2015年08月12日

みく「アスタリスクで救命講習?」

P「はい、今度の週末に消防署主催のイベントをすることが決まりました」



みく「なんでそんな珍しいことするにゃ?」



P「区の消防署から依頼がありまして。若者にも興味を持ってもらうため、アイドルが実演しているところを見せたいと」





李衣菜「随分いきなりな話だけど……それに、なんで私達なの?」



P「実はラブライカのお二人にお願いしていた案件なのですが、新田さんが体調不良なのでその代わりに」



P「もちろん、仲の良いお二人なら彼女たちと同じくらい適任だと思っています」



みく「べ、別に仲が良いわけじゃないけど……仕事なら任せるにゃっ」



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みりあ「ねぇねぇ、きゅーめーこーしゅーってなに?」



みく「えっと……心臓マッサージしたり……あと人工呼吸したり、そんな感じだったと思うにゃ」



P「救命講習は突然の怪我や病気で倒れた人の命を救うための方法を学ぶ大切な講習です。



P「今回は、それを多くの人に知ってもらうための大事な仕事ということになります。」



李衣菜「おぉー、なんかすごいロックじゃん!」



みく「あ、でもPチャン……みく達、応急手当のやり方とか全然知らないにゃ……」



李衣菜「確かに……大丈夫かなー」



P「消防署の方からテキストや講習用のAEDなどを借りてきています。これで本番の日までに流れを覚えておいてください」



本番前日

―女子寮・みくの部屋―





みく「……って、Pちゃんは言ってたけど」



李衣菜「せっかくだからやってみようよ、テキスト読んでみたけどそんなに難しくないって」パラパラ



みく「じゃあ先に李衣菜ちゃんからやってみるにゃ、みくが倒れた人やるから」



李衣菜「おっけ、まずは簡単そうな窒息時の救命措置ってのをやってみよう」



みく「分かったにゃ、何すればいいにゃ?」



李衣菜「その辺に立って、喉を両手で抑えて苦しんでる人の真似して」



みく「はーい」タッ

みく「あー、くるしーにゃー」グッ



李衣菜「大丈夫!?何か喉に詰まったの!?」ガタッ



みく「え、李衣菜ちゃんがやれって言ったからやっただけにゃ。正気かにゃ?」



李衣菜「違ーう!今のもう始まってるから!」



みく「へ?」



李衣菜「窒息した人にはまずこうやって声をかけるの!みくちゃんは苦しそうに頷くだけでいいから」



みく「ああ、そういうことかにゃ」

李衣菜「じゃあ気を取り直して……みくちゃん!何か喉に詰まったの!?」ガシッ



みく「……っ!」コクコク



李衣菜「分かった、まずは第一の手当法、『背部叩打法』からいくよ」



みく「…………」コクコク



李衣菜「えっと、『肩甲骨の間を強く何度も叩く』か……」



李衣菜「肩甲骨?ここら辺だっけ?」トントン



みく「うんうん」コクッ



李衣菜「これの中心だから……この辺?」(指ツツー



みく「…………っ……!」ゾ゙クッ

李衣菜「よし、ここを強く!」バッ



みく「っ…………」



李衣菜「叩くっ……!」



みく「…………?」クルッ



みく「…………!!」



みく「あー!ま、待つにゃー!!」



李衣菜「え?」ピタッ



みく「なんでそんなに振りかぶってるにゃ!」



李衣菜「いや、背部叩打法だから……」



みく「だから……じゃないにゃ!殺す気かにゃ!」



李衣菜「えー、テキスト通りにやろうとしただけなんだけどなぁ」



みく「なんてロックじゃない発言だにゃ……」

みく「とにかく……これは練習なんだから軽くでいいにゃ」



李衣菜「おっけーおっけー、んじゃ仕切り直しでもう一回苦しんでよ」



みく「よく聞くとひどい言葉だにゃ……」グッ



李衣菜「肩甲骨の間を…………っと、こんな感じかな」コンコンコン



みく「…………」コクコク



李衣菜「よーし、これでいいや」



李衣菜「もし背部叩打法で異物が除去できなかった場合は、『腹部突き上げ法』を行います」



みく「……それなんにゃ?」



李衣菜「あ、みくちゃんはそのまま立ったまま喉抑えててね」



みく「…………」コクコク

李衣菜「なになに?『傷病者の背後にまわり、脇の下から手を回し、へその位置を確認する』。なるほど」



みく「……!?」



李衣菜「んじゃ、失礼して」ピタッ



みく「!」



みく(せ、背中に李衣菜ちゃんのが……!)



