2014年02月06日

雪歩「Merry Merrily」

この日が近づくと思い出す。

雪が降ると思い出す

大切な、大切なあの子との日々を…


雪歩「もうすぐ、クリスマスかぁ。」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1387811099

________それは、私がデビューしてすぐの話。

雪歩「ユニット、ですか?」

P「ああ、今度はいる新人の子となんだが…どうだ?」

雪歩「や、やってみたいですぅ。二人なら、プロデューサーさんも怖くないかなって…」

このときの私はまだあの人になれてなくって、
その距離2.5m(小鳥さん調べ)。

P「ははっ…俺を倒す訳じゃないんだがな。まぁ、そう言ってくれて良かったよ。」

正直助かる。そう言ってプロデューサーさんは出ていきました。

あの時は、むしろ助かるのはこっちだと思いました。
そう、あの時は。
「あんたがユニットの相手?」

第一印象は、なんかキツいなぁというのと、ものすごく可愛いということ。
私、引き立て役なんじゃないかなって思うくらい華があって。

「あんた、名前は?」

雪歩「は、萩原雪歩ですぅ…」

「…プロデューサー。この子大丈夫?」
P「あのなぁ、誰もが伊織みたいに自信家じゃないんだ。」
「ふーん…私は水瀬伊織よ、よろしく。」

水瀬伊織ちゃん。
ここまでの印象は、なんか怖いなぁ。

P「雪歩、平気か?」
雪歩「はい、大丈夫ですぅ。」

私たちの出会いは、一方的な恐怖から始まりました。
雪歩「伊織ちゃん!」

伊織「なにかしら?雪歩」

雪歩「CDデビュー、ついに決まったね。」

伊織「そうね。ラジオの仕事を続けていて初めて良かったと思ったわ」

雪歩「あはは…」

つ、つつついに私たちの、CDデビューが決まりました!
あのラジオの企画、まさか成功するとは思ってませんでした。
そういえば、ハガキ一枚しか出してないって伊織ちゃんにいったら

伊織「あんたねぇ、私たちの華々しいCDデビューがかかっているのよ?!」

って、怒ってくれたな。
伊織りちゃんは、いつでも本気ですぅ。

P「おめでとう!っと、そう言えばユニット名がまだだったよな」

伊織「雪歩、センス良いの考えてきた?」

雪歩「う、うんっ。伊織ちゃんは?」

伊織「当然でしょ?即決定にしてあげるわ!」

P「おっ、威勢が良いな。教えてくれ」

伊織ちゃんは自信満々に言いました

伊織「伊織ちゃんと素敵な仲間たちって、どうかしら?」

さ、さすがに沈黙ですぅ。

伊織「あら?完璧すぎて言葉もないかしら。」

P「…雪歩はどうだ?」

伊織「ちょっと!」

雪歩「強くて可憐なってことで、やまとなでしこはどうかなって。」

こうして、私たち『やまとなでしこ』がデビューしました。

でも、新人と新人。私の方が少し早くデビューしたけど、知名度に差はないですぅ。

伊織「キーッ!何で売れてないのよ!」

雪歩「でも、100位以内って凄いことだよ。」

伊織「何事も向上心よ。ほらっ雪歩!もうすぐライブもあるんだから振りの合わせしましょ?」

雪歩「うん。着替えてくるね。」

伊織ちゃんは凄く頑張ってる。
目標があって、そこに向かって努力してる。
私に見えるところも、見えないところも。

雪歩「私も、頑張らなくちゃ。」

自信は、伊織ちゃんから分けてもらえばいい。
男の人は、プロデューサーから慣れていけばいい。

人の手を頼ってでも、私も頑張らないと
伊織ちゃんに迷惑かけちゃいますぅ。

よし。

雪歩「始めよう?伊織ちゃん。」
ライブが無事終了して、一週間がすぎました。
ラジオのお仕事がもう一本増えて、表にでることもだんだん増えてきました。
そんなある日のことですぅ。

雪歩「…伊織ちゃん?」
伊織「雪歩の方がファン多かった。」
雪歩「伊織ちゃんの魅力にまだ気づいてないだけだよ」
伊織「そう、よね…」

ライブが終わってから、時折落ち込むことが増えた伊織ちゃん
話によればファンの人のサイリウムの色が白の方が多かったって言うことらしいですぅ。

白は私のカラー、ピンクが伊織ちゃんのカラー。

私には、同じくらいに見えたけどなぁ…
むしろ声援は伊織ちゃんの方がよく聞こえてたかな?

