2015年06月09日

あやめ「お誕生日おめでとうございます!」仁美「ありがとう」

【モバマスSS】です



--------------------



――――22時30分、事務所





珠美「やはり葵ちゃんの料理は素晴らしい物でした、珠美はもう満足です……けふ」



葵「それは嬉しいっちゃ! でも今日は仁美さんの誕生日会なのに、なして珠美ちゃんが一番満足しとると?」



珠美「そ、そんなことは、ええと……ひ、仁美殿も美味しかったですよね!?」



仁美「もちろん。葵っち、心配しなくても葵っちの料理美味しかったっ!」



葵「えへへ、仁美さんにはいつもお世話になってるから、つい張り切っちゃったえ。……でも、少し残念っちゃ」



仁美「なにが?」



葵「あたしと珠美ちゃんがいるのに、あと1人一番大事な人がいないけんね……仁美さんは寂しくなかと?」



珠美「たしかに……珠美と葵ちゃんも入ることになったセンゴク☆華☆ランブですが、始まりはやはり仁美殿と

あやめ殿のセンゴク☆ランブからですものね」





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1433426141





仁美「確かに、あやめっちと組んでから色々あったもんなぁ。でも仕方ないよ、あやめっち今大事な仕事中だもん」



珠美「ドリームLIVEフェスティバルのメインかぁ……聞く所によると、開催期間中、毎日盛況の様子ですごいです」



仁美「あのちひろさんが嬉しそうな鼻歌を歌ってるのを見たくらいだから、相当なんだろうね」



葵「ちひろさんが!? ……一体どれくらいのお金が動いてるいることなのか、ちょっと怖いっちゃ」



仁美「ほんとにね……って、せっかくのアタシの誕生日にお金の話で盛り上がるのやめよ?」



葵「っと、ごめんっちゃ! だったら話戻すけど、仁美さん本当に寂しくなかと?」



仁美「うーん、こうやって珠美っちと葵っちにケーキと豪勢な食事用意してもらって、今日の間に芳乃っち含めた色んな

人からたくさんのプレゼントも貰ったし、そこまで寂しくないかな♪」



珠美「ああ、あの妙に膨れ上がった鞄ってそういうことなのですか」チラッ



仁美「そういうこと。それにプロデューサーが日付が変わると同時に電話で誕生日を祝ってくれたから嬉しかったな。

戦国時代に誕生日を祝う習慣がなかったってのが信じられないくらいにはね♪」



珠美「む、さすがはプロデューサー殿、珠美のタイミングでは完敗だったようです……」ションボリ





仁美「朝一番にお祝いしてくれた珠美っちも勿論嬉しかったって!」ナデナデ



珠美「ふぁ……! あ、あの、頭撫でるのは……やっぱり続けてください」



仁美「お、ならお言葉に甘えてっ!」ナデナデナデナデ



珠美「あわわわわわ」



葵「……あれ? でも今の仁美さんの話し方だと、もしかしてあやめさんからはまだお祝いされてないっちゃね?」



仁美「葵っち鋭い! 最近イベントの準備とかで忙しかったみたいだし、あやめっちと最後に会ったのも4日前だからね」



珠美「えぇ!? 仁美殿とあやめ殿がそんなに会ってないって嘘ですよね!?」



仁美「あのね珠美っち、アタシそんなにあやめっちと一緒にいる印象あるかな?」



珠美「あります!」



葵「あたしもあるっちゃ」



仁美「二人共即答!? そっか……でもアタシとしては、あやめっちと会ってなくてもそんなに気にならないんだよね」





珠美「な、なんと……! そ、それは、実は電話で会話するのすら嫌になるくらいお二人の仲が悪くなっているとか……?」ウルッ



仁美「え?」



珠美「そ、それとも仲がいいのはお仕事の間だけで、普段はお互いの顔も見もしないほど興味が無い間柄でしたとか……?」グスッ



仁美「ちょ、珠美っち?」



珠美「さ、最近ハマっている少女マンガで似たようなコンビを見ました! そのコンビは片方がいなくなって初めて、残された

ほうが相手の大切さを思い出していました……! だ、ダメです仁美殿! そんなことになっては!」ウワーン



