2015年08月14日

モバP「かにだ」 加奈「かにですか」


加奈ちゃんの誕生日なので短編をいくつか用意しました。

おめでとう加奈ちゃん。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1425394186





#1 新ユニット発足



P「今日二人に集まってもらったのはほかでもない」



P「新ユニット発足についてだ」



加奈「新ユニットですか」



仁奈「新ユニットでやがりますか」



P「そうだ」



加奈「3rdアニバーサリーでしたっけ」



P「そうだ」



仁奈「加奈おねーさんとユニットでごぜーます?」



加奈「珍しい組み合わせですね」



P「いや、別段珍しくはない」



加奈「そうですか?」



P「ああ、前回(かな☆かな☆ふぁんしー)もそうだったように、今回も名前つながりだからだ」



加奈「加奈」



仁奈「にな」



P「そう」



加奈「かな☆にな☆キョンシーとかですか?」



P「語呂だけ合わせてもその化け物感隠せてないぞ」



仁奈「キョンシーの気持ちになるですよ……」ピョーンピョーン



P「仁奈、直立したまま跳ねるな。怖い」















加奈「どんなユニットなんですか?」



仁奈「気になるですよ!」



P「まぁそう焦るな」



加奈「はい」



P「今回のコンセプトはずばり『川』だ」



加奈「川」



P「そうだ。仁奈は海、加奈は山にそれぞれ行っている」



加奈「確かに」



P「ならば次は川でないかと」



仁奈「なるほどですよ」



加奈「川に関係したユニット名と言えば」



仁奈「……川魚でごぜーますか?」



P「いや、そんなピンポイントなところはつかない」



仁奈「……メダカの気持ちになるですよ」



P「(やりたかったのか?)」

P「今回のユニット名は」



加奈「ユニット名は?」



P「かにだ」



加奈「かにですか」



仁奈「かに」



P「そう、かにだ」



加奈「かにっていうとあの」



P「そうあのハサミチョキチョキする奴だ」



仁奈「横にしか歩けねーという前世での罪を背負った生き物でやがりますね」



P「仁奈その難しい言葉どこの蘭子から聞いた」



仁奈「ゴシックなドレスを着た蘭子おねーさんから聞いたですよ」



P「いつもの蘭子か」



加奈「ユニット名がかにですか」



P「ああ」



P[『加奈』と『仁奈』から一文字ずつ」



P「ちょうど『奈』の漢字も同じだろう?」



加奈「そうですけど」



仁奈「蟹の気持ちになるですよ」チョキチョキ



加奈「かに……」

P「前回の仁奈の衣装を参考に、今回は蟹っぽい衣装で行ってもらおうと思う」



加奈「かにっぽい衣装ですか」



P「かにっぽい衣装だ」



仁奈「かに!」チョキチョキ



P「やる気マンマンだな」



仁奈「甲殻類の気持ちになるですよ!」チョキーン



P「素晴らしいポテンシャル」



加奈「……」チョキッ



P「そうだ、ダブルピースだ」



加奈「その言われ方だとなんかしっくりきますね」



P「だろ」



仁奈「加奈おねーさんもかにになるですよ」



加奈「かに……かに!」チョキッ



P「いいかに具合だな」



加奈「いいかに具合ですか!」

仁奈「ところで、結局何の蟹をやるですか?」



P「何の蟹かって?」



加奈「種類とかの話?」



仁奈「そうでごぜーます。ずわいがにとか、さわがにとか、ヘイケガニなんてのもいるですよ」



P「そこまでは考えてなかったな」



仁奈「じゃあ今から皆で考えるですよ!」



P「おー!」



加奈「おー!」



仁奈「まず、強そうなのは違うと思うです」



P「確かに」



加奈「可愛い感じがいいよね」



仁奈「じゃあまずケガニはちげーですね」



P「そんな毛深いユニットは嫌だな」

仁奈「タカアシガニやタラバガニも大きくてつよそーなので今回はポイですよ」



P「ポイだな」



加奈「可愛い感じのは何がいるのかな」



仁奈「ピンノですよ」



加奈「ピンノ」



仁奈「カクレガニのなかまで、アサリの中なんかで生活しているですよ」



P「アサリの中に」



加奈「もしかして、あのアサリの中でみかけるちっちゃいかに?」



仁奈「その通りでごぜーます」