李衣菜「へそー、どこかなー?」サワサワ



みく「……っ…………!」

李衣菜「んー、ボタンが邪魔だなー、ちょっとめくっていい?」ペラッ



みく「……」コクッ



李衣菜「お……みくちゃんやっぱり肌滑らかだよね」サワサワ



みく「……にゃ……っ……!」フルフル



李衣菜「おー、あったあった、へそ」ニュポッ



みく「ふ……ぁっ……!」

李衣菜「ちょっと、みくちゃんは窒息してるんだから声出しちゃだめだって」



みく「……だって……っ、李衣菜ちゃんの触り方……っ、なんか変にゃ……!」



李衣菜「え、普通に触ってるだけだけど……」



みく「……えー?」



みく(あ、あれ……じゃあもしかしてみくが意識しすぎてるだけ?)



みく(意識って……こ、このまま気持ち良くしてほしいとか……?)



みく(……あ、あ、あ、ありえないにゃ!)



李衣菜「変ってなにが?どういう風に?」



みく「……な、何も変じゃないにゃ!ちょっとくすぐったかっただけにゃ!」



李衣菜「へぇ、みくちゃんって脇腹よわいんだ〜」コチョコチョ



みく「あっ!ふ……ふふっ……!にゃひゃははは!や、やめろにゃ!」ジタバタ



李衣菜「やっぱりネコだからお腹撫でられると気持ち良くなっちゃうんだね」



みく「ななななな、なってないにゃ!!」クワッ



李衣菜「い、いやそんなに怒鳴らなくてもいいと思うんだけど……」



みく「あ……ご、ごめんにゃ」

李衣菜「つぎはテキストによると……『片手で握りこぶしをつくり、へそのすぐ上に当てて、その手にもう一方の手を重ねる』」グッ



李衣菜「で、『両手を手前上方に引くようにして、腹部を突き上げる』っと」グイーッ



みく「りーなちゃん、分かってると思うけど……」



李衣菜「はいはい、軽くしかやらないから大丈夫だって」グイグイ



みく「……あ……あ〜……」



李衣菜「どう?」



みく「うにゃ〜……マッサージみたいで気持ちいいにゃ〜……」



李衣菜「お、やっぱ気持ち良いんだ」



みく「よよよよよ、良くないにゃ!!」



李衣菜「どっちだよ……」

李衣菜「じゃあ、本題の心肺蘇生法をやろう」



みく「みくはどうすればいいにゃ?」



李衣菜「寝っ転がって、意識がない人のフリしといて」



みく「おっけ〜にゃ〜」ポフッ ゴロン



李衣菜「え、そんな都合よくベッドで意識失う人いる?」



みく「はぁ〜?このみくに床で寝ろなんて言う気にゃ?」



李衣菜「……まぁ、いいやそれで」

李衣菜「傷病者を発見したら最初に、肩を叩きながら声をかけて意識があるか確認する」



みく「……」コクコク



李衣菜「みくちゃん!大丈夫!?意識ある!?」トントン



みく「…………」シーン



李衣菜「ねぇ!やだよ!死んじゃやだよ!!」バシバシ



みく「…………」ジーッ



李衣菜「みくちゃんがいなかったら、私生きていけないよ!!」バシバシッ



みく「……って!痛いにゃ!」



李衣菜「あ、生きてる?」



みく「当たり前にゃ!なに本気になってるにゃ!」

李衣菜「いやー、なんていうか……中途半端なのって、ロックじゃないじゃん?」



みく「……さてはただの照れ隠しにゃ?」ジトー



李衣菜「うっ……だ、だってさー、なんかこういうの恥ずかしくない?」



みく「中学生かにゃ」



ガチャ



アーニャ「Что случилось? ミク、大丈夫ですか?」



蘭子「何事だ、我が朋よ!」バーン



李衣菜「え?」



みく「アーニャちゃん、蘭子ちゃん?」





アーニャ「ミクの部屋の前、通ったら大きな声きこえました」



