2015年06月11日

モバP「俺の妹がこんなにファザコンなわけがない」

とある夏の日の朝





P「妹を起こしにきた」ガチャ





P「おい、朝だぞ。起きろ梨沙」



梨沙「……うーん、むにゃむにゃ」



P「これは声をかけただけじゃ起きそうもないな」



P「何か刺激を与えて強引に目を覚まさせる必要がある」



P「………」



P「ぶっかけるか」





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1433762234



P「冷や水でもぶっかければいい刺激になるだろう」



P「朝から気温高いし、体を冷やす意味でもちょうどいいな」



P「よし、そうと決まれば下からバケツを」





梨沙「もう起きてるんだけど」



P「………」



P「下からバケツを」



梨沙「起きてるって言ってんでしょうが! 無理やりぶっかける方向に持って行こうとしないでよ!」



P「なんで起きてるんだよ……」



梨沙「起きろって言われて起きたのに、なんでがっかりされなきゃいけないのかしら」



P「パッションの貴重なツッコミ担当として、その技量を磨いてほしいという俺の親心、もとい兄心だな」



梨沙「バカ兄貴はアタシをバラドルにでもするつもり?」



P「もう半分なりかけてるような気がしないでもないが」



梨沙「まったく……というか、まだ外暗いじゃない。なんでこんな時間に起こすのよ」



P「今日は朝一で仕事が入ってるから、早起きしろって昨日言っただろ?」



梨沙「あー……うん、聞いた。寝起きですっかり忘れてた」



P「思い出したなら、そこそこ急いで出かける準備してくれ。俺は下に降りてるから」



梨沙「はーい」



的場梨沙、12歳。



小学生ながらアイドル活動に励んでいるその少女は、何を隠そう俺の妹である。



そして俺は、そんな梨沙の担当プロデューサーという肩書きを持っているのだ。



理由? そりゃあお前、かわいい妹に悪い虫がつかないよう守るためだよ。



時間は進み、お昼





P「お疲れ様。朝からよく頑張ったな」



梨沙「ま、アタシならこのくらいやってのけて当然よ。パパにもちゃんと、アタシが頑張ったって報告しといてよね」



P「俺が言わなくても、お前自分で言うだろ」



梨沙「アタシが言うよりも、プロデューサーであるアンタが言った方がポイント高いのよ。わかるでしょ?」



P「わからなくはないな」



梨沙「ふふ、今からパパに褒められて頭撫でられるのが楽しみだわ♪」



P「頭なら、俺がいくらでも撫でてやるぞ」



梨沙「バカ兄貴のはいらない」



P「しょぼーん」



梨沙「うわ、マジでへこんでる」



P「親父より兄ちゃんのほうがかっこよくないか?」



梨沙「全然」



P「そうか……まあいい。それで、これからどうする? まっすぐ家に帰るか?」



梨沙「アンタはどうするの?」



P「俺は、片付けなきゃいけない仕事があるから事務所に行くつもりだけど」



梨沙「じゃあアタシも一緒に行く。誰か他の子がいるかもしれないし」



事務所にて





P「ふう」



ちひろ「お疲れみたいですね。プロデューサーさん」



P「ちひろさん。いやあ、やっぱりパソコンと向き合ってると精神的に参るというか」



ちひろ「そんなあなたにこのスタドリです。今ならお安くしておきますよ?」



P「無料じゃないんですか」



ちひろ「実家暮らしなんですし、お金に余裕はありますよね?」



P「まあ、それはそうなんですけど。でも俺はスタドリに頼らずとも、かわいい妹の応援の声ひとつでいくらでも頑張れますから」キリッ



P「というわけで梨沙。お兄ちゃんに声援を――」



ちひろ「……梨沙ちゃん、部屋にいませんけど」



P「あれ?」



楓「梨沙ちゃんなら、さっき莉嘉ちゃんと一緒に廊下を歩いていましたよ?」



P「なっ、いつの間に」ガーン



ちひろ「ああ、プロデューサーさんがしなしなに」



楓「かわりに私が応援してあげます。がんばれ♪がんばれ♪」



P「ありがとうございます……」



楓「……うーん、効果が薄いみたいです。好感度が足りないからかも……ちょっと残念です」



ちひろ「美人に応援されてるというのにこの反応。シスコンですねー」



同時刻、屋上





莉嘉「家だとPくんってどんな感じなの?」



梨沙「別に事務所にいる時と変わらないわよ。やることはやるけど、シスコンでバカっぽい」



莉嘉「ふーん、そうなんだ。裏表がないって感じ?」



梨沙「そーねー……はあ、もうちょっと妹離れしてくれないかしら」



莉嘉「アタシはお姉ちゃんと仲良しなのがうれしいけど、梨沙ちゃんはそうじゃないの?」



梨沙「姉と兄じゃいろいろと違うし。それに、アンタのお姉ちゃんはうちのバカ兄ほど過保護じゃないでしょ」



莉嘉「そうかな?」



梨沙「そうなの」



莉嘉「そうなんだ」



莉嘉「でもさー。他の人がするよりは、Pくんがプロデューサーでよかったって思わない?」



梨沙「それは……まあ、うん。仕事はできるし、他の男よりはキモくないし」



梨沙「昔から一緒にいるぶん、アタシのことはよくわかってるみたいだし……」



莉嘉「あれあれ? 梨沙ちゃん顔赤いよ?」



