2015年07月21日

モバP「アイドルを過去に戻す装置?」

モバP(以下、P)「なんだ?このヘルメット」



晶葉「ああ。それは記憶喪失装置だ」



P「記憶喪失装置って、要は記憶を消すってことだろ?物騒だな」





晶葉「正確にいうと、記憶の引き出しに鍵をかける感じだな。記憶喪失と言うが、実際に記憶が失われるわけじゃない。“思い出せない”だけだ。何かの拍子に記憶の引き出しに鍵がかかってしまい、また何かの拍子に開錠される。この装置は人為的にそれをやる装置だ」



P「で、何でこれを作ったんだ?」



晶葉「志希から脳に関する話を色々と聞かせてもらってな。興味が湧いて、気が付いたら作っていた」



P「気が付いたらで作れるようなものじゃないよな。―――ん?待てよ」



晶葉「どうした?助手」



P「例えばさ。15歳の人にこれを被せて今から10年分の記憶を消したら、身体は15歳、心はロr……5歳にならないか?」



晶葉「完全とは言えないが、そうなるな……」





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P「……」







晶葉「……」







P「……」







晶葉「……」







P「これ貸して?」



晶葉「今のセリフを聞いた後で貸すと思うか?」



P「良いじゃないか!!ちょっとぐらい!!」グギギギ・・・



晶葉「絶対に邪な目的で使う気だろう!」グギギギ・・・



P「ああ!そうさ!認めてやる!これで思考をロリ化させて、“ほけんたいいくのおべんきょうかい”をするんだ!」グギギギ・・・



晶葉「絶対にさせるものか!」グギギギ・・・



P「はっはっはっは!!いくらレッスンで鍛えているとはいえ、成人男性の筋力には勝てないようだな!」グイグイ



晶葉(確かにパワーじゃ負ける。だったら、頭脳で勝負だ!)



晶葉「わ、分かった!貸す!貸すから!」



P「最初からそう言えば良いんだ」



晶葉「ただし、条件がある。それを使う時は私が同行する。まだテストタイプだから、細かい調整も必要だし、記憶を消す年齢の調整もこの10個のダイヤルを組み合わせて使う必要がある。助手じゃ使い方が分からないだろう?」



P「ぐっ……そういえば、そうだな」



晶葉「“ほけんたいいくのおべんきょうかい”はこのテストを終えた後に作る完成版でも遅くは無いだろう?完成版なら操作も簡略化できる」



晶葉(まぁ、これは興味本位だから、またもう一つ作るつもりはないけどな)



P「分かった。今日は記憶喪失装置のテストに徹しよう」



晶葉「理解の早い助手で助かった」



P「事務所に入って来たアイドルで試すぞ。晶葉は調節を頼む」



晶葉「分かった」



晶葉(とりあえず、R-18は避けられたようで良かった。これのテストもやりたかったし)



ガチャ



P「お!さっそく来たな」



愛梨「おはようございます」



P「おはよう。ちょっと話があるから、あそこのソファーで座って待っててくれないか?」



愛梨「分かりました」



P「さて、晶葉。愛梨を5歳にしようか」



晶葉「19歳から5歳とは、随分大きく出るじゃないか」



P「愛梨だったら、4〜5年ほど遡らせてもそんなに変化なさそうだしな。変化が分かり易い方が晶葉も嬉しいだろ?」



晶葉「邪な気持ちが無かったら、本当に嬉しかったんだがな。良いだろう。5歳になるように調節する」



P「やったぜ!」



P「すまない。待たせたな」



愛梨「大丈夫ですよ。お話って何ですか?」



P「ああ。それはな……」



晶葉「すまない!これも科学の発展のためなんだ!」



愛梨「え?晶葉ちゃ――」カポッ



P「で、これを被せるとどうなるんだ?」



晶葉「今、強制的に気絶させて記憶の引き出しに鍵をかけている」



ヘルメット<記憶ロック。完了シマシタ



晶葉「終わりだ。これで彼女は5歳になった」

愛梨「あれぇ……。ここどこー?おじさんだれ?」



P(ああ。そうか。俺のことも分からないよな)



愛梨「おとうさんと……おかあさんは?」ジワッ



愛梨「うえええええええええええええええええん!!ここどこー!?」



P「ままま、待て!落ち着くんだ!愛梨!じゃなくて――愛梨ちゃん!」



P「お、おじさんはプロデューサーなんだ!愛梨ちゃんをアイドルにするためにやって来たんだ?」



愛梨「あいどる?」



P「そ、そう!アイドル!」



愛梨「おうたをうたうの?」



P「歌うよ」



愛梨「ステージのうえでおどるの?」



P「ああ。踊るよ」



愛梨「すごーい!わたし、あいどるになれるんだー!」



P「気に入ってくれて、良かったよ」



愛梨「はい!ととときあいり!5さい!がんばりまひゅ!」



P(“と”が一個多い!)