蘭子「我が朋の悲鳴にも近き絶叫が!」



李衣菜「あ〜、実はね〜」



みく「かくかくしかじかで〜」



蘭子「成程……蘇生の秘術の修練を重ねていたと」



アーニャ「はやとちり、でした」



みく「りーなちゃんが大きな声出すからにゃ」



李衣菜「なんだよー、しょうがないじゃん」



アーニャ「なにもないなら、良かったです。私たちは帰ります」



李衣菜「あっ、待って!どうせなら練習に付き合ってよ」





李衣菜「この後、『周囲に助けを呼ぶ』っていうのがあるからさ、二人に近くを通りかかった人の役をやってほしいんだよ」



蘭子「ふっ……造作もない」



アーニャ「Да.わかりました」



李衣菜「じゃあみくちゃん、寝て寝て」



みく「りょうかいにゃ〜」ゴロン



李衣菜「ふぅ〜……」



李衣菜「あー!人が倒れてまーす!誰か助けてください!」



蘭子「何事だ?」



アーニャ「どうしましたか?」



李衣菜「では、あなたは119番通報をお願いします!」ビシッ



蘭子「ふふっ……救護の精霊をこの地へ召喚せよということか……」



李衣菜「そう!しょうかん!」



蘭子「闇の契約を結んだ者に救護の精霊は御せぬ戒律はあるが、朋の為、今破ろうではないか」



李衣菜「おねがい!」



李衣菜「そして、あなたはAEDを持って来てください!」ビシッ



アーニャ「あー、AED?とはなんですか?」



李衣菜「あれ?知らない?」



アーニャ「はい、でもKGBならわかります」



李衣菜「間違ってもそんなもの持って来ないでよ……」

アーニャ「あと、AKGもわかります」



李衣菜「おおおっ!アナスタシアさっすがー!」



みく「…………」



李衣菜「アナスタシアは好きなヘッドフォンとかあるの!?」



みく「って……」



みく「何ほったらかしにしてるにゃー!みく死んじゃうにゃー!」



李衣菜「あ、ごめんごめん」



みく「もう助けの呼び方は大丈夫にゃ、二人は自分の部屋に戻っていいにゃ」



アーニャ「そうですか?」



蘭子「……え……」シュン



みく「ん?蘭子ちゃん、どうしたにゃ?」



蘭子「な、なんでもないっ!じゃなかった……さ、さらばだ、闇に飲まれよ!」クルッ



アーニャ「До свидания!がんばってください、です」





ガチャ

バタン



李衣菜「あんな急に追い出さなくてもいいのに」



みく「いつまでも時間を取っちゃ悪いにゃ」フイッ



李衣菜「あれ、ちょっと機嫌悪い?」



みく「にゃ?なんでそうなるにゃ」



李衣菜「だって、私が蘭子とアナスタシアと喋ってたのに、遮るみたいに追い出してさー」



みく「……それじゃまるでみくがヤキモチ焼いたみた…………にゃぁぁっ!?」



李衣菜「ど、どうしたの!?」ビクッ



みく「あ、ありえない……ありえにゃいそんなの!」



李衣菜「みくちゃん……?」

みく「さっさと終わらせるにゃ……今日はちょっと変な気分だし……」



みく「ほら、横になるから続きするにゃ」ゴロン



李衣菜「……いいの?」



みく「いいから」



李衣菜「……うん」



李衣菜「次は……『普段通りの呼吸をしているかを確認する。しゃくりあげるような途切れ途切れの呼吸なども呼吸なしと判断する』か」



みく「これは飛ばしていいと思うにゃ」



李衣菜「じゃあ呼吸なしってことで……そしたら次は気道の確保っと」

李衣菜「うわっ、結構難しそうだな」



李衣菜「まず、片方の手を額に添え」(前髪ファサッ



みく「……っ」



李衣菜「もう片方の手をあごに当ててあご先を上げる」クイッ