伊織「まだよ、もっと目立たないと誰にも気づいてもらえない。」

私には、何も返すことができませんでした。

雪歩・伊織「…」

ガチャッ

P「伊織、雪歩。おまえ等のファンクラブの会員数が千人を越えたぞ!って…あれ?」

私たちは、悩みながらも確実に進んでました。
…そう思いたいですぅ。
とりあえずここまで。

夕方には再開予定です
元ネタは某声優ユニットですが、ゼノグラシアとは関係ないです。はい
伊織「し、新曲ね!」

雪歩「クリスマスソングで、し、しかもドラマの挿入歌、ですか?!」

伊織「私たちの知名度もうなぎ登りね!」

雪歩「ねえ、伊織ちゃん。」

伊織「…どうかした?」

雪歩「私たち、どうなるのかな。」

伊織「どう、ねぇ…武道館ライブとかどうかしら!」

雪歩「それ、やってみたいなぁ…」

伊織「できるまで続ければいいのよ!『やまとなでしこ』を!」

雪歩「うん、そうだね。じゃあ、まず二枚目のCDを出せるようにしようよ!」

伊織「それはあのプロデューサーの力量次第よね。」

雪歩「そうだ、これからご飯食べにいかない?」

伊織「いいわね!何食べようかしら。」

私たちの活動は軌道に乗ってきました。
このときは、この楽しい時間がずっと続けばいいのに。
そう思ってばかりの日々でした。

…でも、もっと前を見ないとダメですぅ。
それは、私のいないところで起きてました。

伊織「ファンクラブ解散ですって!?」

P「解散じゃなくて、正確には分割だ。それぞれ水瀬伊織のファンクラブ、萩原雪歩のファンクラブとしてな」

伊織「でも、ツアーも決まったのに何で今時期…!」

P「…実は、ツアーを最後に『やまとなでしこ』は解散になると思う。」

伊織「それ、どういうことよっ!」

P「伊織、573プロダクションがお前を引き抜きたいといっている。」

伊織「…それに乗るわけ?」

P「俺だって認めたくない!でも、決まったんだ…。」

伊織「わかった…でも、雪歩には言わないで頂戴。あの子絶対嫌がるから。」

P「今更だが…いいんだな?」

伊織「ええ。正直私もいろいろと試したいのよ。」

P「…そうか。」
いよいよツアーですぅ!

雪歩「伊織ちゃん、頑張ろうねっ!」

ギュッ

伊織「ちょっと、こんな所で抱きつかないでよ!」

雪歩「ご、ごめん…」

伊織「もうっ。でも、緊張は解けたわ。……ありがと」

伊織ちゃんとはかなり仲良くなった気がします。
冗談を言い合えるくらい、かなぁ。

雪歩「よかったぁ。伊織ちゃん、震えてたから」

伊織「…そういえばあんた、最近穴掘らなくなったわね。」

雪歩「あ、…すこし、頑張ってみようかなって」

伊織「なかなかやるじゃない。」

P「二人とも、もうすぐ始まるぞ。」

雪歩「あ、はいぃ!」

伊織「さ、始めましょう。………最後のツアーを。」

最後の言葉はうまく聞き取れませんでしたが
何となく、伊織ちゃんが優しかったのは覚えてます。
雪歩「活動停止…ですか?」

ツアー最終日が終わったところでした。

P「正直な所、雪歩は一人の方がもっと活躍の場を広げられると思うんだ。」

雪歩「私はって…伊織ちゃんは、どうなるんですか?!」

P「伊織も今、ソロに向けて準備をしているところだ。移籍もあるし忙しくなる。」

雪歩「…移籍って、何ですか?」

伊織ちゃんが、移籍。
つまり同じ事務所ではなくなると言うこと。
毎日顔を会わせるなんてことは、無いと言うこと。
伊織ちゃんがいなくなる
そんなの、
そんなの…

雪歩「そんなのって無いですぅ…」

P「雪歩、お前の気持ちもわかるが「わかってませんっ!」

もう、我慢の限界ですぅ。
スコップを取り出します。
伊織ちゃん、やっぱりあなたのようには出来なかった。

P「雪歩…?」

少し、私に反省する時間をください

ひんそーでちんちくりんでダメダメな私は

雪歩「穴掘って、埋まってますぅ。」
伊織「ゆきほー?居る、のよね。」

最近掘らなかったから、深く掘りすぎたかもですぅ。
でも、凄く上からだけど、伊織ちゃんの声が聞こえてきて安心です。

伊織「雪歩、何があったのよ?」

私はプロデューサーとの会話を話しました。
だからって、何かが変わる訳じゃないですけどね。

伊織「そう、聞いたのね。あのプロデューサー、言わないでって言ったのに…。」

雪歩「伊織ちゃん、573プロなんて大手に行っちゃったら、私すぐに置いて行かれちゃうね」

伊織「何言ってんの、雪歩は私に負けないだけ頑張ればいいのよ。」

雪歩「伊織ちゃんは私たちが、『やまとなでしこ』が終わるって知ってたの?」

伊織「活動停止、移籍による分割については聞かされていたわ。でも」

伊織ちゃんは、下にいる私に向かって、怒鳴りました

伊織「私たち『やまとなでしこ』は終わらないわよ!」

久しぶりに聞いた伊織ちゃんの怒鳴り声は高くて、耳が痛くて。

でも、一番痛くなったのは心でした。
今でも、まっすぐな伊織ちゃんにはかなわないなって思いますぅ。
伊織「いいこと?雪歩。あなたはこれから絶対にトップアイドルを目指しなさい。」

穴から出てきた私に、伊織ちゃんは言いました。

伊織「お互い別々の場所で、とにかく上を目指すの。両方の名前がトップとして売れたら、『やまとなでしこ』という存在はもう伝説に等しいの!」

伊織ちゃんの作戦。やってみたいこと。
それは、今の私たちを無駄にしない方法。

伊織「とりあえず今の私たちは、後の為の布石!そしてゆくゆくは雪歩が言っていたその、二人…」

雪歩「二人そろえば、やまとなでしこ。のこと?」

伊織「そうっ!それを目指すの。そして私たちを引き裂いたあのプロデューサーをぎゃふんと言わせてやりましょ!」

笑いながら、楽しそうに未来計画を話してくれる伊織ちゃん。

私も、気がつくと笑っていて
なんだか今なら一人でもプロデューサーが怖くないかもって

勇気が、溢れてきたんですぅ。
伊織ちゃんが移籍して一ヶ月は、怒濤の日々でした。

今でもあんなに忙しいことは滅多にないですぅ。

伊織ちゃんが移籍後初のCDリリース

それに先駆けるかのようにレコーディング、撮影、そしてアルバムの発売。

この頃のプロデューサーは口癖のように
「水瀬伊織のおまけではないんです!」
と営業先に言って回っていたそうですぅ。

P「営業、もっと良い仕事とってくるから!」

そういっては私を一人レッスンに残し、出て言ってました。

雪歩「輝く未来が、きっと待ってるー…」

どこまでも行こう。

いつかは…私一人で。
伊織「花に降る雨を、真夜中の虹を…♪」

移籍してから、随分たった気がしてる。

新しいプロデューサーは、私がどうアピールしたら売れるか、なんて語り出すような人。

でも、分かりやすいし、こっちの方がやりやすい。

伊P「伊織、今回のアイドル雑誌の人気投票。お前は5位だ。」

伊織「念の為よ…プロデューサー。萩原雪歩は?」

伊P「萩原雪歩?…三位だ。」

伊織「へぇ…」

…やっぱり、なかなかやるわね雪歩。

伊織「私に似合う仕事、まだあるわよね?」

伊P「もちろんだ。」

雪歩に負けてられないわ!

伊織「〜ずんずんと歩いて行こう」

叶えたい夢がある

そう、二人でね!
P「雪歩、本気なのか…?」

雪歩「はい。同じ事務所の天海春香ちゃん、三浦あずささん。他事務所の星井美希ちゃん、菊池真ちゃんそして、私です。」

社長「ほう。続けたまえ」

雪歩「構成はカルテット。ビジュアル面は可愛さを、パフォーマンスはカッコいいものを目標に一年のユニットを組みたいんですぅ…」

一度はやってみないといけないと思っていたセルフプロデュース。

一人じゃなく、五人をまとめる。
義理は通せって、お父さんもいつも言ってますぅ。
雪歩「あ、伊織ちゃん。」

伊織「奇遇ね。雪歩」

活動の許可を貰い、早速周りの人に営業をしてきた帰りのことでした。

伊織「さっき番組のディレクターから少し聞いたわ。セルフプロデュースに挑戦するんでしょ?」

雪歩「うん。正確にはアイドル兼ユニットプロデュースになるんだけど、一度やってみたかった事だから。」

伊織「あんた、かなり強くなったわよね。でも、あたしも負けてないんだからっ!」

そう言って伊織ちゃんがくれたのはライブのチケット。

伊織「招待してあげる。圧倒されないよう気をつけなさい!」

私にウインクをとばして去っていく伊織ちゃんはなんだろう。
かわいく見えて、少し嫉妬しちゃいました。
雪歩(二人の作戦は、上手く行ってる。後は私も早くCランクに…!)

「水瀬伊織君の事かい?」

雪歩「ひゃっ!…」

事務所には、プロデューサーさんと、社長が居ました。

P「はい。本当にこれで良かったのでしょうか。」

社長「仕方がないんだ。君の“やまとなでしこ”は、そのままでも長くは続かなかっただろう。」

P「二人なら、ユニットとしての評価は高かったのにですか?後少しでAランク。トップだったのに…。」

私たちが後少しでトップアイドルだった?

社長「会社の経営も難しくてね。うちみたいなのは息が長い方が欲しいんだ。安定感のあるね。」

P「突発的に売れても、意味がないって事ですか…?」

社長「ああ。だから、息の長そうな雪歩君を残し、水瀬君を引き取って貰った。」

引き取って…?
引き抜きじゃなくて?

P「だからって、水瀬伊織のランクをわざわざ下げる必要は無かったはずです。」

もう、止まれませんでした。
走りました。転びもしました。
でも、それでも。
私にはこの会話を最後まで聞く勇気はありませんでした。

伊織「今日は私のライブに来てくださって、ありがとうございます!」

伊織ちゃんのライブに来ました。
楽しそうに、一生懸命な伊織ちゃんにあの事を伝えるべきなのか。
そんなことが頭を巡って思ったように楽しめないですぅ。

「いおりーん!」
「可愛いよー!!」
「キャー!踏んでー!」

伊織「何か、変なのも混じっていたけど、応援ありがと。」

伊織ちゃんのファンはやっぱり質が違いますぅ。
私の所がどうとかではなく、純粋に伊織ちゃんの事を
心から応援しているんだなって伝わってくるんですぅ。

私も、ちゃんと伝えようかな。

伊織ちゃんは、知らないより知っていた方が喜ぶと思うから

伊織「そうね。何となく知っていたわ。」
雪歩「…え?」

伊織ちゃんは、伊織ちゃんは知っていました。

伊織「それで…何かが変わるわけではないでしょ?」
雪歩「ご、ゴールから遠ざけられたのに?!」

あれ、おかしいな。
前はこんなに必死に叫ぶことなかったのに。
叫ばなくても、届いていたのに

伊織「そもそもユニットの効果で普通よりゴールが近かったんだもの。対したこと無いわ。」

伊織ちゃんの言っていることが届かなくなっている?

伊織「それとも、雪歩」

これ以上、言わないで。

「あんた、私に抜かれそうで焦り始めてるとか。」

そんなことない。伊織ちゃんは凄い頑張っている。
それが反映されて今がある。

「デビューも、ソロの扱いも、人気も貴方より後ろのはずの私に抜かれそうで焦っているんでしょ。」
雪歩「そ…と…いよ。」
そんなことない。
そんなことないよって言いたいのに、口が動かないんですぅ。

伊織「とりあえず、この話はまた今度にしましょ。」

私は伊織ちゃんの背中を見ながら
立ち尽くすことしかできませんでした

自分でも、もうわからなくなっていた
前の事務所は好きだったし、今の生活もなんとかなっている。

おかしいと思うところは幾らでもあった。
受けられるオーディションが減ったこと。
あることないこと書かれた手紙が届くこと。

判っていたけど
裏切られるのは、悔しかった。

大好きな親友に言われたから、余計に。

あの時言った言葉は雪歩を確実に傷つけた。
私も、気が立っていた。

あの子の意志では無いと思う
でも、それでも

悔しいのは、変わらないのよ…!

雪歩「プロデューサー!」

P「どうした、雪歩。最近頑張ってるんだな…少し寂しい「やめたいんですぅ!」

P「…何を、だ?」

こんな汚い世の中で
大人の事情に動かされて
私の想像していたものとはかけ離れていた

アイドルなんて

“絶対にトップアイドルを目指しなさい。”

アイドル…

雪歩「もし、アイドルをって言ったら、どうしますか?」

P「…雪歩の意志だ。惜しいが止めはしないさ」

雪歩「事務所を。…と言ったらどうしますか?」

P「俺が雪歩が満足に活動できる場所を作るさ」

雪歩「私は、伊織ちゃんに実力で並びたいですぅ。」

雪歩「そのための場所が、欲しいですっ!」

P「…分かった。雪歩のセルフプロデュースが終わる頃には移籍できるよう動いてみる。」

P「雪歩、俺についてきてくれるか?」

雪歩「はい、わかりました。」

伊織ちゃんとの約束は守りたい。
今逃げたら、駄目な気がするんですぅ。

雪歩「ここが、新しい事務所ですか?」

正直新しいとは言えないビルの一室。
そこにある1台の机と、まとまったファイル、ノートパソコン。
最初はこれだけしかありませんでした。

P「あぁ。今日からここが雪歩の拠点である765プロダクションだ!」

雪歩「…573さんのパクりにしか聞こえないですぅ。」

P「なっ…これでも決めるのに結構かかったんだぞ!」

雪歩「本当ですか?…あれ、プロデューサー。その袋ってなんですか?」

私の選材に紛れて机に置いてあった茶封筒。

P「確か、社長が置いていったんだ。見てみるか?」

雪歩「な、何が入っているんでしょう…?」

封筒の中には、一枚の紙が入っていました。

P「オーディション?」

雪歩「あわわ…こんな大きなオーディションに招待ですか?!」

P「これだけ大きければ注目度も高くなる。伊織も出るんじゃないかな」

伊織ちゃんが出る。
これに勝てば…トップといえるランクまでいけるはずですぅ。

伊織ちゃんとの夢
私の目標
追い続けたものを、今叶えるんですぅ!

雪歩「私、そのオーディション出ます!」

……オーディションの結果は、よくはありませんでした。

実力と人気のバランスがずれていたのもありますぅ。
そして、事務所を移ってから一年が経ちました。

雪歩「あ、雪だ…」

今日はホワイトクリスマスですぅ

P「雪歩、おまえにクリスマスプレゼントだ!新しい企画が始まる」

雪歩「企画、ですか?」

P「あぁ、あるドラマからメディアミックスとしてユニットが必要らしい。で、雪歩がその一人に選ばれた。」

ユニット…
プロデューサーには悪いけど、お断りしたいですぅ

P「そして、誕生日プレゼントだ。」

雪歩「この、雑誌ですか?」

P「付箋のページだぞ」

付箋がついたページは、そのドラマに関するページでした。

雪歩「ドラマ内のユニットがCDデビュー。由衣役、萩原雪歩。ゆかり役……水瀬、伊織…っ!」

P「雪歩、誕生日おめでとう。」

雪はつもり、道は白に染まり
私はまた一つ大人になる

今年は一人の足跡も
来年はきっと、二人に

おしまい

11:30│萩原雪歩 
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