2015年08月11日

北条加蓮「もう一度だけ、夢を見て」

無課金Pによる総選挙応援SS、緊張の第2弾。

前作:モバP「小悪魔夕美とハロウィン」(貼れてるかな)

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428392587



注意として、筆者は男性ですが今回のPは女性にしました。



そしてやまなしオチなし、公式台詞多めに加え、独自設定や解釈、

時系列の変動など盛りだくさんです。それでもよろしければお付き合いを。

書き溜めはありますが、長いので途中休憩入るかも…?





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1428470587



ーレッスン場ー



(女性モバP、以下P)「よし、そこまでにしておこっか」



加蓮「えぇ〜、まだやれるってば、ほら…っとと…」ふらっ



P「無理しないの。詰め込んだって体調崩したら大変なんだから」だきっ



加蓮「あ…ありがと…」



北条加蓮。私の、初めての担当アイドル。



ここ数月、ずっと一緒にレッスンやライブをこなしてきたけど…。



いまだに危なっかしさが抜けない。



…ううん、別に上手いとか下手とか、そういうことを言ってるんじゃなくて。



加蓮「う…っ…! けほっ! はぁ…はぁ…」



P「だ、大丈夫⁉︎ …ほら、ゆっくり息を吐いて…深呼吸」さすさす



加蓮「はあ…すう…っ…はぁ、はぁ…っ…はあ…」



加蓮「ダメだなあ…頭では…わかってるのに…」



加蓮「身体、ついていかなくて…ごめんね…」



P「ゆっくりで、いいんだよ。 落ち着いたら、今日はもうお終いにしよ。…ね」



そう。彼女は、身体が弱い。



こんな風に、ちょっと無理をしただけで倒れてしまいそうになるくらいに。





ーーーー

ー数ヶ月前、2回目のレッスンー



P「ちょっと休憩にしよっか。 …ねえ、北条さん」



加蓮「なに…? 」ギロリ



P「うっ…そんな睨まなくても…あの、随分きつそうだけど…」



加蓮「…ちゃんといるだけいいっしょ? サボってるわけじゃないんだし」



P「いや、それはそう…なんだけどさ、えっと…」



加蓮「基礎体力に問題があるのなんて、見たらわかるでしょ…?」



加蓮「アイドルのレッスンなんて、ついていける身体じゃないって」



P「……うん、それは…昨日のレッスンでなんとなく、そうじゃないかなとは、思ってたけど」



加蓮「まあ…言わなかった私も悪いんだけど…」



加蓮「私だって、自分の身体がここまでポンコツなんて思ってなかったしね…」



P「ポンコツって、そんな言い方…」



加蓮「他に例えようがないし。…体育の授業とか、いつも見学だったしね…」



P「そ、そんなに…?」



P「じゃあ、会った時に言ってた、特訓とか下積みとかキャラじゃない、って言うのは…」



加蓮「まあ…そういうこと、かな…体力ないの。昔、入院してたから」



P(これは…いきなりハードな子を受け持っちゃったかな…?)



P(これで本人にやる気がないのなら…最悪、再選考しないと…)



加蓮「…よし、だいぶ落ち着いてきた…ねえ」



P「えっ、な、何かな」



加蓮「…………」じっ



P「……?」



加蓮「まぁ…仕方ない、か」ぼそっ



P「北条さん…?」



加蓮「なんでもない。ね、走り込み、付き合ってくれない?」



P「走り込みって…北条さん、身体は…」



加蓮「楽になってきたし、ヘーキ。 それより…」



加蓮「せっかく振り付けもらえる、とかなった時にさ、踊れないんじゃ悔しいじゃない」



加蓮「だから、体力付けないと。」



P「それで…走り込み?」



加蓮「アンタも付いてきてよ。…アイドルが道でぶっ倒れたら、困るでしょ?」にこっ



P「……あ…。」



P(すごく、かわいい笑顔…こんな表情もできるんだ…)



