2015年05月15日

南条光「オツカーレ!」


……





麗奈「……全く。このレイナサマの貴重なオフに呼び出しなんて」テクテク





麗奈「また説教かしら……もしかして前川のネコミミをアイスラッガーにすり替えた件? それとも南条の特撮DVDを白坂のホラーと中身入れ替えた件?」



麗奈「でもあれはディスクを確認せずに再生したアイツが悪いわよ。……ププッ、でもおかげで涙目で震える南条が見れて最高だったけどね! アーッハッハッハッウグッ……げっほ!」



麗奈「ま、なんにせよテキトーに謝って済ませましょ……」



ガチャ





P「わはははは! 靴下をはいて来なかった自分を恨むのだな!」コチョコチョ



光「あーっ! やめっあははははは! やめてってばぁ!」ジタバタ



麗奈「……」



スッ……ポパピプペ



P「待ったぁ!! ストップひゃくとーばん!! ノーモア早苗!!」



光「足をはなせこのぉ!」ゲシゲシ







麗奈「犯罪者は逮捕するのが人間のルールでしょ」



P「マッテローヨ! マッテローヨ!!」



光「イッテイーヨ!!」ゲシゲシ







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飛鳥「フッ……まぁまぁ麗奈。いつものようにじゃれてるだけさ。二人にとってはこれが、互いを確かめ合う一種の……そう、お約束みたいなものさ」



