり貰うな」



雪歩(プロデューサーは気にしてないみたいだし、わ、私も気にせず……えいっ)パクッ



雪歩「……」モグモグドキドキ



P「どうだ、自己評価は?」



雪歩「よ、よく分かんないですぅ」ドキドキ



P「……大丈夫か?」

P「あ、そうだ。ちょっと箸貸してくれないか?」



雪歩「食べたいなら、私がお取りしますよ?」



P「いいからいいから」ヒョイッ



雪歩「あっ……。ど、どうしたんですか?」



P「まあまあ。雪歩、何が食べたい?」



雪歩「えっ? も、もしかして……」



P「じゃあこの肉団子を……って、よく見たら肉多いな、この弁当」

P「別にいいけど。ほら、口開けて。あーんって」ズイッ



雪歩「あの、その。プロデューサー、は、恥ずかしいですよぉ」モジモジ



P「そうだろうな。俺も恥ずかしかったよ。だから、ほら」



雪歩「うぅ。あ、あーん……」パクッ



雪歩「……」モグモグ ゴクン



P「どうだ?」



雪歩「あ、味なんて分かんないですよぉ」カァァ



P「やっぱり?」

P「分かってくれてよかったよ。ここからは普通に……」



雪歩「あの、次は卵が食べたいですぅ」



P「強くなったなぁ、君」



雪歩「……?」アーン



P(口開けたまま首傾げるの可愛いな。指突っ込みたい)ウズウズ



P「ほーら。たんとお上がりー」



雪歩「んふふっ」パクッ

P「じゃあ俺も……」スッ



雪歩「んんっ」パシッ



P「あっ。こら、箸を取るんじゃない」



雪歩「おひたしですか? はい、どうぞっ」



P「……。あーん」パクッ



P(もしかして、こうやって完食まで食べさせ合うのか?)

アノフタリラブラブダネー オレタチモヤロッカ



P(周りの生暖かい視線が辛いんだけど、気付いてくれないかなぁ)スッ



雪歩「あむっ。……んふふ」モグモグ



雪歩「……はい、プロデューサー」スッ



P(さっきとは一転して嬉しそうだなぁ。無理そうだなぁ)パクッ



P(あ。この煮付け美味しい)モグモグ

雪歩「プロデューサー、お茶いかがですか?」コポポポ



P「そうだな、いただこうかな」



雪歩「はい、どうぞ」



P「ありがとう。いや、至れり尽くせりだな」ズズッ



雪歩「えへへ。喜んでくれて、私も嬉しいですう」ニコニコ



P「次、肉団子食べたいな」アーン



雪歩「あ、はいっ。どうぞ、プロデューサー」



P(……はっ。ついに順応し始めてしまった。うぅむ。旨い)モグモグ

P(……結局、たっぷり時間を掛けて俺と雪歩は弁当を食べさせ合った)



P(もちろん、道行く人々の生暖かい視線を浴びながら。恐らく、大多数の目にはバカップルとして認識されていただろう)