加蓮「ねえ、どうなの? ついてきてくれる?」

P(この子…本当はもしかすると……)



P「…ふふっ、あはははははっ」



加蓮「…?」



P「ううん、なんでもない。いいよ、一緒にいこっか、走り込み。」



加蓮「ん。 じゃあちょっと準備してくるから、待ってて」たたた…



なんとなく、だけど確信があった。この子、



きっとすごいアイドルになるんじゃないか、って。



それと…実は案外、根は優しい、いい子なんじゃないかなぁって。



ーーーーー



それからしばらくして。



彼女と一緒にレッスンを重ねて、



じゃあオーディション出てみよっか、と私の提案もあり、試しにと受けたオーディション。



手元にあるのは、不合格の通知。私は今から、その結果を伝えなきゃいけないんだけど。



P「気が、重いなあ…」



言い出したのは私だし、きっと合格できるだろう。



贔屓目抜きで、そう考えていたんだけど…



不合格。



P「はあ…」



ため息が漏れる。 どうやって伝えよ。 帰ったら…ダメだよね、うん。



加蓮「おはよ。オーディション、落ちたんだってね。」



P「おはよ…って、ええ⁉︎」



なんで知ってるの、と聞くと、ちひろさんがさっき話してくれたんだよ、と北条さん。



鬼か、あの人は。



加蓮「プロデューサーさんは加蓮ちゃんが合格するって本気で信じてたんだから、



辛いだろうけど責めないであげてくださいね、だって。



別にそんなつもりなかったけどね。」



天使か、あの人は。



P「その…北条さんは…」



加蓮「悔しいよ、正直ムカつくし。」



P「う…それは…その…ごめんね」



加蓮「アンタじゃないよ。…ムカつくのは、私自身」



P「え…」



加蓮「次は負けないから。 それだけ。 …じゃ、レッスンしよっか。今日もよろしくね」



P「…うん、よろしくね」ぎゅっ



加蓮「え…、手…」



P「へ? あ、わわ、ごめんなさい、つい」ぱっ



気づくと私は彼女の手を両手で握りしめていたらしく。



慌てて手を離したら、別にいいのに、と笑われてしまった。



うう…なんか私ばっかり恥ずかしいような…気のせいかな…?







ーーーーー



加蓮「あーあーあーあーあー…」



基礎を固める、という方針でレッスンを組んでいるので、



ボイトレはほぼ毎回やるようにしている。



今日はボーカルレッスンなので、特に重点的に。



加蓮「あーあーあーあー…うっ」



P「大丈夫?」たたっ



加蓮「だ…大丈夫、ちょっと酸欠気味なだけだから…」



P「でも…」



加蓮「本当に、大丈夫だから」



P「北条さん…」



ーーーーー

加蓮「ちゃんと声を出すのって、こんなにハードなんだね…知らなかったよ」



P「無理はしないでいいからね…焦らず行こう、ね」



レッスン場の隅に二人して腰を下ろす。



とりあえず落ち着くまで、話でもしよっか、と提案してみたんだけど。



意外とすんなり「わかった」って言ってくれて、ちょっとびっくりしてたり。



加蓮「無理すると、うるさいから。無理しないでやっていくよ、親にも言われてるし」



あはは…北条さんらしいというか。



加蓮「ねえ、アンタからは…」



P「ん?」



加蓮「…プロデューサーからは、何か感想とか、ないの?」

P「あ……」



加蓮「ここを、こうしたら…とかさ…プロデューサー?」



P「…う、ううん、えっと、感想、感想ね…えっと」



加蓮「……?………ああ」



P(今、プロ、プロデューサーって…)



