2015年07月30日

雪歩「私の進む路」

【12/20(金) 学校】



ガラガラッ







女「あ、お雪おはよー!」



雪歩「おはよう」



女「ねえお雪! 冬休みだよ! 冬休み!!」



雪歩「て、テンション高いね……」



女「だって冬休みだよ!? クリスマスにお正月だよ!? イルミネーションとか」





ガラガラッ





先生「ほら、お前ら席につけ」



女「げ……」





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先生「冬休みだからといって、羽目を外すことのないよう……」ペラペラ





女「宿題だ、宿題……すっかり忘れてた……」



雪歩「あはは、大変だよね……」





先生「また、休み明けには進路希望調査も行う。 冬休み中に考えてくるように」



雪歩「……」



女「進路ぉ? うわー、どうしよ」



雪歩「そうだね……」



女「お雪は良いじゃん、アイドルなんだし」



雪歩「……」



女「お雪ー?」







雪歩(進路…………かぁ)



【事務所】



ガチャッ





雪歩「こんにちはー……」



小鳥「あら、雪歩ちゃ……え、雪歩ちゃん?」



雪歩「え?」



小鳥「今日、確か雪歩ちゃんは……」



雪歩「あ、えっと……オフなんですけど、ちょっと用事があって……」



小鳥「そうなの? てっきり私が間違えてたのかと……」





ガチャッ





真「こんにちはー、っと」



雪歩「あ、真ちゃん」



小鳥「2人は今日から冬休み?」



真「ハイ、そうです!」



小鳥「冬休み……イイ響きねぇ」



真「ホントですね、クリスマスにお正月、イルミネーションとか」



雪歩(さっきも聞いたような……)



