2015年05月26日

城ヶ崎美嘉「プロデューサー、今度の休み、デートしない?」

――車内



P「しない」



美嘉「えー? アタシみたいな女の子とデートするのを断るなんて、考えられないなー」





P「……もしも断らなかったらどうした?」



美嘉「ん? ちょっと失望したかな」



P「……美嘉、お前なぁ」



美嘉「あ、でも、嬉しくもあるって感じ? プロデューサーも男の人だったんだ、って思えるし」





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P「俺は男だろ、どう見ても」



美嘉「うん。ま、よくアタシのことをエロい視線で見てるしねー」



P「……その話はやめろ、って、何回言えばわかるんだよ」



美嘉「ごめんごめん。でも、事実じゃん?」



P「……事実だから言われたくないんだよ」



美嘉「あはっ♪ 高校生にそんなエロい視線を向けちゃうなんて、社会人としてどうなのかなー?」



P「それを言われると本当に返す言葉もないな……」



美嘉「ふふっ、ま、自分で言うのもなんだけど、アタシをエロい視線で見ることは仕方ないと思うよ? そう思われるような格好をしている、ってところもあるし」



P「高校生にそんな格好をさせてる俺が悪いと言われればそれまでだからな」



美嘉「プロデューサーはアタシの希望に従ってくれてるだけだけどね」



P「それを許している時点で、だ。美嘉の売り出し方としては正解だと思っているが……たまには路線を変えるか?」



美嘉「どういうの?」



P「露出を極力減らした清楚な感じ」



美嘉「んー……たまにはいいかもだけど、アタシはやっぱり露出多めがいいかも。プロデューサーが見てみたいって言うなら別だけど?」



P「……誰にでもそういうこと言うなよ?」



美嘉「プロデューサーにしか言わないから大丈夫★」



P「……美嘉」



美嘉「わかってるわかってる。もちろん、ジョーダンじゃないけどね」



P「はぁ……お前のいちばん厄介なところはわかっててやってることだよな。わきまえてる。だから邪険に扱えない」



美嘉「トーゼンだよ。プロデューサーに嫌われたくはないもん」



P「困らせたくは?」



美嘉「嫌われない程度なら」



P「……まったく」ハァ



美嘉「……ホントに迷惑なら、やめるけどね」



P「っいや、そういうわけじゃ――あーもう。美嘉。お前、今のもわかってて言っただろ」



美嘉「うん、まあね♪ ……でも、わかってるけど、自信満々ってわけじゃないから、さ」



P「……迷惑じゃない」



美嘉「えっ?」



P「……」



美嘉「ねぇねぇ、プロデューサー、今、なんて言ったの?」ニヤニヤ



P「聞こえてただろ。顔、ニヤついてるぞ」



美嘉「でも、もう一回言われたいのが乙女ゴコロってやつなの★」



P「嫌だ」



美嘉「えー……つれないなぁ」



P「つれなくて結構」



美嘉「……なんかちひろさんに『プロデューサーにエロい視線で見てるって言われました』ってメールを送りたくなってきたなー」



P「ちょっ! ……それはさすがにやめてくれ」



美嘉「ふふっ、プロデューサー、ちひろさんに弱いよね」



P「世話になりっぱなしだからな……正直、頭が上がらない」



美嘉「じゃあ、言ってくれる?」



P「……美嘉、お前、そういう奴だったか?」



美嘉「いつもよりしつこいって? うん、自覚してる。でも、言ってほしいの」



P「……二度は言わないからな」



美嘉「うん」



P「美嘉、お前はやっぱりカリスマだよ。一線がどこにあるかわかってる。男のツボもわかってる。だから……正直、困るが楽しい。幸せだよ」



美嘉「……」



P「美嘉?」



美嘉「こ、こっち見ないで、プロデューサー。……ちょ、ちょっと、今の、クサくない?」



P「……そ、そうだな。言われてみるとかなりクサいな。ごめん、美嘉。忘れてくれ」



美嘉「……忘れられるわけないじゃん」ボソッ



P「……何か言ったか?」



美嘉「っ……」



P「……」



美嘉「プロデューサー、ズルいよ」



P「ごめんな」



美嘉「いいよ。……でも、嬉しかった。ありがと」ボソッ



P「何か言ったか?」



美嘉「……今のはさすがにむかつくかも」



P「善処する」



――撮影現場



莉嘉「あ、お姉ちゃん!」



美嘉「お疲れ、莉嘉。どうだった?」



莉嘉「ちゃんとできたよー? まゆちゃんや泰葉ちゃんに聞いてみてよ!」



美嘉「そうだったの? まゆちゃん、泰葉ちゃん」



まゆ「はい。とても良かったと思いますよぉ。莉嘉ちゃんらしさが出ていました」



泰葉「さすが美嘉さんの妹だな、という感じでしたね」



美嘉「へぇ……この二人にそこまで言われるってことは、本当に良かったんだね、莉嘉」



莉嘉「えー……お姉ちゃん、アタシの言葉だけじゃ信じられなかったのー?」プクー



美嘉「この二人ほどは信じられないかなー。莉嘉もこの二人の凄さはわかってるっしょー?」



莉嘉「うん……まゆちゃんも泰葉ちゃんも、すごかった」



美嘉「二人とも、アタシたちの世代じゃあ有名だもんねぇ……片や読モにして専属モデルより圧倒的に人気が出た女の子、片や子供の頃からずっとモデルとしての最前線を走り続けている女の子。こんな二人と一緒に仕事ができるなんて、莉嘉、あんた、幸運だよー?」