P「えっと…その、北条さんはさ、その」



加蓮「加蓮」



P「え…?」



加蓮「名前で呼んでよ。その方がやりやすいし。」



加蓮「…じゃないと、私だけだとなんか…はずいし」



P「北条さん…」



加蓮「ほら、なんかないの、感想とかさ」



P「う、うん…えっと、加蓮ちゃん…

加蓮ちゃんはね、もっと笑顔を意識してみたらいいんじゃないかな」



加蓮「笑顔? 私が?」



P「うん。せっかくかわいい顔なんだから…笑わなくっちゃもったいないよ?」



加蓮「かわっ…⁉︎」



北条さん…加蓮ちゃんは目を白黒させて驚いてる。



言われ慣れてないのかな。すごくかわいいと思うんだけど。



加蓮「えっと…その、そもそも私、そんな笑顔とかって苦手っていうかさ…」



P「…? どうして?」



とてもそうは思えないんだけどなぁ…



加蓮「なんて言うのかな…私ってほら、無愛想だし」



P「そうかなぁ? そんなことないと思うんだけど…」



加蓮「それは…ほら、プロデューサーには取り繕う必要とかないっていうか…」



加蓮「私って、基本人前では感情を表に出さないようにしてるんだよね…

目立ってもいいことないし」



P「……?」



加蓮「いじられたりとか、嫌でしょ? よく知りもしない相手にさ。

だから、なるべくそういうの…見せたくないっていうか」



P「よく知らないって言ったって、クラスメイトとか友達とか、知ってる人だってたくさん…」



加蓮「それが、いないんだよね〜…どっちかっていうと病院の方が長いし、

学校行っても保健室で過ごすことがほとんどだからさ、うまくいかないっていうか」



P「あ…ごめん…」



加蓮「いいって、別にプロデューサーが悪いわけじゃないじゃん。

聞いてほしいから喋ってるんだし」



P「加蓮ちゃん…」



ーーーーーーーー



ー数週間後、レッスン場ー



加蓮「あ、そういえば…この前トレーナーさんのレッスンでね、褒められたんだよ」



P「トレーナーさんに? なんて?」



加蓮「声が綺麗ですねって。別に褒められたくてやってるわけじゃないけどさ。

こういうの…なんか、嬉しいね」



P「声かぁ…私も、加蓮ちゃんの歌声、好きだな、なんて言うか、うん、

透き通ってる感じで。」



加蓮「無理に持ち上げないでいいって。課題だって見つかったし、これからだからさ」



P「課題?」



加蓮「体力無いから声が安定しないんだって。」



P「ああ…」



P(そう、声質自体はすごくいいものを持ってる。

けど、振れ幅が大きすぎて、正直、まだまだな部分が大きいんだよね…)