小鳥「ここらへんだと駅前とか…………ああ、心が痛いわ……」



真「わあ、すいません! そういうつもりじゃ」



雪歩「……ねぇ、真ちゃん」



真「え?」







雪歩「レッスン……見学しても、いいかな?」



【レッスン場】



トレーナー「はーい、1、2、1、2」パンパン





春香「1、2、1……わわわっ!」



伊織「ちょっと春香、しっかりしなさいよね!」



春香「えへへ、ごめんごめん」



やよい「伊織ちゃん、そんなに怒らなくても……」



伊織「う……ドジった春香が悪いのよ!」



真「そんなこと言って……伊織、少し遅れてたよ?」



伊織「ウソっ!?」



律子「真はちょっと走ってたわね」



真「ウソっ!?」





トレーナー「疲れが見えるわね……よし、休憩にしましょうか」



雪歩「これ……買ってきましたぁ」



春香「おおー!」



やよい「ありがとうございますーっ!」





伊織「…………ぷはぁ」



律子「ふー……」





真「雪歩、足の調子はどう?」



雪歩「……大丈夫、かな」



真「そっか」



雪歩「……」



真「……ねぇ、雪歩」



雪歩「え?」



真「オフなのに、わざわざ見学に来るなんて……何かあったの?」



雪歩「……」



真「……」



雪歩「……冬休みの、宿題にね」



真「うん」



雪歩「進路を考えてこい、っていうのがあって……それで」



真「進路?」



雪歩「真ちゃんは……みんなは、どうするのかな……って」



真「進路……うーん、アイドルだからその場合……就職?」



雪歩「やっぱり、そうなるのかな……」



律子「アイドルします、って言えばいいんじゃないの?」



雪歩「わっ!?」



律子「何も、後ろめたいことじゃないんだから。 ビシッと宣言すりゃいいのよ」



真「律子……経験者は語る、だね」



律子「大抵、応援してくれるんじゃないかしら……あ」



雪歩「え?」



律子「もしかして、何か学びたい分野でもあるの? それなら、進学しても……」



雪歩「……」



春香「大学かー、もう勉強はしたくないなぁ……」



やよい「私はまず、高校受験頑張らなきゃかなーって」



伊織「大学受験……私には無縁ね」



真「なんで?」



伊織「だって、その頃にはトップアイドルになってるんだから……そんな時間は無いでしょ?」



律子「なるほど、伊織らしいわね」



雪歩「……」





トレーナー「千里の道も一歩から。 トップアイドルになるんなら、レッスン再開しますよ!」パンパン



「「はーい!」」



【事務所】



P「千早、今日の収録だけど」



千早「はい」



P「すごい良かったよ、でも少しトークが無愛想だったかな」



千早「無愛想……ですか?」



P「ああ。 はしゃげとは言わないけど、もっと……」





ガチャッ





雪歩「ただいま戻りましたー……」



P「おう……あれ、雪歩?」



雪歩「あ、プロデューサー」



P「ちょうど良かった、ちょっと時間いいか?」



雪歩「……え?」



【事務所・屋上】



P「うひー、やっぱ寒いなぁ。 ごめんな、こんなところで」



雪歩「……あ、あの」



P「ん?」



雪歩「よかったんですか? まだ、話の途中だったんじゃ……」



P「いや、大丈夫だよ」



雪歩「……」



P「千早はあれでよく考えてる。 あれこれ言わなくたって、自分でどうにかできるさ」



雪歩「そう、ですか」



P「雪歩の方はどうだ? 足の具合は」



雪歩「あ、えっと……大丈夫ですぅ」



P「そうか……しっかり歩けてるし、明日からレッスン再開だな」



雪歩「はい……」



P「まぁ、気にしなくてもいいさ。 足を挫くことだってある」



雪歩「……」



P「……そういえば、今日はまたどうして来たんだ? 家で休んでたっていいのに」



雪歩「……その、えっと、宿題で…………」



P「宿題?」



P「なるほどなぁ、進路か」



雪歩「はい……」



P「わざわざ他の皆に聞きに来るってことは、迷ってるのか?」



雪歩「……」



P「確かに、高校を卒業してアイドルに専念……っていうのが全てじゃない」



雪歩「……そうなんですか?」



P「ああ。 例えば、ウチのあずささんだって短大出てるしな」



雪歩「あぁ……」



P「雪歩がやりたいことがあるって言うなら、俺はそれを応援するよ」



雪歩「……」



P「……まぁ、冬休みの間にゆっくり考えればいいさ」



雪歩「……はい」



P「それはそうとして、いきなり仕事の話で悪いんだけど」



雪歩「は、はいっ!」



P「24日、オーディションが決まった。 961プロから誘いがあったんだ」



雪歩「961プロ……ですか?」



P「向こうは、四条貴音を参加させるそうだ」



雪歩「四条さん……」



P「24日だと、雪歩は2日連続でオーディションになるし……出来れば、無理はさせたくない」



雪歩「……」



P「でもな」



P「ここで勝利したときのリターンが大きいんだ。 ファンがグッと増えるし、次のランクも狙える」



P「まぁ、大学云々もあるし、変に焦らなくてもいいけどさ」



