2015年05月07日

依田芳乃「いつもいつでも、そなたのそばに」

※地の文あり

※よしのんがP(PaP)の世話を焼くだけのSS

※その他Paの人々が何人か登板予定



※依田芳乃



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●01 【早朝・P宅】



そなたー。そなたー。

お天道さまが登ったのでしてー。朝餉(あさげ)もそろそろ頃合いなのでしてー。

ですので、そなたー、目を覚ましませー。







そなたー、わたくしが朝餉を並べますので、そなたは顔を洗ってくるのでしてー。



そなたー、歯ブラシの毛先が開いていたので、新しいものを用立てておいたのでして。

歯を磨くなら、古いものを捨てておくのをお忘れなきようにー。







身をすすいで清めましたら、朝餉を召し上がるのでしてー。

ご飯は今朝炊いたばかりですが、どのくらいの量をよそえばよろしいでしょう?

その焼き鮭は、どうやらなかなか塩が利いているので、気持ち多めがよろしいのでしてー。



おみおつけは白味噌に豆腐ですがー、これでは昨日と同じ……なので、

今朝は軽く茹でたオクラを追加でしてー。滋養強壮によろしいので、どうぞご賞味あれー。

納豆は小粒を。ネギも切っておりますが、いかがでしてー。



それは山芋を塩コショウでさっと炒めたものでしてー。

山芋もオクラと同じようにねばねばが特徴……ですが、炒めものにすると、

ねばねばがホクホクした食感に変わるので、おすすめでしてー。







そなたー、お気に召しませんで……食材?

日々お仕事に精を出すそなたのために、力のつくものを選んだので、他意はないのでしてー。



ご納得いただければよろしいのでして。わたくしも朝餉をいただきます。

ゆっくり噛んで味わって、お腹を満たしてからお仕事へ参りますー。







●02 【朝・事務所】



さて、事務所に到着なのでしてー。

今日最初の仕事は、松山久美子殿との打ち合わせと聞いておりますが、

どうやら久美子殿のほうが、少し早めに到着していたようで……。





※松山久美子

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「おはようプロデューサー! ねぇ、今日は……お?

 プロデューサー、今日はなんか、いつもよりちょっとキマってるかな?」



……え、そなた……『芳乃。今日、俺は何か服とか違ったっけ……?』……いや、そなたー。

久美子殿の言は、そういう意味ではないのでして……



「いや、あの、気のせいとか、そうじゃなくて……ね? ほら、だから……んもう」



そなたー、そなたー! いったんわたくしのほうを見るのですー!

そなたー、そーなーたー! ……こうなれば最早……







ぶぉーぶぉーぶぉー、ぶぉーぶぉー、ぶぉー……



……やっと気づいたのでして。

久美子殿が仰っているのは、そなたがどうということではないのでして。

そもそも、わたくしが用意しているとはいえ、今現在の自分の召し物は自分で把握して欲しいのでして。







……つまり、久美子殿が服の話を持ちだしたのは、そなたの召し物が気になったのではなく、

そなたに久美子殿の召し物を気にして欲しい、とほのめかしたのでして。



「そうそう、そこよ! 最近ちょっと気に入ったアクセがあって、それに合わせて色々考えたら、

 そこそこイメージが変わっちゃったかなぁ、なんて思ったんだけど……

 寝ぼけてて、気付かれなかったらどうしようかと思った。プロデューサーの目から見たら、どうかな?」



ほぅ……さすがに、いつもと違う、とわかっていれば、どこが違うかぐらいはすぐお見通し……

そこは、伊達にアイドルの面倒をみているわけではない、ということですか。







……わたくしが助言せずとも、もう少し時間があれば、

そなたは久美子殿の内心に気づいたでしょうか……。

本当は、そなたが自分で気づいたほうが、久美子殿は喜ぶのでしょうが……







けれど、その前にわたくしが教えてしまうのでしてー。





●03 【午前中・ラジオ局】



「あ、芳乃ちゃん! おはようございます、今日もよろしくお願いしますね♪」



わたくしもアイドルのお仕事を全うするため、ラジオ局のスタジオに参ったのでして。



一緒の番組を担当しているのは、鷹富士茄子殿。最近始めたばかりで、まだ慣れておりませんが……

マイクの向こうにいる人々へ、わたくしたちの話をしっかり届けるのでしてー。







※鷹富士茄子

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「芳乃ちゃんも、自分のプロデューサーさんから聞いているかも知れませんけど……