愛梨「ここあつい〜。おふくぬぐー」



P(いきなりか!)



晶葉(やっぱり脱ぐのか)



愛梨「このおふく、ぬぎにくい〜」



P「はいはーい。脱ぎ脱ぎしましょうねぇ〜」



晶葉「はい!キャンセル!」カポッ



P「ああ!もうちょっとだったのに!!なんてことしてくれたんだ!?」



晶葉「如何わしいことはしないという約束だろ!」



愛梨「……」



愛梨「あれ?」パチッ



愛梨「確か、晶葉ちゃんにヘルメットを被せられて―――って」



愛梨「プ、プロデューサー///なんで服を脱がそうとしているんですか///こ、ここ事務所ですよ///」



P「いや、愛梨が脱ぎたそうにしてたから」



愛梨「脱ぐのと脱がされるのでは話が違います!」バチン!



P「ひでぶっ!!」



愛梨「〜〜〜!!」カーッ



愛梨「プロデューサーさんのバカー!!」ダッ



晶葉「行ってしまったな。私としてはヘルメットの試験が成功したから良いとして……」



P「赤面する愛梨を拝める。プライスレス」



晶葉「こっちも大丈夫だったか」



P「そういえば、愛梨は5歳になっている間のことを覚えているのか?」



晶葉「ああ。しっかりと覚えているぞ。ただ、思考の問題で多少の混乱があるから、リアルな夢で自己解決してしまうだろう」



P「そうか。しっかり覚えているなら、変なことは出来ないな」



晶葉(本当は、キャンセルした時に入れ替わりで、それまでの記憶に蓋をすることも出来るが、これは黙っておいた方が良いな)



P「よし!気を取り直して次の実験だ!」



菜々「おはようございまーす」



P「一番、過去を見たい人来た――――――――――――――!!!」



晶葉「確かに試し甲斐がありそうだ」



菜々「あの……」



P「何年にする?何年にする?」ワクワク



晶葉「5年か?とりあえず5年か?」ワクワク



P「いやいや、ここは思い切って15年はやってしまおうか」



晶葉「助手も悪よのう」フフフ



P「いえいえ。晶葉様ほどでは」フフフ



菜々「あの……ナナは嫌な予感しかしないので帰っていいですよね」ソロー



晶葉「逃がさんぞ!」



P「確保ォ!!」ガシッ!



菜々「うえっ!?」



菜々「何ですか!?ナナは何をさせられるんですか!?晶葉ちゃんのヘルメットは何なんですか!?あれですか!?お祭り前に装着して『I can do it!』と叫ぶヘルメットナナさんにするつもりですか!?」



晶葉「お前も(ヘルメットの)餌食にしてやろうかぁ!」



P「これで、菜々さんが痛い17歳か、痛い20代か、痛い30代なのかが明らかになる!!年貢の納め時だ!」



菜々「イヤーッ!」





カポッ



P「さて、ソファーで寝かせて、起きた時の反応を見ますか」ワクワク



晶葉「結果が分からないからこそ実験というものは楽しいんだ」ワクワク













菜々「歌って踊れる永遠のJKアイドル!ナナでーす!」ウッサミーン!(記憶15年分喪失)













P「」



晶葉「」



P「よし。+10年分消そう」



晶葉「分かった」



菜々「え!?何ですか!?物凄くミレニアムなヘルメ――」



カポッ



P「良し!今度こそは!」















菜々「歌って踊れる永遠のJKアイドル!17歳!ナナでーす!」ウッサミーン!(記憶25年分喪失)













P「ええいっ!いっそのこと、あと50年分は消しちまえ!!」



晶葉「もうヤケだな」



菜々「え!?何ですか!?そのチョベリバなヘルメット―――」



カポッ

















菜々「歌って踊れる芸能女学生17歳!ナナでーす!」ウッサミーン!(記憶75年分喪失)