葵「た、珠美ちゃん落ち着いて!」



仁美「そ、そうだよ! 心配しなくてもアタシとあやめっちは仲悪いわけじゃないからっ!」



珠美「……ほ、本当ですか……?」グスッ



仁美「ごめんね、言い方悪くて誤解させちゃったみたいで。けど、アタシはあやめっちのことすごく信じてるから、そこは安心して」



珠美「で、でも、だったらやはり長い間会えないのは寂しいのでは? 珠美なんか、皆と会えない日は心細くて……」



仁美「実の所アタシとあやめっち、お互いの誕生日は顔を合わせてお祝いするって決めててね。だから今日会えるって分かってる

以上そういうの気にならないんだ♪」





葵「はぇー……なんだかすごい話を聞いてしまったえ。しかし、今日はあと2時間もないけど、あやめさん間に合うかね……?」



珠美「ええっと、フェスティバルは埼玉県の大きなイベント会場での開催でしたか。車で戻ってこられるなら、途中の

道で事故や渋滞でも起きていなければ恐らくは……」



葵「なるほど……じゃあちょっとテレビでもかけてそういうことが起きてないか見てみるっちゃ」ピッ



珠美「さすがに今日偶然事故や渋滞が道路で重なるなんてことは」



テレビ『――続いて交通情報です。現在、首都高速中央環状線では複数のトラックの横転事故による通行止めが発生しております。

これにより他の路線でも大幅な渋滞が発生しており――』



葵「」



珠美「」



仁美「これはまた……」



珠美「……そ、そんな……いやでも、もしかしたらプロデューサー殿がこの道を使わずに帰ってきている可能性もあります!」



葵「そ、そうっちゃ! まだ今日中に間に合わないって決まったわけじゃ」



コンコン ガチャ



ちひろ「失礼します。あ、三人共いてくれてちょうど良かったわ」





仁美「あれ、ちひろさんどうしたんですか?」



ちひろ「さっきプロデューサーさんから連絡があって、今ちょうど渋滞の真ん中で捕まっているそうです。なので皆さんは

自分とあやめちゃんを待たずに寮とアパートにそれぞれ帰ってほしいとのことです」



葵「」



珠美「」



仁美「この感じだと、急いで戻ろうとして選んだ道が裏目に出たって所かな」



ちひろ「恐らくは。では私は伝言を伝えましたので、これで」ペコリ スタスタ



葵「……」



珠美「……」



仁美「仕方ない、ちひろさんに言われたとおり片付けして帰ろっか二人共!」





珠美「ひ、仁美殿! 仁美殿はそれでよいのですか!?」



仁美「そりゃプロデューサーとあやめっちも一緒に葵ちゃんのこの美味しい料理とか食べられないのは残念だけど、二人共

仕事があった結果だからねー」



葵「そ、そうじゃなくて! このままじゃ仁美さん、誕生日にあやめさんと会えないとね!」



仁美「え、そっち? あー、あやめっちのことなら大丈夫だって☆」



珠美「しかし、今ちひろさんからプロデューサー殿が渋滞に捕まったと……」



仁美「それならそれで、なんとかするよあやめっちは。プロデューサーが連絡してきたってことは、アパートで待ってろって

ことだと思うし」



珠美「で、ですが車が渋滞に捕まった状態でどうやって間に合うんですか! 今日はもう残り少ないんですよ!」



仁美「アタシの知ってるあやめっちは絶対に約束を破ったりしないからね。それに」



葵「それに……?」



仁美「あやめっちは忍ドル! だから間に合うって、絶対にっ!」





――――23時20分、車内



ラジオ『――現在渋滞は解消されつつありますが、依然として以下の路線では――』ザリザリ



モバP「ホントに解消されつつあるのかよ……前も後ろも車ばっかだぞ」



あやめ「やはりこのまま車にいたのでは、今日中に仁美殿と会うのは難しそうですか……」



モバP「ああ、希望的に見積もってもアウトってところだろうな。もう少し早くイベント会場を出れたら良かったんだが」



あやめ「ファンの方々があんなに楽しそうにしていてくださったのですから、良いではないですか」