加蓮「プロデューサー、それで引っかかってたんでしょ、顔に出てたよ」



P「う…マジですか」



加蓮「あーあ、ウケるよね、

ちゃんと生きるのサボってたツケがこんなところでくるなんてさー」



P「加蓮ちゃん!」



加蓮「えっ…」



P「そんな…自分の事、投げ出したように言うのは…よくないよ」



加蓮「………」



P「ごめん…私が言えたクチじゃないのは、わかってるけどさ…」



P「寂しいじゃない。そんな風に言われると…」



加蓮「あ…」



加蓮「………プロデューサー」



P「……うん」



加蓮「ありがと…その、怒ってくれるんだね、プロデューサーは」



P「当たり前じゃない、仲間だよ、私たち」



加蓮「仲間…」



P「アイドルとプロデューサー、ってだけじゃないの。



私はあなたをトップアイドルにするって決めてるんだから。



だったら、仲間だよ。

仲間の心配するのは…当たり前じゃないのかな」



加蓮「そんな風に、言ってくれるんだ…」



加蓮「…ふふ、そっか…仲間、なんだ。…初めてかも、そういうのって」



P「…これからもっとたくさん、そういう『初めて』が増えていくよ。

私、加蓮ちゃんとなら、きっとトップまで行けるって信じてるから。」



加蓮「そっか…。 じゃあ、それまでエスコート、お願いしても…いいかな」



P「おう、どんとこーい!…って、私、女なんだけどな…」



加蓮「あはは、そういえばそうだったね。 プロデューサー、

なんかたまーに男らしいから、つい」



P「うう…胸か、胸がないのがいかんのか…」



毎日牛乳飲んでるのに。 どーせ身長も胸も小さいですよ…うう…。



ーさらに数週間後、レッスン場ー



P「わあっ、すごいすごい! 加蓮ちゃん、バッチリ言われた通りにできてるよ!」



加蓮「もう、子供じゃないんだから…大丈夫だよ、ふふっ」



P「もう笑顔も完璧じゃない? って言うか、他の表情も…思わず見入っちゃったもん」



加蓮「なんか面白いね、表現のレッスン。 アイドルって色々なことやるんだなぁ…」



P「その様子だと、ヴィジュアルレッスンはもうバッチリって感じかな?」



加蓮「うん…わりと得意…てゆーか、得意だね、うん」





P「おっ、言い切ったね?」



加蓮「こういうの、色々見てきたからかな、それが生きてる気がする、って言うか」



P「色々?」



加蓮「あー…まあ、その話は長くなりそうだし……あ」



加蓮「ねえ、おなかすかない? 帰りに何か食べていきたいんだけど、

プロデューサー、どう?」



P「いいね〜。 で、何にする? あんまり高くなければお姉さんおごっちゃるぞ〜」



加蓮「ぷっ、なんかジジむさいよプロデューサー」



P「で、何にしますかい? お財布に優しいとこだと嬉しいんだけどなー」



加蓮「んー…お財布には優しいんじゃないかな、軽く食べるだけだし」



P「軽く? ラーメンとか?」



加蓮「女の人でラーメンを軽く…なんてプロデューサー、ますます男っぽいよ」



P「そうかなぁ? 普通に女の子来てるけどなあ…」



P(そう言えばこの前すっごい綺麗な髪の子が来てたなあ…どこかで見た気がするんだけど)



ーーーーーー



ー某所ー



銀髪の女性「くしゅん!」



銀髪の女性「…はて…誰か噂でもしているのでしょうか…」



ーーーーーー



ー少しして、ファーストフード店ー



「「いらっしゃいませー」」



P「意外…加蓮ちゃんこういうお店とか来るんだ…」



加蓮「別に、そう不思議がることもないと思うけどね」



加蓮「あ、これとこれください、ポテトとシェーク付きで。 プロデューサーは?」



P「んー…どれも美味しそうで…悩む」



加蓮「なら、私の半分食べれば? そのかわり、そっちのも半分もらうの。どう?」



P「その案採用! じゃ、私はこれとこれとこれとー♪」



加蓮「ちょ、食べ過ぎじゃない⁉︎」



P「ダメぇ?」←加蓮初期台詞風



加蓮「うっわー、それやられると結構腹たつんだね、知らなかった」



P「じゃ、このへんで勘弁しといてやるか♪」



加蓮「私と違ってプロデューサーはレッスンもないんだし、気をつけないと太るよ?」



P「美味しいから大丈夫だよ!」



加蓮「な、何それ」



P「なんか最近ウチで流行ってるんだって、これ」



加蓮(何が大丈夫なんだろう…)



ーーーーーー



P「さて、席にもついて、注文も全部揃ったことですし」



加蓮「じゃ、食べよっか。はい半分」



P「うむ、くるしゅうないぞよ」



加蓮「なにキャラなの、プロデューサー」



P「さあ? 自分でもわかんない♪ うん、美味しい!

