2015年04月14日

池袋晶葉「出来たぞ! 刷り込み卵だ!」


まゆ「うふふ……ついに完成したんですねぇ」



晶葉「遅れてすまなかった。由里子の薔薇本の設計図の再現は、天才の頭脳をもってしても難儀だった……」





まゆ「旧時代のテクノロジーの結晶とも言える薔薇の設計図……いったいどんな時代だったのかしら」



晶葉「それの研究は、歴史政治学の専門家に任せればいい。さて、刷り込み卵の使い方を説明するぞ!」



まゆ「はい♪」



晶葉「使い方はいたってシンプル。パカっと開けて人を入れたらカチャっと閉じて、後は十分待つだけだ」



まゆ「そして直前になったらオートで開いて……」



晶葉「中に入った人は、最初に見た物が好きで好きでたまらなくなる! 雛鳥が生まれて初めて見た物を親だと思うように……。どうだ、シンプルだろう?」



まゆ「使いやすい道具っていいですよねぇ。たまごありがとうございますねぇ!」エッホッエッホッエッホ



晶葉「人の心を弄るツールだ、くれぐれも悪用しないようになーー!」



バタン



晶葉「ふー……。それにしても肩が凝った。一仕事終えるとどうもな」ゴキゴキ



晶葉「そうだ、たまには社内浴場を借りるか」



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………………

…………

……



346プロ社内浴場周辺「いこいの広場」



こずえ「ふ゛わ゛わ゛わ゛わ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ー……」グワワワン



マッサージチェア「嬢ちゃん凝ってるね。仕事多いのかい?」



こずえ「そ゛う゛た゛よ゛ぉ゛ー……」グワワー



マッサージチェア「若いみそらで、アンタも大変だねぇ。まぁきっちり十分、羽を伸ばすといいぜ」



こずえ「い゛き゛か゛え゛る゛ぅ゛ー……」グワァラゴワガギーン



まゆ「えっほ、えっほ……ふぅっ」ドサッ



まゆ「はぁ……大きくて重すぎます。全部終わったらお風呂入っちゃおうかな……」



まゆ「……その時はPさんと背中の流しっこ……えへへ……」ニヘェ





まゆ(今までの記録通りであれば、あと二十分くらいでPさんは社員浴場から上がって、この『いこいの広場』に牛乳を買いに来ます。それを待ち伏せる作戦を立てられるのだから、晶葉ちゃんと一緒にいたお陰で、まゆは賢くなっちゃったみたいです)エヘン





まゆ(……あ、これじゃPさんは二度風呂になっちゃう……)





タッタッタ





光「あーいい湯だった! あ、まゆさん!」



まゆ「光ちゃん? 今あがりですかぁ?」



光「うん。レッスン終わりによく借りてるんだっ!」



まゆ「今日は何のレッスンをしたんですか?」



光「ペース配分! 自分をコントロールするのって難しいけど……ついに、成功したんだ!」



まゆ「それは良かったですねぇ」



光「ありがと、まゆさん! ……ところで、この卵は?」



まゆ(うっ……。やっぱり気になりますよね。はぐらかしましょう)



まゆ「いえ、知らないですねぇ」



光「今まゆさん嘘ついただろ?」



まゆ「つ、ついちぇないですよぉ」



まゆ(しまった、噛んじゃいまひた……)



光「声うわずった」



まゆ「事故です、ただの」



光「まぁ、なんでも、いいんだけど。へーツルツルしてるんだ」サワサワ



まゆ「わ、危ないですよ!?」



光「やっぱり知ってるんだ。お、こんなところにボタンが」ポチッ



刷り込み卵「ハクセンノーウチガワニーサガッオマチクダサーイ」パカッ



まゆ「ふみゃっ!」バタッ



光「へぇ、中に入れるんだ。見た目通り結構広いな」ヨイショット



まゆ「ひ、光ちゃん! 待って!」



光「お、閉じた!」



刷り込み卵「トジマース!」バタン



まゆ「……光ちゃんが入っちゃいました。もしこのまま十分放置して、もしまゆを見ちゃったりしたら……カルガモもびっくりなくらいに、光ちゃんがまゆに……!」サーッ



まゆ「……三十六計逃げるに如かずーー!!」タッタッタッタッタ



こずえ「ふ゛わ゛わ゛わ゛わ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ー……」ジーッ



………………

…………

……





九分後



テクテク



晶葉「あー疲れた……あれっ、刷り込み卵が何故ここに?」



晶葉「まゆめ。こんな所に放置して何処にいったんだ。というか使用中ランプが点いててーー」



刷り込み卵「ブシュー」パカッ



晶葉「ぬおっ!? ……えっ、光?」



光「ふぁぁ……よく寝た。あ、晶葉おはよー」



晶葉「あ、ああ、おはよう。まゆは何処に行ったか知ってるか?」



光「……知らないな」プイッ



晶葉「まぁ、当然だな……。卵の中からは外を知れないし、外からは中を見られない完全防音にしたのだから」



晶葉(……待った。私は今、光に見られた? ということは)



こずえ「ね゛ーね゛ー、あ゛きは゛ー……」ヴィヴィヴィヴィ



晶葉「こずえか。どうした?」



こすえ「ま゛ゆ゛は゛ね゛ー……そ゛こ゛に゛い゛る゛よ゛ー……」ヴィヴィヴィヴィ



晶葉「そこ? ……あっ!」







まゆ「ひぅんっ!?」ギクッ





こずえ「こ゛ずえ゛は゛ぜん゛ぶみ゛て゛る゛よ゛ー……か゛く゛れ゛ん゛ほ゛つ゛よ゛い゛よ゛ー……」ドヤァ



マッサージチェア「嬢ちゃんはずっと座ってたからな。お疲れさん」



こずえ「またあそぼうねー……」



マッサージチェア「おうよ。贔屓にしてくれてありがとさん」



晶葉「一応、卵の監視が出来る距離に隠れていたみだいだな。けれど!」ビヨーン!