梨沙「あ、赤くなんてなってないわよ!」



莉嘉「そんなこと言って、ほんとはPくんのこと好きなんでしょ」



梨沙「違うってば! 嫌い……ではないけど、好きでもないから!」



莉嘉「アタシもお姉ちゃんのこと大好きだし、わかるよその気持ち☆」



梨沙「勝手に話を進めるな〜!」



莉嘉「そういえば、そろそろPくんの誕生日だよね」



梨沙「そうだけど、莉嘉知ってるんだ」



莉嘉「結構みんな知ってるよ? アタシもプレゼント用意しよーっと」



梨沙「プレゼントかあ。一応毎年あげてるから、そろそろネタ切れなのよねー」



莉嘉「あー、わかるわかる! アタシもお姉ちゃんにプレゼントあげる時すっごい悩むもん!」



梨沙「もう今年はテキトーに商品券でいいかしら」



莉嘉「さすがにそれはテキトーすぎっ。ちゃんと考えてあげないとPくん拗ねちゃうよ?」



梨沙「簡単に想像できるのがなんとも言えないわね」



莉嘉「楓さんなんて、相当張り切ってたよ?」



梨沙「楓さんが? なんで」



莉嘉「わかんないけど……ひょっとして、Pくんのことが好きなのかも!」



梨沙「はあっ!? あんな美人がなんでバカ兄貴のこと」



莉嘉「でも、あの二人一緒にいる時多いし」



梨沙「……言われてみれば」



莉嘉「ひょっとしたらひょっとするんじゃ! これは梨沙ちゃん、プレゼント選び頑張らないとPくんとられちゃうよ!」



梨沙「いや、それは別に関係ないでしょ……だいたいとられるって何よ。むしろ彼女でもできたほうがシスコンじゃなくなってうれしいわよ」



莉嘉「ほんとに〜?」



梨沙「本当よ」





梨沙「……たぶん」ボソッ



梨沙「………」



P「どうした。ジロジロこっち見て」



梨沙「……アンタ、楓さんと仲いいわよね」



P「楓さん? ああ、まあな。なんか波長が合うというか、話しやすいんだ」



梨沙「ふうん」



P「それがどうかしたか」



梨沙「べっつに。なんでもない」



P「でも怪訝な顔してるし」



梨沙「なんでもないってば!」



P「あ、おい。いきなり走り出すと危な――」



梨沙「あいたっ」ドテッ



P「言わんこっちゃない」



梨沙「うう……足ひねった」



P「歩けるか?」



梨沙「ちょっと痛い……」



P「そうか。なら」ドッコイショ



梨沙「きゃっ!? ちょ、なにしてるのよ!」



P「おんぶしてやろうと思って。家までそこそこ距離あるし、その足で歩くのはしんどいだろ」



梨沙「こ、子どもじゃないんだからおんぶなんて」



P「まだ子どもだろ? ほら」



梨沙「……しょ、しょうがないわね。そこまで言うなら、おんぶさせてあげる」



P「はいはい。ありがとうございます」



P「お前を背負うのなんて、何年振りだろうな」テクテク



梨沙「………」



P「昔はよく、こうしておんぶしてやったもんだ。そのたびにお前が喜んでなあ」



梨沙「……今はもう、そんな年じゃないし」



P「はは、そりゃそうだ。でも、たまにはお兄ちゃんの背中に乗るのも悪くないだろ」



梨沙「……まあ、そこそこ。そこそこ、いいかも」プイ



P「それはよかった」



梨沙「でも、昔より視点が高くない気がする。アンタ、背縮んだ?」



P「縮んではないと思うぞ。多分だけど、視点が高くないんじゃなくて、普段の視点とのギャップが小さくなったんだ」



P「それだけ、梨沙が大きくなったってことだな」



梨沙「そっか。大きくなったんだ、アタシ」



P「これからもっと大きくなるさ」



梨沙「そうね」



梨沙「……あのさ」



P「ん?」





梨沙「その……おんぶしてくれて、ありがと。お兄ちゃん」



P「おう。どういたしまして」



数日後の朝





梨沙「はい」



P「ん? なんだこの包装」



梨沙「今日、アンタの誕生日でしょ。だからプレゼント」



P「ああ、そういえば今日だったか。わざわざありがとうな」



梨沙「別に。一応、いつも面倒見てもらってるわけだし」



P「開けてもいいか?」ガサガサ



梨沙「うん……って答える前から開けてるし!?」



P「愛する妹からの贈り物だと思うと手が勝手に」



P「これは……いい色のネクタイじゃないか」



梨沙「ふふん、アタシのセンスに感謝することね」



P「高かったんじゃないのか、これ」



梨沙「ちょこっと奮発したのよ。プロデューサーがくたびれたネクタイしてたら、隣にいるアタシの評判まで落ちるかもしれないし」



P「なるほど、そういう理由か。なんにせよ、本当にありがとう。うれしいよ」



梨沙「というわけで、アタシの誕生日の時にはきちんとお返しすること! いいわね」



P「もちろん」



梨沙「よし。それじゃ早速事務所に行くわよ!」



P「なんか今日は元気いいな。いいことでもあったのか」



梨沙「なんでもないわよ。ふふっ」



P「?」



梨沙「ほら、早くいくわよバカ兄貴」



P「この前みたいにお兄ちゃんって呼んでくれないのか?」



梨沙「気が向いたらね!」





おわり





21:30│的場梨沙 
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