雪歩「……」



P「雪歩、いけるか?」



雪歩「……」



P「……」





雪歩「……その、私……正直、不安です……」



P「不安、か」



雪歩「四条さんみたいな、すごい人と戦っても、私なんかじゃ勝てないかも……」



雪歩「私、皆のレッスンを見て思ったんです。 ……すごいなぁ、って」



P「すごい?」



雪歩「皆すごく前向きで、夢があって……あんな人たちがトップアイドルになるんだろうなぁ、って」



P「……」



雪歩「私なんか、鈍くさくて、ノロマで……」



P「雪歩」



雪歩「え?」



P「そう卑下するなよ。 俺は……いや、雪歩」







P「本当はもう……分かってるんじゃないのか?」



【12/21(土) 事務所】



ガチャッ





雪歩「おはようございます……」



小鳥「おはよう雪歩ちゃん、今日はレッスンよね?」



雪歩「あ、はい……?」



P「悪いな雪歩、音無さんが物忘れ激しいみたいで」



小鳥「いやいや! 流石に物忘れって年じゃないですよ!?」





ガチャッ





真「おはようございまーすっ」



P「おっ、真」



P「知ってると思うが、2人は明後日にオーディションがある」



真「ハイ」



P「雪歩は、24日もだな」



雪歩「はい」



P「雪歩は一応怪我明けだし、大事なレッスンだから俺もついて行きたいんだけど……」



雪歩「……?」





ガチャッ





亜美「にゃんぱす→!」



真美「やっはろ→兄ちゃん!」



P「おはよう、パクリはやめろパクリは」



真美「リス&ペストだYO!」



P「リスペクトって言いたいのか?」





真「ああ、なるほどね……」



【レッスン場】



トレーナー「はーい、1、2、1、2」パンパン





真「1、2、1、2……」



雪歩「1、2、1、2……っととっ」





トレーナー「ストップストップ! ちょっと萩原さん?」



雪歩「は、はいっ」



トレーナー「あなた、足はもう大丈夫なのよね?」



雪歩「はい……」



トレーナー「それなら、もっと思い切ってやってちょうだい」



雪歩「はい……すいません……」



真「はい雪歩、これ」



雪歩「あ、ありがとう……」





雪歩「……っぷはぁ」



真「しっかし、トレーナーさんもきっついよなぁ……雪歩、怪我明けなのに」



雪歩「真ちゃん」



真「うん?」



雪歩「真ちゃんは……」



真「うん」





雪歩「………………何でもない」



真「? 変なの」



【12/22(日) 駅前】



P「あずささーん! あずささん聞こえますかーっ!!」





P「電話は……くそっ、出ないか」



P「全くもう、あの人は……短大で何を学んだんだよ……」





P「あずささーん! あずささんいらっしゃいませんかーっ!!」





P「ここじゃないのか……うーん、もっと範囲を広く探した方がいいか」



P「一刻も早くGPSを……ん? あれは……」







貴音「……」



P「何やってるんだ、銀髪の王女様?」



貴音「……あなた様」



P「見たとこ、仕事じゃなさそうだけど」



貴音「はい、少々野鳥の観察をと思いまして」



P「はい?」



貴音「この度、わたくしが主演するドラマの役作りですよ。 またぎ役ですから」



P「そ、そうか……961プロも仕事選ばないな……」



貴音「選ばない……ですか。 いい役ですよ?」



P「うん……まぁ、似合うとは思う」



P「あ、そういえば貴音」



貴音「はい?」



P「961プロとのオーディション……受けることにしたよ」



貴音「……萩原雪歩、ですか」



P「ああ。 そろそろお前を追い越す頃さ」



貴音「……」



P「それで、勝ってあいつの誕生日に華を」



貴音「あなた様」



P「うん?」





貴音「何か……隠し事をなさっていませんか?」



P「隠し事……? 何をだ?」



貴音「今のあなた様からは……覇気が感じられません。 自信に漲った、あの気が」



P「……」



貴音「何か不安なことでも?」



P「……まったく、恐ろしい子だな」



貴音「……」



P「貴音だから、正直に言うけど。 ……最近、雪歩が自信を失くしてるんだ」



貴音「萩原雪歩が……」



P「あいつには、ポテンシャルはあると思ってる。 後は……メンタル次第、なんだけど」



貴音「……ふふっ」



P「え?」



貴音「まこと、あなた様は気にかけているのですね……萩原雪歩を」



P「ウチのアイドルだからな」



貴音「きっと、杞憂に終わると思いますよ」



P「そうだといいんだけど……っと、電話だ」







P「もしもし? ……あ、あずささん!?」



P「今どこですか? 動かないで!! そこから動かないで下さい!」



P「はい……はい、八百屋ですね、分かりました今行きます!」







P「ありがとう貴音……って、居ないし」



【萩原家】



雪歩「……」





――『後ろめたいことじゃないんだから』――



――『その頃にはトップアイドルに』――





雪歩「……」



雪歩(私は…………)