P「Oh my God」



晶葉「今の彼女の前で英語を使うのはまずいんじゃないか?」



菜々「貴方たち、誰ですか!?その怪しげな防護帽は…!まさか、鬼畜米英の手先!?」



P「いやいや!違う!違う!俺はプロ――じゃなかった。え〜っと……」



P「美城芸能事務所の者です。ここに歌手の素質を持った子がいると噂に聞いたので、是非ともウチの事務所にと思いまして」キリッ



菜々「か、歌手の素質?誰が?」



P「貴方ですよ。安部菜々さん」



菜々「ナナ……舞台の上で歌ったり踊ったり……出来るんですか?」



P「ええ。勿論」



菜々「いつか、東京の大きな舞台でやることも……」



P「勿論。我々と、貴方の頑張り次第ですが、可能性はあります」



菜々「あ……ああ」ブワッ



菜々「良かった……。時代がやっとナナに追いついたんですね。『非国民』とか『頭の可哀想な子』とか『狐憑き』とか言われてきましたけど、流行は先取りするものって信じていました」グスッ



P(先取りし過ぎだろ!60年ぐらい!)



晶葉(それ以上につっこむところがたくさんあるだろう!)



菜々「それで、いつ東京に行かれるんですか?」



P「そうですね。その前にまず、“現代”に戻りましょうか」



菜々「へ?」



カポッ



菜々「あれ?ナナは確か――――」



P「おーい。大丈夫か?」



菜々「あ!そうだった!絶対にヘルメットナナさんにはなりませんからね!」



バタン



P「」



晶葉「なぁ。助手。彼女は何者なんだ?」



P「ヘルメットは菜々さんの時だけエラーを起こしていた」



晶葉「え?」



P「ヘルメットは菜々さんの時だけエラーを起こしていた。いいね?」



晶葉「は、はい」ガクガク



未央「おっはよーう!」



卯月「おはようございます」



凛「おはよう」



P「おお。さっそく次が来たぞ」



未央「え?次って何のこと?」



晶葉「ああ。これのことだ。記憶喪失装置。今はこれを使って、アイドルの人格を過去に戻す実験をしている」



凛「用事思い出したから帰るね」



ガシッ



凛「え?卯月!?未央!?」



未央「やっぱり、こういうのってさ」



卯月「凛ちゃんの役目ですよね」ニコッ



凛「お願いだから離して!」



P「さて、何歳の凛が見たい?」



卯月「やっぱり、小学生ぐらいの凛ちゃんですね。6歳ぐらいの」



未央「それも面白いけど、中2の頃のしぶりんも見てみたいよね」



凛「ちゅ、中二!?」



渋谷ママ『中学二年の頃の凛は反抗期真っ只中だったわ。ちょっとしたことでもすぐに怒ってたの。もしかしたら、向井拓海ちゃんみたいになっていたかもしれないわね〜』(未央のモノマネ)



凛「未央に何話してるの!?お母さん!!」



P「ん〜反抗期真っ只中の凛か。それはそれで面白いけど、事務所で暴れられると困るからなぁ。ロリにするか」



凛「お、お願い!それだけは!!晶葉も何か言ってよ!」



晶葉「すまない!これも科学の発展のためなんだ!」



カポッ



未央「これ、気絶したけど大丈夫なの?」



晶葉「ああ。むしろそうでないと意識が混乱するからな」



卯月「そこのソファーに寝かせましょうか」



凛「……あれ?ここどこ?」



未央「おー。目覚めた目覚めた。じゃあ、色々と質問してみようか」



卯月「お名前は何ていうんですか?年はいくつですか?」



凛「……わからない」



未央「え?しぶりん?大丈夫?」



凛「しぶ…りん?それ、もしかして私の名前?」



未央「あれ?」



卯月「凛ちゃん。どうしたんですか?」



晶葉「あ……。しまった。ダイヤル調整を間違えて、記憶を全部ロックしてしまった」



未央「ええ!?しぶりん大丈夫なの!?」



晶葉「別に記憶が消えたわけじゃないからな。もう一回被せてキャンセルすれば元に戻る。今は完全な記憶喪失状態だ」



凛「あの……何がなんだか……。貴方たちは誰?」



未央「!!」キラーン!