 私たちの番組の人気、うなぎのぼりなんですよー!」



幸いにして、茄子殿をはじめ、ほかの局の方々ともうまくやっております。



「ファンレターも、『この番組のおかげで彼女ができました』とか、

 『お二人のお話のおかげで生きていけます』とか、すごいのがどっさり来てしまって驚きです♪」



今のところは、そなたを安心させることができていて、わたくしも重畳なのでしてー。







「芳乃ちゃんのプロデューサーさん、そんなことがあったんですか。

 男の人にとっては、女心の機微は難しいみたいですからね……」



本日もつつがなく番組を終えることができたので、少し茄子殿とおしゃべりなのでしてー。



「でも、そこで抜け目なくきっちりとされても、逆になんだか寂しい気がしません?」



茄子殿は、仕事仲間以上の友誼を結ばせていただいており……

おかげさまで、ほかの方には敢えて話さない話題も、気軽に話せる間柄でしてー。



「そうそう♪ 好きな人のお世話をするのは楽しくて――わあっ、今のは……ふふっ♪」



……茄子殿相手でなければ、こんな話はしないのでしてー。

これはさすがに、そなたには聞かせられないでしょう……。



●04 【昼・事務所】



本日、昼過ぎ以降は事務所での書類作成や来客応対とのことでしたが、

少し早めに事務所へ戻れたので、所内でお昼をいただくのでしてー。



「わぁ、早苗さん見て下さいよー!」

「ん? どったの明ちゃん」



休憩室でお弁当を広げていると、トレーナー殿と片桐早苗殿がやってまいりました。







※トレーナー(本名・青木明)

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※片桐早苗

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「プロデューサーさん、気合の入ったお弁当持ってきてますよ!」



今日のお弁当は、主菜が豚肉と玉葱の生姜焼き。

ご飯との相性も申し分なく、そなたのお腹も満足させる品に仕上がったと自負しております……が。



わたくし、今日のそなたの予定を失念しておりまして……珍しく、昼以降は外出しないのですね。

それでお腹いっぱいにしてしまったら、そなたが眠気と戦わなければならないのでして。







「それに、これは牡蠣の……」

「それは時雨煮じゃないかしら。お酒にもよく合うんだな〜これが」



牡蠣の時雨煮は、味見のときは塩気がちょうどよかったのですが……

お弁当に入れて冷ますと、塩気が少し強くなるので、その加減が少し惜しかったですね。



「これはアスパラですか……へぇ! アスパラで、おひたしって盲点でしたね」

「意外と和風の味付けに合うらしいよ、アスパラ」



おひたしは食感が楽しめるものを、と思ったのですが、

サヤインゲンは最近使ったので、アスパラガスで作ってみたのでして。

少し風味は変わりますが、なかなか――



「あの、一口だけいただいても……」



ご遠慮願うのでしてー。



「え」



ご遠慮願うのでしてー。



「……はい」







ああ、そういえば以前、マスタートレーナー殿にブロッコリーが体によい野菜と伺いましたので、

もう一品の野菜はそちらを主に……



「そうですね。ブロッコリーは野菜の中でも、特にビタミンとミネラルが豊富です!

 免疫力アップのほかに、むくみや便秘の予防、抗酸化作用などにも優れているんです」



ですって、早苗殿。



「なーんでこっちを見るのかなぁ芳乃ちゃーん♪」







「ま、明ちゃんは栄養学には詳しくても、観察力はまだまだかなー。

 オトコのヒトがこんなお弁当を自作して、しかも人前で食べるなんて、ちょっと考えにくいよ?」

「え、どうしてですか早苗さん?」







「だって、これ食材が全部精のつく食べ物だよ?」

「ひゃっ! さっ早苗さんいきなり何を……」

「ちょっと分かる人が見たら、絶対いじられるじゃんこんなお弁当ー!」



朝だけでは片手落ちですから、お昼も。当然ですねー。





●05 【午後・事務所】



午後、事務所の休憩室で一息ついていると、姫川友紀殿と向井拓海殿の姿が見えました。



※姫川友紀

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※向井拓海

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……そなた、気づきましたね。

あの二人、なんだか元気がありませんねー。



「……アタシに、元気がないだって? 冗談はよせよプロデューサー!