みく「……っ……!」ドキッ



李衣菜「どう?気道確保できてる?」



みく「で、できてるにゃ」ドキドキ



李衣菜「ん?普段より呼吸乱れてない?」



みく「き、気のせいにゃ!」

李衣菜「次はえーと……人工呼吸だけど……」



みく「あ、あの、えと……それって……口と口で……」



李衣菜「あー、プロデューサーが消防署から貰ってきたフェイスシールドがあるから大丈夫」



みく「……なにそれ?」



李衣菜「ほら、こういう薄いプラスチックのシートに空気だけが通る穴をつけたやつだよ」ペラッ



みく「そ、それ絶対に使うにゃ!生でやったら許さないにゃ!」」



李衣菜「最初っからそのつもりだよ、病気の感染も防げるらしいからね」



みく「途中で破けちゃったとかいうのもナシにゃ」



李衣菜「丈夫そうだし、問題ないよ」



みく「…………」

みく「ほ、本当にやるの……?」



李衣菜「明日いきなり本番じゃ不安でしょ?」



みく「……」コクッ



みく「……や、やればいいにゃ……」



李衣菜「じゃあちょっと失礼して、フェイスシールド顔に置くよ」パサッ



みく「…………」



李衣菜「本当は空気が漏れないように鼻をつまむんだけど、今は軽くにしとく」キュッ



みく「……っ……!」



李衣菜「で……『相手の唇を覆うように塞いで、息を吹き込む』か」



みく「……〜〜!!」ギュッ



李衣菜「……って、そんなに力入れてたら入るモノも入らないよ」



李衣菜「力抜いて?」



みく「…………ぅぅ〜〜……」



李衣菜「意識ないんだから、寝てる時みたいに無防備にさぁ」



みく「……すぅ……はぁ……」



李衣菜「そうそう」

李衣菜「じゃ、いくよ」スッ



李衣菜「…………」ソーッ



みく「……!」ギュッ



李衣菜「…………」ピタッ



みく「…………?」チラッ



李衣菜「…………」ピタァ



みく「りーなちゃん?」



李衣菜「は、はいぃ!?」ビクッ



みく「なんで止まってるにゃ」



李衣菜「あー、やっぱり、その、心の準備……というかさぁ」



みく「…………はぁ……!」

李衣菜「な、なんだよ、そのため息!」



みく「ここまで来て何ビビってるにゃ」



李衣菜「い、いやそう言うけどさぁ……」



みく「ひょっとして意気地が無いにゃ〜?」



李衣菜「わ、わかったよ、こんなのヨユーだよヨユー」ズイッ



みく「ふ〜ん?ホントかにゃ?」ニヤッ



李衣菜「う……ぐっ……みくちゃん、もしかして……し、したこと……あるの?」



みく「にゃ?なにが?」



李衣菜「ああああ!もういいよ!ちょっと静かにしてて!」

みく「今度こそ大丈夫?」



李衣菜「さっきから大丈夫だって!」



みく「…………」キュッ



李衣菜「〜〜……」ドキドキ



みく「…………」



李衣菜「…………」スッ



李衣菜「…………っ」カプッ



みく「ん……っ……」



李衣菜「……っは……ぁ」フゥー



みく「……ん……にゃ……!」ゾクッ



李衣菜「…………っ」パッ



みく「……ん…………」フイッ



李衣菜「……息…………入った?」



みく「……わ、わかんない……」カァァァッ



李衣菜「みくちゃん、顔赤い」



みく「わかんないってば!」ウルッ



李衣菜「あ……ごめっ……ん」



みく「…………」フイッ





李衣菜「え……っと……じゃあ、入った……ってことで」



みく「…………!」コクコクコクコク



李衣菜「だ、だよね!」



みく「…………ふぅ……」



李衣菜「そうだ、人工呼吸は通常2回で1セットらしいんだけど……」