P(あ、今なにか企んだ顔したな)



未央「落ち着いて聞いてね。貴方は渋谷凛。しぶりんはさっき階段から転げ落ちて気絶したんだよ。その時、頭を打って記憶喪失になったの」



凛「記憶……喪失」



未央「そう。あ、自己紹介してなかったね。私は本田未央。しぶりんの親友だよ」



凛「未央……さん?」



未央「年は同じだから未央でいいよ。それで、そこにいるのが島村卯月。私達の親友」



凛「卯月……さん?」



卯月「年は2つ上ですけど、卯月で良いですよ。そっちの方が慣れてますし」



未央「私達3人はアイドルでユニットとして頑張っていたの」



凛「私が……アイドル?想像できない」



P「3代目シンデレラガールにまでなったのに……。俺のプロデュースって一体……」



晶葉「記憶が無いんだ。無理を言うな」



凛「誰?」



未央「女の子は同じアイドルの池袋晶葉。男の人は私達のプロデューサーだよ」



凛「晶葉。それに、プロデューサーさん?」



未央「ぎこちないなぁ。階段から転げ落ちる前は恋人同士だったのに」ニヤリ



凛「こ、恋人!?」



P「バカ!何言ってるんだ!?」



卯月「そうだったんですか!?知りませんでした!」



未央(しまむーへの訂正は後にしよう)



凛「ふーん、アンタが私の恋人?……まあ、悪くないかな……」



未央「悪くないかなじゃないよ。2人はおしどり夫婦も裸足で逃げるレベルのイチャイチャラブラブバカップルだったんだから」



凛「え!?」



未央「プロデューサーといる時は匂いをつけるように体をこすり付けて常に密着してるし、プロデューサーがいない時はプロデューサーのスーツや椅子の匂いを嗅いで興奮するし、ライブだとファンの前で堂々とプロデューサーに愛の告白をしようとするし、ちょっと目を離した隙に犬耳と首輪を装着してプロデューサーに飼育プレイをねだるし、とにかく人目も憚らないラブラブバカップルだったよ」



凛「そ……そんな///記憶を失う前の私って…///」



未央「そもそも私達がしぶりんと同じユニットなのもしぶりんの求愛行動を止めるのが始まりだったんだよ。だよね?しまむー」



卯月「えっ!?あ、そ、そうなんです!凛ちゃんは12時間以上プロデューサーと会えなかったら、机のボールペンを使って――」







P「なぁ……晶葉。これって、本当に夢で済まされるのか?」



晶葉「初めての試みだからな。だから実験なんだ」



P「これ以上はややこしくなるから戻そうか」



晶葉「同感だ」



P「あの2人は後で叱り飛ばしておこう」



P「さて、おふざけが過ぎた2人をオシオキしたし、次のアイドルが来るのを待つか」



晶葉「オシオキってレベルじゃなかったな。アニメ7話前半のような空気になったぞ」



瞳子「おはよう。そこで2人ほど目がまゆちゃんみたいになっていたけど、大丈夫かしら?」



P「大丈夫です。気にしないでください。ちょっと叱っただけですから」



瞳子「そ、そう。貴方が言うなら」



P「まだレッスンまで時間ありますよね。少し話をしたいので向こうのソファーで待っててもらっていいですか?」



瞳子「分かったわ」



P「……」



晶葉「まさか、ヘルメットを使う気じゃないだろうな?さすがにロリ化した彼女を見たくはないぞ」



P「いや、ロリじゃない。彼女を16歳にして欲しい」



晶葉「ああ。構わないが、何で16歳なんだ?」



P「瞳子さんが以前アイドルをやっていたのがそれくらいの時期だったらしい。以前の活動について調べてみたけど、ほとんど記録が無かった。瞳子さんがアイドルとしてどういう道を歩んで、どうして挫折したのか。俺はちゃんと知っておきたい」



晶葉「真剣なんだな……。そういうことに使われるなら、発明家として、冥利に尽きる」



瞳子「あら。早かったのね。話って何かしら?」



P「以前、アイドル活動をしていた頃のことなんですけどね。やっぱり、話してもらえませんか?」



瞳子「残念だけど、いくら貴方の頼みでも出来ないわ。あの時は事務所の言いなりで、私のキャラクターや仕事に私の意思が反映されたことなんて無いんだから」



瞳子「今後のプロデュースの参考にすらならないわよ?」



P「そうですか……。やっぱり、話していただけませんか」



P「やれ。晶葉」ボソッ



晶葉「すまない!科学の発展のために!」



カポッ





















瞳子「はーい!みんなのアイドル!HITOMIちゃんでーす☆今日もみんなをキュンキュンさせちゃうよー!」









P「」



晶葉「」



瞳子「そこのオーディエンスふたり!とてつもないポーカーフェイスぶりだね!まるで感情をシャットアウトしたみたい!でも私は負けない!HITOMIちゃんの熱くギュッと詰まったLOVEで貴方の心を溶かすから☆」