P(実際は違うんだけどな)ジー



雪歩「? ど、どうかしたんですか?」



P「いや、弁当旨かったなぁ、ってさ。今日限りなのが惜しいよ」



雪歩「じゃ、じゃあ、あの……その……」モジモジ



P「どうした?」



雪歩「……いえ。やっぱり、何でもないですぅ」ショボン

P「言えるようになったら、いつでも言ってくれ。待ってるからな」ニコッ



雪歩「はっ、はい」



P「それじゃあ、行こうか。腹ごなしに色々散策しよう」スッ



雪歩「そうですね。ふふっ」キュッ



P「さて、どこ行こうな。激しく動くようなのは今は勘弁だけど」



雪歩「わ、私は今じゃなくても勘弁ですぅ」

P「――お。あれ、乗ってみないか」



雪歩「え? あ、自転車ですか?」



P「そうそう。軽い運動もしたいし、ちょうどよさそうだ」



雪歩「私もいいですよ。人力ですからあんまりスピード出ませんし」



雪歩「……真ちゃん以外は」フッ



P「あの子は……」

雪歩(あれ。でも……)ハタ



雪歩(あのアトラクション、ホームページに“カップルにもオススメ”って書いてあったような)カァァ



P「何かあったか?」



雪歩「いっ、いえ! な、何でもないんですよね!?」



P「俺が聞いたんだよ?」



雪歩「あぅ。す、すみません。何でもないですぅ」



P「ならいいんだけど。じゃあ、行こうか」クイッ



雪歩「は、はい。ふふっ」タタッ



雪歩(プロデューサーに手を引かれるの、やっぱり好きだなぁ。こうしていれば、どこまでも行けそう)

P(それからも、ゴーカートやコーヒーカップなどのアトラクションや、フードコートでの買い食いをして時間を過ごした)



P(久々の遊園地は大人になった今でも楽しかったが、そう感じられたのは、仕事でも滅多に見られない程に華やいだ雪歩の笑顔があったからだろう)



P(……そうして日が沈もうとする頃、最後に乗るアトラクションとして雪歩が希望したのは、観覧車だった)



雪歩「あの、プロデューサー。隣に座っていいですか?」



P「あぁ、どうぞ」



雪歩「えへへ。はいっ」

P「今日は楽しかったか? ……雪歩」



雪歩「あ。名前……」



P「まあ、ここなら誰かに聞かれる心配もないしな。いつもは名前で呼んでるからな、やり辛くて仕方なかったよ」クス



雪歩「ふふっ」クスクス



雪歩「あの、プロデューサー。名前、もう一回呼んでくれませんか?」



P「雪歩、って? 仕方ないな、雪歩は」



雪歩「い、1回でいいですよぉ」



P「雪歩が呼んでくれって言ったんだろ。何回だって呼ぶよ、雪歩」



雪歩「も、もう……」カァァァ

雪歩「あの、プロデューサー」



P「ん? どうした」



雪歩「プロデューサーは今日、楽しかったですか?」



P「ああ、とても楽しかったよ。遊園地なんて久々だったからな、雪歩には本当に感謝してる」



雪歩「そ、そんな。誘ってくれたのは、プロデューサーですから」



P「そういえばそうか。俺も変なことしたなぁ」



雪歩「ふふっ。でも、嬉しかったです。こんな性格ですから。きっと私から誘うことなんて出来なくて、今頃独りで泣いてたんだろうなぁ、って思いますぅ」

P「じゃあ、雪歩が今笑っててくれて、俺も嬉しいよ」



雪歩「えへへ」テレテレ



P「それで、雪歩は楽しかったか? 遊園地にいた割には、少し地味な一日になったような気がするけど」



P(まあ、弁当の一件はかなり刺激的だったが)



雪歩「確かに、ちょっと地味だったかもしれません。アトラクションにはあんまり乗らなかったし、お話ししてた時間の方がどっちかと長かったし。でも」



雪歩「私は、このくらいの方が好きですから。大切なひとと一緒に、ゆっくり、のんびりする方がきっと、私には合ってるんだって、そう思いますから」



P「そ、そうか」ドキッ



P(“大切なひと”? いや、そういうことじゃないよな。多分、友達と事務所の仲間のことだろう。春香や真みたいな)