――『本当はもう……』――







「雪歩ー! ご飯よー!」



雪歩「あ、はーい!」



【12/23(月) オーディション会場】



P「来たな、2人とも」



真「ハイ!」



雪歩「……はい」



P「一応、今日の流れを確認しとくか?」



真「ボクが5階、雪歩は3階ですよね!」



P「よし、それだけ分かってれば大丈夫だ」





P「じゃあ頼んだぞ! 行ってこい!」ポン



真「ハイ! 行ってきます!」





P「……それじゃ、俺たちも行こうか」



雪歩「……はい」



P「あのさ、雪歩」



雪歩「はい」



P「俺は……ネガティブっていうのも悪くないと思ってる」



雪歩「悪くない……ですか?」



P「一歩止まって、自分を見つめられるってことだからな」



雪歩「……」



P「熱くなって自分を見失う……雪歩には、それがないんだ」



雪歩「自分を……見つめる……」



P「さぁ、頑張ってこい!」ポン





雪歩「……はいっ」



雪歩「言いたいことさえ 言えない私だけれど」





雪歩(私は……)





雪歩「もし恋愛するなら 第一候補はいるの」





雪歩(私は、いつか…………)





雪歩「あと少しだけ前に出て 言葉掛けられたならば・・・」



雪歩「手を伸ばしたら届くほど 近い存在なだけに・・・」





雪歩(いつか……トップアイドルに……)





雪歩「It's my first sta……っ!」ガッ









雪歩(トップアイドルに……なれるの?)







「それ以外の方はお帰り下さい――」





雪歩「…………」



P「……この前、挫いたところだな。 大丈夫か?」



雪歩「……はい」



P「そうか、良かった」



雪歩「…………」



P「まぁ、そう落ち込むことはないさ。 これも貴重な経験だ」



雪歩「…………」



P「今日の反省は、明日に生かそう。 ……勝つぞ」





P「じゃ……真を連れてくるから、ちょっと待っててくれ」



雪歩「…………」



真「もう、遅いですよプロデューサー!」



P「いや、悪い悪い。 どうだった?」



真「……へへっ」ビシッ



P「おお! やったな、おめでとう!」



真「収録、明日だそうです」



P「ん。 空けてあるぞ」



真「おお! たまにはやるじゃないですか!」



P「たまにはは余計だ」



真「……でも、パーティに間に合うかな……」



P「それなら車出すぞ?」



真「おお! たまにはやr」



P「うっせ!」





真「ゆーきほっ! どうだったー?」



P「あ、真……雪歩は」



真「…………え?」



P「ん?」







P「雪歩が…………いない?」



真「プロデューサー……雪歩は」



P「負けた。 ……転んだんだ」



真「それで……?」



P「……」



真「それで雪歩は、どこに行ったって言うんですか!!」バン



P「落ち着け、真」





P「多分、どこかに埋まってるんだ……二手に分かれよう」



真「……ハイ」



P「雪歩ー! 雪歩いるかー!?」



P「くそっ……なんで、ウチの人は皆どっか行っちゃうんだ……」



P「雪歩ー! 雪歩聞こえるかー!?」







真「雪歩ー! ゆきほー!!」



真(どこに行ったんだ……そう遠くないはずなんだけど)



真「……」



真(駅前……あっ)