瞳子「お客さんが片手の指で数える程度しかいないのはいつものことだけど!HITOMI!がんばりまーす☆」



晶葉「その……現プロデューサーとしてどう思う?」



P「ははっ。こりゃ売れるわけねーわ」



瞳子「」ガシッ



P「瞳子さん!?」



瞳子「やりましたよ……」



瞳子「やったんですよ!必死に!それがこの結果なんですよ!オーディションを受けて!事務所の言葉を信じてキャラを演じて!今はこうして売れないことをネタにして食い繋いでる!これ以上、何をしろって言うんです!?どうアイドルを目指せばいいんですか!?」



瞳子「あんなの!アイドルのする仕事ありませんよ!!」



瞳子「昔から、アイドルに憧れていました。ステージの上の煌びやかな世界に立ちたいと……。でも実際に目指してから分かるんです。あのステージに立てるのはほんの一握りで、その下には夢破れた屍が積み上がっているって……」



瞳子「でも私は諦めたくない。あの屍の山の一員になりたくない」



瞳子「そう思って、売れないことも成功が遠いことも分かっていながら、“アイドル”にしがみついてきました」



瞳子「でも……もう疲れたんです。諦めて、大人しく屍の山の一員になろうと思います」



P「25歳」



瞳子「え?」



P「一度、諦めても良いです。ゆっくり休んでください。でも25歳になった時、屍の山から這い上がるチャンスが来ます」



瞳子「え?あの……言っている意味がよく分からないんですけど」



P「答えは、このヘルメットにあります」



カポッ



晶葉「キャンセル完了。気絶ついでに眠ってしまったようだな」



P「疲れが溜まっていたんだろうか。とりあえず、レッスン前まで寝かせておこう」



P「さて、だいぶ実験してきたけど、これはテスト成功ってことでいいのか?」



晶葉「正直、あと数人はサンプルが欲しいところだが……」



ガチャ バタン



P「お、また次のが来たぞ」



洋子「おはようございます」



P「おはよう。今日はオフじゃなかったのか?」



洋子「実は昨晩、寮の部屋の鍵をこっちに忘れちゃったんですよ」



P「鍵の管理はしっかりしておけよ。昨日はどこで泊まったんだ?」



洋子「いつきちゃんに泊めてもらいました」



洋子「ん〜。鍵どこにやったかな〜?」



P「昨日のことだろ?覚えていないのか?」



晶葉「それなら、このヘルメットの出番じゃないか」



P「ああ。なるほど。それで今日の記憶を消して、昨晩の洋子さんにするのか」



晶葉「そういうことだ。えーっと、ダイヤルを調節して……」



晶葉「よし。これを被ってくれ」



洋子「え?そのヘルメット何なんですか?」



P「え、えーっと、マイナスイオンとか何かそんな感じの物質で頭が冴えるヘルメットなんだ。これを被ると昨日のこともよく思い出せるらしいぞ」



洋子「そうなんですか」カポッ



P「さて。目が覚めるのを待つか」



晶葉「しまった。時間と年数のダイヤルを間違えてしまった。3年分の彼女の記憶にロックをかけてしまった。目覚めたら彼女は17歳だぞ」



P「なんだ。じゃあ、もう一度キャンセルしてやり直すか。洋子も目が覚めたみたいだし、17歳って言ってもたった3年だろ?そんなに変化なんて――」



洋子「痛いなー。何?ここ」



晶葉「え?」



P「よ、洋子?」



洋子「誰?気安く呼ぶのは……」ギロリ



P「ヒッ!?わ、私は何も知りませーん!」(のヮの)



洋子「トボけてんじゃねえよ!こっち向けよ!ゴラァ!」



P「ひぃぃぃぃぃっ!?」



P「た、助けてくれ。晶葉」



洋子「あぁ?テメェも仲間か?」



晶葉「いえ、違います。私は赤の他人です。すぐにここから出ていきますので、どうかお気になさらず」ソソーッ



P「この裏切り者ォ!せめてヘルメットは置いてけ!!キャンセル出来ないだろ!」



洋子「こっちは訳分かんなくて混乱してるんだけど?さっきまでゲーセンでダンレボやてて、あと少しでナイトメアヘルモードをパーフェクトクリアしてたんだけどなぁ……!ゲーム代返しやがれ!ゴラァ!!」



P(これ元ヤンってことだよね!?想像つかない!何この大改造劇的ビフォーアフター!)