麗奈「つまり、いつも通りヒーローごっこからセクハラの流れだと」



飛鳥「そういうこと」



麗奈「っていうか、アンタもいたなら止めなさいよ!」



飛鳥「ボクは、まだその段階に至っていなかったからね」



麗奈「はぁ?」



光「飛鳥は今回ヒーロー役だから、アタシがピンチになってから颯爽と駆けつけるんだ!」



麗奈「アンタも混ざってたんかい!!」



飛鳥「フフ……時に童心に返り、心のままに言の葉を紡ぐことも、また一興さ」



光「アドリブのごっこ遊びも楽しいもんだよ。って」



P「飛鳥はこないだのヒーロー役がいたく気に入ったらしくてな。あれから度々、俺と光のヒーローごっこに参加してくれるんだ」



麗奈「まぁ、ハマり役だったけど。記憶喪失のクールなダークヒーロー。……でも散々仕事でヒーローやりながら、よくもまぁプライベートでまで」



光「仕事と遊びは別! ごっこ遊びは別腹だよレイナ!」



P「まぁ、仕事で演じるときは自分の好き勝手にできないし、常にプレッシャーはかかってるしな」



飛鳥「あの緊張感の中でのお芝居も、もちろん心躍る瞬間ではある。けど仲間達と気楽に、心を解きほぐしながら楽しむのも」



麗奈「あーはいはい。アンタの案外子供じみた一面は分かったから」



飛鳥「なっ……いや、ボクはただ、時間、そして空間を共有しながらの仲間達との心からの交流を」







麗奈「で、このレイナサマをわ、ざ、わ、ざ! 休みに呼び出した要件は何かしら。ヒーローごっこの数合わせとか言ったら家じゅうにイカスミぶちまくわよ」



光「数合わせなんかじゃない! レイナだからこそ一緒に遊びたいと!」



麗奈「さて、このイカを……」スッ



P「マッテローヨ!! 違うから! ちゃんと要件は別にあるから!!」



麗奈「あっそ。さっさと喋って」



P「まぁ、なんだ。さっき言ってた、こないだのヒーローもの。あれの打ち上げでもしようか、ってな」



麗奈「はぁ? 打ち上げならキャストスタッフ全員で作品完成直後にやったでしょ?」



P「あぁ。でもあのときは、キャストの先輩アイドルや大御所の俳優さんもいて、くつろいで楽しむよりは半分接待じみてたろ?」



飛鳥「それに、打ち上げの一次会はキャストがスタッフをねぎらうのがメイン……普段影ながら支えてくれるもう一方の主役に、感謝を伝える場だ」



光「二次会は時間が遅くて、アタシ達は参加できないしな」



麗奈「それは……そうね」



P「な? だから今日は、身内だけでこじんまりとした打ち上げパーティを、って」



飛鳥「光の提案なんだよ」



光「あっ言わないでよ! 恥ずかしい……」



飛鳥「フフ、奥ゆかしいね。でも隠すことはないさ、好意は素直に伝えたほうが、互いに気持ちよくなれる」



麗奈「……ふん。まぁなんでもいーけど。とりあえず飲み物!!」



P「おう、今出す。そこのソファーでくつろいでてくれ」





飛鳥「ボクはコーヒーを。ブラックでね」



光「アタシはシャドームーンで!」



麗奈「なによそれ……」







コトッ



P「麗奈は100%オレンジジュースでよかったか?」



麗奈「……構わないけど。なんか誰かと混同してない?」



P「してないって。そのおデコを誰かと間違えるハズないだろ。そういえばいつものうさぎの人形は……」



麗奈「う、うるさい! なによおデコって! そんなとこでアタシを判別してたの!? っていうかやっぱり混同してるじゃない!!」ゲシゲシ



P「冗談だって! はいコーヒー」



飛鳥「どうも」



光「ありがと!」



ズズズズ……



麗奈(飛鳥のコーヒーの色はどう見てもブラックじゃないし、南条に至ってはほぼ真っ白じゃない。コーヒー入ってないんじゃないの? ただの砂糖ミルクなんじゃないの?)



P「そういえば今回765プロさんとも共演したけど、水瀬さんはいなかったな」



飛鳥「ヒーローものっていうガラでもなかったんじゃ?」



光「でもキサラギでの悪役はすっごいカッコよかったよ!」



P「やっぱキャラ被りかな……」



麗奈「誰とのよ。言ってみなさい誰とのよえぇ!?」ギュムギュム







P「ほっへは、はひゃまないひぇ」



光「あはは! ムンクみたいだ!」



飛鳥「光。ムンクではなく、ムンクの描いた『叫び』の中の人物だろう?」



光「そうそう! あの叫んでる人!」



飛鳥「あれはあの人が叫んでいるのではなく、叫び声のような音を聞いて耳を塞ぎおののいている様子を」



麗奈「ほれほれ誰がキャラ被ってるですってぇ! タカビーなデコでもアタシは猫被らないしイタズラ好きでも双子じゃないのよこのぉおお!!」ギュムムゥウ



光「あはは! タコみたい! タッコングだ!」



飛鳥「タッコングは別に唇尖ってないだろう……?」



光「じゃあタガールだ!」



飛鳥「それは知らないけど……」



光「タッコングが分かるだけでも上出来さ! 飛鳥も怪獣、詳しくなってきたよね」



飛鳥「まぁ、ね。特撮作品に参加して初めて、怪獣や異星人といった敵役にも想いを馳せたよ」



飛鳥「本当に彼らは悪なのか……悪だとしても、ただ倒してハッピーエンド? それで本当にいいのか。単純な勧善懲悪ではなく、誰が悪いでもないのに悲劇を生んでしまう。そして葛藤しながらも戦うヒーロー、そして人間達……奥深いね」



光「飛鳥はセブンが好きそうだね。そういえばこの間のレイナのイタズラは笑ったなぁ」



麗奈「え? どのイタズラ?」ポイッ



P「いてて……やっと解放されたか……料理運ぼ」



光「前川さんがゼロスラッガーつけてたやつ!」



麗奈「あぁ、ゼロ……アイスラッガーじゃないの?」







光「アイスラッガーは一本。ゼロスラッガーは二本。ゼロはセブンの息子なんだ」



飛鳥「ゼロの頭についてるのがゼロスラッガーなのは分かるけど、アイスラッガーのアイってなんだい?」



光「それは構想時のなごりらしいよ。初期案だとセブンじゃなくてアイって名前だったとか」



麗奈「へぇ……まぁ確かに目が特徴的だわ」



光「初代だって初期案はベムラーとかレッドマンとかあって……まぁこれはヒーローの名前というより、タイトル案だったかな?」



飛鳥「なるほど……名作は、タイトルすらも試行錯誤の末に生まれたものだったんだね」



ゴトンッ



P「みんな適当につまんでくれ」



麗奈「って、ほんとにおつまみ系ばっかじゃない」



光「焼き鳥にレモンを」スッ



飛鳥「待って」ガシッ



P「あ、こっちがレバーでこっちが背肝な」



飛鳥「どうも」サッサッ



麗奈「なによレバーよけて。アンタそれ苦手なの?」



飛鳥「食べられないわけではないけど、すすんで食べようとは思わないかな。その味をより好みだと思う人が食べた方が、みんな幸せだと思うだけだよ」



麗奈「要するに苦手なのね」



光「これは?」



P「これは、はらみ」



麗奈「はらゆみ」



飛鳥「やめろォ!」ギュム



麗奈「なにふんのひょ!」ギュム







光「そういえばフェアリーの三人も、演技すごかったなぁ……」



P「なにがそう言えばかは知らないが、そうだな。主役よりも、悪役敵役の方が演技力を要するかもしれん。……一人は寝てただけだが」



麗奈「つまりそこのヒーローごっこより、レイナサマの方が上ってことね!」ヒリヒリ



光「アタシだって負けないぞ!」



飛鳥「けど麗奈は二作目では味方だったじゃないか」ヒリヒリ



麗奈「反対にアンタは二作目、敵だったわね」



光「アタシも悪役やりたい!!」



P「うーん……でもなぁ」



飛鳥「何か問題でもあるのかい?」



P「子供は特に、一度やった役のイメージで芸能人を見ちゃうからさ」



麗奈「あー……」



光「え? もうヒーローをやったから悪役はだめってこと?」



P「そうじゃなくて、例えヒーローをやったことがあっても、悪役のイメージがつくと普段からヒーローとしては見てもらえなくなるってこと」



光「そっか……子供に嫌われるのはやだな」



麗奈「適材適所よ。ヒーローが夢や笑顔を届けるために、それを引き立てるやつも必要なの」



飛鳥「そうだね。散っていく怪人怪獣のためにも、ヒーローは輝いていないとね」







光「でも悪堕ち展開で後から戻ってくれば!」



P「それはダメだ」



光「なんで!?」



P「悪堕ちはエロすぎる」



光「えろ……」



麗奈「うっわ」



P「引くなよ! 事実だろ? 俺は光の健全なイメージを崩したくないんだよ。それこそ、一度イメージがつくと取れないものだからな。エロ方面は」



飛鳥「一理あるけど、毎度セクハラをかまそうとするキミに言えたことか」



P「ファンが見てないとこでなら大丈夫だ」



麗奈「サイッテー……」ジトー



P「いやほんとスキンシップだから。本気でどうこうする気はないし、別に恋人にしたり結婚したりって願望もないぞ」



飛鳥「キミは……」



P「ん?」



光「……」



麗奈「チッ……ほんと最低ね」



光「……」



P「え、あの……光さん」



光「……」ジワッ







飛鳥「あーあ……」



P「あ、えっと、その、あっ」







光「これ……からい」グスッ



P「え?」



飛鳥「あっこのイカ」



麗奈「アーッハッハッハッハ!! 引っかかったわね! それは私が持参したイカよ! たーっぷりとデスソースを塗り込んであるわ!!」



光「からい……」モッキュモッキュ



飛鳥「光、無理して食べないでいいんだよ。ほら、ぺってしちゃいなよ」



光「おばあちゃんは言ってた……一度口に入れた食べ物を出しちゃダメって……」



麗奈「なんで倒置法よ」



飛鳥「それは口に含んだのが真っ当な食べ物だった場合だよ……ほらシャドームーン飲んで」



光「ありがとう……ブラックさん」



飛鳥「飛鳥だよ」



P「ほっ……大丈夫か? 口直しに漬物でも」



光「うん……」ボリボリ



飛鳥「そういえば諸星きらりさん」



P「なにがそう言えばなのか知らないけどな。なんだ」



飛鳥「アクションシーンの迫力すごかったね」







P「あぁ、確かにな。背丈だけの問題でなく、動くシーンで思い切って動く、止めるとこは止めるってメリハリが」



麗奈「それこそフェアリーの三人とのバトルは圧巻だったわね」



P「一人は寝てただけだけどな」



光「アクションで言うなら、まこりんもすごかった! ロボットが爆砕されてたし!」



麗奈「それはCGで……え? CGよね?」



飛鳥「アクションはないけど、三浦さんもオーラが圧倒的だったよ」



P「そうか?」



飛鳥「前川さんが気圧されてたからね」



P「それは……前川だからなぁ」



麗奈「まぁあの、ねこの腹話術は破壊力あったけどね」



光「そう言えばまだナス食べてなかった。これ食ってもいいかな? いいよね。答えは聞いてない」モグモグ



P「何がそう言えば……って今日はよく食うなお前」



飛鳥「さっきまで運動してたしね」



光「そうそう、成長期だし!」



麗奈「に、し、て、は、……あんまり縦に育ってないわねぇ?」



光「……麗奈こそ前が育ってないじゃん」



麗奈「くっ……なんですってぇ」



飛鳥「そう言えばキサラギの……」



P「もう突っ込まんぞ……」











……



光「はーっお腹いっぱいだー!」



飛鳥「思ったより長居してしまったね、結局、出来上がった作品の上映会までやって」



麗奈「次はもっ……と! このレイナサマに出番が欲しいところね」



P「みんな、送っていこうか?」



麗奈「大丈夫よ、アタシはアイツに……」



光「? ……どうした? レイナ」



麗奈「……変なこと言うけどさ。アタシの担当って、アンタだけだっけ」



P「あぁ、他につくわけないだろ? 二人のユニットの担当が俺なんだから」



麗奈「そう……よね」



光「変なレイナ。じゃ、アタシはランニングしながら帰るかなー」



飛鳥「食べてすぐに運動は良くないんだよ?」



麗奈「…………」



P「麗奈?」



麗奈「……なんだか、他に、もう一人……誰かいたような気がして……」



P「……」



麗奈「わ、忘れて! なんでもな」



飛鳥「麗奈」



麗奈「な、なによ」







飛鳥「ボクはね、今回の作品に関わってから……思ってることがあるんだ」



麗奈「……」



飛鳥「もしかしたら、こんな可能性……ボク達が、ヒーローで……地球を守っているような平行世界も、どこかにあるんじゃないか……ってね」



麗奈「なによそれ……」



飛鳥「自覚できないだけで、この世界の他に、無数の世界があって……そんな世界の中には、アイドルが隕石を砕いていたり、アイドルに似た小さな生物がばっこしていたり……だから、」



飛鳥「ボクらがヒーローをやってる、こんな世界も、どこかにあるんじゃないかな……って」



飛鳥「そう考えるとね、今まで何気なく見ていた景色の、色が変わってくる。こんな荒唐無稽な想像だけで、毎日がちょっとわくわくするんだ」



麗奈「……アタシが、どっかの平行世界の記憶をフラッシュバックした、とでも?」



飛鳥「そう考えると、面白いだろ? ってことさ。案外、デジャビュってのはみんなそうなのかもしれない。平行世界の虚憶が……」



麗奈「はいはい。そーゆーことにしとくわよ」



光「もしそうならさ!」



麗奈「え?」



光「きっとその人との絆は、レイナの中にあって、なくなってないんだな!」



麗奈「……絆」



飛鳥「フッ……光にしては、ロマンチックなことを言うね」



光「アタシはけっこうロマンチストだよ?」



P「ま、じゃなきゃ本気でヒーロー目指さんわな」



光「まぁね!」



麗奈「もう! いいから帰るわよ! ほら!」グイッ



光「うわっとと! じゃあね! P!」



P「あぁ、また事務所で!」



飛鳥「……キミは」



P「うん?」







飛鳥「どこまで覚えているんだい?」



P「はぁ……なんのことやら」



飛鳥「キミは……ここから、いなくなったり……しないかい?」



P「……どうだろうな。人は誰しも、自分の世界を探す旅人だからな」



飛鳥「……」



P「けど、これだけは言える。……例え俺や、光や、麗奈……それぞれ、いつか別れるときが来ても……」



P「その絆は、なくならない」



飛鳥「……忘れてしまっても?」



P「あぁ。……誰も、覚えていなくても」



飛鳥「そうか……なら、いい。それにキミも大人だ。もしいなくなるときでも、別れの挨拶もなしには行かないだろうからね」



P「そうだな。じゃあな、飛鳥。またな」



飛鳥「………………また」



バタン





P「またな。みんな」











END













読んで下さった方は、本当に有難うございます。



そして、これまでのものを読んできた方に、よりいっそうの感謝を。

本当に有難うございました。





前作

南条光「スーパーロボット大戦@ しんでれらがあるず」



前々作

二宮飛鳥「フフフ……スーパーヒーロー作戦」





他作品

南条光「改造手術なんかに絶対負けない!」キリッ



小関麗奈「アタシに乱暴する気でしょ!エロ同人みたいに!!」キッ



南条光「改造手術には勝てなかったよ……」





春香「天海春香です!」美希「ふぅん……じゃあハルハルだね」



美希「星井美希なの!」亜美「んっふっふ〜ではミキミキですな?」



美希「SPプリキュアワンフォーオールスターズ!」春香「みんなともだち、だもんげ!」







では、また。









17:30│南条光 
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