2015年07月28日

モバP「アイドル達にモテてつらい」

P「なんて、一度でいいから言ってみたいな」



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未央「いきなりどーしたの?」





P「いや。プロダクションのプロデューサー仲間を見ていると、どうしてもな」



P「同期のあいつは佐久間まゆにベタ惚れされてるし、後輩のあいつは高垣楓といちゃいちゃしてるし」



未央「でも、普通アイドルとプロデューサーが恋愛するのってまずいんじゃないの?」



P「そうなんだよ。だから全然恋の気配とかない俺こそがプロデューサーとしてあるべき姿のはずなんだ」



P「なのになんだこの敗北感は」



未央「彼女がいれば違うんだろうけどね」



未央「プロデューサー、付き合えそうな女の人とかいないの?」



P「そういう浮いた話は一切ない」



P「そもそも、25年の人生で彼女がいた期間なんてほとんど……」



P「なんで俺はモテないんだろうな?」



未央「あ、ひょっとしてそれ私に聞いてる?」



P「一応、若い子の意見が欲しいと思って。女性に好かれないのには理由があるはずだし」



未央「うーん……」





未央「私じゃよくわかんないから、他の人に聞いてみてよ」



P「散々溜めてそれか」



未央「えへへ、ごめんごめん。とりあえず、美嘉ねぇあたりとかいいんじゃないかな?」



P「美嘉か……」



美嘉「それでアタシのところに来た、と」



P「頼むよカリスマJKアイドル。ギャルだし男の子と付き合った経験くらいあるだろう?」



美嘉「えっ」



P「えっ」



美嘉「も、もちろんあるよ★そりゃー今はアイドルだからいないけど、昔は彼氏のひとりやふたりくらい……うん」



P「だよな。時々めっちゃ純情で初心な面を見せる時があるけど、やっぱり恋愛経験あるんだな」



美嘉「そうそう! あはは……」



美嘉「で、プロデューサーがモテない理由を探すんだっけ?」



P「うん」



美嘉「そうだねえ……」ジーー



P「遠慮なく言ってくれていいぞ」



美嘉「ホントに?」



P「もちろん」



美嘉「じゃあ『生理的に受けつけない』って言っても?」



P「大丈夫。一週間引きこもるけどその後はちゃんと働くから」



美嘉「それ大丈夫って言わないよね」



美嘉「ま、生理的に受けつけないっていうのは冗談だよ」



美嘉「プロデューサー、見た目は悪くないしね」



P「お、そうなのか?」



美嘉「うん。スーツ姿も結構決まってるよ★」



P「職業柄、外見のイメージはいいものにしようと意識してるからなあ。そう言ってくれると安心する」



美嘉「髪の生え際が若干怪しい気配がするのが玉にきずだけど」



P「やめろ」



美嘉「急に声がマジになったね……」



P「この前仁奈に『パパより前髪がすくねーです』って無邪気な顔で言われたんだ」



美嘉「うわあ」



P「というかまだ全然大丈夫だろ。ちょっと長打警戒して外野後退してるだけだろ」



美嘉「何年か後に外野手がいなくなってなければいいけど……」



美嘉「でも、髪を考慮してもビジュアルは全然イケるよね」



P「イケるって、どれくらい」



美嘉「うーん……学校の友達に紹介したら、何人かはデートしたいって言い出すくらい?」



P「マ ジ で す か」グワッ!