洋子「っていうか。ここどこ?マジで分かんないんだけど」



ガチャ バタン



拓海「はよーっす」



P「た、拓海!助けれくれ!」



洋子「オラァ!よそ見するなよ!!話をしているのはこっちだからな!!」



拓海「よ、洋子さん!?え?何これ?どうなってるんだ?」



洋子「だから、どうして私の名前を――」





その時、洋子と拓海の目が合った!



2人の間で走る電撃!ぶつかり合う火花!



ここに一つ!“決闘”が成立した!



洋子「命拾いしたな」



拓海「どういう了見か知らねえが、ウチのPに手を出したのは許せねえな」パキポキ・・・



洋子「どこの誰だか知らないけど、殺らなきゃ、殺られる関係になったみたいだね」バキボキ・・・



P「もうやめるんだっ!お前たち!」



拓海「悪いけど、こうなったら止められねえんだよ!」



洋子「メンチ切ったんだから、どっちかが倒れるまで終わらないよ。私らは“そう出来ているんだ”」



P「そうか……。止めないと言うのなら……」



P「エナンザム!!」



拓海「エナドリを1ダース一気に飲みやがった!」



P「ふんっ!」バババァッ!



拓海「服がはじけ飛んだぞ!ドーピングってレベルじゃねえぞ!」



洋子「え?何?あのドリンクそんなヤバいの入ってんの?」



P「お前たちに足りないものがようやく理解出来た」



P「それは“愛”だ」



洋子「はぁ?てめぇ…何ふざけたこと言ってんだ?」



拓海「おい。馬鹿やめろ」



P「俺は今からお前たちを全力で愛するぞぉ!」バキバキッ!



晶葉「Pが抱きしめたドラム缶がペシャンコになった!」



P「ヒャッホウ!今からお前たちを全力で抱きしめてやるぜぇ!」バッ!



拓海・洋子「「逃げろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」



P「イーヤッホゥ!イーヤッホゥ!イーヤッホゥ!」腰フリフリ



P「来るべき対話(抱擁)の始まりだぜぇ!!」



晶葉「じょ、助手?そ、その身体は!?」



P「」ガシッ



晶葉「へ?」



P「どうした?お前も逃がさんぞ?」



晶葉「ひゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」



P「さぁ!来るべき対話を始めようじゃないか!!エナンザムバースト!!」



拓海「何だよ!?あれ!!」



洋子「やべぇよ!!あんなのに捕まったらタダじゃ済まねえぞ!!」



P「ヒャッホゥ!ちひろの技術は世界一ィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!」



晶葉「あっ!」コケッ



P「まずはお前と融合して天才的な頭脳を手に入れるぞ!晶葉ぁ!!」



晶葉「待って!!私を置いて逃げないでくれ!!」



洋子「オラ!立てよ!メガネ!あんなのに捕まったらヤベェぞ!」グイッ



晶葉「あ、ありがとう」



P「イーヤッホウ!ヒャッホウ!どうして逃げるんだ!?俺は世界がこんなにも単純なことを理解させてやろうとしているだけなのに!!」



ガチャ



P「や、やだなぁ。早苗さん。これは冗談ですって―――――――」



警官「ちょっと、署まで来てもらおうか」







P(ガチの警官だった!!)









洋子「助かったぁ……」



拓海「やべぇよ。Pが捕まっちまった」



その後、釈放されたPは拓海と洋子(心は不良時代)でユニット「ダーティスクール」を作った。



磁石のように反発する2人はステージ上で歌いながらマイクを奪い合い、観客の注目を引こうと争うようにパフォーマンスを過激にし、初ライブでステージを爆破させてしまった。その後、ダーティスクールはライブ禁止、ユニットは解散となった。



彼女たちの最初で最後のライブは伝説となった。













拓海「Pは!?Pの馬鹿野郎はどこに行ったぁ!!」



ちひろ「『エナンザムバーストによる対話でゴーゴル帝国とジャイクロ帝国の戦争を止めに行く』とか言って、どこかに行きました」











洋子「私の黒歴史が明るみになるなんて……もうお嫁にいけない」シクシク



智香「よしよし」ナデナデ



いつき「もし行けなかったら、私がもらってあげるから」ナデナデ



おわり







08:30│池袋晶葉 
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