真「……イルミネーション?」



【駅前】



真「……ここにいたんだ、雪歩」



雪歩「……」



真「イルミネーションのすぐ近くだなんて……灯台下暗し、だったっけ?」



雪歩「……」



真「プロデューサーも心配してる。 帰ろう、雪歩」



雪歩「……ねぇ、真ちゃん」



真「え?」



雪歩「真ちゃんは……オーディション、どうだった?」



真「……勝った、よ」



雪歩「そっか……」



雪歩「私ね、また転んじゃったんだ。 この前と同じところ」



雪歩「ダメ……だよね、トレーナーさんにも、言われてたのに」



真「……」



雪歩「私……ダメダメで、ドジで、ノロマで、ひんそーでひんにゅーでちんちくりんで」



雪歩「アイドルになんて向いてない……トップアイドルになんて、なれないよ」



真「そんなこと……ないよ」



雪歩「何が?」



真「……えっ」



雪歩「何が分かるの? ……真ちゃんに私の、私の何が分かるっていうの? ねぇ、真ちゃん」



真「雪歩……」



雪歩「レッスンも上手くできて、オーディションにも勝てて」



雪歩「夢を……夢を見てる、そんな真ちゃんに」



真「……」



雪歩「そんな真ちゃんに、私の気持ちなんて……分かんないよ」



真「雪歩……ボクは」



「待ちなさい」



真「えっ?」







貴音「そこで何をしているのです…………萩原雪歩」



真「キミは……確か」



雪歩「四条さん……」



貴音「……どうやら、あの方の言う通りのようですね」



雪歩「……何しに来たんですか」



貴音「いえ、偶々通りすがったのです。 萩原雪歩、あなたの声が聞こえたので」





貴音「あなたは言っていましたね。 ……私の気持ちなんて分からない、と」



雪歩「それは……四条さんだって、同じです」



貴音「そうでしょうか?」



雪歩「……」



貴音「人は弱いものです。 わたくしも、菊地真も」



真「……」



貴音「人は皆平等です。 ……萩原雪歩、あなたも夢を追っていいのですよ」



雪歩「そんなの、嘘です」



貴音「……」



雪歩「夢を追って……その先は? 皆がトップアイドルになれるんですか……?」



真「……雪歩」



貴音「そうですね、語弊がありました」



貴音「人は皆夢を見る……ですが、その夢が叶うのかは、分かりません」



雪歩「それじゃ」



貴音「ですが。 わたくしは、トップアイドルになります」



雪歩「……え?」



貴音「菊地真も、そう思っていることでしょう」



雪歩「でも……叶うのかは、分からないって……」



貴音「分かりません。 ……それでも、叶うと信じています」





貴音「一途に信じて行動する……それが、努力というものです」





雪歩「……四条、さん」



貴音「萩原雪歩」



雪歩「……」





――『本当は……』――







貴音「あなたも本当は……分かっているのではありませんか?」







P「おーい! 雪歩ーーー!!」



雪歩「……プロデューサー」



P「はぁっ、はぁっ……こんなとこにいたのか……」



雪歩「ごめんなさい、プロデューサー。 迷惑かけちゃって……」



P「いや、いいんだ、雪歩が無事なら……真」



真「え?」



P「電話、ありがとう。 助かった」



真「あ、お礼なら……貴音さんに……」



P「貴音ぇ?」



響「探したぞ、貴音ー。 何やってたんだ?」



貴音「いえ……いるみねーしょんなる物を、少々」



響「イルミネーション? 駅前の?」



貴音「はい、鹿狩りの参考にと思いまして」



響「……それ、もしかしてトナカイのこと言ってるのか……?」



美希「ねぇ、貴音?」



貴音「はい」



美希「なんか貴音、嬉しそうなの。 ウソついてない?」



貴音「……ふふっ、そんなことはございませんよ」



美希「ますます怪しいの……」



【12/24(火) オーディション会場】



P「よし、来たな、2人とも」



真「ハイ!」



P「一応、今日の流れを確認しとくか?」



真「ボクは収録、雪歩はオーディションですよね!」



P「ああ……雪歩、そっちは1人で大丈夫か?」



雪歩「はい、大丈夫ですっ!」



P「……よし、頼んだぞ!」ポン





雪歩「…………はいっ!」



雪歩「四条さん」



貴音「……萩原雪歩」



雪歩「昨日は……ありがとうございました」



貴音「いえ、わたくしは……当然のことをしたまでですよ」



雪歩「四条さん……」



貴音「まこと、良い顔をしていますね、萩原雪歩。 オーディションが楽しみです」



雪歩「あ、あの……それから」



貴音「何でしょうか?」







雪歩「今日は……勝ってみせます」



雪歩「言いたいことさえ 言えない私だけれど」





雪歩(私、本当は……)





