2014年02月12日

小鳥「パレード」

ガチャ

P「お疲れさまですっと」

小鳥「お疲れさまです」


P「音無さん?まだ居たんですね?」

小鳥「なんですかー?私が居たらまずかったですか?」

P「あ、いや!そんなこと…」

小鳥「今日はプロデューサーさんの記念日ですからね」

P「記念日…そうですね」

小鳥「今日からは名実共に一流プロデューサーですよ!おめでとうございます」

P「ありがとうございます」

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小鳥「良く頑張りました!二人きりですけど…祝杯あげましょ?」ガサッ

P「ありがたいっすね!是非とも」

小鳥「プロデューサーさんビールで良いですよね?」

P「焼酎に日本酒…ワインまで!?どんだけ飲む気ですか!」

小鳥「良いじゃないですか!せっかくの記念日ですよ!記念日っ!」

P「ははっ…そうっすね!二人きりでジャンジャンやりましょうか」

小鳥「そうですよ!ジャンジャン!はい」

P「いただきます」プシュッ

小鳥「じゃあ、私もビールで」プシュッ

P・小鳥「「乾杯っ!」」
ゴクッゴクッ

P「プハァ〜!ききますねぇ」

小鳥「なんかおじさん臭いですね…」

P「ほっといてくださいよ!」

小鳥「酒の肴もひととおり揃ってますけど…まずは!やっぱり最後のSランクアイドル萩原雪歩ちゃんのプロデュースを終えての感想を肴にしましょうよ」

P「感想ですか?…そうだなぁ」

小鳥「順当にアイドルのみんなをトップに押し上げて来たじゃないですか?でも、客観的に見たら雪歩ちゃんの時のプロデューサーさんは神掛かってたと言うか…」

P「そうですか?まぁ、気合いは入りました」
P「雪歩はテンションの維持が大変でしたから…スイッチの入れ方がちょっと違ったかな?」

小鳥「ほうほう」

P「もちろん、ほかの奴らの時に手を抜いてた訳ではなくてベクトルの持って行き方が違ったんですね」

小鳥「美希ちゃんの時もちょっと違う感じがしましたけど」

P「そうですね!俺自身のポテンシャルは美希の時と近かったかも」

小鳥「美希ちゃんの時は苦労してましたもんね?」

P「そうですね…なまじ美希のポテンシャルが高いだけに如何様にも出来たから…」

小鳥「それでも良く導いたと思いますよ?」
P「美希が一番輝く形を模索した結果、やっぱり千早とは違う形の…アイドルとは一線をかくす歌姫と言う最終型にもっていけたんですね」

小鳥「雪歩ちゃんの場合は?」

P「雪歩の場合、一貫した目標を持たせた方が良い!雪歩が身1つでホームグラウンドに変えれるほど自信が持てる何かを作ってあげた方が良い!と思って」

小鳥「雪歩ちゃんのアイドルの形は完成形ですよね!」

P「雪歩は言わば松田〇子の様な高みのアイドルって感じかな?」

小鳥「春香ちゃんの時もあくまでもアイドルの形にこだわってましたよね?」
P「その前にもう一本」

小鳥「ピッチ早いですねぇ?良いですよ!ジャンジャンいきましょう」

P「アハハ…酔えない感じがして」

小鳥「……それで、春香ちゃんの場合は?」

P「アイツは最初から『アイドルになりたいんです!』って来たじゃないですか?」

小鳥「そうですね!今もハッキリ覚えてますよ」

P「その時に、ふと俺の理想のアイドル像みたいなものが出来上がって」

小鳥「理想の?雪歩ちゃんの感じとは違うんですか?」

P「ちょっと違うかな?雪歩は『憧れ』って感じ」
P「ほら、昔のアイドル像で言うと雪歩はトイレに行かないオナラもしない…」

小鳥「なるほど!確かに私の子供の頃のアイドルはそんな感じです」

P「逆に春香はもっと近くて親しみやすいアイドル…言うなれば近代的なアイドル像かな」

P「まぁ、あくまでも俺の好みと言うか」

小鳥「アイドルと言う1つの形でも方向性で大分変わりますね」

P春香はたんぽぽ、雪歩は白百合ってイメージしてましたからそのイメージがそのままアイドル像につながりましたね」

小鳥「たんぽぽの花言葉は明朗な歌声、白百合の花言葉は純潔でしたっけ?確かに二人にピッタリです」
小鳥「プロデューサーさんは凄いですねぇ…」

P「アイツらの真っ直ぐな目を見てると『やんなきゃ!』って思ったから頑張っただけですよ」

小鳥「……無理もいっぱいしたでしょ?」

P「無理なんてしてないですよ」

小鳥「だって…前より大分痩せましたよね?」

P「そんなはずはないですよ?変わるわけないですもん」

小鳥「……そうですか」

P「ワイン開けません?これくらいじゃ全然酔えないです!」

小鳥「そ、そうですね!」
P「ん!このワイン飲み易いですね」

小鳥「そうですか?ちょっと辛口な気が…」

P「そうかなぁ?酒の味もわかんなくなったんですかねアハハ」

小鳥「……プロデューサーさん、楽しかったですか?辛いこととか苦しいこととかばっかりじゃありませんでした?」

P「楽しい事ばっかりでしたよ?確かにちょっとしんどい時もありました…だけど、今になって思えばそれすらも楽しかった」

小鳥「本当ですか?」

P「本当ですよ!フェス終わりで行った社員旅行なんかとくに楽しかったなぁ」
小鳥「真ちゃんと響ちゃんのSランクアップ記念も兼ねて行った旅行ですね?」

P「そうそう!あずささんが予想通りに迷子になって奇跡的に旅行地の沖縄についてたり」

小鳥「亜美ちゃんと真美ちゃんがイタズラしてシーサー壊しちゃったり」

P「あれには血の気が引けましたね…」

小鳥「響ちゃんのご実家にもお邪魔しましたね」

P「大所帯なのに良くしていただいて…もう一回くらいお礼の品物送れば良かったなぁ」

小鳥「海にも行きましたね」

P「千早が妙に拒んでましたけどね?…なんでなんだろ」

小鳥「ノーコメントで」
P「楽しかったなぁ…あと一回くらい社員旅行に行ければ良かったんだけど…」

小鳥「……いきましょうよ」

P「さすがにもう無理かな?こんなにいっぱい楽しい思いをしたんだから贅沢は言えないしね…」

小鳥「……いやですよ?私は、またみんなで行きたいです」

P「アハハ…律子が目を回しちゃいますよ?アイツ一人じゃ大変ですって」

小鳥「プロデューサーさんも!」

P「そういえば律子のアイドル復帰の時もアイツ大変そうだったなぁ…」

小鳥「……いけず」
P「アハハ……俺のワガママで律子には迷惑かけたな」

小鳥「でも、感謝してましたよ」

P「だったら救われますね…律子にはアイドルとしてちゃんと天辺とってからプロデュース業に専念して欲しかったから…」

小鳥「律子さんもちゃんとケジメつけたいって前に言ってました…だからプロデューサーさんのその情熱は間違いじゃないです」

P「ありがとうございます」

小鳥「……いえ」

P「そこまで言ってもらえたなら間違いじゃなかったんだなって救われます…音無さんにはいつも助けられますね」
小鳥「……私なんて何にもしてあげられてないですよ」

P「いや、音無さんの支えがあったからですよ!俺一人じゃどうにも出来なかった場面がいくつもありましたもん!今回だって…」

小鳥「……言わないでくださいよ」

P「今回は本当にすいませんでした…としか言い様がないですね…迷惑もかけたし」

小鳥「……やめてくださいよ」

P「音無さんだけじゃなくて…社長やみんな、961プロの黒井社長まで…本当、謝罪と感謝しかないですね…贅沢のし過ぎですよね」

小鳥「……それくらい贅沢だなんて言いませんよ」
……… 半年前 ………

小鳥『社長!プロデューサーさんは!?』

社長『音無くん…今、緊急オペをしているところだよ』

小鳥『助かるんですよね!?』

社長『まだ…わからない…頭部に強い衝撃を受けているらしいんだ…運が良ければ回復するが植物状態になる可能性が高いらしい…』

小鳥『そんな…』

社長『事務所の方はどうかな?』

小鳥『律子さんがなんとかみんなをなだめてますけど…彼女も相当ショックを受けてます…』

社長『君もずいぶん顔色が悪い…ロビーで待っていた方が良い』
ウィーン

社長『先生…彼の容態は…』

医者『十中八九、遷延性意識障害…植物状態になるでしょう』

小鳥『そんな!どうにかならないんですか!?』

医者『普通、植物状態を判断するのに半年から1年の治療・経過を見るのですが…彼の場合、生命維持に必要な脳部分以外のほとんどがダメージを受けています…脳死にならなかったのが奇跡的と言って良いくらいです』

小鳥『…そんな…そんなのって…』グスッグスッ

社長『回復する見込みは…』

医者『植物状態であれば見込みはありますが…』

社長『では、その見込みを信じて治療を続けてください!彼はわが社に不可欠な人材なんだ!』

医者『善処はします…』
社長『音無くん…今日はもう良いから帰りたまえ…秋月くんには私から言っとくから』

小鳥『いやです…私はプロデューサーさんの傍にいます!』ポロポロ

社長『……わかった。じゃあ、私は一回事務所に行って直接秋月くんに説明してくる』

小鳥『……はい』グスッ

社長『音無くん…回復の見込みがまるで無い訳じゃない…気をしっかり持つんだ…』

小鳥『……はい』グスン

社長『私も人の事を言えたたちじゃないな…今すぐにでも彼を轢いた車の運転手を見つけ出して同じ目に合わせたい衝動でどうにかなりそうだよ』
P『そして、この超常現象も長く続かないでしょう…』

小鳥『…………』

P『本当の終わりを迎えるまで1年…いや、半年ないくらいですかね…それだけの間で良いから手を貸してもらえませんか?』

小鳥『なんで私なんですか?社長がいるじゃないですか…』

P『社長は俺のもう1人の親父みたいな人ですから…多分、止めるでしょう…だから黒井社長に頼んで遠ざけてもらうようにお願いしました』

小鳥『アイドル達にはどう説明するんですか!?』

P『他言無用でお願いします。にわかには信じないでしょうけど、それでもポテンシャルに多少関わってくるでしょうから』
小鳥『なんで…なんでそこまでして…私にはわかりません…』

P『なんか、夢半ばで終わるのって気持ち悪いじゃないですか!』

小鳥『……え?』

P『いつかは、祭りの後の様に嫌になるくらい静かな時が来るんですよね…夢半ばでやりきれないまま…誰もいない、何もないそんな風な日々が来るんですよ?中途半端な夢の終わりでそんな日々に耐えられるとは思えないから…』

小鳥『でも、貴方は…』

P『最後の意地ですよ…こんな死体くずれの身勝手に付き合わせる事については本当に申し訳ないと思ってます…だけど、最後のお願い訊いてもらえませんか?』
小鳥『こうまでなって貴方がプロデュースを続けようとしている事にも理解しきれてない自分がいます…だけど、私がほんの少しでも貴方の役に立てると言うのなら…手伝わせてください』

P『ありがとう!音無さん、本当にありがとう!』

小鳥『……手、冷たいですね』

P『既に死んでますからね…アハハ』

小鳥『どうしてだろ…あんなに泣いてたのに…涙が出ません』

P『混乱してるんですかね?…とにかく、時間がありません!事務所に行きましょう』

小鳥『あ、ハイ(1年…半年…出来る限りこの最後の夢の様な日々を大事にしなきゃ)』
P「きっちり半年…そろそろ時間ですかね」

小鳥「……分かるんですね」

P「少しずつ…感覚が遠くなる様な…喧騒が静まってく様な…」

小鳥「……なにか、なにかやり残した事はありませんか!?みんなに伝えたい事は?」

P「んー…あ!とりあえず亜美真美にイタズラはほどほどにと」

小鳥「ハイ」

P「あと、やよいに大変な時は遠慮せずに誰かに相談するようにと」

小鳥「ハイ」

P「伊織は、時には素直に…美希はしゃっきりするように…貴音にはラーメン食べ過ぎるなよと」

小鳥「ハイ」
P「あずささんには…方向音痴は仕方ないのでゆっくり直しましょうと」

小鳥「ハイ」

P「響にはハム蔵を逃がさないようにな?と…真にはお前はちゃんとカワイイから無理はするなよと」

小鳥「……ハイ」

P「雪歩には自信持って!それだけの武器はちゃんと備わってると…千早には好き嫌いせず仕事はちゃんとこなすんだぞ」

P「律子にはみんなをよろしく…ただ、無理はしないように…春香には笑顔を絶やさないよう自分らしくと…これで全部かな…」

小鳥「……ちゃんと、伝えておきますね?」
P「音無さん…貴方には本当に感謝してもしきれません…」

小鳥「私こそ…最後の最後まで貴方の力になれたか分からないけれど…手助け出来た事を誇りに思います」

P「力になりました…と言うか、貴方が傍にいるだけで力になるんです…今さらこういうのは卑怯ですけど俺は音無さんに惹かれてたんですよね…」

小鳥「……本当、卑怯ですね」

P「すいません…アハハ。だから、無理にでも貴方に手助けして欲しかった…それも、もう終わりです」

『さようなら みなさま』

『ありがとう みなさま』
 それっきり、呼びかけても返る声はなかった。

 私の隣には、正真正銘の彼の亡骸が、とても穏やかな笑みを浮かべて佇んでいた。

 いつか、彼が言った様な日々が訪れたんだ。彼にも、そして私にも。

 朝陽が、事務所の窓から射し込む。彼が天に昇っていく様な光を追いかけて私は、窓を開けた。

 冷たい風が、私意外に誰もいない事務所吹き込む。

小鳥「プロデューサーさん、さようなら」

 風に舞った言葉は、彼が居る場所に届いただろうか。

 ひっそりと夢を見てた。そんな時も終わり、ただ静かな日々を私は過ごして行くのだろう。

小鳥「いつか、私がプロデューサーさんの所に行ってノックしたらちゃんと応えてくれますか?」


おわり
駄文ほんとに失礼しました。鬱話を書きたくて勢いで書き始めたんですけどね…。

ちなみにタイトルのパレードはSyrup16gの曲から借りました。

限界を感じて終わらせましたが、お付き合いくださった方ありがとうございました。

23:30│音無小鳥 
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