まゆ「美嘉ちゃんたちもとっても有名だと思いますけど……」



泰葉「はい。私が昔からお世話になっているカメラマンさんたちも、二人のことは絶賛していますよ。『今は城ヶ崎姉妹の時代だ』って。正直、嫉妬しちゃいます」



美嘉「さ、さすがに泰葉ちゃんに嫉妬されるほどじゃ……」アセアセ



まゆ「泰葉ちゃんに嫉妬されるなんて……美嘉ちゃん、本当にすごいですねぇ。まゆも嫉妬しちゃいます」



美嘉「ま、まゆちゃんまで……」



泰葉「……ふふっ、ごめんなさい、美嘉さん。でも、美嘉さんがすごいのは本当ですよ」



まゆ「まゆも同じです。ごめんなさい」



美嘉「……も、もう! 二人ともー!」





――



P「――お、集まってるな」



莉嘉「Pくん!」パァッ



P「莉嘉――って、ちょっと待てちょっと待て」



莉嘉「待たない!」ガシッ



まゆ「」



泰葉「あ」



美嘉「……莉嘉。まゆちゃんの前で、何を」ハァ



莉嘉「Pくん、今日、とーっても上手くいったんだー。褒めて褒めてー?」



P「さっきスタッフさんに聞いたよ、とっても良かったって。……よくやったな、莉嘉」ナデナデ



莉嘉「あっ……うん! ありがと、Pくん!」





まゆ「な、ナデナデ……ナデナデ……ま、まゆもやってもらったことないのに……」ブツブツ



泰葉「ま、まゆさん。抑えて、抑えて。Pさんに頼めば、まゆさんにもやってくれますよ」



まゆ「ほ、ほんとですかぁ?」



泰葉「本当です」



まゆ「そうですか……そう言えば、泰葉ちゃんはやってもらったこと、あるんですか?」



泰葉「……どうしてそう思うんですか?」



まゆ「『やってくれる』って、なんだか確信めいた様子だったので……」



泰葉「ないですよ」



まゆ「へぇ……あの、Pさん、聞きたいことが」



P「ん? なんだ、まゆ」



まゆ「泰葉ちゃんの頭を撫でたことはありますかぁ?」



P「……な、ないぞ?」



まゆ「わかりました、ありがとうございます……」テクテク



まゆ「泰葉ちゃん、何か反論はありますか?」



泰葉「Pさん、演技下手過ぎですよ!」



P「えっ……な、なんだ、いきなり」



泰葉「うぅ……なんでもないです」



まゆ「はい、なんでもないですよ。……あ、あと、Pさん、あとでまゆの頭も撫でてもらっていいですか?」



P「べつに構わないが……どうしてだ?」



まゆ「ふふっ、まゆがそうしてほしいから、じゃ、ダメですか?」



P「問題ないが……髪が崩れちゃうんじゃないか? 前に美嘉にやった時もそう怒られたし――ん? どうした、まゆ」



まゆ「……いえ、少し、話を聞かなくちゃいけない人が増えただけです」



P「そうか……何のことかわからないけど、な」



まゆ「……『何のことかわからない』、ですか。うふふっ、まゆはPさんのそういうところも好きですよぉ」ボソッ



P「何か言ったか?」



まゆ「いいえ、何も♪」



まゆ「……それで、美嘉ちゃん」



美嘉「な、何カナー?」



まゆ「撮影が終わったら、お話、たーっぷり、聞かせてもらいますからねぇ?」



美嘉「……はい」



美嘉(……プロデューサーの、バカー!)



莉嘉「えへへー☆」



P「……莉嘉、そろそろいいか?」



莉嘉「まだまだだよ、Pくん☆」



P「じゃあ、いつまで?」



莉嘉「お姉ちゃんの撮影が始まるまで、かな」



P「そりゃまた長いな」



莉嘉「イヤ?」



P「……イヤじゃないが」



莉嘉「……えへっ☆ ありがと、Pくん!」





――



莉嘉「お姉ちゃーん! すごかった、すごかったよー!」ダキッ



美嘉「ちょっ、莉嘉……ふふっ、ありがと」



P「本当に良かったよ、美嘉」



美嘉「あっ、プロデューサー。……当然でしょ? アタシ、カリスマだよ?」



P「ああ、カリスマだった。何か欲しいか?」



美嘉「んーん。アタシをプロデュースしてくれたらそれでいいよ★ ……あ、そうだ。じゃあ、デ――」



P「そういうの以外で、な」



美嘉「むー……プロデューサー、カタイなぁ」



P「プロデューサーだからな」



美嘉「ま、そうだけどさー」



まゆ「……美嘉ちゃん?」



美嘉「ひゃっ! ――ま、まゆちゃん。何かなー?」



美嘉(そうだったまゆちゃん居るんだった何してるのアタシ)



まゆ「撮影後すぐで悪いんですけれど、ちょっとお話できませんか?」



美嘉「……うん」



美嘉(……これヤバイかも)