みく「むり!」ブンブン



李衣菜「は、はい」

李衣菜「人工呼吸の後は、胸骨圧迫……心臓マッサージだね」



みく「……つぎはどうするにゃ?」



李衣菜「みくちゃんはそのまま寝てていいよ。ちょっと横ごめんね」スッ



みく「ち、近いにゃ!」



李衣菜「し、しょうがないじゃん!」



みく「……あーもう……早く進めるにゃ……」



李衣菜「はいはい……テキストによると『胸の真ん中に片方の手の付け根を置き、もう一方の手を上に重ねる』だって」ポンッ



みく「…………ん」



李衣菜「それで、『肘を垂直に伸ばし、胸が5cm沈むほど強く圧迫する』か……結構強めかな」グニュッ



みく「ふにゃああ!」ガバッ



李衣菜「え!?なに!?」



みく「乱暴すぎにゃ!みくの自慢の胸がつぶれたらどうするにゃ!」

李衣菜「えー、いいじゃんそんなにあるんだから、少しくらい潰れたって」



みく「あー!もしかして僻んでるにゃ!?」



李衣菜「はぁ!?僻むわけないじゃん!ロックに胸なんていらないし!」



みく「困ったらロックって言うクセ直した方がいいにゃ〜」



李衣菜「ロック馬鹿にしてんの!?」バンッ



みく「李衣菜ちゃんを馬鹿にしてるの!」バンッ



李衣菜「どっちにしろむかつく!」



みく「…………ふんっ」



李衣菜「ふんっ……」フイッ

みく「…………」



李衣菜「…………」



みく「…………李衣菜ちゃんが……悪いんだもん」



李衣菜「なにそれ、全部私のせい?」



みく「……だって……みくの胸、さわったのに……」



李衣菜「え?」



みく「……なんでもないにゃ、突っかかって悪かったにゃ」



李衣菜「え、あ……こ、こっちも熱くなってごめん」



みく「……横になるにゃ」ゴロン



李衣菜「……あー、えっと、今度は優しくするから」



みく「……」コクッ

李衣菜「じゃあ……さっきと同じ所に手を置いて……」ポフ



李衣菜「軽く……っしょ……このくらいでいい?」フニ フニ



みく「……大丈夫にゃ」



李衣菜「これを1セット30回やるんだってさ」



みく「30回!?そんなにやるの!?」



李衣菜「じゃないと効果が薄いんだって」



みく「……はぁ……わかったにゃ」



李衣菜「じゃあ、いくよー」



李衣菜「いち……に……」フニ フニ



みく「んっ……にゃ……」



みく(力が弱くなったのはいいんだけど……)



李衣菜「さん……しっ……」フニ フニ



みく(こ、これはこれで変な気分になるにゃ……)



みく(まるで一人でシてる時みたいな感覚に……)



李衣菜「なな……はち……」フニ フニ



みく(だめだめ!そんなこと考えちゃ……)



みく「……ぁ……っ……」



みく(にゃー!小さくだけど声出ちゃったにゃ……!)



みく(あぁ……早く終わって欲しいにゃ……表情にも出そうになるにゃ……)



李衣菜「じゅういち……じゅうにっ……」フニ フニ



みく(……ってまだ半分も終わってないの……?)



李衣菜「じゅうさん……じゅうしっ……」フニ フニ



みく(じ、じごくのような時間だにゃ……)

―――

――





李衣菜「にじゅうくっ…………さーんじゅう!」フニ フニ



みく「…………」



李衣菜「はー!終わった!結構つかれるなー」



みく「…………っ」トロン



李衣菜「どう、みくちゃん?」



みく「…………」ポーッ



みく(すごく汚された気分にゃ……)



みく(というか……李衣菜ちゃんの目の前であんなことやこんなこと考えて……汚しちゃった気分……?)