 アンタのせいで……いや、おかげで……アタシがついにCDデビューも間近だからな。

 もうむしろ気合がありあまってしょうがないぐらいだ!」



拓海殿は、仕事が大きくなっていく重圧で気負ってますねー。

そなた、少しお話を聞いてあげたほうがよろしいのでしてー。







「……え? あたしにはナニもナシ!?」



不要でしてー。



「あ、あたしも最近、ちょっと気分が沈んじゃうことがあってさ……ね、だから」







友紀殿が落ち込んでいる理由は、贔屓球団が最近惨敗しているせいでしてー。

これはわたくしたちにはどうにもできないことでしてー。



「……サヨナラインフィールドフライってなんだよ! 初回10失点ってなんだよ!」



わたくしには理解しかねるのでしてー。













●06 【夕方・事務所 その1】



ぶぉーぶぉーぶぉー、ぶぉーぶぉー、ぶぉー!

そなたー、警告でしてー! 今、その扉の向こうには……







「くらえ! レイナサマの一撃必殺スペシャルバズーカ! どーん!」





※小関麗奈

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……おお、そなたー。回避しましたか。



「……なん……だと……完璧に不意をついたハズなのに……っ!」



……『この程度であったなら、引っかかってやってもよかった』ですって、そなたー。

そういう問題ではないのでしてー。



「プロデューサー! この程度で、レイナサマが負けを認めると思わないことね!

 必ず当ててやるんだからっ!」



麗奈殿も心得てましてー。

そなたが引っかかっても、かろうじて笑える程度の悪戯を仕掛けているのですが……。



それでもそなたが引っかかるのは、面白くないのでしてー……そう、わたくしが。







●07 【夕方・事務所 その2】



ほー……そなたー。

珍しいことに、村上巴殿が落ち着かない様子ですが……。



※村上巴

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「芳乃か……風の悪いところを見せてしもうたのう」



……風の悪い、でしてー?



「格好わるい、って意味や……芳乃は国が九州じゃけぇ、細かいところは通じんなぁ」



ほー、一つ賢くなりましてー。







「……今日な、うちの親父が広島から上京して来るんね……うちの仕事の話で。

 まぁ、学校の三者面談みたいなもんな。要するに様子見じゃ」



そういえば、そなたの手帳にも書き込みがありましたねー。

お父上が事務所に来られるので、そわそわしてるんですか。なるほど。



「別に、やましいことはあらん。仕事のことなら、色々自慢してやったっていいぐらいじゃ。

 そうなんじゃが、なんだか、のぉ……」



……父親と年頃の娘は難しいのでしてー。



わたくしはアイドルになる時、相談したのがばばさまでしたし、

ばばさまはおいそれと鹿児島を離れられない身。

巴殿の気持ちを察することができないのかもしれませんね……。



「……っ、あ、いや、きがねな……申し訳ない話をしたわ」



んん……何だか、妙な勘違いをされた気が……。







とにかく、巴殿は元気な姿を見せて、いっぱい仕事の自慢するのがよろしいのでして。

きっと巴殿のお父上は喜ぶのでしてー。



「えー、巴んとこのパパさんが今日来るんだ!

 いーなーいーなー、アタシも久しぶりにパパの顔が見たくなっちゃった!」

「お、おう……梨沙じゃないか。梨沙のところは……確か……」

「もう5日も、テレビ電話でしか話してないのよー!」



※的場梨沙

http://i.imgur.com/1gNZPOJ.jpg





ここまでやれ……とは申しませんが、巴殿。



「……ま、まぁ、そうじゃな。せっかく東京まで来た親父に、よおけぇ土産話を持たさんとな!」





●08 【夕方・事務所 その3】



「……っ! このハンガーに掛かってるのは……プロデューサーのジャケット……!?」







……なんだか、あちらの部屋で不穏な気を感じるのでして。

そなたー。わたくし、少し離れますのでー。







「最近は、すっかり暖かくなったから、プロデューサーもコートを着なくなった……。

 ということは、これが……うん、これが――!」



――美嘉殿。プロデューサー殿の上着が、どうかいたしまして?。



※城ヶ崎美嘉

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「うっ、うわぁああっ!? よっよよよ芳乃ちゃんっ、ど、どうしたのかなー?」



それは、プロデューサー殿の上着でしてー。

何か気になることがあるのであれば、わたくしから伝えておきますが。



「あ、こ、これはね!? アタシたちのプロデューサーがさ、

 みっともない格好してちゃダメだと思って、密かにチェックしてたの! そう、そういうことだから!」







……ほー。

で、美嘉殿の目から見て、プロデューサー殿のお召し物はいかがでしたか?



「ま、まぁまぁなんじゃないかな!? 清潔感があるのはいいと思うよ!

 ただ、アタシとしては、もっと冒険してもいいかな、なんて思うけどね」



……それは、貴重なご意見としていただいておくのでしてー。



「あ、でも、アタシのファッションセンスはギャル系だから、プロデューサーには合わないかも……」



プロデューサー殿のお召し物は、わたくしが選んでいるのでしてー。



「…………え」







それと、美嘉殿。

今日の上着は、プロデューサー殿の匂いはあまり感じられないかと。



最近は暑くなってきたので、プロデューサー殿は出先以外では上着を脱いでおりますし、

さらにその上着は、クリーニング店から引き取ったものを今日おろしたばかりなのでして。



「な、なんでそんなこと知ってるの?」



その上着を、今朝プロデューサー殿に着せたのはわたくしなのでしてー。



「…………」



それではお仕事に遅れませんように、美嘉殿。







●09 【夕方・事務所 その4】



「芳乃ー! たいへんなのよ、麗奈がー!」



……梨沙殿、何をそんなに騒いでいるのでして?



「麗奈がプロデューサーにリベンジしようと、アルティメットバズーカをぶっ放したんだけど……」



それで、何か問題でも起きたのでしてー?







「そのアルティメットバズーカが、巴のパパさんを直撃しちゃって、

 今プロデューサーが謝ってるトコなの」



……あらら。







『村上さん。私の担当アイドルが非礼をはたらきまして、誠に申し訳ございません。

 しかし麗奈は、ひとたび仕事となれば、どんな営業でも一心に打ち込み、

 トップアイドルを目指さんとする一廉のプロでございます』



『営業の粗相であれば致し方ありません。

 しかし接遇の粗相は私の責であります。どうかお許し下さい』







ほー、プロデューサー殿もなかなかの歯切れで……



「芳乃! ナニ呑気に構えてるのよ! なんか深刻そうじゃない!? どうにかしなきゃ……。

 巴のパパさんが『こんな事務所には娘を預けておけん!』なんて話になったら、絶対イヤよ!」



……そんなに深刻でしょうかね?



「だ、だって……ほ、ほら、あの引きつった笑いは!

 どんなオトシマエつけてもらおうか考えてる表情よ!」







……わたくしは、巴殿のお父上とは初対面なので、よくわかりませんが。

巴殿の顔を見れば、だいたいどうなるかは分かるのでしてー。



きっと、巴殿は……







(……うちの親父が、自分の娘より年下のモンの、あの程度の悪戯で怒る男ではない、

 とは分かっとるが……それはいいとして)



(親父……その状況でそんな笑顔は……却ってビビらせてしまうぞ……。

 かといってうちが出て行くのも……)



(あぁ、親父……あがーに、こまいオナゴに怖がられるのが、ホンマは心に刺さるけぇ。

 じゃけぇ、麗奈だけじゃなく……親父もあとで慰めてやらんとな……)



……ということを考えている表情でしてー。







●10 【夕方・事務所 その5】



「いや、芳乃……仮にそうだとしても、それはそれで、巴のパパさんが可哀想よ。

 広島からはるばる来たと思ったら、自分のせいじゃないのに、巴に気まずいところ見せちゃって」



……そうですね。梨沙の言う通りでして。

それでは、ここはわたくしが一肌脱ぎませー。



「え、ちょっ、芳乃!?」

「芳乃、あんた、うちの親父に……」







巴殿のお父上でございましてー? わたくし、依田は芳乃と申しますー。

お召し物が汚れてしまいましたのでー、お召し替えのためにも、別のお部屋へ案内致しますー。







…………。

…………。



…………。

…………。







「……ねぇ、芳乃」



なんですか、梨沙殿。



「戻ってきた巴のパパさんの顔が、仏様みたいになって、しかも後光が差してるんだけど……」



……広島にご帰宅される頃には、戻りますのでー。



「ほかのみんなは安心したみたいだけど、逆に巴がギョっとしてるわ……」



……それは、わたくしの手にあまるのでしてー。









●11 【夜・事務所】



「ふー、案件もどうにか見通しがつきました……今日のところは、ここまででしょうかね」



ちひろ殿はお仕事を切り上げられる様子ですね。



※千川ちひろ

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「プロデューサーさん! お夕食まだですよね? 実は私もなんです……。

 食事にはちょっと遅いですが、この間から気になっている店があるので、ご一緒していただけませんか?」



ちひろ殿。プロデューサー殿へのお気遣いはありがたく存じますが、

ここはお帰りになられたほうがよろしいのでして。



「えー、仕事が残って……書類関係なら、私に回してください! 手伝いますから。

 ほら、こっちに寄越してください……もう、いいから、遠慮しないで寄越す!」



ちひろ殿、もうお疲れでしょう?

無理は良くないのでしてー。



「なーに、ここでプロデューサーさんを残して一人で帰る方が気分悪いですよ!

 その代わり、終わったらご飯とお話に付き合ってもらいますからねっ」



…………。



「そうそう。こんな辛気臭い事務所に居残りすることはありません。

 ささっ、早く終わらせてアフターと洒落こみましょう!」



…………。







ほー、事務所の近くに、こんな落ち着いた空気のお店があるのですねー。

しかも、こんな時間に入れるとは。



(……なんで芳乃ちゃんまでいるんですかねぇ……。

 もう未成年が外で歩いちゃまずい時間帯でしょう?)



プロデューサー殿が付き添ってくだされば、だいじょうぶなのでしてー。







●12 【夜・P宅】



そなたー、おかえりなさいませー。お風呂が沸いておりますよー。

夕食は……ちひろ殿と食べたので、こちらは明日の朝食といたしましょう。



んん……そなた、どうかいたしまして?

……ほー、今日一日、そなたと一緒に行動していたのに、なぜわたくしが家事をできたのか?







そなたが思えば、わたくしは、いつもいつでも、そなたのそばに――



信じていただけまして?







お召し物はこちらで脱ぐのです、湯浴みで疲れを落とすのですー。

わたくしは、その間に夜着と寝所の支度をいたしますのでー。

今日はよい日柄でしたので、布団を干しておきました。いい匂いがするのでしてー。



ああ、湯浴みの最中に眠ってはいけないのでしてー。心配ですー。

わたくしが、体を洗うのを手伝ってさしあげ……よろしいのでして? それは残念でしてー。



わたくしも、そなたのあとでお風呂をいただきますが、

わたくしに気兼ねしてカラスの行水になってはいけませんのでしてー。

どうぞごゆっくりー。







お上がりになられましたー?



それでは、お風呂あがりに牛乳はいかがでしょー。冷えておりますよー。

雫殿のご実家からいただいたものがありまして、新鮮な内にご賞味あれ、とのことですのでー。



今日も一日、お疲れ様でしてー。

そなた、お先にお休みになっても……ほー、左様ですか。

それでは、わたくしも身を清めて参りますので――









(おしまい)





※以降は各自で芳乃の声を聞いて補ってください。







22:30│依田芳乃 
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