P「味噌汁とかで見かけるような」



仁奈「あのちいせーかにですよ」



P「あれがピンノか」



仁奈「ピンノですよ」

P「確かに可愛いな」



加奈「小さいしね」



仁奈「ただし」



P「ただし?」



仁奈「アサリに寄生しているかになので、アイドルのイメージと合うかはわからねーですよ」



P「寄生」



加奈「寄生かぁ……」



仁奈「そのへんはPに任せるですよ」



P「俺にか」



加奈「一任します」



P「うーん」



加奈「名前は可愛いんですけどね」



仁奈「名前は可愛いですよ!」

P「でも寄生してるんだよな」



仁奈「寄生してるです」



加奈「アサリの食べ物を横取りしてるそうです」



P「うーん」



加奈「芳しくないですか」



P「芳しくない」



仁奈「芳しくねーですか……」



芳乃「ほー」



P「やはり皆に夢を与える存在が」



P「貝に寄生するのってどうかと思う」



加奈「確かに」



仁奈「言われてみればそうでやがりますね」



P「だろ」





P「寄生してないやつで」



仁奈「寄生してないやつです?」



P「うん」



加奈「自立してる子」



仁奈「自立してやがる奴ですか……なら」



P「なら?」



仁奈「さわがにですよ」



P「さわがに」



仁奈「ちっちゃくて可愛いでごぜーますが、汚い水だとすぐ死ぬです」



P「すぐ死ぬのか」



仁奈「三日くらいで死ぬですよ」



P「そんなに」



加奈「水の清らかさに生死をゆだねる子なんだね」



仁奈「でも小さくてかわいくて、寄生もしてねーです」



P「うむ、清らかな水ってのもなかなかポイント高いな」

加奈「じゃあ」



P「ああ、このユニットのモチーフは『サワガニ』で決まりだな!」



仁奈「やったー!」



加奈「わーい!」



キャイキャイ



P「じゃあ正式ユニット名は『さわがに』だな!」



加奈「さわがに!」チョキ



仁奈「さわがに!」チョキッ



P「それじゃあ衣装や曲についてのプランを話し合おう!」



仁奈「了解でごぜーます!」



加奈「メモしますね!」





―――





そして、数時間にわたる話し合いは終了した……。

彼女らは不慣れながらも、様々な意見を出してくれ、現状できる最高のプランに仕上がったのではないだろうか。



この珠玉のプランをもってすれば、必ず彼女らをトップアイドルに導ける―――

確かにプロデューサーはそう信じていた。













P「どうでしょうか!!!」バァーン!!



ちひろ「…………」



ちひろ「…………」



ちひろ「…………」



ちひろ「あの」



P「はい!」



ちひろ「そもそもなんでモチーフがかになんですか」



P「えっ」

#2 桃の節句の大騒動





千佳「わ〜、お雛様の衣装ってすごいんだね!」



加奈「本当、すごい綺麗だね!」



千佳「うん!でも……かなり重いかも」



加奈「あはは……まぁそれは仕方ないよ」



千佳「うーん……この衣装で踊れるのかな?」



加奈「試してみたら?」



千佳「うん!よーし、おひなさま、チェーンジっ!」



クルクル



加奈「わー!上手い上手い!」パチパチ



スポッ



加奈「あ」



千佳「あ」





ガッツーーン!!



ゴロゴロゴロ、グシャッ!



加奈「ぐ……」



千佳「ぐしゃ……?」



加奈「あっ」



千佳「お、お内裏様の首が……」



加奈「ぽっきりと……」



千佳「……ど、どうしよ!?Pくんに怒られちゃうよー!!」ブワッ



加奈「えっと……えっと……ま、任せて!!」



千佳「え?」



加奈「プロデューサーが帰ってくる前に……何とかお内裏様を直すか、用意すればいいんだよ!」



千佳「えっ……でもそんなこと、できるの?」



加奈「わからない……けど、この事務所の皆ならなんとかしてくれるかも!」



千佳「なるほど!」



加奈「いざとなったら、近くのお店まで買いに行けば……!」



千佳「それならいけるかもしれないね!」

―――――――― というわけで晶葉のラボ



加奈「というわけで晶葉ちゃん、なんとかならないかなっ?」



晶葉「なるぞ」



加奈「やったー!」



千佳「やったー!」



晶葉「ふふふその程度……この天才の頭脳をもってすれば!