李衣菜「あ…………」ドキ



みく「……どうしたにゃ?」



李衣菜「……あ、その、いつもより色っぽく……見えると思って」ドキドキ



みく「…………ふふっ……『ぽく』じゃなくて、みくはいつでも色っぽいにゃ」



李衣菜「……そ、そうだっけ」



李衣菜「これで最後になるんだけど、ここまでしても意識や呼吸が戻らない場合はAEDを使用します」



みく「ふむふむ」



李衣菜「心臓は、完全に止まる前に細かく震える状態になるんだって。AEDで電気ショックを与えることでこの震えを取り除き、正常な拍動に戻すことができる」



李衣菜「電気を流すパッドを貼ると、電気ショックが必要かどうかも自力で判断する」



李衣菜「ちなみに今から使うのは講習用で、もちろん電気が流れたりはしないからね」



みく「へー、なんだか李衣菜ちゃんが頭良く見えるにゃ」



李衣菜「え〜、そうかな〜?テキスト読んでるだけなんだけどな〜、頭良く見えちゃうか〜」



みく「……とことんロックじゃないにゃ」ボソッ





李衣菜「で、使用法はっと……」ペラペラ



李衣菜「……あ」



みく「……?なんにゃ?」



李衣菜「あ……えっと……言いづらいんだけど……」



みく「だからどうしたんにゃ?」



李衣菜「このパッド貼るの……肌に直接……だって」



みく「……べ、べつにそれくらいならいいにゃ」



李衣菜「ほ、本気で言ってる!?」



みく「お、お風呂だって一緒に入ってるし、大丈夫っ」



李衣菜「……じゃ、じゃあ、脱いで」フイッ



みく「……わ、分かったにゃ……」

みく「……ん……しょっ……」シュルッ



李衣菜「…………」チラッ



みく「……っと……」シュルルッ



李衣菜「…………」チラチラ



みく「…………」パサッ



李衣菜「…………っ!」バッ



みく「ぬ、脱いだにゃ」



李衣菜「へ、へぇー」



みく「何してるにゃ、こっち向かないと進まないにゃ」



李衣菜「う、わ、分かってるって……」グググッ



みく「……さっさと貼るにゃ」

李衣菜「……あー……えと……さらに言いにくいんですが……」



李衣菜「多分パッドを貼るのに邪魔になるので……ブラも取っていただけますか」



みく「……ほんっとに変態にゃ」



李衣菜「しょうがないでしょ!テキスト通りテキスト通り!」



みく「……はいはい、わかったにゃ……」



みく「…………」



みく「……んっ……」パチン



李衣菜「…………」チラチラ



みく「…………」シュルッ



李衣菜「……!」バッ



みく「……は、はい、外したにゃ」



李衣菜「……え、その……見ても……いい?」



みく「見ないでどうやって貼る気にゃ?」



李衣菜「そ、そうだよね」クルッ

みく「………………」カァァッ



李衣菜「あ……き、綺麗だね」



みく「……そ、そういうのいいから……!」



李衣菜「う、うん」



李衣菜「まずはAEDの電源ONにして……」パチッ



李衣菜「するとガイド音声が流れるらしい」



AED『パッドを指定の位置に貼ってください』



李衣菜「……ごめん、さわるよ」



みく「……」コクッ

李衣菜「……ごめん、さわるよ」



みく「……」コクッ



李衣菜「一枚は脇腹のあたりに……」ペタッ



みく「……ひゃ……ぁ……」ビクッ



李衣菜「もう一枚は胸の上のあたりに……」ペタッ



みく「……ん……っ……」ビクッ



AED『ただいま心電図を解析中です。身体に触れないでください』

李衣菜「…………」ジーッ



みく「…………?」



李衣菜「……やっぱり、さっきも思ったけど……みくちゃん、おっきいね」



みく「……〜〜〜!」バッ



李衣菜「……恥ずかしくないなら隠さなくてもいいのに」



みく「りーなちゃんが変なこと言うからにゃ!」



AED『電気ショックが必要です。電気をチャージします』



李衣菜「……手どかすよ」グッ



みく「……ぁっ……やだ……!」



李衣菜「みくちゃん……」ジッ



みく「……にゃ……?」」