莉嘉「あれ? お姉ちゃん、まゆちゃん。どこ行くのー?」



美嘉「いや、ちょっと……ね」



まゆ「はい。ちょっと、大事な話を」



莉嘉「? そうなんだ。行ってらっしゃい。気を付けてねー」



美嘉「うん、気を付ける……本当、気を付けるよ」



スタスタスタ



莉嘉「……大事な話、って、何だったんだろ。Pくん、知ってる?」



P「いや……なんだろうな」



莉嘉「じゃあ、泰葉ちゃんは? そう言えば、泰葉ちゃんもさっきまゆちゃんと何か話してたよね? あれと関係あるの?」



泰葉「はい、あると思います……ふふっ」



莉嘉「? どうしたの、泰葉ちゃん」



P「どうしたんだ、泰葉」



泰葉「いえ……なんでもありません。ただ、まゆさんは女の子だな、って」



莉嘉「泰葉ちゃんも女の子でしょ?」



泰葉「……え?」



莉嘉「そうだよね、Pくん」



P「ああ。泰葉も女の子だよ。魅力的な女の子だ」



泰葉「……そ、そういう意味で言ってるのではなくですね」



P「ならどういう意味だ? まあ、どういう意味でも、泰葉が魅力的な女の子だっていうことを訂正するつもりはないが」



泰葉「……もうっ、Pさん、わざとやってます?」



P「何がだ?」



泰葉「……本当にわかってないんですね。まったく、Pさんはわかっているのかわかっていないのかはっきりしてほしいです」



P「……すまん」



泰葉「……それ、どういう意味の『すまん』ですか?」プクー



P「わかってるんだろ」



泰葉「皮肉です」



P「手厳しいな」



泰葉「私は――私たちは優しい方だと思いますよ?」



P「わかってるよ。感謝してる」



泰葉「感謝してるなら直して欲しいんですが……まあ、Pさんはプロデューサーですからね」



P「ごめんな」



泰葉「いいですよ。むかつきはしますけど、ね」



P「……本当に、申し訳ない」



莉嘉「……二人とも、何話してるの? アタシを除け者にしちゃってさー」プクー



泰葉「あっ、ごめんなさい、莉嘉ちゃん。除け者にしていたつもりはないんです」



P「莉嘉にはまだ早い……って感じかな?」



莉嘉「むー……子供扱いしないでよー!」



P「いや、子供扱いとかじゃなくてだな……」



泰葉「……莉嘉ちゃん、べつに子供扱いせずに今の話を説明してもいいですよ?」



莉嘉「ほんと!?」



P「泰葉!?」



泰葉「ただし……その場合、莉嘉ちゃんは今後Pさんに気軽に抱きついたりできなくなります。甘えたりすることもできなくなります。それでも、いいですか?」



莉嘉「えっ……そ、それは……イヤ、かも。ううん、かもじゃない。絶対イヤ」