30分程待っていてくれ、すぐにお内裏様を直して見せよう!」



加奈「流石晶葉ちゃん!ありがとう!」



千佳「ありがとー!」



晶葉「礼なら完成してからでいい、最高のロボを作って見せよう!」




――――― というわけで30分後





晶葉「完成したぞ!お内裏様ロボだ!」



加奈「あっやっぱりロボになるんだ」



千佳「ロボだー」



晶葉「このお内裏様ロボは先ほどの結果を鑑みて、非常に強固な作りにしてあるぞ」



晶葉「見ててくれ」



加奈「えっ……?それはプラスチック爆弾?」



晶葉「ああ、どこの家庭にでもある一般的なプラスチック爆弾だ」



千佳「わくわく」



晶葉「これをこうやって」



ペタペタ



晶葉「よし。安全とはいえその防護服は脱がないように、それから30m以上離れて」



加奈「はーい」



千佳「はーい」



晶葉3,2,1……ファイアッ!!」





ドッゴーン





パラパラパラ……





加奈「すごい爆発……」



千佳「お内裏様大丈夫なのー!?」



晶葉「ふっふっふ……見ろっ!」







お内裏様ロボ「痛くもかゆくもねぇ」 バァーン!!!!







千佳「すっごーい!!傷ひとつついてない!」



加奈「ていうか喋ってない?」



晶葉「まぁお内裏様だし喋ってもいいだろう」



加奈「そういうものなの?」



晶葉「そういうものじゃないのか?」

千佳「これでPくんの目もごまかせるかな」



加奈「……あれ?そういえば」



晶葉「どうした?」



加奈「……そうだ!これ、事務所に飾ってあるお雛様と大きさが全然違う!」



晶葉「何っ」



加奈「どうしよう晶葉ちゃん、これじゃあお内裏様だけ浮いちゃう……!」



晶葉「逆に考えるんだ」



加奈「えっ?」



晶葉「一人だけロボなら浮いてしまうのなら……全員ロボにしてしまえばいい」



加奈「………………なるほど!!」



千佳「さっすがー!!」

――――――― さらに30分後



晶葉「できたぞ!ひな人形軍隊だ!!」



ドジャァーン!!



加奈「わー!!」



千佳「すごーい!」



パチパチ



晶葉「まずお内裏様とお雛様」



加奈「基本の二人だね」



晶葉「この二人は一番強固で、ピストルの弾くらいなら弾き飛ばせる装甲になっている」



加奈「すごい」



千佳「三人官女はー?」



晶葉「三人官女はそれぞれ役割が違う」



千佳「へー、何するの?」



晶葉「まず横に立っている二人だが、この二人がそれぞれ『聴覚』と『視覚』を奪う担当だ」



千佳「なるほど」



加奈「あれ?」



晶葉「そして最後の座っている官女が特殊な音波を使い『平衡感覚』を奪う事ができる」



千佳「すっごーい!」



加奈「なんか違う方に特化してない?」

晶葉「続いて五人囃子」



加奈「五人囃子」



晶葉「彼らは主に攪乱、陽動を担当する」



千佳「かくらんよーどー?」



晶葉「敵の注意を引く事ができるというわけだな」



千佳「それってすごいの?」



晶葉「いや、彼ら単体ではそうでもない。そこで上の三人官女や……したの隋身の出番というわけだ」



千佳「ずいじん!」



加奈「右大臣と左大臣だっけ」



晶葉「うむ、彼らは殲滅担当だ。ひなあられマシンガンをつかって的確に敵を制圧することができる」



加奈「強そう」



千佳「つよそー」



晶葉「そして最後に仕丁」



加奈「この子たちは?」



晶葉「狙撃だ」



千佳「そげき……」



加奈「狙撃……」



晶葉「物陰から的確な狙撃を行う。隋身達が撃ち漏らした敵を確実に仕留める」



加奈「完璧な布陣だね」



晶葉「だろう?」

加奈「これなら完璧だね!」



晶葉「ああ!これだけ揃えておけば、自衛隊にだってひけをとらないぞ!」



千佳「すっごーい!プリキュアみたい!」



加奈「若干方向性は違うけどねっ!」



パリンッ キリキリ



加奈「……なんの音だろ?」



晶葉「……おそらく、ガラスが割られたな、しかも、かなり熟練した動き」



千佳「えっ?」



晶葉「……敵だ!」



加奈「えーっ!?」







――――――







強盗A「アニキ、女の子の声がしますが」



強盗B「そりゃあ芸能事務所なんだから女の子くらいいるだろ」



強盗C「大丈夫なんですか?」



強盗B「任せておけ、いくらなんでもコイツ(拳銃)をチラつかせたらビビって何もできねーよ」



強盗A「でもなんでこんなところに?強盗するなら銀行の方が」



強盗B「ある筋からの情報でな」



強盗C「ほう?」

強盗B「ここには『S』というヤツの隠し財産である5億がそのままキャッシュであるという話を聞いたんだ」



強盗A「ご、五億ですか!?」



強盗C「そんな金キャッシュで持つ奴いるんですか!?」



強盗B「おそらく、勘づかれたくねぇ類の裏金だ……ここの事務員ってことしか情報は知らねぇ」



強盗A「そんな大金をただの事務員が持ってるんですか……?」



強盗B「俺も偽情報だと思ったが……やたらと信憑性があってな。

なけりゃトンズラすりゃいいだけの話よ」



強盗C「なるほど」





――――





強盗B「この部屋だな」



強盗A「開けますよ」



強盗B「ああ」





ガチャンッ!!