美嘉「………」ジトー



P「……ど、どうした」



美嘉「なんとなくわかった。プロデューサーの欠点」



美嘉「がっつきすぎ」ビシッ



P「がっつきすぎだと?」



美嘉「恋愛に飢えているのかどうか知らないけど、今の反応怖かったよ」



美嘉「目が血走ってたし」



P「そんなにヤバかったか」



美嘉「あちゃー、自覚なしか……」



美嘉「たとえば、アタシが会社の同僚だったとするじゃん?」



P「はい」



美嘉「それでアタシが、『Pさんって、ちょっとかっこいいかも……』って言ったらどうする?」



P「しゅ、しゅしゅ週末空いてますか。空いてたら一緒にでで出かけませんか」ギラギラ



美嘉「ほら、やっぱりがっつきすぎ」



美嘉「そんなにアブない目つきで寄ってこられたら、ぶっちゃけ引いちゃうよ?」



P「な、なんと……確かに、結果を求めるあまり焦り過ぎているのかもしれない」



美嘉「アタシはまだ学生だから、そういう焦りとかはよくわからないなあ」



美嘉「でも、そういう感情を理解してくれる人なら、受け入れてくれるかも」



美嘉「プロデューサーより年上の人とかさ」



P「年上か……今度はそっちを当たってみるか」



P「ありがとう美嘉。参考になったよ」



美嘉「どういたしまして」



P「さて、じゃあ俺は次の人のところに」



美嘉「あ、ちょっと待って」



美嘉「相談に乗ったお礼ってわけじゃないけどさ、今度の休日、買い物に付き合ってくれない?」



P「買い物?」



美嘉「莉嘉と一緒に服とか買おうと思ってるんだけど、男の人の意見も欲しいなーって」



美嘉「あと、荷物持ち?」



P「それくらいなら大丈夫だ。任せておきなさい」



美嘉「サンキュー、それじゃよろしくね★」



美嘉「最近見つけたおいしいクレープ屋にも連れてってあげるからさ」



P「それは楽しみだ」



早苗「で、今度はあたしのところに来た、と」



P「年上なので」キリッ



早苗「女の子相手に直球で年齢の話を出すのは感心しないな〜」



P「すみません」



早苗「じょーだんじょーだん。あたしとP君の仲だし、多少遠慮のないやりとりのほうがあってるわ」



早苗「それで、P君がモテない理由だったっけ」



P「早苗さんから見て、何か思い当たるところはないでしょうか」



早苗「そうねえ……うーん」



早苗「見た目は悪くないし、少々がっつきすぎなのも、あたしらの年代になったら気持ちわかるし。その辺は問題ないのよね」



P「おお、美嘉の言った通りの反応だ」



早苗「ただ、ひとつ言うなら……あれかな」



P「あれ、とは」



早苗「子どもっぽい」



P「子どもっぽい?」



早苗「つまり、少年っぽさが抜けきってないというか……ほら、よく光ちゃんとヒーローごっこしてるでしょ」



P「ええ。相手してやると喜ぶので」



早苗「そういう風に言ってるけど、P君も基本的に全力で楽しんでるわよね」



早苗「この前本気でやりすぎて腰痛めてたし」



P「ああ、あの時は大変でしたね」



P「きらりんぱわーによる整体のおかげですぐに復活できましたが」



早苗「ああいうの見てると、夫にするのはどうなのかなーって思うわけよ」



早苗「特にあたしなんてずぼらだから、旦那にはしっかりしていてもらいたいしね」



P「なるほど。確かに、いつまでも危なっかしい男を選びたくはないですよね」



早苗「もちろん、小さい子の相手もしっかりしてあげるP君の姿勢自体は褒められるべきなのよ? あたしもえらいなって思うし」



早苗「ちょっとした意識の問題だから」



P「わかりました。アドバイスありがとうございます」



早苗「こんなんでよかったの?」



P「いやいや、いい指摘ですよ。直すべきところも教えてもらいましたし」



早苗「そっか、ならよかった」



早苗「ま、あれね。あたしとは逆で、しっかり旦那を管理して引っ張ってくれるタイプのオンナなら、P君みたいな生きのいい子もOKなのかも」



P「管理がしっかりしてる人、か」



早苗「お互いに、いい相手が見つかるようにガンバろっか」



P「そうですね。早苗さんも、何か悩み事があったらいつでも相談してくださいね」



早苗「じゃあ早速だけど、最近飲んでないから、今夜一緒に一杯いっとく?」



P「悩み事じゃないような……でもいいですねえ、付き合いますよ」



早苗「そうこなっくちゃね!」



P「さて、他の人からもアドバイスをもらってみよう」



P「男を管理して引っ張ってくれるタイプの人なら大丈夫かも、と早苗さんは言っていた」



P「本当にそうなのか、そういうタイプの子に聞いて確認しておきたい」



P「うちの事務所で男の管理がしっかりしている類の人というと……」







時子「………」←少し離れたところのソファーに座っている



P「………」



P「いや、あの人は違う。管理(調教)して引っ張る(物理)人だ」



P「他を当たろう」







時子「待ちなさい」



P「ひっ」



時子「貴方、今私と目が合ったのに一瞬で逸らしたわね」



時子「誰の許可があってこの私を無視したのかしら」



P「い、いえ。休憩中の時子さんの邪魔をするのは申し訳ないな、と」



時子「あら。ようやく脳味噌空っぽの貴方にも『気遣い』という単語の意味がわかり始めたようね。うれしいわ」



時子「貴方の成長のご褒美として、私の暇潰しの相手になる権利を与えるわ」



時子「さ、いらっしゃい。何を考えていたのか聞いてあげるから」