AED『チャージが完了しました。誰も触れていないことを確認して、ボタンを押してください』



李衣菜「かわいい」



みく「……にゃ!?」



ポチッ



AED『電気ショックが完了しました。直ちに心肺蘇生を再開してください』



李衣菜「ごめん、人工呼吸するね」グイッ



みく「にゃあ!?」

李衣菜「……っ……!」カプッ



みく「……ん……っふ……!」



李衣菜「……ん…………!」チュッ



みく「……っ……ちゅ……」



李衣菜「……はぁっ……!」パッ



みく「…………ん……っ……は……」



李衣菜「……こ、これで練習……おわりだね」



みく「…………」



李衣菜「……あ、あはは」



みく「…………ま、待つにゃ」



李衣菜「……な、なに?」



みく「人工呼吸は……2回で1セットじゃないのかにゃ……?」



李衣菜「……みくちゃん……!」バッ

―――

――





みく「結局いっぱい練習しちゃったにゃ♪」



李衣菜「そういえば、途中からフェイスシールドとか完全に忘れてた」



みく「あ……ホントにゃ!な、生でするなんてひどいにゃ……!」



みく「みく、初めてだったのに……こんな……!」



李衣菜「え!は、初めてだったの!?」



みく「……悪い?」



李衣菜「だ、だって、途中はあんなに上級者ぶってたのに……!」



みく「うっさいにゃ!」



李衣菜「あはは、なんだ、良かった」



みく「何がにゃ!」



李衣菜「え?私と一緒だから」



みく「……うっ……じゃあ……今日のところは良しとするにゃ」

李衣菜「とにかくさ、これで明日の本番も大丈夫だね」



みく「明日はステージでこれやるにゃ?色々見られちゃいけないものがあると思うんだけど……」



李衣菜「そこはプロデューサーがなんとかしてくれるでしょ」



みく「それもそうかな」



李衣菜「今日はもう練習終わり!ってことで、ご飯食べよっか。好きな物作ってあげる」



みく「ほんとにゃ!?」



李衣菜「うん、何がいい?」



みく「んー、じゃあハンバーグ!!と言いたいところだけど……」



李衣菜「だけど?」



みく「今日はカレイの煮つけを作って欲しいにゃ」



李衣菜「え!?苦手じゃなかったっけ!?」



みく「そうだけど……でも……」



みく「李衣菜ちゃんの得意料理……食べれるようになりたいにゃ」



李衣菜「……っ」ドキッ



李衣菜「……分かった、じゃあ一緒に買い物行こっか」



みく「にゃー♪」

翌日





―イベント会場―





李衣菜「みんなー!こんにちはー!」



みく「今日はみく達が応急手当をして見せるにゃ!よぉーく見ててねー!」



消防士「それでは、今日はよろしくお願いします」



みく「よろしくにゃー!」



李衣菜「ロックに決めるよー!」



消防士「それでは早速、この人形を使ってお二人に実践してもらいたいと思います」



*「いえーい!」



李衣菜「……って、あれ?」



みく「……にゃ?」



李衣菜「ちょ、ちょっとプロデューサー……?」ヒソヒソ



みく「に、人形って、どういうことにゃ……!?」ヒソヒソ



P「……?」

P「言っていませんでしたか?」



みく「言ってないにゃー!!」



李衣菜「じゃあ、昨日の練習は一体……」



みく「あ…………!」カァァァッ



李衣菜「って、そういう反応やめてよ……!」カァァッ



みく「りーなちゃんの方こそ!」



P「あの、どうしましたか?」



李衣菜「人形だって分かってればあんなことしなかったのに……!」



みく「にゃ!?あんなにノリノリだったくせによく言うにゃ!」



李衣菜「途中からハマっちゃってたのはみくちゃんの方でしょ!」



みく「あああああ!やっぱり李衣菜ちゃんなんて嫌いにゃー!」



李衣菜「こ、こっちだって!」



*「アスタリスクは……!」



*「解散だ(にゃ)ー!!」



おわり



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