泰葉「それじゃあ、Pさんのことを許してくれますか?」



莉嘉「うん……ごめんね、Pくん。ワガママ言って」



P「い、いや……悪いのは俺の方だからな」



泰葉「はい。悪いのはPさんです」



P「ちょ、泰葉……」



莉嘉「そうなの? ……じゃあ、Pくん。お礼に、アタシとデートして!」



P「莉嘉……『デート』は無理だが、ショッピングくらいなら」



莉嘉「ほんと!? ありがと、Pくん!」ダキッ



P「あはは……」



泰葉「Pさん」



P「ん? ああ、そうだな、泰葉。ありがとう」



泰葉「お礼はいいです。ですから、また私とプラネタリウムに行きませんか? 『デート』ではなく……ね」



P「……ああ。わかった」



泰葉「ありがとうございます、Pさん♪」





――



まゆ「それで、美嘉ちゃん」



美嘉「は、はい」



まゆ「美嘉ちゃんには、たっぷり聞きたいことがあるんですよぉ」



美嘉「……はい」



美嘉(ど、どうしよう……。まゆちゃん、良い子なんだけどプロデューサーが絡むとちょっとすごい行動に出たりするから……何をされるのか予想できない!)



美嘉(うう……莉嘉、ごめんね。アタシ、もう帰れないかも……)



まゆ「美嘉ちゃん」



美嘉「な、何でしょうか」



まゆ「……ぴ、Pさんにナデナデしてもらうには、どうすればいいんですか?」



美嘉「……え?」



まゆ「さっき泰葉ちゃんにも聞いたんですが……出来る限り多くの人から聞きたいんです」



美嘉「……そ、それだけ?」



まゆ「はい。……何か、おかしいですか?」



美嘉「……ううん。ごめん、ちょっと、勘違いしてたかも」



まゆ「何がですかぁ?」



美嘉「まゆちゃんって、女の子なんだなって」



まゆ「……それ、どういう意味ですかぁ?」プクー



美嘉「あははっ。悪い意味じゃないよ。まゆちゃんはやっぱり『良い子』だってこと」



まゆ「……なんだか複雑ですけど、ありがとうございます」



美嘉「どーいたしまして★ それで、プロデューサーに頭を撫でてもらった時のことだったっけ。あれはね――」



まゆ「ふんふむ」メモメモ



――事務所



P「ただいま帰りました」



ちひろ「お帰りなさい、プロデューサーさん」



美嘉「アタシも居るよ★」



莉嘉「アタシも☆」



ちひろ「二人とも……ということは、泰葉ちゃんとまゆちゃんは?」



P「先に寮に送ってきました。どうやら今日は泰葉も寮に泊まるらしいです。まゆと泰葉と……あと、他にも何人か集まってパジャマパーティーみたいなことをするらしいですよ」