モバP「それはそうなんだが……なぁ、やっぱり会うのは明日にして、仁美に携帯でお祝いしてやったらどうだ?」



あやめ「だめです、仁美殿との約束は破れません。それに、渡したい物もありますし」



モバP「あー、あやめのお祖父さんの実家から送ってもらってたやつか? そんなに手渡ししないとダメなのか」



あやめ「はい、かなり大切なものですから。……しかし、本当に埒が明きませんねこのままでは」パチッ





モバP「こうも動かないんじゃな……って、なにドアのロック解除してんだ?」



あやめ「いえ、ここからは走って仁美殿のアパートに向かおうかと思いまして」



モバP「は……? いやおいおい! 何考えてやがる、今やっと東池袋が見えてきた辺りだぞ! ここから仁美のアパートまで

車でも結構な時間がかかるってのに!」



あやめ「ですが、わたくしの足でしたら」



モバP「分かってるよ! だがかなりの距離を走るんだ、その疲労が明日に残らないという確証はあるのか?」



あやめ「そ、それは……」



モバP「せっかく久しぶりの大きなイベントでメインを張れて、しかもあやめが分身術を使えば済んだ演出をちひろさんから

許可が得られないから、代わりにちひろさんがどっかの世界から持ってきたソリッドビジョンなんてのを使ってまでやって!」



モバP「それでこんなに盛り上がってるイベントに、あやめ自身が穴を開けるようなことにならないかが俺は心配なんだ……」



あやめ「プロデューサー殿……」



モバP「あやめと仁美の約束も分かる。だがな、プロデューサーとしてアイドルの身体に悪影響が出ることをさせないのも

仕事の一つなんだ。分かってくれ」





あやめ「……プロデューサー殿の言い分は分かっております。ですが、わたくしの主よ」



モバP「……なんだ」



あやめ「プロデューサー殿が主でありますが、仁美殿は同じくらい大切な方なのです」



モバP「俺が主なら、仁美は姫ってか? ……あやめなら言いそうだな」



あやめ「その通りです。故に、仁美殿との約束は……」



モバP「……ああもう分かったよ! その代わり約束しろ! この件でどれだけ疲労が残ろうが、明日の夕方からまたやる

イベントではその疲れを絶対見せるな! いいな!」



あやめ「ぷ、プロデューサー殿!」



モバP「この約束破ったらあやめとの主従関係解消するからな!? 分かったらさっさと行け!」



あやめ「しかと心得ております! それでは、プロデューサー殿、行ってまいります! ニンッ!」ガチャ ヒュン



モバP「……ホントに行っちまいがった。しかもビルとビルを飛び越えてもう見えないし……はえーなぁ。俺はというと」チラチラ



モバP(車ばっかだなやっぱり。はぁ、まったくツイてない、寝れるのは朝方になりそうだ。……暇だし、しばらくしたら、仁美に

連絡いれといてやるか……)





――――23時45分、仁美の住むアパート



仁美(さっきプロデューサーから連絡があって、あやめっちが今こっちに走って向かってきてるらしい)チラッ



仁美(けど時計を何度見返しても今日の残りは十数分……か)ゴロン



仁美(イベントで疲れてるだろうに、無理させちゃったかなぁ。やっぱりアタシとの約束は無視していいから今日は休んでって

今からでも連絡入れるべきかな)



仁美(きっとあやめっちは間に合うように頑張ってくれてる。多分このままなにも連絡しなきゃ必ず間に合ってくれる)



仁美(でもそのせいでせっかくのあやめっちのイベントに支障が出たりしたらどうしよう……でも)グルグル



仁美(アイドルに二言はないけど、あやめっちのことを考えると……だけどやっぱり……)グルグル





仁美(ふぅ……珠美っちと葵っちにあんな風に言ったのに意外と女々しいなあアタシ。――よし決めた!)バッ



仁美(もうすぐ時計の針が23時50分を指す。それまでにあやめっちが来なければ携帯に連絡して会うのは今度にしてもらおう!)



仁美(遅すぎるかもしれないけど、それでもここに来るよりかは疲れが減って、きっと――)