強盗B「テメェら動くな―――ー!!そこで大人しく……」







お内裏様ロボ「……」



お雛様ロボ「……」







強盗A「なぁんだ、誰もいないじゃないっすか」



強盗C「雛飾りっすかね?」



強盗B「待て!!お前ら、うかつに動くんじゃ――――」







三人官女「………」





キィィィィィィィィン!!!

強盗A「うあああああああ!?何も聞こえない!!!」



強盗C「うがあああああああ!!何も見えないッ!?」



強盗B「(クソがッ……!!目と耳と……なんだこいつは!?気持ち悪ィ!)」



強盗B「(ぐっ、こっちは右か……左?いや、これは……!)」



強盗B「お前ら!!落ち着け!!!」



強盗A「ぎゃあああああああああ!!」



強盗C「うわああああああああああああ」



強盗B「(聞こえてねぇ!!)」



ガッ!



ガッ!



 ドパラタタタタタ!!!



強盗B「なんだこの人形!くっそ!目がチカチカしやがる……このっ!!」



五人囃子「ギャー」

五人囃子「グワー」



強盗B「死ねやぁ!!」



パァンッ!!パァンッ!!





隋身「……」



バラタタタタタタッ!!



強盗A「ぐわあああああああ!!」



ドサッ



強盗C「おげえええええ!!」



ドサッ!





強盗B「しまった!今の奴らは陽動か……!?」



強盗B「チッ……!ここは一旦引いて」





仕丁「……」





ビジュンッ!!





強盗B「がはっ!?」



ディジュンッ! ビジュンッ!!



強盗B「ごふっ!!がはっ!!」





ドサッ……







お内裏様ロボ「ビー、制圧完了」

ガチャ……





晶葉「完璧だな」



加奈「うわっ……煙くさっ!」



千佳「ひっ……何この人たち……?」



晶葉「おそらくここの金を狙った強盗だろう。お内裏ロボ、ふんじばっておけ」



お内裏様ロボ「ビー、了解、ふんじばります」





ギッチギッチ



加奈「わ……でも私たち(もっと正確言えばひな軍隊)の力で強盗を制圧できたんだねっ!」



千佳「やった!Pくんに褒めてもらおー!」



晶葉「褒めてもらう事は流石に……」

―――――――





ガチャー



P「ただいまー、お前らいい子で留守番できたかー?」



千佳「うん!お留守番がんばったよー!」



加奈「衣装もちゃんと着れました!」



P「そいつはよかった……って何この人たち!?」



加奈「強盗です」



P「強盗!?」



千佳「千佳たちがやっつけたの!」



P「何やってんの!?ていうかもう事務所めちゃくちゃじゃん!!ホラ!!もう片付けるぞ!!」



加奈「はーい」



P「あとお前ら!!強盗が来ても二度と撃退しないようにな!?わかった!?」





千佳「はーい」



加奈「はーい」







この後滅茶苦茶説教されましたけど、千佳ちゃんがお内裏様の首を折っちゃった事は最後まで気づかれませんでした!

めでたし、めでたし?

#3 みうみうかなかな





プペー………





加奈「どしたの美羽ちゃん、そんなところで寝っころがって。なにそれ草笛?」



美羽「あ、加奈ちゃん……いや、加奈ちゃんさん?あ、うんこれ草笛……なんか拾った」



加奈「あはは、今まで通りでいいよ。敬語とか落ち着かないし。草笛ってそのへんにあるんだ……。何か、悩み事?」



美羽「ありがとー。うん……アイドルって何すればいいんだろって思ってさ」



加奈「何すればいいか……?」



美羽「うん」



加奈「……うーん、人に、夢を与えたりするとか?」



美羽「うん、そうだよね……うん。でも、なんか、こう……あー!!」



加奈「わっ、どしたの?」



美羽「最近わかんなくなってきたの、自分が何でアイドルやってるのか」



加奈「……」





美羽「最初はそりゃ、単に楽しかったよ。なんていうかさ、夢の世界みたいな。

お仕事は大変だったけど、それこそシンデレラみたいに。お姫様になった気分」



加奈「うん、うん……」



美羽「素敵な服を着て、色んなことをして……レッスンも大変だったけど、まぁ、そこはがんばれた」



美羽「でも……お姫様だって、一人の人間なんだって気づいちゃって」



加奈「……シンデレラのその後のお話ってどうなると思う?」



美羽「シンデレラのその後?」



加奈「そ、シンデレラってさ、完全なサクセスストーリーでしょ?