ちひろ「へぇ……美嘉ちゃんと莉嘉ちゃんは行かなかったの?」



美嘉「うん。楽しそうだったけどねー」



莉嘉「パジャマとかも持って来てないからね」



P「それくらいなら備品にあると思うんだが」



美嘉「……それは乙女心をわかってなさ過ぎだよ、プロデューサー」



莉嘉「それじゃあ意味ないよ、Pくん」



P「そういうものか……」



ちひろ「そういうものですよ、プロデューサーさん」



P「ちひろさんまで……」



ちひろ「ふふっ。それで、これから三人はどうするんですか?」



美嘉「アタシたちはプロデューサーに送ってもらうつもり」



P「俺は残っている仕事を片付けに」



ちひろ「……プロデューサーさん、べつに明日でもいいんですよ? 今残ってるのは急を要するものではないですし」



P「今やれることは今やることにしているんです。二人なら事務所に残ってる他のアイドルと暇を潰すと思うので、その心配はありませんよ――というか、もう二人ともどこかに行ってますし」



ちひろ「プロデューサーさんの心配をしているんですが」



P「スタドリでも飲めば大丈夫です」



ちひろ「……ハァ。あんまり、無理はしないで下さいね?」



P「善処します」



ちひろ「……それと、ありがとうございます」ボソッ



P「こちらこそ」



ちひろ「……聞こえたんですか」



P「この距離なので」



ちひろ「そういう意味ではなく」



P「では、どういう意味ですか?」



ちひろ「……そんなプロデューサーさんは嫌いです」プクー



P「ごめんなさい。そのお詫びと言っては何ですが、また、飲みに行きましょう」



ちひろ「……回りくどいですよ」



P「そういう人間なので」



ちひろ「もう……割り勘ですよ」



P「わかりました」





――車内



莉嘉「……スゥ……スゥ……」



美嘉「莉嘉、眠っちゃってるね……うん、やっぱりかわいい。本当、寝顔は天使みたいだよね。いっつも天使みたいにかわいいけど★」



P「……美嘉。お前は本当に莉嘉のことが好きだよな」



美嘉「姉バカって? ……うん。そうかも。莉嘉のことは大好きだからね」



P「お前ら二人を見てると……なんだか、ほっこりするよ。嬉しくなる」



美嘉「美少女二人が仲良くしてて眼福? あ、もしかしてエロい視線で……」



P「莉嘉のことは見ないよ」



美嘉「あはっ♪ それ、アタシのことはエロい視線で見てるって言ってるのと同じだよ?」



P「……察しろ」



美嘉「ふふっ……そう言えば、プロデューサー。事務所ではちひろさんと二人きりだったけど、何、話してたの?」



P「何でもないようなことだよ」



美嘉「ふーん……大人組が居なかったから、二人きりで飲みに行くことを約束してたりしないの?」



P「しないよ」



美嘉「そ。まあ、もしそうだったとしてもアタシに関係ないけどね」



P「そうだな」



美嘉「……そこは肯定して欲しくなかったなぁ」ボソッ



P「何か言ったか?」



美嘉「言ってない。で、プロデューサー」



P「なんだ?」



美嘉「莉嘉とはショッピングに行くのに、アタシとはデートに行ってくれないんだね」



P「……莉嘉、話したのか」



美嘉「莉嘉が話さないなんて思ってないくせに」



P「まあな」



美嘉「それで、どうしてアタシとはデートしてくれないのかなー?」



P「わかってるだろ」



美嘉「わかりたくない」



P「そうか」



美嘉「うん」



P「……」



美嘉「……」



P「美嘉は」



美嘉「何?」



P「どうして、デートしたいんだ?」



美嘉「……それ、聞く? さすがにデリカシーなさ過ぎじゃない?」



P「ごめんな。でも、美嘉なら答えてくれると思って」



美嘉「……ズルいなぁ。自覚してる? それ、殺し文句だよ?」



P「……マジか」



美嘉「マジ。次の『相談室』のネタは決まりかなー」



P「恋愛相談か。……あのコーナーも、結構長いな」



美嘉「人気コーナーだしね。自分で言うのもなんだけど」



P「実際人気コーナーだからな。ウチとしても助かるよ」



美嘉「うん……それで、どうしてデートしたいか、だったっけ」



P「……答えてくれるのか?」



美嘉「うん。べつに、答えちゃいけないことじゃないからね。……一言で言えば、楽しいから、かな」