こういうの、なんかテンション上がっちゃうんだー」



加蓮「テキトーだなあ…」



P「ところが、ちゃんと大事なとこは覚えてるんですね、これが」



加蓮「あー…話さなきゃ、ダメ。 やっぱり。」



P「…言いにくい話なら、無理に聞いたりしないけどね」



加蓮「言いにくくないけど…引かないでね?」



P「うん、引かない引かない」もぐもぐ



加蓮「…ふふ、本当、いい意味でテキトーって言うか、なんか力抜けるね」



加蓮「簡単な話だよ。入院してる間、ずーっと暇だったからさ」



加蓮「それこそぷち引きこもり? …まあそんな感じで。

テレビが友達、って感じだったんだよね」



P「テレビが?」



加蓮「うん。映画とかドラマとか…アニメとかバラエティとか。」



加蓮「どんな番組も見てたから、表情豊かな人って面白いなーって思ってたんだ。」



加蓮「それが今、生きてるのかな、って。怪我の功名、っていうのかな」



加蓮「って、これじゃブラックジョークだよね、あははっ!」



P「加蓮ちゃん…」



加蓮「平気だよ、これが私のスタンダードだから」



加蓮「話しておいてなんだけどさ、あんまり重く考えられるとこっちも困るっていうか…

アレ、私すごい自分勝手言ってる?」



P「言ってる言ってる」もぐもぐ



加蓮「…ごめんね、こうしないと、もたないからさ」



加蓮「…ありがと、そんな風におちゃらけてくれて」



P「………」よしよし



加蓮「ちょ、ここお店っ! 頭、恥ずかしいってば…」



P「美味しいから大丈夫だよ」



加蓮「私は全然大丈夫じゃない⁉︎」



P(強がりさんめ。大人しく私に撫でられるといい)



ー帰りの車内ー



P「美味しかったね、結構久しぶりに食べたなぁ、ああいうの」



加蓮「そうなんだ? 私、結構よく食べるんだよね、ファーストフードとかスナック菓子とか」



P「太るよー」



加蓮「う…しょうがないでしょ、定期的に食べたくなるんだから」



加蓮「一応、最近はレッスンもしてるし…それに、ああいうの、憧れだったからさ」



P「憧れ? ハンバーガーが?」



加蓮「病院食ばかりだったからさ、薄味だし、味気ないし…

テレビのCMとかでああいうの見ると、いいなーって思ってたよ」



加蓮「身体がそれなりに丈夫になってから、お小遣い握りしめて…買って食べたっけ」



加蓮「なんていうのかな、感動しちゃって。

ハンバーガーとかでいちいち感動しちゃうんだもん、

周りの話とか、付いていけるわけもなくってさ」



加蓮「甘えても…優しくしてくれるのは最初だけ…だから」



加蓮「おかげで、この顔に貼り付いた無愛想は…なかなか剥がれ落ちてくれないみたい」



P「私の前だと、加蓮ちゃん笑顔だと思うけどなぁ」



加蓮「アンタの…プロデューサーの前では、ね。 気が抜けるっていうか…

変に気を使ったりとか、ないからじゃないかな」



P「そっか…。 って、なんか微妙に失礼じゃなかったかい」



加蓮「そうだっけ? あ、次の角、左ね」



P「へいへーい」



ーーーーーーー



ーそれからしばらくして、学校で加蓮ちゃんが倒れた、と連絡が入った。ー



ー加蓮宅ー



P「加蓮ちゃんは…」



加蓮母「ぐっすり眠ってます。…あなたが、加蓮のプロデューサーの方?」



P「え、ええ、まあ」



加蓮母「そうかしこまらないでいいのよ。そうね…せっかくだし、少しお話しましょうか」



加蓮母「加蓮ね、今までは授業とか、休みがちだったの。

だから、色々な面で遅れが出ていて…」



P「…………」



加蓮母「それ自体はね、私は気にしてないの。

あの子、勉強なんてやる必要感じない、とか言ってきかないし…

成績より、もっと大切なことってあると思うから」



P「けど…私もそれはそう、思いますけど、やっぱり…」



加蓮母「それが、この前までの話。」



P「……へ?」



加蓮母「最近、あの子すごいのよ。 アイドルのレッスンだってあるはずなのに、授業もしっかり出て…見学続きだった体育にも、自分から出してくださいって頼んだんですって」