雪歩「もし恋愛するなら 第一候補はいるの」





雪歩(本当は……分かってた)





雪歩「あと少しだけ前に出て 言葉掛けられたならば・・・」



雪歩「手を伸ばしたら届くほど 近い存在なだけに・・・」





雪歩(分かってたんだ……逃げてるだけだって)





雪歩「It's my first stage」







雪歩(辛いこととか、嫌なことから……逃げてるだけだったんだって――――)



「では、発表します。 合格者は……」





雪歩「……」



貴音「……」





「①番の方! おめでとうございます!」





貴音「……」





「それ以外の方は、お帰り下さい――」





雪歩「…………」



貴音「萩原雪歩」



雪歩「えっ?」



貴音「駅前で、待っていて下さい」



【駅前】



雪歩「……あ、四条さん」



貴音「申し訳ありません、打ち合わせが長引いてしまったので……」



雪歩「あ、いえ、そんな」



貴音「……やはり、良い顔をしていますね」



雪歩「え?」



貴音「敗北した後だというのに……昨日のような、落ち込んだ雰囲気がありませんから」



雪歩「えと、それは……昨日の今日じゃ、多分、勝てないだろうなって思ってて……」



貴音「はい」



雪歩「それで……思ったより平気、なのかもです」



貴音「萩原雪歩、やはりあなたは……」



雪歩「あ、あの!」



貴音「はい?」



雪歩「あの……そのっ、えと」



貴音「……どうしたのです?」



雪歩「えっと…………雪歩、って呼んで下さい……」



貴音「……面妖な」



雪歩「イヤですか? すいません、私なんかが」



貴音「いえ、大丈夫ですよ……雪歩」



雪歩「……えへへ」



貴音「あのお方から、本日は雪歩の誕生日であると伺いました」



雪歩(プ、プロデューサーかな……)



貴音「おめでとうございます。 そこで、わたくしからこれを……受け取って下さい」



雪歩「あ、ありがとうございます……あの、開けてもいいですか?」



貴音「構いませんよ」



雪歩「それじゃ……」ビリビリッ



貴音「……どうでしたか?」



雪歩「………………えっと、その、これは」



貴音「ちゃんちゃんこです」



雪歩(どうしよう……喜んでいいのかな……)



雪歩「えっと、その……使いますねっ」



貴音「そうですか……まこと、ありがとうございます」



雪歩「……あの」



貴音「何でしょう?」



雪歩「私、これから……頑張ってレッスンします。 もう、逃げません」



貴音「……」



雪歩「それで……えっと、四条さん」



貴音「はい」







雪歩「次は、勝ちます」



P「おーい! 雪歩ー!」



雪歩「あ、プロデュ」



真「ゆーきほっ!」ガバッ



雪歩「真ちゃん……」



P「悪いな、待たせちゃって。 そっちはどうだった?」



雪歩「あの……負けちゃいました」



P「……そっか」



真「アレ、雪歩……これ何?」



雪歩「ちゃんちゃんこ」



真「えっ?」



ブロロロ…





P「いやー、しかし、パーティには間に合いそうでよかったなぁ」



真「ホントですねー、主役が遅刻なんてしたら大変ですし」



P「真なんか、めっちゃ頑張ってプレゼント選んだのになぁ」



真「わあ、ちょっと! 何言ってんですかプロデューサー!」



雪歩「……ふふっ」



P「……雪歩、何かいいことでもあったか?」



真「そりゃ今日が誕生日なんですから、いいことに決まってますよ」



P「それもそうか」



雪歩「あの……プロデューサー、真ちゃん」



P「ん?」



真「なに?」





雪歩「私の進路……決めました。 私――」











雪歩「――――トップアイドルになります」













09:30│萩原雪歩 
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