P「楽しいから、か」



美嘉「うん。もっと正確に言えば、幸せになれるから。心がときめいて……ドキドキして。……まあ、TOKIMEKIの歌詞でも見ればいいんじゃない?」



P「TOKIMEKIエスカレート、か」



美嘉「うん。あんな感じ、かな。……まあ、ぜんぶがぜんぶとなるとそうでもないけど」



P「そうか」



美嘉「……これを聞いてもその調子なんだね」



P「……ごめんな」





美嘉「プロデューサー、謝り過ぎ。……今日一日で何回謝った?」



P「実際、謝らなきゃいけないようなことをしているからな」



美嘉「自覚してるなら、やめればいいのに」



P「やめられないからやってるんだよ」



美嘉「うん、知ってる。……アタシこそ、ごめんね」



P「美嘉が謝る必要はない」



美嘉「でも……あーもう! 夜だからって、ちょっとしんみりしちゃってるね。アタシらしくない。うんっ!」



P「……美嘉」



美嘉「プロデューサーは気にしないでよ。これからもアタシのことをエロい視線で見続けてくれたらいーの。今日みたいに二人でドライブ、っていうのも最高だしね」



P「莉嘉も居るが」



美嘉「わかってるよ。わかってるけど……幸せなんだから、浸らせてよー」



P「ごめんな」



美嘉「いいよ。それだから、プロデューサーなんだもんね」



P「……かもな」



美嘉「……プロデューサー」



P「なんだ?」



美嘉「……今度は、二人きりでドライブに行こうね」



P「……ああ」



――城ヶ崎家



莉嘉「ふわぁ……もう着いたんだ」



P「ああ」



美嘉「莉嘉、ぐっすりだったね。ま、すっごく頑張ってたみたいだから仕方ないかなー」



P「実際、見せてもらった写真はすごく良かったからな」



莉嘉「ふふーん、そうでしょそうでしょー? 惚れ直した?」



P「ああ。惚れ直したよ」



莉嘉「やった!」



P「それじゃ、俺はこれで……」



美嘉「うん、そうだね。じゃあ、また――」



莉嘉「え、帰るの?」



P「え?」



美嘉「え?」



莉嘉「今日はPくんもご飯一緒かと思って、もうお母さんに『Pくんの分も作っておいて』って言っちゃったんだけど……」



P「……」



美嘉「……」



莉嘉「……ぴ、Pくん。……ダメ?」



P「……いや、ダメじゃないよ。うん、迷惑でなければ、お邪魔させてもらおうかな」



莉嘉「ほんとー!?」



P「ああ、本当だ」



莉嘉「それじゃ、アタシ、お母さんに言ってくるね! 言った通り、Pくんもご飯食べてくれるって!」



P「ああ、頼む」



莉嘉「お母さーん!」タッタッタッ



P「……」



美嘉「……」



P「ご飯、食べることになったよ」



美嘉「だね」



P「……なんか、締まらないな」



美嘉「んーん。これでいいんだよ。アタシたちは、これでいいの」



P「そうか……うん、そうだな」



美嘉「うん。だから、プロデューサー。ちょっと、付き合って」



P「付き合う? 何に……」



美嘉「……コホン。『おかえりなさい、Pさん』」



P「っ……『ただいま、美嘉』」



美嘉「……えへへ」



P「……ハァ」



美嘉「ありがと、プロデューサー」



P「こちらこそ」



オネエチャーン? ハイラナイノー?



美嘉「ちょっと待ってー! ……莉嘉、呼んでるね」



P「呼んでるな」



美嘉「それじゃ、入ってよ、プロデューサー」



P「ああ、お邪魔しま――」



グイッ――



美嘉「……」



P「……」



美嘉「おかえりの……ね?」



P「……美嘉」



美嘉「ふふっ、じゃあ、行こっか。莉嘉も待ってると思うし」



スタスタスタ



P「……」



P「……柔らかかった、な」





――



美嘉「遅くなってごめんね、莉嘉」



莉嘉「何をやって――お姉ちゃん、顔、赤いよ?」



美嘉「そ、そう?」



美嘉(……やっちゃった、な)



美嘉(ほっぺただけど……ああああああ! 今更だけど、恥ずかしくなってきたー!)



美嘉「うあー!」



莉嘉「……変なお姉ちゃん」







おわり





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