まゆ「きゃあっ! マジックハンドなんてズルですよぉ!」ジタバタ



晶葉「道具は最後まで持ち主が使え!」



まゆ「無抵抗をするつもりはありません! てぇや!」ネコパンチ!



晶葉「私のマニュピレーターが! ちょびっとしか怒らないから抵抗するな!」



まゆ「いたた……結局怒るじゃないですかぁ!」



光「二人とも、どうしてプロレスしてるんだ?」



晶葉「まゆは持ち主の責任を果たさなかった! ……待て、何故光は普通なんだ?」



光「普通って?」



まゆ「そう言えば確かに変ですねぇ。卵が故障してたんでしょうか」プラーン



晶葉「私の発明に限ってそれはない! ……はずだ……」



光「大丈夫だって。何の話かわかんないけど、晶葉は天才なんだろ?」



晶葉「……天才でも、ミスする時はミスをする……」



光「その度に直せばいいだろ。アタシの知ってる池袋博士は、何度失敗しても挫けないでリトライしてるよ」



晶葉「……ふふふふ、それもそうだな……」



光「その意気だ! そういう晶葉を、アタシはずっとずっと尊敬してたんだ!」



晶葉「ありがとう、光。ーーふふ、確かにらしくなかったな! 復活ッッ!」



マッサージチェア「嬢ちゃんタフだねぇ」



こずえ「いけいけー……ごーごー……」



晶葉「復活を記念して……まゆ! 君には実験台になってもらう!」



まゆ「な、何をするんですかぁ!?」



晶葉「決まっているだろう。再実験だ!」



まゆ「なん……ですって……」



晶葉「光は先に入ってくれ。私がまゆをいれるから」



光「うん、わかった! 晶葉の言うことなら何だって聞くから!」スチャッ



まゆ「光ちゃんまで入れる必要が……?」



晶葉「データは多い方が良い!」



まゆ「暴論です!?」



晶葉「まぁとにかく、卵にマシントラブルがあったかどうか、トライ&エラーで確かめようじゃないか!」



まゆ「やめてください……やめて、晶葉ちゃん!」



晶葉「誰がやめるか! さて、あと一歩でまゆが卵にーー」



光「えい」グイッ



晶葉「んえっ!?」ストン



刷り込み卵「トジマース!」バタン



まゆ「きゃあっ!(晶葉ちゃんが卵に! そして、てこの原理でまゆが宙に!)」ポイッ





マッサージチェア「嬢ちゃん、怪我はないかい?」ストン



こずえ「じゃすとみーと……」パチパチ



まゆ「ふぅ、死ぬかと思いました……でも、もうこれで心配することは何もなくなって……」



マッサージチェア「まぁまぁそう言わずにだな、嬢ちゃん」ヴィンヴィン



まゆ「……えっ?」



マッサージチェア「こんな時代だ。疲れだって溜まるだろう? ーーでかい卵の目の前できっちり十分、リンパと疲れを落とすといい」



こずえ「こずえのおごりだよー……もってけー……」サムズアップ



まゆ「あ゛し゛が゛は゛ま゛っ゛て゛……う゛そ゛お゛お゛……」ジタバタ





刷り込み卵内部



「……くっ。脱出口を設けておくべきだった」



「出られないのか?」



「電波も音波も、外には出せない。助けを呼べないんだ」



「つまり、この中で起きたことは、外に絶対漏れないんだな?」



「そうなるな。まぁ、十分待てばーーんぅっ!?」



「……ぷはっ。この瞬間を待ってたんだ。晶葉が天才ならさ、もうガマンしなくたっていいよね」



「な、何をする。……まさか、卵によって暴走した本能を、今の今まで理性でコントロールしてたのか!?」



「何かを考えてる時の晶葉の、輝いてる笑顔が好き。何かに悩んでる時の晶葉の、への字になった口が好き。悩んでる人を見つけたらほっとけなくて、全力で発明する晶葉の心が好き……でも、それを外で言ったら、迷惑だろ? だけどここなら……」



「待て! その気持ちは卵の産んだ幻想だ!」



「卵が先か鶏が先かって話か?」



「言葉の綾だ! 落ち着け、絶対後悔するぞ!?」



「戻れない。止まらない。最後までな……もっと晶葉の声を聞きたいんだ。それとも、背の低い女子にはダメなのか……?」



「そういう自己完結はやめてくれ! 案外まゆと似てるタイプなのか!?」



「まゆさんは関係ないだろ。まぁいいや、アタシは晶葉しか見ないから……」



「やめろ! それとも、これは人の心を弄ぶ人間に訪れる罰なのか!?」



「こうでもしないと本音の一つも言えない、臆病で弱虫なアタシを許して……嫌にはさせないから。いっぱい、名前を呼び合おうな……」



「う、ウワァァァ!」



十数分後



モバP「あー、今日もいい湯だったー……ん?」



晶葉「助けてくれ、私が悪かった、私を許してくれ……私を許せる人は君しかいない……! まゆ、助けて……!」(ハイライトOFF)



光「ふーん、晶葉はまゆさんがいいんだ。まぁまゆさんだって悪い人じゃないしな。……でも、晶葉のためなら、インプラントだってなんだってするから。アタシで沢山実験していいんだよ……?」(ハイライトOFF)



まゆ「……助けてください……」ウルウル



モバP「知らんよ」



マッサージチェア「いい加減揉み返しがくるぜ、嬢ちゃん?」



こずえ「ふ゛わ゛わ゛わ゛わ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ー……」



おしまゆ



23:30│佐久間まゆ 
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