2015年07月14日

本田未央「夏祭りが大好きだった」

モバマスssです

長めの予定です



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1434637001



子供の頃、夏祭りが大好きだった



何故かって、お父さんに好きなものを3つまで買ってもらえたから

その3つをどれにするか色々な場所を回って決めるのが、まるで宝探しみたいで好きだったんだよねー…

懐かしいなぁ



モバP「どうした、未央。ぼぉっと空を眺めて考え事か?」



未央「!い、いやーこの私にも頭を空っぽにして空を眺めたくなる時があるんだよ、えへへ♪」



気づくと私はたいしたことのない嘘をついていた。とりあえず何故かどんなことを思い出していたのか言いたくはなかったんだ



凛「どうしたの、未央らしくないけど」



卯月「未央ちゃん大丈夫?レッスン上がりだから疲れてるのかな?」



未央「大丈夫だよしまむーしぶりん♪それに、そんなこと言ったら2人とも久しぶりのオフじゃない?良かったの?祭りなんて来ちゃって余計疲れない?」



話題をしぶりんしまむーの方に移す、最近は2人とも仕事が増えてきたようでわたくしもとてもご満悦です



凛「まぁ久しぶりに三人で集まれたわけだしね、全然構わないよ。寧ろ楽しみにしてたくらいだし」





久々に見るしぶりんとしまむーはとても輝いていた、私なんかよりは全然。





未央「まぁしぶりんとしまむーは今絶賛売り出し中だからね?不甲斐ない私の分まで頑張ってよ!」



卯月「あの…えぇと未央ちゃん?」



モバP「おいお前ら歩くの遅いぞー、一旦そこらで休むか?」



卯月「!行こう未央ちゃん!」



未央「…うんそだね!」



モバP「良いのか休まなくて…それはともかくお前ら飯は混み始める前に買うのが一番だぞ、食べたいものあるか?」



未央「はいは―い、未央ちゃんフランクフルトと焼きそば食べたいでーす」



凛「私はブルーハワイがいいかな」



卯月「私は…どうしようかなぁ。花火が21:00からだからあと2時間…何か早く決めたいですけど」



モバP「まぁ今すぐ決めろと言う訳じゃなくて混む前に決めれば良いんだけど、花火前には買っとけばいいだろう。それにしても………やっぱりお前ら腐ってもアイドルなんだな、まぁ悪くないんじゃないか?」



未央「むっ」







今の発言は頂けないなプロデューサー、私はともかく今人気急上昇アイドル渋谷凛さまと島村卯月さまに対し腐ってるとは…ぐぬぬ



…私もスタイルには自信があるんだけど、ね?







凛「…プロデューサー、その発言は正直ないと思う」



未央「そうだよプロデューサー、私達これでもお年頃だよ?レディーとして気を使って欲しいなぁ」



卯月「そうですそうですー!」



モバP「何故総攻撃くらってんだ俺…いや浴衣似合うねって話だよ、ったくもう柄にも無く褒めるとこうだ」



卯月「あはは…でも凄い嬉しいですよ?ありがとうございますプロデューサーさん!」



未央「はいはーい、未央ちゃん焼きそばの屋台見つけましたー」



凛「あっちにはチョコバナナあるね、まずそれにしよっか」



卯月「あーっ!凛ちゃん私にもちょうだーい!」



モバP「はぁ…まぁ好きな様に楽しんでくれ、後ろで保護者やってるから。安全かとか見とくから好きにやってくれ」



未央「はーい♪」







好きな人が後ろで見守ってくれる…その響きはとても素晴らしいんだけれども、今の気分は何故か少し複雑

おっ、気づくとしぶりんがプロデューサーの好感度を上げに行ってる。流石だねしぶりん



凛「はい、これプロデューサーの分のチョコバナナ」



モバP「おーマジか気が利くねぇ、よく俺の好きなもん知ってるな。これがないと祭りは始まらん」



凛「いつかだか忘れたけどプロデューサーあんなに嬉しそうにチョコバナナについて喋ってたからね、さすがに覚えてるよ。はいどうぞ、フフッ♪」



モバP「お、おう」







あれ、これプロデューサードキッとしてるよね。15の娘にドキドキするなんて情けないなぁ…

まぁ私にもドキドキして欲しいからそこは変わらないで欲しいけど

こんなの見てるとしぶりんが相手でもやはり心中穏やかでないので目を背ける







未央「さぁおアツい2人は置いといて、いざ私達は私達で楽しもうかしまむー!」



卯月「うん行こうよ未央ちゃん!」



未央「アイアイサー!」



凛「未央たちったら、時間はたっぷりあるのに急ぎ過ぎじゃないかな」



モバP「まぁいいと思うぞ、久々にアイドル業から解放されて気分もいいだろう」







凛「…プロデューサー」



モバP「ん?」





凛「……私が最初にデビューして」



凛「卯月もデビューしてどんどん忙しくなっていく中で色んな事が変わっていったけど」



凛「...この三人で一緒にいるときは少し前に戻った気がするんだ」



モバP「ん」



凛「素直に言うけど…今までありがとね」



モバP「おう」



凛「そして未央も任せて…って言い方は可笑しいかもしれないけど、任せていいんだよね」



モバP「当たり前だろ」



凛「分かってるよ、確認しただけ。じゃあ行ってくるね」



モバP「おう……さて」



なんか話してるなー、いや何話しているかは検討がつくんだけどね。話には参加しないよ。モヤモヤするから。

それに、私にはしまむーが居るからねっ







しまむーおいでおいで?







卯月「はーい未央ちゃん♪」



未央「まずは定番の射的!うーんいつも思うんだけどあーいうゲームソフトとかはどうやったら倒れるんだろうね」







欲しいんだよねあのソフト、妖怪オッチ。何か楽しそうで気になってて







卯月「でも倒れるからあるんだと思うよ?とりあえず弾詰めちゃおっか」



未央「そうだね!じゃあ私はこの弾に全ての気を溜めてみるよ!んぬぬー」



卯月「ええっ!?未央ちゃん気なんて溜められるの?」



未央「勿論だよしまむー、ほらしまむーもやってみよう!」



凛「はいはいふざけてないで、ほら先に私が撃っちゃうよ」スパ-ンガタッ



未央「あれ意外と混み始めて後ろにも人が並んでるっぽい?あぁじゃあ急ごうかゴメンゴメン」





気づいたらもうしぶりん追いついているし色々気づかなかったよ。

せっかく譲ったチャンスなんだからもっとプロデューサーとイチャイチャすれば良かったのに





凛「んっ」バッ



未央「おやおやしぶりん、意外と下手なもんだねーこうやるんだよ?」バシ-ン



卯月「未央ちゃん凄い!」



凛「ん…未央には負けないよ?ほらっ当てた」





おー流石、要領良いね。で、こうなるとしぶりん厄介なんだよなぁ、手を抜かないし





未央「こっちも負けないよ?」







そんなこんなで気づいたら始まっていたしぶりんV.S.私でオリンピックin夏祭り。

プロデューサーは後ろからそんな様子を見守ってくれてたんだ



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凛「……はぐれたね」



卯月「はぐれちゃいましたね」



凛「プロデューサー、後ろからちゃんと見てくれてるって言ってたんだけど…」



卯月「まぁこの人ごみだと仕方ない…のかな?プロデューサーさん結構鈍い所あるし…」



凛「鈍チンだね、営業とか見てても暑い日だと少しフラフラしてるし」



卯月「あはは…とりあえず花火あるし河川敷の方へ行こうよ!」



凛「そうだね、プロデューサーと未央に連絡だけ飛ばして先に行こうか」



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未央「いやーはぐれてしまいましたなぁー」





外見は取り繕ってるつもりだけど、内面の未央ちゃん大ピンチ!

いや完全に1人って訳でも無いんだけどね、むしろだからこそピンチというか…ある意味チャンスなんだけれども





隣にいるのは我が愛しきプロデューサー、いつも通りの何考えているか分からない表情



はやく合流しようかしぶりんと、このチャンスとピンチの間に挟まれた未央ちゃん嬉しくてどうにかなっちゃう







モバP「だな、誰かさんが考えなしに突っ走る所為で」



未央「えへへっ、あっしぶりんから連絡…」



モバP「こっちにも来たな、『こんなに混み合ってると合流は簡単にいかないだろうから、花火見るまで別行動で、河川敷に花火の時間に集合しようか』とな」



未央「ふっふっふー、これはこれはほうほう」





ほうほう、久々に長いこと二人っきりという訳だ

無意識に小さく拳を握り締める





モバP「どうしたんだいきなり笑って」



未央「なんでもないっ、でもさー」







2人っきりになると何かこういう些細な会話でもにやけちゃう辺り私は色々重傷なんだろうね







未央「なんか久々のいい気分でちょっち気合いはいりすぎちゃった。えへへーいやー流石に皆と祭りとなると出来るだけ多くの所見てみたいじゃん?ね?」



モバP「はぐれたら意味ないだろうが、このこの」グリグリ





うわっちょっとげんこつでグリグリは不味いよプロデューサー。

私は全力で避けようとするんだけれど、力強い男の人には勝てる筈も無く、好き勝手されてしまうのでした。およよ





未央「痛い痛い!訴えるよ!本気でセクハラで訴えるよプロデューサー!」



モバP「訴えてみろ、このちんちくりん」グリグリ



未央「あーもう事務所にチクってやるー絶対チクるーぶぶー」



モバP「何がぶぶーだ、可愛いなそのぶぶーっ」



未央「……えっ?えっ?」



モバP「なんか反応欲しいなー無反応は悲しいなー」



未央「はいはいありがとうございましたーあーとても嬉しいなぁー」



モバP「アイドルならもっと感情込めて言ってみろ」



未央「意地悪するからだと思いますよーぶぶー」





今のは少しズルいかな…でも元気では負けないからねっ!ぐいっとプロデューサーの手を強引に引っぱって走り出す





モバP「お、おう未央?」



未央「えへへっ、じゃああそこの射的、やろっか☆」



モバP「さっきも射的はやってただろう」



未央「まぁそうなんだけど…この2人でやる射的はそれはそれで乙だと思うんだ!と言う訳でプロデューサーは右半分倒しちゃって?」



モバP「7弾しかないがな、まぁここは屋台回りの鬼と呼ばれた少年時代の力を見せつける時が来たか」





おおっ、プロデューサーの腕まくり。意外とカッコいいもんだねー





未央「じゃあ私は左半分!」



モバP「おらっおらっ、うしっ」





うんうん良いもんだね。私が本当の私!って感じがするよ、プロデューサーと一緒にいるときは。もしかしてアイドルをやっている時よりも……なんてはずはないよね





未央「あーっ楽しかった。プロデューサー、意外とこういう屋台系得意なんだ?」



モバP「いや、あまり金魚すくいとかそういう持ち帰るのが大変なものは苦手でな。持ち帰ることを考えると…わかるだろ?」



未央「なるほどねー。そういえば私のうちにも水槽はないし金魚すくいもしたことないなー。そうだ!事務所には置けないの?」



モバP「あのちひろさんが許してくれるか…いやそれよりもみくが猛反対したりな」ハハッ



未央「『このみくの目の黒いうちは、事務所に魚なんて言語道断なの!』



どう?こんな感じ?」



モバP「あんまり似てないな、もう少し猫なで声っぽく…と、それは置いておいて事務所に置けるかもしれないし一匹すくってみるか」





あれ?今日は異様な感じで優しいなプロデューサー

いつも優しいといえば優しいのだけれど





未央「本当!?私やった事なかったんだよねー!うーんでも…本当にいいの?」



モバP「遠慮すんなって、ほらっ」





ここで確信する、ひょっとして私気を使われている?そうっぽいね





未央「えっ……いや大丈夫大丈夫!それよりさプロデューサーはどこ行きたい?」



モバP「…......おう、じゃあ今度はあっちの方向かってみるか」



未央「はーい」♪







いつも気を使わせる訳にはいかないよ?



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楽しい時間はあっという間に過ぎるようで…もう20:30花火30分前、さっきしぶりんから来たライン通知を見るにもう2人は河川敷付近にいるみたい









未央「プロデューサー!そろそろ時間かな、連絡来たけどもう河川敷に二人いるって」



モバP「こっちにも連絡来たな、こっちももう向かうか、はぐれんなよ未央」



未央「勿論、プロデューサーもしぶりんとしまむーにしたように見失わないでね?絶対!はぐれないよ。じゃあ手でも繋がないプロデューサー?」







そう絶対に



絶対に?



思い出したのは三人で居たトレーニング場、皆で一生懸命練習してた。苦手なあのステップ、あの振り付け、あの高音



気づいたら隣にいてくれた仲間達は、いつのまにかもう遠いところへ行ってしまって



気づいたら私の周りには誰がいたのかな







モバP「おいどうした未央?手、勝手に繋いでおくぞ」





私は色んな人と、友達に…なりたくて?アイドルになったんだよね





モバP「…悩みがあるならここでぶちまけても良いぞ、回りには誰も居ないし」



未央「え?んん?何でも無いよ?本当に!」



モバP「……しっかりしてないとはぐれるぞ」



未央「うんうんこの手は離さないぞーっいや絶対離さない大丈夫大丈夫」







そうだよ大好きなプロデューサーの手だもん絶対離さないよ

でもあれ私ってアイドルだからもっとストイックに行かなくちゃいけないのかな?

これって誰かに見つかったらスキャンダルとか言われちゃうのかなどうなのかな?





いろんな人と友達にもなれない場所に今私は居て、そしてこの場所から先に進めなくなるかもしれないのかな?







モバP「……未央、やっぱり不満な事ないか?」



未央「えっ、い、え、えーと」







次の瞬間、沢山の人が流れ込んできた。色んな集団、どっかで見た制服の高校生、カップル、小学生達、親子、おじいちゃんおばあちゃん。そんな人達に遮られ、プロデューサーと手が、離れた







未央「あっ」







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完全にはぐれちゃった。まぁよかったの…かな?

なんか私へんな感じになってたし、頭の中を整理しよう

私は1人で河川敷を目指そうか



こんなにやさぐれているのが変じゃないかって?

全然変じゃないはず

なんたって私はアイドルなんだ、それも売れない、落ちこぼれの。もう少し売れたい、売れないといけない、私が頑張らないといけないね。







そんなことを考えていると目の前から小さい女の子がぶつかってきた。あまりにも身長が低かったので気がつかなかったみたい



他のことに頭が回り過ぎていたからかもしれない



未央「ごめんねー大丈夫?ってうわっ!?」





そのちっちゃい子は想いっきり膝を擦りむいたようで、血でくっついた砂利が真っ赤に染まっていた。私はすぐに水道のある場所に向かって洗い流してあげた



……思ったより出血してる



申し訳ないな、ちっちゃい子をこんな風にさせちゃうなんて

そこまで私気を回せなくなっているのかな



少しこの子の反応が心配になってその子の顔を覗いてみる。すると驚くことにこの子はにっこにこの笑顔をしていて、さらに驚くことを言い出したんだ









私は今買うものを探していた。でももうこんな足じゃ歩けないからおんぶして一緒に探してくれ









って





未央「えっいや、まぁ面白い事言うね。肩車で良いかな?」







そしてもっと面白い事に私はそれをオッケーしてたんだ、にっこにこの笑顔で



昔の私を重ねてるのかな?楽しかったなぁ子供の頃の夏祭り



未央「何を探してるのかなー?」





この子曰く、何を買いたいか探しに行くんだって







未央「そっかーそれは必要だねー」







必要なんかじゃないよ、私がしたいからするんだよってその子が言う







未央「ふーんそうか、じゃあ真面目に探さないと…ん?」







いや真面目に探さないといけないかな?私もちっちゃい頃こんなことしてたけど真面目だったっけ?

その子は続けて言った



真面目に?そんな事考えないよ?お姉さん変な考え方するんだね、変な人



って







未央「そうだね、変な人かもしんないねへへっ」







子供に変な人って言われちった…まぁアイドルだから変かもね?



えっ?お姉ちゃんって変な人って言われて嬉しいの?またまた変なのー







未央「んな分けないじゃん!言わせておけばこのこの!」







プロデューサー直伝グリグリを喰らわせてみせる、痛そうだからすぐやめる



少し歩くと



あっあれ欲しいな!お姉さんありがとう



と言いながらこの子がぽんぽん私の肩を叩き自分を下ろすよう促す

せっかちで分かりやすいんだから子供ってのは





未央「おっ良かったね、おろすよー」





おろした後女の子はすぐ走り出して、すぐ私のところへ戻ってきた



お姉ちゃんありがとねー、変じゃなくなると良いねっ?



そういうとまたすぐ目的地へ走り去っていった。変じゃなくなるといいね、か





「おっ未央じゃん、丁度良い所に居たー」





その直後私の耳に届く聞き覚えのある声、最初は自分の耳を疑ったよ

ドンッっと花火が上がり始めるのが聞こえる…





未央「美嘉ねぇ!?」





空が明るくなったり暗くなったりしながら、見覚えのあるピンク髪を照らしていた





美嘉「やっほー」



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モバP「はぐれちまった……」





難しいもんだな、年頃ってのは

こっちが気を使うと敏感に察するし、かと言って気を使わないと不安定になる

未央だけじゃないからな、凛も卯月も気を使われているのを察して気を使ってくる





愛梨「はぐれちゃったんですか?」





うーんうまく行ってる時はそれで良いんだけど、うまくいかないときはどうするか

どうにかして本音を俺にぶつけて欲しいもんなんだが





愛梨「プロデューサー?はぐれちゃったんですかぁー?」





モバP「あぁそうなんだ……って愛梨!?なんでこんな所にいるんだ?」



愛梨「えっとー仕事が早く終わって事務所に帰ったら…ちひろさんがプロデューサーさんと凛ちゃん卯月ちゃん未央ちゃんでここの祭りに行っているって言ってたんでー…同じタイミングで仕事が終わった美嘉ちゃんと一緒に来ちゃいましたっ」



モバP「あぁそういうことか、すまんな送り迎え行けなくて。で美嘉とははぐれたのか?」



愛梨「はい、人ごみが凄くて…はぐれちゃいました、てへへ」





お前もか愛梨、この事務所にはプロデューサー含め迷子になるやつが多いらしい

某所所属のあらあらアイドルじゃないんだからさ





この子も俺にあまり本音を言ってくれなかったな、うまく行ったから良かった

信頼関係は誰とでも十分築けてると思ってるんだが…

自分の中でアイドルの優劣なんて、つけたくないもんだな





モバP「まぁ俺と合流出来て良かったよ、じゃあ愛梨は河川敷に向かっとくか」



愛梨「そうですねっ…あのプロデューサーさん?」



モバP「なんだ?」





いつものツインテールではなく、ポニーテールで変装している愛梨

それだけの変装では隠しきれない、シンデレラガールのオーラを纏った彼女が、なぜか自信なさげに間を空ける





愛梨「十時愛梨、無事シンデレラガールになれましたっ!ありがとうございます!」





…一瞬目を丸くしてしまう

ありがとうございますはしっかり言う子のイメージはあった、でもそれ以上にこういう場所で改めて感謝を言い直す子のイメージはなかった





モバP「…それは愛梨の力だよ。多少の運はあっても。で、どうしてこの場所で?」





愛梨「いや、なんて言うかこういう祭りみたいな場所で2人きりでこういう事言ってみたかったんです!えへへ」





モバP「祭りって…そんなロマンチックな場所じゃないけどなぁ…」





場所の雰囲気にのまれたのか?いやお祭りはそこまでそういう事に翟下場所じゃなかろう

そもそも愛梨のこの変装がバレていないのが不思議なくらいな人混みのなかだ





愛梨「いやぁ私はロマンチックだと思いますよ?」



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モバP「そうか?そうかも知れんな、はは」



愛梨「それにしてもドジばっかりな私を引っ張ってくれたのは紛れも無いプロデューサーさんです!本当に感謝しきれないんですっ!」



モバP「はいはいじゃあありがたく感謝は貰っておくから、でもこれからだぞ?本番は」





と、口に出して言い淀む

これからの話より、今の愛梨の感じていることを聞きたい

少し愛梨が喋りたそう、先を譲る





愛梨「これからだからこそ、これまでを振り返りたくなっちゃって……えへへっ♪プロデューサーは初めて私と会ったとき覚えてますか?」





モバP「?オーディションのか?」





愛梨「はいそうです!オーディションに受かったとき、実はアイドルになるのが少し怖かったんです。」



愛梨「家族に電話で伝えたときも少し心配されましたし…特にお父さんなんか」



モバP「愛梨のお父さんは細かく活躍とかチェックしてくれたもんな、秋田で観られない番組の内容まで…愛されてるな」



愛梨「はいっ!でなんでしたっけ……そうだ、そうそう受かったときこれからドジでダメダメな私を変えていかないといけないのかなぁって思って」



愛梨「そこでプロデューサーさんと一緒にトップを目指すことに決めて…」



モバP「でもそこからは比較的トントン行ったじゃないか、苦労もしたけど」





そうトントン行ったんだ

このチャンスはいい機会かもしれない、愛梨の本音、というか今本当は何を思っているかというのは聞いたことが殆どない

愛梨だけじゃない、他のアイドルでもまだあまりない





愛梨「それがとても不思議で.........私自身はどんどん成長してる気分なのに何か昔と変わらない自分が居る気がして、だからやっぱり何かプロデューサーの魔法にかかったみたいで…」





魔法か、魔法なんてものは存在しない

存在しないからこそ、その表現は何をどう感謝しているのか、何を伝えたいのか

聞きたい

プロデューサーとして

自分がプロデュースしたアイドルの吐露を



モバP「根本は変わらなくて良かったんだよ愛梨の場合は、まぁ常日頃から言ってるが少し常識を知る?というか自分のエロさを自覚?すべきだけどさ」





少し、いつもより踏み込んでみる





愛梨「……プロデューサーさん、多分私が言っちゃイケないのかも知れないんですけどデリカシー気にして欲しいですっ」



モバP「ん?んー分かった分かったすまんかった」



愛梨「そうですよ!もうぷんぷんです!…それで、はい、私が言いたかったのはっ………このままの愛梨をずっと…!…!」



モバP「……大丈夫さ」





それしか返答する事はなかった

代わりに聞きたい事が出来た





愛梨「…はいっ!ありがとうございます!約束ですよっ!?」



モバP「約束、だな」



指切りするか、それよりも先に聞いてやる



モバP「そういえば…どうして今日いきなりこんな事を話してくれたんだ?いつもはこのお仕事が楽しかった、このお仕事のこういう事がうまく行かなかったとかの話はよくしてくれたけどさ」



何がきっかけだったのか

なんで俺に今日このタイミングで気持ちをぶつけてくれたのか



愛梨「それは、多分プロデューサーさんがあまり本音を喋ってくれないから…」



モバP「ん?んまぁ、うん」



愛梨「私から言わないと、こういう話の流れになることはないんじゃないかなぁって思っちゃって...」



モバP「………おう」



愛梨「プロデューサーさんはいつも次はこれだ!これだ!って言って先ばかりを見ていくれていて……それはとても嬉しいんです」



愛梨「でもプロデューサーさんは今どう思ってるかを喋ってくれなかったし、私はそれがとても気になったんです」



愛梨「……だから決めたんです。プロデューサーさんが先を照らす魔法をかけてくれるなら、私は…っ、っ今を、今を照らす魔法で、プロデューサーさんと一緒に歩きたいって!」



モバP「…あぁ、そういう事か」



愛梨「…っ……ふぅぅ」カァァ



モバP「そうだよな、何考えているか分かんない奴と仕事なんてうまく行かないよな」



相手が子供でも、いや子供であるからこそ

遠慮なく、今どう思ってるかを伝えなくてはいけない



愛梨「それ以上にアイドルはみんな、誰でもないプロデューサーさんに、自分がどう思われているのか教えて欲しいんだと思います」



愛梨「一番近くでアイドルとしてのアイドルを見てたのはプロデューサーさんですから、一番のせっとくりょくですし!」



モバP「そうか…そうだよな」



愛梨「はい♪」



モバP「……もし良ければ愛梨、ここに居てもらって良いか?すぐ迎えにいくから」



モバP「ちゃんと伝えるからさ、俺が愛梨をどう思っているか」



愛梨「…良いですよ?行ってくて下さい!」



ヒュ―ッ、バンバン



愛梨「あっ、花火」



愛梨「……12時までとは言いません、この花火の間だけ…私がたった1人のあなたのシンデレラで、プロデューサーさんが王子様でいいですか?」



愛梨「こんな台詞言いたかったなぁ、言葉にしないと伝わらないですからねっ」









愛梨「少しだけ、羨ましいなぁ未央ちゃん」



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未央「ねぇ、美嘉ねぇ」



美嘉「ん?どうしたの未央そんな未央らしくない顔して」





…今私そんな顔してるんだ。でも今、美嘉ねぇになら聞ける気がする





未央「ねぇ、今の私って変かな?」



美嘉「変」





ずばっと言うね美嘉ねぇ、そんな美嘉ねぇがカッコいい





美嘉「いや未央がそんなことを他人に聞いてるなんて半年前には信じられないよ、あの未央がだよ?」



未央「あの頃の私はまだ若かった、それだけだったんだよ美嘉ねぇ……うんうん」





そう、あの頃は色んなことが希望だったなぁ。色々駆け出しアイドルみたいな仕事をし始めて



これから私のアイドル人生が始まるんだなって





美嘉「そーゆうところ」



未央「えっ?」



美嘉「未央はそーいう所が変わったんだよ、なんていうかさ。悪い方向に頑固になった」





何を言ってるんだろう美嘉ねぇ

まぁ元々私は頑固なんだけれども。Passionだしね?言う事聞くよりは行動に移すタイプだし





未央「まぁ元々頑固なんだけど、悪い方向とはなんだなんだ!私、コンビニの前で座ってるような不良には絶対ならないんだからっ!」



美嘉「ほらまたぁーそういうの、まぁアタシは気持ち分からなくもないけど」





ん?何か勘違いしてるっぽいな私





未央「どういうこと?美嘉ねぇの言葉だし聞いてみたいな」



美嘉「凛にも卯月にも相談なんて、全然してないでしょ」





当たり前だよ、してないよ?





未央「…うん、まぁしぶりんもしまむーも今忙しい時期だし」



美嘉「そういう所が悪い意味で頑固なんじゃない?勿論プロデューサーにも相談してないっぽいし」



未央「プロデューサーには迷惑かけてるし…これ以上迷惑かけたくないかなー」

美嘉「……未央、格好悪いよ」



未央「そんなことは無いよ!まだ事務所に入ってから一年たってないんだし未央ちゃんの活躍はこれからこれから!」



美嘉「そうじゃなくて、なんていうかー未央は何になりたいの?」



未央「そりゃー売れたいよー何言わせんだこのこの」



美嘉「本当?…」



未央「……多分本当」



美嘉「んーもう、じゃあ仕方ないなぁ未央おいで」





美嘉ねぇは強引に私の手を引っ張ると屋台に引っ張っていった





美嘉「何個でも、屋台で好きなものでもかってあげよっか!」



未央「えっ?どしたのいきなり」



美嘉「本当に未央が自分に正直なのかってね?自分に正直になる練習練習★」





練習って言葉に少しビクッとしながら、美嘉ねぇに引っ張られて屋台の暖かい光に向かって走っていく。あのマストレさんの地獄の練習怖いから



未央「本当にいいの?なんでも?んー迷っちゃうなぁ…ちょっと待ってね」



美嘉「ほらほら待たないー!行くよーっ!どだっ!例えばこのひょっとこお面とか!」



未央「…なしの方向でお願いします、ってそれ美嘉ねぇの趣味?」



美嘉「ちーがーうー!未央の好きそうなもの選んでるの!」



未央「美嘉ねぇ…私にそんなイメージ持ってたんだ……ヒドイッ」ウソナキ―



美嘉「はいはい茶番やってないで」





美嘉ねぇはそういうと私をまた大きく引っ張って、屋台と屋台に挟まれた狭い道を駆け回り始めた

体が美嘉ねぇに吸い込まれるように、跳ねて、飛ぶ





美嘉「じゃああのフランクフルトとか?」



未央「凄い美味しそう…でもめっちゃ並んでない?もう食べちゃったしいいかな」



美嘉「そっか、じゃあ次ぃ!ほらほら!」



美嘉ねぇはまた強く私を引っ張る、そうすると私はまるで宙に浮いたような気分になる

今の私にはこの屋台の明かりが輝いたサイリウムの海に感じられた

一度もそんな舞台には……残念ながらまだ、立った事がないのだけれども





気づいたら私の身体は馬のように自分自身の意志で飛び跳ねていた

そして止まる、とあるものに目を奪われる





美嘉「あたっ!…未央急に止まらないでよーっと、欲しいものあった?」



未央「……あれかな?」



美嘉「おっあのスーパーボールすくいとか?オレンジ色のあれとか綺麗じゃん★」



未央「…ちょっと見ていっていい?」





お金を払って店のおじさんからすくいをもらって、しゃがみ混んですぐその球をすくい取る

ここら辺、私は得意だからね、要領よし!

そしておじさんにすくいを返し、美嘉ねぇとおっさんにお礼、目元に戦利品をかざす



美嘉「よしっ、それで良かったの?そういえば未央、もうスーパーボールすくいはやってるんじゃないの?」



未央「ん?、そうだねーさっきしぶりんとやったね。私がしぶりんより3個多く取って勝てたかなー」



美嘉「思ったんだけど……そん中にあんな感じの色のスーパーボールあるんじゃない?」



未央「あっ」





言われてみて思い出す、確か私のポーチのどこかに入れたっけ

急いでポーチを肩から落ろし、周りの目も気にせず一心不乱に中身を地面に出していく

ポケットティッシュや財布、ペットボトルのお茶をかき分けて。やっと見つけた、なぜかそんな気分になった、ポーチの奥底に転がっている無数のスーパーボール。





その中に紛れている、私にはとても、とても輝いているように見えた、3つの球



未央「美嘉ねぇ…私別にほしいもの見つけた」





美嘉「ん?ホント?どれどれ?」







ピンク、蒼、オレンジに輝くみっつの玉







未央「美嘉ねぇ!すぐ戻ってくるから」





欲しいものがみつかった子どものように、私は何も考えず人混みの中を駆けていく





美嘉「未央!おーいー!!どこいくのー!」



*******



くそっ、電話くらい出ろよ未央!電話出ないくらいだから河川敷にはついてるんだよなぁ!



河川敷、歩道橋を越えたあたり



凛がもう居るはずの場所だ…そこに居てくれ!



そんな事を思ってると、後ろから人がぶつかってくる





モバP「っ!大丈夫ですか!?」





振り返るとそこにいたのはよく知ってるあの顔





未央「いてててっ…すいません、ってプロデューサー!?」



*******

未央「…」



モバP「…」



未央、モバP「「あのさ」」



未央「ぷっ、あはは!ハモったね?」



モバP「みたいだな、青春メロドラマじゃないんだからさ」



未央「そうだね、えへへっ」



モバP「…未央はさ、最近どうだ。楽しいか?」



未央「ううん、全然。今日の祭りは楽しいかな」



モバP「そうか、今まで未央は凄く頑張ってきたよな」



モバP「俺が最近見てきたのはひたすら頑張って、空回りしている未央」



未央「うん」



モバP「もう、頑張りたくないとかあるか?」



未央「分からないや、でもねプロデューサー」



モバP「ん?どした?」



未央「私、欲しいものみっつ見つけたんだ!」



モバP「?なんで3つなんだ」



未央「一つ目、しまむー!」



未央「二つ目、しぶりん!」



モバP「おいおい、全部人じゃないか」



未央「違うんだ、私アイドルは好きだよ。でもそれ以上にね、しぶりんやしまむー、事務所の仲間が好きになっちゃったんだ。皆と一緒に居たい、皆ともっと頑張りたい、皆をもっと知りたい!」



未央「そして三つ目、プロデューサー!」



モバP「……俺か?」



未央「私を、今まで見てくれた人!私に、アイドルを教えてくれる人!そんな人をこれからどんどん知っていけるって、すごい事じゃない?私はこの欲しいものを手にいれる為に、今はアイドルやりたいんだ!」



モバP「そうか…それは良かった。だってお前、アイドルなぜ続けてるのか分からないってくらい空回ってたからさ」



未央「おっ、今日は色々はっきり言ってくれちゃうねー。でももう大丈夫!でさ、プロデューサーには私の欲しいもの1と2を手にいれるお手伝い!それと3をすぐ達成させて欲しいな!」



モバP「?」



未央「だーかーら!例えばなぜプロデューサーになったのか!とか!」



モバP「あーそういうことな、いいよお前が1と2を手に入れられたと思ったら教えてやるさ」



未央「えー今じゃないのーけちーぃ」



モバP「ケチじゃありません!そうだな…具体的にはこんなのはどうだ。未央が CDデビューと同時に兼ねてより企画していたユニットデビュー」



未央「おぉ!いいじゃん!」



モバP「その時のお祝いに飯でも連れてってやるからその時にでも教えてやらぁ」



未央「えーっ私買い物もしたい!」



モバP「はいはい分かったから、お前はホシイモノその1と2と合流してきなさい。俺は美嘉を探して愛梨と合流してくるから」



未央「ラジャーっ、って美嘉ねぇはどこかに私置いてきちゃった…」



モバP「マジか…、じゃあ俺も謝っとくからあとで未央もちゃんと謝っとけよー」



未央「りょーかい……えっとねプロデューサー」



モバP「どした?」



未央「これからもプロデュース、よろしくお願いします!」



モバP「…おう、明日からみっちりレッスンな」







未央「……マストレさんのは勘弁で」



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12月、血反吐を吐くレッスン、地味な小さな仕事などで経験を積んだ私は、やっとデビューが決まった

第三弾、小日向美穂、多田李衣菜、十時愛梨、川島瑞樹、そして本田未央



愛梨「未央ちゃーん、ちょっと待ってぇー!」



未央「とときん、そんなんじゃ撮影遅れちゃうよ!」



愛梨「急ぐねー!、あ、あれその大きなバッグ何?」



未央「あっこれはね?じゃじゃーん、私の私服!気合い入れてるよ!」



愛梨「あれ、今日プロデューサーさんと買い物に行くんだっけ?撮影帰りに行くんだ?』



未央「そうそう、もう今日はこれを楽しみにしててさ!」







子供の頃に欲しかった3つの物を探すのはとても楽しくて

今、夏祭りに欲しいと決めた3つの願いが叶い始める

これからどうなるかなんて分からないけど...いつか、きっと





モバP「おーい、これから撮影行くぞお前ら」



未央、愛梨「「はーい」」



おわり



17:30│本田未央 
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