P「……捕まった」



時子「アァン?」



P「なんでもない」



時子「へえ、なるほどねえ」ニヤニヤ



時子「異性から人気が出ないから、浅ましくもアイドル達から情報収集を行っていた、と」ニヤニヤ



時子「その往生際の悪さはひとつの武器と言っていいわね」ニヤニヤ



P「……もう開き直るけど、時子さんからはなんか意見ない?」



時子「ククッ……この状況で罵倒されることを恐れず、私に問いを投げかけられるなんて。P、やはり貴方はいいわ。躾けがいがあると褒めてあげる」



P「喜ぶべきか否か……」



時子「いいわ。貴方の相談を受けてあげる」



時子「まずは……そうね、具体的にどういう女を捕まえたいのかしら?」



P「どういう女性を?」



時子「そうよ。Pが全方位の異性にモテるなんて天地がひっくり返っても不可能なのだから、範囲を絞って対策するのが当然でしょう」



P「その通りっすね」



時子「わかったら、ほら言ってごらんなさい。貴方はいったいどのような女に下衆い考えを抱くのかしら」



P「そんな言い方されると答える意欲が失せるんだが」



時子「事実でしょう。付き合いたい異性とはそういう劣情を抱く対象よ」



時子「とっとと吐きなさい。大丈夫よ、貴方がどんな性癖を持っていようと、私は引いたりしないわ」ニッコリ



P「爽やかな笑顔だけど、多分笑い飛ばす気満々だよね」



時子「ええ」



P「……まあいいや。正直に言います」



時子「素直な下僕は好きよ」



P「俺が好きな女性のタイプは……」







P「巨乳の人ですかね」



時子「チッ。死ねばいいのに」



P「素直に答えたのにひどい」



時子「脳に行く栄養が胸に行ってる奴は絶滅すればいいのよ。ついでにそんな女を崇めている男どもも一緒に」



P「どんだけ嫌ってるんだ……というか、別に時子さんも小さい方じゃないのに」



時子「黙りなさい。それ以上無駄口を叩けないようにしてやるわよ」



P「ひえっ」



時子「復唱しなさい。胸の大きさなんて関係ありません、と」



P「ええ〜?」



時子「復唱」ギロリ



P「……胸の大きさなんて関係ありません」



時子「次。時子様に一生服従を誓います」



P「時子様に一生……って、これ関係ないでしょう」



時子「チッ」



P「本気の舌打ちやめて」



30分後





P「疲れた」



P「お怒りの時子さんを鎮めるために、今度買い物の付き添いをすることになった」



P「『休日にひとりで買い物している』という視線を周囲から受けるのが癪に障るから、とのこと」



P「美嘉との約束とスケジュール被らないようにしないと……」



裕子「あ、プロデューサー!」



P「おお、裕子。レッスンは終わったのか?」



裕子「はい、今日もバッチリ頑張りました!」



P「そうか。元気がいいのは裕子のいいところだ」



裕子「元気と超能力には自信がありますのでっ」



P「ソウダナ」



裕子「ところでプロデューサー。先ほど小耳に挟んだのですが」



P「ん?」



裕子「プロデューサーの好みの女性が、20代前半で赤みががった長髪で抜群のプロポーションを誇る天才お嬢様だという噂は本当なんですか?」



P「うん、そういうことにさせられた」



裕子「??」



P「その後、他のアイドル数人にもいろいろと尋ねてみた」







亜子「やっぱり金銭面で安心させてくれる人っていうのは外せんなー」



亜子「あ、それはそうとして。今日一緒に帰らへん?」







輝子「フヒ……植物に理解のある人……」



輝子「トモダチが増えたから、今度見にくるか……?」



茜「やっぱり元気な人がいいですね!!」



茜「というわけでプロデューサー! 一緒に走りませんか!!」







友紀「プロデューサー! 前髪がFA宣言したって聞いたけど本当?」



友紀「え、違うの? まあいいや、それより今度一緒にキャッツの応援しに行こうよ!」







P「という感じで、いろんな意見をもらった」



未央「途中から単に好みの男のタイプ挙げてるだけになってるね」



未央「あと最後のは違わない?」



P「気にするな」



P「これらのアドバイスを参考にして、これから頑張っていこうと思うんだが……」



未央「思うんだが?」



P「それとは別に、ひとつ気づいたことがあってさ」



P「恋愛うんぬんは抜きにして、俺はみんなとそれなりに仲良くやれてるなー、と」



未央「あれ? 気づいてなかったんだ」



未央「みんな、プロデューサーがプロデューサーでよかったって思ってるよ」



P「それはうれしいな」



P「恋人ができないのは残念だけど、こうしてアイドル達と楽しくやれてるのは恵まれてるよ」



未央「そうそう。だからこの未央ちゃんにも感謝してよねー」



P「はいはい。ま、最初に担当した子だからな」



未央「じゃあ私、そろそろ帰るね」



P「気をつけてな」



未央「はーい」



P「……あ、そういえば」



P「未央の好みのタイプって、どんな人なんだ?」



未央「私? 私は、プロデューサーみたいな人かな」



未央「じゃ、また明日!」



P「ああ、また明日な」





ガチャ、バタン





P「………」





P「ん?」





おわり





16:30│モバマス 
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