P「まあ、楽しんでくれてたならよかった。誘った甲斐があった」



雪歩「はい。プロデューサーのお陰で、本当に楽しかったですぅ」



P・雪歩「……」



P「雪歩」

雪歩「あの」



P「あ、悪い。先いいぞ」



雪歩「い、いえっ。プロデューサーから言ってください」



P「そうか? じゃあ、朝に雪歩が言おうとしてたことなんだけど」



雪歩「えっ?」

P「いや、ほら。遊園地入ってすぐに、雪歩が後で言うって言ってたことがあっただろ?」



雪歩「あ、いえ。そういう意味じゃなくて。私が言おうとしてたのも、そのことでしたから」



P「そうなのか? じゃあ、悪いことしたな」



雪歩「いえ。プロデューサーと同じこと考えてたなんて、とっても嬉しいですぅ」



P「そ、それならいいんだけど」



雪歩「ずっと手繋いでたからでしょうか。私の考えてることが、プロデューサーに伝わって……」



雪歩「えへへっ。何だか、ロマンチックですね」



P(恥ずかしがりの癖に、何でこう背中が痒くなること真っ向から言うかね)ムズムズ

P「それより、雪歩の言いたいことって何だったんだ?」



雪歩「えっと、その……。今日、プロデューサーに手を引いてもらって、思ったんです」



雪歩「今日まで、ずっとこうやって歩いてきたんだなぁ、って」



雪歩「実際に手を繋いで歩くのは、初めてでしたけど。でも、私がここでこうしていられるのは、プロデューサーが私を引っ張ってくれたからなんだ、って。改めて、そう感じたんです」



P「買い被りだよ。そう大したこと、俺はしてない」



雪歩「そんなことありませんっ。プロデューサーがいたから。プロデューサーが、プロデューサーだったから、私は……」

雪歩「プロデューサーは、これからも私の手、握っててくれますか?」



P「当然だろ。雪歩が、もう必要ないからって言うまでは、絶対に離さないよ」



雪歩「ほっ、本当ですか?」



P「ああ。俺から離すことは、何があってもしない。約束する」



雪歩「は、はいっ。えへへ、私も、プロデューサーの手、離しませんからっ!」ギュッ



P「……必要なくなったら、ちゃんと解放してくれよ」



雪歩「ふふっ」ギュゥゥゥ



P「返事してくれ」

P(観覧車を降りて遊園地を出た後、俺達は集合場所の駅に戻ってきた。もう日はすっかり沈でいたので、家まで送ろうと言う俺に、雪歩は首を横に振った)



P「本当にここでいいのか?」



雪歩「明日もまた、会えますから」



P「そりゃそうだけどさ。ちょっとここで解散ってのは惜しいような気が……」



雪歩「でも、その方が明日が楽しみになりませんか?」



P「明日?」



雪歩「はい。私も、まだプロデューサーと色んなことをお話ししたいですけど、今日はもう十分すぎるくらい楽しかったですから。だから、明日に取っておこうかな、って」

P「取っておく、か。分かるような、分からんような、だな」



雪歩「あぅ……」シュン



P「でもまあ、そう言うならそうしようか。明日もまた、笑っててほしいからな」



雪歩「……!」パァァ



雪歩「はいっ。プロデューサーが手を握ってくれるなら、私はずっと笑えますぅ!」キュッ



P「うん。……何か俺も、明日が楽しみになったよ」



雪歩「えへへ。プロデューサーに笑顔のお返しができて、よかったです」

P「じゃあ、今日のところはここでさよなら、だな」パッ



雪歩「あっ……」



P「そう落ち込むなよ。明日の楽しみにすればいい、だろ?」



雪歩「……そうですよね。また明日も、手を繋げるんですから」



P「じゃあ、また明日」



雪歩「はい。また、明日」フリフリ



雪歩(……あっ、そうだ!)

雪歩「プロデューサー!」



P「な、何だ? あんまりでかい声出すな」



雪歩「明日、楽しみにしててくださいぃ!」



P「? 分かったよ。また明日な!」



雪歩「はい、また明日ですぅ!」



雪歩「……ふふっ」



雪歩(今日が笑えたら、明日はきっと幸せ。ですよね、プロデューサー)







おわり

・後日談





翌日、事務所



P「ただいま戻りましたー」



小鳥「あ、プロデューサーさん。お帰りなさい」



P「ただいまです。……ん? 俺の机に何か包みが……」



小鳥「あ、それ、雪歩ちゃんがレッスン前に置いていったんですよ。お弁当だそうですよ」



P「雪歩が? ……あー。そういうこと」クス



小鳥「どうしたんですか?」



P「いや、まあ、少し」クスクス



小鳥「……?」キョトン



P(もう少し分かりやすく言ってくれよ。そうすれば、もっと楽しみに待てたのに)







今度こそおわり



20:30│萩原雪歩 
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