P「加蓮ちゃんが…」



加蓮「誰かさんのせいでね…逃げてる自分がバカらしくなってさ」ふら…



P「加蓮ちゃん! ダメでしょ起きてきちゃ…」



加蓮「お母さんペラペラしゃべりすぎるから…けほ、けほっ」



加蓮母「アンタに任せてたらいつまで経っても話さないでしょ。

いいから、大人しくして、寝てなさい」



加蓮「うう…あとでひどいからね…」ふらふら…



加蓮母「まったく、あの子ったら…昔からああなんですよ。

素直過ぎると言いますか…」



P「素直? 加蓮ちゃんが?」



加蓮母「ええ、わりと顔や行動に出ちゃうんですよ。

本人は隠してるつもりなんでしょうけどね。」



P「へえ…加蓮ちゃんが、ねえ」



P(なんか、イマイチピンとこないなあ…)



P「あ、そうだ…お見舞いに、ゼリーとかプリン、買って来たんだった…車に置きっぱだ」



加蓮母「あら…それでしたら」



ーーーーーーー



ー加蓮の部屋ー



加蓮「はあ…お母さん…変なこととか喋ってないといいけど…」



加蓮「…こんな風に倒れるの、どれくらいぶりだろ」



加蓮「ちょっとは丈夫になったと思ったんだけどな…あーあ」



P「入るよー」がちゃっ



加蓮「ちょ、プロデューサー⁉︎」



P「ん?」



加蓮「ノックくらいしようよ…」



P「あ、ごめん、寝てるかなって思って…」



加蓮「もう…っていうか、その袋…」



P「これ? 私からのプレゼントフォーユー…っと」どさっ!