トントン



仁美「んっ? ……気のせいかな」



トントントン



仁美「……やっぱりカーテンの向こうから窓を叩く音がする……まさか!?」シャー



あやめ「……ど、どうも仁美殿……お、遅れて申し訳ありません」ゼェゼェ





仁美「やっぱりあやめっちー!? ま、間に合った! 間に合ったんだ……!」



あやめ「はい……! あ、あの、すみませんが、ここを開けてもらえませんか……?」ゼェゼェ



仁美「あ、ご、ごめんっ! 今開けるね!」ガチャ カラカラ



あやめ「あ、ありがとうござ――ゲホッ……! し、失礼、呼吸が辛くて……し、深呼吸してもよいですか?」ゼェゼェ



仁美「う、うん好きなだけしていいよ!」



あやめ「で、では――スゥーッ……ハァーッ! スゥーッ……ハァーッ! ……ありがとうございます、落ち着きました」



仁美「……それにしても、なんでベランダから?」





あやめ「いえ、本当は玄関から参るつもりでしたが、もう残り時間やわたくしの状態から考えて、ベランダから入らせてもらう

ほうが時間の短縮になるかと考えまして。……やはり迷惑でしたよね、申し訳――」



仁美「迷惑なわけないよっ! むしろアパートの3階のベランダに直接来れる人間なんてあやめっちだけだろうし……」



あやめ「そ、そんなことはありません。最近の泥棒はこの高さまで普通に登ってくるようですし、もっと危機感を持ってください」



仁美「そうなんだ……って、それはどうでもいいや」



あやめ「どうでもよくは」



仁美「なにかあったら助けてくれるでしょ? それよりも、他にいうことがあるのではないかなあやめっち?」



あやめ「あ、す、すみません! ――コホンッ! では改めて。仁美殿、お誕生日おめでとうございます!」



仁美「うん、ありがとうあやめっち!」





カチッ ピピッ



仁美「あ、0時か……いやー、紙一重ってところだったね。慶次もびっくりの緊迫感だった♪」



あやめ「うぅ……プレゼントを仁美殿の誕生日の間に渡せませんでした……あやめ一生の不覚です」



仁美「でも、お互い会ってお祝いするって約束は守ったんだから、やっぱりあやめっちはすごいよ。間に合うって信じてたけど、

それでも実際どうやって間に合わせたの?」



あやめ「建物の屋上や壁面を使い、考えられる限りの最短コースを突き進んできました。……まぁ、わたくしのことは良いのです。

それよりも仁美殿に渡すものが」



仁美「はーい、待ってました〜!」



あやめ「わたくしの仁美殿への誕生日プレゼントは……これです!」スッ



仁美「……細長い箱?」





あやめ「開けてみてください」



仁美「う、うん……」パカッ



仁美「――…………綺麗……それに、宝石が加賀梅鉢のデザインになっててカッコイイ……なんだかすごい高そうなペンダント

なんだけど、いいの?」



あやめ「もちろんです! そのペンダントについておりますは、わたくしの祖父の実家があります隠れ里に代々伝わっていた宝玉の

一部でして」



仁美「なんかすごい物もらった!? ほんとにいいの……?」



あやめ「はい! それは欠片であっても身につけた者への邪気を祓い魔を打ち破り、握って強く念じれば、念じた相手に想いを

届けられるという言い伝えがあります。お世話になっている仁美殿へのプレゼントを考えたらこれしかなくて……」



仁美「そ、そんなすごい物貰っちゃうなんて……嬉しいな……あやめっち、着けてみていい?」



あやめ「どうぞ、それはもう仁美殿の物ですから!」





仁美「よし、では早速」ゴソゴソ



仁美「……に、似合うかな?」



あやめ「はい、とてもお似合いです! 良かった……気に入っていただけなければどうしようかと」



仁美「アタシがあやめっちから貰うものを気に入らないわけないって☆ けど、本当にありがとうっ!」



あやめ「お礼を言われるほどではありません、仁美殿へのお祝いなのですから。――さて、お祝いの言葉も述べられて、

ペンダントも渡せましたし、わたくしはここで失礼させていただきます」



仁美「えっ!? もう帰っちゃうの? まだいてもいいって、それにあやめっち疲れてるでしょ? 泊まっていったほうが

休む時間増えると思う!」



あやめ「そ、そんな、ただえさえ日付の変わる時間に来て迷惑されているでしょうし、これ以上は……っ」フラッ



仁美「ほらやっぱりフラフラしてる!」ダキッ





あやめ「も、申し訳ありません! すぐに帰りますから!」バッ!



仁美「駄目だって、これだと明日のイベントにも影響でるかも……そうするとプロデューサーに怒られるんでしょ?」グイッ



あやめ「そ、それは……はい」



仁美「それにさっきも言ったけど、迷惑じゃないんだって。あやめっちに頼られたりしたらむしろ嬉しいし♪」



あやめ「仁美殿……」



仁美「そもそもアタシのほうが年上なんだからちょっとくらい甘えていいの! いや、甘えてよねっ!」



あやめ「ふふっ……まったく、仁美殿には敵いません……では、お言葉に……甘えて…………少しだけ…………眠らせて――」フラッ



仁美「おっと! ……あやめっち?」ギュッ



あやめ「スゥ……スゥ……」





仁美「もう寝ちゃってる……よっぽど疲れてたみたい……もう、それなに帰ろうとするなんて無茶しすぎ」



あやめ「スゥ……スゥ……」



仁美(……まあでも、いっか。とりあえず、このまま抱いた状態だと駄目だから――よいしょっと)ソッ



仁美(コレでよし! あやめっちはベッドだから、アタシは床でいいか)



あやめ「スゥ……ひと……み、どの……すみま――……」



仁美「寝言まで謝らなくていいのに……まったく律儀なんだから」ナデナデ



仁美(けど、ありがとうあやめっち。これからも、よろしくね)



〈終〉





08:30│浜口あやめ 
相互RSS
Twitter
更新情報をつぶやきます。
記事検索
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計: