2014年03月07日

奥山沙織「友達、つぐりてーって?」鷺沢文香「…」コク

沙織「んだば、つぐればいいよー。皆良い人だから」

文香「……らない」

沙織「え?」


文香「つくり方……よく、分からなくて」

沙織「友達のつぐり方かぁ……」

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ちひろ「え?友達のつくり方?」

沙織「何とかできねーですかね」

ちひろ「えぇ、できますよ。今からでも大丈夫です」

文香「……本当ですか?」

ちひろ「もちろん。まず、友達になりたい人のプロフィールから『友達希望』をクリックして……」

沙織「ち、ちょっと待って、ちひろさん」

ちひろ「はい?」
ちひろ「あぁ、『モバ友』の方じゃないんですね」

文香「すみません……」

沙織「何か方法とか知ってたら、おねげーできませんか」

ちひろ「そうですねぇ……友達をすぐに作る方法、ないこともないですけど」

文香「どんな方法ですか……?」

ちひろ「未使用のモバコインカードを扇状に重ねて、相手の頬を引っぱたくんです」

沙織「え゛っ」

文香「そ、それは……」
ちひろ「冗談ですよ冗談。それで、文香ちゃんの趣味は?」

文香「趣味、ですか……?」

ちひろ「共通の趣味を持つ人を探した方がいいですよ。話の幅も広がりますし」

文香「えっと……本屋巡りとか……」

ちひろ「でしたら、本を趣味にしていそうなアイドルさんを探せば良いのです」

文香「本……」

ちひろ「例えば、あそこで本を読んでる子なんかどうでしょう?」



ありす「………」ペラッ
沙織「ありすちゃんですね。新刊のミステリー小説に最近ハマってるとがって」

ちひろ「早速アタックしてみませんか?」

文香「え?で、でも……」

ちひろ「ガチャもコミュもアイドルデビューも、思い切りが肝心ですよ!」ドン

文香「あぅっ」



ありす「………」

文香「あ、あの……」

ありす「?……あ、新しく入ったアイドルさんですか」
文香「え、えっと……ありす、ちゃn」

ありす「橘でいいです」

文香「……橘さん。その……今、読んでるのは」

ありす「これですか?『真・かまいさんたちの夜』と言って……」

文香「あの、雪山のペンションが舞台の……」

ありす「そうです、雪山の……あれ?もしかして、読んだ事あるんですか?」

文香「はい……カップルが、殺人事件に巻き込まれて……」



沙織「うまぐいってるみてーですね」

ちひろ「こういう事は先に話しかけなければ、何事も始まりませんからね」
文香「カテゴリ的には、クローズドサークル系の小説で……」

文香「ミステリー、ホラー、サスペンス……それぞれ交差しているのが、特徴ですね」

ありす「その通りです。閉鎖空間って、本当にドキドキしますよね」

文香「それで……確か犯人は、ヤスで……」

ありす「」



文香「まず、死体と一緒に」

ありす「わー!わー!わーっ!!」ガタタッ

文香「動機は……」

ありす「だ、だめぇーーーーーーーーっ!!!」
文香「………」ショボーン

ちひろ「ネタバレはいけませんよ、ネタバレは」

沙織「んだんだ」

文香「……もう、読んでしまってると思って……」

ちひろ「確かに勢いは大事ですけど、思い込みで突っ込み過ぎてはいけません」

文香「はい……」

沙織「まぁ、よぐあることだから。次から気をつければ……」
風香「沙織さーん」

沙織「あ、風香ちゃん」

風香「あの、今度書いた小説なんですけど」

沙織「うっ……また出来たの?」

風香「はい!」

沙織「……そ、そうだ!文香ちゃんに見てもらうのはどう?」

風香「え?文香さん?」

沙織「文香ちゃんはね、わだすより小説に詳しいんだよ!ね?」
文香「えっと……」

風香「文香さん、読んで頂けますか?」

文香「……やってみます……」

風香「読み終わったら、感想も一緒にお願いします!」



ちひろ「なかなか良い感じじゃないですか」

沙織「……文香ちゃん、余計な事言わねーといいんだけんど……」

ちひろ「え?」
文香「あの……読み終わりました」

風香「もうですか!?」

文香「えっと……題材は、とても良かったです」

文香「剣と魔法の時代、時を駆けるファンタジー……この世に悪があるならば、それは人の心……」

文香「テーマや設定も斬新で……すごく凝ってるのが、分かります」

風香「そ、そうですか?えへへ……」



文香「ただ……少し、残念な点が」

風香「え?」
文香「三点リーダー……ちょっと多用し過ぎで……」

文香「読点も、かなり多く使ってましたね……」

風香「うっ……」

文香「この書き方だと……読む人がイライラする、かな?」

風香「そ、そうですか?味が出て、良いと思ってたんですけど……」

文香「あと……主人公、ナイトハルト・ミュラーの……幼馴染の女の子だけど」

風香「……何か、問題が?」

文香「主人公より、活躍し過ぎで……結構、ウザいかなって」

風香「」グサッ
文香「博学多才、沈着冷静で……誰からも慕われて、頼られてて……」

文香「その子にしかない能力があって……その子の言う事は全部正しくて……」

風香「だ、だってあの子は、作中のキーパーソンですし……」

文香「それにしたって……出番多すぎでは?」

風香「うぅぅ……」

文香「ピンチを都合良く切り抜けたり……対立した人はすぐ退場したり……」

文香「暇さえあれば主人公と……いちゃラブしたり……」

文香「もう、その……存在そのものがウザい……と言うか」

風香「」グサグサッ
文香「……多分、この子さえいなければ……もっと面白く出来r」

風香「う、うわぁぁぁーん!」ダッ





文香「ど、どうして……?」

沙織「……文香ちゃん、幼馴染の名前は?」

文香「えっと……法術士、フーカ・マリーンドルフ……あっ」
ちひろ「友達を作るにはまず、他人への思いやりが必要です」

ちひろ「思うところがあっても、そのままズバズバ言ってはいけませんよ」

文香「……はい」

沙織「まぁ、よぐあることだから。次から気をつければ……」



比奈「沙織ちゃん、ちょっといいスか?」

沙織「あ、比奈ちゃん」

文香「」ササッ
比奈「こないだ借りた本、返しに来たッスよ。いやー、マジ参考になったッス」

沙織「あぁ、それはよがっ……文香ちゃん?」

文香「………」コソコソ

比奈「……あ、鷺沢文香」

文香「」ビクッ

ちひろ「あれ、もうお知り合いになってたんですか」

比奈「知り合いも何も……」



文香「は、廃刊になった漫画雑誌の話は、もう……」

比奈「廃刊じゃねぇッス!休刊ッス!!」
沙織「な、何の話?」

比奈「この女、前にコミックボンボンを侮辱したッス。コロコロ派だったッス」

文香「……実際、コロコロの方が生き残ってますし……」

比奈「漫画は売上より質が大事なんスよ!それが分かってねぇッス!」

比奈「コロコロなんてミニ四駆やヨーヨー、TCGばかりのオモチャ雑誌だったじゃねぇスか!」

文香「ボンボンだってプラモデルやゲーム、扱ってましたし……」

文香「でも結局、売れませんでしたし……ロックマンXとか、打ち切r」

比奈「岩本先生を馬鹿にするなッス!!」バンッ
沙織「ひ、比奈ちゃん、ちょっとこっちに」

比奈「がるるるる……」



文香「………」ビクビク

ちひろ「だから言ったじゃないですか……好きなものを否定されたら、誰だって怒りますよ」

文香「だってあの人も、前にコロコロを……」

ちひろ「相手が思想的に相容れない人でも、空気を読むのは大事です」

ちひろ「さっきみたいに、余計なトラブルを招きたくないのでしたらね」

文香「は、はい……」
沙織「比奈ちゃんの方は、何とかなりましたけど……」

文香「………」

ちひろ「まだ一人も出来ませんね、友達」

沙織「どうすたらいいですかね」

文香「………」



ちひろ「……まだ思い当たる人が、いるにはいるんですけど」
由里子「ほっほーう……その子がアタシと同好の士になりたい、と」

ちひろ「え、えぇ」

文香「………」

由里子「ま、別にいいですけど。門戸は何時でも開けっ放し、来る者拒まずが基本だじぇー」



沙織「……あの、ちひろさん」

ちひろ「来る者拒まずって言ってますし、これはきっと上手くいきますよ」

沙織「………」
由里子「で、文香っちは、どのジャンルの薄い本に興味あるの?」

文香「薄い本?……週刊誌ですか?」

由里子「いや、そういうんじゃなくて。もっとこう、ヒワイな感じの」

文香「……18禁の雑誌ですか?」

由里子「んあぁー、近い!近いけど、そうでなく……」

文香「?」

由里子「えっと……文香っち、ちょっといい?これ、見てほしいんだけど」ゴソゴソ
由里子「――文香っちの事だけど……アタシには、ちょっと無理かも」

ちひろ「はい?」

沙織「でもさっき、来る者拒まずって……」



由里子「趣味ってさ、人に強制されてやるべきものじゃなくて……」

由里子「自分からのめり込む“道”であるべきだと思うんだよね」

沙織「ゆ、由里子さんが真顔に……!?」
ちひろ「……また何か言ったんですか?」

文香「男の人同士が、抱き合う絵を見せられたんですけど……」

沙織「!?」

文香「その、感想をと言われて……特に何も、変には……」

沙織「え?」

文香「ただのスキンシップ、ですよね?あの絵って……」

ちひろ「え、えーっと……」



由里子「腐ったユリユリに……無垢なこの子は、眩し過ぎるじぇ……!」

ちひろ「……あの、文香ちゃん」

文香「はい」

ちひろ「プロデューサーさんには、相談したんですか?」

文香「………」

沙織「あ、そう言えば……」

ちひろ「こういう事はやっぱり、プロデューサーさんに任せるのが一番だと思うんですよ」



文香「相談は、したんですけど……」
P『友達の作り方を教えて欲しいって?』

P『オーケー文香、そういうことならお安い御用だ。俺に全て任せてくれ』

P『そうだなぁ、露出を上げるのもいいが……サイズ一回り小さ目で、生地が薄めのタートルネックはどうだい?』

P『浮き出す胸元をアピールできるし、そこはかとないエロさもある。服の上からでも分かるエロは何よりも重要だぞ』

P『エロとはイコール全裸じゃあないし、それでは品が無いからな。やはり着衣が……文香?』

P『あれ、どこに……おーい、文香ー?』



沙織「………」

ちひろ「本当にあの人はデリカシーもクソもありませんね……」
千夏「あ、いたいた。ちひろさん、ちょっと」

ちひろ「どうしました?」

千夏「プロデューサーが、モバコインの価格変更の事で話したいことがあるんですって」

ちひろ「はぁ、またですか?……じゃあ千夏さん、代わりに二人のことお願いしますね」

千夏「へ?あ、ちょっと……」



文香「………」

沙織「千夏さん、助けてくだせ〜」

千夏「何?どうしたの?」
千夏「友達の作り方?」

文香「………」

沙織「今まで何人か当たってきたんですけど、全部駄目で……」

千夏「そ、そうだったの」

沙織「何とかできねーですかね?」

千夏「……先に私の用事を済ませたいんだけど、あなた達も一緒に来ない?」

沙織「どこへ行ぐんです?」

千夏「ちょっと、夕美の所にね」
千夏「夕美ー、来たわよー?」ガサガサ

文香「寮の裏に、ビニールハウス……?」

沙織「このお花、全部夕美ちゃんが?」

千夏「まぁ、大体はね。実質栽培してるのはあの子だし……」

千夏「ありすちゃんがイチゴ狩りしてたポスターは、ここで撮ったものだそうよ」

沙織「へぇ〜」

千夏「ありすちゃんが入ってたチューリップも、ここで栽培したものらしいわ」

沙織「へぇ〜」



沙織「……えっ?あれも?」

千夏「冗談よ」
夕美「待ってましたよ、千夏さん!」

千夏「もう出来てる?」

夕美「薄紫のビオラでしたよね♪完成してますよっ」

沙織「お花を貰いに来たんですか?」

千夏「ううん、正確には花じゃないんだけど……」

夕美「本当にビオラで良かったんですか?パンジーもお似合いだと思うんですけど♪」

千夏「……花言葉でからかってることくらい分かるわよ、夕美」

夕美「あ、バレちゃいました?千夏さんは物知りだから困っちゃうなぁ、もう」
夕美「はい、頼まれてた押し花です。大事にしてあげて下さいね」

千夏「いつもながら良く出来てるわね」

夕美「そりゃあ、丹精込めてつくってますからっ」



文香「あ、あの……!」

夕美「?」

文香「その栞……よく、見せてくれませんか……!?」

千夏「別に構わないけど……どうかしたの?」スッ

文香「……こ、これ……あぁっ!!」ガタガタ

沙織「ふ、文香ちゃん?」
飛鳥『フフフ……インフィニティ・ジェノサイダー……』ゴゴゴゴゴ

光『!?』

飛鳥『さぁ、虚無に還ろう……デッド・エンド・シュート』カッ

光『う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』


チュドーン



沙織「(――ってレベルの衝撃を受けてる……!?)」

文香「!……!!」プルプル
夕美「千夏さん、この子は?」

千夏「最近入ってきた子でね、栞もらうついでに連れてきたんだけど」

文香「……あの」

夕美「?」

文香「私……こういう、者です」スッ

沙織「名刺……じゃなくて、栞?」

夕美「わぁ、可愛いですね!あなたも押し花、作って……」



夕美「っ!!」ビクン
菜々『う、嘘でしょ?……既にこれ程のピュア・エネルギーを、あの子は……!?』

こずえ『ふわぁー……こずえ、もうあきちゃったから……』ゴゴゴゴゴ

こずえ『これで、さいごにしてあげるねー……?』ゴゴゴゴゴゴ

心『!あ、あの構えは……逃げて、ナナーッ!!』

こずえ『……ばぁーん』ビッ


ガオンッ



沙織「(――という規模の衝撃を、夕美ちゃんも……!?)」

夕美「!……!!」ガタガタ
文香「………」

夕美「……な、名前は?」

文香「……鷺沢、文香……」

夕美「鷺沢さん……ううん、文香ちゃんっ!」

夕美「私……私、こんなに綺麗な栞、初めて見たっ!」ギュッ

文香「そんな……私のなんて、夕美さん程の物じゃ……」



沙織「な、何だかすんごい進展してねーですか、あの二人」

千夏「そうね。夕美が口を閉じたのなんて初めて見たわ……」
千夏「じゃあ夕美、私はこれで失礼するわね」

夕美「あ、はーい」

文香「沙織さん、私……夕美さんともう少し、話がしたいから」

沙織「あ、うん……じゃあ、また後でね」

夕美「文香ちゃーん♪見せたいものがあるの、ちょっと来てくれる?」

文香「はい……!」ワクワク



千夏「どうやら出来たみたいね、友達」

沙織「あんな簡単につぐれるもんなんですね……」
千夏「……友達ってね、肩肘張って作ろうとするものじゃないと思うの」

千夏「小さなきっかけか何かあれば、ああやって自然に作れちゃうものなのよ」

沙織「……わだすがこげな事しなぐても、文香ちゃんは大丈夫だったんですね」

千夏「それは違うわ。夕美と文香ちゃんが出会えたのは、あなたが協力してくれたおかげでしょう?」

沙織「そ、そうですか?」

千夏「ええ。彼女だって、きっと感謝してるはずよ」

沙織「……文香ちゃんの力になれたなら……わだすも、嬉しいです」
千夏「ところで、さっきからずっと気になってたのだけれど……」

沙織「?」





千夏「あなた、文香ちゃんの友達じゃないの?」

沙織「え?……あっ」



おわり



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