加蓮「そ、それはわかるんだけど…」



P「えーっと、ゼリーとかプリンとか…あと、バナナでしょ、栄養ドリンクに…」



加蓮「ぷっ…」



P「なにさ、なんかおかしい?」



加蓮「だって、バナナに栄養ドリンクはないでしょ〜、

女の子のお見舞いでさ、ふふ、あはは!」



P「ふむ…普通に美味しいよ、バナナ」もぐもぐ



加蓮「アンタが食べるんかい…」



P「加蓮ちゃんの分もあるってば。お見舞いなんだしさ」



加蓮「そういう問題じゃ…はあ…なんか余計疲れたかも」



P「加蓮ちゃんもいる?バナナ」



加蓮「さすがにそこまで重いのは無理かな…あ、プリンもらってもいい?」



P「プリンね。 はい、ジャンボサイズ」ことっ



加蓮「プロデューサー…?」じろー



P「冗談だって、睨むな睨むな。 ほら、普通サイズ」



加蓮「うん…あのさ」



P「うん?」



加蓮「プロデューサー…いままでレッスン休んだことなかったのに…ごめんね」



P「!」



加蓮「みっともないよね…まだ、まともなステージだって立ててないってのにさ。

逃げない、って決めた途端、これなんだもん」



P「…逃げる?」



加蓮「そ。 自分から、夢から、親から、周りから…プロデューサーからも。

結局私って、逃げてばっかりだったからさ」



加蓮「だから、逃げないって決めたの。

もう一度、夢だったアイドル、目指したいって思ったから」



P「加蓮ちゃん…うん、頑張ろ。一緒に、頑張ろうね」



加蓮「プロデューサー…ううん、プロデューサーさん。」



加蓮「…見ててね、きっと、私…あなたの期待に応えてみせるから」



ーーーーー

ーそれから一月ほど経ったある日。



加蓮「…えっ、ラジオ…? 私が?」



P「うん。うちのアイドルはみんなデビューする時にやるんだけどね。

そろそろ加蓮ちゃんも挑戦してみないかなって。…どう?」



加蓮「やりたい! せっかくプロデューサーさんがくれたチャンスなんだもん…

絶対私、完璧にやってみせるから!」



P「あはは…うん、その意気。よし、じゃあ今日は特別レッスンね。

話し方の基本とか、みっちり仕込んであげる」



加蓮「…! うん! よろしくお願いします、プロデューサーさん♪」



P「おうよ、どんとこーい!」



ーーーーー

ーそんなこんなで紆余曲折あってラジオの収録も無事に終わった。



途中、加蓮ちゃんが倒れそうになるアクシデントもあったんだけど。



加蓮『大丈夫…! これくらいで、諦めたりしないんだから…』



加蓮『もう一度、頭からお願いします!』



強くなったね。本当に…。



ーーーーーー



そして。

とうとうその時が来た。



ーLIVE会場ー舞台袖ー



加蓮「………」



P(緊張してるのかな…ほぐしたげないと…)



加蓮「プロデューサーさん。」



P「なんだい」



加蓮「さっき、ここからお客さん、見たんだけどさ」



加蓮「私を応援してくれる人…いるんだね」



P「…当たり前でしょ。 …私も、そうなんだから」



加蓮「……! うん!」

「お待たせいたしました。それでは大きな拍手でお迎えください。」



アナウンス。始まろうとしている。



一世一代、二人の初めてのステージ。



P「…加蓮ちゃん…」



加蓮「大丈夫。」にこっ



P「え…」



加蓮「あなたの育てたアイドルだよ?プロデューサーさん」



P「………!」じわっ



加蓮「行ってくるね…夢を、叶えてくるから」たたたっ



P「行ってらっしゃい! ここから、見てるからね…!」



加蓮「………」こくん



「歌い手は、北条加蓮さん。曲のタイトルはー」



加蓮「…薄荷−ハッカ−」



ーーーーー

ーLIVE後、公園のブランコー



P「…終わったね」



加蓮「うん、始まったね」



P「…神様がくれたー時間はー溢れる…♪」



加蓮「…なに、突然。」



P「あと…どれくらいかな」



加蓮「…ずっと一緒だよ。 諦めるにはまだ早いって、

神様のワガママに振り回されてきたんだもん」



加蓮「それくらいは、大目に見てもらわなくちゃ」



P「そっか…ふふ…嬉しいな」



加蓮「私さ。プロデューサーさんに出会わなかったら…きっと変われなかった。」



加蓮「だから、これからはさ、いっぱい恩返し、しなくちゃいけないし。」



P「うん、どんどん返してくれていいよ」



加蓮「ふふっ、じゃあ今度、ネイルやったげよっか。私、そういうの得意だからさ」



P「へえ…じゃあ、そのネイルも自分でやったの?」



加蓮「うん、って言っても、今日のはライブもあったから抑えめなんだけど。

それしかやることなかったからねー病院。私って健気〜♪」



P「健気…? 健気ってなんだっけ」



加蓮「うわー、そんな事言う人にはやってあげたくなくなっちゃうかもよー?」



P「嘘ですごめんなさい、加蓮ちゃんは大変健気でいい子だと思いますですはい」



加蓮「よろしい♪」



P「ふう…なんか、変わんないね、私たちって。」



加蓮「案外、ちょっとずつ変わってるかもしれないけどね。

でも…うん。 これぐらいが、私たちらしいかも、ね。」



P「いこっか。次のステージが、私たちを待ってるよ」すくっ



加蓮「きっとすぐそこで、だよね。…じゃあ、プロデューサーさん」



差し出された手。私はそれを強く握りしめた。



加蓮「ぎゅっ…ふふ、あったかい」



彼女の夢が遠くへ行ってしまわないように。



P「よし、走るよ、全速力!」



加蓮「わわ、早いって、もう、プロデューサーさんってば」にこにこ



彼女と、これから先もずっと一緒にいられるように。



ーおしまいー





20:30│北条加蓮 
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