二人は結ばれて、いつまでも幸せに暮らしました、って終わるけど……本当にそうだったのかな?」



美羽「シンデレラが幸せじゃなかったってこと?」



加奈「ううん?それはわからないよ。でも……今まで雑用だった彼女が、

急に王子様に見初められて、お姫様に……きっと、慣れない事も多かったと思うの」



美羽「……マナーとか?」



加奈「そう!シンデレラはマナーや王族の常識がわからなくて苦労したり……、

周りの皆との価値観の違いに苦しんだりして……きっと大変だったんだろうなって」



美羽「人から見ればハッピーサクセスでも、本人は全てが幸福とは思えないよね」



加奈「うん、それでもシンデレラが幸せだったと思えるなら……彼女はきっと強い人だったんだろうな、って」



美羽「シンデレラが?」



加奈「うん。いじめられてもくじけないで、姫になった後もがんばって……価値観の違いを努力で埋めて、

自分なりにどんどん新たな場所に順応していく。」



加奈「シンデレラは、一人の女の子が強く、努力して生きていく事を描いた作品なんじゃないかな、

なんてたまに思っちゃったり」エヘヘ



美羽「……」

加奈「サクセスストーリーって、結局は誰か一人の視方に過ぎないよね。

ただただ幸せなだけな人生なんて、それこそ逆につまらないと思うもん」



美羽「……私たちは」



加奈「ん?」



美羽「私たちは、今、幸せかな?」



加奈「その答えは、美羽ちゃんの中にある!」



美羽「…………このへん?」



加奈「……なんで額?」



美羽「この前胸のあたり指したら『美羽、人間がモノを考えるのは脳味噌だ』って……」



加奈「プロデューサーそんな即物的な考えの持ち主だったんだ……」



美羽「ふと思ったんだけど」



加奈「うん」



美羽「幸せってなんだろ」



加奈「それすっごい言われるよね」



美羽「だって気になるじゃん」



加奈「人によって違うものだっていうのはここにメモしてあるけど」



美羽「あ、やっぱそういうの考えたんだ」



加奈「そりゃあね」フフン



美羽「(今のドヤ顔なんだろ?)」



加奈「自分の今を……『幸せだ』って感じられる人、とか?」



美羽「今を……?」

加奈「うん。お金とか、そういうの全部ひっくるめて、今は幸せ!って言える人が幸せだとか。

一回プロデューサーから聞いたことあるんだ」



美羽「………」ポケー



加奈「美羽ちゃん?」



美羽「はっ、トリップしてた」



加奈「あはは、幸せな事でも思い返してた?」



美羽「……うん」



加奈「じゃ、幸せなんじゃないかな?」



美羽「……そーかも」



加奈「そういえば、なんでこんな話に?」



美羽「ん……?えっと、シンデレラの話になって、幸せで……あ、そうだ、アイドル」



加奈「何でアイドルやってるか、だっけ」



美羽「うん」



加奈「自分なりに整理できた?」



美羽「ううん、全然」



加奈「やっぱり」



美羽「でも楽しいよ」



加奈「でしょ?」



美羽「楽しいから続ける……これじゃ、駄目かな?」



加奈「それを決めるのは、君自身だー!」



ビシッ



美羽「ぐわっ」



加奈「なんちゃって」



美羽「へへ」



加奈「あはは」

美羽「やって良かったな」



加奈「アイドル?」



美羽「うん」



加奈「楽しいから?」



美羽「それもあるし」



加奈「他にも?」



美羽「うん、友達増えた」



加奈「あはは、それは確かに」



美羽「これからもがんばろーね、加奈ちゃん」



加奈「うん、ポピー矢口」



美羽「おい今井」



加奈「あはは、冗談だよ美羽ちゃん、こっちこそよろしくね」



美羽「うん!」









―――――――







加奈「わーっ……!?栗が!栗がぁああああ!!

プロデューサー!拾ってください!」



P「はいはいわかったわかった……本当手のかかる妹みたいだなぁ加奈は」



美羽「そう思うでしょ?」



P「ん?」



美羽「でもやっぱり、私からしたらお姉さんなんですよっ!」



P「……ほほう?」



美羽「手伝うよー!」



加奈「ありがとー美羽ちゃん……」



P「(最近、あいつらしっかりしてきてるような?)」



P「(本当、思春期の成長ってのは早いもんだな)」









おしまい



22:30│今井加奈 
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